(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130676
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ロータリコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 39/28 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01R39/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040535
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511040388
【氏名又は名称】株式会社ヒサワ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】江藤 隼太
(72)【発明者】
【氏名】早田 葵
(72)【発明者】
【氏名】古川 泰成
(72)【発明者】
【氏名】神谷 真司
(72)【発明者】
【氏名】沢田 博史
(57)【要約】
【課題】局を複数有するロータリコネクタを提供する。
【解決手段】環状の外周電極5と、外周電極5に挿通され外周電極5と相対回動可能に配置された内周電極4と、外周電極5と内周電極4の間に配置され外周電極5と内周電極4に接触する環状のローラ集電子60と、ローラ集電子60に挿入されローラ集電子60を保持するリテーナピン61と、リテーナピン61を軸支するリテーナプレート7Bと、を備えるロータリコネクタ1であって、リテーナプレート7Bの軸方向で一方側と他方側にリテーナピン61がそれぞれ軸支されており、一方側に軸支されたリテーナピン61と他方側に軸支されたリテーナピン61は、異なる位相で配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の外周電極と、前記外周電極に挿通され該外周電極と相対回動可能に配置された内周電極と、前記外周電極と前記内周電極の間に配置され前記外周電極と前記内周電極に接触する環状のローラ集電子と、前記ローラ集電子に挿入され当該ローラ集電子を保持するリテーナピンと、前記リテーナピンを軸支するリテーナプレートと、を備えるロータリコネクタであって、
前記リテーナプレートの軸方向で一方側と他方側に前記リテーナピンがそれぞれ軸支されており、
前記一方側に軸支された前記リテーナピンと前記他方側に軸支された前記リテーナピンは、異なる位相で配置されているロータリコネクタ。
【請求項2】
前記リテーナピンは周方向で等配されている請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項3】
前記リテーナプレートには、複数の貫通孔が形成されている請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項4】
前記複数の貫通孔は、一つの円周上に形成されている請求項3に記載のロータリコネクタ。
【請求項5】
前記リテーナプレートには、軸方向一方側の面と軸方向他方側の面にそれぞれ複数の凹部が形成されている請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項6】
前記複数の凹部は、一つの円周上に形成されている請求項5に記載のロータリコネクタ。
【請求項7】
前記一方側に軸支された前記リテーナピンと前記他方側に軸支された前記リテーナピンは、それぞれ前記リテーナプレートに対する軸方向反対側に配置される別のリテーナプレートにも軸支されている請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項8】
前記ロータリコネクタは縦置きであり、前記他方側に軸支された前記リテーナピンは、その下端側が前記リテーナプレートとは別の下端側のリテーナプレートに軸支されており、
前記下端側のリテーナプレートは、前記外周電極側および前記内周電極側の一方から他方に向かって延びる下端側の延出部に載置されている請求項1に記載のロータリコネクタ。
【請求項9】
前記一方側に軸支された前記リテーナピンは、その上端側が前記リテーナプレートとは別の上端側のリテーナプレートに軸支されており、
前記上端側のリテーナプレートは、前記外周電極側および前記内周電極側の一方から他方に向かって延びる上端側の延出部よりも下方に配置されている請求項8に記載のロータリコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリコネクタ、例えば複数の局を有するロータリコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業分野で、回動機構における回動側要素と静止側要素とを電気的に接続するために利用されているロータリコネクタは、回動側要素に連結される導電性を有する内周電極と、静止側要素に電気的に接続される導電性を有する外周電極との間に配置されている集電要素を通じて、これら内周電極および外周電極を電気的に接続することが可能となっている。
【0003】
このようなロータリコネクタは、集電要素として、水銀、ガリウム合金などの液体金属が充填されているものと、通電性を有する複数のローラ集電子が配置されているものと、が知られている。近年では、液漏れによる環境負荷、漏電リスクなどの観点から、ローラ集電子が適用されているロータリコネクタが注目されている。
【0004】
