(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130686
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、生産管理システム、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040547
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】相馬 宏司
(72)【発明者】
【氏名】西出 聡
(72)【発明者】
【氏名】早坂 賢太
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA56
3C100BB13
3C100BB14
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
(57)【要約】
【課題】生産ラインにおけるロス発生の有無を判定する。
【解決手段】
情報処理装置(100)は、それぞれ処理装置(110)が配置された複数の工程を含み、処理装置(110)が複数の品種のうちの1つの生産品を処理する生産ライン(PL)における情報を処理する情報処理装置(100)であって、工程ごとの品種と、処理装置(110)ごとの当該品種の実処理時間とを取得する取得部(20)と、取得された、工程ごとの品種と処理装置(110)ごとの当該品種の実処理時間とに基づいて、実サイクルタイムを決定する決定部(40)と、取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ライン(PL)において時間的ロスが発生しているか否か判定するロス判定部(50)とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ処理装置が配置された複数の工程を含み、前記処理装置が複数の品種のうちの1つの生産品を処理する生産ラインにおける情報を処理する情報処理装置であって、
前記工程ごとの前記品種と、前記処理装置ごとの該品種の実処理時間とを取得する取得部と、
前記取得された、前記工程ごとの前記品種と前記処理装置ごとの該品種の前記実処理時間とに基づいて、実サイクルタイムを決定する決定部と、
前記取得された前記工程ごとの前記品種と、それぞれが前記品種ごと及び前記処理装置ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、前記実サイクルタイムとに基づいて、前記生産ラインにおいて時間的ロスが発生しているか否か判定するロス判定部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記実サイクルタイムと、前記標準サイクルタイムとに基づいて、前記生産ラインにおけるロス時間を算出する算出部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記標準サイクルタイムは、複数の前記処理装置のうち、前記取得された前記工程ごとの前記品種を処理するときの前記標準処理時間が最も長い処理装置における該標準処理時間、又は、前記複数の工程のうち、前記取得された前記工程ごとの前記品種を処理するときの前記標準処理時間に基づく合計標準処理時間が最も長い工程における該合計標準処理時間であり、
前記ロス時間は、前記実サイクルタイムから前記標準サイクルタイムを減算することによって算出される、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ロス時間を出力するための出力部をさらに備える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記実サイクルタイムと、前記実サイクルタイムに対応する品種を処理するときの前記実サイクルタイムに対応する処理装置における前記標準処理時間とに基づいて、該品種を処理したときの該処理装置に異常が発生しているか否か判定する異常判定部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記実サイクルタイムに対応する品種及び前記実サイクルタイムに対応する処理装置のうち、少なくとも一方を出力するための出力部をさらに備える、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の標準処理時間を記憶する記憶部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
複数の前記処理装置と、を備える、
生産管理システム。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
複数の前記処理装置と、
前記複数の標準処理時間を記憶する記憶装置と、を備える、
生産管理システム。
【請求項10】
それぞれ処理装置が配置された複数の工程を含み、前記処理装置が複数の品種のうちの1つの生産品を処理する生産ラインにおける情報を処理する、コンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記工程ごとの前記品種と、前記処理装置ごとの該品種の実処理時間とを取得するステップと、
前記取得された、前記工程ごとの前記品種と前記処理装置ごとの該品種の前記実処理時間とに基づいて、実サイクルタイムを決定するステップと、
前記取得された前記工程ごとの前記品種と、それぞれが前記品種ごと及び前記処理装置ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、前記実サイクルタイムとに基づいて、前記生産ラインにおいて時間的ロスが発生しているか否か判定するステップと、を含む、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、生産管理システム、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、台車発進制御部により、先行している第1機種を載せた無人台車から前記第1機種のサイクルタイムが経過したときに発進させ、第2機種を載せた無人台車を、先行している第2機種を載せた無人台車から前記第2機種のサイクルタイムが経過したときに発進させる混流生産ラインが開示されている。この混流生産ラインは、作業時間が短い機種は、短いサイクルタイムで搬送させ、作業時間が長い機種は、長いサイクルタイムで搬送させることができ、生産性を大いに高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、段取り替えなく多品種の製品を生産する生産ラインでは、各工程に設置される処理装置ごとに処理時間が異なっている。また、各処理装置が処理する品種は時間の経過とともに変化し、各処理装置における処理時間は一定ではない。そのため、従来、生産ラインにおいて、時間的ロスが発生しているのか否かを判断することは困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、生産ラインにおけるロス発生の有無を判定することのできる情報処理装置、生産管理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、それぞれ処理装置が配置された複数の工程を含み、処理装置が複数の品種のうちの1つの生産品を処理する生産ラインにおける情報を処理する情報処理装置であって、工程ごとの品種と、処理装置ごとの当該品種の実処理時間とを取得する取得部と、取得された、工程ごとの品種と処理装置ごとの当該品種の実処理時間とに基づいて、実サイクルタイムを決定する決定部と、取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ラインにおいて時間的ロスが発生しているか否か判定するロス判定部と、を備える。
