(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130696
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 51/24 20060101AFI20240920BHJP
H01H 50/56 20060101ALI20240920BHJP
H01H 51/29 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01H51/24 B
H01H50/56 R
H01H51/29 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040558
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】石井 洸一
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(57)【要約】
【課題】ラッチング型からシングルステイブル型に簡単な構成で変更することができる電磁継電器の提供。
【解決手段】電磁継電器は、接点ブロックと、電磁石ブロックと、電磁石ブロックと、可動ブロックと、付勢部材とを備える。接点ブロックは、第1固定接点端子と、第1固定接点端子に配置される第1固定接点と、第1可動接点端子と、第1可動接点端子に接続される第1可動片と、第1可動片に配置され第1固定接点と第1方向に対向する第1可動接点とを含む。電磁石ブロックは、接点ブロックに対して第1方向と交差する第2方向に配置される。可動ブロックは、接点ブロックと電磁石ブロックとに亘って配置され、可動体の動作に応じて第1可動片を動作させる。付勢部材は、電磁石ブロックに配置され、第1可動接点が第1固定接点に近づく方向及び第1可動接点が第1可動接点から離れる方向のいずれか一方に向けて可動ブロックを付勢する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定接点端子と、前記第1固定接点端子に配置される第1固定接点と、第1可動接点端子と、前記第1可動接点端子に接続される第1可動片と、前記第1可動片に配置され前記第1固定接点と第1方向に対向する第1可動接点と、を含む接点ブロックと、
磁性体を含む可動体と、前記可動体を動作させる磁力を発生させるコイルとを含み、前記接点ブロックに対して前記第1方向と交差する第2方向に配置される電磁石ブロックと、
前記接点ブロックと前記電磁石ブロックとに亘って配置され、前記可動体の動作に応じて前記第1可動片を動作させる可動ブロックと、
前記電磁石ブロックに配置され、前記第1可動接点が前記第1固定接点に近づく方向及び前記第1可動接点が前記第1可動接点から離れる方向のいずれか一方に向けて前記可動ブロックを付勢する付勢部材と、
を備える、
電磁継電器。
【請求項2】
前記可動ブロックは、前記可動体の動作に応じて前記第1可動片を押圧する押圧部を含み、
前記付勢部材は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記押圧部と異なる高さ位置で前記可動ブロックを付勢する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記第1可動接点が前記第1固定接点と接触した状態において前記可動ブロックに接触し、前記第1可動接点が前記第1固定接点から離れた状態において前記可動ブロックから離れている、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触した後で、前記第1可動接点が前記第1固定接点から離れる方向に向けて前記可動ブロックを付勢する、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項5】
補助固定接点と、前記付勢部材に配置される補助可動接点とをさらに備える、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記付勢部材は、板ばね又はコイルばねである、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記接点ブロックは、前記第1固定接点端子と前記第1方向に離れて配置される第2固定接点端子と、前記第2固定接点端子に配置される第2固定接点と、第2可動接点端子と、前記第2可動接点端子に接続される第2可動片と、前記第2可動片に配置され前記第2固定接点と前記第1方向に対向する第2可動接点と、をさらに含み、