例えば、特許文献1に示されるロータリコネクタは、回転軸とボディとの間に、複数の通電リングが配置されている。各通電リングは、複数のリテーナピンと、一対のリテーナプレートによって互いの間隔が保持されている。リテーナプレートには、軸方向に貫通する複数の貫通孔が等配されている。各リテーナピンは、各リテーナプレートにおいて対応する貫通孔に内挿されて、各リテーナプレートに対して相対回動可能に保持されている。各通電リングは、リテーナプレートに外挿されて保持されている。
【0005】
このように構成されているロータリコネクタにおいて通電リングは、回転軸の回転に従動してリテーナピンと一体にリテーナプレートに対して相対回転、すなわち自転する。また、通電リングは、回転軸の回転に従動してリテーナプレートが回動することにより公転して、いわゆる遊星運動する。これらにより、特許文献1のようなロータリコネクタは、回転軸の回転を保ちながら、回転軸とボディを電気的に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-170521号公報(第2,3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のようなロータリコネクタは、上述したように回転軸の回転を保ちながら、回転軸とボディを電気的に接続することができるばかりでなく、回転軸の周りに通電容量に応じた数の通電リングを配置することで通電容量を適宜調整することができる。このような優れた特性を備える局を複数有するロータリコネクタが兼ねてより求められていた。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、局を複数有するロータリコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明のロータリコネクタは、
環状の外周電極と、前記外周電極に挿通され該外周電極と相対回動可能に配置された内周電極と、前記外周電極と前記内周電極の間に配置され前記外周電極と前記内周電極に接触する環状のローラ集電子と、前記ローラ集電子に挿入され当該ローラ集電子を保持するリテーナピンと、前記リテーナピンを軸支するリテーナプレートと、を備えるロータリコネクタであって、
前記リテーナプレートの軸方向で一方側と他方側に前記リテーナピンがそれぞれ軸支されており、
前記一方側に軸支された前記リテーナピンと前記他方側に軸支された前記リテーナピンは、異なる位相で配置されている。
これによれば、ロータリコネクタは、各段のリテーナピン同士が干渉することが防止されている。そのため、局を複数有し、かつ各局における通電容量を可変可能とすることができる。さらに、ロータリコネクタは、軸方向寸法を短くすることができる。
【0010】
前記リテーナピンは周方向で等配されていてもよい。
これによれば、ロータリコネクタは、それぞれの段のリテーナピンに対して、回転時の遠心力などによる悪影響が及ぶことを防ぐことができる。そのため、ロータリコネクタは、通電状態を安定して保持することができる。
【0011】
前記リテーナプレートには、複数の貫通孔が形成されていてもよい。
これによれば、ロータリコネクタは、求められる通電容量に応じてリテーナピンおよびローラ集電子の数を調節することが簡便である。また、ロータリコネクタは、簡便な構造で軸方向寸法を短くすることができる。
【0012】
前記複数の貫通孔は、一つの円周上に形成されていてもよい。
これによれば、ロータリコネクタは、小径に構成することができる。
【0013】
前記リテーナプレートには、軸方向一方側の面と軸方向他方側の面にそれぞれ複数の凹部が形成されていてもよい。
これによれば、ロータリコネクタは、求められる通電容量に応じてリテーナピンおよびローラ集電子の数を調節することが簡便である。また、ロータリコネクタは、簡便な構造で軸方向寸法を短くすることができる。
【0014】
前記複数の凹部は、一つの円周上に形成されていてもよい。
これによれば、ロータリコネクタは、小径に構成することができる。
【0015】
前記一方側に軸支された前記リテーナピンと前記他方側に軸支された前記リテーナピンは、それぞれ前記リテーナプレートに対する軸方向反対側に配置される別のリテーナプレートにも軸支されていてもよい。
これによれば、ロータリコネクタは、隣接する段の2群のリテーナピンと、中間のリテーナプレートと、2つの別のリテーナプレートにより構成される2層構造で1セットとすることができる。そのため、ロータリコネクタは、安定した構造を簡便に構成することができる。
【0016】
前記ロータリコネクタは縦置きであり、前記他方側に軸支された前記リテーナピンは、その下端側が前記リテーナプレートとは別の下端側のリテーナプレートに軸支されており、
前記下端側のリテーナプレートは、前記外周電極側および前記内周電極側の一方から他方に向かって延びる下端側の延出部に載置されていてもよい。
これによれば、ロータリコネクタは、積層されている複数のリテーナプレート、ローラ集電子、リテーナピンを確実に支持でき、通電効果を安定させることができる。また、ロータリコネクタは、延出部にて摩耗粉をトラップすることができる。
【0017】
前記一方側に軸支された前記リテーナピンは、その上端側が前記リテーナプレートとは別の上端側のリテーナプレートに軸支されており、
前記上端側のリテーナプレートは、前記外周電極側および前記内周電極側の一方から他方に向かって延びる上端側の延出部よりも下方に配置されていてもよい。
