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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130697
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G05F1/56 310C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040559
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 鉄男
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE02
5H430EE03
5H430FF04
5H430FF13
5H430GG01
5H430HH03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】環境や素子温度が高温となった場合でも、バイポーラトランジスタの増幅率ばらつきを受容し、出力電圧の変動を抑えつつ幅広い負荷範囲に対応する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、ノード1Nと、ベース電流量に応じたコレクタ電流を出力端子に供給するバイポーラトランジスタQ1、ノード21Nに接続された定電流源CG1に並列接続するトランジスタN0を含みバイアス電流を生成するバイアス電流生成部21と、差動対及びノード22Nを含み、差動対にバイアス電流が流れ、差動対が基準電圧と出力電圧に対応した電圧との差分に応じた制御電圧Vnegをノード22Nに生成する差動入力部22並びに定電流源CG2、Q1のベースが接続されたノード23N、制御電圧に応じてノード23Nの電位Vbを制御するトランジスタN1を含む駆動部23を有する。トランジスタN0は、差動入力部の制御電圧に応じて、バイアス電流を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧を出力する出力端子と、
ベース電流量に応じたコレクタ電流を出力し、前記出力端子が接続された出力ノードに前記コレクタ電流を供給するバイポーラトランジスタと、
第1のノード、前記第1のノードに接続された第1の定電流源、及び前記第1のノードに対して前記第1の定電流源と互いに並列に接続された第1のトランジスタを含み、バイアス電流を生成するバイアス電流生成部と、
差動対及び第2のノードを含み、前記差動対に前記バイアス電流生成部で生成された前記バイアス電流に対応した電流が流れかつ基準電圧及び前記出力電圧に対応した電圧が入力され、前記差動対が前記基準電圧と前記出力電圧に対応した電圧との差分に応じた制御電圧を前記第2のノードに生成する差動入力部と、
電流供給回路、前記バイポーラトランジスタのベースが接続された第3のノード及び前記制御電圧に応じて前記第3のノードの電位を制御する第2のトランジスタを含む駆動部と、を有し、
前記第1のトランジスタは、前記差動入力部の前記制御電圧に応じて、前記バイアス電流生成部が生成する前記バイアス電流を制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記バイアス電流生成部は、前記第1の定電流源及び前記第2のトランジスタに直列に接続された第3のトランジスタを有し、前記差動入力部は、前記第3のトランジスタとカレントミラー接続された第4のトランジスタを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記バイポーラトランジスタはPNP型のバイポーラトランジスタであり、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのそれぞれは、n型のMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記バイアス電流生成部において、
前記第1のトランジスタは、ドレインが前記第1のノードに接続され、ソースが接地電圧に接続され、ゲートが前記差動入力部の前記第2のノードに接続されており、
前記第1の定電流源は、前記第1のノードと前記接地電圧との間に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記バイアス電流生成部は、前記第1のトランジスタのソースと前記接地電圧との間に第2の定電流源または抵抗を有することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記バイポーラトランジスタはNPN型のバイポーラトランジスタであり、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのそれぞれは、p型のMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記バイアス電流生成部において、
前記第1のトランジスタは、ソースが電源電圧に接続され、ドレインが前記第1のノードに接続され、ゲートが前記差動入力部の前記第2のノードに接続されており、
前記第1の定電流源は、前記電源電圧と前記第1のノードとの間に接続されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記バイアス電流生成部は、前記電源電圧と前記第1のトランジスタのソースとの間に第2の定電流源又は抵抗を有することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記駆動部の前記電流供給回路は、定電流源又は抵抗であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記差動入力部は、
前記出力端子の接続された負荷が軽負荷に変動した場合に、前記第1のトランジスタに流れる電流を減少させて前記バイアス電流生成部の前記バイアス電流を減少させ、
