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  • 特開-読取装置および読取装置の制御方法 図1
  • 特開-読取装置および読取装置の制御方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130801
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】読取装置および読取装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20240920BHJP
   H04N 1/401 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04N1/387
H04N1/401
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040706
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】リキ ヨナタン
【テーマコード(参考)】
5C077
【Fターム(参考)】
5C077LL19
5C077PP25
5C077PP32
5C077PQ19
5C077SS05
5C077SS07
(57)【要約】
【課題】下地除去の対象とする色を選ぶユーザーを支援し、より簡単に適切な選択をさせ
るための改善が求められている。
【解決手段】読取装置は、原稿を読み取って読取結果としてのスキャンデータを生成する
読取部と、表示部と、外部からの操作を受け付け可能な操作受付部と、制御部と、を備え
、前記制御部は、前記スキャンデータにおける各色の頻度に基づき、下地除去の色の候補
である候補色を決定し、前記候補色を含む、前記スキャンデータに含まれている複数の色
を、選択肢として前記表示部に表示し、前記操作受付部を通じて、前記表示部が表示する
複数の前記色の中から色の選択を受け付け、選択された前記色を除去対象とした下地除去
を前記スキャンデータに対して実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って読取結果としてのスキャンデータを生成する読取部と、
表示部と、
外部からの操作を受け付け可能な操作受付部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記スキャンデータにおける各色の頻度に基づき、下地除去の色の候補である候補色
を決定し、
前記候補色を含む、前記スキャンデータに含まれている複数の色を、選択肢として前
記表示部に表示し、
前記操作受付部を通じて、前記表示部が表示する複数の前記色の中から色の選択を受
け付け、
選択された前記色を除去対象とした下地除去を前記スキャンデータに対して実行する
、ことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記スキャンデータに対して前記下地除去を実行した場合、前記下地除去を実行する
前の前記スキャンデータから生成したヒストグラムと、前記スキャンデータから除去した
色の情報とを対応付けて、所定の記憶部へ記憶させ、
前記読取部により新たな原稿の読取結果としての新たなスキャンデータが生成された
場合、新たな前記スキャンデータから生成したヒストグラムが、前記記憶部に記憶されて
いる前記ヒストグラムのいずれかとの一致度合いが所定度合い以上であれば、新たな前記
スキャンデータから生成したヒストグラムとの一致度合いが前記所定度合い以上である前
記ヒストグラムと対応付けられている色を、新たな前記スキャンデータにおける各色の頻
度に基づき決定した前記候補色と共に、前記選択肢として前記表示部に特定の態様で表示
する、ことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記スキャンデータに対して前記下地除去を実行した場合、前記下地除去を実行する
前の前記スキャンデータから生成したヒストグラムと、前記スキャンデータから除去した
色の情報とを対応付けて、所定の記憶部へ記憶させ、
前記読取部により新たな原稿の読取結果としての新たなスキャンデータが生成された
場合、新たな前記スキャンデータから生成したヒストグラムが、前記記憶部に記憶されて
いる前記ヒストグラムのいずれかとの一致度合いが所定度合い以上であれば、新たな前記
スキャンデータから生成したヒストグラムとの一致度合いが前記所定度合い以上である前
記ヒストグラムと対応付けられている色を前記除去対象として、新たな前記スキャンデー
タに対して下地除去を実行し、
前記記憶部に記憶されている前記ヒストグラムのいずれも、新たな前記スキャンデー
タから生成したヒストグラムとの一致度合いが所定度合い以上でない場合、新たな前記ス