これによれば、軸方向両端に配置されている各別のリテーナプレートは、軸方向両端に配置されている各延出部の間に配置される。そのため、ロータリコネクタは、積層されている複数のリテーナプレート、ローラ集電子、リテーナピンが傾動することや軸方向に移動することを規制して、故障の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1におけるロータリコネクタの斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1におけるロータリコネクタの断面図である。
【
図3】(a)は
図2におけるA-A断面図であり、(b)は
図2におけるB-B断面図である。
【
図5】本発明の実施例2におけるロータリコネクタの断面図である。
【
図6】(a)は
図5におけるD-D断面図であり、(b)は
図5におけるE-E断面図である。
【
図8】本発明の実施例3におけるロータリコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るロータリコネクタを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0020】
実施例1に係るロータリコネクタにつき、
図1~
図4を参照して説明する。以下、
図2の正面から見て上下をロータリコネクタの上下として説明する。
【0021】
本実施例のロータリコネクタ1は、例えば回転機器としての半導体製造機に適用され、半導体の基板を加熱する温調機器の通電や、加熱される基板の温度を測定する熱電対の通電に用いられる。
【0022】
図1,
図2に示されるように、ロータリコネクタ1は、回転体2と、固定体3と、2セットの接続体6と、2つのベアリング8(
図2参照)と、から主に構成されており、回転体2側と固定体3側にそれぞれ接続された4つの導線90~93を個別に通電させるための4つの局9A,9B,9C,9Dを備えている。このロータリコネクタ1は縦置きで使用されている。
【0023】
回転体2は、回転軸20と、5つのスペーサ21~25と、4つの内周電極4から主に構成されている。
【0024】
回転軸20は、絶縁体製で円柱状に形成されている。回転軸20は、固定体3における上端部と下端部に内嵌固定されている2つのベアリング8に内嵌されて軸支されている。なお、回転軸20の形状は用途に応じて適宜変更されてもよく、例えば中空状であってもよく、先端に温調機器が設けられていてもよい。
【0025】
回転軸20の外径側には4つの貫通溝20a~20dが形成されている。貫通溝20a~20dは、回転軸20の外周面より内径側に凹設され、外径側に開放されており、かつ軸方向に貫通されている軸方向視U字状に形成されている(
図1参照)。各貫通溝20a~20dには、導線90~93のいずれかが挿通されており、導線90~93同士で混線することが抑止されている。
【0026】
最上段に位置するスペーサ21は、絶縁体製で断面矩形状の環状に形成されている。スペーサ21の内径は回転軸20の外径と略同寸であり、回転軸20に外嵌固定されている。
【0027】
上から二段目に位置するスペーサ22は、絶縁体製で断面矩形状の環状に形成されている。スペーサ22の内径はスペーサ21の内径と略同寸であり、回転軸20に外嵌固定されている。
【0028】
上から三段目に位置し、各スペーサ21~25の中央に位置するスペーサ23は、絶縁体製で断面矩形状の環状に形成されている。スペーサ23の内径は回転軸20の外径と略同寸であり、回転軸20に外嵌固定されている。
【0029】
下から二段目に位置するスペーサ24は、絶縁体製で断面矩形状の環状に形成されており、スペーサ22と略同一形状である。スペーサ24は、スペーサ22と同様に回転軸20に外嵌固定されている。
【0030】
最下段に位置するスペーサ25は、絶縁体製で断面矩形状の環状に形成されている。スペーサ25の内径は回転軸20の外径と略同寸であり、回転軸20に外嵌固定されている。
【0031】
各内周電極4は、金属製で断面矩形状の環状に形成されている。各内周電極4は、スペーサ21~25のうち、隣り合う2つのスペーサの間に1つずつ配置・固定されている。言い換えれば、各スペーサ21~25は内周電極4を介在させた状態で軸方向に連結されている。これにより、各内周電極4は、回転軸20や各スペーサ21~25と共に回転する。
【0032】
また、各内周電極4の内径はスペーサ21の内径よりもわずかに長寸である。
【0033】
また、各内周電極4における外径側には、内径側に向かって凹設され外径方向に開放されている環状の溝40が形成されている。
【0034】
固定体3は、上部体30と、5つのスペーサ31~35と、下部体36と、4つの外周電極5から主に構成されている。なお、
図1では、上部体30と、5つのスペーサ31~35と、下部体36にドット柄を付している。
【0035】
図2に示されるように、上部体30は、絶縁体製で断面下向きL字状の環状に形成されている。上部体30における径方向中央には、その下端面から軸方向上側に凹設され、下方側に向かって開放されている凹部30aが形成されている。凹部30aにはベアリング8が内嵌されている。また、凹部30aの径方向中央には、上下方向に貫通する孔形状の貫通部が連通している。貫通部の径寸法は、回転軸20の径寸法よりも長寸となっている。
【0036】
最上段に位置するスペーサ31は、絶縁体製で断面下向きL字状の環状に形成されている。スペーサ31は、基部31aと、延出部としての鍔部31bを備えている。基部31aは、断面矩形状の環状に形成されている。鍔部31bは、基部31aにおける軸方向上端部から内径方向に向かって庇状に張り出す断面矩形状の環状に形成されている。すなわち鍔部31bは内向きフランジ状に形成されている。
【0037】
また、スペーサ31における基部31aの内径は上部体30における凹部30aの径寸法と略同寸である。基部31aの外径は上部体30の外径と略同寸である。基部31aの軸方向寸法は、回転体2におけるスペーサ21の軸方向寸法と略同寸である。基部31aは、上部体30に固定されている。
