(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130679
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】聴診評価システム及び聴診トレーニング評価方法
(51)【国際特許分類】
G09B 9/00 20060101AFI20240920BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20240920BHJP
G09B 19/24 20060101ALI20240920BHJP
A61B 7/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G09B9/00 Z
G09B19/00 H
G09B19/24 Z
A61B7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040539
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】515087983
【氏名又は名称】株式会社テレメディカ
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】藤木 清志
(57)【要約】
【課題】
大掛かりなシステム構成にならず、いつでもどこでも容易に利用可能で使い勝手が良く実用的で経済的にも優れる精度の高い聴診評価システムを提供すること。
【解決手段】
画像表示部232にて表示される部位毎に特有の音情報が対応付けられた人体画像HBの特定部位に聴診器カーソル222aを位置させると、当該部位に対応付けられた聴診音が音声出力部234から出力されるとともに、中央制御処理部110にて当該部位に於ける聴診器カーソル222aの滞留時間が計測され、その滞留時間の変化とともに当該部位の色調を変化させるよう機能構成したことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部位毎に特有の音情報が対応付けられた人体画像情報を表示出力する表示手段と、
この表示手段により表示出力される人体画像情報の特定部位を指定する特定部位指定手段と、
この特定部位指定手段にて指定された部位に対応付けられた特有の音情報を音声出力する音声出力手段と、
上記特定部位指定手段にて指定された部位に於ける当該特定部位指定手段の滞留時間を滞留時間情報として計測する計測手段と、
この計測手段にて計測された滞留時間情報を参照して当該滞留時間情報の変化とともに上記特定部位指定手段にて指定された部位の色調を変化させる色調変化手段と、
上記特定部位指定手段にて指定された部位の情報及び上記計測手段にて計測された当該部位に於ける滞留時間情報を記憶する記憶手段を具備することを特徴とする聴診評価システム。
【請求項2】
上記音声出力手段は、上記特定部位指定手段にて指定された部位に対応付けられた特有の音情報を音声出力するとともに、当該部位近傍の部位に対応付けられた特有の音情報を同時に音声出力するよう機能構成したことを特徴とする請求項1記載の聴診評価システム。
【請求項3】
上記表示手段にて表示出力される人体画像情報に対応付けられた部位毎の特有の音情報は、同時に発生するよう機能構成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の聴診評価システム。
【請求項4】
上記記憶手段には、上記人体画像情報の部位及び滞留時間情報に基づく予め定められた評価基準情報が記憶されており、
この記憶手段の評価基準情報を参照して、当該記憶手段に記憶された上記特定部位指定手段により指定された部位の情報及び上記計測手段にて計測された滞留時間情報を評価する機能を有する評価手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の聴診評価システム。
【請求項5】
表示部にて部位毎に特有の音情報が対応付けられた人体画像情報が表示出力され、
この表示出力された人体画像情報の特定部位を特定部位指定部にて指定すると、音声出力部にてこの指定された特定部位に対応付けられた特有の音情報が音声出力され、
上記特定部位指定部にて指定された特定部位に於ける当該特定部位指定部の滞留時間が滞留時間情報として計測部にて計測され、当該滞留時間情報の変化とともに上記特定部位指定部にて指定された特定部位の色調が色調変化部により変化するようにされ、