前記出力端子の接続された負荷が高負荷に変動した場合に、前記第1のトランジスタに流れる電流を増加させて前記バイアス電流生成部の前記バイアス電流を増加させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコン、AD/DAコンバータ、モーター、各種通信システム、各種センサー等を搭載したシステムにおいて、その電源として一般的に安定化電源回路であるレギュレータ回路が使用されている。これらのシステムの消費電力が大きい場合、レギュレータに要求される出力電流も大きいため、当該レギュレータの出力素子として、容易に大電流が出力可能なバイポーラトランジスタが使用される場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、出力端子に接続された負荷に出力電流を供給するNPNバイポーラトランジスタと、MOSトランジスタから構成された差動増幅器と、当該差動増幅器の出力にゲートが接続され、ドレイン電流をNPNバイポーラトランジスタに供給して当該NPNバイポーラトランジスタのベース電流を制御して出力電圧を制御するPchMOSトランジスタと、を有する半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-25595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置のように、出力素子がバイポーラトランジスタで構成されたレギュレータ回路においては、バイポーラトランジスタの特性上、低消費電流の軽負荷に対応させることが難しい。
【0006】
例えば、特許文献1に記載の半導体装置においては、出力素子の負荷が軽負荷(又は無負荷)に変動した場合に出力電圧が上昇してしまう場合がある。具体的には、差動増幅器のMOSトランジスタで構成された能動負荷によって、PchMOSトランジスタのドレイン電流を制御しているため、当該ドレイン電流をある一定値以下に電流を減少させることができない。この対策として、例えば、軽負荷時のNPNバイポーラトランジスタの最小ベース電流値に適用可能なようにPchMOSトランジスタの最小ドレイン電流量を調整することが挙げられる。
【0007】
しかし、上記対策を行った場合に、NPNバイポーラトランジスタの増幅率hFEばらつきが想定より小さい場合、高負荷を接続した際にNPNバイポーラトランジスタのベース電流の供給量が不足し、出力電圧が降下してしまう可能性がある。
【0008】
さらに、特許文献1に記載の半導体装置において、環境温度や素子温度が高温となり、かつ、特に出力素子の負荷が軽負荷(又は無負荷)である場合、PchMOSトランジスタのリーク電流により出力電圧がさらに上昇してしまう問題がある。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、環境温度や素子温度が高温となった場合でも、バイポーラトランジスタの増幅率のばらつきを受容し、出力電圧の変動を抑えつつ幅広い負荷範囲に対応可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体装置は、出力電圧を出力する出力端子と、ベース電流量に応じたコレクタ電流を出力し、前記出力端子が接続された出力ノードに前記コレクタ電流を供給するバイポーラトランジスタと、第1のノード、前記第1のノードに接続された第1の定電流源、及び前記第1のノードに対して前記第1の定電流源と互いに並列に接続された第1のトランジスタを含み、バイアス電流を生成するバイアス電流生成部と、差動対及び第2のノードを含み、前記差動対に前記バイアス電流生成部で生成された前記バイアス電流に対応した電流が流れかつ基準電圧及び前記出力電圧に対応した電圧が入力され、前記差動対が前記基準電圧と前記出力電圧に対応した電圧との差分に応じた制御電圧を前記第2のノードに生成する差動入力部と、電流供給回路、前記バイポーラトランジスタのベースが接続された第3のノード及び前記制御電圧に応じて前記第3のノードの電位を制御する第2のトランジスタを含む駆動部と、を有し、前記第1のトランジスタは、前記差動入力部の前記制御電圧に応じて、前記バイアス電流生成部が生成する前記バイアス電流を制御することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の半導体装置の構成を示す図である。
図2】実施例1の半導体装置の回路図である。
図3】比較例の半導体装置の回路図である。
図4】比較例の半導体装置のラインレギュレーション特性シミュレーション図である。
図5】実施例1の半導体装置のラインレギュレーション特性シミュレーション図である。
図6】実施例2の半導体装置の構成を示す図である。
図7】実施例2の半導体装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0013】
図1は、実施例1に係る半導体装置1の構成を示す図である。
【0014】
半導体装置1は、出力端子OUTから、負荷(図示せず)に応じて基準電圧Vrefに対応した所定の出力電圧Voutを出力するシリーズレギュレータ方式の安定化電源回路である。
【0015】
半導体装置1は、バイポーラトランジスタQ1及び当該バイポーラトランジスタQ1のベース電流を制御するICである制御部10を含む。すなわち、本実施において、半導体装置1は、制御部10及び当該制御部10に外付けされたバイポーラトランジスタQ1からなる安定化電源回路である。
【0016】
バイポーラトランジスタQ1は、PNP型のバイポーラトランジスタであり、エミッタが電源電圧VDDに接続され、コレクタが出力ノード1Nに接続されている。バイポーラトランジスタQ1は、コレクタから出力ノード1Nを介して出力端子OUTにベース電流量に応じた電流を送出し、負荷(図示せず)に電圧を印加する。
【0017】
キャパシタCoutは、出力ノード1Nと接地電圧VSSとの間に接続されている。キャパシタCoutは、出力端子OUTに接続された負荷が変動した際に、出力電圧Voutの平滑化を行うためのキャパシタである。
【0018】
制御部10は、電源電圧VDD及び接地電圧VSSの間に設けられており、オペアンプ20及び抵抗R1、R2を含むICデバイスである。
【0019】
抵抗R1及びR2は、出力端子OUT及び接地電圧VSSの間に互いに直列に接続されている。抵抗R1は、一端が出力ノード1Nに接続されており、他端がノードFBに接続されている。また、抵抗R2は、一端がノードFBに接続されており、他端が接地電圧VSSに接続されている。すなわち、抵抗R1及びR2の間のノードFBには、出力端子OUT(出力ノード1N)に対応した電位Vfbが生成されている。
【0020】
オペアンプ20は、電源電圧VDD及び接地電圧VSSを動作電圧として受けている。オペアンプ20は、非反転入力端子が基準電圧Vrefに接続されており、反転入力端子がノードFBに接続されている。また、オペアンプ20の出力端子は、バイポーラトランジスタQ1のベースに接続されている。
【0021】
オペアンプ20は、出力電圧Voutが基準電圧Vrefに対応した電圧値となるように、バイポーラトランジスタQ1のベース電流を制御する。
【0022】
すなわち、バイポーラトランジスタQ1は、オペアンプ20に制御されたベース電流によって、出力端子OUTに接続された負荷(図示せず)に基準電圧Vrefに対応した所定の電圧値となる出力電圧Voutが印加されるようにコレクタから電流を出力する。
【0023】