キャンデータにおける各色の頻度に基づき決定した前記候補色を、前記選択肢として前記
表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記操作受付部を通じて、前記原稿のカラーコピーの指示またはモノクロコピーの指
示を受けた上で、前記読取部に前記原稿の読取を実行させ、
前記スキャンデータに対して前記下地除去を実行した場合に、前記下地除去を実行す
る前の前記スキャンデータから生成したヒストグラムと、前記スキャンデータから除去し
た色の情報とを、前記操作受付部を通じて受けた前記カラーコピーの指示またはモノクロ
コピーの指示に対応付けて前記記憶部へ記憶させ、
新たな前記スキャンデータが前記カラーコピーの指示を受けて生成されたものであれ
ば、新たな前記スキャンデータから生成したヒストグラムを、前記記憶部に記憶されてい
る前記ヒストグラムのうち前記カラーコピーの指示と対応付けて記憶されているヒストグ
ラムと比較し、
新たな前記スキャンデータが前記モノクロコピーの指示を受けて生成されたものであ
れば、新たな前記スキャンデータから生成したヒストグラムを、前記記憶部に記憶されて
いる前記ヒストグラムのうち前記モノクロコピーの指示と対応付けて記憶されているヒス
トグラムと比較する、ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記候補色の前記スキャンデータにおける頻度を前記候補色と共に前記
表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の読取装置。
【請求項6】
前記下地除去が行われた前記スキャンデータに基づいて印刷を行う印刷部を備える、こ
とを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の読取装置。
【請求項7】
原稿を読み取って読取結果としてのスキャンデータを生成する読取装置の制御方法であ
って、
前記スキャンデータにおける各色の頻度に基づき、下地除去の色の候補である候補色を
決定する候補色決定工程と、
前記候補色を含む、前記スキャンデータに含まれている複数の色を、選択肢として表示
部に表示する表示工程と、
前記表示部が表示する複数の前記色の中から色の選択を受け付ける選択受付工程と、
選択された前記色を除去対象とした下地除去を前記スキャンデータに対して実行する下
地除去工程と、を備えることを特徴とする読取装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置および読取装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を読み取る読取装置の分野では、原稿のスキャンデータから下地の色を除去する下
地除去が行われている。
【0003】
関連技術として、画像読取手段によって読み取られた原稿に対応する画像データを表示
部に表示し、除去すべき下地領域をユーザーに選択させる画像処理装置が開示されている
(特許文献1参照)。
また、スキャナー部で予めスキャンされた画像データをプレビュー画面に表示し、除去
したり他の色に置き換えたりしたい背景色を選択するための選択用枠をユーザーが移動さ
せて、希望する背景色をユーザーが選択する複合機が開示されている(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013‐9109号公報
【特許文献2】特開2008‐210195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、下地除去の対象とする色を選ぶユーザーを支援し、より簡単に適切な選
択をさせるための改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
読取装置は、原稿を読み取って読取結果としてのスキャンデータを生成する読取部と、
表示部と、外部からの操作を受け付け可能な操作受付部と、制御部と、を備え、前記制御
部は、前記スキャンデータにおける各色の頻度に基づき、下地除去の色の候補である候補
色を決定し、前記候補色を含む、前記スキャンデータに含まれている複数の色を、選択肢
として前記表示部に表示し、前記操作受付部を通じて、前記表示部が表示する複数の前記
色の中から色の選択を受け付け、選択された前記色を除去対象とした下地除去を前記スキ
ャンデータに対して実行する。
【0007】
原稿を読み取って読取結果としてのスキャンデータを生成する読取装置の制御方法であ
って、前記スキャンデータにおける各色の頻度に基づき、下地除去の色の候補である候補
色を決定する候補色決定工程と、前記候補色を含む、前記スキャンデータに含まれている
複数の色を、選択肢として表示部に表示する表示工程と、前記表示部が表示する複数の前