【0007】
この態様によれば、取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ラインにおいて時間的ロスが発生しているか否か判定される。これにより、例えば、生産ラインにおいて実際に要した処理時間に基づく実サイクルタイムを、各工程にある品種の生産品を当該工程に配置された処理装置で処理するときの、基準となる標準サイクルタイムと比較することが可能となる。従って、実サイクルタイムと標準サイクルタイムとの大小関係を決定することができ、生産ラインにおける時間的ロスの発生の有無を容易に判定することができる。
【0008】
前述した態様において、実サイクルタイムと、標準サイクルタイムとに基づいて、生産ラインにおけるロス時間を算出する算出部をさらに備えてもよい。
【0009】
この態様によれば、実サイクルタイムと標準サイクルタイムとに基づいて、生産ラインにおけるロス時間が算出される。これにより、生産ラインにおいて発生した時間的ロスを、ロス時間によって定量的に把握することができる。
【0010】
前述した態様において、標準サイクルタイムは、複数の処理装置のうち、取得された工程ごとの品種を処理するときの標準処理時間が最も長い処理装置における当該標準処理時間、又は、複数の工程のうち、取得された工程ごとの品種を処理するときの標準処理時間に基づく合計標準処理時間が最も長い工程における当該合計標準処理時間であり、ロス時間は、実サイクルタイムから標準サイクルタイムを減算することによって算出されてもよい。
【0011】
この態様によれば、標準サイクルタイムは、生産ラインに配置された複数の処理装置のうち、取得された工程ごとの品種を処理するときの標準処理時間が最も長い処理装置における当該標準処理時間、又は、複数の工程のうち、取得された工程ごとの品種を処理するときの標準処理時間に基づく合計標準処理時間が最も長い工程における当該合計標準処理時間であり、実サイクルタイムから標準サイクルタイムを減算することにより、ロス時間が算出される。これにより、標準処理時間がもっとも長い処理装置の当該標準処理時間、又は、合計標準処理時間が最も長い工程における当該合計標準処理時間を、実サイクルタイムから減算して算出されたロス時間によって、生産ラインにおいて発生した時間的ロスを定量的、かつ、容易に把握することができる。
【0012】
前述した態様において、ロス時間を出力するための出力部をさらに備えてもよい。
【0013】
この態様によれば、ロス時間が出力される。これにより、算出されたロス時間をユーザに通知することができる。なお、ロス時間を示す情報は、ロス時間を出力する際に分類可能なメタ情報として、ロス発生日時、場所、生産ライン構成等の情報を含んでいてもよい。
【0014】
前述した態様において、実サイクルタイムと、実サイクルタイムに対応する品種を処理するときの実サイクルタイムに対応する処理装置における標準処理時間とに基づいて、当該品種を処理したときの当該処理装置に異常が発生しているか否か判定する異常判定部をさらに備えてもよい。
【0015】
この態様によれば、実サイクルタイムと、実サイクルタイムに対応する品種を処理するときの実サイクルタイムに対応する処理装置における標準処理時間とに基づいて、当該品種を処理したときの当該処理装置に異常が発生しているか否かが判定される。これにより、時間的ロスの発生の原因となった品種及び処理装置において、処理時間の異常の有無を容易に判定することができる。
【0016】
前述した態様において、実サイクルタイムに対応する品種及び実サイクルタイムに対応する処理装置のうち、少なくとも一方を出力するための出力部をさらに備えてもよい。
【0017】
この態様によれば、実サイクルタイムに対応する品種及び実サイクルタイムに対応する処理装置のうち、少なくとも一方が出力される。これにより、時間的ロスの発生の原因となった品種及び処理装置の少なくとも一方を、ユーザに通知することができる。
【0018】
前述した態様において、複数の標準処理時間を記憶する記憶部をさらに備えてもよい。
【0019】
この態様によれば、複数の標準処理時間が記憶される。これにより、処理装置ごとの当該処理装置が配置された工程における品種の実処理時間と、対応する標準処理時間とを即座に比較することができる。なお、標準処理時間を示す情報は、複数の標準処理時間を記憶する際に分類可能なメタ情報として、記憶日時、場所、温湿度等の外部環境データの情報を含んでいてもよい。
【0020】
本開示の他の態様に係る生産管理システムは、前述した情報処理装置と、複数の処理装置と、を備える。
【0021】
この態様によれば、前述した情報処理装置と、複数の処理装置と、を備えることにより、生産ラインにおける時間的ロスの発生の有無を判定する生産管理システムを容易に構成することができる。
【0022】
本開示の他の態様に係る生産管理システムは、前述した情報処理装置と、複数の処理装置と、複数の標準処理時間を記憶する記憶装置と、を備える。
【0023】
この態様によれば、前述した情報処理装置と、複数の処理装置と、複数の標準処理時間を記憶する記憶装置と、を備えることにより、生産ラインにおける時間的ロスの発生の有無を判定する生産管理システムを容易に構成することができるとともに、複数の標準処理時間を記憶する記憶装置を情報処理装置とは別体で実現することができ、情報処理装置は複数の標準処理時間の記憶が不要になる。
【0024】
本開示の他の態様に係る情報処理プログラムは、それぞれ処理装置が配置された複数の工程を含み、処理装置が複数の品種のうちの1つの生産品を処理する生産ラインにおける情報を処理する、コンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、工程ごとの品種と、処理装置ごとの当該品種の実処理時間とを取得するステップと、取得された、工程ごとの品種と処理装置ごとの当該品種の実処理時間とに基づいて、実サイクルタイムを決定するステップと、取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ラインにおいて時間的ロスが発生しているか否か判定するステップと、を含む。
【0025】
この態様によれば、取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ラインにおいて時間的ロスが発生しているか否か判定される。これにより、例えば、生産ラインにおいて実際に要した処理時間に基づく実サイクルタイムを、各工程にある品種の生産品を当該工程に配置された処理装置で処理するときの、基準となる標準サイクルタイムと比較することが可能となる。従って、実サイクルタイムと標準サイクルタイムとの大小関係を決定することができ、生産ラインにおける時間的ロスの発生の有無を容易に判定することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、生産ラインにおけるロス発生の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、一実施形態に従う生産管理システムの構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に従う生産管理システムの対象である生産ラインの一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す生産ラインにおけるサイクルタイムの一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、一実施形態における情報処理装置の物理的構成を示す構成図である。
【
図5】
図5は、一実施形態における情報処理装置の機能ブロックの構成を示す構成図である。
【
図6】