上記人体画像情報の部位及び当該部位に於ける滞留時間に基づく予め定められた評価基準情報を記憶する記憶部を参照して、上記特定部位指定部にて指定された特定部位の情報及び上記計測部にて計測された当該特定部位に於ける滞留時間情報を評価部にて評価するようにしたことを特徴とする聴診トレーニング評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診察項目の重要な要素である聴診音の識別トレーニングに用いる聴診評価システム及び聴診トレーニング評価方法、特に聴診器を用いた間接聴診によるトレーニングに有用な聴診評価システム及び聴診トレーニング評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨床現場では、問診、打診、聴診、視診または触診等を介して、実際に患者の身体に触れて症状の把握や異常の早期発見等身体の健康状態の評価を行うフィジカルアセスメント(身体診察技法)の重要性が提唱されてきている。フィジカルアセスメントによる評価は、ベースとなる知識と技術・技能の確実な習得が必要である。その知識と技術・技能を習得するためには、例えば適切な指導者の下で実際に多くの患者に接して知識と技術・技能を習得していくことが理想的である。
【0003】
実際に多くの患者に接しての知識や技術・技能の習得が難しい実情を考慮すると、医師、薬剤師、看護師、医学生、薬学生または看護学生であれば、書籍物や講義による知識習得と指導者の下での人体を模したシミュレーターを用いての演習形式にてスキルを習得することが一般的である。
【0004】
特に、診察項目の重要な要素の一つである聴診については、実際に聴診器を用いて様々な聴診音を聴いた結果を評価されることにより、確実且つ適切にその技術・技能を習得する必要がある。
【0005】
近時、益々フィジカルアセスメントの重要性とその実施が注目されてきている。しかし、その訓練は、場所や時間を問わず容易に実施できるものではないのが実情である。
【0006】
また、医療教育課程等に於いて、聴診スキルを習得することは極めて重要である。例えば聴診器を患者の正しい身体部位に当て、聴診器から聴こえる音を聴き取ることにより、適切な次の検査を絞込むというケースが求められているからである。
【0007】
さらに、医療面接診断実技試験の聴診にあっては、例えば1日で100名以上の医療関係の学生の評価を行うため、模擬診察室を10部屋用意するとともに各部屋に評価者及び模擬患者を配置する必要がある。これは試験者側にとって大きな負荷となっている。人体を模したシミュレーター及び監視カメラを利用しての遠隔での評価も考えられてはいるが、定点監視により死角が生じ、聴診部位の適切な評価を下すことが難しいケースがある。
【0008】
下記特許文献1には、訓練者が種々の症例について聴診技術を習得することが可能な聴診教育用装置が開示されている。このものにあっては、人体モデルのモデル表面に対して模擬聴診器を用いて実際の聴診動作に近い状態の訓練が可能で、聴診動作に対応して再生される生体音を種々変化させて訓練者の聴覚に直接伝達することが可能となることを特徴としている。
【0009】
下記特許文献2には、模擬患者の呼吸動作を測定する装置を使わない簡易な構成で安価な聴診トレーニングシステムが開示されている。このものにあっては、位置表示手段を備えた採音部、チューブ及び耳管からなる模擬聴診器、採音部位置を検知する位置検知手段、生体音データベース、生体音再生手段及び再生呼吸音の繰り返しタイミングを表示するタイミング表示手段から構成されるものである。そして、データベースは、予め真の患者から胸の位置に対応付けて録音された生体音を情報として保有しており、生体音再生手段は音声再生器を備えて位置検知手段が検知した採音部位置に応じてデータベースから所定の生体音情報を取り出し音声再生器から再生生体音を発し、実習生はそれを耳管を通して聞くようにし、模擬患者はタイミング表示手段を見て自分の呼吸動作を再生呼吸音に合わせるようにしたものである。
【0010】
下記特許文献3には、出来るだけ安価で聴診スキルを取得できるような聴診のトレーニングの際に利用される聴診システムが開示されている。このものにあっては、聴診される人物に向けて配置されるカメラと、カメラにより作成された人物の像に関する画像データから当該人物の骨格フレームを推定し、聴診器が当てられるべき位置を推定する処理部とを備え、聴診器の位置を別途認識または追跡し、聴診器が当てられるべき位置と聴診器の位置とを比較し、当該人物に聴診器が当たっているか否かを判断するようにしたものである。
【0011】
