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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013074
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/029 20190101AFI20240124BHJP
   F24F 1/0284 20190101ALI20240124BHJP
【FI】
F24F1/029
F24F1/0284
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114998
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸部 隆久
(72)【発明者】
【氏名】小和田 芳夫
(72)【発明者】
【氏名】狩野 靖明
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 直孝
【テーマコード(参考)】
3L049
3L050
【Fターム(参考)】
3L049BB07
3L049BD03
3L050BA01
3L050BA04
(57)【要約】
【課題】圧縮機の収容空間を確保しながら、空調装置の小型化を実現する。
【解決手段】圧縮機20、加熱器40、減圧部70、及び冷却器30を含む冷媒回路と、加熱器40又は冷却器30に空気を供給する送風部50,60とを筐体内に収容した空調装置であって、圧縮機は、圧縮機を筐体に固定するための複数の固定片を有する固定部を有し、少なくとも一つの固定片が、送風部により送風され冷却器又は加熱器と熱交換する空気が流通する空気流通路68の下方に位置するように圧縮機を配置し、空気流通路の固定片に対応する位置に、固定片を収容する凹部65を形成した、空調装置を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、加熱器、減圧部、及び冷却器を含む冷媒回路と、前記加熱器又は前記冷却器に空気を供給する送風部とを筐体内に収容した空調装置であって、
前記圧縮機は、前記圧縮機を前記筐体に固定するための複数の固定片を有する固定部を有し、
少なくとも一つの前記固定片が、前記送風部により送風され、前記冷却器又は前記加熱器と熱交換する空気が流通する空気流通路の下方に位置するように前記圧縮機を配置し、
前記空気流通路の前記固定片に対応する位置に、前記固定片を収容する凹部を形成した、空調装置。
【請求項2】
前記空気流通路は、前記送風部から前記冷却器又は前記加熱器に向かって開口面積が漸次拡大する拡開部を有し、
前記凹部が、前記拡開部に設けられている、請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記拡開部における前記圧縮機の配置位置側の端部に設けられている、請求項2記載の空調装置。
【請求項4】
前記送風部は、前記空気流通路を流れる空気を送風する送風ファンと、前記送風ファンを固定するファン固定部とを有し、
前記凹部は前記ファン固定部よりも下方に位置する、請求項3に記載の空調装置。
【請求項5】
前記送風ファンは、空気流通方向に回転軸が延在する軸流ファンであって、
前記回転軸を前記軸流ファンにより送風された空気と熱交換する前記冷却器又は前記加熱器の空気流通方向の軸心よりも上方に配置した、請求項2に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒回路を構成する機器(圧縮機、凝縮器、蒸発器、減圧器など)や送風機などの空調に必要な機器一式及びこれらを制御する制御装置を筐体に収容した小型の空調装置が知られている。
【0003】
一般に、空調装置に適用される圧縮機は、その重量や防振のために複数箇所で筐体に支持される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-139083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した小型の空調装置は比較的狭い限られた空間に設置して使用されるものであり、より一層の小型化が求められることから、筐体に収容される機器をできるだけ効率的に配置することが肝要となる。
【0006】
