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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130721
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】無人走行体の走行制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20240920BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240920BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240920BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240920BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240920BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J50/90
G05D1/02 H
G05D1/02 A
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
H02J50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040604
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】伊東 光希
【テーマコード(参考)】
5H105
5H125
5H301
【Fターム(参考)】
5H105BA09
5H105BB07
5H105CC02
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA11
5H125AC12
5H125AC27
5H125CA13
5H125DD02
5H125EE51
5H301AA01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301EE04
5H301GG07
5H301MM07
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】無人走行体が給電コイルの磁界を検出するためのセンサを必要とせず、しかも、走行経路を変更し易い無人走行体の走行制御システムの提供にある。
【解決手段】受電コイルを有する無人搬送車11と、給電コイル42を備え、給電コイル42から受電コイルへ非接触で給電を行う非接触給電装置12と、を有する無人搬送車11の非接触給電システム10において、非接触給電装置は、給電コイル42を保持し、路面に設置可能な給電モジュール40と、給電モジュール40を挟んで路面に並設され、無人搬送車11を案内する一対のガイドモジュール41と、を有し、給電モジュール40は、一方のガイドモジュール41を通過して外部電源と接続される給電ケーブル44を備えた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電コイルを有する無人走行体と、
給電コイルを備え、前記給電コイルから前記受電コイルへ非接触で給電を行う非接触給電装置と、を有する無人走行体の走行制御システムにおいて、
前記非接触給電装置は、
前記給電コイルを保持し、路面に設置可能な給電モジュールと、
前記給電モジュールを挟んで前記路面に並設され、前記無人走行体を案内する一対のガイドモジュールと、を有し、
前記給電モジュールは、一方の前記ガイドモジュールを通過して外部電源と接続される給電ケーブルを備えることを特徴とする無人走行体の走行制御システム。
【請求項2】
前記無人走行体は、
駆動輪と、
前記駆動輪を駆動する走行駆動部と、
前記走行駆動部を制御するコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記給電コイルによる前記受電コイルに対する非接触給電が開始され、非接触給電の給電効率が第1の閾値を超えるとき、前記無人走行体を停車するように前記走行駆動部を制御することを特徴とする請求項1記載の無人走行体の走行制御システム。
【請求項3】
前記無人走行体は、
操舵輪と、
前記コントローラにより制御され、前記操舵輪を制御する操舵部と、を有し、