また、負荷が変動した場合、オペアンプ20は、バイポーラトランジスタQ1のベース電流を、基準電圧Vrefと出力電圧Voutに対応したノードFBの電位Vfbとの差分に対応した電流値に変化させる。これにより、バイポーラトランジスタQ1は、出力端子OUTに接続された負荷の変動に応じて、当該負荷に基準電圧Vrefに対応した所定の電圧値となる出力電圧Voutが印加されるようにコレクタから電流を出力する。
【0024】
図2を用いて、本実施例の半導体装置1について説明する。
【0025】
図2は、実施例1に係る半導体装置1の回路図を示す図である。
【0026】
オペアンプ20は、バイアス電流生成部21、差動入力部22及び駆動部23を含む。
【0027】
バイアス電流生成部21は、ノード21N、p型のMOSトランジスタP1、定電流源CG1、n型のMOSトランジスタN0を含む。
【0028】
MOSトランジスタP1は、ソースが電源電圧VDDに接続され、ドレインがノード21Nに接続され、ゲートとドレインとが接続されている。
【0029】
また、定電流源CG1は、ノード21Nと接地電圧VSSとの間に接続され、ノード21Nの電位の供給を受けて所定の一定電流を生成する。
【0030】
また、MOSトランジスタN0は、ドレインがノード21Nに接続され、ソースが接地電圧VSSに接続されている。すなわち、定電流源CG1とMOSトランジスタN0とは、ノード21Nと接地電圧VSSとの間で互いに並列に接続されている。
【0031】
なお、バイアス電流生成部21のバイアス電流であるMOSトランジスタP1のドレイン-ソース間に流れる電流は、定電流源CG1の電流値とMOSトランジスタN0のドレイン-ソース間に流れる電流値との和である。
【0032】
差動入力部22は、p型のMOSトランジスタP2、P3、P4、n型のMOSトランジスタN2、N3及びノード22Nを含む。
【0033】
MOSトランジスタP2は、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートがバイアス電流生成部21のMOSトランジスタP1のゲートに接続されている。すなわち、MOSトランジスタP2は、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタP1とカレントミラー接続されており、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタP1のドレイン電流がコピーされる。すなわち、差動入力部22のMOSトランジスタP2は、当該差動入力部22の電流源として機能する。
【0034】
MOSトランジスタP3、N2及びMOSトランジスタP4、N3は、MOSトランジスタP2のドレインと接地電圧VSSとの間で互いに並列に接続されている。
【0035】
MOSトランジスタP3は、ソースがMOSトランジスタP2のドレインに接続され、ゲートが基準電圧Vrefに接続されている。また、MOSトランジスタP4は、ソースがMOSトランジスタP2のドレインに接続され、ゲートが抵抗R1及びR2の間であるノードFBに接続され、ドレインがノード22Nに接続されている。すなわち、MOSトランジスタP3及びP4は、差動入力部22の差動対として機能する。
【0036】
MOSトランジスタN2は、ドレインがMOSトランジスタP3のドレインに接続され、ソースが接地電圧VSSに接続され、ゲートとドレインとが接続されている。MOSトランジスタN3は、ドレインがノード22Nに接続され、ソースが接地電圧VSSに接続され、ゲートがMOSトランジスタN2のゲートに接続されている。すなわち、MOSトランジスタN2及びN3は、カレントミラー接続されており、差動入力部22の負荷部として機能する。
【0037】
従って、差動入力部22のノード22Nには、基準電圧Vrefと抵抗R1及びR2の間のノードFBに印加されている、出力端子OUT(出力ノード1N)に対応した電位Vfbとの差分に応じた制御電圧である電位Vnegが生成される。
【0038】
なお、MOSトランジスタP3、N2及びMOSトランジスタP4、N3に流れる電流値の和は、MOSトランジスタP2のドレイン電流と等しくなる。
【0039】
また、差動入力部22のノード22Nには、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN0のゲートが接続されている。すなわち、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN0は、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegに応じてドレイン-ソース間に電流を流す。言い換えれば、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN0は、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegに応じて、バイアス電流生成部21に流れるバイアス電流(MOSトランジスタP1のソース-ドレイン間電流)量を制御する。
【0040】
駆動部23は、定電流源CG2、MOSトランジスタN1及びノード23Nを含む。定電流源CG2は、電源電圧VDDとノード23Nとの間に接続され、定電流源CG2は当該電源電圧VDDの供給を受けて所定の一定電流を生成する。また、MOSトランジスタN1は、ドレインがノード23Nに接続され、ソースが接地電圧VSSに接続され、ゲートが差動入力部22のノード22Nに接続されている。また、ノード23Nには、バイポーラトランジスタQ1のベースに接続されている。
【0041】
よって、MOSトランジスタN1は、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegに応じて、ドレイン-ソース間に電流を流し、ノード23Nの電位Vbを制御する。すなわち、駆動部23のMOSトランジスタN1は、ノード23Nの電位Vbを制御してバイポーラトランジスタQ1のベースからのシンク電流量を制御する。
【0042】
なお、MOSトランジスタN1は、出力端子OUTに接続された負荷が軽負荷である場合に、バイポーラトランジスタQ1の最小ベース電流(シンク電流)となる、ノード23Nの電位Vbの最小電位に対応可能なようにドレイン電流の最小値が設定されている。
【0043】
上述の通り、オペアンプ20は、出力端子OUTに接続された負荷の変動に応じて、当該負荷に基準電圧Vrefに対応した所定の電圧値となる出力電圧Voutが印加されるようにバイポーラトランジスタQ1のベースからのシンク電流量を制御する。
【0044】
例えば、実施例1の半導体装置1の出力端子OUTに接続された負荷が通常の負荷状態から高負荷状態に変動した場合、出力電圧Voutは低下する。そのため、半導体装置1は、バイポーラトランジスタQ1のコレクタ電流を増加させて出力電圧Voutを上昇させるべく動作する。