図6は、標準処理時間ファイルの作成の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、標準処理時間ファイルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に従う情報処理装置による時間的ロス発生の判定の第1実施例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に従う情報処理装置による時間的ロス発生の判定の第2実施例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、一実施形態における情報処理装置が行うロス判定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。さらに、本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0029】
<構成例>
[生産管理システム]
図1から
図3を参照しつつ、一実施形態に従う生産管理システム200の構成の一例について説明する。
図1は、一実施形態に従う生産管理システム200の構成を示す構成図である。
図2は、一実施形態に従う生産管理システム200の対象である生産ラインPLの一例を説明するための図である。
図3は、
図2に示す生産ラインPLにおけるサイクルタイムの一例を説明するための図である。
【0030】
図1に示すように、生産管理システム200は、例えば製品を生産する生産現場における生産ラインを管理するためのものある。対象である生産ラインの詳細については後述する。生産管理システム200は、複数の処理装置110-1,110―2,110-3(以下、個々の処理装置を区別しない場合、これらをまとめて「処理装置110」ともいう)と、情報処理装置100と、を備える。生産管理システム200は、さらに、PLC120と、データサーバ130と、ストレージ装置ST1と、を備えていてもよい。
【0031】
各処理装置110-1,110―2,110-3は、生産ラインに配置されており、生産ラインを流れる生産品を処理するように構成されている。生産品は、加工等の処理を施して製品を生産する過程において、最終的な処理が完了する前の、部材、部品、又は中間の製品等であり、未完成状態の製品(半製品)である、とも表現することができる。各処理装置110-1,110―2,110-3は、同一の処理を行う装置に限定されず、互いに異なる処理であってもよい。各処理装置110-1,110―2,110-3が行う処理は、特に限定されるものではないが、例えば、混合、溶接、熱処理、洗浄、メッキ、蒸着、皮膜、コーティング(塗装)、圧延、プレス、切削、カッティング、エッチング、鋳造、鍛造、研磨、成形等が挙げられる。なお、生産品に対する処理は、その一部が生産現場にいる作業員によって行われてもよい。各処理装置110-1,110―2,110-3で得られた情報は、PLC(Programmable Logic Controller)120に出力される。
【0032】
PLC120は、例えば表示装置等の出力手段、及び、例えばマウス、キーボード、タッチパネル等の入力手段のうちの少なくとも一方を備えていてもよい。PLC120は、各処理装置110-1,110―2,110-3から入力された情報について、そのまま、あるいは、付加情報とともに、通信ネットワークNWを介して情報処理装置100に送信する。付加情報は、生産品の品種(「種類」ともいう)に関する情報である。当該情報は、例えば、生産ラインの最も上流に設置される品種リーダから取得してもよいし、所定期間にわたって生産ラインにおいて生産される製品の生産計画を示す生産計画データから取得してもよい。また、PLC120は、各処理装置110-1,110―2,110-3から入力された情報と上記の付加情報とを組み合わせて、通信ネットワークNWを介してデータサーバ130に送信する。
【0033】
通信ネットワークNWは、例えば、LAN(Local Area Network)、専用線、企業内ネットワーク、インターネット、電話回線、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、又はこれらの組み合わせ等のいずれであってもよい。また、通信ネットワークNWは、有線であるか無線であるかを問わず、有線及び無線の組み合わせであってもよい。
【0034】
データサーバ130は、処理装置110-1,110―2,110-3で得られた情報を記憶(保持)するためのものである。データサーバ130は、例えば、サーバ機能を備えるコンピュータを含んで構成される。データサーバ130には、ストレージ装置ST1が接続されている。データサーバ130は、ストレージ装置ST1にアクセス可能に、つまり、ストレージ装置ST1のデータの読み込み及び書き出しが自在に、構成されている。ストレージ装置ST1は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージを含んで構成される。データサーバ130は、PLC120から送信された情報をストレージ装置ST2に書き込み、所定期間、例えば1日間、1週間、10日間、1カ月間、1年間等の期間にわたって蓄積し、保管するように、構成されている。
【0035】
情報処理装置100は、生産ラインにおける情報を処理するためのものである。具体的には、情報処理装置100は、生産現場ではなく監視室等に設置され、PLC120から送信された情報に基づいて、生産ラインにおける時間的ロス発生の有無の判定等を行う。情報処理装置100は、例えば、産業用PC(IPC:Industrial Personal Computer)等のコンピュータを含んで構成される。
【0036】
図2に示すように、生産ラインPLは、複数の工程を含んでいる。生産ラインPLは、第1工程から第5工程へ、さらにそれ以降の工程に向けて、生産品がコンベアCVによって一方向に搬送される直列のラインを形成している。各工程には、少なくとも1つの処理装置110が配置されており、各処理装置110は、製品における複数の品種のうちの1つ(1品種)について、生産品を処理するように構成されている。
【0037】
図2に示す例では、第1工程には処理装置110-1及び110-2が、第2工程には処理装置110-3及び110-4が、第3工程には処理装置110-5及び110-6が、第4工程には処理装置110-7及び110-8が、第5工程には処理装置110-9及び110-10が、それぞれ、配置されている。生産ラインPLの工程に複数の処理装置が設置される場合、それぞれの処理装置110は、生産品に対する処理を並行して行うことが可能である。前述したように、各処理装置110は、複数の品種のうちの1つを処理しているので、各工程で処理される生産品の品種は、必ずしも同じではない。
【0038】
また、生産ラインPLでは、品種によって処理装置110の設定や機種を変更する作業、いわゆる段取り替えの作業が行われない。これにより、段取り替え時間による生産性の低下を回避している。そのため、生産ラインPLの稼働中は、処理装置110の停止は、例えば数秒程度にとどまっている。
【0039】
一方、コンベアCVは、全ての処理装置110が作業完了の信号を送信してから、各工程にあるすべての生産品を同期して移動させるように構成されている。例えば、第2工程からみて、上流にあたる第1工程からの生産品の搬入と、下流にあたる第3工程への生産品の搬出とが、同時に実行される。すなわち、ある工程のある処理装置110において、他と比較して処理に時間が掛かっていると、当該処理装置110の処理が終わるまで、コンベアCVは作動せず、処理済の生産品を搬送できないことになる。
【0040】
