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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130815
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20240920BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240920BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G03F7/004 502
G03F7/004 512
G03F7/004 505
H05K1/03 610L
H05K3/28 F
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040724
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】磯野 仁希
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆英
(72)【発明者】
【氏名】藤田 夏鈴
【テーマコード(参考)】
2H225
5E314
【Fターム(参考)】
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC53
2H225AD06
2H225AD07
2H225AE15P
2H225AN38P
2H225AN51P
2H225AN56P
2H225AN61P
2H225AN65P
2H225AN79P
2H225AP10P
2H225BA09P
2H225BA38P
2H225CA13
2H225CB04
2H225CC01
2H225CC13
5E314AA27
5E314AA32
5E314AA41
5E314AA45
5E314BB06
5E314BB11
5E314BB12
5E314CC15
5E314EE03
5E314FF06
5E314GG08
(57)【要約】
【課題】直描露光による露光方法でも感度を損なうことなく、リフロー処理時の高温雰囲気下でも硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)着色剤と、(F)潜在性酸化防止剤と、を含有する感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)着色剤と、(F)潜在性酸化防止剤と、を含有する感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(F)潜在性酸化防止剤が、炭酸エステル結合を有する芳香族化合物である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(F)潜在性酸化防止剤が、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-(式中、R、R、Rは、それぞれ、独立して、炭素数1~5個の炭化水素基、Arは、炭素数6個の芳香族炭化水素基を表す)の化学構造を有する芳香族化合物である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(F)潜在性酸化防止剤が、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-(式中、R、R、Rは、それぞれ、独立して、炭素数1~5個の炭化水素基、Arは、炭素数6個の芳香族炭化水素基を表す)の化学構造を、1分子中に複数有する芳香族化合物である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記R、R、Rは、C(CHで表される炭素数4個の炭化水素基である請求項3または4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(E)着色剤が、白色着色剤である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記白色着色剤が、酸化チタンである請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(A)感光性樹脂100質量部に対して、前記(F)潜在性酸化防止剤を1.0質量部以上25質量部以下含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物。
【請求項10】
請求項9に記載の硬化物を備えたフレキシブルプリント配線板。
【請求項11】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を有するドライフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆材料、例えば、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の基板に形成された導体回路パターンを被覆するための絶縁被覆材料に用いることができる感光性樹脂組成物、及び該感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物、該硬化物が被覆されたプリント配線板等の基板、該感光性樹脂組成物をフィルムに塗布した塗膜を有するドライフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の基板には導体(例えば、銅箔)の導体回路パターンが形成されており、該回路パターンのはんだ付けランドに電子部品をはんだ付けにより搭載し、そのはんだ付けランドを除く回路部分は、保護膜としての絶縁被膜(例えば、ソルダーレジスト膜)で被覆される。回路部分の絶縁保護膜として、感光性樹脂と光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物の光硬化膜が使用されることがある。
【0003】
また、基板上に前記絶縁保護膜を形成する方法として、ドライフィルムを使用することがある。ドライフィルムは、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂製支持フィルムに感光性樹脂組成物をダイコーター等の塗工方法にて塗膜を形成し、該塗膜を乾燥処理することで、支持フィルム上に絶縁膜(例えば、ソルダーレジスト膜)を形成後、形成した絶縁膜上にカバーフィルムを積層することで製造することができる。上記ドライフィルムのカバーフィルムを剥がしながら絶縁膜と基板を貼り合わせることで、基板上に絶縁膜(例えば、ソルダーレジスト層)を形成する。その後、支持フィルム上から露光して該ソルダーレジスト層を光硬化処理し、さらに熱硬化処理をすることで、基板上に絶縁保護膜を形成することができる。
【0004】
プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等にソルダ-レジスト膜等の絶縁保護膜を形成するにあたり、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の塗膜上に、フォトマスクを設けずに、直接画像を描く直描露光装置を用いて露光する方法にて、露光工程を行うことがある。また、プリント配線板等の用途によっては、ソルダ-レジスト膜等の絶縁保護膜を白色として絶縁保護膜の反射率を向上させることがある。白色の感光性樹脂組成物には、光重合開始剤として、耐変色性を有するアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が使用されることがある(特許文献1)。
【0005】
絶縁保護膜を有する基板の回路パターンのはんだ付けランドには、はんだ付けにより電子部品が搭載される。はんだ付けランドに電子部品を実装する方法として、例えば、リフロー処理が挙げられる。しかし、リフロー処理時の高温雰囲気下(例えば、150℃~260℃の雰囲気下)では、特許文献1等の従来の絶縁保護膜では、熱によって硬化収縮してしまうことがあり、結果、絶縁保護膜を有する基板に反りが発生してしまうことがあるという問題があった。
【0006】
絶縁保護膜を有する基板に反りが発生してしまうと、基板のハンドリング性が低下し、また、スマートフォン等の機器本体への組み込み性が低下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-232402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、直描露光による露光方法でも感度を損なうことなく、リフロー処理時の高温雰囲気下でも硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1](A)感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)着色剤と、(F)潜在性酸化防止剤と、を含有する感光性樹脂組成物。
[2]前記(F)潜在性酸化防止剤が、炭酸エステル結合を有する芳香族化合物である[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]前記(F)潜在性酸化防止剤が、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-(式中、R、R、Rは、それぞれ、独立して、炭素数1~5個の炭化水素基、Arは、炭素数6個の芳香族炭化水素基を表す)の化学構造を有する芳香族化合物である[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]前記(F)潜在性酸化防止剤が、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-(式中、R、R、Rは、それぞれ、独立して、炭素数1~5個の炭化水素基、Arは、炭素数6個の芳香族炭化水素基を表す)の化学構造を、1分子中に複数有する芳香族化合物である[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[5]前記R、R、Rは、C(CHで表される炭素数4個の炭化水素基である[3]または[4]に記載の感光性樹脂組成物。
[6]前記(E)着色剤が、白色着色剤である[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[7]前記白色着色剤が、酸化チタンである[6]に記載の感光性樹脂組成物。
[8]前記(A)感光性樹脂100質量部に対して、前記(F)潜在性酸化防止剤を1.0質量部以上25質量部以下含有する[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[9][1]乃至[4]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物の硬化物。
[10][9]に記載の硬化物を備えたフレキシブルプリント配線板。
[11][1]乃至[4]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を有するドライフィルム。
【0010】
上記態様における「潜在性酸化防止剤」とは、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であり、100℃~150℃で加熱する、または酸/塩基触媒存在下で80~150℃で加熱することによって、前記保護基が脱離し、前記保護基が脱離することにより酸化防止剤として機能する化合物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(F)潜在性酸化防止剤を含有することにより、直描露光による露光方法でも感度を損なうことなく、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、絶縁保護膜を形成している感光性樹脂組成物の酸化が防止されて、硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる。
【0012】
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、前記(F)潜在性酸化防止剤が、炭酸エステル結合を有する芳香族化合物であることにより、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、絶縁保護膜を形成している感光性樹脂組成物の酸化がより確実に防止されて、より確実に硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる。
【0013】
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、前記(F)潜在性酸化防止剤が、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-(式中、R、R、Rは、それぞれ、独立して、炭素数1~5個の炭化水素基、Arは、炭素数6個の芳香族炭化水素基を表す)の化学構造を有する芳香族化合物であることにより、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、絶縁保護膜を形成している感光性樹脂組成物の酸化がさらに確実に防止されて、さらに確実に硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる。
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、前記(F)潜在性酸化防止剤が、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-(式中、R、R、Rは、それぞれ、独立して、炭素数1~5個の炭化水素基、Arは、炭素数6個の芳香族炭化水素基を表す)の化学構造を、1分子中に複数有する芳香族化合物であることにより、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、絶縁保護膜を形成している感光性樹脂組成物の耐酸化性がさらに向上して、さらに確実に硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる。
