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特開2024-130713情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130713
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240920BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040588
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】522390674
【氏名又は名称】有限会社ホクセイ
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭太
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 千加志
(72)【発明者】
【氏名】藤原 大豊
(72)【発明者】
【氏名】桶谷 尚史
(72)【発明者】
【氏名】荒田 綺乃
(72)【発明者】
【氏名】篠田 徹
(72)【発明者】
【氏名】堀内 元
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】被介護者が被害にあうリスク又は被介護者の願望の実現可能性を示すことができる情報処理装置等を提供する。
【解決手段】情報処理装置100は、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報を受け付ける受付部5と、前記介護判断情報を用いて被介護者の被害リスクを評価する評価部10と、を有する。また情報処理装置100は、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報と、被介護者の願望に関する願望関連情報を受け付ける受付部5と、前記介護判断情報と前記願望関連情報を用いて、被介護者の願望の実現可能性を評価する評価部10と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報を受け付ける受付部と、
前記介護判断情報を用いて、被介護者の被害リスクを評価する評価部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
評価部は、意欲の度合い又は認知機能に関連する介護判断情報を用いて、前記被害リスクを評価する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
受付部は、前記介護判断情報に加えて、評価関連情報を受け付け、
評価部は、前記介護判断情報及び評価関連情報を用いて、前記被害リスクを評価する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
評価部は、受付部で受け付けた介護判断情報に1対1又は1対2以上で対応する被介護者の被害リスクを記憶部から読み出す、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報と、被介護者の願望に関する願望関連情報を受け付ける受付部と、
前記介護判断情報と前記願望関連情報を用いて、被介護者の願望の実現可能性を評価する評価部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項6】
評価部は、身体機能又は栄養状態に関連する介護判断情報を用いて、前記願望の実現可能性を評価する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
評価部による評価結果に基づいて、サービス提供者を選定する選定部をさらに備える、請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
選定部は複数のサービス提供者を選定する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
受付部は、被介護者の願望に関する被介護者の関係者からの要望を受け付け、
評価部は、被介護者の関係者からの要望に基づく被介護者の願望の実現可能性を評価する、請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
被介護者からサービス提供に関する申し込みがあった場合に、被介護者の関係者に対する通知を行う通知部を備える、請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項11】
評価部は、受付部で受け付けた介護判断情報及び前記願望に1対1又は1対2以上で対応する当該願望の実現可能性を記憶部から読み出す、請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項12】
受付部によって、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する、介護判断情報の入力を受け付ける工程と、
評価部が前記介護判断情報を用いて、被介護者の被害リスクを評価する工程と、
を備える、情報処理方法。
【請求項13】
受付部によって、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報と、被介護者の願望に関する願望関連情報を受け付ける工程と、
評価部によって、前記介護判断情報と前記願望関連情報を用いて、被介護者の願望の実現可能性を評価する工程と、
を備える、情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータにインストールされるプログラムであって、
プログラムがインストールされたコンピュータに、
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する、介護判断情報の入力を受け付ける受付機能と、
前記介護判断情報を用いて、被介護者の被害リスクを評価する評価機能と、
を実現させる、プログラム。
【請求項15】
コンピュータにインストールされるプログラムであって、
プログラムがインストールされたコンピュータに、
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報と、被介護者の願望に関する願望関連情報を受け付ける受付機能と、
前記介護判断情報と前記願望関連情報を用いて、被介護者の願望の実現可能性を評価する評価機能と、
