(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130768
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】無人走行体
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240920BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G05D1/02 S
B66F9/24 L
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040671
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須 哲弘
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA02
3F333BA08
3F333BD02
3F333BE02
3F333DA02
3F333DA04
3F333FA11
3F333FD14
3F333FD15
3F333FE04
3F333FE05
5H301AA01
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301LL01
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】車体の幅に対応する通路を通過できるほか、車体の幅が制約を受けない場合には、効率的な走行を実現できる無人走行体の提供にある。
【解決手段】車体11と、車体11の前部の左右のコーナー部にそれぞれ備えられる障害物センサ35R、35Lと、障害物センサ35R、35Lと接続されるコントローラと、を有する無人走行体において、障害物センサ35R、35Lの位置を、車体11の外側へはみ出す第1位置と車体11の外側からはみ出ない第2位置との間で切り換え可能とするセンサ切換機構40と、コントローラに制御され、センサ切換機構40を作動させるセンサ切換機構駆動部と、を有した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体の前部および後部の少なくとも一方の左右のコーナー部にそれぞれ備えられ、障害物を検知する障害物センサと、
前記障害物センサと接続されるコントローラと、を有する無人走行体において、
前記障害物センサの位置を、前記車体の外側へはみ出す第1位置と前記車体の外側からはみ出ない第2位置との間で切り換え可能とするセンサ切換機構と、
前記コントローラに制御され、前記センサ切換機構を作動させるセンサ切換機構駆動部と、を有することを特徴とする無人走行体。
【請求項2】
前記コントローラは、前記車体が予め設定されたエリアを走行するとき、前記障害物センサの向きを前記第1位置から前記第2位置へ切り換えることを特徴とする請求項1記載の無人走行体。
【請求項3】
前記センサ切換機構は、前記左右のコーナー部にそれぞれ立設される軸部材を有し、
前記障害物センサの位置を、前記軸部材の回動により前記第1位置と前記第2位置との間で切り換え可能とすることを特徴とする請求項1又は2記載の無人走行体。
【請求項4】
前記コントローラは、前記障害物センサの位置を切り換えるとき前記障害物センサの検知範囲を変更することを特徴とする請求項1又は2記載の無人走行体。
【請求項5】
前記車体は、
車体本体と、
前記車体本体から前方へ向けて延在し、前輪をそれぞれ備える左右一対のリーチレグと、を有し、
前記センサ切換機構駆動部は、前記リーチレグに収容された電動モータであり、
前記センサ切換機構は、
前記リーチレグの前端に備えられる前記軸部材と、
前記リーチレグに収容され、前記電動モータに同軸状に備えられる駆動プーリと、
前記リーチレグに収容され、前記軸部材に同軸状に備えられる従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリに掛装される伝動ベルトと、を有することを特徴とする請求項3記載の無人走行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無人走行体に関する。
【背景技術】
【0002】