前記可動ブロックは、前記可動体の動作に応じて前記第2可動片を動作させ、
前記第1可動接点は、前記第2可動接点が前記第2固定接点と接触している状態において、前記第1固定接点から開離している、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、永久磁石の磁束を打ち消す方向にコイルに電圧を印加することで接点装置を動作させる電磁継電器が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、永久磁石が接続される可動鉄片の磁極部にレーザーを照射して遮磁板を形成し、磁極部の透磁率を変化させることでシングルステイブル型の電磁継電器が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電磁継電器では、可動鉄片の磁極部にレーザーを照射する工程が必要になるので、工程が複雑になるといった課題がある。
【0005】
本発明の課題は、ラッチング型からシングルステイブル型に簡単な構成で変更することができる電磁継電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、接点ブロックと、電磁石ブロックと、電磁石ブロックと、可動ブロックと、付勢部材とを備える。接点ブロックは、第1固定接点端子と、第1固定接点端子に配置される第1固定接点と、第1可動接点端子と、第1可動接点端子に接続される第1可動片と、第1可動片に配置され第1固定接点と第1方向に対向する第1可動接点とを含む。電磁石ブロックは、磁性体を含む可動体と、可動体を動作させる磁力を発生させるコイルとを含み、接点ブロックに対して第1方向と交差する第2方向に配置される。可動ブロックは、接点ブロックと電磁石ブロックとに亘って配置され、可動体の動作に応じて第1可動片を動作させる。付勢部材は、電磁石ブロックに配置され、第1可動接点が第1固定接点に近づく方向及び第1可動接点が第1可動接点から離れる方向のいずれか一方に向けて可動ブロックを付勢する。
【0007】
この電磁継電器では、例えば、可動ブロックを付勢する付勢部材を追加することによって、シングルステイブル型の電磁継電器が実現できるので、可動鉄片の磁極部にレーザーを照射して遮磁板を形成し、磁極部の透磁率を変化させることでシングルステイブル型の電磁継電器を実現する場合と比べて、ラッチング型からシングルステイブル型の電磁継電器に簡単な構成で変更することができる。また、第1固定接点と第1可動接点が対向する第1方向と交差する第2方向に接点ブロックに対して電磁石ブロックが配置され、付勢部材は、電磁石ブロックで可動ブロックを付勢する。このため、例えば、可動片のストローク量を維持したまま、ラッチング型からシングルステイブル型の電磁継電器に簡単な構成で変更することができる。
【0008】
可動ブロックは、可動体の動作に応じて第1可動片を押圧する押圧部を含んでもよい。付勢部材は、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において、押圧部と異なる高さ位置で可動ブロックを付勢してもよい。この場合は、付勢部材による付勢力を効率よく可動ブロックに伝達することが可能になる。その結果、コイルの消費電力の効率化を図ることが可能になる。
【0009】
付勢部材は、第1可動接点が第1固定接点と接触した状態において可動ブロックに接触し、第1可動接点が第1固定接点から離れた状態において可動ブロックから離れてもよい。この場合は、板ばねなどの付勢部材を用いてラッチング型からシングルステイブル型の電磁継電器に簡単に変更することができる。
【0010】
付勢部材は、第1可動接点が第1固定接点に接触した後で、第1可動接点が第1固定接点から離れる方向に向けて可動ブロックを付勢してもよい。板ばねなどの付勢部材を用いてラッチング型からシングルステイブル型の電磁継電器に簡単に変更することができる。
【0011】
電磁継電器は、補助固定接点と、付勢部材に配置される補助可動接点とをさらに備えてもよい。この場合は、付勢部材を補助接点として機能させることができる。
【0012】
付勢部材は、板ばね又はコイルばねであってもよい。この場合は、ラッチング型からシングルステイブル型の電磁継電器に簡単に変更することができる。
【0013】