を実現させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に介護などの現場で利用される情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、高齢者等の被介護者に対するケアマネジメントに関する支援技術に注目が高まっており、例えば特許文献1では、被介護者に対して行ったアセスメントの結果の入力を受け付ける入力受付部と、複数の候補ケアプランを記憶する記憶部と、被介護者への候補ケアプランの実施により、被介護者の状況が改善する確率を出力する確率出力部と、を有するケアプラン作成支援システムが提案されている。このケアプラン作成支援システムにおいて、確率出力部は、学習処理された確率的推論モデルにアセスメントの結果及び候補ケアプランを入力して、被介護者の要介護度が改善する確率を出力する態様となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-99867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、昨今、被介護者がぼったくり等の被害にあうことが問題視されている。この点、ケアマネジャー等の介護者は、被介護者の家に定期的に通うことから、ケアマネジャー等の介護者が被介護者の生活を注視することでそのような被害にあうことを防止することを期待できる。また、ケアマネジャー等の介護者は被介護者とのコミュニケーションを介して、被介護者がどのようなことを行いたいかという要望を聞くことが、被介護者の自立支援の観点からも非常に重要である。
【0005】
前述したように被介護者がぼったくり等の被害にあうことが問題視されているにも関わらず、従来の態様では、被介護者がぼったくり等の被害にあうリスクがどの程度あるのか、また被介護者の要望を叶えることがどの程度可能であるかについては、明確に示すことができていない。
【0006】
本発明は、このような点に着目したものであり、被介護者が被害にあうリスク又は被介護者の願望の実現可能性をエビデンスを以て示すことができる情報処理装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[概念1]
本発明による情報処理装置は、
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報を受け付ける受付部と、
前記介護判断情報を用いて、被介護者の被害リスクを評価する評価部と、
を備えてもよい。
【0008】
[概念2]
概念1による情報処理装置において、
評価部は、意欲の度合い又は認知機能に関連する介護判断情報を用いて、前記被害リスクを評価してもよい。
【0009】
[概念3]
概念1又は2による情報処理装置において、
受付部は、前記介護判断情報に加えて、評価関連情報を受け付け、
評価部は、前記介護判断情報及び評価関連情報を用いて、前記被害リスクを評価してもよい。
【0010】
[概念4]
概念1乃至3のいずれか1つによる情報処理装置において、
評価部は、受付部で受け付けた介護判断情報に1対1又は1対2以上で対応する被介護者の被害リスクを記憶部から読み出してもよい。
【0011】
[概念5]
本発明による情報処理装置は、
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報と、被介護者の願望に関する願望関連情報を受け付ける受付部と、
前記介護判断情報と前記願望関連情報を用いて、被介護者の願望の実現可能性を評価する評価部と、
を備えてもよい。
【0012】
[概念6]
概念5による情報処理装置において、
評価部は、身体機能又は栄養状態に関連する介護判断情報を用いて、前記願望の実現可能性を評価してもよい。
【0013】
[概念7]
概念5又は6による情報処理装置において、
評価部による評価結果に基づいて、サービス提供者を選定する選定部をさらに備えてもよい。
【0014】
[概念8]
概念7による情報処理装置において、
選定部は複数のサービス提供者を選定してもよい。
【0015】
[概念9]
概念5乃至8のいずれか1つによる情報処理装置において、
受付部は、被介護者の願望に関する被介護者の関係者からの要望を受け付け、
評価部は、被介護者の関係者からの要望に基づく被介護者の願望の実現可能性を評価してもよい。
【0016】
[概念10]
概念5乃至9のいずれか1つによる情報処理装置において、
被介護者からサービス提供に関する申し込みがあった場合に、被介護者の関係者に対する通知を行う通知部を備えてもよい。
【0017】
[概念11]
概念5乃至10のいずれか1つによる情報処理装置において、
評価部は、受付部で受け付けた介護判断情報及び前記願望に1対1又は1対2以上で対応する当該願望の実現可能性を記憶部から読み出してもよい。
【0018】
[概念12]
本発明による情報処理方法において、
受付部によって、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する、介護判断情報の入力を受け付ける工程と、
評価部が前記介護判断情報を用いて、被介護者の被害リスクを評価する工程と、
を備えてもよい。
【0019】
[概念13]
本発明による情報処理方法において、
受付部によって、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報と、被介護者の願望に関する願望関連情報を受け付ける工程と、
評価部によって、前記介護判断情報と前記願望関連情報を用いて、被介護者の願望の実現可能性を評価する工程と、
を備えてもよい。
【0020】
[概念14]
本発明によるプログラムは、
コンピュータにインストールされるプログラムであって、
プログラムがインストールされたコンピュータに、
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する、介護判断情報の入力を受け付ける受付機能と、
前記介護判断情報を用いて、被介護者の被害リスクを評価する評価機能と、
を実現させてもよい。
【0021】
[概念15]
本発明によるプログラムは、
コンピュータにインストールされるプログラムであって、
プログラムがインストールされたコンピュータに、
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報と、被介護者の願望に関する願望関連情報を受け付ける受付機能と、
前記介護判断情報と前記願望関連情報を用いて、被介護者の願望の実現可能性を評価する評価機能と、
を実現させてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被介護者が被害にあうリスク又は被介護者の願望の実現可能性を示すことができる情報処理装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態による情報処理システムの一例の概要を説明するためのブロック図。
図2A】本発明の実施の形態によるフェーズ及びシーンとサービスレコメンドの根拠との関係を示した図。
図2B】本発明の実施の形態によるフェーズ及びシーンと、従来の対応、被介護者及び関係者の心理並びに情報処理装置によって実現される項目との関係を示した図。
図3】ケアマネジャー等の介護者による仕事の流れを説明するための図。