無人走行体に関係する従来技術として、例えば、特許文献1に開示された自動運転フォークリフトが知られている。特許文献1に開示された自動運転フォークリフトは、無人で自律走行可能であり、複数の障害物検出装置を備えている。自動運転フォークリフトの前下端に設けられた障害物検出装置は、車幅を有して前方に延びる平面状の検出領域を有している。また、車体の右下端に設けられた障害物検出装置は、右方に所定距離まで延びる平面状の検出領域を有している。さらに、車体の左下端に設けられた障害物検出装置は、左右方に所定距離まで延びる平面状の検出領域を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された自動運転フォークリフトには、車体の左下端および右下端に設けられた障害物検出装置は、車体から外側へはみ出ているので、車幅が余分に大きくなるという問題がある。このため、自動運転フォークリフトが通路を通過できるように通路幅を拡大する必要がある。また、通路幅が拡大できない場合には、自動運転フォークリフトは通路を走行することができなくなる。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、車体の幅に対応する通路を通過できるほか、車体の幅が制約を受けない場合には、効率的な走行を実現できる無人走行体の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、車体と、前記車体の前部および後部の少なくとも一方の左右のコーナー部にそれぞれ備えられ、障害物を検知する障害物センサと、前記障害物センサと接続されるコントローラと、を有する無人走行体において、前記障害物センサの位置を、前記車体の外側へはみ出す第1位置と前記車体の外側からはみ出ない第2位置との間で切り換え可能とするセンサ切換機構と、前記コントローラに制御され、前記センサ切換機構を作動させるセンサ切換機構駆動部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、センサ切換機構が、障害物センサの位置を車体の外側へはみ出す第1位置と車体の外側からはみ出ない第2位置との間で切り換える。このため、障害物センサの位置が車体の外側へはみ出す第1位置では、無人走行体は制約を受けることなく効率的な荷役作業を行うことができる。また、障害物センサの位置を車体の外側へはみ出す第1位置から車体の外側からはみ出ない第2位置へ切り換えることで、車体の幅に対応する通路を走行することができる。
【0008】
また、上記の無人走行体において、前記コントローラは、前記車体が予め設定されたエリアを走行するとき、前記障害物センサの向きを前記第1位置から前記第2位置へ切り換える構成としてもよい。
この場合、予め設定されたエリアを車体が走行するとき、障害物センサの向きを第1位置から第2位置へ切り換えることで、予め設定されたエリアでは無人走行体は障害物センサのはみ出しを気にすることなく走行できる。
【0009】
また、上記の無人走行体において、前記センサ切換機構は、前記左右のコーナー部にそれぞれ立設される軸部材を有し、前記障害物センサの位置を、前記軸部材の回動により前記第1位置と前記第2位置との間で切り換え可能とする構成としてもよい。
この場合、障害物センサは軸部材を回動支点として回動することができ、回動により第1位置と第2位置の切り換えを行うことができる。
【0010】
また、上記の無人走行体において、前記コントローラは、前記障害物センサの位置を切り換えるとき前記障害物センサの検知範囲を変更する構成としてもよい。
この場合、障害物センサの位置を切り換えるとき、障害物センサの検知範囲が変更されるので、障害物センサの位置を切り換えによって第1位置および第2位置に応じた適切な障害物の検知範囲を設定することができる。
【0011】
また、上記の無人走行体において、前記車体は、車体本体と、前記車体本体から前方へ向けて延在し、前輪をそれぞれ備える左右一対のリーチレグと、を有し、前記センサ切換機構駆動部は、前記リーチレグに収容された電動モータであり、前記センサ切換機構は、前記リーチレグの前端に備えられる前記軸部材と、前記リーチレグに収容され、前記電動モータに同軸状に備えられる駆動プーリと、前記リーチレグに収容され、前記軸部材に同軸状に備えられる従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリに掛装される伝動ベルトと、を有する構成としてもよい。