上記した生産ラインPLでは、配置された全ての処理装置110において、もっとも長い時間を要する処理装置110の処理時間がボトルネックとなり、生産性の低下を招く原因となる。このように、生産ラインPLにおいてボトルネックとなる処理装置110の処理時間は、生産ラインPLにおけるサイクルタイム(以下、「生産ラインPLのサイクルタイム」、又は単に「サイクルタイム」ともいう)であると規定し得る。
【0041】
例えば、
図2に示す例において、ある段階において、処理装置110-1の処理時間が30秒、処理装置110-2の処理時間が45秒、処理装置110-3の処理時間が40秒、処理装置110-4の処理時間が40秒、処理装置110-5の処理時間が45秒、処理装置110-6の処理時間が40秒、処理装置110-7の処理時間が50秒、処理装置110-8の処理時間が45秒、処理装置110-9の処理時間が60秒、処理装置110-10の処理時間が55秒、であった場合、この場合の生産ラインPLのサイクルタイムは、処理装置110-9の処理時間が60秒となる。
【0042】
ここで、
図3に示すように、各工程に処理装置110が1つ配置されており、各処理装置110が複数の品種のうちの1つの品種を処理する例について考える。例えば、“段階1”において、全ての処理装置110-1~110-10の処理時間のうち、第6工程に配置された処理装置110-6が“品種F”を処理する処理時間が最も長い時間である。この場合、“段階1”における生産ラインPLのサイクルタイムは、処理装置110-6が“品種F”を処理する処理時間であり、例えば55秒である。
【0043】
“段階1”において、全ての処理装置110-1~110-10の処理が完了、つまり、処理装置110-6が“品種F”に対する処理を終えると、各工程の生産品は、コンベアCVによって、矢印で示すように、一斉に次の工程に搬送される。なお、第1工程には、“品種G”の部材が投入される。“段階2”では、例えば、全ての処理装置110-1~110-10の処理時間のうち、第4工程に配置された処理装置110-4が“品種C”を処理する処理時間が最も長い時間である。この場合、“段階2”における生産ラインPLのサイクルタイムは、処理装置110-4が“品種C”を処理する処理時間であり、例えば70秒である。
【0044】
“段階2”において、全ての処理装置110-1~110-10の処理が完了、つまり、処理装置110-4が“品種C”に対する処理を終えると、各工程の生産品は、コンベアCVによって、矢印で示すように、一斉に次の工程に搬送される。なお、第1工程には、“品種H”の部材が投入される。“段階3”では、例えば、全ての処理装置110-1~110-10の処理時間のうち、第7工程に配置された処理装置110-7が“品種E”を処理する処理時間が最も長い時間である。この場合、“段階3”における生産ラインPLのサイクルタイムは、処理装置110-7が“品種E”を処理する処理時間であり、例えば60秒である。
【0045】
図3の例で示したように、各処理装置110-1~110-10の処理時間は、例えば溶接する数が変化する等の理由により、生産品の品種によって異なる。また、生産ラインPLには複数の品種が混在しており、各工程における品種は、例えば上流の工程から移送されるので、それぞれの段階によって変わる。その結果、生産ラインPLのサイクルタイムは、その時間が一定ではなく、また、サイクルタイムに対応する工程及び処理装置110も、時間の経過とともに変化する。
【0046】
また、生産ラインPLでは、様々な要因で、遅れ、すなわち、時間的ロスが発生し得る。例えば、
図2に示す例では、第1工程において、作業員PW1が部材の投入タイミングにズレが生じることで、コンベアCVの動作が一時停止する場合がある。あるいは、第4工程において、作業員PW2が部材を所定の場所に準備する際に、例えば、当該部材におけるシーリング材、コーキング材の過不足や、当該部材の形状異常等によって、コンベアCVの動作を停止させる必要が生じる場合がある。
【0047】
このように、段取り替えなく多品種の製品を生産する生産ラインPLでは、当該生産ラインPLに含まれる各工程に設置された処理装置110は、それぞれの処理時間が異なる上に、時間の経過とともに、処理時間が変化して一定ではない。そのため、従来は、生産ラインPLにおいて、単に品種の差異によって処理時間が経時的に変化しているのか、それとも時間的ロスが発生しているのかを区別することができず、生産ラインPLにおいて時間的ロスが発生しているのか否かを判定することは困難であった。
【0048】
以下において、生産ラインPLの工程に複数の処理装置110が配置される場合、特に明示する場合を除き、処理装置110同士の関係は、並列関係であるものとして説明する。なお、本実施形態の情報処理装置100は、処理装置110同士が並列関係である場合に限定されるものではない。例えば、情報処理装置100は、生産ラインPLの工程に配置された複数の処理装置110が直列関係であっても、適用可能である。また、情報処理装置100は、生産ラインPLの工程ごとに、複数の処理装置110における並列関係又は直列関係が異なり、並列関係及び直列関係が混在するときでも、適用可能である。なお、生産ラインPLの工程に設置された複数の処理装置110が直列関係を含んでいる場合、生産ラインPLのサイクルタイムは、もっとも長い時間を要する処理装置110の処理時間ではなく、もっとも長い時間を要する工程の処理時間となる。
【0049】
[情報処理装置]
次に、
図4から
図7を参照しつつ、一実施形態に従う情報処理装置の構成について説明する。
図4は、一実施形態における情報処理装置100の物理的構成を示す構成図である。
図5は、一実施形態における情報処理装置100の機能ブロックの構成を示す構成図である。
図6は、標準処理時間ファイルSPFの作成の一例を説明するための図である。
図7は、標準処理時間ファイルSPFの一例を示す図である。
【0050】
図4に示すように、情報処理装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、記憶装置103と、通信装置104と、入力装置105と、出力装置106と、を備える。これらの各構成は、バスを介して相互にデータを送受信可能に接続される。
【0051】
プロセッサ101は、情報処理装置100の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))、SoC(Sysmtem-on-a-Chip)等の集積回路を含んで構成される。
【0052】
メモリ102及び記憶装置103は、それぞれ、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)、キャッシュメモリ、及び/又は、バッファメモリ等を含んで構成される。記憶装置103は、例えば、HDD、SSD及び/又はeMMC等のストレージを含んで構成される。
【0053】
通信装置104は、有線及び無線の少なくとも一方のネットワークを介して通信を行うように構成されている。通信装置104は、例えば、ネットワークカード、通信モジュール、他の機器に接続するインターフェース等を含んで構成される。
【0054】
入力装置105は、ユーザの操作により情報を入力できるように構成されている。入力装置105は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス、ポインティングデバイス、及び/又は、マイク等を含んで構成される。
【0055】
出力装置106は、情報を出力するように構成されている。出力装置106は、例えば、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ、ミニLEDディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等の表示装置、及び/又は、スピーカ等を含んで構成される。
【0056】
なお、
