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特開2024-130710通報転送制御装置、通報処理装置、通報転送制御方法、及び、通報転送制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130710
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】通報転送制御装置、通報処理装置、通報転送制御方法、及び、通報転送制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/04 20060101AFI20240920BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240920BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04M11/04
G06Q50/26
G08B25/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040581
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】西井 大智
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】角田 哲洋
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB76
5C087DD02
5C087DD04
5C087DD05
5C087EE07
5C087FF01
5C087GG67
5C087GG70
5K201BA03
5K201BC08
5K201CC04
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED07
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】本来通報を受け付ける拠点が通報に対応できない状態になった場合において、その拠点の機能を代替えする拠点が通報に適切に対応可能にする。
【解決手段】通報転送制御装置40は、通報400を第1の対応拠点50-1に転送する場合において、複数の対応拠点50の状態を表す状態情報410を取得する状態情報取得部41と、対応拠点50の個々に関して、第1の対応拠点50-1を代替えすることの適切性を表す適切性情報420を取得する適切性情報取得部42と、状態情報410が、第1の対応拠点50-1が通報400に対応できない状態であることを示す場合、対応拠点50のうち、適切性情報420によって示される適切性が高い対応拠点50ほど優先して、第1の対応拠点50-1を代替えする第2の対応拠点50-2として選択する選択部43と、第2の対応拠点50-2に通報400を転送する転送部44と、を備える。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け付けた通報を前記通報に対応する第1の対応拠点に転送する場合において、複数の対応拠点の状態を表す状態情報を取得する状態情報取得手段と、
前記複数の対応拠点の個々に関して、前記第1の対応拠点を代替えすることの適切性を表す適切性情報を取得する適切性情報取得手段と、
前記状態情報が、前記第1の対応拠点が前記通報に対応できない状態であることを示す場合、前記複数の対応拠点のうち、前記適切性情報によって示される適切性が高い対応拠点ほど優先して、前記第1の対応拠点を代替えする第2の対応拠点として選択する選択手段と、
前記第2の対応拠点に前記通報を転送する転送手段と、
を備える通報転送制御装置。
【請求項2】
前記適切性情報は、前記第1の対応拠点が担当する地域に関して保持する情報量が多い対応拠点ほど、前記第2の対応拠点としての適切性が高いことを表す、
請求項1に記載の通報転送制御装置。
【請求項3】
前記適切性情報は、前記第1の対応拠点への移動の容易性が高い対応拠点ほど、前記第2の対応拠点としての適切性が高いことを表す、
請求項1または請求項2に記載の通報転送制御装置。
【請求項4】
前記適切性情報は、前記第1の対応拠点との距離が近い対応拠点ほど、あるいは、前記第1の対応拠点への移動時間が短い対応拠点ほど、前記第2の対応拠点としての適切性が高いことを表す、
請求項3に記載の通報転送制御装置。
【請求項5】
前記選択手段は、前記第1の対応拠点が受け付ける通報量以上の通報を受け付けられる確実性が高い対応拠点ほど、前記第2の対応拠点としての適切性が高いことを表す、
請求項1または請求項2に記載の通報転送制御装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の通報転送制御装置から前記通報を転送された前記第2の対応拠点における通報処理装置であって、
前記通報の通報者と受理者との間の会話の音声を認識する音声認識手段と、
前記会話の音声の認識結果に対する自然言語処理を行う自然言語処理手段と、
前記自然言語処理の結果を、前記第1の対応拠点が担当する地域に関する地域情報を用いて解析することによって、前記通報の内容を特定する特定手段と、
を備える通報処理装置。
【請求項7】
前記地域情報は、前記第1の対応拠点の担当地域に関する地図情報、及び、前記担当地域において使用される方言の意味を表す方言情報の少なくともいずれかを含む、
