(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013068
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】被写体検出装置、被写体検出方法及び被写体検出プログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 10/22 20220101AFI20240124BHJP
【FI】
G06V10/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114989
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪田 真也
(57)【要約】
【課題】背景の状態による所望の物体の検出率低下を抑制する。
【解決手段】本被写体検出装置は、入力された動画に含まれるフレーム画像中の動体を検出する動体検出部と、上記フレーム画像から上記動体を除いた背景領域に対して平滑化処理を行う画像処理部と、上記背景領域に対する上記平滑化処理が行われた処理後画像が入力されると、上記処理後画像に含まれる所望の被写体を検出する検出部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された動画に含まれるフレーム画像中の動体を検出する動体検出部と、
前記フレーム画像から前記動体を除いた背景領域に対して平滑化処理を行う画像処理部と、
前記背景領域に対する前記平滑化処理が行われた処理後画像が入力されると、前記処理後画像に含まれる所望の被写体を検出する検出部と、を備える、
被写体検出装置。
【請求項2】
前記平滑化処理は、前記背景領域の各画素に所定の重みづけを行って画素の輝度値を平均化するぼかし処理を含む、
請求項1に記載の被写体検出装置。
【請求項3】
前記平滑化処理は、前記背景領域を所定の色で塗りつぶす塗りつぶし処理を含む、
請求項1に記載の被写体検出装置。
【請求項4】
第1のフレーム画像において前記所望の被写体が第1の領域で検出されると、前記動画において前記第1のフレーム画像に続く第2のフレーム画像における前記第1の領域に対応する第2の領域を前記平滑化処理の対象から除外する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の被写体検出装置。
【請求項5】
コンピュータが、
入力された動画に含まれるフレーム画像中の動体を検出し、
前記フレーム画像から前記動体を除いた背景領域に対して平滑化処理を実行し、
前記背景領域に対する前記平滑化処理が行われた処理後画像が入力されると、前記処理後画像に含まれる所望の被写体を検出する、
被写体検出方法。
【請求項6】
コンピュータに、
入力された動画に含まれるフレーム画像中の動体を検出させ、
前記フレーム画像から前記動体を除いた背景領域に対して平滑化処理を実行させ、
前記背景領域に対する前記平滑化処理が行われた処理後画像が入力されると、前記処理後画像に含まれる所望の被写体を検出させる、
被写体検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体検出装置、被写体検出方法及び被写体検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
入力された画像から人等の所望の物体を検出する物体検出装置が提案されている。
【0003】
記憶部に記憶させた背景画像と入力画像との差分が閾値以下の画素については背景画像の同一場所に書き換える技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、互いに異なる検出アルゴリズムによって画像から所定の物体を検出する第1検出手段および第2検出手段を有し、第1検出手段によって検出された候補領域を統合し、統合後の候補領域に対してのみ第2検出手段による物体検出を実行する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-120432号公報
【特許文献2】特開2019-021001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、背景の状態によっては所望の物体を画像から検出することが難しいことがある。例えば、背景に複雑な模様や景色が配置されている場合、所望の物体が背景に埋もれてしまい、所望の物体を検出する検出率が低下する虞がある。
【0006】
開示の技術の1つの側面は、背景の状態による所望の物体の検出率低下を抑制できる被写体検出装置、被写体検出方法及び被写体検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の1つの側面は、次のような被写体検出装置によって例示される。本被写体検出装置は、入力された動画に含まれるフレーム画像中の動体を検出する動体検出部と、上記フレーム画像から上記動体を除いた背景領域に対して平滑化処理を行う画像処理部と、上記背景領域に対する上記平滑化処理が行われた処理後画像が入力されると、上記処理後画像に含まれる所望の被写体を検出する検出部と、を備える。
【0008】
上記被写体検出装置であれば、上記背景領域に対して平滑化処理が行われてから被写体の検出が行われる。仮に背景領域に複雑な模様や景色が配置されているような場合でも、背景領域が平滑化されることで被写体が背景領域に埋もれてしまうことが抑制される。そのため、上記被写体検出装置は、背景の状態による所望の物体の検出率低下を抑制できる。なお、平滑化処理としては、各画素に所定の重みづけを行って画素の輝度値を平均化するぼかし処理、各画素の輝度や色を平均化する平均化処理、所定の色で塗りつぶす塗りつぶし処理等を挙げることができる。
【0009】