前記コントローラは、前記給電コイルによる前記受電コイルに対する非接触給電が開始され、前記給電効率が前記第1の閾値よりも小さく設定されている第2の閾値以上のとき、前記無人走行体の進路が走行経路に対して一方へ向けて傾斜するように前記操舵部を制御し、
傾斜して走行したときの前記給電効率の上昇率が鈍化するか、傾斜して走行したときの前記給電効率が低下するとき、他方へ向けて傾斜するように前記操舵部を制御することを特徴とする請求項2記載の無人走行体の走行制御システム。
【請求項4】
前記無人走行体は、前記路面に設置された誘導線を検出する誘導線検出センサを有し、
前記コントローラは、前記誘導線検出センサによる前記誘導線の検出により前記給電モジュールへ向けて前記無人走行体を誘導することを特徴とする請求項2又は3記載の無人走行体の走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無人走行体の走行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人走行体の走行制御システムに関係する従来技術として、例えば、特許文献1に開示された非接触充電用送電装置および電動車両の走行制御システムが知られている。特許文献1に開示された電動車両の走行制御システムは、非接触充電用送電装置と、電動車両に搭載され、送電コイルの磁界を検出するセンサと、制御装置と、を備える。送電コイルが埋め込まれた床材は、走行路に沿って複数設けられ、制御装置は、センサにより検出された磁界に基づき電動車両を走行路に沿って自動走行させる。非接触充電用送電装置は、受電コイルを搭載した電動車両の走行路に配置される送電コイルと、送電コイルに電力を供給するための給電線とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-236539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された電動車両の走行制御システムは、床材に送電コイルを埋め込む必要があるという問題がある。このため、送電コイルが埋め込まれた床材を施工すると、電動車両の走行路を容易に変更することができない。また、電動車両は、送電コイルに沿って電動車両を誘導するために送電コイルの磁界を検出する磁界検出センサを必要とする。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、無人走行体が給電コイルの磁界を検出するためのセンサを必要とせず、しかも、走行経路を変更し易い無人走行体の走行制御システムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、受電コイルを有する無人走行体と、給電コイルを備え、前記給電コイルから前記受電コイルへ非接触で給電を行う非接触給電装置と、を有する無人走行体の走行制御システムにおいて、前記非接触給電装置は、前記給電コイルを保持し、路面に設置可能な給電モジュールと、前記給電モジュールを挟んで前記路面に並設され、前記無人走行体を案内する一対のガイドモジュールと、を有し、前記給電モジュールは、一方の前記ガイドモジュールを通過して外部電源と接続される給電ケーブルを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、給電モジュールが路面に設置され、一対のガイドモジュールが給電モジュールを間にして並設されている。給電モジュールの給電ケーブルは、一対のガイドモジュールの一方のガイドモジュールを通過して外部電源と接続される。このため、無人走行体は、非接触給電を行う場合、ガイドモジュール上を走行して給電モジュールと接近することで非接触給電を開始する。路面に設置される給電モジュールは、路面に埋め込む必要がなく、設置位置を簡単に移動できるので走行経路を変更し易い。
【0008】
また、上記の無人走行体の走行制御システムにおいて、前記無人走行体は、駆動輪と、前記駆動輪を駆動する走行駆動部と、前記走行駆動部を制御するコントローラと、を有し、前記コントローラは、前記給電コイルによる前記受電コイルに対する非接触給電が開始され、非接触給電の給電効率が第1の閾値を超えるとき、前記無人走行体を停車するように前記走行駆動部を制御することを特徴とする構成としてもよい。
この場合、受電コイルに対する非接触給電が開始され、非接触給電の給電効率が第1の閾値を超えるとき、無人走行体は停車される。このため、停車した無人走行体に対して給電効率が第1の閾値を超える状態で非接触給電を行うことができる。
【0009】
