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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130844
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/48 20060101AFI20240920BHJP
   H01H 13/64 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01H13/48
H01H13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040769
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 伸慈
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS33F
5G206AS33H
5G206AS33K
5G206AS33M
5G206AS34F
5G206AS34H
5G206CS04F
5G206CS04H
5G206CS04M
5G206ES04K
5G206ES04N
5G206ES04P
5G206ES33F
5G206ES33J
5G206ES33K
5G206ES42F
5G206ES42J
5G206ES42K
5G206FS32J
5G206FS32K
5G206FS32M
5G206FU03
5G206GS07
5G206GS24
5G206HW44
5G206HW54
5G206JU21
5G206KS15
5G206KU05
5G206KU13
5G206KU23
5G206KU47
5G206NS02
(57)【要約】
【課題】第1のクリック感および第2のクリック感を提供可能であって、ストローク長が長いプッシュスイッチを提供すること。
【解決手段】プッシュスイッチ1は、収納部23を備えるケース2と、収納部23内に互いに離間して設けられた複数の固定接点3と、収納部23内に設けられたドーム状の可動接点4と、可動接点4よりも上側に設けられた弾性コンタクト5、6と、弾性コンタクト5、6を上側から覆うよう設けられたキャップ7と、を含む。キャップ7は、弾性材料によって形成されている。プッシュスイッチ1が、プッシュスイッチ1に押圧力が印加されていない自然状態から第1の導通状態に移行する際のキャップ7の弾性変形量は、プッシュスイッチ1が、第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際の可動接点4の弾性変形量よりも大きい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加される押圧力に応じて第1の導通状態または第2の導通状態を取ることが可能なプッシュスイッチであって、
底板および前記底板から上方に延伸する壁部によって規定される収納部を備えるケースと、
前記収納部内に互いに離間して設けられ、導通状態の組み合わせにより前記第1の導通状態と前記第2の導通状態を提供可能な複数の固定接点と、
前記収納部内に設けられたドーム状の可動接点と、
前記収納部内に、前記可動接点よりも上側に位置するように設けられた弾性コンタクトと、
前記収納部内に、前記弾性コンタクトを上側から覆うよう設けられたキャップと、を含み、
前記キャップは、弾性材料によって形成されており、
前記プッシュスイッチが、前記プッシュスイッチに前記押圧力が印加されていない自然状態から前記第1の導通状態に移行する際の前記キャップの弾性変形量は、前記プッシュスイッチが、前記第1の導通状態から前記第2の導通状態に移行する際の前記可動接点の弾性変形量よりも大きいことを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
前記プッシュスイッチが、前記自然状態から前記第1の導通状態に移行する際、前記キャップの弾性変形によって第1のクリック感が提供され、さらに、前記プッシュスイッチが、前記第1の導通状態から前記第2の導通状態に移行する際、前記可動接点の弾性変形によって第2のクリック感が提供される請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記キャップは、前記収納部内に載置されるベース部と、前記ベース部から上方に突出する突出部と、を備え、
前記キャップは、第1の作動力以上の押圧力が前記プッシュスイッチに印加された際、前記突出部が弾性変形するよう構成されており、
前記キャップの前記突出部の弾性変形によって、第1のクリック感が提供される請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