請求項6に記載の通報処理装置。
【請求項8】
前記特定手段によって特定された前記通報の内容に含まれる通報位置との位置関係が所定の基準を満たす位置にいる職員の端末に前記通報の内容を通知する通知手段をさらに備える、
請求項6に記載の通報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
受け付けた通報を前記通報に対応する第1の対応拠点に転送する場合において、複数の対応拠点の状態を表す状態情報を取得し、
前記複数の対応拠点の個々に関して、前記第1の対応拠点を代替えすることの適切性を表す適切性情報を取得し、
前記状態情報が、前記第1の対応拠点が前記通報に対応できない状態であることを示す場合、前記複数の対応拠点のうち、前記適切性情報によって示される適切性が高い対応拠点ほど優先して、前記第1の対応拠点を代替えする第2の対応拠点として選択し、
前記第2の対応拠点に前記通報を転送する、
通報転送制御方法。
【請求項10】
受け付けた通報を前記通報に対応する第1の対応拠点に転送する場合において、複数の対応拠点の状態を表す状態情報を取得する状態情報取得処理と、
前記複数の対応拠点の個々に関して、前記第1の対応拠点を代替えすることの適切性を表す適切性情報を取得する適切性情報取得処理と、
前記状態情報が、前記第1の対応拠点が前記通報に対応できない状態であることを示す場合、前記複数の対応拠点のうち、前記適切性情報によって示される適切性が高い対応拠点ほど優先して、前記第1の対応拠点を代替えする第2の対応拠点として選択する選択処理と、
前記第2の対応拠点に前記通報を転送する転送処理と、
をコンピュータに実行させるための通報転送制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報転送制御装置、通報処理装置、通報転送制御方法、及び、通報転送制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日々、警察や消防等に対する多数の通報が行われている。そして警察や消防等が受け付けた通報に迅速かつ適切に対応できるように支援する技術が期待されている。
【0003】
上述の技術に関連して、特許文献1には、緊急通報に対して、所轄の消防署に対して簡単 かつ確実に救急車の出動要請を行う緊急通報システムが開示されている。このシステムにおける通報送信装置は、通信回線を介して通報受信装置との間での音声通話を行い、現在の自己の位置情報を取得し、取得された自己の位置情報を、通信回線を介して通報受信装置に送信する。このシステムにおける通報受信装置は、住所と、当該住所を所轄エリアとする消防署の消防署情報と、が対応付けられて記憶された消防署データベースを参照して、通報送信装置から送信された位置情報が示す住所から当該住所に対応する所轄消防署を検索する。そしてこのシステムにおける通報受信装置は、通報送信装置との間の音声通話と、通報送信装置と検索された所轄消防署との間の音声通話回線の接続と、を行う。
【0004】
また、特許文献2には、無線指令音声情報の集中収集、及びメール文選択生成後に緊急通報する消防団初期情報支援システムが開示されている。このシステムは、常時無線通信を傍受する受信点を設置し、災害出動指令をキャッチすると、通報センターにおいてテキスト変換し、キーワードによってトリガデータを生成し、自動でメールを送信する。
【0005】
また、特許文献3には、所定言語以外での緊急通報があった場合に、通報内容を示す文書を自動作成する情報処理装置が開示されている。この装置は、指令端末に対して、所定の言語(例えば日本語)以外での緊急通報があったことを示す入力があると、電話機に対して、複数言語によるガイダンス音声を順次出力する。この装置は、複数言語によるガイダンス音声に対する電話機からの入力を受け付け、通報者の使用言語を特定する。そして、この装置は、特定した使用言語によるガイダンス音声の出力を行い、ガイダンス音声に対する電話機へのボタン入力に基づいて、通報内容を示す文書(事案情報画面や事案)を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-205174号公報
【特許文献2】特開2006-074712号公報
【特許文献3】特開2022-016895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
災害あるいは停電の発生等によって通報を受け付ける警察本部あるいは消防本部等が通報の受け付けができなくなった場合に備えて、通常、警察本部あるいは消防本部等の指令室の機能を代替え可能なサブセンターが構築されている。しかしながら、大規模な災害あるいは停電等が発生した場合、サブセンターも含めて通報を受け付けることができなくなることも想定されるので、サブセンターとなり得る複数の拠点を準備しておき、被災していない(通報を受け付けることが可能な)拠点がサブセンターとして機能するようにしておくことが望ましい。
【0008】
ただしこの場合において、サブセンターとして機能する拠点が、代替えする警察本部あるいは消防本部が担当(管轄)する地域に関する情報を十分に持っていない、あるいは当該地域から遠い場所にあるような場合は、通報に適切に対応することが困難となる。したがって、本来通報を受け付ける拠点が通報に対応できない状態になった場合において、その拠点の機能を代替えする拠点が通報に適切に対応可能にすることが課題である。上述した特許文献1乃至3は、このような課題を解決することはできない。