また、上記の無人走行体の走行制御システムにおいて、前記無人走行体は、操舵輪と、前記コントローラにより制御され、前記操舵輪を制御する操舵部と、を有し、前記コントローラは、前記給電コイルによる前記受電コイルに対する非接触給電が開始され、前記給電効率が前記第1の閾値よりも小さく設定されている第2の閾値以上のとき、前記無人走行体の進路が走行経路に対して一方へ向けて傾斜するように前記操舵部を制御し、傾斜して走行したときの前記給電効率の上昇率が鈍化するか、傾斜して走行したときの前記給電効率が低下するとき、他方へ向けて傾斜するように前記操舵部を制御する構成としてもよい。
この場合、給電コイルによる受電コイルに対する非接触給電が開始され、給電効率が第2の閾値を超えるとき、無人走行体は走行経路に対して一方へ向けて傾斜して走行するので、給電効率の上昇率が低下するか、あるいは給電効率が低下する。傾斜して走行したときの給電効率の上昇率が閾値以下であるか、傾斜して走行したときの給電効率が第1の閾値以下であるとき、無人搬送車は他方へ向けて傾斜して走行する。このため、一方および他方へ傾斜する走行を行うことで、給電コイルの磁界を検出するセンサを必要とすることなく、給電効率の変動に基づいてより給電効率の高い給電位置へ無人搬送車を誘導することができる。
【0010】
また、上記の無人走行体の走行制御システムにおいて、前記無人走行体は、前記路面に設置された誘導線を検出する誘導線検出センサを有し、前記コントローラは、前記誘導線検出センサによる前記誘導線の検出により前記給電モジュールへ向けて前記無人走行体を誘導する構成としてもよい。
この場合、誘導線検出センサによる誘導線の検出により給電モジュールへ向けて無人走行体を誘導するが、誘導線の上に給電モジュールを設置することが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無人走行体が給電コイルの磁界を検出するためのセンサを必要とせず、しかも、走行経路を変更し易い無人走行体の走行制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る無人搬送車の走行制御システムを示す斜視図である。
図2】(a)は無人搬送車の概要を示す平面図であり、(b)は無人搬送車の概要を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る無人搬送車の概略構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る非接触給電装置の概要を示す平面図である。
図5】(a)は非接触給電装置の正面図であり、(b)は同装置の側面図である。
図6】本発明の実施形態に係る無人搬送車を給電モジュールに導く手順を示すフロー図である。
図7】無人走行体の走行制御システムによる無人搬送車の走行例を説明する説明図である。
図8】非接触給電時の給電効率と無人走行車の走行位置との関係を例示するグラフ図である。
図9】非接触給電時の給電効率と無人走行車の走行位置との関係を例示する別例のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る無人走行体の走行制御システムについて図面を参照して説明する。本実施形態の無人走行体は、荷を搬送する無人搬送車である。方向を示す「前後」、「左右」は、前進時の無人搬送車を基準としている。
【0014】
図1に示すように、無人搬送車の走行制御システム10(以下、単に「走行制御システム」と表記する)は、無人走行体としての無人搬送車11と、非接触給電装置12と、を有している。無人搬送車11が走行する路面Fには、無人搬送車11の走行経路Rが設定されている。具体的には、路面Fに貼着された誘導線としての磁気テープ13により走行経路Rが形成されている。非接触給電装置12は、走行経路Rにおける給電位置において磁気テープ13上に重なるように設置されている。
【0015】
まず、無人搬送車11について説明する。図2(a)に示すように、無人搬送車11の車体14の前部には左右一対の前輪15が備えられ、車体14の後部には左右一対の後輪16が備えられている。前輪15は操舵輪であり、後輪16は駆動輪である。図2(b)に示すように、車体14の上部には、荷Wの搭載が可能な荷台17が備えられている。
【0016】
車体14には前輪15を操舵する操舵部18と、後輪16を駆動する走行駆動部19と、が搭載されている。操舵部18は、操舵機構20と、操舵用の電動モータ21と、を有している。操舵機構20は操舵用の電動モータ21の回転を前輪15の左右の操舵に変換するための機構である。操舵用の電動モータ21の駆動により操舵機構20が作動され、操舵機構20の作動により前輪15が操舵される。無人搬送車11は、前輪15の操舵角度により進行方向が定まる。
