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特開2024-130711化学機械研磨用組成物及び化学機械研磨方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130711
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】化学機械研磨用組成物及び化学機械研磨方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240920BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240920BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040584
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】西村 康平
(72)【発明者】
【氏名】福與 翼
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA08
5F057AA09
5F057AA14
5F057AA28
5F057BA15
5F057BB16
5F057BB25
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA07
5F057EA16
5F057EA17
5F057EA18
5F057EA22
5F057EA32
(57)【要約】
【課題】タングステンやコバルト等の導電体金属とシリコン酸化膜等の絶縁膜とが共存する被研磨面に対して、高速かつ平坦に研磨することができるとともに、研磨後の表面欠陥の発生を低減できる化学機械研磨用組成物、及び化学機械研磨方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る化学機械研磨用組成物は、シリカ粒子と、液状媒体と、を含有し、前記シリカ粒子の長径(Rmax)と短径(Rmin)との比(Rmax/Rmin)が2.5以上であり、化学機械研磨用組成物中における前記シリカ粒子のゼータ電位が0mVを超えるものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ粒子と、液状媒体と、を含有する化学機械研磨用組成物であって、
前記シリカ粒子の長径(Rmax)と短径(Rmin)との比(Rmax/Rmin)が2.5以上であり、
前記化学機械研磨用組成物中における前記シリカ粒子のゼータ電位が0mVを超える、化学機械研磨用組成物。
【請求項2】
BET法を用いて測定された比表面積から算出された、前記シリカ粒子の平均一次粒子径が、40nm以下である、請求項1に記載の化学機械研磨用組成物。
【請求項3】
動的光散乱法を用いて測定された、前記シリカ粒子の平均二次粒子径が、40nm以上200nm以下である、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用組成物。
【請求項4】
化学機械研磨用組成物の全質量を100質量%としたときに、前記シリカ粒子の含有量が0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用組成物。
【請求項5】
さらに、酸性化合物を含有する、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用組成物。
【請求項6】
さらに、酸化剤を含有する、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用組成物。
【請求項7】
pHが2以上5以下である、請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用組成物。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨用組成物を用いて半導体基板を研磨する工程を含む、化学機械研磨方法。
【請求項9】
前記半導体基板が、酸化シリコン及びタングステンよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する部位を備える、請求項8に記載の化学機械研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学機械研磨用組成物及び化学研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置内に形成される配線及びプラグ等からなる配線層の微細化が進んでいる。これに伴い、配線層を化学機械研磨(以下、「CMP」ともいう。)により平坦化する手法が用いられている。このようなCMPの最終的な目的は、研磨後に、被研磨面を平坦化し、無欠陥かつ無腐食の表面を得ることである。そのため、CMPで使用される化学機械研磨用組成物は、材料除去速度、研磨後の表面欠陥品率、及び研磨後の金属腐食防止等の特性により評価される。
【0003】
近年、配線層の更なる微細化により、導電体金属としてタングステン(W)やコバルト(Co)が適用され始めている。そのため、余剰に積層されたタングステンやコバルトをCMPにより効率的に除去しつつ、かつ、タングステンやコバルトの腐食を抑制し、良好な表面状態を形成できることが要求されている。このようなタングステンやコバルトの化学機械研磨に関し、種々の添加剤を含有する化学機械研磨用組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2017-514295号公報
【特許文献2】特開2016-030831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タングステンやコバルト等の導電体金属を含む半導体ウエハの普及に伴い、タングステンやコバルト等の導電体金属とシリコン酸化膜等の絶縁膜とが共存する被研磨面に対して、高速かつ平坦に研磨することができるとともに、研磨後の表面欠陥の発生を低減できる化学機械研磨用組成物、及び化学機械研磨方法が要求されている。
【0006】
特に、導電体金属と絶縁膜とが共存する被研磨面において、絶縁膜の研磨速度よりも導電体金属の研磨速度の方が速い場合、導電体金属部分が皿状に削れてしまうディッシングと呼ばれる表面欠陥が発生しやすいという課題があり、これを解決することが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下のいずれかの態様として実現することができる。
【0008】
本発明に係る化学機械研磨用組成物の一態様は、
シリカ粒子と、液状媒体と、を含有し、
前記シリカ粒子の長径(Rmax)と短径(Rmin)との比(Rmax/Rmin)が2.5以上であり、
前記化学機械研磨用組成物中における前記シリカ粒子のゼータ電位が0mVを超えるものである。
【0009】
前記化学機械研磨用組成物の一態様において、
BET法を用いて測定された比表面積から算出された、前記シリカ粒子の平均一次粒子径が、40nm以下であってもよい。
【0010】
前記化学機械研磨用組成物のいずれかの態様において、
動的光散乱法を用いて測定された、前記シリカ粒子の平均二次粒子径が、40nm以上200nm以下であってもよい。
【0011】
前記化学機械研磨用組成物のいずれかの態様において、