【0045】
具体的には、負荷が高負荷に切り替わった時、出力電圧Voutの低下に応じて抵抗R1及びR2間のノードFBの電位Vfbが低下する。ノードFBの電位Vfbが低下することにより、差動入力部22のMOSトランジスタP4のソース-ドレイン電流量が増加する。そのため、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegが上昇する。
【0046】
差動入力部22のノード22Nの電位Vnegの上昇に伴い、駆動部23のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間を流れる電流量が増加し、駆動部23のノード23Nの電位Vbが低下する。
【0047】
駆動部23のノード23Nの電位Vbが低下することにより、バイポーラトランジスタQ1のエミッタ-ベース間の電位差が増加し、当該バイポーラトランジスタQ1のベースからのシンク電流量が増加してコレクタ電流が増加する。
【0048】
さらに、上述の通り、本実施例1の半導体装置1においては、バイアス電流生成部21にMOSトランジスタN0が設けられており、MOSトランジスタN0のゲートが差動入力部22のノード22Nに接続されている。
【0049】
そのため、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegの上昇に伴い、MOSトランジスタN0のドレイン-ソース間に流れる電流量が増加する。すなわち、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタP1のソース-ドレイン間に流れる電流量が増加する。言い換えれば、差動入力部22は、出力端子OUTに接続された負荷が高負荷に変動した場合に、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN0に流れる電流を増加させてバイアス電流生成部21のバイアス電流であるMOSトランジスタP1のソース-ドレイン間に流れる電流量を増加させる。
【0050】
これにより、差動入力部22のMOSトランジスタP2のソース-ドレイン間に流れる電流量、すなわち差動入力部22に流れる電流の総量が増加し、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegがさらに上昇する。
【0051】
よって、駆動部23のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間に流れる電流量がさらに増加し、ノード23Nの電位Vbをさらに低下させることができる。すなわち、バイポーラトランジスタQ1のベースからのシンク電流量をさらに増加させ、コレクタ電流をさらに増加させることができる。
【0052】
従って、本実施例1の半導体装置1によれば、負荷が高負荷に変動した場合であっても、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN0によって、バイアス電流生成部21に流れる電流量を制御する。これにより、バイポーラトランジスタQ1の増幅率hFEが変動するコレクタ電流の大電流領域においても、所望の電圧範囲の出力電圧Voutを生成することが可能となる。すなわち、半導体装置1は、出力端子OUTに負荷が高負荷に変動した際に、当該高負荷に印加される出力電圧Voutの低下を抑制することができる。
【0053】
また一方、例えば、実施例1の半導体装置1の出力端子OUTに接続された負荷が通常の負荷状態から軽負荷状態(又は無負荷状態)に変動した場合、出力電圧Voutは上昇する。そのため、半導体装置1は、バイポーラトランジスタQ1のコレクタ電流を減少させて出力電圧Voutを低下させるべく動作する。
【0054】
具体的には、負荷が軽負荷に変動した時、出力電圧Voutの上昇に応じて抵抗R1及びR2間のノードFBの電位Vfbが上昇する。ノードFBの電位Vfbが上昇することにより、差動入力部22のMOSトランジスタP4のソース-ドレイン電流量が減少する。そのため、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegが低下する。
【0055】
差動入力部22のノード22Nの電位Vnegの低下に伴い、駆動部23のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間を流れる電流量が減少し、駆動部23のノード23Nの電位Vbが上昇する。
【0056】
駆動部23のノード23Nの電位Vbが上昇することにより、バイポーラトランジスタQ1のエミッタ-ベース間の電位差が減少し、当該バイポーラトランジスタQ1のベースからのシンク電流量が減少してコレクタ電流が減少する。
【0057】
さらに、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegの減少に伴い、MOSトランジスタN0のドレイン-ソース間に流れる電流量が減少する。すなわち、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタP1のソース-ドレイン間に流れる電流量が減少する。言い換えれば、差動入力部22は、出力端子OUTに接続された負荷が軽負荷に変動した場合に、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN0に流れる電流を減少させてバイアス電流生成部21のバイアス電流であるMOSトランジスタP1のソース-ドレイン間に流れる電流量を減少させる。
【0058】
これにより、差動入力部22のMOSトランジスタP2のソース-ドレイン間に流れる電流量、すなわち差動入力部22に流れる電流の総量が減少し、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegがさらに低下する。
【0059】
よって、駆動部23のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間に流れる電流量がさらに減少し、ノード23Nの電位Vbをさらに上昇させることができる。これにより、バイポーラトランジスタQ1のベースからのシンク電流量をさらに減少させ、コレクタ電流をさらに減少させることができる。すなわち、半導体装置1は、出力端子OUTに接続された負荷が軽負荷に変動した際に、当該軽負荷に印加される出力電圧Voutの上昇を抑制することができる。
【0060】