図4に示す例では、情報処理装置100が、1台のコンピュータで構成される場合について説明するが、これに限定されるものではない。情報処理装置100は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、
図5で示す構成は一例であり、情報処理装置100は、これら以外の構成を備えてもよいし、これらの構成のうちの一部を備えなくてもよい。
【0057】
図5に示すように、情報処理装置100は、その機能として、通信部10と、取得部20と、記憶部30と、決定部40と、ロス判定部50と、算出部60と、出力部70と、異常判定部80と、を備え得る。
【0058】
通信部10は、各種の情報を送信及び受信可能に構成されている。通信部10は、前述した通信ネットワークNWを介して、外部の通信機器と通信する。具体的には、通信部10は、通信ネットワークNWを介して、PLC120との間でデータ通信を行う。また、通信部10は、通信ネットワークNWを介して、前述したデータサーバ130との間でデータ通信を行ってもよい。
【0059】
取得部20は、工程ごとの品種と、処理装置110ごとの当該品種の実処理時間とを取得するように構成されている。具体的には、取得部20は、PLC120が送信する実績データ31を、通信ネットワークNW及び通信部10を介して受信して取得する。
実績データ31は、生産ラインPLの各工程において、当該工程における処理対象となる生産品の品種を示す品種情報と、当該工程に配置された処理装置110が当該品種を処理したときに要した実際の処理時間(以下、「実処理時間」ともいう)を示す実処理時間情報と、を含んでいる。品種情報は、工程ごとに生成される情報であり、実処理時間情報は、処理装置110ごとに生成される情報である。PLC120は、品種情報と実処理時間情報とを対応付けて実績データ31を生成する。各工程には少なくとも1つの処理装置110が配置されるので、実績データ31は、処理装置110ごとに生成される。PLC120は、生成した実績データ31を、順次あるいは複数をまとめて情報処理装置100に送信する。取得部20は、取得した複数の実績データ31を記憶部30に書き込んで記憶させる。複数の実績データ31は、例えば、生産ラインPLのある段階における全ての処理装置110の実績データ31である。
【0060】
記憶部30は、各種の情報を記憶するように構成されている。記憶部30は、前述したように、取得部20によって取得された、複数の実績データ31を記憶する。また、記憶部30は、後述する標準処理時間ファイルSPFを記憶していてもよい。
【0061】
決定部40は、取得部20によって取得された、工程ごとの品種と処理装置110ごとの当該品種の実処理時間とに基づいて、実サイクルタイムを決定するように構成されている。実サイクルタイムは、生産ラインPLにおいて、各処理装置110が処理に要した実際のサイクルタイムである。より詳細には、決定部40は、記憶部30に記憶された複数の実績データ31を読み出し、当該複数の実績データ31に基づいて、実サイクルタイムを決定するように構成されている。具体的には、決定部40は、ある段階における複数の実績データ31において、各処理装置110の実処理時間のうち、最も長い処理時間を、当該段階における生産ラインPLの実サイクルタイムに決定する。
【0062】
ロス判定部50は、取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ラインPLにおいて時間的ロスが発生しているか否を判定するように構成されている。工程ごとの品種は、例えば、取得部20によって取得され、決定部40が実サイクルタイムを決定する際に使用された複数の実績データ31から品種情報を抽出し、当該品種情報が示す品種である。また、標準処理時間は、品種ごと、かつ、処理装置110ごとに、生成される情報である。具体的には、標準処理時間は、当該品種の生産品について、当該処理装置が処理するときに、標準的に要すると見込まれる、基準となる処理時間である。
【0063】
ここで、
図6及び
図7を用いて、複数の標準処理時間を含む標準処理時間ファイルSPFについて説明する。
図6に示すように、管理装置140は、標準処理時間を決定するためのものである。
図1に示す生産管理システム200は、管理装置140と、ストレージ装置ST2とを、さらに備えていてもよい。管理装置140は、例えば、コンピュータを含んで構成される。また、管理装置140には、前述したストレージ装置ST1と同様の構成を備えるストレージ装置ST2が、接続されている。管理装置140は、ストレージ装置ST2にアクセス可能に、つまり、ストレージ装置ST2のデータの読み込み及び書き出しが自在に、構成されている。なお、ストレージ装置ST2へのアクセスは、通信ネットワークNWを介する通信であってもよい。また、管理装置140は、ストレージ装置ST2に代えて、あるいは、当該ストレージ装置ST2とともに、HDD、SSD、及び/又は、eMMC等のストレージを内蔵していてもよい。
【0064】
さらに、管理装置140は、通信ネットワークNWを介して、前述したデータサーバ130と通信可能と通信可能に構成されている。例えば、管理装置140は、通信ネットワークNWを介して、データサーバ130にデータ送信のリクエスト(要求)を送信し、ストレージ装置ST1に記憶された所定期間にわたる複数の実績データRDについて、品種ごと、かつ、処理装置110ごとに、所定の回数分、例えば10回分を受信する。
なお、ストレージ装置ST1に記憶された実績データRDは、前述した実績データ31と同様に、品種情報と実処理時間情報とを組みわせたものである。実績データRDは、実績データ31と同じであってもよいし、その構造、形式、ヘッダー、フッター、付加情報、フォーマット等が異なっていてもよい。
【0065】
そして、管理装置140は、受信した所定の回数分の実績データRDに基づいて、品種ごと、かつ、処理装置110ごとに、標準処理時間を決定し、当該標準処理時間を示す標準処理時間情報を生成する。管理装置140が決定する標準処理時間は、例えば、10回分の実績データRDのそれぞれに含まれる実処理時間情報が示す実処理時間において、その平均値(平均の実処理時間)であってもよいし、すべての実処理時間を満たすようにその最大値(最大の実処理時間)であってもよい。また、複数の実処理時間は、それぞれ、多少なりともロスを含んでいると考えられる。そのため、例えば、10回分の実績データRDのそれぞれに含まれる実処理時間情報が示す実処理時間において、その最小値(最小の実処理時間)をロスがない状態の処理時間とみなし、管理装置140が決定する標準処理時間は、当該最小値(最小の実処理時間)であってもよい。管理装置140は、全ての標準処理時間を決定した後、生成した複数の標準処理時間情報を含む標準処理時間ファイルSPFを作成する。管理装置140は、作成した標準処理時間ファイルSPFは、ストレージ装置ST2に書き出して記憶させる。本実施形態のストレージ装置ST2は、「記憶装置」の一例に相当する。
【0066】
このように、生産管理システム200が標準処理時間ファイルSPFを記憶するストレージ装置ST2を備えることにより、複数の標準処理時間を含む標準処理時間ファイルSPFを記憶する記憶装置を、情報処理装置100とは別体で実現することができ、情報処理装置100は標準処理時間ファイルSPFの記憶が不要になる。
【0067】
本実施形態では、管理装置140が標準処理時間を決定して標準処理時間ファイルを作成し、ストレージ装置ST2に記憶させる例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、データサーバ130が標準処理時間を決定して標準処理時間ファイルを作成してもよい。この場合、作成された標準処理時間ファイルは、ストレージ装置ST1に書き込んでもよいし、内蔵の記憶装置に記憶させてもよい。
【0068】