記色の中から色の選択を受け付ける選択受付工程と、選択された前記色を除去対象とした
下地除去を前記スキャンデータに対して実行する下地除去工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】装置構成を簡易的に示す図。
図2】第1実施形態のコピー処理を示すフローチャート。
図3】ステップS120で表示されるUI画面の一例を示す図。
図4】ユーザーによる下地色の選択を反映したUI画面の一例を示す図。
図5】第2実施形態のコピー処理を示すフローチャート。
図6】ヒストグラムの一例を示す図。
図7】第3実施形態のコピー処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説
明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状や濃淡が正確でなかっ
たり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0010】
1.装置構成:
図1は、本実施形態にかかる読取装置10の構成を簡易的に示している。読取装置10
を、スキャナー、複写機、コピー機、複合機と呼んだりしてもよい。読取装置10は、制
御部11、表示部13、操作受付部14、通信IF15、記憶部16、読取部17、印刷
部18等を備える。IFは、インターフェイスの略である。制御部11は、プロセッサー
としてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、
その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
【0011】
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、ROM11bや、その他のメモ
リー等に保存された一つ以上のプログラム12に従った演算処理を、RAM11c等をワ
ークエリアとして用いて実行することにより、読取装置10を制御する。なお、プロセッ
サーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア
回路により処理を行う構成であってもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処
理を行う構成であってもよい。
【0012】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、
有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレ
イを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザー
による操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや
、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の
一機能として実現されるとしてもよい。
【0013】
通信IF15は、読取装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠し
て有線又は無線で外部装置と接続するための一つまたは複数のIFの総称である。外部装
置とは、例えば、パーソナルコンピューター、サーバー、スマートフォン、タブレット型
端末といった各種通信装置である。
【0014】
記憶部16は、例えば、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブといっ
た記憶装置により構成される。記憶部16は、制御部11が有するメモリーの一部であっ
てもよい。また、記憶部16を制御部11の一部と解してもよい。記憶部16には、読取
装置10の制御に必要な各種情報が記憶される。
【0015】
読取部17は、原稿を読み取って、読取結果としてのスキャンデータを生成する。読取
部17は、知られているように、原稿を照射する光源や、光源によって照射された原稿か
らの反射光や透過光を受光して光電変換により電気信号に変換するイメージセンサーや、
信号処理回路等を有する。信号処理回路は、イメージセンサーからの出力に対してアナロ
グデジタル変換や補正等の各種変換や信号処理をして、スキャンデータを生成する。信号
処理回路は、制御部11の一部であってもよい。言い換えると、読取部17の一部は制御
部11に含まれていると解してもよい。
【0016】
読取部17は、原稿を読取用の搬送機構により搬送しながらイメージセンサーで読み取
る、いわゆるシードフィードタイプのスキャナーであってもよいし、透明な原稿台に置か