化学機械研磨用組成物の全質量を100質量%としたときに、前記シリカ粒子の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であってもよい。
【0012】
前記化学機械研磨用組成物のいずれかの態様において、
さらに、酸性化合物を含有してもよい。
【0013】
前記化学機械研磨用組成物のいずれかの態様において、
さらに、酸化剤を含有してもよい。
【0014】
前記化学機械研磨用組成物のいずれかの態様において、
pHが2以上5以下であってもよい。
【0015】
本発明に係る化学機械研磨方法の一態様は、
前記いずれかの態様の化学機械研磨用組成物を用いて半導体基板を研磨する工程を含む。
【0016】
前記化学機械研磨方法の一態様において、
前記半導体基板が、酸化シリコン及びタングステンよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する部位を備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る化学機械研磨用組成物によれば、タングステンやコバルト等の導電体金属とシリコン酸化膜等の絶縁膜とが共存する被研磨面に対して、高速かつ平坦に研磨することができるとともに、研磨後の表面欠陥の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】シリカ粒子の長径及び短径の概念を模式的に示す説明図である。
図2】シリカ粒子の長径及び短径の概念を模式的に示す説明図である。
図3】シリカ粒子の長径及び短径の概念を模式的に示す説明図である。
図4】本実施形態に係る化学機械研磨方法に用いる被処理体を模式的に示す断面図である。
図5】第1研磨工程後の被処理体を模式的に示す断面図である。
図6】第2研磨工程後の被処理体を模式的に示す断面図である。
図7】研磨装置を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
【0020】
本明細書において、「(メタ)アクリル~」とは、「アクリル~」又は「メタクリル~」を表す。
【0021】
本明細書において、「A~B」を用いて記載された数値範囲は、数値Aを下限値として含み、数値Bを上限値として含む意味である。
【0022】
1.化学機械研磨用組成物
本発明の一実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、シリカ粒子と、液状媒体と、を含有する。以下、本実施形態に係る化学機械研磨用組成物に含まれ得る成分について詳細に説明する。
【0023】
1.1.シリカ粒子
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、砥粒成分として、シリカ粒子を含有する。該シリカ粒子は、長径(Rmax)と短径(Rmin)との比(Rmax/Rmin)が2.5以上であり、化学機械研磨用組成物中におけるゼータ電位が0mVを超えるものである。
【0024】
化学機械研磨用組成物中におけるシリカ粒子のゼータ電位は、好ましくは2mV以上であり、より好ましくは3mV以上であり、さらに好ましくは4mV以上であり、特に好ましくは5mV以上である。ゼータ電位が0mVを超えるシリカ粒子を用いることで、静電反発力によりシリカ粒子の分散安定性が向上するため、スクラッチ等の表面欠陥の発生を低減しながら、タングステン膜やシリコン酸化膜の研磨速度を向上させることができる。なお、化学機械研磨用組成物中のシリカ粒子のゼータ電位は、ゼータ電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、型式「DT300」)等を用いて測定することができる。
【0025】
BET法を用いて測定された比表面積から算出されたシリカ粒子の平均一次粒子径は、好ましくは40nm以下であり、より好ましくは5nm以上35nm以下であり、特に好ましくは8nm以上32nm以下である。シリカ粒子の平均一次粒子径が前記範囲内にあると、タングステン膜及びシリコン酸化膜を実用的な研磨速度で研磨することができるとともに、CMP後の被研磨面におけるシリカ粒子の残渣が少なくなる場合がある。シリカ粒子の平均一次粒子径は、例えば動的吸着表面積自動測定装置(Micromeritics社製、「Micromeritics FlowSorb II 2300」)を用いてBET法による比表面積を測定し、その測定値から算出して求めることができる。
【0026】
化学機械研磨用組成物中におけるシリカ粒子の、動的光散乱法を用いて測定された平均二次粒子径は、好ましくは40nm以上200nm以下であり、より好ましくは45nm以上190nm以下である。シリカ粒子の平均二次粒子径が前記範囲内にあると、タングステン膜及びシリコン酸化膜を実用的な研磨速度で研磨することができるとともに、シリカ粒子の沈降・分離が発生し難い貯蔵安定性に優れた化学機械研磨用組成物を得ることができので、スクラッチ等の表面欠陥の発生を低減できる場合がある。さらに、シリカ粒子の平均二次粒子径が前記範囲内にあると、シリカ粒子がパターン基板の微細配線部へ侵入し難くなり、配線部の研磨を抑制できることから、平坦性が良好となる場合がある。動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置としては、ベックマン・コールター社製のナノ粒子アナライザー「DelsaNano S」;Malvern社製の「Zetasizer nano zs」;株式会社堀場製作所製の「LB550」等が挙げられる。なお、動的光散乱法を用いて測定された平均二次粒子径は、一次粒子が複数個会合して形成された二次粒子の平均粒子径を表している。
【0027】
本実施形態で使用されるシリカ粒子の長径(Rmax)と短径(Rmin)との比Rmax/Rminは、2.5以上であり、好ましくは2.6~10.0であり、より好ましくは2.8~8.0であり、特に好ましくは3.0~6.0である。シリカ粒子の長径(
Rmax)と短径(Rmin)との比Rmax/Rminが前記範囲内にあると、研磨対象であるタングステン膜やシリコン酸化膜に欠陥を引き起こすことなく、タングステン膜やシリコン酸化膜を高速で研磨することができ、高研磨速度と高平坦化特性とを両立できる。
【0028】
ここで、シリカ粒子の長径(Rmax)とは、透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立したシリカ粒子の像について、像の端部と端部を結んだ径のうち最も長い径を意味するものとする。シリカ粒子の短径(Rmin)とは、透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立したシリカ粒子の像について、像の端部と端部を結んだ径のうち最も短い径を意味するものとする。
【0029】
例えば、図1に示すように透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立したシリカ粒子2aの像が楕円形状である場合、その楕円形状の長軸aをシリカ粒子の長径(Rmax)と判断し、短軸bをシリカ粒子の短径(Rmin)と判断する。図2に示すように、透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立したシリカ粒子2bの像が2つの一次粒子の会合体である場合、像の端部と端部を結んだ直線のうち最も長い径cをシリカ粒子の長径(Rmax)と判断し、像の端部と端部を結んだ直線のうち最も短い径dをシリカ粒子の短径(Rmin)と判断する。図3に示すように、透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立したシリカ粒子2cの像が3つ以上の一次粒子の会合体である場合、像の端部と端部を結んだ直線のうち最も長い径eをシリカ粒子の長径(Rmax)と判断し、像の端部と端部を結んだ直線のうち最も短い径fをシリカ粒子の短径(Rmin)と判断する。