【0017】
図3に示すように、走行駆動部19は、走行用の電動モータ22と、走行用の電動モータ22を駆動するモータドライバ23と、を有している。走行用の電動モータ22がモータドライバ23によって駆動される。電動モータ21の駆動により後輪16が回転する。無人搬送車11は、後輪16の回転により前進又は後進する。
【0018】
車体14にはコントローラ24が搭載されている。コントローラ24は、操舵用の電動モータ21およびモータドライバ23を制御する。図3に示すように、コントローラ24は、演算処理部としてのCPU25と、RAMおよびROM等からなる記憶部26と、を備えている。コントローラ24は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)を備えていてもよい。コントローラ24は、コンピュータプログラムにしたがって動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。コントローラ24は、操舵用の電動モータ21およびモータドライバ23と接続されている。
【0019】
車体14の前部には、磁気テープ13を検出するための誘導ガイドセンサ27が備えられている。誘導ガイドセンサ27はコントローラ24と接続されている。誘導ガイドセンサ27が磁気テープ13を検出することで、コントローラ24は、無人搬送車11が走行経路Rから逸脱していないことを認識できる。誘導ガイドセンサ27は、誘導線検出センサに相当する。無人搬送車11には警告器(図示せず)が備えられており、誘導ガイドセンサ27が磁気テープ13を検出しなくなると、コントローラ24は警告器を作動させる。コントローラ24は通信部28と接続されており、通信部28は、非接触給電装置12と無線通信が可能であるほか、荷Wの運行を管理する上位システム(図示せず)と無線通信する。
【0020】
車体14には、非接触給電による受電が可能な受電側設備30が備えられている。受電側設備30は、受電コイル31と、整流器32と、充電器33と、充電器33に接続されたバッテリ34と、を備えている。受電コイル31は、車体14の下部に備えられており、路面Fと対向する。二次コイル(図示せず)および二次側共鳴コイル(図示せず)で構成されている。二次コイルと二次側共鳴コイルとは同軸上に位置するように配設されている。二次側共鳴コイルにはコンデンサが接続されている。二次コイルは、整流器32に接続されている。
【0021】
充電器33は、整流器32から入力される電力をバッテリ34の充電に適した電圧に変換する昇圧回路(図示せず)を備えている。コントローラ24は、充電時に充電器33の昇圧回路を制御する。バッテリ34は充放電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池である。
【0022】
次に、非接触給電装置12について説明する。図4に示すように、非接触給電装置12は、給電モジュール40と、一対のガイドモジュール41と、を有している。給電モジュール40は、給電コイル42と、給電コイル42を保持するモジュール本体43と、を有している。給電コイル42は、一次コイル(図示せず)および一次側共鳴コイル(図示せず)で構成されており、一次コイルと一次側共鳴コイルとは同軸上に位置するように配設されている。また、両コイルの軸心は路面Fに対して直交する方向に延びる。給電コイル42の長手方向の長さは、受電コイル31の進行方向における長さに対して十分に大きく、例えば、受電コイル31の進行方向における長さの2~3倍である。給電コイル42の短手方向の長さは、受電コイル31の進行方向と交差する方向(左右方向)の長さとほぼ同じである。給電コイル42は、受電コイル31が給電コイル42における長手方向および短手方向の中心へ近づくほど給電効率が高くなる構造である。
【0023】
給電コイル42は、外部電源(図示せず)と接続される給電ケーブル44を備えている。外部電源は、共鳴系の予め設定された共鳴周波数に等しい周波数の交流電力、例えば、数MHz程度の高周波電力を出力する。給電コイル42および外部電源は、電源側コントローラ(図示せず)からの制御信号に基づいて制御される。
【0024】