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、前記(A)感光性樹脂100質量部に対して、前記(F)潜在性酸化防止剤を1.0質量部以上25質量部以下含有することにより、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、絶縁保護膜を形成している感光性樹脂組成物の酸化がより確実に防止されて、より確実に硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の感光性樹脂組成物について、詳細に説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)着色剤と、(F)潜在性酸化防止剤と、を含有する。上記した(A)成分~(F)成分の詳細について、以下に説明する。
【0017】
(A)感光性樹脂
(A)成分である感光性樹脂の化学構造は、特に限定されず、例えば、1分子中に、感光性の不飽和二重結合を1個以上、好ましくは2個以上有する樹脂が挙げられる。感光性樹脂として、例えば、(A-1)アクリル酸やメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸のエステルと1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を有する化合物との共重合体のエポキシ基の少なくとも一部に(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させた感光性樹脂(A-1樹脂)、(A-2)(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基にエポキシまたはアルコールを反応させた感光性樹脂(A-2樹脂)、(A-3)(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の重合体のカルボキシル基の少なくとも一部または(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸と(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸のエステルとを反応させて得られる共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を有する化合物を反応させた感光性樹脂(A-3樹脂)、(A-4)1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部にラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得て、生成した水酸基にポリイソシアネート化合物を付加反応させ、さらに付加反応したポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、水酸基とカルボキシル基を有する化合物を付加反応させて得られる部位を有する酸変性ウレタン化不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂(A-4樹脂(ウレタン変性樹脂))を挙げることができる。
【0018】
A-1樹脂
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸のエステルを構成するラジカル重合性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、桂皮酸などを挙げることができる。このうち、入手と取り扱いが容易である点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸のエステルを構成するアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の炭素数1~10個の脂肪族モノアルコールが挙げられる。これらのアルコールは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシジル化合物を挙げることができる。グリシジル化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリメタクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、グリシジル基は、1分子中に1つでもよく、複数有していてもよい。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
上記共重合体のエポキシ基の少なくとも一部に反応させるラジカル重合性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸のエステルを構成するラジカル重合性不飽和モノカルボン酸と同じ化合物である、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、桂皮酸等を挙げることができる。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
A-2樹脂
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、上記と同様の化合物、すなわち、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、桂皮酸等を挙げることができる。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸に反応させるエポキシとしては、例えば、脂環骨格または芳香環骨格とエポキシ基とを有する化合物またはエポキシ基を有する樹脂が挙げられる。エポキシ当量は、特に限定されず、例えば、100~1000が好ましく、100~500が特に好ましい。脂肪族環式化合物には、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン等が挙げられる。脂環骨格エポキシとしては、例えば、3,4‐エポキシシクロヘキセニルメチル‐3´,4´‐エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ヴィニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2‐エポキシ‐4‐ビニルシクロヘキサン、2,2‐ビス(ヒドロキシメチル)‐1‐ブタノールの1,2‐エポキシ‐4‐(2‐オキシラニル)シクロヘキサン付加物などが挙げられる。また、エポキシ基を有する樹脂(エポキシ樹脂)は、特に限定されず、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルト-クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂に、さらにBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものを使用してもよい。