【0030】
上記のような判断手法により、例えば50個の独立したシリカ粒子の長径(Rmax)と短径(Rmin)を測定し、長径(Rmax)及び短径(Rmin)の平均値を算出した後、長径の平均値を短径の平均値で除することにより比Rmax/Rminを求めることができる。
【0031】
本実施形態で使用されるシリカ粒子の形状は、3つ以上の一次粒子の会合体であることが好ましく、4つ以上の一次粒子の会合体であることがより好ましく、5つ以上の一次粒子の会合体であることがさらにより好ましく、6つ以上の一次粒子の会合体であることが特に好ましい。また、該会合体としては、一次粒子が連鎖構造を形成したものであることが好ましい。シリカ粒子の形状がこのような会合体であることにより、タングステン膜やシリコン酸化膜をより高速で研磨することができ、特にシリコン酸化膜の研磨速度を向上させることができる。
【0032】
シリカ粒子の製造方法としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等のシリカ(以下、「原料シリカ」ともいう。)を、特開2005-162533号公報等に記載された方法により表面修飾する方法が挙げられる。原料シリカとしては、スクラッチ等の研磨欠陥を低減する観点から、コロイダルシリカが好ましく、例えば特開2003-109921号公報等に記載された方法により製造されたコロイダルシリカを好ましく使用することができる。ここで、使用する原料シリカは、動的光散乱法を用いて測定された平均二次粒子径が90nm以上300nm以下のものを使用するとよい。
【0033】
原料シリカを表面修飾する方法の一例としては、-SO (Mは1価の陽イオンを表す。)で表される官能基を有する化合物を、共有結合を介して原料シリカの表面に固定する方法が挙げられる。Mで表される1価の陽イオンとしては、これらに限定されないが、例えばH、Li、Na、K、NH が挙げられる。
【0034】
シリカ粒子の含有量の下限値は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量%としたときに、好ましくは0.1質量%であり、より好ましくは0.5質量%であり、特に好ま
しくは1質量%である。シリカ粒子の含有量の上限値は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量%としたときに、好ましくは10質量%であり、より好ましくは8質量%であり、特に好ましくは5質量%である。シリカ粒子の含有量が前記範囲内であると、タングステンやコバルト等の導電体金属とシリコン酸化膜等の絶縁膜とが共存する被研磨面に対して、研磨欠陥の発生を抑制しつつ実用的な研磨速度で研磨できる場合がある。
【0035】
1.2.液状媒体
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、液状媒体を含有する。液状媒体としては、水、水及びアルコールの混合媒体、水及び水との相溶性を有する有機溶媒を含む混合媒体等が挙げられる。これらの中でも、水、水及びアルコールの混合媒体を用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。水としては、特に制限されるものではないが、純水が好ましい。水は、化学機械研磨用組成物の構成材料の残部として配合されていればよく、水の含有量については特に制限はない。
【0036】
1.3.その他の添加剤
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、必要に応じて、酸化剤、酸性化合物、界面活性剤、水溶性高分子、防蝕剤、pH調整剤等の添加剤をさらに含有してもよい。以下、各添加剤について説明する。
【0037】
<酸化剤>
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、酸化剤を含有してもよい。酸化剤を含有することにより、タングステンやコバルト等の導電体金属を酸化して研磨液成分との錯化反応を促すことにより、被研磨面に脆弱な改質層を作り出すことができるため、研磨速度が向上する場合がある。
【0038】
酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、硝酸第二鉄、硝酸二アンモニウムセリウム、次亜塩素酸カリウム、オゾン、オルト過ヨウ素酸、過ヨウ素酸カリウム、過酢酸等が挙げられる。これらの酸化剤のうち、酸化力及び取り扱いやすさを考慮すると、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素が好ましく、過酸化水素がより好ましい。これらの酸化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物が酸化剤を含有する場合において、酸化剤の含有量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量%としたときに、好ましくは0.001~5質量%であり、より好ましくは0.005~4質量%であり、特に好ましくは0.1~3質量%である。なお、酸化剤は、化学機械研磨用組成物中で分解されやすいため、CMP工程を行う直前に添加されることが望ましい。
【0040】
<酸性化合物>
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、酸性化合物を含有してもよい。酸性化合物を含有することにより、酸性化合物が被研磨面に配位して研磨速度が向上するとともに、研磨中における金属塩の析出を抑制できる場合がある。また、酸性化合物が被研磨面に配位することで、被研磨面のエッチング及び腐食によるダメージを低減できる場合がある。
【0041】
このような酸性化合物としては、有機酸及び無機酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、シュウ酸、乳酸、イミノジ酢酸等の飽和カルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-ブテン酸、2-メチル-3-ブテン酸、2-ヘキセン酸、3-メチル-2-ヘキセン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、2-ペンテン二酸、イタコン酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、2,4-ヘキサジエン二酸、アセチレン
ジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸;トリメリット酸等の芳香族カルボン酸;グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、トリプトファン、アルギニン、ヒスチジン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸等のアミノカルボン酸、及びこれらの塩が挙げられる。無機酸としては、例えば、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸、及びこれらの塩が挙げられる。これらの酸性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物が酸性化合物を含有する場合において、酸性化合物の含有量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量%としたときに、好ましくは0.001~5質量%であり、より好ましくは0.005~1質量%であり、特に好ましくは0.01~0.5質量%である。