モジュール本体43は、直方体の形状であり、磁気テープ13の上に載置されており、路面Fに固定されている。モジュール本体43の長手方向が無人搬送車11の走行方向と一致する。モジュール本体43は、給電コイル36の上面が給電モジュール40の上面となるように、給電コイル42を保持する。モジュール本体43の上面は平坦面である。給電コイル36から引き出されている給電ケーブル44は、モジュール本体43の一方の側面から引き出されている。
【0025】
次に、ガイドモジュール41について説明する。一対のガイドモジュール41は給電モジュール40を挟んで路面Fに並設されている。ガイドモジュール41は、無人搬送車11を給電モジュール40に対する最適な位置に案内するために設置されている。ガイドモジュール41の側面視は台形状であり、ガイドモジュール41の長手方向は、無人搬送車11の走行方向と同じである。
【0026】
ガイドモジュール41は、下面46と、ガイド上面47と、一対のガイドスロープ面48と、一対の側面49と、を備えている。図5(a)、図5(b)に示すように、下面46は路面Fと当接する。ガイド上面47およびガイドスロープ面48は、無人搬送車11の前輪15および後輪16が通過するガイド面50を形成する。ガイド上面47の高さは、無人搬送車11の受電コイル31と給電モジュール40の給電コイル36との高さが非接触給電に適した高さであればよい。ガイド上面47の長手方向の長さは、給電モジュール40の長手方向の長さとほぼ同じ長さである。なお、ガイド上面47の長手方向の長さは、非接触給電の開始時に無人搬送車11が上下方向に傾斜しないように給電モジュール40の長手方向の長さ以上であることが好ましい。
【0027】
ガイドスロープ面48は、下面46とガイド上面47を結ぶ傾斜面である。ガイド上面47の長手方向における両端からそれぞれ延在する。ガイド上面47およびガイドスロープ面48の幅は同じ幅に設定されており、前輪15および後輪16の車輪幅に対して十分に大きく設定されている。したがって、無人搬送車11がガイド面50上を走行するとき前輪15が左右に操舵されても、無人搬送車11は、直ちにガイド面50から脱落することはない。
【0028】
ガイドモジュール41には、ガイドスロープ面48から下面46に貫通する通孔51が形成されている。通孔51には、ガイドモジュール41を路面Fに固定するアンカーボルト(図示せず)が挿通される。ガイドモジュール41はアンカーボルト(図示せず)によって路面Fに固定されている。本実施形態では、一方のガイドモジュール41には、ガイドモジュール41の長手方向と交差する方向への貫通孔53が形成されている。貫通孔53に給電ケーブル44を通すことで、給電ケーブル44はガイドモジュール41を横断するよう一方の側面49から他方の側面49を通って引き出されている。
【0029】
ところで、本実施形態の走行制御システム10では、コントローラ24が、無人搬送車11の受電コイル31の給電コイル42に対するより望ましい位置を探索する制御を行う。コントローラ24の記憶部26には、受電コイル31が給電コイル42に対するより望ましい位置になるように無人搬送車11を制御するプログラムが記憶されている。受電コイル31が給電コイル42に対するより望ましい位置になるように無人搬送車11を制御する手順を図6のフロー図に示す。
【0030】
無人搬送車11は、走行経路Rに沿って走行するとき、磁気テープ13を検知して走行する磁気テープ検知走行を行う。コントローラ24は無人搬送車11の磁気テープ検知走行を認識する(ステップS01)。次に、コントローラ24は、磁気テープ13を検知しないか否かを判別する(ステップS02)。無人搬送車11が非接触給電装置12に到達すると、給電モジュール40が磁気テープ13を覆っているので、誘導ガイドセンサ27は、磁気テープ13を検知しなくなる。磁気テープ13を検知せずと判別されると、コントローラ24は、無人搬送車11の走行を磁気テープ検知走行から誘導制御走行へ切り換えるように制御する(ステップS03)。誘導制御走行は、磁気テープ13を検知して走行する磁気テープ検知走行に対して、磁気テープ13を検知できなくなったときに制御される無人搬送車11の走行である。誘導制御走行には、磁気テープ13を検知できなくなった直後の直進走行のほか、給電効率の変化に応じて特定の方向へ傾斜して走行する傾斜走行が含まれている。磁気テープ13を検知すると判別されると、コントローラ24は無人搬送車11の磁気テープ検知走行を継続させる。
【0031】