【0009】
本発明の主たる目的は、本来通報を受け付ける拠点が通報に対応できない状態になった場合において、その拠点の機能を代替えする拠点が通報に適切に対応可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る通報転送制御装置は、受け付けた通報を前記通報に対応する第1の対応拠点に転送する場合において、複数の対応拠点の状態を表す状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記複数の対応拠点の個々に関して、前記第1の対応拠点を代替えすることの適切性を表す適切性情報を取得する適切性情報取得手段と、前記状態情報が、前記第1の対応拠点が前記通報に対応できない状態であることを示す場合、前記複数の対応拠点のうち、前記適切性情報によって示される適切性が高い対応拠点ほど優先して、前記第1の対応拠点を代替えする第2の対応拠点として選択する選択手段と、前記第2の対応拠点に前記通報を転送する転送手段と、を備える。
【0011】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る通報転送制御方法は、情報処理装置によって、受け付けた通報を前記通報に対応する第1の対応拠点に転送する場合において、複数の対応拠点の状態を表す状態情報を取得し、前記複数の対応拠点の個々に関して、前記第1の対応拠点を代替えすることの適切性を表す適切性情報を取得し、前記状態情報が、前記第1の対応拠点が前記通報に対応できない状態であることを示す場合、前記複数の対応拠点のうち、前記適切性情報によって示される適切性が高い対応拠点ほど優先して、前記第1の対応拠点を代替えする第2の対応拠点として選択し、前記第2の対応拠点に前記通報を転送する。
【0012】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る通報転送制御プログラムは、受け付けた通報を前記通報に対応する第1の対応拠点に転送する場合において、複数の対応拠点の状態を表す状態情報を取得する状態情報取得処理と、前記複数の対応拠点の個々に関して、前記第1の対応拠点を代替えすることの適切性を表す適切性情報を取得する適切性情報取得処理と、前記状態情報が、前記第1の対応拠点が前記通報に対応できない状態であることを示す場合、前記複数の対応拠点のうち、前記適切性情報によって示される適切性が高い対応拠点ほど優先して、前記第1の対応拠点を代替えする第2の対応拠点として選択する選択処理と、前記第2の対応拠点に前記通報を転送する転送処理と、をコンピュータに実行させる。
【0013】
更に、本発明は、係る通報転送制御プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、本来通報を受け付ける拠点が通報に対応できない状態になった場合において、その拠点の機能を代替えする拠点が通報に適切に対応可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る通報対応支援システム1の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る適切性情報152のデータの内容を例示する図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る通報転送制御装置10の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施形態に係る通報処理装置20の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態に係る通報転送制御装置40の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の各実施形態に係る通報転送制御装置あるいは通報処理装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通報対応支援システム1の構成を示すブロック図である。通報対応支援システム1は、警察本部に対する110番通報あるいは消防本部に対する119番通報等を、通報が行われた場所に応じて、その場所を担当(管轄)する警察本部あるいは消防本部に転送し、その通報が転送された警察本部あるいは消防本部等における通報への対応を支援するシステムである。尚、本実施形態では、通報への対応を行う警察本部及び消防本部等の拠点を対応拠点と称する。対応拠点は、例えば、都道府県あるいは市区町村等の自治体ごとに設置されている。
【0018】
通報対応支援システム1は、大別して、通報転送制御装置10、1以上の通報処理装置20、通報者端末31、受理者端末32、職員の端末33を含む。通報転送制御装置10と個々の通報処理装置20及び通報者端末31とは、通信可能に接続されている。通報処理装置20と受理者端末32及び職員の端末33とは、通信可能に接続されている。通報転送制御装置10及び通報処理装置20は、例えばサーバ等の情報処理装置である。通報者端末31、受理者端末32、職員の端末33は、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。
【0019】