図4】ケアマネジャー等の介護者のユーザ端末で表示されるメニュー画面を示した図。
図5】ケアマネジャー等の介護者のユーザ端末で表示される認知機能を測定するための入力項目の一例を示した図。
図6】ケアマネジャー等の介護者のユーザ端末で表示される身体機能を測定するための入力項目の一例を示した図。
図7】ケアマネジャー等の介護者のユーザ端末で表示される身体機能を測定するための入力項目の一例を示した図であって、図6に続く入力項目を示した図。
図8】ケアマネジャー等の介護者のユーザ端末で表示される意欲の度合いを測定するための入力項目の一例を示した図。
図9】ケアマネジャー等の介護者のユーザ端末で表示されるモニタリングで気づいた症状の入力項目を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る情報処理装置の実施の形態について説明する。本実施の形態では、情報処理装置を利用した情報処理方法、情報処理装置100を生成するためにインストールされるプログラムや、当該プログラムを記憶したUSB、DVD等からなる記憶媒体も本実施の形態により提供される。また、パソコン、スマートフォン、タブレット等の各種端末にインストールされるプログラムも提供される。本願における「又は」は「及び」を含む概念であり、「A又はB」という用語は、「A」、「B」並びに「A及びB」のいずれかを意味している。
【0025】
本実施の形態の情報処理装置100は複数の装置から構成されるシステムであってもよい。情報処理装置100を構成する要素の一部又はその全部がサーバに設けられてもよい。典型的には、情報処理システムは、サーバ等からなる情報処理装置100と、複数のユーザ端末200等のその他の装置とによって構成される。
【0026】
典型的には、サーバ等からなる情報処理装置100は、複数のユーザ端末200と通信可能となっている(図1参照)。ユーザ端末200は、パソコン、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチやスマートグラス等のウェアラブルコンピュータ等といった端末であり、典型的にはスマートフォンやタブレット端末といった携帯端末である。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態の情報処理装置100は、複数の介護判断情報のユーザ端末200からの入力を受け付ける受付部5と、介護判断情報の入力結果を用いて、被介護者の被害リスク又は被介護者の願望の実現可能性を評価する評価部10と、評価部10による評価結果を出力する出力部80と、様々な情報を記憶する記憶部90と、を有してもよい。評価部10が被介護者の願望の実現可能性を評価する場合には、後述する願望関連情報も用いることになる。本実施の形態の評価部10における「評価」には、介護判断情報の入力結果に1対1又は1対2以上で対応している、被介護者の被害リスク又は被介護者の願望の実現可能性を記憶部90から読み出す態様も含まれている。典型的には、本実施の形態の情報処理装置100の評価部10は、介護判断情報を用いて被介護者の被害リスクを評価し、かつ介護判断情報と願望関連情報を用いて被介護者の願望の実現可能性を評価する。介護判断情報の入力結果に評価結果が1対2以上で対応している場合には、2つ以上の評価結果が例えば一覧として表示されるようにしてもよい。この場合には、可能性のある2つ以上の評価結果が示されることになるが、ケアマネジャー等の利用者が可能性のある評価結果から1つを選択するようにしてもよい。
【0028】
介護判断情報は、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連してもよい。介護判断情報は、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能の2つ以上に関連する情報を含んでもよいし、3つ以上に関連する情報を含んでもよいし、全てに関連する情報を含んでもよい。記憶部90は情報処理装置100の内部に設置されてもよいし、情報処理装置100の外部に設置されてもよい。出力部80で出力される情報は、ユーザ端末200の表示画面210で表示可能となる。
【0029】
介護判断情報として身体機能を用いることで、被介護者の身体機能の観点から被害リスク又は願望の実現可能性を評価することができる。介護判断情報として意欲の度合いを用いることで、被介護者の意欲がどの程度あるかに基づいて被害リスク又は願望の実現可能性を評価することができる。介護判断情報として栄養状態を用いることで、被介護者の栄養状態が良好であるかどうか等に基づいて被害リスク又は願望の実現可能性を評価することができる。介護判断情報として認知機能を用いることで、被介護者の認知機能がしっかりしているかどうか等に基づいて被害リスク又は願望の実現可能性を評価することができる。
【0030】
一例として評価部10は、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能の各々の評価結果の組み合わせから、想定される被害リスク又は願望の実現可能性を評価してもよい。
【0031】
評価部10で評価される被害リスクは、例えばぼったくり等の経済的な被害にあうリスクである。被害リスクの一例としては、必要でもない保険に入ってしまうリスク、必要でもない不動産を購入してしまうリスク、異様に高額なリフォームを行ってしまうリスク、異様に高額な墓石を購入してしまうリスク等を挙げることができる。
【0032】
評価部10で評価される願望の実現可能性における願望は、例えば旅行に行きたい、遠足に行きたいといったアクティビティに関する願望である。その他としては、ネットショッピングをしたい、衣類を買いたい、ネットを介して物を売りたい、自動車や不動産を売りたい、粗大ごみを処理したい、遺言・相続税・名義変更・遺留分・遺産分割等の手続きをしたい、エンディングノートを書きたい、防犯カメラを設置したい、友人と再会したいといったものを挙げることができる(図2A参照)。
【0033】
評価部10は、少なくとも意欲の度合い及び認知機能のいずれかに関連する介護判断情報を用いて、被害リスクを評価してもよい。意欲の度合いが低い場合や認知機能が落ちている場合には、詐欺等の被害にあうリスクが高まることから、これらを用いることは有益である。
【0034】
評価部10は、少なくとも身体機能及び栄養状態のいずれかに関連する介護判断情報を用いて、被介護者の願望の実現可能性を評価してもよい。何かの願望があったとし、その願望をかなえるためには身体機能や栄養状態が問題となるケースが多い。このため、アクティビティ等に関する願望を叶えられるかを判断するために、評価部10がこれらの情報を用いることは有益である。
【0035】