これらのエポキシは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸に反応させるアルコールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,18-オクタデカンジオールなどのC2-C22アルカンジオールや、2-ブテン-1,4-ジオール、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオールなどのアルケンジオール等の脂肪族ジオール;1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;グリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ペンタン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-3-ブタノール等の脂肪族トリオール;テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール等の水酸基を4つ以上有するポリオールなどが挙げられる。これらのアルコールは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0024】
A-3樹脂
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の重合体を構成するモノマーとしては、例えば、上記と同様の化合物、すなわち、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、桂皮酸などを挙げることができる。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記共重合体を構成するラジカル重合性不飽和モノカルボン酸のエステルとしては、A-1樹脂の合成に使用するエステルを挙げることができる。ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の重合体のカルボキシル基の少なくとも一部または(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸と(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸のエステルとを反応させて得られる共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部に反応させる1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を有する化合物としては、グリシジル化合物を挙げることができる。グリシジル化合物としては、例えば、上記と同様の化合物、すなわち、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリメタクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、グリシジル基は、1分子中に1つでもよく、複数有していてもよい。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
A-4樹脂
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、上記と同様の化合物、すなわち、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルト-クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂に、さらにBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものを使用してもよい。これらの多官能エポキシ樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
多官能エポキシ樹脂のエポキシ基に反応させるラジカル重合性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、上記と同様の化合物、すなわち、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、桂皮酸などを挙げることができる。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0027】
ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネアート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、トリメチルヘキサメチルジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘキサメチルアミンジイソシアネート、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート、1,3-ジフェニルプロパンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメチルジイソシアネートなどのジイソシアネートが挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
水酸基とカルボキシル基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘプタン酸等のジメチロールアルカン酸といったジアルカノールアルカン酸を挙げることができる。これらの水酸基とカルボキシル基を有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
また、感光性樹脂としては、上記A-1樹脂~A-4樹脂の他に、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させてラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得て、生成した水酸基に多塩基酸またはその無水物を反応させて遊離のカルボキシル基を導入した多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂(A-5樹脂)を挙げることができる。A-5樹脂を構成する、多官能エポキシ樹脂、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸としては、それぞれ、上記した各種化合物を挙げることができる。
【0030】