接点ブロックは、第1固定接点端子と第1方向に離れて配置される第2固定接点端子と、第2固定接点端子に配置される第2固定接点と、第2可動接点端子と、第2可動接点端子に接続される第2可動片と、第2可動片に配置され第2固定接点と第1方向に対向する第2可動接点と、をさらに含んでもよい。可動ブロックは、可動体の動作に応じて第2可動片を動作させてもよい。第1可動接点は、第2可動接点が第2固定接点と接触している状態において、第1固定接点から開離してもよい。この場合は、a接点とb接点とを備える電磁継電器において、ラッチング型からシングルステイブル型の電磁継電器に簡単な構成で変更することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラッチング型からシングルステイブル型に簡単な構成で変更することができる電磁継電器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】ベースを除いた電磁継電器を下方から見た図である。
【
図3】ベース及びケースを除いた電磁継電器の側面図である。
【
図4】ケースを除いた電磁継電器を上方から見た図である。
【
図5】
図3における第1押圧部周辺の拡大図である。
【
図7】ケースを除いた電磁継電器を上方から見た図である。
【
図8】ベースを除いた電磁継電器を下方から見た図である。
【
図9】付勢部材の変形例を説明するための図である。
【
図10】付勢部材の変形例を説明するための図である。
【
図11】付勢部材の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施形態に係る電磁継電器1について説明する。図面を参照するときにおいて、X1が示す方向を左方、X2が示す方向を右方、Y1が示す方向を前方、Y2が示す方向を後方、Z1が示す方向を上向、Z2が示す方向を下方として説明する。また、X1,X2が示す方向(第1方向の一例)を左右方向、Y1,Y2が示す方向を前後方向(第3方向の一例)、Z1,Z2が示す方向(第2方向の一例)を上下方向として説明する。左右方向は、前後方向と直交する。上下方向は、左右方向及び前後方向と直交する。これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0017】
図1から
図3に示すように、電磁継電器1は、ベース2と、ケース3と、区画部材4と、接点ブロック5と、電磁石ブロック6と、可動ブロック7と、付勢部材8とを備える。ベース2、ケース3及び区画部材4は、例えば樹脂などの絶縁材で形成されている。ベース2は、外形が矩形状に形成されており、上方に向かって開口している。ケース3は、ベース2の上方に配置されている。ケース3は、外形が矩形状に形成されており、下方に向かって開口している。ケース3は、区画部材4に固定されている。区画部材4は、ベース2の開口及びケース3の開口を覆うようにベース2とケース3の間に配置されている。区画部材4は、ベース2に固定されている。区画部材4は、ベース2とケース3とによって形成される内部空間を接点ブロック5が配置される空間と電磁石ブロック6が配置される空間とに区画する。区画部材4は、接点ブロック5と電磁石ブロック6との間に配置されている。区画部材4は、電磁石ブロック6を支持する。
【0018】
接点ブロック5は、ベース2に収容されている。接点ブロック5は、電磁石ブロック6の下方に配置されている。接点ブロック5は、第1接点装置10と、第2接点装置20とを含む。
【0019】
第1接点装置10は、第1固定接点端子11と、第1固定接点12と、第2固定接点13と、第1可動接点端子14と、第1可動片15と、第1可動接点16と、第2可動接点17とを含む。
【0020】
第1固定接点端子11は、ベース2に固定されている。第1固定接点端子11は、第1固定接点端子11は、上下方向に延びている。第1固定接点端子11は、ベース2から下方に突出している。第1固定接点12及び第2固定接点13は、第1固定接点端子11の右面に配置されている。第2固定接点13は、第2固定接点13と上下方向に離れている。第2固定接点13は、第1固定接点12の下方に配置されている。第2固定接点13は、第1固定接点12の直径よりも小さい直径を有する。
【0021】
第1可動接点端子14は、第1固定接点端子11と左右方向に離れている。第1可動接点端子14は、第1固定接点端子11の右方に配置されている。第1可動接点端子14は、ベース2に固定されている。第1可動接点端子14は、左右方向から見て略L字状である。第1可動接点端子14は、本体部14aと、外部接続部14bとを含む。本体部14aは、前後方向に延びている。本体部14aは、ベース2の内側に配置されている。外部接続部14bは、上下方向に延びている。外部接続部14bは、本体部14aから下方に延び、ベース2から下方に突出している。