その他としては、一例として、図2Aで示すような対応関係となってもよい。例えば買い物に関しては、介護判断情報として、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能の4つの全てを利用する。また遺言・名義変更に関しては、介護判断情報として、意欲の度合い及び認知機能を利用する。例えば、買い物をしたいという願望があるが、身体機能が低い場合には、買い物時にけがをする可能性があるから買い物代行に頼んだ方がよいことを評価部10が評価し、出力部80が出力するようにしてもよい。また、買い物をしたいという願望があるが、認知機能が低い場合には、不要なものを買ってしまう可能性があることから買い物代行に頼んだ方がよいことを評価部10が評価し、出力部80が出力するようにしてもよい。また、健康食品を買いたいという願望があるが、栄養状態が十分に高い場合には、健康食品を購入する必要性が低いことを評価部10が評価し、出力部80が出力するようにしてもよい。また、シーンをさらに細分化してもよく、例えば、買い物であってもネットショッピングを利用したいという願望があるが、身体機能が高い場合には、健康のことも考えて実際に店舗まで赴いて購入した方がよいことを評価部10が評価し、出力部80が出力するようにしてもよい。
【0036】
受付部5は、介護判断情報に加えて、介護判断情報とは異なり、評価に関連する評価関連情報を受け付けてもよい。評価関連情報は、一例として被介護者の身辺に関する情報であり、また被介護者の願望に関する願望関連情報を含むものである。この願望関連情報は、被介護者の願望に関する情報であればよく、後述する被介護者の願望そのものの他、被介護者の関係者からの要望も含むものである。評価部10は、介護判断情報及び評価関連情報を用いて、被介護者の被害リスク又は願望の実現可能性を評価してもよい。被介護者の身辺における評価関連情報を用いることで、被介護者が被害にあうリスクや被介護者の願望の実現可能性をより適切に評価することができる。
【0037】
被害リスクを評価する上で有益な評価関連情報は、一例として、保険証券のパンフレット、不動産の名刺、リフォームのカタログ等が被介護者の家に置いてあること等の外的要因情報である。保険証券のパンフレットが置いてあるという情報は、必要でもない保険に入ってしまうリスクがあることを評価するための情報になるし、不動産屋の名刺が置いてあるという情報は、必要でもない購入してしまうリスクがあることを評価するための情報になる。リフォームのカタログは、異様に高額なリフォームを行うようなリスクがあることを評価するための情報になる。このようなパンフレット、名刺、カタログが被介護者の家に置いてあっても、ケアマネジャー等の介護者が問題ないと考えれば、そのような外的要因情報をユーザ端末200から入力しなければよく、問題がありそうな外的要因情報だけをユーザ端末200から入力するようにしてもよい。評価関連情報には、定期的に行われるモニタリングの機会(図3参照)での介護者(ケアマネジャー等)と被介護者との間の会話によって得られる情報も含まれ、例えば、不動産会社から最近頻繁に勧誘があるというような情報も含まれる。
【0038】
どのような願望を被介護者が有しているかを評価する上で有益な願望関連情報(前述したように評価関連情報に含まれる。)は、例えば旅行のパンフレットや被介護者が旅行番組を見ているという情報や、定期的に行われるモニタリングの機会(図3参照)での介護者(ケアマネジャー等)と被介護者との間の会話内容等である。例えば旅行のパンフレットが置いてあるという情報や被介護者がよく旅行番組を見ているという情報は、被介護者が旅行に行きたいという願望があることを評価するための情報になる。また、介護者(ケアマネジャー等)と被介護者との間の会話内容においては、被介護者の願望が明確に示されることがあり(例えば、北海道に旅行に行きたい等)、このように明確に示された願望については、(推測することなく)当該願望をそのまま用いて、当該願望の実現可能性を評価部10が評価するようにしてもよい。このような明示的な願望は、入力部220から入力され、被介護者と紐づけられて記憶部90に記録日時とともに記憶されてもよい。一例としては、ユーザ端末200から明示的に示された願望が入力され、当該願望の実現可能性が介護判断情報を用いて評価部10で評価され、出力部80で出力されるようにしてもよい。
【0039】
評価部10での評価結果は、例えば事前に登録された被介護者の関係者が閲覧可能となってもよいし、ケアマネジャー等の介護者が閲覧可能となってもよい。場合によっては、評価部10での評価結果を被介護者自身が閲覧可能となってもよい。誰が評価結果を閲覧できるようにするかは、本実施の形態の情報処理装置の利用者(典型的にはケアマネジャー等の介護者)が、入力部220からの入力で設定可能となってもよい。
【0040】
本実施の形態によれば、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上を用いた評価結果に基づいてサービス提供を提案することから、家族等の被介護者の関係者に対して、サービス提供を提案した根拠を明確に説明できる点でも有益である。
【0041】
介護判断情報及び評価関連情報は、基本的には定期的に行われるモニタリングの機会(典型的には月に1回訪問し、その際にモニタリングを行う。)に得られることになるが、例えば半年から1年に1回行われるアセスメント(再アセスメント)の機会に得られることもある(図3参照)。
【0042】
受付部5は、被介護者だけではなく、被介護者の関係者からの要望(願望)を受け付けるようにしてもよい。そして、被介護者の関係者からの明示的な要望(願望)を用いて、当該要望(願望)の実現可能性を評価部10が評価するようにしてもよい。被介護者の関係者からの要望(願望)は、例えば被介護者が旅行に行きたいようであるという情報や、被介護者が昔の友人に会いたいようであるという情報であり、被介護者の願望に関する明確な情報である。この場合にも、前述したように、ユーザ端末200から明示的に示された要望(願望)が入力され、当該要望(願望)の実現可能性が介護判断情報を用いて評価部10で評価され、出力部80で出力されるようにしてもよい。
【0043】
被介護者の関係者は典型的には被介護者の家族である。被介護者の関係者は、ユーザ端末200の入力部220から入力され、被介護者に紐づけられて記憶部90で記憶されることになる。
【0044】
被介護者の願望や被介護者の関係者からの要望を実現するためのサービス提供者を自動で選定する選定部50が設けられてもよい(図1参照)。このような態様を採用する場合には、被介護者の願望や被介護者の関係者からの要望に合致し、かつ評価部10による評価結果から被介護者に実現可能なサービスを提案できる点で有益である。
【0045】