コントローラ24は、無人搬送車11を直進走行させる(ステップS04)。そして、無人搬送車11の直進走行により受電コイル31が給電コイル42の上方に位置し始めると、非接触給電が開始され、コントローラ24はバッテリ34の充電を開始する(ステップS05)。非接触給電が開始されると、コントローラ24は、給電効率が第2の閾値以上であるか否かを判別する(ステップS06)。給電効率は、受電コイル31と給電コイル42との重畳する面積に比例する。したがって、受電コイル31と給電コイル42との重畳する面積(以下「重畳面積」と表記する。)が増大することで給電効率は増大する。給電効率が第2の閾値T2以上と判別されると、コントローラ24は、無人搬送車11を一方へ向けて傾斜走行させる(ステップS07)。具体的には、コントローラ24は、直進走行の進行方向に対して左右のいずれか一方(右方)へ数度の角度で傾斜する方向へ走行するように操舵部18を制御する。
【0032】
無人搬送車11の走行によって受電コイル31の後端が給電コイル42の後端よりも前方に位置する状態で、無人搬送車11が一方へ傾斜走行すると幅方向の位置ずれにより重畳面積が減少し、給電効率は低下する。無人搬送車11の走行によって受電コイル31の後端が給電コイル42の後端よりも後方に位置する状態で、無人搬送車11が一方へ傾斜走行すると、前進により重畳面積が増大するものの、幅方向の位置ずれにより重畳面積の増加が鈍化する。その結果、給電効率の上昇率が低下する。
【0033】
コントローラ24は、給電効率の低下又は給電効率の上昇率の低下が生じているか否かを判別する(ステップS08)。給電効率の低下又は給電効率の上昇率の低下が生じていると判別されると、コントローラ24は、給電効率が第1の閾値T1未満であるか否かを判別する(ステップS09)。ステップS08において、給電効率の低下又は給電効率の上昇率の低下が生じていないと判別されると、一方への傾斜走行を継続する。
【0034】
ステップS09において、給電効率が第1の閾値未満であると判別されると、コントローラ24は、無人搬送車11を他方へ向けて傾斜走行させる(ステップS10)。具体的には、コントローラ24は、他方(左方)へ数度の角度で傾斜する方向へ走行するように操舵部18を制御する。
【0035】
次に、コントローラ24は、給電効率の低下又は給電効率の上昇率の低下が生じているか否かを判別する(ステップS11)。給電効率の低下又は給電効率の上昇率の低下が生じていると判別されると、コントローラ24は、給電効率が第1の閾値未満であるか否かを判別する(ステップS12)。ステップS11において、給電効率の低下又は給電効率の上昇率の低下が生じていないと判別されると、他方への傾斜走行を継続する。
【0036】
ステップS12において、給電効率が第1の閾値以上であると判別されると、コントローラ24は、無人搬送車11の走行を停止させる(ステップS13)。なお、ステップS09において、給電効率が第1の閾値未満でないと判別されると、ステップS13へ進み、コントローラ24は無人搬送車11の走行を停止させる。
【0037】
無人搬送車11の停止後は非接触給電が行われるが、給電効率が第1の閾値以上であることから比較的高い給電効率で非接触給電が行われる。非接触給電によるバッテリ34の充電が完了すると、コントローラ24は、非接触給電によるバッテリ34の充電を終了する(ステップS14)。バッテリ34の充電終了後に、コントローラ24は無人搬送車11の走行を再開する(ステップS15)。このとき、コントローラ24は、無人搬送車11が直進走行するように操舵部18を制御する。
【0038】
無人搬送車11が直進走行するとき、コントローラ24は、誘導ガイドセンサ27が磁気テープ13を検知したか否かを判別する(ステップS16)。誘導ガイドセンサ27が磁気テープ13を検知したと判別されると、コントローラ24は、無人搬送車11の走行を直進走行から磁気テープ検知走行に切り換える(ステップS17)。誘導ガイドセンサ27が磁気テープ13を検知し、無人搬送車11が磁気テープ検知走行により走行すると、コントローラ24は、一連のステップを終了する。なお、誘導ガイドセンサ27が磁気テープ13を検知しないと判別されると、コントローラ24は、無人搬送車11の直進走行を維持する。
【0039】
次に、本実施形態に係る走行制御システム10による無人搬送車11の走行について説明する。図7(A)に示すように、無人搬送車11が非接触給電装置12に達し、誘導ガイドセンサ27が磁気テープ13を検知しないとき、無人搬送車11の走行は、磁気テープ検知走行から直進走行に切り換わる。なお、図7では、ガイドモジュール41の図示を省略しているほか、給電コイル42と受電コイル31との重畳する面積をハッチングにより示す。