従って、本実施例1の半導体装置1によれば、軽負荷状態(又は無負荷状態)が接続された場合であっても、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN0によって、バイアス電流生成部21に流れる電流量を制御することにより、所望の電圧範囲の出力電圧Voutを生成することが可能となる。
【0061】
さらに、本実施例1の半導体装置1によれば、軽負荷状態(又は無負荷状態)が接続されかつ環境温度や素子温度が高温となった場合においても、出力電圧Voutの上昇を抑制することが可能である。
【0062】
例えば、半導体装置1は、高温環境下に、MOSトランジスタN1のドレイン-ソース間にリーク電流が生じたとしても、当該リーク電流の発生に応じた出力電圧Voutの上昇に応じて、バイアス電流生成部21に流れる電流量を減少させる。これにより、駆動部23のMOSトランジスタN1に生じたリーク電流を相殺するように、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegを低下させる。従って、半導体装置1は、高温環境下に負荷が軽負荷に変動した場合でも、所望の電圧範囲の出力電圧Voutを生成することが可能となる。
【0063】
以下に、比較例を用いて、本実施例1の出力電圧特性について説明する。
【0064】
図3は、比較例に係る半導体装置1Aの回路図である。
【0065】
図3に示す通り、比較例の半導体装置1Aにおいて、差動入力部22A及び駆動部23Aの回路構成は、本実施例1の半導体装置1の差動入力部22及び駆動部23と同様である。比較例の半導体装置1Aにおいては、バイアス電流生成部21AにMOSトランジスタN1が設けられていない点で本実施例1と異なる。すなわち、比較例の半導体装置1Aは、バイアス電流生成部21Aに常に一定の電流が流れている。
【0066】
なお、本実施例1の半導体装置1及び比較例の半導体装置1Aは、常温環境時に出力端子OUTの負荷が軽負荷に変動した場合に、出力端子OUTから当該軽負荷に対して出力電圧Voutの目標値の電圧値が印加されるように、それぞれのトランジスタ特性が設定されている。
【0067】
具体的には、バイポーラトランジスタQ1は、所定の増幅率hFEのばらつきが大であることを想定し、かつ、駆動部23AのMOSトランジスタN1の最小ドレイン電流が、バイポーラトランジスタQ1のベース電流の最小値である、軽負荷時のベース電流量に適用可能に設定されている。
【0068】
図4は、比較例に係る半導体装置1Aのラインレギュレーション特性シミュレーション図である。また、図5は、本実施例1に係る半導体装置1のラインレギュレーション特性シミュレーション図である。
【0069】
図4及び図5において、上段のグラフは常温時のラインレギュレーション特性を示し、下段のグラフは高温環境下におけるラインレギュレーション特性を示している。
【0070】
それぞれのグラフにおいて、縦軸は出力電圧Voutを示しており、縦軸と直行する一点鎖線は出力電圧Voutの目標電圧値を示している。また、横軸は、電源電圧VDDを示しており、横軸と直行する2本の一点鎖線Min.とMax.の範囲で電源電圧VDDが変動するものとする。
【0071】
また、それぞれのグラフにおいて、実線が出力端子OUTの負荷が軽負荷時の出力電圧Voutの挙動を示し、破線が出力端子OUTの負荷が高負荷時の出力電圧Voutの挙動を示している。
【0072】
なお、図4及び図5において、軽負荷とは出力端子OUTから数μAの電流を供給する負荷であり、高負荷とは出力端子OUTから数100mAの電流を供給する負荷である。ここでの軽負荷、高負荷は一例であり、本実施例1の動作範囲を制限するものではない。
【0073】
また、図4及び図5においては、バイポーラトランジスタQ1の増幅率hFEばらつきを考慮し、軽負荷時にバイポーラトランジスタQ1の増幅率hFEのばらつきが大であることを想定し、高負荷時にバイポーラトランジスタQ1の増幅率hFEのばらつきが小であることを想定して説明を行う。
【0074】
図4に示すように、比較例の半導体装置1Aにおいては、上記の設定により、常温環境下に負荷が軽負荷となった場合に、出力電圧Voutの目標値の電圧値近傍となるような出力特性となっている。
【0075】
しかし、常温環境下で負荷が高負荷となりかつバイポーラトランジスタQ1の増幅率hFEのばらつきが小である場合、出力電圧Voutが低下している。これは、増幅率hFEのばらつきが小さくなり、バイポーラトランジスタQ1のベース電流(シンク電流)の必要量が大きくなったため、高負荷となった際にベース電流(シンク電流)が不足し、高負荷に流すコレクタ電流が低下して出力電圧Voutが降下するためである。
【0076】
また、図4に示すように、比較例の半導体装置1Aにおいては、高温環境下で負荷が軽負荷となった場合に、出力電圧Voutが上昇している。これは、高温環境下において駆動部23のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間にリーク電流が生じ、ノード23Nの電位Vbが低下することでバイポーラトランジスタQ1のベース電流(シンク電流)が軽負荷時に要求される量よりも大きくなり、軽負荷に流すコレクタ電流量が増加して出力電圧Voutが上昇するためである。
【0077】
図5に示すように、本実施例1の半導体装置1においては、常温環境下で高負荷となりかつバイポーラトランジスタQ1の増幅率hFEのばらつきが小である場合であっても、出力電圧Voutの低下が抑制されている。これは、バイポーラトランジスタQ1の増幅率hFEのばらつきが小であり、バイポーラトランジスタQ1のベース電流(シンク電流)の必要量が大きくなった場合に、出力電圧Voutの低下に応じてバイアス電流生成部21に流れる電流量が増加するためである。
【0078】
具体的には、上述のとおり、出力電圧Voutの電圧値及びノードFBの電位Vfbに低下に応じてバイアス電流生成部21のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間の電流量が増加してバイアス電流生成部21に流れる電流量が増加する。バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN1によって差動入力部22の総電流量が増加することで、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegは上昇する。よって、駆動部23のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間に流れる電流が増加し、バイポーラトランジスタQ1の不足するベース電流(シンク電流)を補うように増加させるためである。
【0079】