この場合、駆動モータの駆動力が駆動プーリ、伝動ベルトおよび従動プーリを介して軸部材に伝達され、軸部材の回動により障害物センサの第1位置と第2位置との切り換えが行われる。比較的簡単な構成のセンサ切換機構を実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車体の幅に対応する通路を通過できるほか、車体の幅が制約を受けない場合には、効率的な走行を実現できる無人走行体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動運転フォークリフトの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る自動運転フォークリフトの側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る自動運転フォークリフトの平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る自動運転フォークリフトの概略構成図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る自動運転フォークリフトの要部側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る自動運転フォークリフトの要部平面図である。
【
図7】稼働エリアにおける第1位置エリアおよび第2位置エリアの例を示す平面図である。
【
図8】別例に係る自動運転フォークリフトの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る無人走行体としての自動運転フォークリフトについて図面を参照して説明する。本実施形態の自動運転フォークリフトは、工場等において電動走行するリーチ式フォークリフトであって、自律走行が可能である。
【0015】
図1に示すように、自動運転フォークリフト(以下、単に「フォークリフト」と表記する)10の車体11は、車体本体12と、車体本体12の前部から前方へ向けて延在する左右一対のリーチレグ13(13R、13L)と、を有している。リーチレグ13には前輪に相当する遊転可能な従動輪14が設けられている。右の従動輪を従動輪14Rとし、左の従動輪を従動輪14Lとする。
図2では左のリーチレグ13と左の従動輪14Lのみが示される。
【0016】
図2に示すように、車体本体12の後部の左側には、走行用モータ16および後輪としての駆動輪17を備えたドライブユニット15が設けられている。走行用モータ16は駆動輪17を駆動する。フォークリフト10は駆動輪17の駆動により路面Fを走行する。また、ドライブユニット15には駆動輪17を操舵するための操舵用モータ(図示せず)が備えられている。
図3に示すように、車体本体12の後部の右側には、キャスタ輪18が備えられている。キャスタ輪18は車体11の姿勢をより安定させるための遊転可能な車輪である。
【0017】
図1に示すように、車体本体12には、右ピラー20および左ピラー21が立設されている。右ピラー20および左ピラー21の上部にはヘッドガード22が備えられている。なお、説明の便宜上、
図3ではヘッドガード22の図示を省略している。
【0018】
一対のリーチレグ13の間には、車体本体12に対して進退自在の荷役装置24が備えられている。荷役装置24は、左右のリーチレグ13に支持されたアウタマスト25と、アウタマスト25に昇降可能に支持されたインナマスト26とを備えている。インナマスト26には、リフトサポート27が昇降可能に支持されている。リフトサポート27の前面には、左右一対のフォーク28が支持されている。フォーク28の上端は、フォーク28のティルト動作を可能とするようにリフトサポート27に軸支されている。したがって、フォーク28は前後に傾動可能である。フォーク28の上方には、バックレスト29が備えられている。アウタマスト25の後方にはインナマスト26を昇降させるリフトシリンダ30が固定されている。
【0019】
車体本体12には、車体11の各部を制御するコントローラ31が収容されている。
図4に示すように、コントローラ31は、演算処理部としてのCPU32と、RAMおよびROM等からなる記憶部33と、を備えている。コントローラ31は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)を備えていてもよい。コントローラ31は、コンピュータプログラムにしたがって動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。コントローラ31は、走行用モータ16と接続されている。
【0020】
ところで、本実施形態のフォークリフト10には、障害物を検出する左右一対の障害物センサ35が備えられている(