図7に示すように、標準処理時間ファイルSPFは、例えば、表形式(テーブル)形式のファイルである。なお、
図7では、生産品は“品種A”から“品種C”までの3品種であり、生産ラインPLが“工程1“と“工程2“とを含み、”工程1“には、“処理装置1”から“処理装置3”までの3つの処理装置110が、“工程2”には“処理装置4”から“処理装置5”までの2つの処理装置110が、それぞれ配置されている例を示している。標準処理時間ファイルSPFは、品種で特定される列、及び、処理装置で特定される列の領域(マス目)に、各標準処理時間情報が格納されている。各標準処理時間情報の単位は、例えば秒である。
【0069】
なお、標準処理時間ファイルSPFの構造及び形式は、
図7に示す例に限定されるものではない。例えば、標準処理時間ファイルSPFは、単なるデータであってもよいし、データベースであってもよい。また、標準処理時間ファイルSPFの少なくとも一部がデータベースである場合、当該データベースの正規化を行い、データのグループ単位を細分化してもよい。
【0070】
本実施形態では、ストレージ装置ST1が複数の実績データRDを記憶し、ストレージ装置ST2が標準処理時間ファイルSPFを記憶する例を示したが。これに限定されるものではない。例えば、ストレージ装置ST1及びストレージ装置ST2が1つのストレージ装置で構成され、当該ストレージ装置が複数の実績データと標準処理時間ファイルSPFとの両方を記憶していてもよい。この場合、当該ストレージ装置は、データサーバ130及び管理装置140のうちの少なくとも一方に接続される。
【0071】
図5の説明に戻り、ロス判定部50は、例えば、通信部10及び通信ネットワークを介して、
図6に示す管理装置140にファイル送信のリクエスト(要求)を送信し、ストレージ装置ST2に記憶された標準処理時間ファイルSPFを受信する。これにより、複数の標準処理時間を得ることができる。ロス判定部50は、判定が必要になるごとに、リクエスト(要求)を送信して標準処理時間ファイルSPFを取得してもよい。この場合、記憶部30による標準処理時間ファイルSPFの記憶は、不要となる。あるいは、ロス判定部50は、最初の判定の際に、又は、判定の前にあらかじめ、標準処理時間ファイルSPFを受信しておき、記憶部30に書き込んで記憶させていてもよい。
【0072】
このように、複数の標準処理時間を含む標準処理時間ファイルSPFを記憶することにより、実績データ31に含まれる実処理時間情報が示す実処理時間と、対応する標準処理時間とを即座に比較することができる。なお、標準処理時間を示す情報は、複数の標準処理時間を記憶する際に分類可能なメタ情報として、記憶日時、場所、温湿度等の外部環境データの情報を含んでいてもよい。
【0073】
ロス判定部50は、例えば、工程ごとの品種情報と、複数の標準処理時間情報、つまり、標準処理時間ファイルSPFとに基づいて、標準サイクルタイムを決定するように構成されている。標準サイクルタイムは、各工程に品種情報が示す品種があるときの当該工程に配置された処理装置110の標準処理時間に基づいて決定されるので、生産ラインPLにおけるサイクルタイムの基準となり得る。この場合、ロス判定部50は、決定した標準サイクルタイムと、決定部40によって決定された実サイクルタイムとに基づいて、生産ラインPLにおいて時間的ロスが発生しているか否を判定する。
【0074】
このように、取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ラインPLにおいて時間的ロスが発生しているか否を判定することにより、例えば、生産ラインPLにおいて実際に要した処理時間に基づく実サイクルタイムを、各工程にある品種の生産品を当該工程に配置された処理装置110で処理するときの、基準となる標準サイクルタイムと比較することが可能となる。従って、実サイクルタイムと標準サイクルタイムとの大小関係を決定することができ、生産ラインPLにおける時間的ロスの発生の有無を容易に判定することができる。
【0075】
算出部60は、実サイクルタイムと標準サイクルタイムとに基づいて、生産ラインPLにおけるロス時間を算出するように構成されている。算出部60は、通常、ロス判定部50によって、生産ラインPLにおいて時間的ロスが発生していると判定されたときに、ロス時間を算出する。これにより、生産ラインPLにおいて発生した時間的ロスを、ロス時間によって定量的に把握することができる。
【0076】
より詳細には、算出部60は、実サイクルタイムから標準サイクルタイムを減算することにより、ロス時間を算出するように構成されている。ここで、標準サイクルタイムは、生産ラインPLに配置された複数の処理装置110のうち、取得された工程ごとの品種を処理するときの標準処理時間が最も長い処理装置110における当該標準処理時間である。例えば、
図7に示す標準処理時間ファイルSPFにおいて、“工程1”に“品種B”が、“工程2”に“品種C”が、それぞれある場合、“品種B”を処理する“処理装置1”から“処理装置3”と、“品種C”を処理する“処理装置4”から“処理装置5”とのうち、標準処理時間が最も長いものは、“処理装置3”が“品種B”を処理するときに“60”(秒)であるから、この値が標準サイクルタイムとなる。
【0077】
また、生産ラインPLの複数の工程のうち、少なくとも1つの工程に複数の処理装置110が配置され、当該複数の処理装置110が直列関係である、又は、直列関係を含む場合、標準サイクルタイムは、複数の工程のうち、取得された工程ごとの品種を処理するときの標準処理時間に基づく合計標準処理時間が最も長い工程における当該合計標準処理時間である。ここで、合計標準処理時間は、品種ごと、かつ、工程ごとに求められる時間である。合計標準処理時間は、当該品種を当該工程において処理するときに、標準的に要すると見込まれる、基準となる処理時間である。合計標準処理時間は、当該工程に設置されたそれぞれの処理装置110が、当該品種を処理するときの標準処理時間に基づいて、決定される。
【0078】
このように、標準サイクルタイムは、生産ラインPLに配置された複数の処理装置110のうち、取得された工程ごとの品種を処理するときの標準処理時間が最も長い処理装置110における当該標準処理時間、又は、複数の工程のうち、取得された工程ごとの品種を処理するときの標準処理時間に基づく合計標準処理時間が最も長い工程における当該合計標準処理時間であり、実サイクルタイムから標準サイクルタイムを減算することにより、ロス時間が算出される。これにより、標準処理時間がもっとも長い処理装置110の当該標準処理時間、又は、合計標準処理時間が最も長い工程における当該合計標準処理時間を、実サイクルタイムから減算して算出されたロス時間によって、生産ラインPLにおいて発生した時間的ロスを定量的、かつ、容易に把握することができる。
【0079】
出力部70は、ロス時間を出力するためのものである。出力部70は、例えば出力装置106の表示装置に、ロス時間を表示させるように構成されている。これにより、算出されたロス時間をユーザに通知することができる。なお、ロス時間を示す情報は、ロス時間を出力する際に分類可能なメタ情報として、ロス発生日時、場所、生産ライン構成等の情報を含んでいてもよい。また、ロス時間をリアルタイムで即座に通知する場合、出力部70は、算出されたロス時間と閾値とを比較し、ロス時間が閾値以上である場合に、当該ロス時間を出力してユーザに通知してもよい。この場合、ロス時間の有無、大小に関係なく全てのロス時間を通知することによって、ユーザにとって煩わしいものになる可能性を低減し得る。
【0080】