下記特許文献4には、模擬患者の呼吸タイミングに一致した呼吸音を再生する聴診トレーニングシステムが開示されている。このものにあっては、呼吸音を再生する呼吸音再生部と、模擬患者の呼吸波形を検出する呼吸検出センサを備え、呼吸検出センサにより検出した模擬患者の呼吸波形に基づいて呼吸フェーズの判定を行い、この判定された呼吸フェーズに基づいて直前の呼気または吸気の長さを算出し、算出された呼気または吸気の長さに基づいて呼吸音再生部で再生する呼吸音を制御するようにしたものである。
【0012】
下記特許文献5には、医療教育課程等に於いて、心臓病疾患の聴診による診断技術の訓練用として利用される心臓病聴診訓練用マネキン装置が開示されている。このものにあっては、厚さ20mm程度のウレタンフォームの層で形成された上半身のみのマネキン人形に於いて、ウレタンフォームの層の裏面にスピーカを配し、マネキン人形の外部から送出されてくる電気信号によってスピーカから心臓の鼓動音を再生するよう構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3829197号公報
【特許文献2】特許第5754708号公報
【特許文献3】特許第6661110号公報
【特許文献4】特許第6994753号公報
【特許文献5】特公平5-27113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1乃至特許文献5に開示されたものは、比較的大掛かりで独特なシステム構成を有する。そのため、利用場所や利用時間も限られ、容易に利用できるものではない。また、システム構成は高価なものと推察され、施設において利用者が聴診スキル習得のために利用したり医療面接診断実技試験に利用するに十分な数を有することを困難にするものである。
【0015】
特に、特許文献1乃至特許文献5に開示されたものは、医療教育課程等に於ける聴診スキルの習得及び医療面接診断実技試験の聴診で生じる問題、即ち、従前の負荷や課題を容易に軽減または解消できるものではない。
【0016】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、大掛かりなシステム構成にならず、いつでもどこでも容易に利用可能な精度の高い聴診評価システム及び聴診トレーニング評価方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、使い勝手が良く実用的で経済的にも優れる聴診評価システム及び聴診トレーニング評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記目的を達成するために以下の通りの構成とすることを特徴とする。
【0018】
(1) 本発明の聴診評価システムは、部位毎に特有の音情報が対応付けられた人体画像情報を表示出力する表示手段と、この表示手段により表示出力される人体画像情報の特定部位を指定する特定部位指定手段と、この特定部位指定手段にて指定された部位に対応付けられた特有の音情報を音声出力する音声出力手段と、上記特定部位指定手段にて指定された部位に於ける当該特定部位指定手段の滞留時間を滞留時間情報として計測する計測手段と、この計測手段にて計測された滞留時間情報を参照して当該滞留時間情報の変化とともに上記特定部位指定手段にて指定された部位の色調(テキスト情報を含む)を変化させる色調変化手段と、上記特定部位指定手段にて指定された部位の情報及び上記計測手段にて計測された当該部位に於ける滞留時間情報を記憶する記憶手段を具備することを特徴とする。
【0019】
(2) 上記(1)の構成にあって、上記音声出力手段は、上記特定部位指定手段にて指定された部位に対応付けられた特有の音情報を音声出力するとともに、当該部位近傍の部位に対応付けられた特有の音情報を同時に音声出力するよう機能構成したことを特徴とする。
【0020】
(3) 上記(1)または(2)の構成にあって、上記表示手段にて表示出力される人体画像情報に対応付けられた部位毎の特有の音情報は、同時に発生するよう機能構成したことを特徴とする。
【0021】
(4) 上記(1)から(3)のいずれかの構成にあって、上記記憶手段には上記人体画像情報の部位及び滞留時間に基づく予め定められた評価基準情報が記憶されており、この記憶手段の評価基準情報を参照して当該記憶手段に記憶された上記特定部位指定手段により指定された部位の情報及び上記計測手段にて計測された滞留時間情報を評価する機能を有する評価手段を設けたことを特徴とする。
【0022】
(5) 本発明の聴診トレーニング評価方法は、