【0043】
<界面活性剤>
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を含有することにより、化学機械研磨用組成物に適度な粘性を付与できる場合がある。化学機械研磨用組成物の粘度は、25℃において0.5mPa・s以上10mPa・s未満となるように調整することが好ましい。
【0044】
界面活性剤としては、特に制限されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0045】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸塩;パーフルオロアルキル化合物等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール等の三重結合を有する非イオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール型界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物が界面活性剤を含有する場合において、界面活性剤の含有量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量%としたときに、好ましくは0.001~5質量%であり、より好ましくは0.003~3質量%であり、特に好ましくは0.005~1質量%である。
【0047】
<水溶性高分子>
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、水溶性高分子を含有してもよい。水溶性高分子には、被研磨面の表面に吸着して研磨摩擦を低減させる効果がある。この効果により、被研磨面における研磨欠陥の発生を低減できる場合がある。
【0048】
水溶性高分子としては、ポリエチレンイミン、ポリ(メタ)アクリルアミン、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、(メタ)アクリル酸とマレイン酸の共重合体等が挙げられる。
【0049】
水溶性高分子の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000~1,000,000であり、より好ましくは3,000~800,000である。水溶性高分子の重量平均
分子量が前記範囲内にあると、導電体金属等の被研磨面に吸着しやすくなり、研磨摩擦をより低減できる場合がある。その結果、被研磨面における研磨欠陥の発生をより効果的に低減できる場合がある。なお、本明細書中における「重量平均分子量(Mw)」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリエチレングリコール換算の重量平均分子量のことを指す。
【0050】
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物が水溶性高分子を含有する場合において、水溶性高分子の含有量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量%としたときに、好ましくは0.01~1質量%であり、より好ましくは0.03~0.5質量%である。
【0051】
なお、水溶性高分子の含有量は、水溶性高分子の重量平均分子量(Mw)にも依存するが、化学機械研磨用組成物の25℃における粘度が0.5mPa・s以上10mPa・s未満となるように調整することが好ましい。化学機械研磨用組成物の25℃における粘度が0.5mPa・s以上10mPa・s未満であると、導電体金属等を高速で研磨しやすく、粘度が適正であるため研磨用パッド上に安定して化学機械研磨用組成物を供給することができる。
【0052】
<防蝕剤>
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、防蝕剤を含有してもよい。防蝕剤としては、例えば、含窒素複素環化合物及びその誘導体が挙げられる。ここで、含窒素複素環化合物は、少なくとも1個の窒素原子を有する、複素五員環及び複素六員環から選択される少なくとも1種の複素環を含む有機化合物である。前記複素環の具体例としては、ピロール構造、イミダゾール構造、トリアゾール構造、チアゾール構造、イソチアゾリン構造等の複素五員環;ピリジン構造、ピリミジン構造、ピリダジン構造、ピラジン構造等の複素六員環が挙げられる。該複素環は縮合環を形成していてもよい。具体的には、インドール構造、イソインドール構造、ベンゾイミダゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キナゾリン構造、シンノリン構造、フタラジン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造等が挙げられる。このような構造を有する含窒素複素環化合物のうち、イソチアゾリン構造、チアゾール構造、ピリジン構造、キノリン構造、ベンゾイミダゾール構造、ベンゾトリアゾール構造を有する含窒素複素環化合物が好ましく、イソチアゾリン構造又はチアゾール構造を有する含窒素複素環化合物がより好ましい。
【0053】
含窒素複素環化合物の具体例としては、アジリジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピペリジン、ピラジン、トリアジン、ピロール、イミダゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、ベンゾイソキノリン、プリン、プテリジン、トリアゾール、トリアゾリジン、ベンゾトリアゾール、4-カルボキシベンゾトリアゾール、7-カルボキシベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールブチルエステル、1-ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、4-ブロモチアゾール、2-クロロチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(メチルチオ)ベンゾチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、5-メトキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-メチル-4,5,7-トリフルオロベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、2-アミノ-4-メトキシベンゾチアゾール、4-メチル-2-メルカプトベンゾチアゾール、3-クロロ-1,2-ベンゾイソチアゾール、2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾール、チアゾリン、クロロチアゾリン、イソチアゾリノン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、N-n-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-イソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オ