図1、
図3を参照)。右の障害物センサ35Rは右のリーチレグ13Rの前端に備えられ、左の障害物センサ35Lは左のリーチレグ13Lの前端に備えられている。障害物センサ35は、レーザー光を走査するレーザー測距式のセンサであり、センサ本体部36と、センサ本体部36の下部に備えられた円錐台状のセンサ部37と、を有している。センサ部37は、レーザー光の走査範囲を規定する。走査範囲は、180°(左右90°)以上の角度で規定される。本実施形態では、レーザー光の路面Fからの高さは、100mm程度である。障害物センサ35のレーザー光の路面Fからの高さは、JIS D6802:2022の安全要求事項を満たすように設定されている。
【0021】
障害物センサ35は、センサ切換機構40により位置を切り換えできるように支持されている。リーチレグ13にはセンサ切換機構40を作動させるセンサ切換機構駆動部としての電動モータ41が収容されている。電動モータ41は、リーチレグ13において従動輪14よりも車体本体12側に位置する。電動モータ41の回転軸42の軸心は上下方向である。電動モータ41は、コントローラ31と接続されており、コントローラ31により制御される。
【0022】
次に、センサ切換機構40について説明する。センサ切換機構40は、軸部材43と、駆動プーリ44と、従動プーリ45と、伝動ベルト46と、を有する。軸部材43は、リーチレグ13に収容されるようにリーチレグ13の前端に立設されている。軸部材43は、リーチレグ13において従動輪14よりも前端側に位置する。軸部材43は、リーチレグ13に対して回動可能な軸本体47と、軸本体47の軸心と交差する方向へ延在するアーム部48と、アーム部48の先端に設けられたブラケット部49と、を有している。
【0023】
アーム部48は、軸本体47の回動によりリーチレグ13の前方を向く状態からリーチレグ13の長手方向と交差する外方を向く状態へ変位する。なお、リーチレグ13の前端は、車体11の前部におけるコーナー部に相当する。ブラケット部49には、障害物センサ35のセンサ本体部36が取り付けられている。リーチレグ13の前端および外側面の一部は切り欠かれており、ブラケット部49は切り欠きにおいて変位可能である。
【0024】
軸本体47の上部には従動プーリ45が取り付けられている。一方、電動モータ41の回転軸39には駆動プーリ44が同軸状に取り付けられている。駆動プーリ44および従動プーリ45には伝動ベルト46が掛装されている。伝動ベルト46は、リーチレグ13において従動輪14の上方に位置する。したがって、電動モータ41の回転は伝動ベルト46を介して従動プーリ45に伝達され、軸部材43が回転する。軸部材43の回転により障害物センサ35の位置が切り換え可能となる。障害物センサ35は、電動モータ41の正回転・逆回転の切り換えにより、車体11の外側へはみ出す第1位置と、車体11の外側からはみ出ない第2位置に切り換えられる。
図6では、第1位置に位置する障害物センサ35を実線により示し、第2位置に位置する障害物センサ35を仮想線(二点鎖線)により示す。
【0025】
第1位置は、より具体的には、リーチレグ13の幅方向における外側であって、前後方向において従動輪14の前方となる位置である。障害物センサ35が第1位置のとき、軸部材43のアーム部48は長手方向が幅方向となる。第2位置は、より具体的には、リーチレグ13の前方であって、幅方向においてリーチレグ13の外側からはみ出ない位置である。障害物センサ35が第2位置のとき、軸部材43のアーム部48は長手方向がリーチレグ13の長手方向となる。障害物センサ35の位置を第1位置から第2位置へ切り換える場合、コントローラ31は、電動モータ41を正回転させる。障害物センサ35の位置を第2位置から第1位置へ切り換える場合、コントローラ31は、電動モータ41を逆回転させる。
【0026】
リーチレグ13の前方に障害物センサ35が位置する第2位置では、障害物センサ35が第1位置に位置する場合と比較して、フォークリフト10としての幅は狭くなる。しかしながら、リーチレグ13の前方に障害物センサ35が位置することで、障害物センサ35は荷役作業時に棚等と干渉し易くなる。このため、荷役作業時にリーチ動作によりフォーク28をより前進させることで障害物センサ35と棚等との干渉を防止すればよい。ただし、その結果、フォークリフト10の荷の搭載のための許容可能な荷重(許容荷重)は、第1位置の場合の許容荷重と比較すると低減する。
【0027】