表示部にて部位毎に特有の音情報が対応付けられた人体画像情報が表示出力され、この表示出力された人体画像情報の特定部位を特定部位指定部にて指定すると音声出力部にてこの指定された特定部位に対応付けられた特有の音情報が音声出力され、上記特定部位指定部にて指定された特定部位に於ける当該特定部位指定部の滞留時間が滞留時間情報として計測部にて計測され、当該滞留時間情報の変化とともに上記特定部位指定部にて指定された特定部位の色調(テキスト情報を含む)が色調変化部により変化するようにされ、上記人体画像情報の部位及び当該部位に於ける滞留時間に基づく予め定められた評価基準情報を記憶する記憶部を参照して上記特定部位指定部にて指定された特定部位の情報及び上記計測部にて計測された当該特定部位に於ける滞留時間情報を評価部にて評価するようにしたことを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、いつでもどこでも容易に聴診評価を行えるものである。
【0024】
また、上記構成によれば、大掛かりなシステム構成となることはなく、シンプルな構成で使い勝手が良く実用的で精度の高い聴診評価システムを提供できるものである。加えて、経済的にも安価に実現でき、有用なものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、シンプルな構成で実用性に優れ、いつでもどこでも容易に精度の高い聴診評価を行えるという有用な効果を奏する聴診評価システム及び聴診トレーニング評価方法を提供できるものである。
また、本発明によれば、取扱い性にも優れ、経年劣化はなく安定して利用でき、聴診時間と聴診部位を正確に記録し保存でき、さらに経済的にも安価に提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係わる聴診評価システムの全体構成を概念的に示す図である。
【
図2】同実施形態に係わり、聴診評価管理サーバの機能構成を概略的に示す図である。
【
図3】同実施形態に係わり、利用者端末の機能構成を概略的に示す図である。
【
図4】同実施形態に係わり、評価者端末の機能構成を概略的に示す図である。
【
図5】同実施形態に係わり、聴診評価処理の全体の流れを示す図である。
【
図6】同実施形態に係わり、利用者端末側での聴診評価トレーニングに於ける一画像例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明の一実施形態につき、図を参照して説明する。
【0028】
本実施形態に係わる聴診評価システム10は、例えば聴診等の医療技術及び医療知識を学ぶための聴診トレーニング評価に利用されるものであって、聴診評価管理サーバ(以下「サーバ」)100、利用者端末200及び評価者端末300がネットワーク400を介して接続されている。
利用者端末200には、人体画像情報及び人体内で発生する各生体音(例えば、肺音、心音、腸音等)を記憶した各種音情報等(コンテンツ情報)を含む聴診トレーニング情報がサーバ100から送出される。上記聴診トレーニング情報に基づき、利用者端末200には、人体画像情報が表示出力されるとともに、部位毎に対応付けられた音情報が音声出力される。
また、利用者端末200側で入力される情報、例えば、利用者端末200に表示出力される人体画像情報のどの部位の音情報がどれだけの時間聴診されたのか、音声出力される音情報が人体画像情報のどの部位の音情報として識別されたのか、課題提示された症例名に対応する聴診動作が行われたか、若しくは所定の部位の状態(例えば、健康状態、症例名等)がどのように識別されたのか等の応答情報は、サーバ100に送出される。
サーバ100は、利用者端末200から送出された応答情報を記憶するとともに、その適切性を評価し、記憶等する。
評価者端末300は、サーバ100を介し、利用者端末200から送出された情報(応答情報を含む)を確認・評価等する機能を有する。
【0029】
さて、サーバ100は、中央制御処理部110、入力部120、出力部130及びメモリ140を内設し、夫々が信号線150を介して接続されている。そして、サーバ100は、ネットワーク400を介して利用者端末200に対して聴診トレーニング情報等を送出し、利用者端末200から送出されてくる当該聴診トレーニング情報に対する応答情報等を受信し評価・管理・記憶する機能を有する。また、サーバ100は、ネットワーク400を介して送出されてくる評価者端末300からの要求事項情報を受信し、評価者端末300に対して利用者端末200による聴診トレーニングの評価結果の情報等を含む当該要求事項情報に対応する情報を送出する機能を有する。
【0030】
中央制御処理部110は、メモリ140に格納された所定のプログラム情報を参照してサーバ100及びシステム全体の制御処理を司る機能を有する。また、中央制御処理部110は、利用者端末200または評価者端末300から送出されてくる情報につき入力部120を介して受信し、当該情報に対応する所定の情報を出力部130を介して利用者端末200または評価者端末300に送出する機能を有する。