また、図5に示すように、本実施例1の半導体装置1においては、高温環境下に軽負荷となった場合に、出力電圧Voutの上昇が抑制されている。これは、高温環境下において駆動部23のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間にリーク電流が生じ、バイポーラトランジスタQ1のベース電流(シンク電流)が軽負荷時に要求される量よりも大きくなった場合に、出力電圧Voutの上昇に応じてバイアス電流生成部21に流れる電流量が低下するためである。
【0080】
具体的には、上述のとおり、出力電圧Voutの電圧値及びノードFBの電位Vfbに上昇に応じてバイアス電流生成部21のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間の電流量が減少してバイアス電流生成部21に流れる電流量が減少する。バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN1によって差動入力部22の総電流量が減少することで、差動入力部22のノード22Nの電位Vnegは低下する。よって、駆動部23のMOSトランジスタN1のドレイン-ソース間に流れる電流が減少し、当該MOSトランジスタN1のリーク電流の分だけ増加したバイポーラトランジスタQ1のベース電流(シンク電流)を補うように減少させるためである。
【0081】
このように、本実施例1の半導体装置1によれば、環境温度や素子温度が高温となった場合及びバイポーラトランジスタQ1の増幅率hFEばらつきが変動した場合でも幅広い負荷範囲の変動に対応して出力電圧Voutが変動することを抑制することが可能となる。
【実施例0082】
図6は、実施例2に係る半導体装置2の構成を示す図である。また、図7は、実施例2に係る半導体装置2の回路図を示す図である。
【0083】
実施例2の半導体装置2は、実施例1の半導体装置1におけるPNP型のバイポーラトランジスタQ1に代えて、NPN型のバイポーラトランジスタQ2を有する点で実施例1と異なる。
【0084】
また、実施例2の半導体装置2における制御部30は、NPN型のバイポーラトランジスタQ2を用いることに伴い、当該制御部30に含まれるオペアンプ40の内部構成が異なる。
【0085】
図6に示す通り、バイポーラトランジスタQ2は、NPN型のバイポーラトランジスタであり、コレクタが電源電圧VDDに接続され、エミッタが出力端子OUTに接続されている。バイポーラトランジスタQ2は、エミッタから出力端子OUTに電流を送出し、負荷(図示せず)に電圧を印加する。
【0086】
図7に示す通り、オペアンプ40は、バイアス電流生成部41、差動入力部42及び駆動部43を含む。
【0087】
バイアス電流生成部41は、n型のMOSトランジスタN4、定電流源CG3、p型のMOSトランジスタP0を含む。
【0088】
MOSトランジスタN4は、ソースが接地電圧VSSに接続され、ドレインがノード41Nに接続され、ゲートとドレインとが接続されている。
【0089】
定電流源CG3は、電源電圧VDDとノード41Nの間に接続され、電源電圧VDDの供給を受けて所定の一定電流を生成する。
【0090】
MOSトランジスタP0は、ドレインがノード41Nに接続され、ソースが電源電圧VDDに接続されている。すなわち、定電流源CG3とMOSトランジスタP0とは、ノード21Nと接地電圧VSSとの間で互いに並列に接続されている。
【0091】
なお、バイアス電流生成部21のバイアス電流であるMOSトランジスタN4のドレイン-ソース間に流れる電流は、定電流源CG3の電流値とMOSトランジスタP0のソース-ドレイン間に流れる電流値との和である。
【0092】
差動入力部42は、n型のMOSトランジスタN5、N6、N7及びp型のMOSトランジスタP6、P7を含む。
【0093】
MOSトランジスタN5は、ソースが接地電圧VSSに接続され、ゲートがバイアス電流生成部41のMOSトランジスタN4のゲートに接続されている。すなわち、MOSトランジスタN5は、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタN4とカレントミラー接続されており、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタN4のドレイン電流がコピーされる。すなわち、差動入力部42のMOSトランジスタN5は、当該差動入力部42の電流源として機能する。
【0094】
MOSトランジスタN6、P6及びMOSトランジスタN7、P7は、MOSトランジスタN5のドレインと電源電圧VDDとの間で互いに並列に接続されている。
【0095】
MOSトランジスタN6は、ソースがMOSトランジスタN5のドレインに接続され、ゲートが基準電圧Vrefに接続され、ドレインがノード42Nに接続されている。また、MOSトランジスタN7は、ソースがMOSトランジスタN5のドレインに接続され、ゲートが抵抗R1及びR2の間であるノードFBに接続されている。すなわち、MOSトランジスタN6及びN7は、差動入力部22の差動対として機能する。
【0096】
MOSトランジスタP6は、ドレインがノード42Nに接続され、ソースが電源電圧VDDに接続されている。MOSトランジスタP7は、ドレインがMOSトランジスタN7のドレインに接続され、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートが自身のドレイン及びMOSトランジスタP6のゲートに接続されている。すなわち、MOSトランジスタP6及びP7は、カレントミラー接続されており、差動入力部42の負荷部として機能する。なお、MOSトランジスタP6、N6及びMOSトランジスタP7、N7に流れる電流値の和は、MOSトランジスタN5のドレイン電流と等しくなる。
【0097】
また、差動入力部42のノード42Nには、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタP0のゲートが接続されている。すなわち、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタP0は、差動入力部42のノード42Nの電位Vposに応じてソース-ドレイン間に電流を流す。
【0098】
駆動部43は、p型のMOSトランジスタP5及び定電流源CG4を含む。
【0099】
MOSトランジスタP5は、ドレインがノード43Nに接続され、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートが差動入力部42のノード42Nに接続されている。また、ノード43Nには、バイポーラトランジスタQ1のベースに接続されている。また、定電流源CG4は、ノード43Nと接地電圧VSSとの間に接続され、定電流源CG4は当該ノード43Nの電位Vbの供給を受けて所定の一定電流を生成する。