通報転送制御装置10は、通報者端末31からの通報を受け付け、通報者端末31の場所(通報場所)に応じて、通報を対応拠点ごとに設置されている通報処理装置20の何れかに転送する。通報転送制御装置10は、受け付けた通報の通報場所を含む地域を担当する対応拠点の通報処理装置20が正常に稼働している場合、受け付けた通報を、その地域を担当する対応拠点の通報処理装置20に転送する。通報転送制御装置10は、受け付けた通報の通報場所を含む地域を担当する対応拠点の通報処理装置20が災害あるいは停電の発生等によって稼働していない場合、当該拠点の機能を代替えする拠点の通報処理装置20に受け付けた通報を転送する。
【0020】
次に、本実施形態に係る通報転送制御装置10及び通報処理装置20の動作について、順番に説明する。
【0021】
<通報転送制御装置10の動作>
まず、通報転送制御装置10の動作について説明する。
【0022】
通報転送制御装置10は、状態情報取得部11、適切性情報取得部12、選択部13、転送部14、記憶部15を備える。状態情報取得部11、適切性情報取得部12、選択部13、転送部14は、順に、状態情報取得手段、適切性情報取得手段、選択手段、転送手段の一例である。
【0023】
記憶部15は、例えば、図6を参照して後述するRAM(Random Access Memory)あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部15は、状態情報151及び適切性情報152を記憶している。記憶部15に記憶されたこれらの情報については後述する。
【0024】
状態情報取得部11は、各対応拠点に設置された通報処理装置20の稼働状況を、対応拠点あるいは通報処理装置20を識別可能な情報と関連付けて取得し、取得した通報処理装置20の稼働状況を状態情報151として記憶部15に格納する。状態情報取得部11は、例えば、個々の通報処理装置20に対して稼働状況を問い合わせる通信を行い、返信があった通報処理装置20は正常に稼働し、返信が無かった通報処理装置20は正常に稼働していないと見なすことによって、状態情報151を取得する。状態情報取得部11は、あるいは、通報対応支援システム1の管理者等による入力操作を介して、状態情報151を取得してもよい。
【0025】
適切性情報取得部12は、ある対応拠点が別の対応拠点の通報への対応を代替えすることの適切性を表す適切性情報152を取得する。適切性情報152は、例えば通報対応支援システム1の管理者等よって作成され、適切性情報取得部12は、その管理者による通報転送制御装置10に対する入力操作等を介して、適切性情報152を取得する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る適切性情報152のデータの内容を例示する図である。図2に例示する適切性情報152は、災害あるいは停電等の発生により稼働していない対応拠点(被災拠点)の機能を別の対応拠点(代替拠点)が代替えする際の適切性のスコアを表す。適切性スコアは、その値が高いほど、被災拠点の機能を代替拠点が代替えすることがより適切であることを表す。
【0027】
図2に例示する適切性スコアは、代替拠点が有する被災拠点に関する情報量、代替拠点と被災拠点との間の距離、代替拠点から被災拠点までの移動時間、代替拠点が受け付け可能な単位期間あたりの通報の件数という4つの項目に基づいて算出される。尚、図2に例示する、適切性スコアの算出に使用する項目は一例であり、適切性スコアは、図2に例示する項目とは異なる項目に基づいて算出されてもよい。
【0028】
図2に例示する適切性情報152によれば、代替拠点Bは被災拠点Aに関して10GB(ギガバイト)の情報を持っており、代替拠点Bが被災拠点Aを代替えする場合の、被災拠点の情報量に関する適切性スコアは100点である。同様に、代替拠点C及びDは被災拠点Aに関して、順に8GB及び5GBの情報を持っており、代替拠点C及びDが被災拠点Aを代替えする場合の、被災拠点の情報量に関する適切性スコアは、順に80点及び50点である。代替拠点が被災拠点に関して有する情報量が多ければ多いほど、代替拠点は被災拠点に対する通報に対して適切に対応できる。したがって上述した通り、適切性スコアは、代替拠点が被災拠点に関して有する情報量が多ければ多いほど高くなる。尚、代替拠点が被災拠点に関して有する情報量は、例えば、図1に示す、後述する地域情報250のデータ量を表す。適切性情報152は、また、被災拠点に関する情報量の他、被災拠点に関する情報の更新頻度を、適切性スコアの算出に使用する項目として含んでもよい。この場合、適切性スコアは、代替拠点が被災拠点に関して有する、例えば後述する地図情報251等の情報の更新頻度が高ければ高いほど高くなる。
【0029】
図2に例示する適切性情報152によれば、代替拠点Bと被災拠点Aとの距離は50km(キロメートル)であり、代替拠点Bが被災拠点Aを代替えする場合の、対応拠点間の距離に関する適切性スコアは60点である。同様に、代替拠点C及びDと被災拠点Aとの距離は、順に60km及び80kmであり、代替拠点C及びDが被災拠点Aを代替えする場合の、対応拠点間の距離に関する適切性スコアは、順に50点及び40点である。代替拠点と被災拠点との距離が近ければ近いほど、被災拠点が担当する地域への職員の派遣が容易になるので、代替拠点は被災拠点に対する通報に対して適切に対応できる。したがって上述した通り、適切性スコアは、代替拠点と被災拠点との距離が近ければ近いほど高くなる。