しかしながら、上述のように、圧縮機は複数箇所で筐体に支持されることから、圧縮機の収容に際して圧縮機本体よりも大きな収容空間を要することとなり、空調装置の小型化の要請に悖る。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、圧縮機の収容空間を確保しながら、空調装置の小型化を実現すること、を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る空調装置は、圧縮機、加熱器、減圧部、及び冷却器を含む冷媒回路と、前記加熱器又は前記冷却器に空気を供給する送風部とを筐体内に収容した空調装置であって、前記圧縮機は、前記圧縮機を前記筐体に固定するための複数の固定片を有する固定部を有し、少なくとも一つの前記固定片が、前記送風部により送風され、前記冷却器又は前記加熱器と熱交換する空気が流通する空気流通路の下方に位置するように前記圧縮機を配置し、前記空気流通路の前記固定片に対応する位置に、前記固定片を収容する凹部を形成している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧縮機の収容空間を確保しながら、空調装置の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る空調装置の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る空調装置の内部の概略構成を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る空調装置の内部を示し、圧縮機、冷却器、及び、加熱器の位置関係を示す参考上面図である。
図4】本発明の実施形態に係る空調装置の内部の概略構成を示す正面図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6図4のB部拡大図である。
図7】本発明の実施形態に係る空調装置の内部の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
図1から図7に、本実施形態に係る空調装置1の概略構成を示す。空調装置1は、筐体10、筐体10内に収容される圧縮機20、冷却器(蒸発器)30、加熱器(凝縮器)40、第1送風機50、第2送風機60、減圧器70、及び、制御装置80を備えている。圧縮機20、冷却器30、加熱器40、及び減圧器70は冷媒配管92~94によって接続され、冷媒が循環する冷媒回路を構成している。
【0013】
図1から図7に示す空調装置1では、空調装置1の前後方向に沿って冷却器30及び加熱器40の内部を通過する空気が流通する。つまり、空調装置1では、空調装置1の前後方向が冷却器30及び加熱器40における空気の流通方向となる。冷却器30については背面から正面に向かって空気を流通させ、加熱器40については正面から背面に向かって空気を流通させることで、冷却器30及び加熱器40を通過する空気と冷媒との熱交換を行わせる。
【0014】
(筐体外部のレイアウトについて)
図1に示すように、筐体10の正面において、制御装置80の収容位置(後述)に対応する位置に操作パネル11が設けられ、操作パネル11に隣接し、冷却器30の収容位置に対応するように吹出口12が設けられている。また、第2送風機60の収容位置に対応する位置に空気の吸込口13が設けられている。
【0015】
筐体10の背面において、第1送風機50の収容位置に対応する位置に空気の吸込口(不図示)が設けられ、加熱器40の収容位置に対応する位置に排気口(不図示)が設けられている。
【0016】
(筐体内部のレイアウトについて)
続いて、本実施形態に係る空調装置1の筐体10内における各機器のレイアウトについて説明する。図2に示すように、空調装置1の筐体10内には、底板15上に圧縮機20、加熱器40、及び、第2送風機60を配置し、これらの上方(鉛直方向上側)に冷却器30、第1送風機50、減圧器70、制御装置80を配置している。
【0017】
特に、冷却器30を通過する空気の流通方向と直交する方向、かつ、冷却器30の水平方向(正面視で左右方向)において、冷却器30の一方側(正面視で左側)に減圧器70を配置し、冷却器30の他方側(正面視で右側)、かつ、冷却器30の下方(鉛直方向下側)に圧縮機20を配置している。また圧縮機20の上方に、冷却器30に隣接するように制御装置80を配置している。なお、圧縮機20の前方にはアキュームレータ22が配置されている。
【0018】
より具体的には、底板15上には、正面視で加熱器40の右側に圧縮機20、加熱器40の前方側に第2送風機60が配置されている。加熱器40の上方かつ加熱器40よりもやや前方側に、鉛直方向において加熱器40と部分的に重なるように冷却器30が配置されている。
【0019】
正面視で、冷却器30の左側に減圧器70が、右側に制御装置80がそれぞれ配置され、冷却器30の背面側には第1送風機50が配置されている。