れて静止する原稿をイメージセンサーで読み取る、いわゆるフラットベッドタイプのスキ
ャナーであってもよい。
【0017】
印刷部18は、画像データに基づいて媒体へ画像を印刷する。媒体とは代表的には紙で
あるが、フィルムや生地等、印刷可能な素材であればよく、媒体の素材を特に限定する必
要はない。印刷部18が採用する印刷方式は特に限定されず、印刷部18は、いわゆるイ
ンクジェット方式や、トナーを使用する電子写真方式等、種々の印刷方式を採用可能であ
る。言うまでもなく、印刷部18は、必要に応じて媒体を印刷用の搬送機構により搬送し
て、媒体へ印刷をする。
【0018】
制御部11は、画像データの一種としてスキャンデータを印刷部18へ供することによ
り、印刷部18に、スキャンデータに基づく印刷つまり原稿のコピーを実行させることが
可能である。
【0019】
読取装置10は、読取や印刷の機能に加え、ファクシミリ通信機能や、電子メール送受
信機能等、様々な機能を併せ持つ製品であってもよい。あるいは、図1に示す構成は、一
台の装置ではなく、互いに通信可能に接続した複数の装置により実現されてもよい。つま
り、読取装置10は実態としてシステムであってもよい。このような装置またはシステム
により、読取装置の制御方法が実現される。
【0020】
2.下地除去を伴うコピー処理:
図2は、制御部11がプログラム12に従って実行するコピー処理をフローチャートに
より示している。図2を参照して説明する実施形態を、第1実施形態とも呼ぶ。
ユーザーは、所望の原稿を読取装置10における原稿セット位置にセットして、所定の
スタートボタンを押すなどして、制御部11に原稿のコピーを指示する。原稿セット位置
とは、例えば、原稿トレイや原稿台である。制御部11は、コピーの指示を受けたことを
契機として図2のフローチャートを開始する。
【0021】
ステップS100では、制御部11は、読取部17に原稿の読取を指示する。この指示
に応じて読取部17は原稿を読み取り、スキャンデータを生成し、スキャンデータを制御
部11へ送信する。制御部11は、このスキャンデータを以下の処理対象とする。ここで
は、原稿はカラー原稿であるとする。原稿には、例えば、写真、文字、イラスト等のオブ
ジェクトが印刷されている。
【0022】
ステップS110では、制御部11は、スキャンデータを解析し、スキャンデータにお
ける各色の頻度に基づき下地除去の色の候補である「候補色」を決定する。ステップS1
10は「候補色決定工程」に該当する。スキャンデータは画素毎に色を有する画像データ
である。画素の色は、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のRGB階
調値や、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のCMYK階
調値で定義されている。階調値は、例えば0~255の256階調で表現される。
【0023】
制御部11は、スキャンデータに含まれる色毎の頻度、つまり占有率を算出する。1つ
の色の占有率は、スキャンデータの全画素数に対する当該色の画素数の割合である。記憶
部16には、DB16aが記憶されている。DBは、データベースの略である。DB16
aには、過去に下地色に決定された色や、下地除去の対象とされ易い色として予め決めら
れた色が、特定色として幾つか記憶されている。なお、本実施形態では、読取装置10の
記憶部16にDB16aが記憶されているものとして説明するが、例えば、外部装置の一
種であるクラウドサーバーなどの外部記憶装置にDB16aを記憶するようにしてもよい
。制御部11は、例えば、スキャンデータに含まれている色であって、特定色と一致或い
は類似しかつ占有率が占有率に関する所定のしきい値以上である色を、候補色に決定する
。色同士が類似すると判定するための許容範囲も予め決まっているものとする。
【0024】
ステップS120では、制御部11は、ステップS110で決定した候補色を含む、ス
キャンデータに含まれている複数の色を、選択肢として表示部13に表示する。ステップ
S120は「表示工程」に該当する。
【0025】
図3は、ステップS120において表示部13に表示されるUI画面20の例を示して
いる。UIは、ユーザーインターフェイスの略である。UI画面20には、スキャンデー
タに含まれている複数の色が選択肢として列挙表示されている。図3の例では、5つの色
が列挙されており、1つの色につき当該色の見本としてのカラーパッチや、占有率や、R
GB階調値が表示されている。これら複数の色のうちステップS110で決定された候補
色については、候補色であることを示す特定の態様の表示がステップS120の時点で施
されている。図3の例では、5つの色のうち、2つの色に候補色であることを示すチェッ
クマーク21が付されている。チェックマーク21が、特定の態様の表示例である。つま