【0031】
また、中央制御処理部110は、利用者端末200の画像表示部232に表示出力される人体画像情報に於いて、後述する聴診器カーソル222aが位置する部位、即ち、音情報を音声出力させる部位(特定部位)として聴診器カーソル222aで指定する部位(以下、当該部位を「指定特定部位」という。)の滞留時間を滞留時間情報として計測し、メモリ140に格納する計測機能を有する。さらに、中央制御処理部110は、当該滞留時間情報を参照して当該滞留時間情報の変化にともない、予めメモリ140に格納された色調情報を参照して当該指定特定部位の色調を変化させる色調変化機能を有する。なお、色調変化機能は、指定特定部位を色調変化させるとともに、所定の条件下で画像表示部232にテキストを表示または非表示させるようにしてもよい。
なお、人体画像情報に於いて、指定特定部位全てで色調を変化させるようにしてもよいが、任意の特定部位における聴診器カーソル222aの滞留時間情報に基づいてのみ、即ち、任意の特定部位においてのみ、色調を変化させるようにしてもよい。
【0032】
入力部120は、中央制御処理部110の管理下で、外部から送出されてくる情報を受信しメモリ140に格納する機能を有する。例えば、利用者端末200から送出されてくる応答情報等を受信し、メモリ140に格納するよう機能構成されている。また、評価者端末300から送出されてくる利用者端末200の応答情報等に関する付加情報を受信し、メモリ140に格納するよう機能構成されている。
【0033】
出力部130は、中央制御処理部110の管理下で、各種情報を出力し外部へ送出等する出力機能を有する。例えば、聴診トレーニング情報(コンテンツ情報以外にも、聴診トレーニングに関する学習または試験メニュー、及び利用履歴並びに学習成果・試験結果に関する情報を含む)をネットワーク400を介して、利用者端末200または評価者端末300に送出するよう機能構成されている。
【0034】
メモリ140は、リード/ライト可能な記憶装置であり、以下の記憶領域を備えるものである。
【0035】
・中央制御処理部110が各種制御処理・管理をするために参照するプログラム情報を格納するプログラム情報記憶領域140a
・聴診トレーニング評価に関する胸部側及び背部側からの人体画像情報及び聴診トレーニング評価に係わる各種コンテンツ情報を格納する人体画像情報記憶領域140b
・聴診トレーニング評価に関する人体画像情報につき部位毎に対応付けられた各部位にて発生する特有の音情報(例えば心音情報及び肺音情報)を格納する音声情報記憶領域140c
・指定特定部位に於ける聴診器カーソル222aの滞留時間情報を格納する滞留時間情報記憶領域140d
・聴診器カーソル222aの滞留時間情報の変化にともなう指定特定部位の色調の変化に関する情報(テキスト情報の表示、非表示を含む)を格納する色調情報記憶領域140e
・人体画像情報の部位毎に対応付けられた症例毎の特有の音情報及びテキスト情報の対応付け並びに指定特定部位に於ける聴診器カーソル222aの滞留時間情報と色調変化の対応付けに関する情報を格納する対応付け情報記憶領域140f
・利用者端末200による聴診トレーニングの評価結果に関する評価情報を格納する評価情報記憶領域140g
・その他の情報を格納するその他情報記憶領域140h
・各種作業を行うための作業領域140i
・利用者端末200のサーバ100へのアクセス履歴、聴診トレーニング実施状況等に関する履歴情報及び付帯情報、並びに聴診トレーニングに対する応答情報等を格納する利用者情報記憶領域140j
・評価者端末300に関するアクセス状況(要求事項情報を含む)及び評価者端末300による利用者端末200の評価情報等に関する付加情報等を格納する評価者情報記憶領域140k
【0036】
而してサーバ100は、利用者端末200側にて表示出力される人体画像情報の聴診器カーソル222aの位置を座標データとしてメモリ140に記憶する。そして、聴診器カーソル222aで指定した指定特定部位に於ける聴診器カーソル222aの滞留時間、即ち、滞留時間情報の変化とともに当該指定特定部位の色彩をより濃く表示するようよう機能構成されている。また、サーバ100は、利用者端末200毎に聴診トレーニングに於ける聴診部位情報、滞留時間情報を含む応答情報及びアクセス履歴等の情報をメモリ140に格納し、評価者端末300から当該情報に任意にアクセス可能となるよう機能構成されている。
【0037】