多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、フタル酸誘導体(例えば、テトラヒドロフタル酸、3-メチルテトラヒドロフタル酸、4-メチルテトラヒドロフタル酸、3-エチルテトラヒドロフタル酸、4-エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3-メチルヘキサヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸、3-エチルヘキサヒドロフタル酸、4-エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸)、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられる。また、多塩基酸無水物としては、上記した多塩基酸の無水物が挙げられる。これらの多塩基酸またはその無水物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記したA-1樹脂~A-5樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
感光性樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、その下限値は、感光性樹脂組成物の硬化物の強靭性及び指触乾燥性の点から、3000が好ましく、5000が特に好ましい。一方で、質量平均分子量の上限値は、感光性樹脂組成物の粘度の増大を防止して優れた塗工性を得る点から、200000が好ましく、50000が特に好ましい。
【0033】
感光性樹脂の二重結合当量は、特に限定されないが、その下限値は、感光性樹脂組成物の硬化物に優れた屈曲性を付与する点から1000g/eqが好ましく、1300g/eqが特に好ましい。一方で、感光性樹脂の二重結合当量の上限値は、感光性樹脂組成物の硬化物に強度を付与する点から3000g/eqが好ましく、2000g/eqが特に好ましい。
【0034】
(B)光重合開始剤
光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が挙げられる。
【0035】
オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光重合開始剤が挙げられる。ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、下記一般式(1)
【化1】
(式中、Rは、Hまたは炭素数1~10の炭化水素基、Rは、Hまたは炭素数1~10の炭化水素基、Rは、O-C2n-OH)であり、nは1~10の整数を意味する。)で表される化合物が挙げられる。このうち、Rは、Hまたは炭素数1~5の鎖状炭化水素基が好ましく、Hまたは炭素数1~3の鎖状炭化水素基がさらに好ましく、Hが特に好ましい。また、Rは、Hまたは炭素数1~5の鎖状炭化水素基が好ましく、Hまたは炭素数1~3の鎖状炭化水素基がさらに好ましく、Hが特に好ましい。また、nは1~5の整数が好ましく、nは2~4の整数がより好ましく、2が特に好ましい。
【0036】
ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光重合開始剤の具体例としては、下記式(1-1)
【化2】
で表される化合物が挙げられる。
【0037】
また、ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光重合開始剤以外のオキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(0-アセチルオキシム)、2-(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン-9-オン、1,8-オクタンジオン,1,8-ビス[9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル]-,1,8-ビス(O-アセチルオキシム)、1,8-オクタンジオン,1,8-ビス[9-(2-エチルヘキシル)-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル]-,1,8-ビス(O-アセチルオキシム)、(Z) -(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)(4-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ) -2-メチルフェニル)メタノン O-アセチルオキシム等を挙げることができる。
【0038】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0039】
オキシムエステル系光重合開始剤及びアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤以外の光重合開始剤(他の光重合開始剤)としては、例えば、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等を挙げることができる。
【0040】
これらの光重合開始剤のうち、感光性樹脂組成物の耐変色性を向上させる点から、ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光重合開始剤とアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を併用することが好ましい。
【0041】
光重合開始剤の配合量は、特に限定されないが、その下限値は、感度及び解像性を確実に向上させる点から、感光性樹脂100質量部(固形分、以下同じ)に対して、1.0質量部が好ましく、5.0質量部がより好ましく、10質量部が特に好ましい。一方で、光重合開始剤の配合量の上限値は、感光性樹脂組成物の硬化物の反りを確実に低減する点から、感光性樹脂100質量部に対して、50質量部が好ましく、40質量部が特に好ましい。
【0042】
(C)反応性希釈剤
反応性希釈剤は、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つ、好ましくは1分子当たり2つ以上の重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の光硬化を補強することで、十分な強度を有する硬化膜を形成するのに寄与する。
【0043】
反応性希釈剤としては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート化合物、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピル(メタ)アクリルレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート化合物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。また、(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、単官能または2官能以上のエポキシ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレート化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
反応性希釈剤の配合量は、特に限定されないが、感光性樹脂100質量部に対して、50質量部以上250質量部以下が好ましく、100質量部以上200質量部以下が特に好ましい。
【0045】
(D)エポキシ化合物