異常判定部80は、実サイクルタイムと、実サイクルタイムに対応する品種を処理するときの実サイクルタイムに対応する処理装置110における標準処理時間とに基づいて、当該品種を処理したときの当該処理装置110に異常が発生しているか否か判定するように構成されている。実サイクルタイムに対応する品種は、決定部40が実サイクルタイムに決定した実処理時間における品種である。また、実サイクルタイムに対応する処理装置110は、決定部40が実サイクルタイムに決定した実処理時間における処理装置110である。異常判定部80は、記憶部30に記憶された標準処理時間ファイルSPFを読み出して、実サイクルタイムに対応する品種と、実サイクルタイムに対応する処理装置110とによって特定される、該当の標準処理時間を決定する。異常判定部80は、実サイクルタイムと同じ品種を同じ処理装置110の標準処理時間に基づいて、当該品種及び当該処理装置110に異常が発生しているか否かを判定する。
【0081】
このように、実サイクルタイムと、実サイクルタイムに対応する品種を処理するときの実サイクルタイムに対応する処理装置110における標準処理時間とに基づいて、当該品種を処理したときの当該処理装置110に異常が発生しているか否かを判定することにより、時間的ロスの発生の原因となった品種及び処理装置110において、処理時間の異常の有無を容易に判定することができる。
【0082】
前述した出力部70は、実サイクルタイムに対応する品種及び実サイクルタイムに対応する処理装置110のうち、少なくとも一方を出力するためのものであってもよい。出力部70は、例えば出力装置106の表示装置に、実サイクルタイムに対応する品種及び実サイクルタイムに対応する処理装置110のうちの少なくとも一方を、表示させるように構成されている。これにより、時間的ロスの発生の原因となった品種及び処理装置110の少なくとも一方を、ユーザに通知することができる。
【0083】
なお、通信部10、取得部20、記憶部30、決定部40、ロス判定部50、算出部60、出力部70、及び異常判定部80、のうちの少なくとも1つは、プロセッサ101が、記憶装置103に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-Transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、MMC(embedded Multi Media Card)、SD(Secure Digital)メモリカード、SSD(Solid State Drive)、CD-ROM(Compact Disc ROM)等の記憶媒体であってもよい。
【0084】
(実施例)
次に、
図8及び
図9を参照しつつ、一実施形態に従う情報処理装置が生産ラインにおける時間的ロスの発生を判定する実施例について説明する。
図8は、一実施形態に従う情報処理装置100による時間的ロス発生の判定の第1実施例を説明するための図である。
図9は、一実施形態に従う情報処理装置100による時間的ロス発生の判定の第2実施例を説明するための図である。
【0085】
第1実施例では、取得部20によって取得され、記憶部30に記憶された複数の実績データ31において、“工程1”に“品種A”が、“工程2”に“品種B”があり、決定部40によって決定された実サイクルタイムが60秒であるとする。この場合、
図8に示すように、記憶部30に記憶された標準処理時間ファイルSPFにおいて、破線で囲まれた複数の標準処理時間のうち、最大のものは、実線の丸で示す“品種A”を“処理装置2”が処理するときの標準処理時間であり、“60秒”であることが分かる。ロス判定部50は、標準処理時間ファイルSPFから導出された標準処理時間を、生産ラインPLにおける標準サイクルタイムに決定する。そして、この標準サイクルタイムと、決定部40によって決定された実サイクルタイムとを比較して、両者が同じ60秒であるから、生産ラインPLに時間的ロスの発生なしと判定する。
【0086】
第2実施例では、取得部20によって取得され、記憶部30に記憶された複数の実績データ31において、“工程1”に“品種A”が、“工程2”に“品種C”があり、決定部40によって決定された実サイクルタイムが80秒であるとする。この場合、
図9に示すように、記憶部30に記憶された標準処理時間ファイルSPFにおいて、破線で囲まれた複数の標準処理時間のうち、最大のものは、実線の丸で示す “品種A”を“処理装置2”が処理するときの標準処理時間であり、“60秒”であることが分かる。ロス判定部50は、標準処理時間ファイルSPFから導出された標準処理時間を、生産ラインPLにおける標準サイクルタイムに決定する。そして、この標準サイクルタイムと、決定部40によって決定された実サイクルタイムとを比較すると、標準サイクルタイムよりも実サイクルタイムの方が大きいので、生産ラインPLに時間的ロスの発生ありと判定する。算出部60は、実サイクルタイムから標準サイクルタイムを減算し、ロス時間を算出する。よって、第2実施例のロス時間は、20秒(=80秒―60秒)となる。ここで、標準サイクルタイムに比べて、実サイクルタイムが長い処理装置110は、特定されている。このとき、全ての処理装置110から作業完了を示すイベント情報が送信されている。よって、情報処理装置100は、例えば、直接、あるいは、PLC装置120を介して、各処理装置110からイベント情報を受信し、受信した複数のイベント情報のうち、一番最後にイベント情報を送信したものが、最も時間のかかった処理装置110であることを把握することができる。その結果、情報処理装置100は、当該処理装置110が配置された工程において時間的ロスが発生した、と特定することができる。
【0087】
ここで、決定部40が実サイクルタイムを決定したときの品種情報と処理装置110の実処理時間情報とが、それぞれ、“品種C”と、“処理装置5”とであった場合を想定する。この場合、“処理装置5”が配置された“工程2”において、時間的ロスが発生したことが分かる。
図9に示すように、記憶部30に記憶された標準処理時間ファイルSPFにおいて、対応する“品種C”を“処理装置5”が処理するときの標準処理時間は、下線で示す“35秒”であることが分かる。異常判定部80は、標準処理時間ファイルSPFから導出された標準処理時間と、複数の実績データ31のうちの“品種C”を“処理装置5”が処理したときの実績データ31に含まれる実処理時間情報の実処理時間と、を比較する。その結果、標準処理時間よりも当該実処理時間の方が大きいので、生産ラインPLにおいて、“品種C”を“処理装置5”が処理したときに異常ありと判定する。なお、異常判定部80は、標準処理時間と当該実処理時間との差と、閾値とを比較し、当該差が閾値以上である場合に、異常ありと判定してもよい。
【0088】
<処理手順>
次に、
図10を参照しつつ、一実施形態に従う情報処理装置が行う処理手順について説明する。
図10は、一実施形態における情報処理装置100が行うロス判定処理S300の一例を説明するためのフローチャートである。
【0089】
図10に示すように、まず、取得部20は、通信部10及び通信ネットワークNWを介して、PLC120から複数の実績データを受信して取得する(S301)。取得された複数の実績データ31は、記憶部30に書き込まれて記憶される。
【0090】
次に、決定部40は、ステップS301で取得された複数の実績データ31に基づいて、実サイクルタイムを決定する(S302)。
【0091】
次に、ロス判定部50は、ステップS302において実サイクルタイムを決定する際に使用された複数の実績データ31から品種情報を抽出して得た工程ごとの品種と、標準処理時間ファイルSPFとに基づいて、標準サイクルタイムを決定する(S303)。
【0092】
次に、ロス判定部50は、ステップS302において決定された実サイクルタイムと、ステップS303において決定された標準サイクルタイムとを比較し、実サイクルタイムが標準サイクルタイムよりも大きいか否かを判定する(S304)。
【0093】