【0022】
第1可動片15は、複数の板ばねを左右方向に重ねて形成されている。第1可動片15は、前後方向に延びている。第1可動片15は、第1固定接点端子11と左右方向に対向する。第1可動片15は、第1固定接点端子11と第1可動接点端子14の間に配置されている。第1可動片15の前端は、第1可動接点端子14の本体部14aに固定されている。第1可動片15の後端は、自由端となっている。
【0023】
第1可動片15は、第1分割片15aと第2分割片15bとを含む。第1分割片15aは、第1固定接点12と左右方向に対向する。第2分割片15bは、第1分割片15aと上下方向に並んでいる。第2分割片15bは、第1分割片15aの下方に配置されている。第2分割片15bは、第2固定接点13と左右方向に対向する。第2分割片15bの後端側は、第1分割片15aとの間に形成されるスリットによって第1分割片15aと分割されている。スリットは、第1可動片15の後端(自由端)から上下方向に延びている。第2分割片15bの前端は、第1分割片15aの前端と繋がっている。
【0024】
第1可動接点16は、第1分割片15aの左面に配置されている。第1可動接点16は、第1固定接点12と左右方向に対向する。第2可動接点17は、第2分割片15bの左面に配置されている。第2可動接点17は、第2固定接点13と左右方向に対向する。第2可動接点17は、第1可動接点16の直径よりも小さい直径を有する。
【0025】
第1可動接点16及び第1固定接点12は開閉用接点として機能する。第2可動接点17及び第2固定接点13は通電用接点として機能する。第1接点装置10が開いた状態において、第1可動接点16から第1固定接点12までの距離は、第2可動接点17から第2固定接点13までの距離よりも小さい。
【0026】
第2接点装置20は、第1接点装置10と配置が異なるだけであり、第1接点装置10と同様の構成を有している。第2接点装置20は、第1接点装置10と左右方向に離れている。第2接点装置20は、第1接点装置10の右方に配置されている。第2接点装置20は、第1接点装置10と略左右に対称な形状を有している。第2接点装置20は、第2固定接点端子21と、第3固定接点22と、第4固定接点23と、第2可動接点端子24と、第2可動片25と、第3可動接点26と、第4可動接点27とを含む。第2可動片25は、第3分割片25aと第4分割片25bとを含む。第2接点装置20の各構成については説明を省略する。
【0027】
図3に示すように、電磁石ブロック6は、第1固定接点12と第1可動接点16とが対向する方向(ここでは左右方向)と交差する方向に配置されている。本実施形態では、電磁石ブロック6は、接点ブロック5の上方に配置されている。電磁石ブロック6は、区画部材4に支持されている。電磁石ブロック6は、可動ブロック7を駆動する。
【0028】
図4に示すように、電磁石ブロック6は、コイル31と、スプール32と、第1ヨーク33と、第2ヨーク34と、回転体35(可動体の一例)を含む。コイル31は、スプール32に巻回されている。コイル31は、回転体35を動作させる磁力を発生させる。本実施形態では、コイル31は、回転体35を回転させるための電磁力を発生させる。スプール32は、左右方向に延びている。スプール32の内側には鉄心が配置されている。第1ヨーク33及び第2ヨーク34は、上下方向から見て略L字状である。第1ヨーク33は、鉄心の左端に接続されている。第2ヨーク34は、鉄心の右端に接続されている。第2ヨーク34は、第1ヨーク33と左右方向に離れている。
【0029】
回転体35は、コイル31の後方に配置されている。回転体35は、第1ヨーク33と第2ヨーク34との間に配置されている。回転体35は、上下方向に延びる軸心を中心に回転可能である。
【0030】
回転体35は、第1可動鉄片36と、第2可動鉄片37と、永久磁石38と、回転軸39とを含む。第1可動鉄片36、第2可動鉄片37、永久磁石38及び回転軸39は、例えば、インサート成形によって一体成形されている。第1可動鉄片36及び第2可動鉄片37は、磁性体の一例である。
【0031】
第1可動鉄片36は、第1端部36aと、第2端部36bとを含む。第1端部36aは、コイル31と第1ヨーク33の間に配置されている。第2端部36bは、コイル31と第2ヨーク34の間に配置されている。第2可動鉄片37は、第1端部37aと、第2端部37bとを含む。第1端部37aは、回転軸39を中心にして第1可動鉄片36の第2端部36bと点対称の位置に配置されている。第2端部37bは、回転軸39を中心にして第1可動鉄片36の第1端部36aと点対称の位置に配置されている。永久磁石38は、第1可動鉄片36と第2可動鉄片37の間に配置されている。