前記可動接点は、ドーム状の中央可動部と、前記中央可動部を取り囲むように形成された外縁部と、を有しており、
前記可動接点は、第2の作動力以上の押圧力が前記プッシュスイッチに印加された際、前記中央可動部が弾性変形するよう構成されており、
前記可動接点の前記中央可動部の弾性変形によって、第2のクリック感が提供される請求項3に記載のプッシュスイッチ。
【請求項5】
前記弾性コンタクトは、
前記収納部内において固定される支持部と、
前記支持部に対して上下方向に変位可能な中央部と、
前記中央部が前記支持部に対して上下方向に変位可能となるように、前記支持部と前記中央部との間を連結するバネ部と、を備えている請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項6】
前記支持部は、リング形状を有しており、
前記中央部は、前記支持部の前記リング形状の内側に位置しており、
前記バネ部は、円弧状の本体部と、前記本体部の一方の端部と前記支持部とを接続する第1の接続部と、前記本体部の他方の端部と前記中央部とを接続する第2の接続部と、を備えている請求項5に記載のプッシュスイッチ。
【請求項7】
前記複数の固定接点は、中央固定接点、第1の外側固定接点、第2の外側固定接点、および第3の外側固定接点を含み、
前記第2の外側固定接点と前記第3の外側固定接点とが導通した際、前記プッシュスイッチは、前記第1の導通状態を取り、
前記中央固定接点と前記第1の外側固定接点とが導通した際、前記プッシュスイッチは、前記第2の導通状態を取る請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項8】
前記中央固定接点、前記第1の外側固定接点、前記第2の外側固定接点、および前記第3の外側固定接点のそれぞれは、前記ケースの収納部内において上方に向かって露出する露出部を備えており、
前記第2の外側固定接点の前記露出部の上面および前記第3の外側固定接点の前記露出部の上面は、前記中央固定接点の前記露出部の上面および前記第1の外側固定接点の前記露出部の上面よりも、上側に位置している請求項7に記載のプッシュスイッチ。
【請求項9】
前記弾性コンタクトは、
前記自然状態において、前記第2の外側固定接点と接触している下側弾性コンタクトと、
前記自然状態において、前記第3の外側固定接点と接触している上側弾性コンタクトと、を含み、
前記下側弾性コンタクトおよび前記上側弾性コンタクトを介して、前記第2の外側固定接点と前記第3の外側固定接点とが導通した際、前記プッシュスイッチは、前記第1の導通状態を取る請求項7に記載のプッシュスイッチ。
【請求項10】
前記下側弾性コンタクトは、
前記収納部内において固定される支持部と、
前記支持部に対して上下方向に変位可能な中央部と、
前記中央部が前記支持部に対して上下方向に変位可能となるように、前記支持部と前記中央部との間を連結するバネ部と、を備えており、
前記下側弾性コンタクトの前記中央部は、板状の本体部と、前記本体部から下方に向かって突出する押圧部と、を備えており、
前記押圧力が印加された際、前記下側弾性コンタクトの前記押圧部が、前記可動接点を押圧し、前記可動接点を弾性変形させる請求項9に記載のプッシュスイッチ。
【請求項11】
前記キャップは、前記収納部内に載置されるベース部と、前記ベース部から上方に突出する突出部と、前記突出部から上方に延伸する円錐台部と、前記円錐台部の下面から下方に向かって突出する円柱状の下方突出部と、前記下方突出部の下面から下方に突出する円錐台状の押圧部と、備え、
前記キャップの前記突出部に前記押圧力が印加された際、前記キャップの前記押圧部は、前記上側弾性コンタクトを下方に押圧し、前記上側弾性コンタクトを下方に弾性変形させ、これにより、前記上側弾性コンタクトと前記下側弾性コンタクトとが接触し、前記第2の外側固定接点と前記第3の外側固定接点とが導通する請求項9に記載のプッシュスイッチ。
【請求項12】
前記可動接点は、前記自然状態において、前記第1の外側固定接点と接しているが、前記中央固定接点と接しないように、前記収納部内に設けられており、
前記可動接点を介して、前記中央固定接点と前記第1の外側固定接点とが導通した際、前記プッシュスイッチは、前記第2の導通状態を取る請求項7に記載のプッシュスイッチ。
【請求項13】