【0038】
上から二段目に位置するスペーサ32は、絶縁体製で断面矩形状の環状に形成されている。スペーサ32の軸方向寸法は、回転体2におけるスペーサ22の軸方向寸法と略同寸である。それ以外はスペーサ31における基部31aと略同一形状である。
【0039】
上から三段目に位置し、各スペーサ31~35の中央に位置するスペーサ33は、絶縁体製で断面横向きT字状の環状に形成されている。スペーサ33は、基部33aと、延出部としての鍔部33bを備えている。基部33aは、軸方向に延伸した基部31aと略同一形状である。鍔部33bは、基部33aの軸方向中央部から内径方向に向かって張り出す内向きフランジ状に形成されている。
【0040】
また、スペーサ33における基部33aの軸方向寸法は、回転体2におけるスペーサ23の軸方向寸法と略同寸である。それ以外はスペーサ31における基部31aと略同一形状である。
【0041】
下から二段目に位置するスペーサ34は、絶縁体製で断面矩形状の環状に形成されている。スペーサ34の軸方向寸法は、回転体2におけるスペーサ24の軸方向寸法と略同寸であり、スペーサ32と略同一形状である。
【0042】
最下段に位置するスペーサ35は、絶縁体製で断面L字状の環状に形成されている。スペーサ35は、基部35aと、延出部としての鍔部35bを備えている。基部35aは、基部31aと略同一形状である。鍔部35bは、基部35aにおける軸方向下端部から内径方向に向かって張り出す内向きフランジ状に形成されている。
【0043】
また、スペーサ35における基部35aの軸方向寸法は、回転体2におけるスペーサ25の軸方向寸法と略同寸である。それ以外はスペーサ31における基部31aと略同一形状である。
【0044】
下部体36は、絶縁体製で断面L字状の環状に形成されている。下部体36における径方向中央には、その上端面から軸方向下側に凹設され、上方側に向かって開放されている凹部36aが形成されている。凹部36aにはベアリング8が内嵌されている。また、凹部36aの径方向中央には、上下方向に貫通する孔形状の貫通部が連通している。貫通部の径寸法は、回転軸20の径寸法よりも長寸となっている。下部体36は、スペーサ35に固定されている。
【0045】
各外周電極5は、金属製で断面矩形状の環状に形成されている。各外周電極5の内径はスペーサ31の内径と略同寸である。各外周電極5は、スペーサ31~35のうち、隣り合う2つのスペーサの間に配置・固定されている。言い換えれば、各スペーサ31~35は外周電極5を介在させた状態で軸方向に連結されている。
【0046】
また、各外周電極5の外径はスペーサ31の外径と略同寸である。さらに、各外周電極5の軸方向寸法は、各内周電極4の軸方向寸法と略同寸である。
【0047】
回転体2と固定体3との間には、2セットの接続体6(各セットの接続体6については
図3,
図4を参照)が配置されている。より詳しくは、1セットの接続体6は、最上段のスペーサ31における鍔部31bと、上から三段目のスペーサ33における鍔部33bとの間に配置されている。もう1セットの接続体6は、鍔部33bと、最下段のスペーサ35における鍔部35bとの間に配置されている。これら接続体6は、略同一構成であるため、以降の説明では、特に断らない限り上方の接続体6を例示して説明する。
【0048】
図2~
図4に示されるように、接続体6は、回転軸20の軸回りに回動可能、すなわち自転可能な環状に形成されている。接続体6は、複数のローラ集電子60(本実施例では、上段側が8つ、下段側が8つ)と、複数のリテーナピン61(本実施例では、上段側が8つ、下段側が8つ)と、3つのガイドプレート7A,7B,7Cから構成されている。
【0049】
なお、
図3(a)ではガイドプレート7Aの直下に配設されている各ローラ集電子60のうちガイドプレート7Aと軸方向に重なっている部分を破線で図示しており、ガイドプレート7Bの直下に配設されている各ローラ集電子60については、ガイドプレート7A,7Bよりも径方向に張り出している部分のみ図示している。また、
図3(b)ではガイドプレート7Bの直下に配設されている各ローラ集電子60のうちガイドプレート7Bと軸方向に重なっている部分を一部破線で図示している。
【0050】
ローラ集電子60は、金属製で円筒状に形成されており、リテーナピン61における胴部中央に外挿・固定されており、その一部は内周電極4における溝40内に配置されている(
図2参照)。ローラ集電子60は、内周電極4の回転に従動して、リテーナピン61と共に同リテーナピン61の軸回りに自転する。溝40の上下は外径側に張り出していることから、ローラ集電子60はリテーナピン61と共に軸方向への移動が規制されている。
【0051】
なお、ローラ集電子60の一部が配置される溝は、内周電極4に形成されている溝40に限られず、外周電極5にも形成されていてもよく、外周電極5にのみ形成されていてもよく、適宜変更されてもよい。また、溝に代えて内周電極4と外周電極5とに環状段部を軸方向に対向するようにそれぞれ設け、これら環状段部の間にローラ集電子60を介在するように配置することで、ローラ集電子60を軸方向に保持してもよい。
【0052】
ローラ集電子60の外径は、内周電極4の外周面と外周電極5の内周面との間の径方向寸法と略同寸となっている。
【0053】
図4を参照して、リテーナピン61は絶縁体製である。円柱状の胴部における上端と下端それぞれに、この胴部よりも小径な円柱状の軸部61a,61bが形成されている。軸部61aは上端側(軸方向一方側)であり、軸部61bは下端側(軸方向他方側)である。
