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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130738
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20240920BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040629
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(72)【発明者】
【氏名】石井 さやか
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AA162
4C083AB132
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC582
4C083AD112
4C083AD262
4C083AD352
4C083AD532
4C083AD662
4C083CC02
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】水膨潤性粘土鉱物を配合することで充分な硬さを有するにもかかわらず、経時的な離水が抑制され、安定性に優れた化粧料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】水膨潤性粘土鉱物を2~12質量%、多糖系増粘剤を0.2~2.0質量%、多価アルコールを10~30質量%、および水を30.0~87.8質量%含有する化粧料組成物とすることで、充分な硬さを有するにもかかわらず、経時的な離水が抑制され、安定性に優れた化粧料組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水膨潤性粘土鉱物を2~12質量%、多糖系増粘剤を0.2~2.0質量%、多価アルコールを10~30質量%、および水を30.0~87.8質量%含有する化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粘土鉱物を含有し、ペースト状の化粧料組成物が、クレイパック、泥パック、クレイマスク、泥マスクなどととして市販されている。これらの化粧料組成物は、ペースト状の組成物を直接、もしくは支持基材表面に塗布したシートを、顔などの皮膚表面に塗布または貼付して放置することで、毛穴等の汚れを吸着させ、組成物またはシートを取り除くことで、汚れを同時に除去することができる(特許文献1および2)。
【0003】
従来から、粘土鉱物、特に水膨潤性粘土鉱物は、その膨潤性、増粘性等の性質を利用して、化粧料組成物に配合されてきた。水膨潤性粘土鉱物の配合量を増やすことで、組成物の硬さを向上させることが可能となる。一方、水膨潤性粘土鉱物の配合量を増やすと経時的に離水が生じるという問題、すなわち化粧料組成物の安定性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-322535号公報
【特許文献2】特開2000-256162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水膨潤性粘土鉱物を配合することで充分な硬さを有するにもかかわらず、経時的な離水が抑制され、安定性に優れた化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、水膨潤性粘土鉱物、多糖系増粘剤、多価アルコール、および水を所定量含有する化粧料組成物とすることで、充分な硬さを有するにもかかわらず、経時的な離水が抑制され、安定性に優れた化粧料組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、水膨潤性粘土鉱物を2~12質量%、多糖系増粘剤を0.2~2.0質量%、多価アルコールを10~30質量%、および水を30.0~87.8質量%含有する化粧料組成物、に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料組成物は、水膨潤性粘土鉱物を配合することで充分な硬さを有するにもかかわらず、経時的な離水が抑制され、安定性に優れた化粧料組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化粧料組成物は、水膨潤性粘土鉱物を配合することで充分な硬さ有する化粧料組成物であり、クレイパック、泥パック、クレイマスク、泥マスクなどの化粧料組成物を顔などの皮膚表面に直接、もしくは支持基材表面に塗布したシートとして、密着させて放置することで、毛穴等の汚れを吸着させ、化粧料組成物を取り除くことで、汚れを同時に除去することができる化粧料組成物である。
【0010】
水膨潤性粘土鉱物
前記水膨潤性粘土鉱物としては、天然物、天然物からの精製物又は合成の何れのものであっても特に限定されないが、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライトなどのバーミキュライト族粘土鉱物などが挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。なかでも、使用感の観点からベントナイトが好ましい。
【0011】
水膨潤性粘土鉱物の平均粒子径は、特に限定されないが、保存安定性を向上させる観点から、0.1~5μmが好ましく、0.2~3μmがより好ましい。
【0012】
化粧料組成物中の水膨潤性粘土鉱物の含有量は、充分な硬さの組成物とすることができるという観点から、2質量%以上であり、4質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましい。また、水膨潤性粘土鉱物の含有量は、安定性の観点から、12質量%以上であり、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。
【0013】
多糖系増粘剤