選定部50は、評価部10による評価結果に基づいて、複数のサービス提供者を選定してもよい。複数のサービス提供者を選定することで、最終的な決定を被介護者又は被介護者の関係者に委ねることができる。この結果、被介護者や被介護者の関係者としては、自己の判断でサービスの提供を依頼したという納得感を得ることができ、後々の不平が出にくくなる点で有益である。選定部50は、被介護者の住宅から近いサービス提供者や評価の高いサービス提供者等、シーンに合わせて適切なサービス提供者を選択するようにしてもよい。例えば買い物代行を依頼するのであれば、被介護者の住宅から閾値以内の距離に拠点があるサービス提供者の中から、評価の高い順に所定数のサービス提供者を選定部50が選定するようにしてもよい。また、被介護者の住宅から近い拠点である必要がない場合には、単純に評価の高いサービス提供者を評価の高い順に所定数で選定部50が選定するようにしてもよい。選定部50によって選定されるサービス提供者は、ケアマネジャー等の介護者やその他の地元の人物からの情報に基づいて記憶部90で記憶されてもよい。また、サービス提供者に対する評価は、ケアマネジャー等の介護者やその他の地元の人物がユーザ端末200から入力することで行うようにしてもよい。
【0046】
選定部50によって選定されたサービス提供者は、通知部120(図1参照)によって、被介護者の関係者や、被介護者及び被介護者の関係者の両者に通知されてもよい。また、場合によっては、選定部50によって選定されたサービス提供者は通知部120によって被介護者だけに通知されてもよい。誰に通知を行うかは、ユーザ端末200から入力されてもよい。例えばケアマネジャー等の介護者が通知先を指定する場合には、被介護者及び被介護者の関係者の両者に通知するように設定してもよい。また、被介護者の関係者が通知先を指定する場合には、被介護者の関係者自身に通知するように設定してもよい。
【0047】
図2Bでは、仮説としてのユーザの心理を示している。ここでの「本人」は被介護者であり、「家族」は関係者の一例としての被介護者の家族である。「アプリの機能」は本実施の形態による情報処理装置100と通信可能なユーザ端末200で提供される機能である。例えば「リコメンド」では、ユーザ端末200の利用者に対してアプリによって何らしかの「リコメンド」が提供されることになる。また「選択肢の提示」ではユーザ端末200で何らしかの「選択肢」が提示され、同様に、「可能性の提示」ではユーザ端末200で何らしかの「可能性」が提示され、「リスクの提示」ではユーザ端末200で何らしかの「リスク」が提示されることになる。また「情報の蓄積」では、一例として、ユーザ端末200を用いて該当する被介護者の情報を取り扱う際に、当該ユーザ端末200において、当該被介護者に関する情報を蓄積するための画面が表示されるようにしてもよい。
【0048】
図2Bで示すように、被介護者と家族とでは心理が異なることがあるが、本実施の形態によれば、介護判断情報に基づいた証拠に基づいて、被介護者の願望の実現可能性が示されることから、被介護者と被介護者の関係者との心理のギャップを埋めることを期待できる。また、図2Bの「ケアマネによるボランティア対応」は、本実施の形態による情報処理装置100を利用しない従来での対応を示したものである。本実施の形態による情報処理装置100を利用することで、従来であればケアマネジャー等の介護者がボランティア的に行っていた作業を情報処理装置100によってスムーズに実現でき、ケアマネジャー等の介護者への負担を軽減させることも期待できる。
【0049】
通知部120は、被介護者からサービス提供に関する申し込みがあった場合に、被介護者の関係者に対する通知を行ってもよい。このような態様を採用することで、被介護者の関係者にサービス提供に関する申し込みがあったことを知らせることができ、被介護者の関係者が知らないうちに、サービス提供の申し込みが行われ、後々にトラブルになるようなことを防止できる。
【0050】
図4は、ユーザ端末200における表示画面210で表示されるメニューの一例であるが、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能の他、酸素飽和度、モニタリングで気づいた症状が、測定及び記録の項目で選択できるようにしてもよい。また、その他として、図4で示すように、経過の照会やライブラリーに含まれる各項目が選択できるようになってもよい。これらの情報は、被介護者に関連づけられており、被介護者の氏名やID等の識別情報を入力部220から入力することで、記憶部90で記憶された当該識別情報に対応する被介護者の情報をユーザ端末200で読み出すことができる。
【0051】
記憶部90から認知機能を測定するために図5で示すような質問を読み出す読出部40(図1参照)が設けられ、このようにして読み出された質問が出力部80によって出力されてもよい。前述したように、出力部80で出力される情報は、ユーザ端末200の表示画面210で表示可能となる。そして、当該質問に対する回答がユーザ端末200の入力部220から入力されることで、対象となっている被介護者の認知機能の状態が記憶部90で記憶されることになる。この際、前回(例えば1か月前)の入力項目を確認できるようにしてもよい。このような態様を採用することで、直近の入力項目からの変化を容易に確認することができる。
【0052】
栄養状態としては身長及び体重がユーザ端末200から入力されるようにしてもよく、入力された身長及び体重からBMI(Body Mass Index)を算出部20(図1参照)で算出するようにしてもよい。この際、前回の入力内容を確認できるようにしてもよい。このような態様を採用することで、直近からの変化を容易に確認することができる。本願の「入力結果」には、算出部20で算出されたBMI等の算出結果や、算出結果から判断された評価結果が含まれている。一例として、BMIが〇以上△未満であれば「A」、△以上□未満であれば「B」、□以上▽未満であれば「C」とカテゴリー分けされていた場合、算出部20で算出されたBMIの結果、属することになったカテゴリーが評価結果として用いられることになる。なお当該評価結果は入力結果に含まれる概念である。
【0053】
身体機能を測定するために、読出部40は記憶部90から食事の状態、車椅子からベッドへの移動といった移動の状態、整容の状態、トイレ動作の状態、入浴の状態、歩行の状態、階段の昇降に関する状態、着替えの状態、排便コントロール、排尿コントロール等に関する質問(図6及び図7参照)を読み出してもよい。当該質問に対する回答がユーザ端末200から入力されることで、対象となっている被介護者の身体機能の状態が記憶部90で記憶されることになる。この際にも、前回の入力項目を確認できるようにしてもよい。このような態様を採用することで、直近からの変化を容易に確認することができる。
【0054】
意欲の度合いを測定するために、読出部40は記憶部90から起床の状態、意思疎通の状態、食事の状態、排せつの状態、リハビリ活動の状態等に関する質問(図8参照)を読み出してもよい。当該質問に対する回答がユーザ端末200から入力されることで、対象となっている被介護者の意欲の度合いの状態が記憶部90で記憶されることになる。この際にも、前回の入力項目を確認できるようにしてもよい。このような態様を採用することで、直近からの変化を容易に確認することができる。
【0055】