【0054】
図2~
図4を参照して、ガイドプレート7A~7Cは、絶縁体製で環状の薄板である。なお、ガイドプレート7A~7Cはいずれも同じ構造である。そのため、特に断らない限り、ガイドプレート7Bを例示して説明する。
【0055】
ガイドプレート7Aは、上端側に配置されており、本発明の別の上端側のリテーナプレートである。ガイドプレート7Bは、ガイドプレート7A,7Cの間、すなわち中段に配置されており、本発明のリテーナプレートである。ガイドプレート7Cは、下端側に配置されており、本発明の別の下端側のリテーナプレートである。
【0056】
図2を参照して、ガイドプレート7Bの軸方向寸法は、スペーサ22,24,32,34それぞれの軸方向寸法と略同寸である。ガイドプレート7Bの内径は、スペーサ21~25の外径よりも大径であり、鍔部31b,33b,35bそれぞれの内径よりも小径である。
【0057】
また、ガイドプレート7Bの外径は、鍔部31b,33b,35bそれぞれの内径よりも大径であり、基部31a,33a,35aそれぞれの内径およびスペーサ32,34それぞれの内径よりも小径である。
【0058】
図2,
図3を参照して、ガイドプレート7Bにおける幅寸法、すなわち内周面から外周面までの径方向寸法は、ローラ集電子60の外径よりも短寸である。
【0059】
図3を参照して、ガイドプレート7Bには、軸方向に貫通する貫通孔70が同一円上に16等配されている。各貫通孔70の径寸法は、リテーナピン61における軸部61a,61bの径寸法よりもわずかに長寸である。これにより、ガイドプレート7A~7Cは、リテーナピン61における軸部61a,61bのいずれかが内挿されることで、リテーナピン61を自転可能に軸支することができる。
【0060】
上方の接続体6においてガイドプレート7A,7Bの間には、それぞれにローラ集電子60が外挿された8つのリテーナピン61が等配されている。また、ガイドプレート7B,7Cの間には、それぞれにローラ集電子60が外挿された8つのリテーナピン61が等配されている。すなわち、ガイドプレート7Bは、その軸方向で一方側としての上方側と他方側としての下方側にてそれぞれリテーナピン61を軸支している。
【0061】
これについてより詳しくは、ガイドプレート7A,7Bの間に配置されている8つのリテーナピン61における軸部61bは、ガイドプレート7Bにおける軸方向上方側の面70f側より、ガイドプレート7Bにおける貫通孔70に内挿されて軸支されている。また、これらリテーナピン61における軸部61bは、ガイドプレート7Bにおいて16等配されている貫通孔70のうち、一つ飛ばしに内挿されている。
【0062】
また、これらのリテーナピン61における軸部61aは、ガイドプレート7Aにおいて16等配されている貫通孔70のうち、軸部61bが内挿されているガイドプレート7Bにおける貫通孔70の軸方向延伸上に位置する貫通孔70に、ガイドプレート7Aにおける軸方向下方側の面70r側より内挿、すなわち一つ飛ばしに内挿されている。
【0063】
ガイドプレート7B,7Cの間に配置されている各リテーナピン61における軸部61aは、ガイドプレート7Bにおける軸方向下方側の面70r側より、ガイドプレート7Bにおける貫通孔70に内挿されて軸支されている。また、これらリテーナピン61における軸部61aは、ガイドプレート7A,7Bの間に配置されている各リテーナピン61における軸部61bが内挿されている貫通孔70の隣にある貫通孔70に内挿されている。
【0064】
また、これらのリテーナピン61における軸部61bは、ガイドプレート7Cにおいて16等配されている貫通孔70のうち、軸部61aが内挿されているガイドプレート7Bにおける貫通孔70の軸方向延伸上に位置する貫通孔70に、ガイドプレート7Cにおける軸方向上方側の面70f側より内挿、すなわち一つ飛ばしに内挿されている。言い換えれば、ガイドプレート7Bは、軸方向他方側としての軸方向下方側に配置されるリテーナピン61を軸支している。
【0065】
すなわち、ガイドプレート7A,7Bの間に配置されている各リテーナピン61と、ガイドプレート7B,7Cの間に配置されている各リテーナピン61は、ガイドプレート7Bにおいて周方向に交互に配置されている。
【0066】
言い換えれば、ロータリコネクタ1は、中段のガイドプレート7Bを挟んで配置されている上段側の各リテーナピン61と下段側の各リテーナピン61が、ガイドプレート7Bに対して周方向で異なる位置で軸支されている。そのため、各段のリテーナピン61同士が干渉することが防止されている。
【0067】
以上のように構成されている、本実施例のロータリコネクタ1は、4つの内周電極4と4つの外周電極5と、2セットの接続体6によって4つの局9A,9B,9C,9Dが構成されている。
【0068】
最上段に位置する局9Aは、最上段の内周電極4と外周電極5が、上方の接続体6のうち、ガイドプレート7A,7Bの間に配置されている上段側の群の各ローラ集電子60によって電気的に接続されて構成されている。
【0069】
また、上から二段目に位置する局9Bは、上から二段目の内周電極4と外周電極5が、上方の接続体6のうち、ガイドプレート7B,7Cの間に配置されている下段側の群の各ローラ集電子60によって電気的に接続されて構成されている。
【0070】
また、下から二段目に位置する局9Cは、下から二段目の内周電極4と外周電極5が、下方の接続体6のうち、上段側の群の各ローラ集電子60によって電気的に接続されて構成されている。
【0071】
また、最下段に位置する局9Dは、最下段の内周電極4と外周電極5が、下方の接続体6のうち、下段側の群の各ローラ集電子60によって電気的に接続されて構成されている。