冷却器30の上面には、冷却器30の一方側(正面視で左側)、すなわち、減圧器70側に、減圧器70を通過した冷媒を冷却器30に流入させる冷媒流入口32が設けられている。また、冷却器30の上面において、冷媒流入口32より後方側に、冷却器30を通過して圧縮機20に戻る冷媒の冷媒流出口33が設けられている。
【0020】
つまり、冷却器30において、冷媒流入口32は、冷却器30の上面から冷媒が流入するように設けられ、冷媒流出口33は、冷却器30の上面から冷媒が流出するように設けられている。冷媒流出口33と圧縮機20とは冷媒配管94によって接続されている。冷媒配管94は、冷媒流出口33から、制御装置80の背面側に引き回された後に制御装置80の下側を通って圧縮機20の前方側に接続される。
【0021】
正面視で、加熱器40の右側に圧縮機20及びアキュームレータ22が配置され、加熱器40の正面側には第2送風機60が配置されている。
加熱器40と第2送風機60との間には、ファンケース61によって第2送風機60から送風され加熱器40と熱交換する空気が流通する空気流通路68が形成される(図5参照)。ファンケース61の形状については、後述する。
【0022】
加熱器40の上面には、加熱器40の一方側(正面視で左側)、かつ、加熱器40の後方側に、圧縮機20から吐出された高圧冷媒を流入させる冷媒流入口42が設けられている。また、加熱器40の上面において、冷媒流入口42より前方側に、加熱器40を通過して減圧器70へ向かって流出する冷媒流出口43が設けられている。
【0023】
つまり、加熱器40において、冷媒流入口42は、加熱器40の上面から冷媒が流入するように設けられ、冷媒流出口43は、加熱器40の上面から冷媒が流出するように設けられている。
圧縮機20と加熱器40の冷媒流入口42とは冷媒配管(不図示)によって接続され、冷媒流出口43と減圧器70とは冷媒配管92によって接続され、減圧器70と冷却器30の冷媒流入口32とは冷媒配管93によって接続されている。冷媒配管92及び冷媒配管93はいずれも、冷却器30に対して減圧器70側に位置している。
【0024】
(冷媒の流れについて)
上記のように接続された冷媒回路において、冷媒は、圧縮機20によって圧縮されて高圧のガス冷媒となって吐出される。高圧のガス冷媒は、冷媒配管(不図示)を通過して冷媒流入口42を介して加熱器40に流入し、第2送風機60から送風されて加熱器40を通過する空気と熱交換することにより放熱する。
【0025】
加熱器40の冷媒流出口43から流出した高圧冷媒は、冷媒配管92を通過して減圧器70に流入し、減圧器70によって減圧されて膨張し、低圧冷媒となる。減圧器70において低圧になった冷媒は、冷媒配管93を通過して冷媒流入口32から冷却器30に流入する。冷却器30に流入した低圧冷媒は、第1送風機50によって送風されて冷却器30を通過する空気と熱交換することにより吸熱し、冷却器30の冷媒流出口33を介して流出する。冷却器30を流出した冷媒は、冷媒配管94を流れ、アキュームレータ22を介して圧縮機20へ戻る。圧縮機20に流入した冷媒は、再び圧縮され、上記循環を繰り返す。
【0026】
(圧縮機の固定部について)
図3に示すように、圧縮機20は、筐体10の底板15に固定部21により固定されている。固定部21は、圧縮機20の底部近傍の周囲に設けられた3つの固定片21A,21B,21Cを有している。固定片21A,21B,21Cは、圧縮機20の周囲に等間隔に配置されている。固定片21A,21B,21Cは、底板15の高さよりも圧縮機の20底面側に位置するように設けられている。圧縮機20は、固定片21A,21B,21Cに設けられた螺子孔に挿入されるボルト25A,25B,25Cにより防振ゴム(不図示)を介して底板15に締結され、固定されている。
【0027】
なお、図3は、圧縮機20、固定部21、及び加熱器40の位置関係を示すための参考図であり、これらの位置関係を示すために直接関係しない構成については簡略化し、適宜図示を省略している。したがって、図3においては、例えば、制御装置80、ボルト25B、冷媒配管92から94の図示を省略している。
【0028】
固定部21のうち、固定片21A,21Cは正面視で圧縮機20の右側に位置し、固定片21Bは正面視で圧縮機20の左側に位置している。図3に示すように、固定片21A,21Cの端部と圧縮機20の外周とが略同一直線上に並び、これらが筐体10の内壁に沿って配置されている。これにより、圧縮機20を、正面視で圧縮機20の右側と筐体10の内壁との間に余分な空間を生じさせないように筐体10内に配置することができる。
【0029】