上記被写体検出装置は、次の特徴を備えてもよい。上記平滑化処理は、上記背景領域の各画素に所定の重みづけを行って画素の輝度値を平均化するぼかし処理を含んでもよい。このようなぼかし処理であれば、背景領域を平滑化しつつ元の背景領域の色情報を多少は残すこともできる。そのため、例えば、塗りつぶし処理によって背景領域を処理した処理後画像よりも、ぼかし処理によって背景領域を処理した処理後画像は、検出部の機械学習
に用いられた教師データに近い特徴を有することとなる。そのため、上記ぼかし処理を採用した被写体検出装置は、他の平滑化処理を採用した場合よりも、所望の被写体の検出率を高めることができる。
【0010】
ここで、上記被写体検出装置は、第1のフレーム画像において上記所望の被写体が第1の領域で検出されると、上記動画において上記第1のフレーム画像に続く第2のフレーム画像における上記第1の領域に対応する第2の領域を上記平滑化処理の対象から除外してもよい。ここで、平滑化処理の対象から除外する、とは、上記第2の領域を背景領域から除外してもよいし、上記第2の領域を背景領域に含めつつ上記第2の領域に対する上記平滑化処理は行わないこととしてもよい。
【0011】
被写体に動きが少ない場合、フレーム間における当該被写体の差分が少ない(または無い)場合がある。このような場合、フレーム間の差分を基に動体を検出する手法を採用した場合、動体が存在する領域を動体として認識できない虞がある。また、記憶部に記憶させた背景画像を用いて背景領域を特定する手法においては、動体が存在する領域を背景領域と誤認識する虞がある。上記第2の領域を上記平滑化処理の対象から除外することで、動体が存在する領域を動体として認識できないことを抑制したり、動体が存在する領域を背景領域の一部として誤認識したりすることを抑制できる。
【0012】
開示の技術は、被写体検出方法及び被写体検出プログラムの側面から把握することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
開示の技術によれば、背景の状態による所望の物体の検出率低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る人検出システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、人検出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、人検出装置の処理ブロックの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、ビデオカメラから入力されるフレーム画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、画像処理部による平滑化処理が施される前の背景の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、画像処理部によって平滑化処理が施された背景の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る人検出装置の処理フローの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1変形例に係る人検出装置の処理フローの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2変形例に係る人検出装置の処理フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<適用例>
以下、本発明の適用例について、図面を参照して説明する。本発明は、例えば、
図1に一例を示すような人検出システム1に適用される。人検出システム1は、ビデオカメラ20と人検出装置10を備える。人検出装置10は、例えば、様々な条件下で人を撮影した画像データを教師データとした機械学習によって構築された装置である。
【0016】
人検出システム1では、ビデオカメラ20によって撮影された動画が人検出装置10に入力される。人検出装置10では、入力された動画の各フレーム画像において、動体を検
出する。そして、人検出装置10は、フレーム画像から動体を除いた背景領域に対して、所定の平滑化処理を行う。そして、人検出装置10は、背景領域に対する平滑化処理が行われた画像を用いて、人の検出を行う背景領域に複雑な模様や景色が配置されていても、そのような模様や景色が上記平滑化処理によって平滑化されることで、背景領域に動体が埋もれることを抑制できる。そのため、人検出装置10は、背景の状態による所望の物体の検出率低下を抑制することができる。
【0017】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る人検出システム1の一例を示す図である。人検出システム1は、人検出装置10及びビデオカメラ20を備える。人検出システム1では、ビデオカメラ20によって撮影された動画から人検出装置10が人の検出を行うシステムである。
図1では、ビデオカメラ20によって人H1と犬H2が撮影される様子が例示される。
【0018】
ビデオカメラ20は、例えば、撮像素子としてCharge Coupled Device(CCD)イメージセンサやComplementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)イメージセンサを備えたデジタルビデオカメラである。ビデオカメラ20は、距離画像センサを備えたカメラであってもよい。ビデオカメラ20によって撮影される動画は、時系列に並べられた複数のフレーム画像を含む。フレーム画像としては、RGB画像、グレースケール画像、被写体の温度分布を示す温度画像、距離画像センサによって生成された距離画像等を挙げることができる。ビデオカメラ20は、撮影した動画の各フレーム画像を人検出装置10に出力する。
【0019】
人検出装置10は、ビデオカメラ20から入力された動画に含まれる人を検出する。ここで、人検出装置10は、人を検出する前準備として、入力されたフレーム画像の背景領域に対して平滑化処理を行う。そして、人検出装置10は、平滑化処理が行われたフレーム画像に対して人の検出処理を実行する。