り、UI画面20の初期状態では、候補色が選択状態とされている。
【0026】
ステップS130では、制御部11は、ユーザーによる操作受付部14の操作を通じて
、表示部13が表示する複数の色の中から下地色の選択を受け付ける。ステップS130
は「選択受付工程」に該当する。ユーザーは、UI画面20に対する操作により下地色を
任意に選択する。ユーザーは、UI画面20が表示された時点でチェックマーク21によ
り選択されている候補色を、そのまま下地色の選択として受け入れてもよいし、候補色以
外の色を下地色として選択し直してもよい。
【0027】
図4は、ユーザーによる下地色の選択を反映したUI画面20の例を示している。図4
の例では、図3と比較すると分かるように、一部の候補色からチェックマーク21が外さ
れて、候補色ではない一部の色がチェックマーク21により選択されている。ユーザーが
、UI画面20における下地色の選択を確定させる所定の操作、例えば不図示の決定ボタ
ンの押し下げをしたとき、制御部11は、その時点でのチェックマーク21による色の選
択を下地色の選択として受け付ける。言うまでもなく、図3図4はUI画面20の例示
であるため、図3,4に記載されている各数値やUI画面20のデザインは、本実施形態
の開示範囲を狭めるものではない。特定の態様の表示も、当然にチェックマーク21に限
定されず、その時点で選択状態であることを分かり易く示すものであればよい。
【0028】
ステップS140では、制御部11は、ステップS130で受け付けた選択にかかる下
地色を除去対象とした下地除去をスキャンデータに対して実行する。つまり、スキャンデ
ータから下地色を消す。ステップS140は「下地除去工程」に該当する。制御部11は
、スキャンデータが例えばRGBデータであれば、下地色の画素を、白画素つまりR=G
=B=255の画素に置き換えればよい。スキャンデータがCMYKデータであれば、下
地色の画素を、C=M=Y=K=0の画素に置き換えればよい。
【0029】
ステップS150では、制御部11は、ステップS140により下地除去を行った後の
スキャンデータに基づく印刷を印刷部18に実行させる。言うまでもなく、制御部11は
、スキャンデータを印刷部18が印刷に使用可能なフォーマットのデータにするために必
要な各種変換、例えば色変換処理やハーフトーン処理を、スキャンデータに対して適宜実
行した上で、印刷部18にデータを提供する。この結果、スキャンデータが表現する原稿
の画像であって、選択された下地色が除去された画像が媒体に印刷される。以上で、原稿
のコピーが終了する。
【0030】
制御部11は、ユーザーから原稿のコピーの指示ではなく、スキャンの指示を受けた場
合にも本実施形態のフローチャートを実行する。ただし、スキャンの指示を受けた場合に
実行するフローチャートは、ステップS140の後、下地除去をしたスキャンデータを記
憶部16等の所定の記憶領域へ記憶させて終了する。
【0031】
3.第2実施形態:
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、原則的に第1実施形態の説
明を準用し、第1実施形態と異なる点を説明する。
図5は、制御部11がプログラム12に従って実行する第2実施形態のコピー処理をフ
ローチャートにより示している。
【0032】
図5については、先ずステップS141について説明する。ステップS100,S11
0,S120,130,S140,S150は第1実施形態で説明した通りであるが、制
御部11は、ステップS140とステップS150との間にステップS141を実行する
。あるいは、制御部11はステップS141を、ステップS150と並行して行ってもよ
いし、ステップS150の後に行ってもよい。ステップS141では、制御部11は、ス
テップS140で下地除去を実行する前のスキャンデータからステップS101で生成し
たヒストグラムと、そのようなスキャンデータからステップS140で除去した下地色の
情報とを対応付けて、記憶部16のDB16aへ記憶させる。
【0033】
読取装置10が工場から出荷された時点では、DB16aには、対応付けられたヒスト
グラムと下地色との情報は記憶されていない。図5のフローチャートが1回以上実行され
た場合に、対応付けられたヒストグラムと下地色との情報がDB16aに記憶される。こ
こでは、図5のフローチャートが既に1回以上実行されて、対応付けられたヒストグラム
と下地色との情報が1組以上はDB16aに記憶されている場合を想定して、図5の説明
を続ける。また、既に実行された図5のフローチャートにおいて処理されたスキャンデー
タと区別するために、これから説明する図5のフローチャートにおいて、新たな原稿の読
取結果として生成され、処理されるスキャンデータを「新たなスキャンデータ」と称する