さらに、サーバ100は、聴診トレーニングに際して心音や肺音にずれが生じないようにすべく、人体画像情報に座標データを付与するとともに心音情報や肺音情報の全ての音情報を同時発生するよう機能構成することもできる。しかも、座標中心から遠ざかるにつれて発生音が減衰し、座標面が重なる部分は重複再生されるよう機能構成すれば、発生音を連続的に且つリアルに変化させることが可能となる。
【0038】
なお、サーバ100による利用者端末200による聴診トレーニングに対する応答情報の評価は、例えば、部位毎や症例毎に於ける利用者端末200の聴診器カーソル222aの位置情報及び滞留時間情報と、メモリ140に予め格納されて用意されている部位毎や症例毎に於ける適切な位置情報及び滞留時間情報のテーブルとを比較することにより行われる。この評価は、例えば5段階評価で行うことができる。
また、サーバ100は、クラウドサーバであってもよい。
【0039】
利用者端末200は、制御処理部210、入力部220、出力部230及びメモリ240を内設し、夫々が信号線250を介して接続されている。
【0040】
制御処理部210は、メモリ240に格納された所定のプログラム情報を参照して利用者端末200全体の制御処理を司る機能を有する。また、制御処理部210は、利用者端末200内の情報を出力部230を介して外部へ送出させる機能を有するとともに、入力部220からの入力情報をメモリ240に格納し外部へ送出させる機能を有する。また、制御処理部210は、外部から送出されてくる情報を必要に応じて入力部220を介して受信し、メモリ240に格納し出力部230に出力させる機能を有する。
【0041】
入力部220は、制御処理部210の管理下で、入力情報をメモリ240に格納する機能を有する。また、入力部220は、ネットワーク400を介して送出されてくる聴診トレーニング情報等を受信し、メモリ240に格納する機能を有する。
【0042】
さらに、入力部220は、サーバ100から送出されて出力部230にて表示出力される部位毎・症例毎に特有の音情報が対応付けられた人体画像情報の特定部位を指定する特定部位指定機能を担う聴診器カーソル222aを有する特定部位指定部222を内設する。ここで、特定部位指定部222は、胸部側からの人体画像情報または背部側からの人体画像情報の表示切替機能を有する。
【0043】
出力部230は、制御処理部210の管理下で、メモリ240に格納された情報を表示出力または音声出力等する出力機能を有する。また、出力部230は、メモリ240に格納された情報をネットワーク400を介して外部へ出力する機能を有する。
【0044】
さらに、出力部230は、サーバ100から送出されてくる人体画像情報を画像表示する画像表示部232及び当該人体画像情報の指定特定部位に対応付けられた音情報を音声出力する音声出力部234を有する。なお、音声出力部234は、指定特定部位と、指定特定部位近傍の部位に対応付けられた音情報を同時に音声出力するようにしてもよく、また、複数の部位に対応付けられた音情報を同時に音声出力するようにしてもよい。
【0045】
メモリ240は、リード/ライト可能な記憶装置であり、制御処理部210が各種制御処理・管理をするために参照するプログラム情報を格納するプログラム情報記憶領域、ネットワーク400を介して送出されてくる各種情報を格納しておくための各種情報記憶領域及び各種作業を行うための作業領域等を内設している。
【0046】
而して利用者端末200は、出力部230にて表示出力される人体画像情報の特定部位に聴診器カーソル222aを位置させる(指定する)と、当該部位が有する音情報を聴診音として出力部230を介して音声出力するよう機能構成されている。また、利用者端末200は、サーバ100または評価者端末300の管理下で、画像表示部232に例えば症例名を表示・非表示するよう機能構成されている。
また、利用者端末200は、応答情報、特に、聴診器カーソル222aの位置及び滞留時間情報をリアルタイムでサーバ100に送出するよう機能構成されることが望ましい。
【0047】
評価者端末300は、制御処理部310、入力部320、出力部330、メモリ340及び聴診評価管理部350を内設し、夫々が信号線360を介して接続されている。
【0048】
制御処理部310は、メモリ340に格納された所定のプログラム情報を参照して評価者端末300全体の制御処理を司る機能を有する。また、制御処理部310は、評価者端末300内の情報につき出力部330を介して外部へ送出させる機能を有するとともに、入力部320からの入力情報をメモリ340に格納し外部へ送出させる機能を有する。また、制御処理部310は、外部から送出されてくる情報を必要に応じて入力部320を介して受信し、メモリ340に格納し出力部330に出力させる機能を有する。
【0049】