【0032】
回転軸39は、上下方向に延びている。回転軸39は、区画部材4と区画部材4に固定される規制板30によって回転可能に支持されている。区画部材4には、回転軸39を支持するための支持孔が形成されている。回転体35は、回転軸39を中心に回転する。なお、
図3では、規制板30の図示を省略している。
【0033】
可動ブロック7は、回転体35の動作に応じて第1可動片15及び第2可動片25を動作させる。可動ブロック7は、第1可動部材40と、第2可動部材50とを含む。
【0034】
第1可動部材40は、上下方向に延びている。第1可動部材40は、接点ブロック5と電磁石ブロック6とに亘って配置されている。第1可動部材40は、回転体35に接続されている。本実施形態では、第1可動部材40は、回転体35に着脱可能に取り付けられている。第1可動部材40は、回転体35と一体的に回転する。区画部材4は、第1可動部材40を通すための貫通孔4aを有している。
【0035】
図3から
図5に示すように、第1可動部材40は、第1押圧部41,42と、1対の支持突起43と、固定部44と、凸部45とを含む。第1押圧部41,42は、接点ブロック5に配置されている。第1押圧部41,42は、回転体35の回転に応じて第2可動部材50に接触して第2可動部材50を押圧する。第1押圧部41,42は、上下方向に延びている。第1押圧部41,42は、上下方向から見て、円弧状に形成されている。第1押圧部41は、第1可動接点16と第2可動接点17の間の位置において第2可動部材50と接触する、第1押圧部42は、第3可動接点26と第4可動接点27の間の位置において第2可動部材50と接触する。
【0036】
1対の支持突起43は、第1可動部材40の下端に配置されている。固定部44は、電磁石ブロック6に配置されている。固定部44は、溝形状を有している。固定部44は、回転体35の嵌合突起35aに嵌合する。これにより、第1可動部材40は、回転体35に着脱可能に固定される。凸部45は、電磁石ブロック6に配置されている。凸部45は、左右方向に延びている。凸部45は、第1可動部材40の下端付近において、左方に突出している。凸部45の先端は、付勢部材8に接触可能である。
【0037】
第2可動部材50は、接点ブロック5に配置される。第2可動部材50は、第1接点装置10と第2接点装置20の間に配置されている。第2可動部材50は、第1可動片15と第2可動片25の間に配置されている。第2可動部材50は、第1可動片15及び第2可動片25によって左右方向に移動可能に保持されている。
【0038】
図6に示すように、第2可動部材50は、本体部51と、接触部52と、突起53,54と、ガイド壁55,56と、第2押圧部57,58と、係止部59,60とを含む。本体部51は、左右方向及び前後方向に延びている。本体部51の下端は、1対の支持突起43の間に配置されている。
【0039】
接触部52は、左右方向における本体部51の中央に形成されている。接触部52は、溝形状を有している。接触部52は、本体部51を前後方向に貫通しており、上方から下方に向かって凹む形状を有している。接触部52は、突起53,54を介して第1押圧部41,42に接触する。
【0040】
突起53,54は、接触部52に配置されている。突起53は、第1押圧部41に接触して、第1押圧部41に押圧される部分である。突起53は、接触部52から第1押圧部41に向かって突出している。第1押圧部41は、突起53を介して接触部52と接触する。突起53は、上下方向において、第1可動接点16と第2可動接点17の間に位置する。突起53は、接触部52において、第1可動接点16よりも下方かつ第2可動接点17よりも上方に位置する。突起53は、第1可動接点16の中心と第2可動接点17の中心との間の位置において接触部52と接触する。突起53は、例えば、第1固定接点12に対する第1可動接点16の接触圧と第2固定接点13に対する第2可動接点17に対する接触圧の比に応じて位置が決められている。
【0041】
突起54は、第1押圧部42に接触して、第1押圧部42に押圧される部分である。突起54は、接触部52から第1押圧部42に向かって突出している。第1押圧部42は、突起54を介して接触部52と接触する。突起54は、上下方向において、第3可動接点26と第4可動接点27の間に位置する。突起54は、接触部52において、第3可動接点26よりも下方かつ第4可動接点27よりも上方に位置する。突起54は、第3可動接点26の中心と第4可動接点27の中心との間の位置において接触部52と接触する。突起54は、例えば、第3固定接点22に対する第3可動接点26の接触圧と第4固定接点23に対する第4可動接点27に対する接触圧の比に応じて位置が決められている。