ン、及びこれらの塩等が挙げられる。これらの含窒素複素環化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物が防蝕剤を含有する場合において、防蝕剤の含有量は、化学機械研磨用組成物の全質量を100質量%としたときに、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.001~0.1質量%である。
【0055】
<pH調整剤>
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、さらに必要に応じてpH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、水酸化カリウム、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、TEAH(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)、アンモニア等の塩基が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
【0056】
1.4.pH
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物のpHは、特に制限されないが、好ましくは2以上7.5以下であり、より好ましくは2以上6以下であり、さらに好ましくは2以上5以下であり、特に好ましくは2以上4以下である。pHが前記範囲内にあると、化学機械研磨用組成物中のシリカ粒子の分散性が向上することで、化学機械研磨用組成物の貯蔵安定性が良好となるため好ましい。
【0057】
なお、本実施形態に係る化学機械研磨用組成物のpHは、例えば、前記酸性化合物や前記pH調整剤等の含有量を適宜増減することにより調整することができる。
【0058】
本発明において、pHとは、水素イオン指数のことを指し、その値は、25℃、1気圧の条件下で市販のpHメーター(例えば、株式会社堀場製作所製、卓上型pHメーター)を用いて測定することができる。
【0059】
1.5.用途
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、半導体装置を構成する複数種の材料を有する半導体基板を化学機械研磨するための研磨材料として好適である。例えば、前記半導体基板は、タングステンやコバルト等の導電体金属の他、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、アモルファスシリコン等の絶縁膜材料や、チタン、窒化チタン、窒化タンタル等のバリアメタル材料を有していてもよい。
【0060】
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物の特に好適な研磨対象は、タングステンを含む配線層が設けられた半導体基板等の被処理体である。具体的には、ヴィアホールを有するシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜上にバリアメタル膜を介して設けられたタングステン膜と、を含む被処理体が挙げられる。本実施形態に係る化学機械研磨用組成物を用いることによって、タングステン膜を高速かつ平坦に研磨できるだけでなく、タングステン膜とシリコン酸化膜等の絶縁膜とが共存する被研磨面に対しても研磨欠陥の発生を抑制しながら高速かつ平坦に研磨することができる。
【0061】
1.6.化学機械研磨用組成物の調製方法
本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、水等の液状媒体に上述の各成分を溶解又は分散させることにより調製することができる。溶解又は分散させる方法は、特に制限されず、均一に溶解又は分散できればどのような方法を適用してもよい。また、上述の各成分の混合順序や混合方法についても特に制限されない。
【0062】
また、本実施形態に係る化学機械研磨用組成物は、濃縮タイプの原液として調製し、使
用時に水等の液状媒体で希釈して使用することもできる。
【0063】
2.化学機械研磨方法
本発明の一実施形態に係る化学機械研磨方法は、上述した化学機械研磨用組成物を用いて半導体基板を研磨する工程を含む。以下、本実施形態に係る化学機械研磨方法の一具体例について、図面を用いながら詳細に説明する。
【0064】
2.1.被処理体
図4は、本実施形態に係る化学機械研磨方法の使用に適した被処理体を模式的に示した断面図である。被処理体100は、以下の工程(1)~工程(4)を経ることにより形成される。
【0065】
(1)まず、図4に示すように、基体10を用意する。基体10は、例えばシリコン基板とその上に形成されたシリコン酸化膜とから構成されていてもよい。さらに、基体10には、(図示しない)トランジスタ等の機能デバイスが形成されていてもよい。次に、基体10の上に、熱酸化法を用いて絶縁膜であるシリコン酸化膜12を形成する。
【0066】
(2)次いで、シリコン酸化膜12をパターニングする。得られたパターンをマスクとして、フォトリソグラフィー法によりシリコン酸化膜12にヴィアホール14を形成する。
【0067】
(3)次いで、スパッタ等を適用してシリコン酸化膜12の表面及びヴィアホール14の内壁面にバリアメタル膜16を形成する。タングステンとシリコンとの電気的接触があまり良好でないため、バリアメタル膜を介在させることで良好な電気的接触を実現している。バリアメタル膜16としては、チタン及び/又は窒化チタンが挙げられる。
【0068】
(4)次いで、CVD法を適用してタングステン膜18を堆積させる。
【0069】
以上の工程により、被処理体100が形成される。
【0070】
2.2.化学機械研磨方法
2.2.1.第1研磨工程
図5は、第1研磨工程終了時での被処理体を模式的に示した断面図である。第1研磨工程では、図5に示すように、上述の化学機械研磨用組成物を用いてバリアメタル膜16が露出するまでタングステン膜18を研磨する。
【0071】
2.2.2.第2研磨工程
図6は、第2研磨工程終了時での被処理体を模式的に示した断面図である。第2研磨工程では、図6に示すように、上述の化学機械研磨用組成物を用いてシリコン酸化膜12、バリアメタル膜16及びタングステン膜18を研磨する。第2研磨工程を経ることにより、被研磨面の平坦性に優れた次世代型の半導体装置200を製造することができる。
【0072】
なお、上記の通り、上述の化学機械研磨用組成物は、半導体装置を構成する複数種の材料を有する半導体基板を化学機械研磨するための研磨材料として好適である。そのため、本実施形態に係る化学機械研磨方法の第1研磨工程及び第2研磨工程において、同一組成の化学機械研磨用組成物を用いることができるので、生産ラインのスループットが向上する。
【0073】
2.3.化学機械研磨装置
上述の第1研磨工程及び第2研磨工程には、例えば図7に示すような研磨装置300を