ステップS304の判定の結果、実サイクルタイムが標準サイクルタイムよりも大きくない、つまり、実サイクルタイムが標準サイクルタイム以下である場合、生産ラインPLに時間的ロスは発生していないと考えられる。よって、ステップS301に戻って、次の段階における実績データを取得する。そして、実サイクルタイムが標準サイクルタイムよりも大きくなるまで、ステップS301からステップS304までが繰り返される。
【0094】
一方、ステップS304の判定の結果、実サイクルタイムが標準サイクルタイムよりも大きい場合、生産ラインPLに時間的ロスが発生していると考えられる。この場合、どの程度の時間的ロスが発生しているのかを定量的に把握することが好ましい。そのため、算出部60は、ステップS302において決定された実サイクルタイムと、ステップS303において決定された標準サイクルタイムとに基づいて、ロス時間を算出する(S305)。出力部70は、算出されたロス時間を示す情報を出力装置106に出力し、表示装置に表示させる。
【0095】
次に、異常判定部80は、記憶部30に記憶された標準処理時間ファイルSPFを読み出して、実サイクルタイムに対応する品種を処理するときの、実サイクルタイムに対応する処理装置110における標準処理時間を決定する(S306)。
【0096】
次に、異常判定部80は、ステップS302において決定された実サイクルタイムと、ステップS306において決定された対応する標準処理時間とを比較し、実サイクルタイムが対応する標準処理時間よりも大きいか否かを判定する(S307)。
【0097】
ステップS304の判定の結果、実サイクルタイムが対応する標準処理時間よりも大きい場合、実サイクルタイムに対応する当該品種を処理するときの当該処理装置110において、処理時間に関する何らかの異常が発生していると考えられる。よって、出力部70は、実サイクルタイムに対応する品種及び実サイクルタイムに対応する処理装置110を示す情報を出力装置106に出力し、実サイクルタイムに対応する品種及び実サイクルタイムに対応する処理装置110に異常がある旨を表示させる(S308)。これにより、例えば、生産ラインPLの生産現場にいる保全員が当該処理装置110に対して確認、点検、修理等を行うことが可能となる。
【0098】
ステップS304の判定の結果、実サイクルタイムが対応する標準処理時間よりも大きくない、つまり、実サイクルタイムが対応する標準処理時間以下である場合、実サイクルタイムに対応する当該品種を処理するときの当該処理装置110において、処理時間に関して異常はないと考えられる。よって、出力部70は、実サイクルタイムに対応する品種及び実サイクルタイムに対応する処理装置110を示す情報を出力装置106に出力し、実サイクルタイムに対応する品種及び実サイクルタイムに対応する処理装置110に異常はない旨を表示させる(S309)。
【0099】
ステップS308又はステップS309の後、情報処理装置100は、ロス判定処理S300を終了する。
【0100】
なお、本実施形態で説明したシーケンス及びフローチャートは、処理に矛盾が生じない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0101】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本実施形態における情報処理装置100によれば、取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置110ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ラインPLにおいて時間的ロスが発生しているか否か判定される。これにより、例えば、生産ラインPLにおいて実際に要した処理時間に基づく実サイクルタイムを、各工程にある品種の生産品を当該工程に配置された処理装置110で処理するときの、基準となる標準サイクルタイムと比較することが可能となる。従って、実サイクルタイムと標準サイクルタイムとの大小関係を決定することができ、生産ラインPLにおける時間的ロスの発生の有無を容易に判定することができる。
【0102】
本発明の一実施形態に従う情報処理プログラムによれば、取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置110ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ラインPLにおいて時間的ロスが発生しているか否か判定される。これにより、例えば、生産ラインPLにおいて実際に要した処理時間に基づく実サイクルタイムを、各工程にある品種の生産品を当該工程に配置された処理装置110で処理するときの、基準となる標準サイクルタイムと比較することが可能となる。従って、実サイクルタイムと標準サイクルタイムとの大小関係を決定することができ、生産ラインPLにおける時間的ロスの発生の有無を容易に判定することができる。
【0103】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。すなわち、実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0104】
[付記1]
それぞれ処理装置(110)が配置された複数の工程を含み、処理装置(110)が複数の品種のうちの1つの生産品を処理する生産ライン(PL)における情報を処理する情報処理装置(100)であって、
工程ごとの品種と、処理装置(110)ごとの当該品種の実処理時間とを取得する取得部(20)と、
取得された、工程ごとの品種と処理装置(110)ごとの当該品種の実処理時間とに基づいて、実サイクルタイムを決定する決定部(40)と、
取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置(110)ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ライン(PL)において時間的ロスが発生しているか否か判定するロス判定部(50)と、を備える、
情報処理装置(100)。
[付記10]
それぞれ処理装置(110)が配置された複数の工程を含み、処理装置(110)が複数の品種のうちの1つの生産品を処理する生産ライン(PL)における情報を処理する、コンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
工程ごとの品種と、処理装置(110)ごとの当該品種の実処理時間とを取得するステップと、
取得された、工程ごとの品種と処理装置(110)ごとの当該品種の実処理時間とに基づいて、実サイクルタイムを決定するステップと、
取得された工程ごとの品種と、それぞれが品種ごと及び処理装置(110)ごとの標準処理時間である、複数の標準処理時間と、に基づく標準サイクルタイムと、実サイクルタイムとに基づいて、生産ライン(PL)において時間的ロスが発生しているか否か判定するステップと、を含む、
情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0105】
10…通信部、20…取得部、30…記憶部、31…実績データ、40…決定部、50…ロス判定部、60…算出部、70…出力部、80…異常判定部、100…情報処理装置、101…プロセッサ、102…メモリ、103…記憶装置、104…通信装置、105…入力装置、106…出力装置、110,110-1,110-2,110-3,110-4,110-5,110-6,110-7,110-8,110-9,110-10…処理装置、120…PLC、130…データサーバ、140…管理装置、200…生産管理システム、CV…コンベア、NW…通信ネットワーク、PL…生産ライン、PW1,PW2…作業員、RD…実績データ、S300…ロス判定処理、SPF…標準処理時間ファイル、ST1,ST2…ストレージ装置。