介護判断情報のユーザ端末200を介した入力は、表示画面210に表示されているボタンを押下することで各介護判断情報の内容を選択するようにしてもよいし(図5図8参照)、キーボード入力や音声入力等で内容を記載するようにしてもよい。この際、入力を選択枝から選択する態様を採用した場合には、ケアマネジャーといったユーザが容易に入力することができる点で有益であるし、必要な情報が漏れなく入力されることを期待できる点でも有益である。
【0056】
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能の各々の項目における入力内容又は算出部20による算出結果(「入力結果」はこれら入力内容及び算出結果を含んでいる。)の組み合わせと、想定される被害リスクが対応付けられて記憶部90で記憶されてもよい。具体的な例で言えば、図5で示される認知機能における各入力項目の内容、栄養状態を示すBMIの数値範囲、図6及び図7で示される身体機能における各入力項目の内容及び図8で示される意欲の度合いにおける各入力項目の内容の組み合わせに対して、想定される被害リスクが関連づけられてもよい。BMIの数値範囲は予め区分に分けられており、BMIの数値範囲がどの区分に入るかが、想定される被害リスクとの関連づけに用いられてもよい。このような態様を採用した場合には、総合した入力データに対して1対1又は1対2以上の対応で想定される被害リスクが出力されることから、個々の被介護者に適した想定される被害リスクをケアマネジャー等のユーザに対して出力することができる点で有益である。
【0057】
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能の各々の項目における入力内容又は算出部20による算出結果に加えて、評価関連情報(外的要因情報及び願望関連情報を含む。)も選択肢で選択し、選択された評価関連情報も含めて、1対1又は1対2以上の対応で想定される被害リスク又は願望の実現可能性が出力されるようにしてもよい。評価関連情報の選択肢としては、被害リスクに関しては、例えば必要なさそうなサービスに関するパンフレットや名刺がある、頻繁に営業をかけている人物がいる等が選択肢として示され、それらを順次選択したりチェックボックスにチェックを入れたりするようにしてもよい。また、願望の実現可能性に関しては、例えば旅行、買い物、相続等のシーンに対応する選択肢が示され、被介護者が希望するシーンについて順次選択したりチェックボックスにチェックを入れたりするようにしてもよい。なお前述したように、このように入力された項目から想定される被害リスク又は願望の実現可能性を記憶部90から読み出す態様も、本願では評価部10での「評価」に該当する。
【0058】
受付部5は被介護者の状態に関して気づいたモニタリング情報を受け付けてもよい。このモニタリング情報は、介護判断情報を調整する役割を果たすものである。モニタリング情報によって変化が起こったタイミングで、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上の取得のし直しを評価部10が促してもよい。一例として、モニタリング情報を入力した結果、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上の取得のし直しが必要であると評価部10が判断した場合には、そのことが出力部80によって出力されるようにしてもよい。そして、ユーザ端末200を介して、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のうち必要な情報の取得が再度行われるようにしてもよい(図4乃至図8参照)。
【0059】
評価部10は、各介護判断情報の入力内容及びモニタリング情報に基づいて、被介護者の被害リスク又は願望の実現可能性を評価してもよい。モニタリング情報も選択肢で入力できるようになってもよく、例えば認知機能の悪化による症状、身体機能に起因する変化等が選択肢から選択できるようになってもよい(図9参照)。この際にも、前回の入力内容を確認できるようにしてもよい。このような態様を採用することで、直近からの変化を容易に確認することができる。また、選択肢から選択する態様とすることで、予め準備された回答から選択が行われることとなり、簡易なシステム構成を採用できる点で有益である。
【0060】
モニタリング情報が用いられる場合には、身体機能、意欲の度合い、栄養状態、認知機能及びモニタリング情報の各々の項目における入力内容又は算出部20による算出結果(「入力結果」はこれら入力内容及び算出結果を含んでいる。)の組み合わせと、想定される被害リスクが対応付けられて記憶部90で記憶されてもよい。具体的な例で言えば、図5で示される認知機能における各入力項目の内容、栄養状態を示すBMIの数値範囲(どの区分に属するか)、図6及び図7で示される身体機能における各入力項目の内容、図8で示される意欲の度合いにおける各入力項目の内容及び図9における各入力項目の内容の組み合わせに対して、想定される被害リスクが関連づけられてもよい。このような態様を採用した場合には、モニタリング情報を含む総合した入力データに対して1対1又は1対2以上の対応で想定される被害リスクが出力されることから、個々の被介護者により適した想定される被害リスク又は願望の実現可能性をケアマネジャー等のユーザに対して出力することができる点で有益である。
【0061】
この際も、評価関連情報(外的要因情報及び願望関連情報を含む。)も選択肢で選択し、選択された評価関連情報も含めて、1対1又は1対2以上の対応で想定される被害リスク又は願望の実現可能性が出力されるようにしてもよい。一例としては、選択肢で選択される評価関連情報と、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能の各々における各入力項目と、モニタリング情報の各々の項目の組み合わせに1対1又は1対2以上で対応する想定される想定される被害リスク又は願望の実現可能性が評価部10によって読み出されて、出力部80によって出力されてもよい。
【0062】
各介護判断情報の入力内容、評価関連情報及びモニタリング情報が選択肢で入力される態様とはなっていない場合には、記入された内容や音声入力された内容といったインプット内容の各々について処理部110(図1参照)が評価を行い、項目毎のインプット内容に対応する選択肢(この選択肢は「カテゴリー」ともいえる。)が処理部110で選択されるようにしてもよい。そして、この選択肢(カテゴリー)の組み合わせを用いて、被介護者の被害リスク又は願望の実現可能性を評価してもよい。選択肢(カテゴリー)が同じ組み合わせの場合には、評価部10によって、同じ被害リスク又は願望の実現可能性が記憶部90から読み出されることになる。記入された内容については処理部110で自然言語処理を行った上で評価部10が評価してもよいし、音声入力された内容については処理部110で音声認識処理を用いて文字に変換し、その後で処理部110で自然言語処理を行った上で評価部10が評価してもよい。