ことがある。
【0034】
ステップS100の後、ステップS101では、ステップS100において生成された
新たなスキャンデータからヒストグラムを生成する。ヒストグラムは度数分布であり、例
えばRGB毎に生成する。
図6はステップS101で生成されたヒストグラムの一例を示している。ヒストグラム
は階調毎の画素数の分布をグラフにより示しており、図6では、Rの分布を2点鎖線によ
り示し、Gの分布を1点鎖線により示し、Bの分布を実線により示している。
【0035】
ステップS102では、制御部11は、ステップS101で生成したヒストグラムを、
DB16aに記憶されている各ヒストグラムと比較する。
ステップS103では、制御部11は、前記比較の結果から、ステップS101で生成
したヒストグラムがDB16aに記憶されているヒストグラムのいずれかと一致するか否
かを判定する。ここで言う一致には、完全な一致だけでなく、一致度合いが所定度合い以
上である場合も含む。
【0036】
制御部11は、ステップS101で生成したヒストグラムを、DB16aに記憶されて
いる、あるヒストグラムと比較するとき、例えば、RGB毎に分布形状の一致度合いをパ
ーセントで算出し、RGB毎の一致度合いがいずれも一致度合いに関する所定のしきい値
以上であるとき、一致と判定する。また、制御部11は、ステップS101で生成したヒ
ストグラムを、DB16aに記憶されている各ヒストグラムと比較したとき、複数のヒス
トグラムと一致する場合は、その中でも最も一致度合いが高いヒストグラムと一致すると
判定する。
【0037】
制御部11は、ステップS101で生成したヒストグラムが、DB16aに記憶されて
いるヒストグラムのいずれかと一致する場合は、ステップS103の“Yes”の判定か
ら、ステップS110経てステップS121へ進む。一方、ステップS101で生成した
ヒストグラムが、DB16aに記憶されているヒストグラムのいずれとも一致しない場合
は、ステップS103の“Nо”の判定から、ステップS110経てステップS120へ
進む。つまり、ステップS103の判定にかかわらず、新たなスキャンデータについてス
テップS110を実行するが、ステップS103の判定により、ステップS120または
ステップS121を実行する。
【0038】
ステップS121は、「記憶下地色」をステップS110で決定した候補色と共に選択
肢として表示部13に特定の態様で表示する点で、ステップS120と異なる。記憶下地
色とは、テップS101で生成したヒストグラムと一致するとステップS103で判定し
たDB16aに記憶されているヒストグラムと、対応付けられてDB16aに記憶されて
いる下地色である。記憶下地色は、ステップS110で新たなスキャンデータを解析した
ときに抽出される、当該スキャンデータに含まれている色の1つでもある。ステップS1
21では、制御部11は、図3に示したようなUI画面20において、候補色とともに記
憶下地色にも特定の態様の表示として例えばチェックマーク21を施す。これにより、下
地色として記憶下地色を選択することをユーザーに推奨することができる。
【0039】
ステップS121またはステップS120を経て、制御部11はステップS130へ進
む。なお、制御部11は、ステップS140の後、DB16aへ記憶させようとするヒス
トグラムと下地色との組み合わせと全く同じヒストグラムと下地色との組み合わせが、既
にDB16aに記憶されているのであれば、ステップS141を実行する必要は無い。
【0040】
4.第3実施形態:
図7は、制御部11がプログラム12に従って実行する第3実施形態のコピー処理をフ
ローチャートにより示している。第3実施形態については、図5を参照して説明した第2
実施形態と異なる点を説明する。図7によれば、ステップS103で“Yes”と判定し
た場合の処理が、図5と異なる。
【0041】
制御部11は、ステップS103の“Yes”の判定からステップS142へ進む。ス
テップS142では、制御部11は、新たなスキャンデータについて、記憶下地色を対象
とした下地除去を実行する。記憶下地色については既に説明した。つまり、第3実施形態
では、新たなスキャンデータから生成したヒストグラムが、DB16aに記憶されている
ヒストグラムのいずれかとの一致度合いが所定度合い以上であれば、この一致度合いが所
定度合い以上であるヒストグラムと対応付けられて記憶されている下地色を、新たなスキ
ャンデータから除去する。制御部11は、このようなステップS142を経てステップS
150へ進む。
【0042】
5.まとめ:
このように本実施形態によれば、読取装置10は、原稿を読み取って読取結果としての
スキャンデータを生成する読取部17と、表示部13と、外部からの操作を受け付け可能