【0030】
図2に例示する適切性情報152によれば、代替拠点Bから被災拠点Aへの移動時間は2時間であり、代替拠点Bが被災拠点Aを代替えする場合の、対応拠点間の移動時間に関する適切性スコアは60点である。同様に、代替拠点C及びDから被災拠点Aとの移動時間は、順に1.5時間及び3時間であり、代替拠点C及びDが被災拠点Aを代替えする場合の、対応拠点間の移動時間に関する適切性スコアは、順に80点及び40点である。代替拠点から被災拠点への移動時間が短ければ短いほど、被災拠点が担当する地域への職員の派遣が容易になるので、代替拠点は被災拠点に対する通報に対して適切に対応できる。したがって上述した通り、適切性スコアは、代替拠点から被災拠点への移動時間が短ければ短いほど高くなる。尚、上述した対応拠点間の距離と対応拠点間の移動時間とは、必ずしも比例関係にはなく、対応拠点間の移動時間は、例えば対応拠点間の交通網の整備状況等にも依存するので、図2に例示する適切性情報152は、対応拠点間の距離とは別に、対応拠点間の移動時間に関する適切性スコアを含んでいる。
【0031】
図2に例示する適切性情報152によれば、代替拠点Bが通報を受付可能な件数は1日あたり500件であり、代替拠点Bが被災拠点Aを代替えする場合の、通報受付可能件数に関する適切性スコアは50点である。同様に、代替拠点C及びDが通報を受付可能な件数は1日あたり400件及び800件であり、代替拠点C及びDが被災拠点Aを代替えする場合の、通報受付可能件数に関する適切性スコアは、順に40点及び80点である。代替拠点が通報を受付可能な単位期間あたりの件数が多ければ多いほど、代替拠点が通報に対応できる確実性が高くなるので、代替拠点は被災拠点に対する通報に対して適切に対応できる。したがって上述した通り、適切性スコアは、代替拠点が通報を受付可能な単位期間あたりの件数が多ければ多いほど高くなる。尚、通報受付可能件数に関する適切性スコアは、被災拠点が通常時に受け付ける通報の件数にも依存する。即ち、被災拠点が通常時に受け付ける通報の件数が多ければ多いほど、代替拠点に求められる通報受付可能件数も多くなるので、適切性スコアを算出する際の基準はより厳しくなる。例えば、図2の例において、被災拠点Aが通常時に受け付ける通報の件数が1日あたり500件を想定した場合における代替拠点Bの適切性スコアが50点とした場合、被災拠点Aが通常時に受け付ける通報の件数が1日あたり1000件を想定した場合における代替拠点Bの適切性スコアは、50点よりも低い値(例えば50点の半分である25点)となる。
【0032】
選択部13は、状態情報151が、いずれかの対応拠点(第1の対応拠点)が通報に対応できない状態である(即ち被災拠点である)ことを示す場合、複数の対応拠点のうち、適切性情報152によって示される適切性スコアが高い対応拠点ほど優先して、第1の対応拠点を代替えする代替拠点(第2の対応拠点)として選択する。
【0033】
例えば、状態情報151が、図2に例示する対応拠点Aが被災拠点であることを示すこととする。この場合、選択部13は、図2に例示する適切性情報152に基づいて、被災拠点Aを代替えする代替拠点としての適切性スコアが最も高い対応拠点Bを、代替拠点として選択する。選択部13は、また、対応拠点Bも災害あるいは停電等の影響を受けていることを表す情報が得られている場合、被災拠点Aを代替えする代替拠点としての適切性スコアが対応拠点Bの次に高い対応拠点Cを、代替拠点として選択してもよい。選択部13は、また、被災拠点Aが担当する地域が大都市であって通常時に受け付ける通報の件数が非常に多く、対応拠点Bのみでは被災拠点Aを代替えすることが困難な場合、対応拠点B及びCの2つを代替拠点として選択してもよい。
【0034】
転送部14は、災害あるいは停電等が発生していない通常時(即ち、選択部13によって、いずれかの対応拠点を代替えする対応拠点が選択されていないとき)は、通報者端末31から受け付けた通報を、その通報場所を含む地域を担当する対応拠点の通報処理装置20に転送する。転送部14は、選択部13によって被災拠点を代替えする代替拠点が選択されている場合、被災拠点が担当する地域内の通報場所からの通報を、選択部13によって選択された代替拠点の通報処理装置20に転送する。
【0035】
転送部14は、また、選択部13によって被災拠点を代替えする代替拠点が複数選択されている場合、通報を複数の代替拠点のいずれかに振り分けて転送する。転送部14は、この際、例えば、複数の代替拠点の通報受付可能件数に応じて、通報を複数の代替拠点のいずれかに振り分けてもよい。例えば、図2に示す例において、選択部13によって被災拠点Aの代替拠点として代替拠点B及びCが選択されている場合、代替拠点B及びCの1日当たりの通報受付可能件数の比率が500件対400件(即ち5対4)であることから、転送部14は、受け付けた通報を代替拠点B及びCに対して5対4の比率で転送するようにしてもよい。
【0036】
次に図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る通報転送制御装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
【0037】