【0042】
ガイド壁55,56は、上下方向に延びている。ガイド壁55は、突起53に隣接して配置されている。ガイド壁55,56は、第2可動部材50が第1押圧部41,42に押圧されたときに、第2可動部材50が回転することを抑制する。ガイド壁55,56の上下方向に寸法は、突起53,54の上下方向に寸法よりも大きい。ガイド壁55は、第1押圧部41が突起53に接触した後で、第1押圧部41に接触する。すなわち、突起53は、第1押圧部41に向かってガイド壁55よりも突出している。ガイド壁55は、第2可動接点17の下端よりも上方に配置されている。ガイド壁56は、突起54に隣接して配置されている。ガイド壁56は、第1押圧部42が突起54に接触した後で、第1押圧部42に接触する。ガイド壁56は、第4可動接点27の下端よりも上方に配置されている。
【0043】
第2押圧部57は、第1可動片15と第1押圧部41の間に配置されている。第2押圧部57は、第1可動片15の第1分割片15a及び第2分割片15bを押圧可能である。
【0044】
第2押圧部58は、第2可動片25と第1押圧部42の間に配置されている。第2押圧部58は、第2可動片25の第3分割片25a及び第4分割片25bを押圧可能である。
【0045】
係止部59は、第2押圧部57の左方に配置されている。係止部59は、第1可動片15の複数の係止爪15cに係合する。複数の係止爪15cは、第1分割片15aの先端と第2分割片15bの先端に形成されている。係止部60は、第2押圧部58の右方に配置されている。係止部60は、第2可動片25の複数の係止爪25cに係合する。
【0046】
付勢部材8は、電磁石ブロック6に配置されている。付勢部材8は、可動ブロック7の第1可動部材40の左方に配置されている。付勢部材8は、第1可動接点16が第1固定接点12から離れる方向(
図4において、回転軸39を中心に反時計回り)に可動ブロック7の第1可動部材40を付勢する。付勢部材8は、板ばねで構成されている。付勢部材8は、屈曲した形状を有している。
【0047】
付勢部材8は、第1可動接点16が第1固定接点12と接触した状態において、第1可動部材40の凸部45に接触する。付勢部材8は、第1可動接点16が第1固定接点12から離れた状態において、第1可動部材40の凸部45から離れている。すなわち、第1可動接点16が第1固定接点12から離れた状態では、付勢部材8は、第1可動部材40を付勢していない。
【0048】
より詳細には、付勢部材8は、第1可動接点16の接点フォロー位置に対応するように配置されている。第1可動接点16の接点フォロー位置は、第1固定接点12に対する第1可動接点16の接触圧を確保するために設定される。付勢部材8は、第1可動接点16が第1固定接点12に接触した後で、第1可動接点16を右方に付勢する付勢力を生じさせる。すなわち、付勢部材8の付勢力は、第1可動接点16が第1固定接点12に接触してから第1可動部材40に作用するように構成されている。
【0049】
付勢部材8は、前後方向において、第2押圧部57,58とは異なる高さ位置で可動ブロック7の第1可動部材40を付勢する。本実施形態では、付勢部材8は、前後方向において、第2押圧部57,58よりも下方で可動ブロック7の第1可動部材40を付勢する。すなわち、付勢部材8と凸部45とが接触する位置は、第2押圧部57,58よりも下方に位置する(
図7参照)。
【0050】
付勢部材8は、第1端8aと、第2端8bとを含む。第1端8aは、区画部材4に支持されている。第1端8aは、区画部材4に圧入固定されている。第2端8bは、第1端8aと反対側に位置する。第2端8bは、自由端となっている。第2端8bは、第1可動部材40の凸部45に接触可能である。
【0051】
次に電磁継電器1の動作について説明する。例えば、回転体35が
図4示す第1位置にあるとき、第1可動鉄片36の第1端部36aは、第1ヨーク33に接触し、第2可動鉄片37の第2端部37bは、第2ヨーク34に接触している。回転体35は、例えば、回転体35の永久磁石38の磁力によって第1位置に保持されている。回転体35が第1位置にあるとき、第2可動片25の第3分割片25a及び第4分割片25bは、可動ブロック7によって右方に押圧されている。