【0072】
内周電極4の回転時には、各ローラ集電子60は、内周電極4における外周面と外周電極5における内周面とに当接した状態のまま、内周電極4の回転に応じてリテーナピン61と共にその軸部61a,61b回りに自転する。なお、各ローラ集電子60は、リテーナピン61に遊嵌されていてリテーナピン61に対して相対回動してもよい。
【0073】
また、接続体6は、回転体2の回転に応じて自転する。これにより、各ローラ集電子60は公転する。すなわち、各ローラ集電子60は遊星運動する。
【0074】
さらに、ロータリコネクタ1は、各局9A~9Dにおいて求められる通電容量に応じた数のローラ集電子60を配置することで通電容量を適宜調整することができる。
【0075】
これについて、例えば、多くの通電容量が求められる電気負荷を最上段の局9Aと上から二段目の局9Bに接続するにあたっては、上方の接続体6における各段のローラ集電子60の数を増やすことで(本実施例では最大8つ)通電容量を増加させることができる。
【0076】
また、必要な通電容量が少ない電気負荷を下から二段目の局9Cと最下段の局9Dに接続するにあたっては、ローラ集電子60の数を減らすことで(本実施例では最小1つ)通電容量を減少させることができる。これにより、ロータリコネクタ1は、例えば電気信号の伝導にも適用することができる。
【0077】
これらにより、本実施例のロータリコネクタ1は、例えば回転軸20の高速回転や多くの通電容量が求められる回転機器に適用される場合であっても、さらには局ごとに要求される通電容量が異なる場合であっても、回転機器の回転を妨げることなく、各内周電極4と対応する外周電極5との電気的な接続を保ち続けることができる。
【0078】
さらに、ロータリコネクタ1は、例えばそれぞれの段のリテーナピン61を同軸に配置するような構成と比較して、それぞれの段のリテーナピン61同士が干渉することを防止しつつ、ガイドプレート7Bの厚み、すなわち軸方向寸法を短くすることができる。これに応じて、対応するスペーサ22,32やスペーサ24,34の厚みも短くすることができる。そのため、ロータリコネクタ1は、軸方向寸法を短くすることができる。
【0079】
それぞれの段のリテーナピン61同士が干渉することが防止されている点についてより詳しくは、例えば本実施例とは異なり、それぞれの段のリテーナピンを同軸すなわち同じ貫通孔に配置すると、上段のリテーナピンにおける軸部の下端面と、下段のリテーナピンにおける軸部の上端面が当接摺動することとなる。
【0080】
そのため、本実施例のロータリコネクタ1は、それぞれの段のリテーナピン61同士の摺動により摩擦が生じること、摩耗粉が生じること、ガイドプレート7A~7Cからリテーナピン61が脱落することなどが防止されている。つまり、多局構造のため軸方向に複数のリテーナピン61を用いる場合でも、リテーナピン61およびローラ集電子60の動きを安定化でき、通電効果が安定する。
【0081】
また、各接続体6においてそれぞれの段のリテーナピン61は等配されている。これによれば、ロータリコネクタ1は、各セットの接続体6それぞれの段のリテーナピン61に対して回転時に作用する遠心力の影響が小さくなり、悪影響が及ぶことを防ぐことができる。そのため、ロータリコネクタ1は、通電状態を安定して保持することができる。
【0082】
また、ガイドプレート7Bには、16の貫通孔70が形成されている。そのため、ガイドプレート7Bは、それぞれの段のリテーナピン61における軸部61aまたは軸部61bが異なる貫通孔70に内挿されることで各リテーナピン61を軸支することができる。これによれば、ロータリコネクタ1は、求められる通電容量に応じてリテーナピン61およびローラ集電子60の数を調節することが簡便である。
【0083】
さらに、ロータリコネクタ1は、例えばリテーナプレートから延びている軸部にリテーナが軸支される構成と比較して、リテーナピン61の一部を貫通孔70内に収容することができる。そのため、簡便な構造で軸方向寸法を短くすることができる。
【0084】
また、貫通孔70は、一つの円周上に形成されている。これによれば、本実施例のロータリコネクタ1は、例えば貫通孔がリテーナプレートにおける内径側の円周上と、外径側の円周上に形成されている構成、すなわち径方向に異なる位置に貫通孔が形成されている構成と比較して、ガイドプレート7Bの径方向寸法を小さくすることができる。これによれば、本実施例のロータリコネクタ1は、小径に構成することができる。
【0085】
さらに、貫通孔70は、一つの円周上に形成されていることに加えて、各ローラ集電子60と、リテーナピン61は略同一形状のものが使用されている。これにより、ガイドプレート7A,7Bに軸支されている各ローラ集電子60に対して内径側に配置される各内周電極4の外径を略同寸とすることができる。すなわち、同じ形状の内周電極4のみで製造することができる。
【0086】
これに対して、例えば貫通孔がリテーナプレートにおける径方向に異なる位置に形成されている、言い換えると内径側の円周上と、外径側の円周上に沿って形成されている構成において、上段側に配置されるリテーナピンが内径側の貫通孔に軸支され、下段側に配置されるリテーナピンが外径側の貫通孔に軸支される構成であれば、上段側の内周電極は、下段側の内周電極よりも小径な内周電極を適用する必要がある。
【0087】
このように、本実施例のロータリコネクタ1は、同じ形状の内周電極4を複数適用することで構成することができるため、製造コストや組み立てコストを低減することができる。これは、外周電極5についても同様である。
【0088】