【0063】
また、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能の各々を評価し、各々の評価結果に対して、シーン毎に重みづけを行い、当該シーンが実現可能であるかを判断してもよい。例えば、被介護者に1泊2日で近隣に旅行に行きたいという願望がある場合、評価部10が身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能の各々についての評価結果を数値で算出し、当該数値に1泊2日で近隣に旅行に行くことを判断するための重みづけを掛け、その合計値が閾値以上となっていれば近隣への旅行が可能であるという評価を評価部10が行い、他方、その合計値が閾値未満であれば近隣への旅行は難しいという評価を評価部10が行うようにしてもよい。また合計値が閾値未満の場合には、何をすれば1泊2日で近隣に旅行に行くことが可能であるかを評価部10が評価するようにしてもよい。例えば、栄養状態が低いことが主たる要因で合計値が閾値未満となっている場合には、栄養状態を高めることで近隣に旅行に行くことができることを評価部10が評価結果として示し、出力部80によって出力されるようにしてもよい。このような態様を採用する場合には、何を改善すれば、被介護者の願望を実現できるかを把握できる点で有益である。
【0064】
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれかが改善されたことが通知部120によってユーザ端末200に通知され、介護者、被介護者の関係者、被介護者等のユーザ端末200でプッシュ通知等の積極通知がされるようにしてもよい。また、このようなプッシュ通知等の積極通知は、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれかが改善された結果、従前からある願望を実現可能になった段階で行われるようにしてもよい。例えば、被介護者の身体機能が低い結果、被介護者の願望である旅行が難しい状況であったが、身体機能が改善した結果、旅行が可能になった状況になった場合には、そのことがユーザ端末200でプッシュ通知されるようにしてもよい。また、プッシュ通知等の積極通知は、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれかが改善されたが、後もう少し改善できることで従前からある願望を実現できる際に行われてもよい。例えば、被介護者の身体機能が低い結果(評価が「1」である結果)、被介護者の願望である旅行が難しい状況であり、評価が「3」になることで旅行が可能になる場合において、身体機能が改善して評価が「2」にはなったときには、後もう少し身体機能が改善すれば、旅行に行けるようになることがユーザ端末200でプッシュ通知されるようにしてもよい。このようにプッシュ通知等の積極通知を行うことで、ユーザが通知された内容をより確実に把握することができることとなる。
【0065】
また願望を実現可能な状況にはあるが、それがギリギリの状況である場合には、そのことが通知部120によって介護者、被介護者の関係者、被介護者等のユーザ端末200に通知されてもよい。このような態様を採用することで、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上の維持に被介護者が努めることを期待できる。例えば、半年後に旅行を企画している場合において、当該願望を現時点では実現可能ではあるが、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか又はこれらを用いた総合評価がギリギリの状況である場合、半年後の旅行を実現させるために注意すべき項目(例えば「身体機能」の維持に努めて下さい。)というような通知が通知部120からなされてもよい。ギリギリの状況であるかは、予め定められ、記憶部90で記憶されている定義に基づいて評価部10で判断されてもよい。この通知もプッシュ通知等の積極通知であってもよい。
【0066】
通知部120は、何らしかの手続き等をするために不足する情報がある場合に、その内容を通知するようにしてもよい。例えば、図2Bの「情報の蓄積」がアプリで促される場合において、遺言、名義変更、遺産相続等の手続きを行うのに必要な情報の入力が完了していない場合に、通知部120が不足している情報の入力を促すようにしてもよい。この際にも、プッシュ通知等の積極通知が行われてもよい。
【0067】
入力項目と出力結果とが1対1又は1対2以上で対応する態様とは異なり、予め準備されたモデルを用いるようにしてもよい。この際、情報処理装置100は機械学習する学習部70を有し、学習部70で学習されて生成されたモデルを用いてもよい。例えば、ランダムに選択された複数の被介護者の身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能並びに評価関連情報(外的要因情報及び願望関連情報を含む。)をインプットデータとし、当該複数の被介護者に対する被害リスク又は願望の実現可能性をアウトプットデータとした学習データを用いて機械学習を行って評価部10での評価に用いるモデルを生成してもよい。想定される被害リスク又は願望の実現可能性は複数のケアマネジャー、医師、その他の専門家による議論の結果としての内容を入力するようにしてもよく、その内容は定期的(例えば半年から1年に1回)に見直されて、アップデートされてもよい。この場合には、例えば機械学習されたモデルに、対象となっている被介護者の身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上の情報を適用することで、想定される被害リスクが予測として出力されることになる。また、機械学習されたモデルに、対象となっている被介護者の身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上の情報と評価関連情報(外的要因情報及び願望関連情報を含む。)を適用することで、願望の実現可能性が出力されることになる。モニタリング情報を用いる場合には、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能並びに評価関連情報に加えて、モニタリング情報をインプットデータ及びアウトプットデータの各々で用いるようにすればよい。この態様を採用する場合には、対象となるある被介護者の身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上を含む介護判断情報、モニタリング情報、評価関連情報等を入力することで、当該情報がモデルに適用され、当該モデルに基づいた被害リスク又は願望の実現可能性が評価部10によって評価され、出力部80によって出力されることになる。
【0068】