用いることができる。図7は、研磨装置300を模式的に示した斜視図である。上述の第1研磨工程及び第2研磨工程は、スラリー供給ノズル42からスラリー(化学機械研磨用組成物)44を供給し、かつ研磨用パッド46が貼付されたターンテーブル48を回転させながら、半導体基板50を保持したキャリアーヘッド52を当接させることにより行う。なお、図7には、水供給ノズル54及びドレッサー56も併せて示してある。
【0074】
キャリアーヘッド52の研磨荷重は、10~980hPaの範囲内で選択することができ、好ましくは30~490hPaである。また、ターンテーブル48及びキャリアーヘッド52の回転数は10~400rpmの範囲内で適宜選択することができ、好ましくは30~150rpmである。スラリー供給ノズル42から供給されるスラリー(化学機械研磨用組成物)44の流量は、10~1,000mL/分の範囲内で選択することができ、好ましくは50~400mL/分である。
【0075】
市販の研磨装置としては、例えば、荏原製作所社製、型式「EPO-112」、「EPO-222」;ラップマスターSFT社製、型式「LGP-510」、「LGP-552」;アプライドマテリアルズ社製、型式「Mirra」、「Reflexion」;G&P TECHNOLOGY社製、型式「POLI-400L」;AMAT社製、型式「Reflexion LK」等が挙げられる。
【0076】
3.実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0077】
3.1.シリカ粒子水分散体の調製
3.1.1.水分散体Aの調製
フラスコに、溶媒として純水7500gを入れ、アルカリ触媒としてトリエチルアミン1.31gを添加し、母液を調製した。母液を内温80℃まで加熱した後、当該母液にテトラメトキシシラン(TMOS)2720gを内温変動しないように温調しつつ、60分かけて定速滴下し、混合液を調製した。15分撹拌後、混合液にトリエチルアミン49.22gを添加して、種粒子分散液を調製した。次いで、種粒子分散液を800g採取した。その後、反応時に副生したメタノールを系外留去するために、種粒子分散液を内温70℃から90℃の範囲にて加熱しながら、容量を一定に保つよう純水650mLを滴下することで分散媒を置換し、コロイダルシリカの水分散体Aを得た。
【0078】
3.1.2.水分散体Bの調製
フラスコに、溶媒として純水7500gを入れ、アルカリ触媒としてトリエチルアミン0.91gを添加し、母液を調製した。母液を内温75℃まで加熱した後、当該母液にテトラメトキシシラン(TMOS)2720gを内温変動しないように温調しつつ、60分かけて定速滴下し、混合液を調製した。15分撹拌後、混合液にトリエチルアミン41.25gを添加して、種粒子分散液を調製した。次いで、種粒子分散液を800g採取した。その後、反応時に副生したメタノールを系外留去するために、種粒子分散液を内温70℃から90℃の範囲にて加熱しながら、容量を一定に保つよう純水650mLを滴下することで分散媒を置換し、コロイダルシリカの水分散体Bを得た。
【0079】
3.1.3.水分散体Cの調製
フラスコに、溶媒として純水7500gを入れ、アルカリ触媒として3-ブトキシプロピルアミン0.465gを添加し、母液を調製した。母液を内温80℃まで加熱した後、当該母液にテトラメトキシシラン(TMOS)2720gを内温変動しないように温調しつつ、120分かけて定速滴下し、混合液を調製した。180分撹拌後、混合液に3-ブ
トキシプロピルアミン50.12gを添加して、種粒子分散液を調製した。次いで別のフラスコに、種粒子分散液2331g、及び、純水5265gを入れた。その後、内温80℃まで加熱し、テトラメトキシシラン(TMOS)2000gを内温変動しないように温調しつつ、180分かけて定速滴下した。滴下終了後、15分攪拌してシリカ含有液を調製した。次いで、シリカ含有液を800g採取した。その後、反応時に副生したメタノールを系外留去するために、種粒子分散液を内温70℃から90℃の範囲にて加熱しながら、容量を一定に保つよう純水550mLを滴下することで分散媒を置換し、コロイダルシリカの水分散体Cを得た。
【0080】
3.1.4.水分散体Dの調製
フラスコに、溶媒として純水7500gを入れ、アルカリ触媒として3-エトキシプロピルアミン0.338gを添加し、母液を調製した。母液を内温60℃まで加熱した後、当該母液にテトラメトキシシラン(TMOS)2720gを内温変動しないように温調しつつ、60分かけて定速滴下し、混合液を調製した。60分撹拌後、混合液に3-エトキシプロピルアミン30.44gを添加して、種粒子分散液を調製した。次いで、種粒子分散液を800g採取した。その後、反応時に副生したメタノールを系外留去するために、種粒子分散液を内温70℃から90℃の範囲にて加熱しながら、容量を一定に保つよう純水650mLを滴下することで分散媒を置換し、コロイダルシリカの水分散体Dを得た。
【0081】
3.1.5.水分散体Eの調製
フラスコに、溶媒として純水4500g及びメタノール3000gを入れ、アルカリ触媒として3-エトキシプロピルアミン0.525gを添加し、母液を調製した。母液を内温80℃まで加熱した後、当該母液にテトラメトキシシラン(TMOS)2720gを内温変動しないように温調しつつ、120分かけて定速滴下し、混合液を調製した。240分撹拌後、混合液に3-エトキシプロピルアミン50.12gを添加して、種粒子分散液を調製した。次いで別のフラスコに、種粒子分散液2331g、及び、純水5265gを入れた。その後、内温80℃まで加熱し、テトラメトキシシラン(TMOS)1500gを内温変動しないように温調しつつ、180分かけて定速滴下した。滴下終了後、15分攪拌してシリカ含有液を調製した。次いで、シリカ含有液を800g採取した。その後、反応時に副生したメタノールを系外留去するために、種粒子分散液を内温70℃から90℃の範囲にて加熱しながら、容量を一定に保つよう純水650mLを滴下することで分散媒を置換し、コロイダルシリカの水分散体Eを得た。
【0082】
3.1.6.水分散体Fの調製
フラスコに、溶媒として純水4500g及びメタノール3000gを入れ、アルカリ触媒としてトリエチルアミン1.04gを添加し、母液を調製した。母液を内温75℃まで加熱した後、当該母液にテトラメトキシシラン(TMOS)2720gを内温変動しないように温調しつつ、60分かけて定速滴下し、混合液を調製した。15分撹拌後、混合液にトリエチルアミン53.11gを添加して、種粒子分散液を調製した。次いで、種粒子分散液を800g採取した。その後、反応時に副生したメタノールを系外留去するために、種粒子分散液を内温70℃から90℃の範囲にて加熱しながら、容量を一定に保つよう純水650mLを滴下することで分散媒を置換し、コロイダルシリカの水分散体Fを得た。
【0083】
3.1.7.水分散体Gの調製
フラスコに、溶媒として純水7500gを入れ、アルカリ触媒としてジプロピルアミン1.16gを添加し、母液を調製した。母液を内温80℃まで加熱した後、当該母液にテトラメトキシシラン(TMOS)2720gを内温変動しないように温調しつつ、90分かけて定速滴下し、混合液を調製した。15分撹拌後、混合液にジプロピルアミン50.25gを添加して、種粒子分散液を調製した。次いで、種粒子分散液を800g採取した
。その後、反応時に副生したメタノールを系外留去するために、種粒子分散液を内温70℃から90℃の範囲にて加熱しながら、容量を一定に保つよう純水600mLを滴下することで分散媒を置換し、コロイダルシリカの水分散体Gを得た。
【0084】
3.1.8.水分散体Hの調製