また、ロータリコネクタ1は、隣接する段の2郡のリテーナピン61と、中間のガイドプレート7Bと、2つの別のガイドプレート7A,7Cにより構成される2層構造で1セットの接続体6が構成されている。
【0089】
そのため、接続体6は簡単な構造で機械的強度が高くかつ寸法公差が小さくなっている。これにより、例えば各部材の公差により一つの接続体6の段数を増やすほどに顕著となりやすい接続体6の傾動、回転軸20に対する偏心、ガイドプレート7Bからのリテーナピン61の脱落などを抑制しやすくなっている。
【0090】
さらに、ロータリコネクタ1は、1セットの接続体6を2層構造とすることで、1セット3層構造以上の接続体よりも軽量にすることができる。これにより、下端側のガイドプレート7Cにかかる荷重が軽減されるため、軸方向中央のスペーサ33における鍔部33bとの摺接による摩耗が抑制されている。
【0091】
また、ロータリコネクタ1は、ガイドプレート7Bを挟んで上段側の各リテーナピン61と下段側の各リテーナピン61が配置されている。これにより、接続体6が自転するにあたり、上段側の各リテーナピン61が公転する速度と下段側の各リテーナピン61が公転する速度を同速とすることができる。
【0092】
そのため、本実施例のロータリコネクタ1は、上段側の各リテーナピン61における軸部61bが軸支されているガイドプレートが、下段側の各リテーナピン61における軸部61aが軸支されているガイドプレートに相対移動可能に載置されているような構成と比較して、通電効果を安定させることができる。
【0093】
特に本実施例のように、2つの局9A,9B分の内周電極4と対応する外周電極5を1セットの接続体6で電気的に接続する構成であれば、+極側と-極側とに使い分けができるとともに、+極側と-極側それぞれの通電状態が安定する。すなわち、本実施例のロータリコネクタ1は、電源線や電気信号線などにおいて用途が多い2局構成を容易に設計・製造することができる。
【0094】
さらに、ロータリコネクタ1は、上方の接続体6と下方の接続体6において、ローラ集電子60の数の違いから、回転に伴い生じる摩擦に差が生じる場合がある。このような場合であっても、本実施例のロータリコネクタ1は、上方の接続体6と下方の接続体6同士の干渉が防止されている。
【0095】
そのため、ロータリコネクタ1は、接続体6ごとに配置されているローラ集電子60の数が異なっていても、回転軸20の回動を保ちつつ、各内周電極4と対応する外周電極5との電気的な接続を保ち続けることができる。
【0096】
また、ロータリコネクタ1は、回転体2における各スペーサ21~25と、固定体3における各スペーサ31~35が互いに別体である。各内周電極4と対応する外周電極5の軸方向位置が保たれるばかりでなく、回転体2が回転するにあたり、各スペーサ21~25と各スペーサ31~35が接触すること、各内周電極4と各スペーサ31~35が接触することが防止されている。
【0097】
また、上方の接続体6は、その下端側のガイドプレート7Cが軸方向中央のスペーサ33における鍔部33bに載置されている。これにより、ロータリコネクタ1は、1セットの接続体6を確実に支持でき、通電効果を安定させることができる。
【0098】
また、ロータリコネクタ1は、回転軸20の回転速度と接続体6の自転速度の速度差よりも、接続体6の自転速度と静止している固定体3の速度差のほうが小さい。このことから、本実施例のロータリコネクタ1は、回転軸20と一体に回転する回転体2側に設けられた鍔部に接続体6が載置支持される構成と比較して、ガイドプレート7Cと鍔部33bとの摺接による摩耗粉が生じにくくなっている。
【0099】
また、ロータリコネクタ1は、例えばローラ集電子60と内周電極4が摺接することで摩耗粉が生じる場合がある。このような場合でも、スペーサ33における鍔部33bやスペーサ35における鍔部35bにて摩耗粉をトラップすることができる。
【0100】
なお、本実施例において鍔部31b,33b,35bは周方向に亘って連続している環状であるが、これに限られず、不連続の延出片が1つ以上配置されている構成であってもよい。
【0101】
また、上方の接続体6は、その上端側のガイドプレート7Aが最上段のスペーサ31における鍔部31bよりも下方に配置されている。そのため、ロータリコネクタ1は、積層されている3つのガイドプレート7A,7B,7C、各ローラ集電子60、各リテーナピン61それぞれが個々に傾動することや軸方向に移動することを規制して、対応する内周電極4と外周電極5の電気的な接続を保つとともに、故障の発生を抑制できる。
【0102】
より詳しくは、鍔部31bは、接続体6におけるガイドプレート7Cが鍔部33bに載置されている状態において、接続体6におけるガイドプレート7Aよりもわずかに上方に位置している。
【0103】
そのため、本実施例のロータリコネクタ1は、接続体6が回転軸20回りに自転するにあたり、接続体6が常時鍔部31b,33bと接触している構成と比較して、生じ得る摩擦が低減されている。なお、接続体6が常時鍔部31b,33bと接触している構成であってもよく、このような構成であればガイドプレート7A,7Cや鍔部31b,33bが低摩擦部材製であること、潤滑材が介在されていることが好ましい。
【0104】
また、鍔部31bと接続体6におけるガイドプレート7Aとの軸方向における離間寸法は、いずれかのリテーナピン61における軸部61a,61bの一方が、挿入されている貫通孔70から抜け出すために必要な軸方向寸法よりも短寸となっている。これにより、ロータリコネクタ1は、接続体6が軸方向に移動する場合であっても、接続体6の立体構造を保持し続けることができる。
【0105】