前記弾性材料は、シリコーンゴムである請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、押圧操作によりクリック感を伴って動作するプッシュスイッチに関し、より具体的には、第1の押圧操作を加えた際、第1のクリック感を伴って自然状態から第1の導通状態に移行し、さらに、第2の押圧操作を加えた際、第2のクリック感を伴って第1の導通状態から第2の導通状態に移行する2段動作のプッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧操作のみで複数の動作を実行可能な2段動作のプッシュスイッチが利用されている。例えば、カメラのシャッターボタンとして2段動作のプッシュスイッチを用いた場合、プッシュスイッチに対する第1の押圧動作(半押し動作)で、第1のクリック感と共にカメラのフォーカス動作が実行される(第1の導通状態)。さらに、第1の押圧動作が継続されている状態で、プッシュスイッチに対して第2の押圧操作(全押し動作)を加えると、第2のクリック感と共にカメラのシャッター動作(撮影動作)が実行される(第2の導通状態)。
【0003】
特許文献1は、図1および図2に示されているような2段動作のプッシュスイッチ500を開示している。図1は、プッシュスイッチ500の分解斜視図である。図2は、プッシュスイッチ500の断面図である。図1に示されているように、プッシュスイッチ500は、中央固定接点501a、第1の外側固定接点501b、および第2の外側固定接点501cを互いに絶縁した状態で内部に収納するケース503と、ケース503内に配置されるドーム状の第1の可動接点504と、ケース503内において第1の可動接点504と離間して配置される第2の可動接点505と、ケース503の上面に張り付けられ、ケース503の内部空間を密閉する防塵テープ506と、ケース503に上方から取り付けられるカバー507と、を備えている。また、中央固定接点501aの端子部502a、第1の外側固定接点501bの端子部502b、および第2の外側固定接点501cの端子部502cが、ケース503から外部に露出し、図示しないデバイスに接続されている。
【0004】
図2に示すプッシュスイッチ500に外力が印加されていない自然状態において、中央固定接点501a、第1の外側固定接点501b、および第2の外側固定接点501cは、互いに絶縁された状態でケース503によって保持されている。また、自然状態において、第1の可動接点504は、第1の外側固定接点501bと接触しているが、中央固定接点501aとは接触していない。一方、第2の可動接点505は、第2の外側固定接点501cと接触している。
【0005】
自然状態において、一部がカバー507から上方に突出している防塵テープ506に対して押圧操作が印加されると、第2の可動接点505が下方に向かって弾性変形し、第1の可動接点504に接触する。この際、第1の可動接点504および第2の可動接点505を介して、第1の外側固定接点501bと第2の外側固定接点501cとが導通する(第1の導通状態)。デバイスは、第1の外側固定接点501bと第2の外側固定接点501cとの間の導通を検出することにより、プッシュスイッチ500に対して第1の押圧操作(半押し操作)が実行されたことを判別し、所定の動作(例えば、フォーカス動作)を実行する。
【0006】
第1の導通状態が維持されている状態において、防塵テープ506に対してさらに押圧操作が印加されると、第2の可動接点505を介して第1の可動接点504に外力が印加され、第1の可動接点504が下方に弾性変形し、中央固定接点501aに接触する。この際、第1の可動接点504を介して、中央固定接点501aと第1の外側固定接点501bとが導通する(第2の導通状態)。デバイスは、中央固定接点501aと第1の外側固定接点501bとの間の導通を検出することにより、プッシュスイッチ500に対して第2の押圧操作(全押し操作)が実行されたことを判別し、所定の動作(例えば、シャッター動作)を実行する。
【0007】
また、第1の可動接点504および第2の可動接点505のそれぞれは、自然状態において上側に凸のドーム形状を有する金属部材である。そのため、第1の可動接点504または第2の可動接点505に対して、上方から所定の作動力以上の押圧力が印加されると、第1の可動接点504または第2の可動接点505は、下方に、急激に弾性変形する。このような急激な弾性変形は、プッシュスイッチ500に対して押圧操作を印加するユーザーに対してクリック感を提供することができる。プッシュスイッチ500が自然状態から第1の導通状態に移行する際に発生する第2の可動接点505の弾性変形により、第1のクリック感がユーザーに提供される。さらに、プッシュスイッチ500が第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際に発生する第1の可動接点504の弾性変形により、第2のクリック感がユーザーに提供される。ユーザーは、第1のクリック感によって第1の押圧操作(半押し操作)が完了したことを認識し、第2のクリック感によって第2の押圧操作(全押し操作)が完了したことを認識することができる。