状態情報取得部11は、状態情報151を取得し、取得した状態情報151を記憶部15に格納する(ステップS101)。適切性情報取得部12は、適切性情報152を取得し、取得した適切性情報152を記憶部15に格納する(ステップS102)。選択部13は、状態情報151を確認し、通報に対応できない状態にある被災拠点が存在するか否か確認する(ステップS103)。
【0038】
状態情報151が、被災拠点が存在することを示していない場合(ステップS104でNo)、全体の処理は終了する。状態情報151が、被災拠点が存在することを示している場合(ステップS104でYes)、選択部13は、適切性情報152において、被災拠点を代替えすることの適切性が高い対応拠点ほど優先して、被災拠点の代替拠点として選択する(ステップS105)。転送部14は、被災拠点への通報を、選択部13によって選択された代替拠点の通報処理装置20に転送することを開始し(ステップS106)、全体の処理は終了する。
【0039】
<通報処理装置20の動作>
次に、通報処理装置20の動作について説明する。
【0040】
通報処理装置20は、音声認識部21、自然言語処理部22、特定部23、通知部24、記憶部25を備える。音声認識部21、自然言語処理部22、特定部23、通知部24は、順に、音声認識手段、自然言語処理手段、特定手段、通知手段の一例である。
【0041】
記憶部25は、上述した記憶部15と同様に、例えば、図6を参照して後述するRAM(Random Access Memory)あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部25は、地図情報251及び方言情報252を含む地域情報250を記憶している。記憶部25に記憶されたこれらの情報については後述する。
【0042】
音声認識部21は、通報転送制御装置10によって通報者端末31からの通報が転送されたのち、通報者端末31と受理者端末32との間で送受信される、通報に関する会話を表す音声データを取得し、その音声データに対する音声認識処理を行う。音声認識部21は、その音声認識の結果を記憶部25に格納してもよい。音声認識部21による音声認識の結果は、例えば、通報に関する会話を表すテキストデータとして表される。
【0043】
自然言語処理部22は、音声認識部21による音声認識の結果に対して、形態素解析及び構文解析等を含む自然言語処理を行う。自然言語処理部22は、その自然言語処理の結果を記憶部25に格納してもよい。
【0044】
特定部23は、自然言語処理部22による自然言語処理の結果から、通報の内容を特定するために必要なキーワードを、所定の基準に基づいて抽出する。そして特定部23は、自然言語処理部22による自然言語処理の結果を、抽出したキーワードと被災拠点が担当する通報者端末31の通報場所を含む地域に関する地域情報250とを用いて解析することによって、転送された通報の内容を特定する。
【0045】
地域情報250は、被災拠点の担当地域に関する地図情報251、及び、当該担当地域において使用される方言(当該担当地域に固有な言い回し)の意味を表す方言情報252を含む。
【0046】
特定部23は、例えば、抽出したキーワードが示す、通報位置から視認される目印となる拠点(店舗、金融機関、駐車場、観光名所、球技場等)を地図情報251と照合することによって、通報者端末31の通報位置を特定する。特定部23は、また、抽出したキーワードが方言情報252に登録されている方言である場合、方言情報252に基づいてその方言を標準語に変換することによって、通報を標準語によって表した内容を特定する。特定部23によって特定された通報の内容は、通報位置、通報された事象(事件あるいは事故等)の種別、事件の容疑者の特徴、事故の発生状況、救急患者の症状等を表す情報を含む。特定部23は、前述の通りに特定した通報の内容を記憶部25に格納してもよい。
【0047】
通知部24は、特定部23によって特定された通報の内容に含まれる通報位置との位置関係が所与の基準を満たす位置にいる職員の端末33に、特定された通報の内容を通知する。但し、通報処理装置20は、個々の職員の端末33から取得される現在の位置情報を管理する機能を備えることとする。
【0048】
次に図4のフローチャートを参照して、本実施形態に係る通報処理装置20の動作(処理)について詳細に説明する。
【0049】
音声認識部21は、通報転送制御装置10から転送された通報に関して、通報者端末31と受理者端末32との間で行われる通報者と受理者との間の会話に対する音声認識処理を行う(ステップS201)。自然言語処理部22は、音声認識部21による音声認識処理の結果に対して、形態素解析及び構文解析等を含む自然言語処理を行う(ステップS202)。
【0050】
特定部23は、自然言語処理部22による自然言語処理結果の結果から、通報の内容を特定するために必要なキーワードを所定の基準に基づいて抽出する(ステップS203)。特定部23は、方言を含むキーワードを、方言情報252に基づいて標準語に変換する(ステップS204)。特定部23は、自然言語処理結果に含まれる通報位置を表す情報を、地図情報251に基づいて分析する(ステップS205)。
【0051】
特定部23は、標準語に変換されたキーワード、及び、自然言語処理部22による自然言語処理結果に含まれる通報位置を表す情報の分析結果に基づいて、通報の内容を特定する(ステップS206)。通知部24は、特定部23によって特定された通報の内容に含まれる通報位置との位置関係が所与の基準を満たす位置にいる職員の端末33に、通報の内容を通知し(ステップS207)、全体の処理は終了する。