エポキシ化合物は、感光性樹脂組成物の硬化物の架橋密度を上げて十分な強度の硬化膜を形成するのに寄与する。エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルト-クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、ダイマー酸グリシジルエステル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらのエポキシ化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
エポキシ化合物の配合量は、特に限定されないが、感光性樹脂100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下が好ましく、30質量部以上80質量部以下が特に好ましい。
【0047】
(E)着色剤
着色剤を配合することで、感光性樹脂組成物の硬化膜に所望の色彩を付与することができる。着色剤としては、顔料、色素等、特に限定されず、また、白色着色剤、青色着色剤、緑色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤、黒色着色剤、赤色着色剤、橙色着色剤等、所望の色彩に応じて、いずれの着色剤も使用可能である。上記着色剤として、白色着色剤を配合することで、白色の硬化膜を形成して硬化膜の反射率を向上させることができる。白色着色剤としては、酸化チタンを挙げることができる。酸化チタンとしては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタンを挙げることができる。このうち、反射率の点から、ルチル型酸化チタンが好ましい。
【0048】
着色剤の配合量は、特に限定されない。白色着色剤の場合、その配合量は、特に限定されないが、反射率と硬化膜の柔軟性を向上させる点から、感光性樹脂100質量部に対して、100質量部以上800質量部以下が好ましく、300質量部以上500質量部以下が特に好ましい。
【0049】
(F)潜在性酸化防止剤
潜在性酸化防止剤を配合することで、直描露光による露光方法でも感度を損なうことなく、リフロー処理時の高温雰囲気下(例えば、150℃~260℃の雰囲気下)に曝されても、また、リフロー処理の高温雰囲気を経ても、絶縁保護膜を形成する感光性樹脂組成物の酸化が防止されて、熱による硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる。従って、潜在性酸化防止剤を配合することで、本発明の感光性樹脂組成物から形成された絶縁保護膜を有する基板に反りが発生することを防止して、基板のハンドリング性の低下を防止し、また、スマートフォン等の機器本体への基板の組み込み性の低下を防止できる。
【0050】
潜在性酸化防止剤としては、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、また、リフロー処理の高温雰囲気を経ても、絶縁保護膜を形成する感光性樹脂組成物の酸化がより確実に防止されて、より確実に硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる点から、炭酸エステル結合を有する芳香族化合物が好ましい。
【0051】
炭酸エステル結合を有する芳香族化合物としては、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、また、リフロー処理の高温雰囲気を経ても、絶縁保護膜を形成する感光性樹脂組成物の酸化がさらに確実に防止されて、さらに確実に硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる点から、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-(式中、R、R、Rは、それぞれ、独立して、炭素数1~5個の炭化水素基、Arは、炭素数6個の芳香族炭化水素基を表す)の化学構造を有する芳香族化合物がより好ましく、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、絶縁保護膜を形成する感光性樹脂組成物の耐酸化性がさらに向上して、さらに確実に硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる点から、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-(式中、R、R、Rは、それぞれ、独立して、炭素数1~5個の炭化水素基、Arは、炭素数6個の芳香族炭化水素基を表す)の化学構造を、1分子中に複数有する芳香族化合物が特に好ましい。R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-の化学構造を1分子中に複数有する芳香族化合物としては、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-の化学構造を1分子中に2~5個有する芳香族化合物が好ましく、1分子中に3~4個有する芳香族化合物が特に好ましい。
【0052】
リフロー処理時の高温雰囲気下では、R-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-の化学構造のうち、-O-C(=O)-O-の部位にて分解して保護基が離脱し、HO-Ar(R)(R)-の化学構造が生じて、酸化防止剤として機能する化合物が形成される。
【0053】
、R、Rは、それぞれ、独立して、炭素数1~5個の炭化水素基であれば、特に限定されないが、R、R、Rは、例えば、いずれも、C(CHで表される炭素数4個の炭化水素基が挙げられる。
【0054】
-O-C(=O)-O-Ar(R)(R)-の化学構造を1分子中に複数有する芳香族化合物としては、例えば、下記の式(2)化合物、式(3)化合物が挙げられるが、下記の式(2)化合物、式(3)化合物は例示であり、炭酸エステル結合を有する芳香族化合物が、これらの化合物に限定されるものではない。
【化3】
【化4】
【0055】
潜在性酸化防止剤の配合量は、特に限定されないが、その下限値は、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、また、リフロー処理の高温雰囲気を経ても、絶縁保護膜を形成する感光性樹脂組成物の酸化がより確実に防止されて、より確実に硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができる点から、感光性樹脂100質量部に対して、1.0質量部が好ましく、2.0質量部がより好ましく、4.0質量部が特に好ましい。一方で、潜在性酸化防止剤の配合量の上限値は、優れた感光性を確実に得る点から、25質量部が好ましく、20質量部が特に好ましい。
【0056】
本発明の感光性樹脂組成物には、上記した(A)成分~(F)成分に加えて、必要に応じて、種々の添加成分、例えば、硬化触媒、難燃剤、エラストマー、非反応性希釈剤、消泡剤などを、含有させることができる。
【0057】