一方、図3に示すように、固定片21Bは空調装置1の正面視で圧縮機20の左側に位置し、そのまま配置すると空調装置1の幅方向においてファンケース61と干渉するか、又は、圧縮機20とファンケース61及び加熱器40との間に余分な空間が形成されてしまう。そこで、本実施形態では、圧縮機20とファンケース61及び加熱器40との間に余分な空間を生じさせず、かつ、固定片21Bをファンケース61と干渉させないために、以下のようにファンケース61を構成している。
【0030】
(ファンケースの形状について)
図4に示すように、第2送風機60はファンケース61に収容された状態で加熱器40の正面に設けられている。ファンケース61は、第2送風機60を収容すると共に、第2送風機60と加熱器40との間に空気流通路を形成するダクトとしても機能する。ファンケース61及び加熱器40の正面視で右側には圧縮機20が配置されている。なお、ファンケース61とダクトとは必ずしも一体的に形成される必要はなく、別部品であってもよい。また、第2送風機60と加熱器40との間に形成される空気流通路68を、加熱器40を収容する加熱器ケース(不図示)と一体的に形成してもよい。
【0031】
ここで、図5に示すように、加熱器40と第2送風機60との間には、ファンケース61によって空気流通路68が形成される。第2送風機60の径方向の寸法に比して加熱器40の幅及び高さが大きいため、ファンケース61によって形成される空気流通路68は、第2送風機60の収容領域の開口面積が最も小さく、加熱部40との接続部近傍の開口面積が最も大きくなっている。
【0032】
すなわち、ファンケース61の上側面62A、下側面62B、圧縮機20と反対側の側面62C、及び圧縮機20側の側面62Dは、いずれも第2送風機60から加熱器40に向かって傾斜するように形成されている。したがって、ファンケース61の上側面62A、下側面62B、側面62C、及び側面62Dによって形成される空気流通路68は、その開口面積が第2送風機60から加熱部40に向かって漸次拡大する拡開部62となる。
【0033】
図5に示すように、第2送風機60の軸心を加熱器40の空気流通方向の軸心よりも高さDの分だけ上方に配置するようにファンケース61を配置する。これにより、ファンケース61の下方に、第2送風機60の軸心を空気流通方向の軸心より上方に配置した高さDの分だけ隙間が生じ、この隙間を固定片21B及びボルト25Bの配置領域とすることができる。
【0034】
さらに、図5及び図6に示すようにファンケース61によって形成される空気流通路68の下方において、拡開部62のうち下側面62Bと側面62Dとを跨ぐ一部分に、固定片21Bと固定片21Bを締結するボルト25Bとの干渉を回避するための凹部65を形成する。凹部65を設けることによりファンケース61の下方に固定片21Bとボルト25Bとが、ファンケース61と干渉することなく位置する(図7参照)。
【0035】
上述のように、圧縮機20の固定部21のうち一つの固定片21Bは、ファンケース61及び加熱器40に向かって突出するものの、凹部65と底板15とによって形成される空間に固定片21Bとボルト25Bとが配置される。これにより、空調装置1の幅方向及び高さ方向のいずれにおいても固定片21B及びボルト25Bが圧縮機20とファンケース61及び加熱器40に干渉せず、圧縮機20とファンケース61及び加熱器40との間に余分な空間が生じないように配置することができる。
【0036】
なお、凹部65を形成することで、凹部65が空気流通路68内に食い込む分だけ空気流通路68を部分的に干渉することとなる。しかし、上述のように、第2送風機60の軸心を加熱器40の空気流通方向の軸心よりも高さDの分だけ上方に配置しているため、凹部65の空気流通路68内への食い込み量が小さく、凹部65が第2送風機60を固定しているボルト69(ファン固定部)よりも下方に位置することとなる(図5参照)。これにより、凹部65を形成することで第2送風機60から送風される空気の流れや、加熱器40の熱交換効率に影響を与えることがない。
【0037】
以上述べた如く本実施形態によれば、圧縮機の収容空間を確保しながら、空調装置の小型化を実現することができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1:空調装置、10:筐体、11:操作パネル
12:吹出口、13:吸込口、15:底板、20:圧縮機、21:固定部
21A,21B,21C:固定片、25A,25B,25C:ボルト
30:冷却器、40:加熱器、
50:第1送風機(送風部)、60:第2送風機(送風部)、
61:ファンケース、62:拡開部
62A:上側面、62B:下側面、62C:側面、62D:側面
65:凹部、68:空気流通路、69:ボルト(ファン固定部)
70:減圧器(減圧部)、80:制御装置、92~94:冷媒配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7