【0020】
図2は、人検出装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。人検出装置10は、CPU101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104及び接続バスB1を備える。CPU101、主記憶部102、補助記憶部103及び通信部104は、接続バスB1によって接続される。
【0021】
CPU101は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU101は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU101以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われてもよい。また、CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路によって実行されてもよい。集積回路は、Large Scale Integrated circuit(LSI)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU101は、プロセッサと集積回路との組み合わせであってもよい。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。人検出装置10では、CPU101が補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、人検出装置10は、所定の目的に合致した処理を実行することができる
。主記憶部102及び補助記憶部103は、人検出装置10が読み取り可能な記録媒体である。
【0022】
主記憶部102は、CPU101から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部102は、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)を含む。
【0023】
補助記憶部103は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部103には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部104を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、コンピュータネットワーク等で接続された、他の情報処理装置及び外部記憶装置が含まれる。なお、補助記憶部103は、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0024】
補助記憶部103は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。また、補助記憶部103は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置等である。また、補助記憶部103は、Network Attached Storage(NAS)あるいはStorage Area Network(SAN)によって提供されてもよい。
【0025】
通信部104は、例えば、外部装置とのインターフェースである。通信部104としては、例えば、Universal Serial Bus(USB)ポート、Bluetooth(登録商標)モジュール、及び、ネットワークインターフェースカードを挙げることができる。人検出装置10は、通信部104を介して、ビデオカメラ20との通信を行う。
【0026】
<人検出装置10の処理ブロック>
図3は、人検出装置10の処理ブロックの一例を示す図である。人検出装置10は、差分処理部11、画像処理部12及び検出部13を備える。人検出装置10は、主記憶部102に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU101が実行することで、上記人検出装置10の、差分処理部11、画像処理部12及び検出部13等の各部としての処理を実行する。
【0027】
差分処理部11は、ビデオカメラ20から入力された動画に含まれるフレーム画像中の動体を検出する。動体の検出方法に限定は無く、様々な公知の手法を採用することができる。差分処理部11は、例えば、フレーム画像間に生じるフレーム間差分を検出することで、フレーム画像に含まれる動体を検出してもよい。差分処理部11は、例えば、フレーム画像と補助記憶部103に記憶された背景画像との差分を基にフレーム画像に含まれる動体を検出してもよい。
【0028】
図4は、ビデオカメラ20から入力されるフレーム画像200の一例を示す図である。フレーム画像200は、動体210A、動体210B及び背景220を含む。
図4の例では、背景220には、色の濃い背景模様221が複数配置されている。差分処理部11は、フレーム画像200から動体210A及び動体210Bを検出する。差分処理部11は、「動体検出部」の一例である。
【0029】
画像処理部12は、検出した動体210A及び動体210Bをフレーム画像200から除いた背景220に対して、平滑化処理を施す。
図5は、画像処理部12による平滑化処理が施される前の背景220の一例を示す図である。画像処理部12は、フレーム画像200から差分処理部11によって検出された動体210A及び動体210Bを除くことで、
図5に例示するような背景220を抽出する。なお、背景220においては、動体210A及び動体210Bが存在していた領域が、白抜き210A1及び白抜き210B1として含まれてもよい。
【0030】
画像処理部12は、抽出した背景220に対して、平滑化処理を施す。平滑化処理としては、例えば、各画素に所定の重みづけを行って画素の輝度値を平均化するぼかし処理、各画素の輝度や色を平均化する平均化処理、所定の色で塗りつぶす塗りつぶし処理等を挙げることができる。