図2に示すように、回転体35が第1位置にあるとき、第3可動接点26は、第3固定接点22に接触し、第4可動接点27は、第4固定接点23に接触している。一方、第1可動接点16は、第1固定接点12から離れており、第2可動接点17は、第2固定接点13から離れている。
【0052】
次に、回転体35の永久磁石38の磁力を打ち消す方向にコイル31に電圧を印加して励磁すると、回転体35の永久磁石38の磁力に抗して回転体35が回転する。これにより、第1可動鉄片36の第1端部36aは、第1ヨーク33から離れ、第2可動鉄片37の第2端部37bは、第2ヨーク34から離れる。一方、第2可動鉄片37の第1端部37aが第1ヨーク33に接触し、第1可動鉄片36の第2端部36bが第2ヨーク34に接触して、回転体35は、
図7に示す第2位置に移動する。回転体35の回転に応じて、回転体35とともに第1可動部材40が回転することで、第1可動部材40の第1押圧部41は、第2可動部材50を押圧する。
【0053】
これにより、第2可動部材50が左方に移動して、第2可動部材50は、第1可動片15の第1分割片15a及び第2分割片15bを押圧する。その結果、
図8に示すように、第1可動接点16は、第1固定接点12に接触し、第2可動接点17は、第2固定接点13に接触する。一方、第3可動接点26は、第3固定接点22から離れ、第4可動接点27は、第4固定接点23から離れる。なお、付勢部材8は、回転体35が第2位置に到達する手前の位置で、第1可動部材40の凸部45と接触する。
【0054】
コイル31への電圧の印加を停止すると、第1可動片15の弾性力及び付勢部材8の付勢力の影響を受けて、可動ブロック7は、右方に移動し、回転体35は、第2位置から第1位置に向けて回転する。これにより、第1可動接点16は、第1固定接点12から離れ、第2可動接点17は、第2固定接点13から離れる。
【0055】
なお、回転体35が第1位置から第2位置に向かって移動するときにおいて、第2可動接点17が第2固定接点13と接触するよりも先に、第1可動接点16が第1固定接点12と接触する。また、回転体35が第1位置から第2位置に向かって移動するときにおいて、第2可動接点17が第2固定接点13から離れた後で、第1可動接点16が第1固定接点12から離れる。
【0056】
次に、電磁継電器1の組み立て方法について説明する。第1工程は、ベース2と、ケース3と、区画部材4と、接点ブロック5と、電磁石ブロック6と、可動ブロック7とを準備する。
【0057】
第2工程は、ベース2に接点ブロック5の第1接点装置10及び第2接点装置20を上方から挿入する。詳細には、第1固定接点端子11、第1固定接点12及び第2固定接点13を含む第1固定接点端子ユニットと、第1可動接点端子14、第1可動片15、第1可動接点16及び第2可動接点17を含む第1可動接点端子ユニットとを準備して、第1固定接点端子ユニットと第1可動接点端子ユニットのそれぞれを上方からベース2に挿入する。同様に、第2固定接点端子21、第3固定接点22及び第4固定接点23を含む第2固定接点端子ユニットと、第2可動接点端子24、第2可動片25、第3可動接点26及び第4可動接点27を含む第2可動接点端子ユニットとを準備して、第1固定接点端子ユニットと第1可動接点端子ユニットのそれぞれを上方からベース2に挿入する。
【0058】
第3工程は、可動ブロック7の第2可動部材50を第1可動片15と第2可動片25とに組付ける。第4工程は、区画部材4をベース2の上方に配置して、区画部材4をベース2に固定する。
【0059】
第5工程は、回転体35を除く電磁石ブロック6を区画部材4に上方から組み付ける工程と、第1可動部材40を固定した回転体35を区画部材4に上方から組み付ける工程とを含む。回転体35を区画部材4に組み付けるときは、区画部材4の貫通孔4aから第1可動部材40の第1押圧部41,42を挿入することで、第1可動部材40の第1押圧部41,42が第2可動部材50の接触部52内に配置される。第6工程は、区画部材4に上方からケース3を組み付ける。
【0060】
なお、本実施形態では、ベース2を基準にして、ケース3、区画部材4、接点ブロック5、電磁石ブロック6及び可動ブロック7を組み付けているが、区画部材4を基準にして、ベース2、ケース3、区画部材4、接点ブロック5、電磁石ブロック6及び可動ブロック7を組み付ける構成であってもよい。
【0061】