硬化触媒としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、三フッ化ホウ素-アミンコンプレックス、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、アミンイミド、ポリアミン等が挙げられる。
【0058】
フレキシブルプリント配線板、プリント配線板等には、高発熱量の電子部品や光源が実装されることがあり、感光性樹脂組成物に難燃剤を配合することで、感光性樹脂組成物の硬化膜に難燃性を付与することができる。難燃剤としては、例えば、有機リン酸塩等のリン系の難燃剤を挙げることができる。リン系の難燃剤としては、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3-ジブロモプロピル-2,3-クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェートなどのノンハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t-ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどのノンハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどのホスフィン酸の金属塩、ジフェニルビニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリアルキルホスフィンオキサイド、トリス(ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
【0059】
感光性樹脂組成物にエラストマーを配合することで、感光性樹脂組成物の硬化膜に柔軟性、反り防止性、耐変色性及び高反射率を付与することに寄与する。エラストマーとしては、例えば、シリコーン系エラストマーを挙げることができる。また、消泡剤としては、シリコーン系ポリマー、炭化水素系ポリマー、アクリル系ポリマーを挙げることができる。
【0060】
非反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の粘度、乾燥性、塗工性等を調節するためのものである。非反応性希釈剤としては、例えば、有機溶剤を挙げることができる。有機溶剤には、例えば、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート等のエステル類等を挙げることができる。これらの非反応性希釈剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されず、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、室温(例えば、25℃)にて、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ニーダー等の混練手段、またはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の攪拌手段により、混練または混合することで製造することができる。また、前記混練または混合の前に、必要に応じて、予備混練または予備混合を実施してもよい。
【0062】
次に、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法例について説明する。先ず、基板上に銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有するフレキシブルプリント配線板に、本発明の感光性樹脂組成物を塗工したドライフィルムを用いて、ソルダーレジスト膜を形成する方法を例にとって説明する。
【0063】
ドライフィルムは、支持フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエステルフィルム等の熱可塑性樹脂フィルム)と、該支持フィルムに塗工されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層を保護するカバーフィルム(例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム)と、を有する積層構造となっている。支持フィルム上に本発明の感光性樹脂組成物を、ダイコーター法等の公知の方法で塗工して所定の膜厚を有する感光性樹脂組成物の塗膜を形成する。形成した感光性樹脂組成物の塗膜を、必要に応じて、感光性樹脂組成物中の非反応性希釈剤を揮散させるために、70~120℃程度の温度で10~60分間程度加熱する予備乾燥を行う。予備乾燥処理にて、感光性樹脂組成物から非反応性希釈剤を揮発させて塗膜の表面をタックフリーの状態にすることで、支持フィルム上にソルダーレジスト層を形成する。その後、得られたソルダーレジスト層上にカバーフィルムを積層することで、本発明の感光性樹脂組成物を有するドライフィルムを作製できる。
【0064】
作製したドライフィルムについて、カバーフィルムを剥がしながらソルダーレジスト層とフレキシブルプリント配線板を貼り合わせるラミネートを行うことで、フレキシブルプリント配線板上にソルダーレジスト層を形成する。なお、ソルダーレジスト層上には支持フィルムが積層されたままとなっている。その後、支持フィルム上に、回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルムを載置し、ネガフィルムの上から紫外線(例えば、波長300~400nmの範囲)を照射させてソルダーレジスト層を光硬化させる。その後、支持フィルムを剥がして、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することによりソルダーレジスト層が現像される。現像方法には、スプレー法、シャワー法等が用いられる。使用される希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5~5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。アルカリ現像後、130~170℃の熱風循環式の乾燥機等で、20~80分間、ソルダーレジスト層の熱硬化処理(ポストキュア)を行うことにより、フレキシブルプリント配線板上に、ソルダーレジスト膜を形成させることができる。
【0065】
次に、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法例として、本発明の感光性樹脂組成物を、基板上に銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有するフレキシブルプリント配線板上に、ソルダーレジスト膜として塗工する場合を説明する。
【0066】