な操作受付部14と、制御部11と、を備える。制御部11は、スキャンデータにおける
各色の頻度に基づき、下地除去の色の候補である候補色を決定し、候補色を含む、スキャ
ンデータに含まれている複数の色を、選択肢として表示部13に表示し、操作受付部14
を通じて、表示部13が表示する複数の色の中から色の選択を受け付け、選択された色を
除去対象とした下地除去をスキャンデータに対して実行する。
【0043】
前記構成によれば、表示部13には、スキャンデータにおける各色の頻度に基づき決定
された候補色を含む、スキャンデータにおける複数の色が、選択肢として表示される。従
って、ユーザーにとっては、制御部11により自動的に推奨された候補色を含む、複数の
色の中から、下地除去の対象としたい色を選択することができ、簡単に適切な色の選択が
可能となる。
【0044】
また、本実施形態によれば、制御部11は、スキャンデータに対して下地除去を実行し
た場合、下地除去を実行する前のスキャンデータから生成したヒストグラムと、スキャン
データから除去した色の情報とを対応付けて、所定の記憶部16へ記憶させる。
そして、制御部11は、読取部17により新たな原稿の読取結果としての新たなスキャ
ンデータが生成された場合、新たなスキャンデータから生成したヒストグラムが、記憶部
16に記憶されているヒストグラムのいずれかとの一致度合いが所定度合い以上であれば
、新たなスキャンデータから生成したヒストグラムとの一致度合いが所定度合い以上であ
るヒストグラムと対応付けられている色を、新たなスキャンデータにおける各色の頻度に
基づき決定した候補色と共に、選択肢として表示部13に特定の態様で表示する。
【0045】
前記構成によれば、制御部11は、新たなスキャンデータのヒストグラムを、過去に下
地色が除去されたスキャンデータの下地除去前のヒストグラムと比較し、一致度合いが所
定度合い以上であるヒストグラムと対応付けられている下地色を、選択肢の一つとして表
示部13に特定の態様で表示する。これにより、下地色を選択しようとするユーザーを、
過去の下地除去の実績に基づいて支援、誘導することができる。これは特に、色使いが似
たような複数の原稿をコピーしようとするユーザーの手間を軽減することに繋がる。
【0046】
あるいは、制御部11は、読取部17により新たな原稿の読取結果としての新たなスキ
ャンデータが生成された場合、新たなスキャンデータから生成したヒストグラムが、記憶
部16に記憶されているヒストグラムのいずれかとの一致度合いが所定度合い以上であれ
ば、新たなスキャンデータから生成したヒストグラムとの一致度合いが所定度合い以上で
あるヒストグラムと対応付けられている色を除去対象として、新たなスキャンデータに対
して下地除去を実行し、記憶部16に記憶されているヒストグラムのいずれも、新たなス
キャンデータから生成したヒストグラムとの一致度合いが所定度合い以上でない場合、新
たなスキャンデータにおける各色の頻度に基づき決定した候補色を、選択肢として表示部
13に表示する、としてもよい。
前記構成によれば、制御部11は、新たなスキャンデータのヒストグラムを、過去に下
地色が除去されたスキャンデータの下地除去前のヒストグラムと比較し、一致度合いが所
定度合い以上であるヒストグラムと対応付けられている下地色を、新たなスキャンデータ
から除去する。これにより、過去の下地除去の実績をそのまま利用して、下地色を選択し
ようとするユーザーの手間を省くことができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、制御部11は、候補色のスキャンデータにおける頻度を候
補色と共に表示部13に表示するとしてもよい。
前記構成によれば、UI画面20に、候補色の頻度すなわち占有率を併せて表示するこ
とで、下地色を選択するユーザーに対して有益な情報を提供することができる。UI画面
20には、上述したようなカラーパッチ、占有率、RGB階調値の他にも、例えば、スキ
ャンデータに含まれている色毎の名称や通称を表示することで、ユーザーに下地色を選び
易い環境を提示するとしてもよい。
【0048】
また、本実施形態によれば、読取装置10は、下地除去が行われたスキャンデータに基
づいて印刷を行う印刷部18を備える。
前記構成によれば、ユーザーは、原稿のコピー結果であって、選択した下地色が除去さ
れて所望の状態となったコピー結果を得ることができる。
【0049】
第2実施形態や第3実施形態のように、スキャンデータに対して下地除去を実行した場
合(ステップS140)、下地除去を実行する前のスキャンデータから生成したヒストグ
ラムと、スキャンデータから除去した色の情報とを、記憶部16に記憶させること(ステ
ップS141)に関して、追加の説明をする。
【0050】
ユーザーは、読取装置10へ原稿のコピーを指示して上述のフローチャートを開始させ