なお、本実施の形態の評価部10、出力部80、読出部40、選定部50、算出部20、学習部70、受付部5、通知部120等の各要素は、一つ又は複数のICチップ又は電子モジュール等で実現されてもよいし、回路構成によって実現されてもよい。情報処理装置100は、プロセッサを有し、プロセッサがプログラムを実行することによって、本実施の形態の情報処理装置100の評価部10、出力部80、読出部40、選定部50、算出部20、学習部70、受付部5、通知部120等による各種機能が実現されてもよい。
【0069】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0070】
5 受付部
10 評価部
40 読出部
50 選定部
80 出力部
90 記憶部
100 情報処理装置
120 通知部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報を受け付ける受付部と、
前記介護判断情報を用い被介護者の経済的な被害リスクを評価する評価部であって、前記介護判断情報に1対1又は1対2以上で対応する被介護者の経済的な被害リスクを記憶部から読み出す評価部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報を受け付ける受付部と、
前記介護判断情報を用いて被介護者の経済的な被害リスクを評価する評価部であって、前記介護判断情報に基づく情報を、第一モデルに適用することで、被介護者の経済的な被害リスクを評価する評価部と、
を備え、
前記第一モデルは、複数の被介護者の身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する情報をインプットデータとし、経済的な被害リスクをアウトプットデータとして、機械学習によって生成されたモデルである、情報処理装置。
【請求項3】
受付部は、被介護者の願望を受け付け、
評価部は、前記介護判断情報及び前記願望に1対1又は1対2以上で対応する当該願望の実現可能性を記憶部から読み出す、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
受付部は、被介護者の願望を受け付け、
評価部は、前記介護判断情報及び前記願望に基づく情報を、第二モデルに適用することで、当該願望の実現可能性を評価し、
前記第二モデルは、複数の被介護者の身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する情報及び願望をインプットデータとし、願望の実現可能性をアウトプットデータとして、機械学習によって生成されたモデルである、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
評価部は、意欲の度合い又は認知機能に関連する介護判断情報を用いて、前記被害リスクを評価する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
受付部は、前記介護判断情報に加えて、評価関連情報を受け付け、
評価部は、前記介護判断情報及び評価関連情報を用いて、前記被害リスクを評価する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
評価部は、身体機能又は栄養状態に関連する介護判断情報を用いて、前記願望の実現可能性を評価する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
評価部による評価結果に基づいて、サービス提供者を選定する選定部をさらに備える、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
選定部は複数のサービス提供者を選定する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
受付部は、被介護者の願望に関する被介護者の関係者からの要望を受け付け、
評価部は、被介護者の関係者からの要望に基づく被介護者の願望の実現可能性を評価する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
被介護者からサービス提供に関する申し込みがあった場合に、被介護者の関係者に対する通知を行う通知部を備える、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
受付部によって、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する、介護判断情報の入力を受け付ける工程と、
評価部が前記介護判断情報を用い被介護者の経済的な被害リスクを評価する工程であって、前記介護判断情報に1対1又は1対2以上で対応する被介護者の経済的な被害リスクを記憶部から読み出す工程と、
を備える、情報処理方法。
【請求項13】
受付部によって、身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する介護判断情報を受け付ける工程と、
評価部が前記介護判断情報を用いて被介護者の経済的な被害リスクを評価する工程であって、前記介護判断情報に基づく情報を、第一モデルに適用することで、被介護者の経済的な被害リスクを評価する工程と、
を備え、
前記第一モデルは、複数の被介護者の身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する情報をインプットデータとし、経済的な被害リスクをアウトプットデータとして、機械学習によって生成されたモデルである、情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータにインストールされるプログラムであって、
プログラムがインストールされたコンピュータに、
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する、介護判断情報の入力を受け付ける受付機能と、
前記介護判断情報を用い被介護者の経済的な被害リスクを評価する評価機能であって、前記介護判断情報に1対1又は1対2以上で対応する被介護者の経済的な被害リスクを記憶部から読み出す評価機能と、
を実現させる、プログラム。
【請求項15】
コンピュータにインストールされるプログラムであって、
プログラムがインストールされたコンピュータに、
身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する、介護判断情報を受け付ける受付機能と、
前記介護判断情報を用いて被介護者の経済的な被害リスクを評価する評価機能であって、前記介護判断情報に基づく情報を、第一モデルに適用することで、被介護者の経済的な被害リスクを評価する評価機能と、
を実現させ
前記第一モデルは、複数の被介護者の身体機能、意欲の度合い、栄養状態及び認知機能のいずれか1つ以上に関連する情報をインプットデータとし、経済的な被害リスクをアウトプットデータとして、機械学習によって生成されたモデルである、プログラム。