フラスコに、水分散体A400gと(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン0.83gを入れた混合液を調製した。母液を内温60℃まで加熱した後、120分攪拌することで、コロイダルシリカの水分散体Hを得た。
【0085】
3.1.9.水分散体Iの調製
国際公開第2008/117592号の実施例1で使用しているコロイダルシリカを調製し、水分散体Iとして使用した。
【0086】
3.1.10.市販のコロイダルシリカを含む水分散体の調製
扶桑化学工業社製のコロイダルシリカ(品番:BS-3、PL-3-D)を購入してそのまま使用した。
【0087】
3.2.シリカ粒子の形状評価
水分散体A~I、あるいは扶桑化学工業社製のコロイダルシリカ(品番:BS-3、PL-3-D)に含まれるシリカ粒子を透過型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、型式「H-7000」)にて30,000倍で、任意に50個選び出して観察した。これら50個のシリカ粒子について、長径(Rmax)と短径(Rmin)を各々測定し、長径(Rmax)及び短径(Rmin)の平均値を算出した後、長径の平均値を短径の平均値で除してRmax/Rminの値を求めた。その結果を下表1~下表2に併せて示す。
【0088】
3.3.シリカ粒子の平均一次粒子径測定
水分散体A~I、あるいは扶桑化学工業社製のコロイダルシリカ(品番:BS-3、PL-3-D)に含まれるシリカ粒子をホットプレートの上で予備乾燥後、800℃で1時間熱処理して測定用サンプルを調製した。この測定用サンプルを用いて、流動式比表面積自動測定装置「micrometrics FlowSorb II 2300(株式会社島津製作所製)」によりBET比表面積を測定した。シリカの真比重を2.2として、2727/BET比表面積(m/g)の値を換算して、コロイダルシリカ中のシリカ粒子の平均一次粒子径(nm)を算出した。その結果を下表1~下表2に併せて示す。
【0089】
3.4.化学機械研磨用組成物の調製
上記で調製した水分散体の所定量を容量1000cmのポリエチレン製の瓶に投入し、これに下表1又は下表2に記載の化合物を下表1又は下表2に記載の含有量となるようにそれぞれ添加し、十分に撹拌した。さらにイオン交換水を加えた後、孔径5μmのフィルターでろ過し、実施例1~16及び比較例1~4の化学機械研磨用組成物を得た。
【0090】
3.5.化学機械研磨用組成物中におけるシリカ粒子のゼータ電位測定
実施例1~16及び比較例1~4の化学機械研磨用組成物について、シリカ粒子のゼータ電位を音響式及び電子音響式スペクトロメーター(Dispersion Technologies社製、型式「DT300」)を使用して測定した。その結果を下表1~下表2に併せて示す。
【0091】
3.6.化学機械研磨用組成物中におけるシリカ粒子の平均二次粒子径測定
実施例1~16及び比較例1~4の化学機械研磨用組成物について、動的光散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、型式「LB550」)を用い、化学機械研磨用組成物中におけるシリカ粒子の算術平均径を測定し、その値を平均二次粒子径とみなした。その結
果を下表1~下表2に併せて示す。
【0092】
3.7.評価方法
3.7.1.研磨速度試験
実施例1~16及び比較例1~4の化学機械研磨用組成物を用いて、直径12インチのp-TEOS膜(シリコン酸化膜)300nm付きウエハ又は直径12インチのCVD-タングステン膜300nm付きウエハを被研磨体として、下記の研磨条件で60秒間の化学機械研磨試験を行った。
【0093】
<研磨条件>
・研磨装置:AMAT社製、型式「Reflexion LK」
・研磨用パッド:富士紡ホールディングス社製、「多硬質ポリウレタン製パッド;H800-type1(3-1S)775」
・化学機械研磨用組成物供給速度:300mL/分
・定盤回転数:100rpm
・ヘッド回転数:90rpm
・ヘッド押し付け圧:2.5psi
・研磨速度(Å/分)=(研磨前の膜の厚さ-研磨後の膜の厚さ)/研磨時間
【0094】
なお、p-TEOS膜の厚さは、光干渉式膜厚計「NanoSpec 6100」(ナノメトリクス・ジャパン社製)によって評価した。タングステン膜の厚さは、抵抗率測定機(ケーエルエー・テンコール社製、型式「OmniMap RS100」)により直流4探針法で抵抗を測定し、このシート抵抗値とタングステンの体積抵抗率から下記式によって算出した。
膜の厚さ(Å)=[タングステン膜の体積抵抗率(Ω・m)÷シート抵抗値(Ω)]×1010
【0095】
研磨速度試験の評価基準は下記の通りである。p-TEOS膜研磨速度の評価結果、タングステン膜研磨速度の評価結果を下表1~下表2に併せて示す。
【0096】
<p-TEOS膜研磨速度の評価基準>
・「A」…p-TEOS膜の研磨速度が3000Å/分以上である場合、実際の半導体研磨において極めて効率的に半導体を加工可能な為、極めて良好と判断した。
・「B」…p-TEOS膜の研磨速度が2000Å/分以上3000Å/分未満である場合、実際の半導体研磨において効率的に半導体を加工可能な為、非常に良好と判断した。・「C」…p-TEOS膜の研磨速度が1000Å/分以上2000Å/分未満である場合、実際の半導体研磨において許容範囲の時間で半導体を加工可能な為、良好と判断した。
・「D」…p-TEOS膜の研磨速度が1000Å/分未満である場合、実際の半導体研磨において半導体のスループットに支障が生じる為、不良と判断した。
【0097】
<タングステン膜研磨速度の評価基準>
・「A」…タングステン膜の研磨速度が500Å/分以上である場合、実際の半導体研磨において極めて効率的に半導体を加工可能な為、極めて良好と判断した。
・「B」…タングステン膜の研磨速度が200Å/分以上500Å/分未満である場合、実際の半導体研磨において効率的に半導体を加工可能な為、非常に良好と判断した。
・「C」…タングステン膜の研磨速度が100Å/分以上200Å/分未満である場合、実際の半導体研磨において許容範囲の時間で半導体を加工可能な為、良好と判断した。
・「D」…タングステン膜の研磨速度が100Å/分未満である場合、実際の半導体研磨において半導体のスループットに支障が生じる為、不良と判断した。
【0098】
3.7.2.デフェクト試験
実施例1~16及び比較例1~4の化学機械研磨用組成物を用いて、直径12インチのp-TEOS膜300nm付きウエハを被研磨体として、下記の研磨条件で60秒間の化学機械研磨試験を行った。
【0099】
<研磨条件>
・研磨装置:AMAT社製、型式「Reflexion LK」
・研磨用パッド:富士紡ホールディングス社製、「多硬質ポリウレタン製パッド;H800-type1(3-1S)775」
・化学機械研磨用組成物供給速度:300mL/分
・定盤回転数:100rpm
・ヘッド回転数:90rpm
・ヘッド押し付け圧:2.5psi
【0100】
化学機械研磨試験後のp-TEOS膜付きウエハについて、欠陥検査装置(ケーエルエー・テンコール社製、型式「Surfscan SP2」)を用いて、ダークフィールドモードで0.115μm以上の欠陥を観察した。続いて、review SEM装置(日立ハイテク社製、型式「RS6000」)を用いて欠陥をスクラッチ、砥粒残り、あるいはそれ以外に観察者が目視で分類して、スクラッチ数と砥粒残り数をそれぞれ計上した。
【0101】
デフェクト試験の評価基準は下記の通りである。スクラッチ数結果、砥粒残り数結果を下表1~下表2に併せて示す。