【0100】
よって、MOSトランジスタP5は、差動入力部42のノード42Nの電位Vposに応じて、ソース-ドレイン間に電流を流し、ノード43Nの電位Vbを変化させてバイポーラトランジスタQ1のベースに供給するベース電流量を制御する。
【0101】
実施例2の半導体装置2は、実施例1の半導体装置1と同様の動作を行い、バイポーラトランジスタQ2のベースに供給するベース電流量を制御して出力端子OUTに接続された負荷に所定の出力電圧Voutを印加する。
【0102】
例えば、実施例2の半導体装置2の出力端子OUTに接続された負荷が通常の負荷状態から高負荷状態に変動した場合、出力電圧Voutは低下する。そのため、半導体装置2は、バイポーラトランジスタQ2のコレクタ電流を増加させて出力電圧Voutを上昇させるべく動作する。
【0103】
具体的には、負荷が高負荷に変動した時、出力電圧Voutの低下に応じて抵抗R1及びR2間のノードFBの電位Vfbが低下する。ノードFBの電位Vfbが低下することにより、差動入力部42のMOSトランジスタN7のドレイン-ソース間に流れる電流量が減少する。これに伴い、MOSトランジスタN6のドレイン-ソース間に流れる電流量が増加する。そのため、差動入力部42のノード42Nの電位Vposが低下する。
【0104】
差動入力部42のノード42Nの電位Vposの低下に伴い、駆動部43のMOSトランジスタP5のソース-ドレイン間を流れる電流量が増加し、駆動部43のノード43Nの電位Vbが上昇する。
【0105】
駆動部43のノード43Nの電位Vbが上昇することにより、バイポーラトランジスタQ2のベース-エミッタ間電圧VBEが増加し、当該バイポーラトランジスタQ2のベースに供給されるベース電流量が増加してコレクタ電流が増加する。
【0106】
さらに、上記の通り、本実施例2の半導体装置2においては、バイアス電流生成部41にMOSトランジスタP0が設けられており、MOSトランジスタP0のゲートが差動入力部42のノード42Nに接続されている。
【0107】
そのため、差動入力部42のノード42Nの電位Vposの上昇に伴い、MOSトランジスタP0のソース-ドレイン間に流れる電流量が増加する。すなわち、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタN4のドレイン-ソース間に流れる電流量が増加する。言い換えれば、差動入力部42は、出力端子OUTに接続された負荷が高負荷に変動した場合に、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタP0に流れる電流を増加させてバイアス電流生成部41のバイアス電流であるMOSトランジスタN4のソース-ドレイン間に流れる電流量を増加させる。
【0108】
これにより、差動入力部42のMOSトランジスタN5のドレイン-ソース間に流れる電流量、すなわち差動入力部42に流れる電流の総量が増加する。また、MOSトランジスタN5にドレイン-ソース間に流れる電流量がさらに増加することにより、差動入力部42のノード22Nの電位Vnegがさらに低下する。
【0109】
よって、駆動部43のMOSトランジスタP5のソース-ドレイン間に流れる電流量がさらに増加し、ノード43Nの電位Vbをさらに上昇させることができる。これにより、バイポーラトランジスタQ2のベースに供給するベース電流量をさらに増加させ、コレクタ電流をさらに増加させることができる。すなわち、半導体装置2は、出力端子OUTの負荷が高負荷に変動した際に、当該高負荷に印加される出力電圧Voutの低下を抑制することができる。
【0110】
さらに、上述したように、バイポーラトランジスタQ2の所定の増幅率hFEのばらつきが大であることを想定し、ベース電流の最小値(下限値)を設定したにも拘らず、実際のバイポーラトランジスタQ2の増幅率hFEばらつきが小となる可能性がある。このような場合でも、半導体装置2は、バイポーラトランジスタQ2から高負荷に供給する大電流に必要なベース電流の不足分を補うように、MOSトランジスタP0がバイアス電流生成部41に流れる電流量を増加させ、差動入力部42に流れる総電流量を増加させる。
【0111】
従って、本実施例1の半導体装置1によれば、負荷が高負荷に変動した場合であっても、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタP0によって、バイアス電流生成部41に流れる電流量を制御することにより、所望の電圧範囲の出力電圧Voutを生成することが可能となる。
【0112】
また一方、例えば、実施例2の半導体装置2の出力端子OUTに接続された負荷が通常の負荷状態から軽負荷状態(又は無負荷状態)に変動した場合、出力電圧Voutは上昇する。そのため、半導体装置2は、バイポーラトランジスタQ2のコレクタ電流を減少させて出力電圧Voutを低下させるべく動作する。
【0113】
具体的には、負荷が軽負荷に変動した時、出力電圧Voutの上昇に応じて抵抗R1及びR2間のノードFBの電位Vfbが上昇する。ノードFBの電位Vfbが上昇することにより、差動入力部42のMOSトランジスタN7のドレイン-ソース間に流れる電流量が増加する。これに伴い、MOSトランジスタN6のドレイン-ソース間に流れる電流量が減少する。そのため、差動入力部42のノード42Nの電位Vposが上昇する。
【0114】
差動入力部42のノード42Nの電位Vposの上昇に伴い、駆動部23のMOSトランジスタP5のソース-ドレイン間を流れる電流量が減少し、駆動部23のノード23Nの電位Vbが低下する。
【0115】
駆動部23のノード23Nの電位Vbが低下することにより、バイポーラトランジスタQ2のベース-エミッタ間電圧VBEが減少し、当該バイポーラトランジスタQ2のベースに供給するベース電流量が減少してコレクタ電流が減少する。
【0116】
さらに、差動入力部42のノード42Nの電位Vposの上昇に伴い、MOSトランジスタP0のソース-ドレイン間に流れる電流量が減少する。すなわち、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタN4のドレイン-ソース間に流れる電流量が減少する。言い換えれば、差動入力部42は、出力端子OUTに接続された負荷が軽負荷に変動した場合に、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタP0に流れる電流を減少させてバイアス電流生成部41のバイアス電流であるMOSトランジスタN4のソース-ドレイン間に流れる電流量を減少させる。
【0117】
これにより、差動入力部42のMOSトランジスタN3のドレイン-ソース間に流れる電流量、すなわち差動入力部42に流れる電流の総量が減少し、差動入力部42のノード42Nの電位Vposがさらに低下する。