【0052】
本実施形態に係る通報転送制御装置10は、本来通報を受け付ける拠点が通報に対応できない状態になった場合において、その拠点の機能を代替えする拠点が通報に適切に対応可能にすることができる。その理由は、通報転送制御装置10は、複数の対応拠点の個々に関して、第1の対応拠点を代替えすることの適切性を表す適切性情報152を取得し、第1の対応拠点が通報に対応できない状態である場合に、複数の対応拠点のうち、適切性情報152によって示される適切性が高い対応拠点ほど優先して、第1の対応拠点を代替えする第2の対応拠点として選択するからである。
【0053】
以下に、本実施形態に係る通報転送制御装置10及び通報処理装置20によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0054】
災害あるいは停電の発生等によって通報を受け付ける対応拠点が通報の受け付けができなくなった場合に備えて、通常、その被災拠点の機能を代替え可能な代替拠点(サブセンター)が構築されている。しかしながら、大規模な災害あるいは停電等が発生した場合、代替拠点も含めて通報を受け付けることができなくなることも想定されるので、代替拠点となり得る複数の対応拠点を準備しておき、被災していない(通報を受け付けることが可能な)対応拠点が代替拠点として機能するようにしておくことが望ましい。ただしこの場合において、代替拠点として機能する対応拠点が、代替えする被災拠点が担当する地域に関する情報を十分に持っていない、あるいは当該地域から遠い場所にあるような場合は、通報に適切に対応することが困難となる。したがって、本来通報を受け付ける拠点が通報に対応できない状態になった場合において、その被災拠点の機能を代替えする代替拠点が通報に適切に対応可能にすることが課題である。
【0055】
このような課題に対して、本実施形態に係る通報転送制御装置10は、受け付けた通報をその通報に対応する第1の対応拠点に転送する場合において、複数の対応拠点の状態を表す状態情報151を取得する。通報転送制御装置10は、複数の対応拠点の個々に関して、第1の対応拠点を代替えすることの適切性を表す適切性情報152を取得する。通報転送制御装置10は、状態情報151が、第1の対応拠点が通報に対応できない状態であることを示す場合、複数の対応拠点のうち、適切性情報152によって示される適切性が高い対応拠点ほど優先して、第1の対応拠点を代替えする第2の対応拠点として選択する。そして通報転送制御装置10は、第2の対応拠点に通報を転送する。これにより、通報転送制御装置10は、本来通報を受け付ける拠点が通報に対応できない状態になった場合において、その拠点の機能を代替えするのに適した拠点を代替拠点として選択するので、代替拠点が通報に適切に対応可能にすることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る適切性情報152は、第1の対応拠点が担当する地域に関して保持する情報量が多い対応拠点ほど、第2の対応拠点としての適切性が高いことを表す。また、適切性情報152は、第1の対応拠点への移動の容易性が高い対応拠点ほど、より具体的には、第1の対応拠点との距離が近い対応拠点ほど、あるいは、第1の対応拠点への移動時間が短い対応拠点ほど、第2の対応拠点としての適切性が高いことを表す。また、適切性情報152は、第1の対応拠点が受け付ける通報量以上の通報を受け付けられる確実性が高い対応拠点ほど、第2の対応拠点としての適切性が高いことを表す。したがって、通報転送制御装置10は、このような適切性情報152を使用することによって、本来通報を受け付ける拠点が通報に対応できない状態になった場合において、その拠点の機能を代替えする拠点が通報に適切に対応可能にすることを、より確実に実現することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る通報処理装置20は、通報の通報者と受理者との間の会話の音声を認識し、会話の音声の認識結果に対する自然言語処理を行う。そして、通報処理装置20は、自然言語処理の結果を、第1の対応拠点が担当する地域に関する地域情報250を用いて解析することによって、通報の内容を特定する。そして、地域情報250は、第1の対応拠点の担当地域に関する地図情報251、及び、当該担当地域において使用される方言の意味を表す方言情報252の少なくともいずれかを含む。これにより、通報処理装置20は、通報転送制御装置10から転送された通報に対して、代替拠点が迅速かつ適切に対応できるように支援することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る通報処理装置20は、特定した通報の内容に含まれる通報位置との位置関係が所与の基準を満たす位置にいる職員の端末33に通報の内容を通知する。これにより、通報処理装置20は、通報転送制御装置10から転送された通報に対して、代替拠点が迅速かつ適切に対応できるように支援することができる。
【0059】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る通報転送制御装置40の構成を示すブロック図である。
【0060】
本実施形態に係る通報転送制御装置40は、状態情報取得部41、適切性情報取得部42、選択部43、転送部44を備えている。状態情報取得部41、適切性情報取得部42、選択部43、転送部44は、順に、状態情報取得手段、適切性情報取得手段、選択手段、転送手段の一例である。