障害物センサ35の位置が第1位置のとき、コントローラ31は、障害物センサ35の走査範囲が最大角度で設定されるように障害物センサ35を制御する。障害物センサ35の位置が第2位置のとき、コントローラ31は、障害物センサ35の走査範囲が相対するリーチレグ13を含まないような角度で設定される。例えば、障害物センサ35Rの走査範囲が相対する障害物センサ35Lが備えられたリーチレグ13を含まないように、コントローラ31は走査範囲を最大角度で設定される走査範囲よりも狭く設定する。
【0028】
障害物センサ35の位置が第1位置のとき、障害物センサ35の走査範囲は、車体11の前方および車体11の側方を含む範囲が対象である。障害物センサ35の位置が第2位置のとき、障害物センサ35の走査範囲は、車体11の前方の範囲であり、車体11の側方は走査範囲に含まれない。したがって、安全要求事項の制約に基づきフォークリフト10の旋回速度は低速に設定される。なお、障害物センサ35の位置が第2位置であっても、フォークリフト10の直進走行の速度は制約を受けない。
【0029】
コントローラ31は、障害物センサ35の第1位置と第2位置との間で切り換えの判断を行う。コントローラ31には、フォークリフト10の稼働設定エリアが設定されている。
図7に示すように、例えば、稼働設定エリアEにおいて、障害物センサ35を第1位置とする第1位置エリアE1と、障害物センサ35を第2位置とする第2位置エリアE2と、が設定されている。第1位置エリアE1は、荷役作業を主に行うエリアとし、第2位置エリアE2は幅の狭い通路を含むエリアとする。第1位置エリアE1および第2位置エリアE2はそれぞれ複数設定されてもよい。
【0030】
コントローラ31は、フォークリフト10が第1位置エリアE1から第2位置エリアE2に進入する直前に障害物センサ35を第1位置から第2位置に切り換える。また、コントローラ31は、フォークリフト10が第2位置エリアE2から第1位置エリアE1へ進入した後に障害物センサ35を第2位置から第1位置に切り換える。自己位置を推定しつつ環境地図を構築する自律走行のフォークリフトであれば、コントローラ31は自己位置の推定によって切り換えが必要な位置で障害物センサ35の位置の切り換えが可能である。磁気テープ等のように路面Fに設けた誘導ガイドによって自動走行するフォークリフトであれば、誘導ガイドに沿って第1位置エリアE1および第2位置エリアE2に応じてICタグを設置することで切り換えが必要な位置で障害物センサ35の位置の切り換えが可能となる。
【0031】
次に、本実施形態に係るフォークリフト10の動作について説明する。
図7に示すように、フォークリフト10が第1位置エリアE1にて荷役作業を行う場合、障害物センサ35は第1位置に位置する。第1位置の障害物センサ35は、リーチレグ13の前端の側方に位置し、車体11の前方および車体11の側方を含む範囲をレーザー光の走査範囲A1として設定している。障害物センサ35が第1位置に位置する状態では、フォークリフト10の動作は、障害物が検知される場合を除き制約を受けない。したがって、フォークリフト10による効率的な荷役作業を実現できる。
【0032】
フォークリフト10が第1位置エリアE1から第2位置エリアE2に進入する場合、フォークリフト10が第2位置エリアE2に進入する直前に、コントローラ31は電動モータ41を駆動し、障害物センサ35の位置を第1位置から第2位置へ切り換える。障害物センサ35は、第1位置から第2位置に切り換わることで、リーチレグ13の前方に位置し、車体11の前方をレーザー光の走査範囲A2として設定し、車体11の側方は走査範囲A2に含まれない。障害物センサ35の位置がリーチレグ13の側方から前方に切り換えられることで、障害物センサ35が車体11の外側へはみ出ず、フォークリフト10の車幅が狭くなる。第2位置エリアE2を走行するフォークリフト10は、JIS D6802:2022の安全要求事項の制約により低速で走行する。第2位置エリアE2では、フォークリフト10は、走行速度の制約を受けるものの、第1位置エリアE1の状態よりも車幅が広がることがない。
【0033】
本実施形態に係るフォークリフト10は、以下の効果を奏する。
(1)センサ切換機構40が、障害物センサ35の位置を車体11の外側へはみ出す第1位置と車体11の外側からはみ出ない第2位置との間で切り換える。このため、障害物センサ35の位置が車体11の外側へはみ出す第1位置では、フォークリフト10は制約を受けることなく効率的な荷役作業を行うことができる。また、障害物センサ35の位置を車体11の外側へはみ出す第1位置から車体11の外側からはみ出ない第2位置へ切り換えることで、車体11の幅に対応する通路を走行することができる。