図6は、画像処理部12によって平滑化処理が施された背景220の一例を示す図である。画像処理部12による平滑化処理によって、背景220に配置された背景模様221が目立たなくなっている。
【0031】
画像処理部12は、平滑化処理を施した背景220に動体210A及び動体210Bを重畳させた処理後画像201を生成する。
図7は、処理後画像201の一例を示す図である。処理後画像201では、平滑化処理が施された背景220上に動体210A、動体210Bが配置されている。処理後画像201は、背景220に対して平滑化処理が施された点を除いて、フレーム画像200と同一の画像となる。すなわち、画像処理部12は、動体210A及び動体210Bに対する平滑化処理を行わない。処理後画像201では、フレーム画像200よりも背景模様221が目立たなくなることで、背景220に動体210Aや動体210Bが埋もれることが抑制され、ひいては、検出部13による動体210A及び動体210Bの認識が容易となる。画像処理部12は、処理後画像201を検出部13に出力する。
【0032】
検出部13は、処理後画像201に含まれる人を検出する。検出部13は、例えば、様々な条件下で人を撮影した画像を教師データとした機械学習によって構築される。なお、検出部13の学習に用いられる教師データは、例えば、画像処理部12による平滑化処理が施されていない画像データが用いられる。検出部13は、画像処理部12から入力された処理後画像201に含まれる人を検出する。処理後画像201として
図7に例示する処理後画像201が入力された場合、検出部13は、動体210Aを人として検出する。
【0033】
<処理フロー>
図8は、実施形態に係る人検出装置10の処理フローの一例を示す図である。
図8の処理は、例えば、ビデオカメラ20からフレーム画像200が入力される度に繰り返し実行される。ここでは、
図4に例示されるフレーム画像200が人検出装置10に入力されるものとして人検出装置10の処理フローについて説明する。以下、
図8を参照して、人検出装置10の処理フローの一例について説明する。
【0034】
ステップS1では、差分処理部11は、ビデオカメラ20によって撮影されたフレーム画像200の入力を受け付ける。ステップS2では、差分処理部11は、ステップS1で入力されたフレーム画像200から背景220を抽出する。差分処理部11は、例えば、フレーム画像200に含まれる動体210Aと動体210Bを動体として特定する。そして、差分処理部11は、特定した動体210Aと動体210Bをフレーム画像200から除外して、
図5に例示するような背景220を抽出する。
【0035】
ステップS3では、画像処理部12は、ステップS2で抽出された背景220に対して、ぼかし処理、平均化処理、黒塗り処理等によって例示される平滑化処理を施す。
【0036】
ステップS4では、画像処理部12は、ステップS3で平滑化処理を施した背景220に、ステップS2で特定された動体210A、210Bを配置した処理後画像201を生成する。生成された処理後画像201は、フレーム画像200の背景220に対して平滑化処理を施したものとなる。画像処理部12は、生成した処理後画像201を検出部13に出力する。
【0037】
ステップS5では、検出部13は、画像処理部12から入力された処理後画像201に含まれる人を検出する。ここでは、検出部13は、入力された処理後画像201のうち、動体210Aが人であると検出する。
【0038】
<実施形態の作用効果>
複数の背景模様221が配置されたフレーム画像200のように背景220が複雑な場合には被写体となった人が背景220に埋もれてしまい、機械学習によって学習した検出器を用いた人検出が難しい場合がある。本実施形態では、差分処理部11によって抽出された背景220に対して画像処理部12が平滑化処理を施すことで、被写体となった人が背景220に埋もれることが抑制される。そのため、本実施形態によれば、人検出装置10による人検出の精度を向上させることができる。
【0039】
ここで、本実施形態において、各画素に所定の重みづけを行って画素の輝度値を平均化するぼかし処理を平滑化処理として採用する場合、背景領域を平滑化しつつ元の背景領域の色情報を多少は残すことも可能となる。そのため、他の平滑化処理を採用した場合と比較して、処理後画像201と検出部13の構築に用いた教師データとの差が小さなものとなる。そのため、上記ぼかし処理を採用した人検出装置10は、他の平滑化処理を採用した人検出装置10よりも、人の検出率を高めることができる。
【0040】
<第1変形例>
フレーム画像200中の動体を検出する手法として、フレーム間差分法が挙げられる。フレーム間差分法では、フレーム間に生じる差分を基に動体が検出される。差分処理部11がフレーム間差分法を採用して動体を検出する場合、人の動きが少ないとフレーム間で生じる差分が僅かなものとなるため、動体が存在する領域に対しても平滑化処理が行われてしまう虞がある。第1変形例では、このような動体に対する平滑化処理を抑制する処理について説明する。
【0041】
図9は、第1変形例に係る人検出装置10の処理フローの一例を示す図である。
図9に例示する処理フローも、
図8に例示する処理フローと同様に、例えば、ビデオカメラ20からフレーム画像200が入力される度に繰り返し実行される。実施形態と同一の処理については同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、
図9を参照して、第1変形例に係る人検出装置10の処理フローについて説明する。
【0042】