前記多糖系増粘剤としては、例えば、アルギン酸、カラギーナン、寒天、ファーセラン、グアーガム、クインスシード、コンニャクマンナン、タマリンド種子ガム、タラガム、デキストリン、デンプン、ローカストビーンガム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビノガラクタン、ペクチン、マルメロなどの植物由来多糖系増粘剤;キトサン、ヒアルロン酸などの動物由来多糖系増粘剤;カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストラン、プルラン、ヒアルロン酸などの微生物由来多糖系増粘剤;微結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの非イオン性セルロース誘導体;カルボキシメチルセルロース(セルロースガム)などの陰イオン性セルロース;塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン化セルロース;塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガムなどのカチオン化グアーガムなどが挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。なかでも、安定性の観点からセルロースガムを含有することが好ましい。
【0014】
化粧料組成物中の多糖系増粘剤の含有量は、安定性の観点から、0.2質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましい。また、多糖系増粘剤の含有量は、使用感の観点から、2.0質量%以下であり、1.5質量%以下が好ましく、1.2質量%以下がより好ましい。
【0015】
多価アルコール
前記多価アルコールとしては、例えば、グリコール類、グリセリン類、糖アルコールなどが挙げられる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオールなどのグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類;キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどの糖アルコールなどが挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。なかでも、使用感の観点から、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリンの群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0016】
化粧料組成物中の多価アルコールの含有量は、安定性の観点から、10質量%以上であり、12質量%以上が好ましく、14質量%以上がより好ましい。また、多価アルコールの含有量は、使用感の観点から、30質量%以上であり、28質量%以下が好ましく、26質量%以下がより好ましい。
【0017】

前記水としては、特に限定されないが、精製水が好ましい。
【0018】
化粧料組成物中の水の含有量は、使用感の観点から、30.0質量%以上であり、35.0質量%以上が好ましく、40.0質量%以上がより好ましい。また、水の含有量は、安定性の観点から、87.8質量%以下であり、80.0質量%以下が好ましく、70.0質量%以下がより好ましい。
【0019】
その他成分
本発明の化粧料組成物は、上述した成分以外の成分(その他成分)を含有しても良い。その他成分としては、水膨潤性粘土鉱物以外の粘土鉱物、多糖系増粘剤以外の増粘剤、低級アルコール、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、精油、ロウ、炭化水素油、エステル油、高級アルコール、油脂、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、植物抽出エキス、染料、顔料、pH調整剤、香料、並びに防腐剤などが挙げられる。
【0020】
前記水膨潤性粘土鉱物以外の粘土鉱物としては、カオリン族粘土鉱物などが挙げられる。カオリン族粘土鉱物としては、カオリン、ナクライト、ディッカイトおよびハロサイトなどが挙げられる。
【0021】
前記多糖系増粘剤以外の増粘剤としては、アクリル系増粘剤などが挙げられる。アクリル系増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー及び(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマー等が挙げられる。
【0022】
化粧料組成物
本発明の化粧料組成物は、常法に則って製造することができる。例えば、上述の各成分を混合し、公知の方法、例えばパドルミキサーを用いて攪拌することにより製造することができる。
【0023】
本発明の化粧料組成物の用途は特に限定されないが、水膨潤性粘土鉱物を配合することで充分な硬さを有するにもかかわらず、安定性に優れた化粧料組成物であることから、クレイパック、泥パック、クレイマスク、泥マスクなどの洗浄剤組成物とすることが好ましい。
【0024】
本発明の化粧料組成物の適用部位は、特に限定されない。一例として、上記組成物の適用部位は、顔、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中などである。
【実施例0025】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り「質量%」で表す。また、表中の配合量における「-」は、その成分を配合していないことを示す。
【0026】
実施例及び比較例
表1に示した組成に従い、常法にて実施例及び比較例の化粧料組成物を調製し、下記評価試験に供した。評価結果は、表1に併記する。
【0027】
表に記載の主な成分の詳細は次のとおりである。
水膨潤性粘土鉱物
ベントナイト:日本有機粘土社製、製品名「ベンゲル」
粘土鉱物
カオリン:竹原化学工業社製、製品名「カオリン JP-100」
多糖系増粘剤
セルロースガム:ダイセルミライズ社製、製品名「CMC DAICEL1150」
キサンタンガム:DSP五協フード&ケミカル社製、製品名「エコーガムT」
アクリル系増粘剤
カルボキシビニルポリマー:LUBRIZOL社製、製品名「CARBOPOL 980 POLYMER」
【0028】
<安定性評価>
実施例または比較例に係る化粧料組成物を、50gずつ透明なガラス製容器に入れて密封した。これらの容器を25℃、5℃および40℃のそれぞれの温度条件にて2週間静置した後、組成物の状態を目視で確認した。
○(優良):離水が確認されなかった。
×(不良):離水が確認された。
【0029】
【表1】
【0030】
さらに、以下に、本発明の化粧料組成物の処方例を示す。
【0031】
【表2】