【0034】
(2)予め設定された第2位置エリアE2をフォークリフト10が走行するとき、障害物センサ35の位置を第1位置から第2位置へ切り換える。このため、予め設定された第2位置エリアE2では、フォークリフト10は、障害物センサ35の車体11の側方へのはみ出しを気にすることなく走行できる。
【0035】
(3)センサ切換機構40は、左右のコーナー部であるリーチレグ13の前端にそれぞれ立設される軸部材43を有する。障害物センサ35の位置は、軸部材43の回動により第1位置と第2位置との間で切り換え可能である。このため、障害物センサ35は、軸部材43を回動支点として回動することができ、回動により第1位置と第2位置の切り換えを行うことができる。
【0036】
(4)コントローラ31は、障害物センサ35の第1位置と第2位置との切り換えのとき障害物センサ35のレーザー光の走査範囲を変更する。この場合、障害物センサ35は、第1位置と第2位置との切り換えのとき走査範囲を変更するので、第1位置および第2位置に応じた適切な障害物の検知範囲を設定することができる。特に、第2位置では、第1位置の走査範囲よりも走査角度を小さくした走査範囲に設定されている。このため、障害物センサ35の走査範囲が相対するリーチレグ13を含まず、リーチレグ13を障害物として検知することを防止できる。
【0037】
(5)稼働エリアにおける第1位置エリアE1では、障害物センサ35の位置が車体11の外側へはみ出す第1位置にあり、フォークリフト10の許容荷重は、制限を受けることはない。また、第1位置エリアE1では、フォークリフトは、旋回時に速度の制限を受けることなく旋回することができる。稼働エリアにおける第2位置エリアE2では、フォークリフト10の車幅を広げることなく走行することができる。
【0038】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0039】
○ 上記の実施形態では、車体のコーナー部としてリーチレグの前端を説明したが、これに限らない。車体のコーナー部は、レーチレグに限らず、車体の前部および後部の少なくとも一方の左右の角部であればよい。例えば、
図8に示す自動運転フォークリフトのように、車体11の前部だけでなく車体11の後部に、障害物センサ35と同じ障害物センサ50(50R、50L)を設けてもよい。そして、センサ切換機構40と同様のセンサ切換機構52を設け、障害物センサ50の位置を切り換えるようにしてもよい。
○ 上記の実施形態では、軸部材を用いて障害物センサを回動させるセンサ切換機構としたがこれに限定されない。センサ切換機構は、例えば、複数の歯車を用いて障害物センサの位置を切り換えることが可能な構成でもよく、あるいは、リンク機構を用いてもよい。また、障害物センサの位置の切り換えは回動に限らず、スライドであってもよい。
○ 上記の実施形態では、障害物センサの第1位置と前記第2位置との切り換えのとき障害物センサの検知範囲を変更するとしたが、これに限らない。障害物センサが第2位置のとき、障害物センサが車体の一部を障害物として検知しなければ、例えば、障害物センサの検知範囲を変更しないようにしてもよい。
○ 上記の実施形態では、センサ切換機構駆動部として電動モータを用いた例を説明したがこれに限定されない。センサ切換機構駆動部は、例えば、流体シリンダや電磁等、電動モータ以外の駆動機器を用いてもよい。
○ 上記の実施形態では、無人走行体としての自動運転フォークリフトを例示して説明したがこれに限定されない。無人走行体は、例えば、無人搬送車や牽引車であってもよく、あるいはトーイングトラクタでもよい。
【符号の説明】
【0040】
10、50 自動運転フォークリフト(無人走行体)
11 車体
12 車体本体
13(13R、13L) リーチレグ
14(14R、14L) 従動輪
15 ドライブユニット
16 走行用モータ
17 駆動輪
22 ヘッドガード
24 荷役装置
28 フォーク
30 リフトシリンダ
31 コントローラ
35(35R、35L)、51(51R、51L) 障害物センサ
40、52 センサ切換機構
41 電動モータ(センサ切換機構駆動部)
42 回転軸
43 軸部材
44 駆動プーリ
45 従動プーリ
46 伝動ベルト
49 ブラケット部
E1 第1位置エリア
E2 第2位置エリア
F 路面