【0040】
図7(B)に示すように、直進走行により給電コイル42に対して受電コイル31が重畳することで、給電コイル42の受電コイル31に対する非接触給電が開始され、コントローラ24はバッテリ34への充電を開始する。受電コイル31と給電コイル42との重畳面積が増大することで給電効率は増大する。給電効率が第2の閾値T2以上と判別されるように重畳面積が増大すると、無人搬送車11は一方(右方)へ向けて傾斜走行を開始する。
【0041】
図7(C)に示すように、無人搬送車11が一方(右方)へ向けて傾斜走行を開始することで、前後方向における受電コイル31と給電コイル42との重なりは進行するものの左右方向における受電コイル31と給電コイル42との位置ずれにより、重畳面積の上昇率が低下する。その後、図7(D)に示すように、一方(右方)へ向けて傾斜走行が継続されることで重畳面積が減少する。受電コイル31と給電コイル42との重畳面積が減少すると、無人搬送車11は他方(左方)へ操舵される。このため、無人搬送車11は他方(左方)へ向けて傾斜走行する。
【0042】
図7(E)に示すように、無人搬送車11が他方(左方)へ向けて傾斜走行することで、受電コイル31と給電コイル42との重畳面積が増大する。図7(F)に示すように、無人搬送車11が他方(左方)へ向けて傾斜走行を継続すると、受電コイル31と給電コイル42との重畳面積が減少する。そこで、無人搬送車11は一方(右方)へ向けて操舵される。図7(F)において、一方(右方)へ向けて傾斜走行する場合に、操舵角を予め設定した操舵角よりも小さくし、緩やかな操舵による傾斜走行としてもよい。一方(右方)へ向けて操舵の過程で、給電効率が第1の閾値以上と判別されると、図7(G)に示すように、無人搬送車11は停車する。停車時に非接触給電よるバッテリ34への充電が行われる。バッテリ34への充電が完了すると、無人搬送車11は直進走行し、図7(H)に示すように、誘導ガイドセンサ27が磁気テープ13を検出し、直進走行から磁気テープ検出走行に切り換わる。無人搬送車11は、以降、磁気テープ13を検出しつつ走行経路Rを走行する。
【0043】
図8は、給電効率と無人搬送車11の走行位置との関係を示すグラフ図である。縦軸を非接触給電時における給電効率(重畳面積と比例する)とし、横軸を無人搬送車11の走行位置とする。図8における(A)~(H)は、図7(A)~図7(H)に示す無人搬送車11に対応する走行位置を示している。第1の閾値T1は、上限値T1maxと下限値T1minの間(ハッチングの部分)で設定できる。第2の閾値T2は、第1の閾値T1より小さい値が設定されている。なお、図9に示すように、無人搬送車11の一方(右方)へ向けた傾斜走行により、受電コイル31と給電コイル42との重畳面積が鈍化せず、重畳面積が減少する場合、減少した時点で、無人搬送車11を他方(左方)へ向けて傾斜走行させてもよい。
【0044】
本実施形態に係る走行制御システム10は以下の効果を奏する。
(1)給電モジュール40が路面Fに設置され、一対のガイドモジュール41が給電モジュール40を間にして並設されている。給電モジュール40の給電ケーブル44は、一対のガイドモジュール41の一方のガイドモジュール41を通過して外部電源と接続される。このため、無人搬送車11は、非接触給電を行う場合、ガイドモジュール41上を走行して給電モジュール40と接近することで非接触給電を開始する。路面Fに設置される給電モジュール40は、路面Fに埋め込む必要がなく、設置位置を簡単に移動できるので走行経路Rを変更し易い。
【0045】
(2)無人搬送車11は、駆動輪としての後輪16と、後輪16を駆動する走行駆動部19と、走行駆動部19を制御するコントローラ24と、を有する。コントローラ24は、給電コイル42による受電コイル31に対する非接触給電が開始され、非接触給電の給電効率が第1の閾値T1を超えるとき、無人搬送車11を停車するように走行駆動部19を制御する。このため、停車した無人搬送車11に対して給電効率が第1の閾値T1を超える状態で非接触給電を行うことができる。
【0046】