【0061】
状態情報取得部41は、受け付けた通報400を通報400に対応する第1の対応拠点50-1に転送する場合において、複数の対応拠点50の状態を表す状態情報410を取得する。状態情報410は、例えば、第1の実施形態に係る状態情報151と同様な情報である。対応拠点50は、例えば、第1の実施形態に係る通報処理装置20と同様な装置が設置された対応拠点である。状態情報取得部41は、例えば、第1の実施形態に係る状態情報取得部11と同様に動作する。
【0062】
適切性情報取得部42は、複数の対応拠点50の個々に関して、第1の対応拠点50-1を代替えすることの適切性を表す適切性情報420を取得する。適切性情報420は、例えば、第1の実施形態に係る適切性情報152と同様な情報である。適切性情報取得部42は、例えば、第1の実施形態に係る適切性情報取得部12と同様に動作する。
【0063】
選択部43は、状態情報410が、第1の対応拠点50-1が通報400に対応できない状態であることを示す場合、複数の対応拠点50のうち、適切性情報420によって示される適切性が高い対応拠点50ほど優先して、第1の対応拠点50-1を代替えする第2の対応拠点50-2として選択する。選択部43は、例えば、第1の実施形態に係る選択部13と同様に動作する。
【0064】
転送部44は、第2の対応拠点50-2に通報400を転送する。転送部44は、例えば、第1の実施形態に係る転送部14と同様に動作する。
【0065】
本実施形態に係る通報転送制御装置40は、本来通報を受け付ける拠点が通報に対応できない状態になった場合において、その拠点の機能を代替えする拠点が通報に適切に対応可能にすることができる。その理由は、通報転送制御装置40は、複数の対応拠点50の個々に関して、第1の対応拠点50-1を代替えすることの適切性を表す適切性情報420を取得し、第1の対応拠点50-1が通報400に対応できない状態である場合に、複数の対応拠点50のうち、適切性情報420によって示される適切性が高い対応拠点50ほど優先して、第1の対応拠点50-1を代替えする第2の対応拠点50-2として選択するからである。
【0066】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1及び図5に示した通報転送制御装置、及び図1に示した通報処理装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1、及び、図5において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・状態情報取得部11及び41、
・適切性情報取得部12及び42、
・選択部13及び43、
・転送部14及び44、
・音声認識部21、
・自然言語処理部22、
・特定部23、
・通知部24、
・記憶部15及び25における記憶制御機能。
【0067】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図6を参照して説明する。
【0068】
図6は、本発明の各実施形態に係る通報転送制御装置あるいは通報処理装置を実現可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図6は、図1、及び、図5に示した通報転送制御装置あるいは通報処理装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0069】
図6に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0070】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理装置900は、また、上述した構成の一部を備えない場合もある。
【0071】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図6に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図5)における上述した構成、或いはフローチャート(図3及び図4)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0072】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0073】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 通報対応支援システム
10 通報転送制御装置
11 状態情報取得部
12 適切性情報取得部
13 選択部
14 転送部
15 記憶部
151 状態情報
152 適切性情報
20 通報処理装置
21 音声認識部
22 自然言語処理部
23 特定部
24 通知部
25 記憶部
250 地域情報
251 地図情報
252 方言情報
31 通報者端末
32 受理者端末
33 職員の端末
40 通報転送制御装置
400 通報
41 状態情報取得部
410 状態情報
42 適切性情報取得部
420 適切性情報
43 選択部
44 転送部
50 対応拠点
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6