入力部320は、制御処理部310の管理下で、入力情報をメモリ340に格納する機能を有する。また、入力部320は、ネットワーク400を介して送出されてくる情報を受信し、メモリ340に格納する機能を有する。
【0050】
出力部330は、制御処理部310の管理下で、メモリ340に格納された情報を表示出力しまた音声出力等する出力機能を有する。また、出力部330は、メモリ340に格納された情報や聴診評価管理部350からの情報につきネットワーク400を介して外部へ出力する機能を有する。
【0051】
メモリ340は、リード/ライト可能な記憶装置であり、制御処理部310が各種制御処理・管理をするために参照するプログラム情報を格納するプログラム情報記憶領域、各種聴診評価情報他付加情報を格納しておくための聴診評価情報記憶領域及び各種作業を行うための作業領域等を内設している。
【0052】
聴診評価管理部350は、制御処理部310の管理下で、サーバ100に格納された聴診トレーニング情報、利用者端末200から送出された応答情報等及びその評価の状況等の情報を管理・監視する機能を有する。
【0053】
即ち、聴診評価管理部350は、以下のような機能を有する。
・利用者端末200側にて表示出力される画像情報及び音声出力される音情報をリアルタイムでモニタリング
・複数存在する利用者端末200の接続状況及び特定(利用者端末200の利用者情報を含む)並びに各利用者端末200による応答情報に関する評価情報他付加情報の付与
・サーバ100から利用者端末200側に送出される情報の一括または個別の選択・修正等の設定(例:症例等の設定)
・サーバ100にアクセスする利用者端末200の指定
・サーバ100に格納される利用者端末200の履歴情報及び付帯情報の閲覧
【0054】
上記構成につき、その作用を以下に述べる。
【0055】
先ず、聴診評価システム10による聴診トレーニング評価方法について、説明する。
【0056】
サーバ100、利用者端末200及び評価者端末300がネットワーク400を介して接続状態にあり、利用者端末200からサーバ100に例えば聴診トレーニング情報(例えばコンテンツ情報)のリクエストがあると、サーバ100は当該コンテンツ情報を利用者端末200に送出することになる。すると、利用者端末200は、送出されてきた当該コンテンツ情報をメモリ240に格納し、画像出力部232を介して人体画像情報を人体画像(
図6中、HB参照)として表示出力することになる(
図5のステップS100参照)。
なお、人体画像情報のデータ形式、ファイル形式は、人体画像として画像出力部232に表示できるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0057】
聴診トレーニングを開始すべく利用者端末200側にて表示出力された人体画像HBの任意の部位に聴診器カーソル222aを位置させる(即ち、聴診器カーソル222aで特定部位を指定する)。すると、当該指定特定部位が有する音情報が音声出力部234を介して聴診音として音声出力される(ステップS200)。例えば、聴診器カーソル222aが右胸部の部位(HBR)に位置すれば肺音が、心臓の部位(HBH)に位置すれば心音及び肺音が、右腹部の部位(HBAR)に位置すればその部位に対応付けられた腹部音が、左腹部の部位(HBAL)に位置すればその部位に対応付けられた腹部音が音声出力される。
【0058】
ここで、聴診器カーソル222aを例えば心臓の部位(HBH)と左腹部の部位(HBAL)の中間に位置させた場合であって、両者の部位に対応付けられたる音情報を同時に発生させるようにすれば、夫々の音源の中心部位からの距離に応じた音が重複して音声出力される。
【0059】
また、上述の通り利用者端末200側にて表示出力された人体画像HBの任意の部位に聴診器カーソル222aを位置させる(即ち、聴診器カーソル222aで特定部位を指定する)と、当該特定指定部位に於ける聴診器カーソル222aの滞留時間が滞留時間情報として計測される(ステップS300)。
【0060】
そして、滞留時間情報の変化にともなって、利用者端末200にて表示出力された人体画像HBに於ける当該指定特定部位、即ち聴診器カーソル222aが位置する部位の色調も変化することになる(ステップS400)。滞留時間が長くなればなるほど、時間経過とともに当該部位の色調が濃くなっていく。
【0061】
利用者端末200側からの応答情報、即ち例えば聴診器カーソル222aの位置情報及び滞留時間情報または症例名若しくは次に要する検査名の応答情報につき、サーバ100にてその評価が行われる(ステップS500)。
【0062】