(3)無人搬送車11は、操舵輪しての前輪15と、コントローラ24により制御され、前輪15を制御する操舵部18と、を有する。コントローラ24は、給電コイル42による受電コイル31に対する非接触給電が開始され、給電効率が第2の閾値以上のとき、無人搬送車11の進路が走行経路Rに対して一方へ向けて傾斜するように操舵部18を制御する。そして、コントローラ24は、傾斜して走行したときの給電効率の上昇率が鈍化するか、傾斜して走行したときの給電効率が低下するとき、他方へ向けて傾斜するように操舵部18を制御する。このため、無人搬送車11が一方および他方へ傾斜して走行することで、給電コイル42の磁界を検出するセンサを必要とすることなく、傾斜して走行するときの給電効率の変動に基づいてより給電効率の高い給電位置へ無人搬送車11を誘導することができる。つまり、無人搬送車11が給電コイル42の磁界を検出するセンサを必要とせず、しかも、走行経路Rを変更し易い走行制御システム10を提供できる。
【0047】
(4)無人搬送車11が一方および他方へ傾斜する走行することで、傾斜して走行するときの給電効率が第1の閾値以上となる給電効率の高い給電位置へ無人搬送車11を誘導することができる。
【0048】
(5)給電ケーブル44は、一対のガイドモジュール41の一方のガイドモジュール41を通過して外部電源と接続される。このため、給電ケーブル44が無人搬送車11の走行を妨げることがないほか、給電ケーブル44を路面Fに埋設する必要がなく、給電ケーブル44の取り扱いが容易である。
【0049】
(6)磁気テープ13上に給電モジュール40が設置されることで、無人搬送車11は給電モジュール40を通るときに、磁気テープ13の検知が不能となる。しかしながら、コントローラ24は、傾斜して走行するときの給電効率の変動により、非接触給電に適した無人搬送車11の進行方向を見出すことができる。
【0050】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0051】
○ 上記の実施形態では、無人走行体が給電モジュールに案内されるとき、一方又は他方へ向けて傾斜して走行させるようにしたが、これに限定されない。無人走行体の直進走行により給電効率が第1の閾値以上となれば、傾斜走行を行うことなく無人走行体の走行を停止してもよい。
○ 上記の実施形態では、磁界共鳴方式による非接触給電を例示したが、これに限らない。非接触給電は、例えば、電磁結方式の非接触給電としてもよい。
○ 上記の実施形態では、無人走行体が一方および他方に傾斜して走行し、給電効率が第1の閾値以上のときに無人走行体の走行を停止するようにしたが、これに限らない。一方又は他方の傾斜走行だけでもよく、あるいは、一方又は他方の傾斜走行を複数回行ってもよい。
○ 上記の実施形態では、磁気テープを検知して走行経路を走行する無人走行体としたがこれに限らない。無人走行体、例えば、自己位置を推定しつつ環境地図を作成して自律走行する無人走行体であってもよい。また、誘導線は磁気テープに限らず、走行経路に沿って路面に埋設したガイド線であってもよい。
○ 上記の実施形態では、無人走行車が一方へ向けて傾斜して走行したとき、給電効率の上昇率が鈍化するか、給電効率が低下するとき、無人走行車を他方へ向けて傾斜するようにしたがこれに限らない。例えば、給電効率の上昇率が鈍化してから一定時間経過後、あるいは、給電効率が低下してから一定時間経過後に無人走行車を他方へ向けて傾斜するようにしてもよい。
○ 上記の実施形態では、磁気テープの延在方向と給電コイルの長手方向が一致するように給電モジュールが磁気テープ上に設置されたが、これに限定されない。例えば、磁気テープの延在方向と給電コイルの長手方向が一致しないように給電コイルを磁気テープ上に設置してもよい。この場合、無人走行体の給電モジュールへの進入時に磁気テープを検知しなくなった直後から、無人走行体は、給電コイルの長手方向に対して一方又は他方へ傾斜する走行を開始することができ、直進走行の一部を省略できる。
○ 上記の実施形態では、無人走行体として無人搬送車を例示して説明したが、これに限定されない。無人走行体は、例えば、無人フォークリフト等の荷役車両や無人牽引車でもよく、少なくとも無人での走行が可能であって、バッテリが搭載され、非接触給電による充電を可能とする走行体であればよい。
【符号の説明】
【0052】
10 走行制御システム
11 無人搬送車(無人走行体)
12 非接触給電装置
13 磁気テープ(誘導線)
15 前輪
16 後輪
17 荷台
18 操舵部
19 走行駆動部
20 操舵機構
24 コントローラ
27 誘導ガイドセンサ
30 受電側設備
31 受電コイル
34 バッテリ
40 給電モジュール
41 ガイドモジュール
42 給電コイル
44 給電ケーブル
50 ガイド面
F 路面
R 走行経路
T1 第1の閾値
T2 第2の閾値
W 荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9