ステップS3Aの処理は、1つ前に処理したフレーム画像200において人が検出されたことのフィードバックを受けたか否かによって処理が異なる。画像処理部12は、後述するステップS6の処理で当該フィードバックを受けた場合、1つ前に処理したフレーム画像200において人が検出された領域に対応する領域に対しては、平滑化処理を行わない。すなわち、ステップS3Aにおける画像処理部12は、1つ前に処理したフレーム画像200において動体210Aが人として検出されると、今回処理するフレーム画像200において動体210Aに相当する領域においてフレーム間差分が生じていなくとも、動体210Aに相当する領域を平滑化処理の対象から除外する。なお、1つ前に処理したフレーム画像200において検出された動体のフィードバック受けていない場合は、
図8のステップS2における処理と同様の処理が行われる。1つ前に処理したフレーム画像20
0は、「第1のフレーム画像」の一例である。今回処理するフレーム画像200は、「第2のフレーム画像」の一例である。1つ前に処理したフレーム画像200において人が検出された領域は、「第1の領域」の一例である。今回処理するフレーム画像200において動体210Aに相当する領域は、「第2の領域」の一例である。
【0043】
ステップS6では、検出部13は、ステップS5で人が検出された領域のフィードバックを行う。検出部13によるフィードバックは、例えば、ステップS5で人が検出された領域を補助記憶部103に記憶させることで行われてもよい。
【0044】
第1変形例では、1つ前のフレーム画像200において人が検出された領域は画像処理部12による平滑化処理の対象から除外する。そのため、第1変形例によれば、人が背景として誤認識されることが抑制される。
【0045】
<第2変形例>
フレーム画像200中の動体を検出する手法として、背景差分法が挙げられる。背景差分法では、記憶部に記憶された背景画像との差分を基に動体が検出される。背景差分法の場合、フレーム画像200の背景220を抽出する度に、記憶部に記憶された背景画像は最新のフレーム画像200から抽出された背景220を示す背景画像に更新される。このような背景差分法では、動体の動きが少ない場合に当該動体も背景220として処理される虞がある。第2変形例では、動体が背景220の一部として認識されることを抑制する処理について説明する。
【0046】
図10は、第2変形例に係る人検出装置10の処理フローの一例を示す図である。
図10に例示する処理フローも、
図8に例示する処理フローと同様に、例えば、ビデオカメラ20からフレーム画像200が入力される度に繰り返し実行される。実施形態と同一の処理については同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、
図10を参照して、第2変形例に係る人検出装置10の処理フローについて説明する。
【0047】
ステップS2Bの処理は、1つ前に処理したフレーム画像200において人が検出されたことのフィードバックを受けたか否かによって処理が異なる。画像処理部12は、後述するステップS6Aの処理で当該フィードバックを受けた場合、当該人が検出された領域については、背景220から除外する。すなわち、ステップS2Bにおける画像処理部12は、1つ前に処理したフレーム画像200において動体210Aが人として検出されると、今回処理するフレーム画像200において動体210Aに相当する領域を除外した背景画像を補助記憶部103に記憶させる。なお、1つ前に処理したフレーム画像200において検出された動体のフィードバック受けていない場合は、画像処理部12は、補助記憶部103に記憶済みの背景画像を基にフレーム画像200から背景画像を抽出し、抽出した背景画像を補助記憶部103に記憶させる。
【0048】
第2変形例によれば、1つ前のフレーム画像200において人が検出された領域は補助記憶部103に記憶させる背景画像から除外される。そのため、第2変形例によれば、人が背景220の一部として誤認識されることが抑制される。
【0049】
<その他の変形>
以上説明した実施形態及び変形例では、人を検出する人検出装置10について説明された。しかしながら、実施形態及び変形例に係る技術は、人以外の動物、車両、航空機等の様々な動体の検出に採用することができる。
【0050】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0051】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させる情報処理プログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0052】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、Compact Disc-Recordable(CD-R)、Compact Disc-ReWriterable(CD-RW)、Digital Versatile Disc(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリ、外付け型のハードディスクドライブやSolid State Drive(SSD)等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体として内蔵型のハードディスクドライブ、SSDやROM等がある。
【0053】
<付記>
入力された動画に含まれるフレーム画像(200)中の動体(210A、210B)を検出する動体検出部(11)と、
前記フレーム画像(200)から前記動体(210A、210B)を除いた背景領域(220)に対して平滑化処理を行う画像処理部(12)と、
前記背景領域(220)に対する前記平滑化処理が行われた処理後画像(201)が入力されると、前記処理後画像(201)に含まれる所望の被写体(210A)を検出する検出部(13)と、を備える、
被写体検出装置(1)。
【符号の説明】
【0054】
1・・人検出システム
10・・人検出装置
11・・差分処理部
12・・画像処理部
13・・検出部
20・・ビデオカメラ
101・・CPU
102・・主記憶部
103・・補助記憶部
104・・通信部
200・・フレーム画像
201・・処理後画像
210A・・動体
210B・・動体
220・・背景
221・・背景模様