本発明の感光性樹脂組成物を、フレキシブルプリント配線板上に、スクリーン印刷、スプレーコータ、バーコータ、アプリケータ、ブレードコータ、ナイフコータ、ロールコータ、グラビアコータ等、公知の塗工方法を用いて所望の厚さに塗布する。塗布後、感光性樹脂組成物に非反応性希釈剤を配合した場合には、感光性樹脂組成物中の溶剤を揮散させるために、70~120℃程度の温度で10~60分間程度加熱する予備乾燥を行ってタックフリーの塗膜を形成する。次に、感光性樹脂組成物上に、直描装置にて、直接、活性エネルギー線(例えば、紫外線)を所望のパターンに応じて照射して、該パターン状に塗膜を光硬化させる。次に、希アルカリ水溶液で非露光領域を除去することにより塗膜を現像する。上記現像方法には、例えば、スプレー法、シャワー法等が用いられる。希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5~5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。次に、130~170℃の熱風循環式の乾燥機等で、20~80分間、熱硬化処理(ポストキュア)を行うことにより、現像した塗膜を熱硬化させて、目的とするパターンを有する感光性樹脂組成物の硬化物をフレキシブルプリント配線板上に形成させることができる。
【実施例0067】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
【0068】
実施例1~3、比較例1~2
下記表1に示す各成分を下記表1に示す配合割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1~3、比較例1~2にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。下記表1に示す各成分の配合量は、特に断りのない限り、質量部を意味する。
【0069】
なお、表1中の各成分についての詳細は、以下の通りである。
【0070】
(A)感光性樹脂
・FLX-2089:ウレタン変性樹脂(A-4樹脂)、日本化薬株式会社(固形分65質量%)
・合成樹脂
アクリル共重合樹脂は、下記のように合成した(表1中、「合成樹脂A」)。
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、窒素または空気導入管を備えた3リットルセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(三洋化成品株式会社、アーコソルブPM)1500gを仕込み、105℃に昇温後、グリシジルメタクリレート(日油株式会社、ブレンマーGH)142g、n-ブチルメタクリレート1279g、プロピレングリコールモノメチルエーテル360g及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(和光純薬株式会社、V-601)15.0gを混合した溶液を3時間かけて滴下した。滴下後、3時間、窒素雰囲気下で反応を続けて熟成させた。次に、空気雰囲気下でアクリル酸690g、トリフェニルホスフィン3g、メトキシフェノール3gを混合した溶液を加えて110℃で10時間反応させた。これにより、酸価1.2mgKOH/g、二重結合当量1500g/eq、重量平均分子量22000の合成樹脂Aの溶液(固形分65質量%)を得た。合成樹脂AはA-1樹脂に対応する。
【0071】
(B)光重合開始剤
・SPEEDCURE TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、LAMBSON社
・式(1-1)に示す化学構造を有するジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光重合開始剤
【0072】
(C)反応性希釈剤
・EBECRYL3708:ダイセル・オルネクス株式会社
【0073】
(D)エポキシ化合物
・EPICRON860:DIC株式会社
・エピコート1003:三菱ケミカル株式会社
【0074】
(E)着色剤
・CR-80:白色着色剤、石原産業株式会社
【0075】
(F)潜在性酸化防止剤
・アデカアークルズGPA-5001:炭酸エステル結合を有する芳香族化合物、株式会社ADEKA
【0076】
硬化触媒
・DICY-7:三菱ケミカル株式会社
・メラミン:日産化学工業株式会社
難燃剤
・エクソリット OP-935:クラリアントジャパン社
エラストマー
・EP-2601:東レ・ダウコーニング株式会社
非反応性希釈剤
・EDGAC:三洋化成品株式会社
消泡剤
・AC-2000HF:共栄社化学株式会社
【0077】
試験体作製工程
基板:ポリイミドフィルム(フィルム厚さ25μm、銅箔厚12μm、新日鉄住金化学株式会社「ESPANEX」)
表面処理:5質量%硫酸処理
印刷法:スクリーン印刷
DRY膜厚:20μm
予備乾燥:80℃、20分
露光:感光性樹脂組成物上300mJ/cm(直描露光装置「Nuvogo1000R」(光源:レーザー、メイン波長375nm、405nm)、オルボテック社製)
アルカリ現像:1質量%のNa2CO3水溶液、液温30℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間60秒
本硬化の加熱処理(ポストキュア):150℃、60分
【0078】
評価項目
(1)感度(直描露光(LDI露光)感度)
上記試験体作製工程の予備乾燥工程まで行った基板に対し、感度測定用ステップタブレット(コダック社製、Stouffer21段)を塗膜上に設置し、このステップタブレットを通して、直描露光装置「Nuvogo1000R」を用い、375nm、405nmの波長の紫外線を300mJ/cm照射したものをテストピ-スとした。このテストピースに、上記試験体作製工程と同様にして現像を行った。露光部分のうち、現像後に除去されない部分を数字(ステップ数)で表した。ステップ数が大きいほど感度が良好であることを示す。
【0079】
(2)反り防止性
上記試験体作製工程にて作製した試験体を3cm×3cmに切り出した後、切り出した試験片を、水平な台上に上が凹になるよう静かに置き、外力を加えないようにして、試験片の4か所の角部と台との間の垂直な隔たりを直尺で測定し、その最大値を採用し、以下の4段階で評価し、△評価以上を合格とした。
◎:1mm未満、
○:1mm以上3mm未満、
△:3mm以上5mm未満、
×:5mm以上
【0080】
評価結果を、下記表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
上記表1から、潜在性酸化防止剤を配合した実施例1~3では、直描露光(LDI露光)感度を損なうことなく、150℃、60分の加熱処理を経ても、基板は反り防止性を得ることができた。従って、実施例1~3では、リフロー処理時の高温雰囲気下でも、絶縁保護膜を形成している感光性樹脂組成物の酸化が防止されて、硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができることが判明した。
【0083】
一方で、上記表1から、潜在性酸化防止剤を配合していない比較例1、2では、150℃、60分の加熱処理にて基板に反りが発生してしまい、硬化収縮を防止できる絶縁保護膜を得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の感光性樹脂組成物は、高温雰囲気下でも、基板の反り防止性を得ることができるので、特に、フレキシブルプリント配線板に、硬化物である絶縁被覆を形成する分野で利用価値が高い。