【0118】
よって、駆動部43のMOSトランジスタP5のソース-ドレイン間に流れる電流量がさらに減少し、ノード43Nの電位Vbをさらに低下させることができる。すなわち、バイポーラトランジスタQ2のベースに供給するベース電流量をさらに減少させ、コレクタ電流をさらに減少させることができる。すなわち、半導体装置2は、出力端子OUTの負荷が軽負荷に変動した際に、当該軽負荷に印加される出力電圧Voutの上昇を抑制することができる。
【0119】
従って、本実施例2の半導体装置2によれば、負荷が軽負荷状態(又は無負荷状態)に変動した場合であっても、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタP0によって、バイアス電流生成部41に流れる電流量を制御することにより、所望の電圧範囲の出力電圧Voutを生成することが可能となる。
【0120】
さらに、例えば、本実施例2の半導体装置2によれば、負荷が軽負荷状態(又は無負荷状態)に変動しかつ環境温度や素子温度が高温となった場合においても、出力電圧Voutの上昇を抑制することが可能である。
【0121】
具体的には、半導体装置2は、高温環境下に、MOSトランジスタP5のソース-ドレイン間にリーク電流が生じたとしても、当該リーク電流の発生に応じた出力電圧Voutの上昇に応じて、バイアス電流生成部41に流れる電流量を減少させる。これにより、駆動部43のMOSトランジスタP5に生じたリーク電流を相殺するように、差動入力部42のノード42Nの電位Vposが上昇する。従って、半導体装置2は、高温環境下に負荷が軽負荷に変動した場合でも、所望の電圧範囲の出力電圧Voutを生成することが可能となる。
【0122】
このように、本実施例2の半導体装置2によれば、環境温度や素子温度が高温となった場合及びバイポーラトランジスタQ2の増幅率hFEばらつきがあっても、幅広い負荷範囲の変動に対して出力電圧Voutの変動を抑制することが可能となる。
【0123】
なお、本実施例1及び2においては、オペアンプ20、40は、n型及びp型のMOSトランジスタで構成された回路である。よって、制御部10、30は、CMOSプロセスで製造可能である。CMOSプロセスにて製造されたオペアンプ20、40を用いることによって、バイポーラトランジスタQ1、Q2を制御する制御部10、30の低消費電流化とすることが可能となる。
【0124】
また、本実施例1及び2において、半導体装置1、2のパッケージにおける許容損失の許容範囲内である場合、バイポーラトランジスタQ1、Q2及び制御部10を同一のICデバイスに搭載してもよい。その場合、Bi-CMOSプロセスにて製造された、制御部10、30及びバイポーラトランジスタQ1、Q2を含むICデバイスとして用いることが可能である。
【0125】
また、半導体装置1、2は、それぞれの素子がディスクリートICで構成されていてもよい。
【0126】
また、本実施例1及び2においては、オペアンプ20、40に代えて、OTA(operational trans- conductance amplifier)回路又はフォールデッドカスコード回路等を用いても実現可能である。要は、差動入力部にバイアス電流生成部とカレントミラー接続されたMOSトランジスタを有し、かつバイアス電流生成部に差動入力部の出力電圧Voutに応じてバイアス電流生成部の電流量を制御するMOSトランジスタを有する構成であれば実現可能である。
【0127】
具体的には、実施例1においては、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN0によってバイアス電流量が増減でき、差動入力部22のMOSトランジスタP2の電流増減により駆動部23のMOSトランジスタN1の電流(すなわち、ノード23Nの電位Vbであり、バイポーラトランジスタQ1のベース-エミッタ間電圧VBE)を調整する。また、実施例2においては、バイアス電流生成部41のMOSトランジスタP0によってバイアス電流量が増減でき、差動入力部42のMOSトランジスタN5の電流増減により駆動部23のMOSトランジスタP5の電流(すなわち、ノード43Nの電位Vbであり、バイポーラトランジスタQ2のベース-エミッタ間電圧VBE)を調整する。
【0128】
以上の動作が可能な差動回路であれば、いかなる構成であってもよい。
【0129】
また、本実施例1においては、駆動部23が定電流源CG2及びMOSトランジスタN1からなる場合について説明した。しかし、駆動部23において、ノード23Nの電位Vbをプルアップすることができる回路構成であれば、定電流源CG2に代えて抵抗を用いてもよい。
【0130】
同様に、本実施例2においては、駆動部43のノード43Nの電位Vbをプルダウンすることができる回路構成であれば、定電流源CG4に代えて抵抗を用いてもよい。
【0131】
また、本実施例1においては、バイアス電流生成部21のMOSトランジスタN0がノード21Nと接地電圧VSSとの間に接続されている場合について説明したが、MOSトランジスタN0のソースと接地電圧VSSとの間に定電流源を設けるようにしてもよい。
【0132】
バイアス電流生成部21において、MOSトランジスタN0のソースと接地電圧VSSとの間に定電流源を設けることにより、MOSトランジスタN0のドレイン-ソース間に流れる電流量の上限値を定めることができる。
【0133】
例えば、MOSトランジスタN0のドレイン-ソース間に流れる電流量の上限値が、MOSトランジスタN0のサイズ比で調整可能な上限値よりも小さい場合、MOSトランジスタN0のドレイン-ソース間に意図する範囲を超える電流量が流れる場合がある。この場合、オペアンプ20の位相余裕が低下し、発振又は出力電流が大きすぎてパッケージ許容損失を越えて発火する可能性が生じる。
【0134】
よって、MOSトランジスタN0のソースと接地電圧VSSとの間に定電流源を設けることにより、上記のような問題を防止することが可能となる。
【0135】
なお、MOSトランジスタN0のソースと接地電圧VSSとの間に設ける定電流源に代えて、MOSトランジスタN0の電流制限を行う抵抗を用いてもよい。
【0136】
同様に、本実施例2においては、MOSトランジスタP0のソースと電源電圧VDDとの間に定電流源または抵抗を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1,2 半導体装置
10、30 制御部
20、40 オペアンプ
21、41 バイアス電流生成部
22、42 差動入力部
23、43 駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7