言い換えれば、本実施例のロータリコネクタ1は、例えばガイドプレート7A,7Bを連結するための支柱などを設ける必要がないため、接続体6を簡便に構成することができる。
【0106】
なお、ガイドプレート7A,7Bに対して相対回動不能にリテーナピン61が係合されている構造、すなわちガイドプレート7A,7Bがリテーナピン61によって固定的に連結されていてもよく、一方のリテーナプレートと一体に形成されているリテーナピン61が他方のリテーナプレートの貫通孔70や凹部に内嵌固定される構成であってもよく、リテーナピン61とは別の支柱などによりガイドプレート7A,7Bが連結されていてもよい。このような構成であれば、接続体6の立体構造をより確実に保持することができる。
【0107】
さらになお、ガイドプレート7A,7Bがリテーナピン61によって固定的に連結されている構成や、リテーナピン61が一方のリテーナプレートと一体に形成されている構成であれば、ローラ集電子60がリテーナピン61に対して相対回動可能に軸支されていることが好ましい。
【0108】
また、リテーナピン61の形状は、例えば円柱状であってもよく、四角柱状であってもよく、円柱状の胴部の軸方向両端にフランジを有するようなボビン状であってもよく、適宜変更されてもよい。これは、軸部についても同様である。
【0109】
また、ローラ集電子60は、リテーナピン61に対して相対回動可能に外挿されている構成であれば、径方向に弾性変形する構成であってもよい。このような構成であれば、内周電極4や外周電極5に対して過度な負荷が作用することを防止することができる。
【0110】
また、本実施例の接続体6は、ガイドプレート7A~7Cが同一形状であり、部材の種類が低減されるため、部材コストや製造コストを低減することができる。
【0111】
なお、ガイドプレート7A~7Cの形状は異なっていてもよい。例えば、ガイドプレート7A,7Cに形成されている貫通孔70の数は、ガイドプレート7Bに形成されている貫通孔70の数より少なくてもよい。
【0112】
また、上述したように、ガイドプレート7A~7Cにおける幅寸法は、ローラ集電子60の外径よりも短寸である。加えて、回転体2側の各スペーサ21~25における外周面は略面一である。さらに、固定体3側の各スペーサ32,34における内周面と、各基部31a,33a,35aにおける内周面と、各外周電極5における内周面は略面一である。
【0113】
これらにより、ローラ集電子60が対応する内周電極4と外周電極5に当接している状態において、各ガイドプレート7A~7Cを各スペーサ21~25における外周面や、各スペーサ32,34における内周面や、各基部31a,33a,35aにおける内周面から径方向に離間した位置に保持し続けることができる。これにより、ロータリコネクタ1は、接続体6が自転するにあたって発生し得る摩擦を軽減することができる。
【0114】
また、ローラ集電子60の外径は、リテーナピン61の最大外径、すなわちリテーナピン61における胴部の外径よりも大径となっている。
【0115】
これにより、自転するにあたりローラ集電子60は、リテーナピン61が内周電極4や外周電極5に接触することを防止している。そのため、ロータリコネクタ1は、ローラ集電子60が自転するにあたって発生し得る摩擦を軽減することができる。
このことから、本実施例のガイドプレート107Bは、1つの上向き開放凹部170aと1つの下向き開放凹部170bが同軸上に形成されている構成と比較して、薄く形成することができる。
ガイドプレート107Aには、等配されている8つの下向き開放凹部170bのみが形成されている。ガイドプレート107Cには、等配されている8つの上向き開放凹部170aのみが形成されている。
これによれば、ガイドプレート107Aにおける下向き開放凹部170bにリテーナピン161の上端側(軸方向一方側)の軸部161aを相対回動可能に遊嵌し、同リテーナピン161の下端側(軸方向他方側)の軸部161bをガイドプレート107Bにおける上向き開放凹部170aに遊嵌することで、ガイドプレート107A,107Bは、リテーナピン161を軸支することができる。
また、ガイドプレート107Bにおける下向き開放凹部170bにリテーナピン161の上端側の軸部161aを相対回動可能に遊嵌し、同リテーナピン161の下端側の軸部161bをガイドプレート107Cにおける上向き開放凹部170aに遊嵌することで、ガイドプレート107B,107Cは、リテーナピン161を軸支することができる。
さらに、ガイドプレート107A,107Bの間に配置されるリテーナピン161と、ガイドプレート107B,107Cの間に配置されるリテーナピン161を、ガイドプレート107Bに対して異なる位置に配置することができる。
このように、ガイドプレート107Bに8つの上向き開放凹部170aと8つの下向き開放凹部170bが形成されている構成であっても、求められる通電容量に応じてリテーナピン161およびローラ集電子60の数を調節することが簡便なロータリコネクタ101を提供することができる。
また、ガイドプレート107Bは、リテーナピン161の一部を凹部170aまたは170b内に収容することができる。そのため、簡便な構造で軸方向寸法を短くすることができる。
また、8つの上向き開放凹部170aと8つの下向き開放凹部170bはそれぞれ一つの円周上に形成されている。そのため、本実施例2のロータリコネクタ101についても、小径に構成することができる。
なお、ガイドプレート107A,107Cは、ガイドプレート107Bと同じ形状の部材であってもよい。このような構成であれば、部材の種類が低減されるため、部材コストや製造コストを低減することができる。