【0102】
<スクラッチ数の評価基準>
・「A」…スクラッチ数の合計が10未満である場合、実際の半導体研磨において品質不良が極めて起こりにくい為、極めて良好と判断した。
・「B」…スクラッチ数の合計が10以上20未満である場合、実際の半導体研磨において品質不良が十分に起こりにくい為、非常に良好と判断した。
・「C」…スクラッチ数の合計が20以上30未満である場合、実際の半導体研磨において品質不良の頻度が許容範囲内である為、良好と判断した。
・「D」…スクラッチ数の合計が30以上である場合、実際の半導体研磨において品質不良が発生しやすく支障が出る為、不良と判断した。
【0103】
<砥粒残り数の評価基準>
・「A」…砥粒残り数の合計が20未満である場合、実際の半導体研磨において品質不良が極めて起こりにくい為、極めて良好と判断した。
・「B」…砥粒残り数の合計が20以上40未満である場合、実際の半導体研磨において品質不良が十分に起こりにくい為、非常に良好と判断した。
・「C」…砥粒残り数の合計が40以上60未満である場合、実際の半導体研磨において品質不良の頻度が許容範囲内である為、良好と判断した。
・「D」…砥粒残り数の合計が60以上である場合、実際の半導体研磨において品質不良が発生しやすく支障が出る為、不良と判断した。
【0104】
3.8.評価結果
下表1~下表2に、各実施例及び各比較例で使用したシリカ粒子の種類及び物性、化学機械研磨用組成物の組成、並びに各評価結果を示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
上表1~上表2中の各成分は、それぞれ下記の商品又は試薬を用いた。
<酸性化合物>
・マレイン酸:扶桑化学工業社製、商品名「精製マレイン酸」
・酢酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「酢酸」
・クエン酸:扶桑化学工業社製、商品名「精製クエン酸(結晶)L」
・マロン酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「マロン酸」
・酒石酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「酒石酸」
・トリメリット酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「トリメリット酸」
・ヒスチジン:東京化成工業社製、商品名「L-Histidine」
・硫酸:関東化学社製、商品名「硫酸」
・リン酸:関東化学社製、商品名「りん酸」
・硝酸:関東化学社製、商品名「硝酸 1.38」
<酸化剤>
・過酸化水素:富士フイルム和光純薬社製、商品名「過酸化水素水(30%)」
・硝酸鉄:多摩化学工業社製、商品名「FN-376」
・オルト過ヨウ素酸:富士フイルム和光純薬社製、商品名「オルト過よう素酸」
<界面活性剤>
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬社製、商品名「ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」
・ラウリルイミノジプロピオン酸モノNa塩:竹本油脂社製、商品名「タケサーフC-158-G」
<水溶性高分子>
・ポリアクリル酸:東亜合成社製、商品名「ジュリマーAC-10L」、重量平均分子量(Mw)=25,000
・ポリエチレングリコール:富士フイルム和光純薬社製、商品名「ポリエチレングリコール 20,000」、重量平均分子量(Mw)=20,000
・ポリビニルピロリドン:富士フイルム和光純薬社製、商品名「ポリビニルピロリドン (Mw40,000)」、重量平均分子量(Mw)=40,000
・ポリスチレンスルホン酸:富山薬品工業社製、商品名「FUNCHEM-PSSH(10)」、重量平均分子量(Mw)=14,000 (10%水溶液)
<防蝕剤>
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン:Sigma-Aldrich社製、商品名「2-Methyl-4-isothiazolin-3-on」
<pH調整剤>
・モノエタノールアミン:日本触媒社製、商品名「エタノールアミン」
・水酸化カリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名「水酸化カリウム」
・テトラメチルアンモニウムヒドロキシド:東京化成工業社製、商品名「Tetramethylammonium Hydroxide(10% in Water)
・テトラエチルアンモニウムヒドロキシド:東京化成工業社製、商品名「Tetraethylammonium Hydroxide(10% in Water)
・アンモニア:富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名「25% アンモニア水」
【0108】
上表1~上表2の評価結果によれば、透過型電子顕微鏡を用いて測定されたRmax/Rminが2.5以上であり、ゼータ電位が0mVを超えるシリカ粒子を含有する、実施例1~16の化学機械研磨用組成物を用いた場合には、いずれもp-TEOS膜及びタングステン膜を実用的な研磨速度で研磨することができ、かつ、双方の研磨膜の速度バランスを容易に確保できるとともに、研磨後におけるデフェクト(スクラッチ及び砥粒残り)を有意に低減できていることがわかる。
【0109】
これに対し、透過型電子顕微鏡を用いて測定されたRmax/Rminが2.5未満のシリカ粒子を含有する、比較例1の化学機械研磨用組成物を用いた場合には、許容範囲外
の砥粒残り数の上昇が認められた。
【0110】
一方、音響式及び電子音響式スペクトロメーターを用いて測定されたゼータ電位が0以下となった、比較例2の化学機械研磨用組成物を用いた場合には、p-TEOS膜の研磨速度が低いために半導体製造時のスループットが悪いことに加え、スクラッチ数も許容範囲外となった。
【0111】
透過型電子顕微鏡を用いて測定されたRmax/Rminが2.5未満であり、かつ、音響式及び電子音響式スペクトロメーターを用いて測定されたゼータ電位が0以下のシリカ粒子を含有する、比較例3の化学機械研磨用組成物を用いた場合には、p-TEOS膜及びタングステン膜の研磨速度が共に低く、半導体製造時のスループットに問題があると見なされた。
【0112】
比較例4は、国際公開第2008/117592号に記載の実施例1の化学機械研磨用組成物を用いた場合の評価結果である。使用されたシリカ粒子は、透過型電子顕微鏡を用いて測定されたRmax/Rminが1.7であり、かつ、音響式及び電子音響式スペクトロメーターを用いて測定されたゼータ電位が-8mVであった。この場合には、研磨速度とデフェクト評価の両者共に実施例と比較して劣る結果となった。
【0113】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0114】
2a,2b,2c…シリカ粒子、10…基体、12…シリコン酸化膜、14…ヴィアホール、16…バリアメタル膜、18…タングステン膜、42…スラリー供給ノズル、44…スラリー(化学機械研磨用組成物)、46…研磨用パッド、48…ターンテーブル、50…半導体基板、52…キャリアーヘッド、54…水供給ノズル、56…ドレッサー、100…被処理体、200…半導体装置、300…研磨装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7