この電磁継電器1では、例えば、可動ブロック7を付勢する付勢部材8を追加することによって、シングルステイブル型の電磁継電器1が実現できるので、ラッチング型からシングルステイブル型の電磁継電器1に簡単な構成で変更することができる。また、第1固定接点12と第1可動接点16が対向する左右方向と交差する前後方向に接点ブロック5に対して電磁石ブロック6が配置され、付勢部材8は、電磁石ブロック6で可動ブロック7を付勢する。このため、例えば、第1可動片15のストローク量を維持したまま、ラッチング型からシングルステイブル型の電磁継電器1に簡単な構成で変更することができる。
【0062】
また、付勢部材8は、前後方向において、第2押圧部57,58よりも下方で可動ブロック7の第1可動部材40を付勢するので、付勢部材8による付勢力を効率よく可動ブロック7に伝達することができる。
【0063】
可動ブロック7は、第1可動部材40と第2可動部材50の2つの部材に分割されている。このため、例えば、第1可動部材40の第1押圧部41,42と第2可動部材50の間のクリアランスを調整することで第1可動片15及び第2可動片25のストローク量を容易に調整できる。
【0064】
また、第1可動部材40は、接点ブロック5に配置される第1押圧部41,42に押圧されるので、第2可動部材50の動作が安定する。その結果、第1可動片15及び第2可動片25が第2可動部材50に押圧されたときの第1可動片15及び第2可動片25の動作が安定する。また、第2可動部材50は、接点ブロック5に配置され、第1可動部材40は、接点ブロック5と電磁石ブロック6とに亘って配置されるので、例えば、ベース2に対して接点ブロック5、可動ブロック7及び電磁石ブロック6を同じ方向(ここでは上方)から組み付けることが可能になる。その結果、電磁継電器1の組み立て性が向上する。
【0065】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0066】
電磁石ブロック6の構成は、変更されてもよい。前記実施形態では、電磁石ブロック6は、回転体35を回転させる構成であったが、電磁石ブロック6は、例えば、磁性体を含む可動体を左右方向に移動させる構成であってもよい。
【0067】
前記実施形態では、可動ブロック7は、第1可動部材40と第2可動部材50の2つの部材に分割されていたが、第1可動部材40と第2可動部材50とが単一の部材で構成されてもよい。
【0068】
付勢部材8は、構成が変更されてもよい。付勢部材8は、圧縮コイルばねであってもよい。付勢部材8は、
図9に示すように、引っ張りコイルばねであってもよい。この場合、付勢部材8は、可動ブロック7の第1可動部材40の右方に配置され、第1可動接点16が第1固定接点12と接触した状態において、第1可動部材40を右方に付勢する。
【0069】
前記実施形態では、第1接点装置10はa接点、第2接点装置20はb接点で構成されていたが、第1接点装置10をb接点、第2接点装置20をa接点で構成してもよい。その場合、付勢部材8は、可動ブロック7の第1可動部材40を第1可動接点16が第1固定接点12に近づく方向に付勢するように構成される。
【0070】
図10及び
図11に示すように、電磁継電器1は、補助固定接点71と、補助可動接点72と、補助接点端子73,74とをさらに備えてもよい。補助固定接点71は、補助可動接点72と左右方向に対向している。補助接点端子73,74は、区画部材4に支持されている。補助接点端子74は、付勢部材の一例であり、回転体35が第2位置にあるとき、先端が凸部45に押圧される。補助可動接点72は、回転体35が第1位置にあるとき、補助固定接点71から開離し、回転体35が第2位置にあるとき、補助固定接点71と接触する。
【0071】
付勢部材8は、例えば、第2可動接点17の接点フォロー位置に対応するように配置されてもよい。付勢部材8は、第2可動接点17が第2固定接点13に接触した後で、第1可動接点16を右方に付勢する付勢力を生じさせてもよい。すなわち、付勢部材8は、通電用接点である第2可動接点17と第2固定接点13とが接触してから付勢部材8の付勢力が第1可動部材40に作用するように構成されてもよい。付勢部材8は、第2可動接点17が第2固定接点13に接触していない状態において、付勢部材8の付勢力が第1可動部材40に作用しないように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 電磁継電器
5 接点ブロック
6 電磁石ブロック
7 可動ブロック
8 付勢部材
11 第1固定接点端子、
12 第1固定接点
13 第2固定接点
14 第1可動接点端子
15 第1可動片
71 補助固定接点
72 補助可動接点