る際に、ステップS150でスキャンデータをCMYK等の複数色で印刷する「カラーコ
ピー」を指示したり、ステップS150でスキャンデータをKの濃淡で印刷する「モノク
ロコピー」を指示したりすることができる。カラー原稿を、カラーコピーする場合とモノ
クロコピーする場合とでは、コピー結果の見え方が大きく異なるため、ユーザーとしては
、下地色として除去したい色や除去せずに残したい色が異なる場合がある。つまり、原稿
が同じであっても、カラーコピーをするときと、モノクロコピーをするときでは、UI画
面20を通じて下地色を選択する結果が違うことがある。
【0051】
このような事情を鑑みて、制御部11は、ステップS141では、操作受付部14を通
じて受けたカラーコピーの指示またはモノクロコピーの指示に対応付けて、記憶部16へ
の記憶を行う。つまり、制御部11は、操作受付部14を通じて、原稿のカラーコピーの
指示またはモノクロコピーの指示を受けた上で、ステップS100において読取部17に
原稿の読取を実行させるが、カラーコピーの指示を受けている場合は、ステップS141
では、ヒストグラムと下地色との情報をカラーコピーの指示に対応付けて記憶部16のD
B16aに記憶させる。一方、モノクロコピーの指示を受けている場合は、ステップS1
41では、ヒストグラムと下地色との情報をモノクロコピーの指示に対応付けて記憶部1
6のDB16aに記憶させる。
【0052】
また、制御部11は、ステップS102では、ステップS101で生成したヒストグラ
ムの比較対象を、そのとき受けているカラーコピーの指示またはモノクロコピーの指示に
応じて、カラーコピーの指示またはモノクロコピーの指示のいずれか一方に対応付けて記
憶されているヒストグラムに限定する。そして、比較の範囲内でステップS103の判定
をする。つまり、制御部11は、新たなスキャンデータがカラーコピーの指示を受けて生
成されたものであれば、新たなスキャンデータから生成したヒストグラムを、記憶部16
に記憶されているヒストグラムのうちカラーコピーの指示と対応付けて記憶されているヒ
ストグラムと比較する(ステップS102)。一方、新たなスキャンデータがモノクロコ
ピーの指示を受けて生成されたものであれば、新たなスキャンデータから生成したヒスト
グラムを、記憶部16に記憶されているヒストグラムのうちモノクロコピーの指示と対応
付けて記憶されているヒストグラムと比較する(ステップS102)。
【0053】
このような構成によれば、制御部11は、ユーザーからの指示に従って原稿のカラーコ
ピーを実行する場合には、新たなスキャンデータのヒストグラムを、カラーコピーのため
に過去に下地色が除去されたスキャンデータの下地除去前のヒストグラムと比較してステ
ップS103の判定をすることができる。また、ユーザーからの指示に従って原稿のモノ
クロコピーを実行する場合には、新たなスキャンデータのヒストグラムを、モノクロコピ
ーのために過去に下地色が除去されたスキャンデータの下地除去前のヒストグラムと比較
してステップS103の判定をすることができる。これにより、カラーコピー前の下地除
去、モノクロコピー前の下地除去それぞれにおいて、過去の下地除去の実績を利用してユ
ーザーによる下地色の選択を支援したり、ユーザーの操作負担を軽減したりすることがで
きる。
【0054】
なお、特許請求の範囲においては、請求項同士の組み合わせの一部のみを記載している
が、本実施形態は、独立請求項と従属請求項との一対一の組み合わせだけでなく、当然に
、複数の従属請求項の各種組み合わせを開示範囲に含める。
本実施形態は、読取装置10以外にも、方法や、当該方法をプロセッサーと協働して実
現するためのプログラム12を開示する。
つまり、原稿を読み取って読取結果としてのスキャンデータを生成する読取装置10の
制御方法は、スキャンデータにおける各色の頻度に基づき、下地除去の色の候補である候
補色を決定する候補色決定工程と、候補色を含む、スキャンデータに含まれている複数の
色を、選択肢として表示部13に表示する表示工程と、表示部13が表示する複数の色の
中から色の選択を受け付ける選択受付工程と、選択された色を除去対象とした下地除去を
スキャンデータに対して実行する下地除去工程と、を備える。
【符号の説明】
【0055】
10…読取装置、11…制御部、12…プログラム、13…表示部、14…操作受付部、
15…通信IF、16…記憶部、16a…DB、17…読取部、18…印刷部、20…U
I画面、21…チェックマーク
図1
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図3
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図5
図6
図7