例えば、症例毎に音声出力される聴診音に対する応答情報については、聴診器カーソル222aの位置情報及び滞留時間情報をメモリ140に格納された症例毎に於ける適切な位置情報及び滞留時間情報のテーブルと比較することにより、予め定められた数値との乖離度に応じて5段階に評価される。この評価結果等の情報は、利用者端末200毎に履歴情報等とともにメモリ140の所定の領域に格納される。
【0063】
また、例えば、症例名を開示することなく音声出力される聴診音に対する応答情報については、利用者端末200側にて、音声出力される聴診音に基づく症例名及び次に要する検査名が送出されてくると、サーバ100にてその適否の評価がメモリ140を参照して行われる。この評価結果等の情報は、利用者端末200毎に履歴情報等とともにメモリ140の所定の領域に格納される。
【0064】
なお、評価結果は、デフォルトで利用者端末200に対して送出されるよう機能構成されているが、送出しないよう聴診トレーニング開始前に設定変更することは可能である。
【0065】
次に、聴診トレーニング評価に於ける利用者端末200側での特徴的な機能について説明する。
【0066】
利用者端末200側に表示出力される人体画像HBの任意の部位に聴診器カーソル222aを位置させると、例えば正常の場合も含めて症例名が表示される。そして、当該部位を拡大表示すると、自動的に症例名が非表示に切換わるよう機能構成されている。
【0067】
また、聴診トレーニング評価の開始に際し、利用者端末200側に設けられた初学者向けの聴診部位アイコン(不図示)の利用により、適切な聴診部位が画面表示されるよう機能構成されている。
【0068】
さらに、サーバ100から送出されてくる聴診トレーニング情報(コンテンツ情報)を利用者端末200で受信した後は、ネットワーク400と切断状態(所謂オフライン状態)であっても、上記拡大表示機能は利用可能としてある。
ただし、このような構成とせず、サーバ100から送出されてきたコンテンツ情報を、メモリ240に格納されず、いわゆるストリーミング形式で画像出力部232に表示されるようにしてもよく、応答情報等を入力部220からメモリ240に格納されて出力部230によりネットワーク400を介して外部(サーバ100)に出力するようにしても、また、メモリ240に格納されることなく外部(サーバ100)に出力するようにしてもよい。
【0069】
続いて、聴診トレーニング評価に於ける評価者端末300側での特徴的な機能についてその一例を説明する。
【0070】
利用者端末200による聴診トレーニング評価の開始に際し、評価者端末300は、利用者端末200の接続状況を出力部330にリアルタイムにて画面表示可能としており、これにより利用者端末200の確認が行える。
【0071】
また、評価者端末300は、複数の利用者端末200の中から所望する利用者端末200を特定・指定し、当該利用者端末200に関する情報を出力部330に表示させることが可能である。
【0072】
さらに、評価者端末300は、利用者端末200に送出される聴診トレーニングに関するコンテンツ情報に於ける症例につき、聴診評価管理部350を介して設定・管理することができる。しかも、症例設定・管理は、各利用者端末200に対して行える。また、利用者端末200の応答情報に関する評価につき、付加情報を付与することができる。
【0073】
上記実施形態によれば、大掛かりなシステム構成となることはなく、シンプルなシステム構成でいつでもどこでも容易に聴診トレーニング及びその評価を行えるものである。
【0074】
また、上記実施形態によれば、利用者端末200及び評価者端末300に於いて、使い勝手が良く実用的で、しかも精度の高い聴診評価システムを経済的にも安価に実現でき、有用なものである。
【0075】
さらに上記実施形態によれば、従来の医療面接診断実技試験のように評価者及び模擬患者並びに模擬診察室を多数設ける必要はなく、試験主催者側の負荷が大きく軽減されるものである。しかも、死角が生じることもなく、適切なトレーニング及び評価を実現できるものである。
【0076】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、他に例えば評価者端末300にて利用者端末200の聴診トレーニング及びその評価を一括集中管理するよう機能構成してもよく、その趣旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
10 …聴診評価システム
100 …聴診評価管理サーバ
110 …中央制御処理部
200 …利用者端末
220 …特定部位指定部
222a …聴診器カーソル
232 …画像表示部
234 …音声出力部
300 …評価者端末
350 …聴診評価管理部
400 …ネットワーク