【0008】
前述のように、第1の可動接点504および第2の可動接点505のそれぞれは、自然状態において上側に凸のドーム形状を有する金属部材であることから、ユーザーに対してクリック感を提供することができる。しかしながら、第1の可動接点504および第2の可動接点505のようなドーム形状を有する金属部材の下方への弾性変形可能量は、非常に小さい。また、自然状態から第1の導通状態までのストローク長、および、第1の導通状態から第2の導通状態までのストローク長は、主として、第1の可動接点504より上側に位置する第2の可動接点505の下方への弾性変形可能量によって制限されてしまう。プッシュスイッチ500が自然状態から第2の導通状態まで移行するまでの間に、第2の可動接点505の下方への弾性変形量が、第2の可動接点505の下方への弾性変形可能量を超えてしまうと、第2の可動接点505が破損してしまうためである。
【0009】
特に、第1の導通状態から第2の導通状態までのストローク長が小さいと、ユーザーにとって、第1の押圧操作(半押し操作)と第2の押圧操作(全押し操作)とを区別して実行することが困難となってしまう。例えば、ユーザーが、第1の押圧操作(半押し操作)を実行したいのに、第2の押圧操作(全押し操作)を実行してしまう状況が頻発し得る。このような事態は、プッシュスイッチ500を用いるデバイスのユーザー操作性の低下に繋がる。
【0010】
また、自然状態から第1の導通状態までのストローク長が小さいと、意図しないタイミングでプッシュスイッチ500が導通状態となり、誤動作を引き起こしてしまうリスクがある。例えば、プッシュスイッチ500を用いる電子デバイスをポケットに入れた際や該電子デバイスが何らかの物体に接触した際のわずかな押圧力によってプッシュスイッチ500が動作してしまい、プッシュスイッチ500の誤動作を引き起こす可能性がある。このように、ユーザーの意図しないタイミングで、プッシュスイッチ500が動作してしまう事でプッシュスイッチ500の信頼性が低下するという問題がある。
【0011】
これらの理由から、ユーザーに対して第1のクリック感および第2のクリック感を提供することが可能であるとともに、ストローク長が長い2段動作のプッシュスイッチに対する非常に強いニーズが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006-164711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、ユーザーに対して第1のクリック感および第2のクリック感を提供することが可能であるとともに、ストローク長が長い2段動作のプッシュスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的は、以下の(1)によって規定される本発明により達成される。
(1)印加される押圧力に応じて第1の導通状態または第2の導通状態を取ることが可能なプッシュスイッチであって、
底板および前記底板から上方に延伸する壁部によって規定される収納部を備えるケースと、
前記収納部内に互いに離間して設けられ、導通状態の組み合わせにより前記第1の導通状態と前記第2の導通状態を提供可能な複数の固定接点と、
前記収納部内に設けられたドーム状の可動接点と、
前記収納部内に、前記可動接点よりも上側に位置するように設けられた弾性コンタクトと、
前記収納部内に、前記弾性コンタクトを上側から覆うよう設けられたキャップと、を含み、
前記キャップは、弾性材料によって形成されており、
前記プッシュスイッチが、前記プッシュスイッチに前記押圧力が印加されていない自然状態から前記第1の導通状態に移行する際の前記キャップの弾性変形量は、前記プッシュスイッチが、前記第1の導通状態から前記第2の導通状態に移行する際の前記可動接点の弾性変形量よりも大きいことを特徴とするプッシュスイッチ。
【発明の効果】
【0015】
本発明のプッシュスイッチにおいては、ドーム状の可動接点と比較してより大きい弾性変形可能量を有する弾性コンタクトが、第1の導通状態を提供するために利用され、さらに、弾性材料によって形成されたキャップの弾性変形によって、プッシュスイッチが自然状態から第1の導通状態に移行する際の第1のクリック感が提供される。さらに、ドーム状の可動接点の弾性変形によって、プッシュスイッチが第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際の第2のクリック感が提供される。そのため、ユーザーに対して第1のクリック感と第2のクリック感を提供すると共に、自然状態から第1の導通状態までのストローク長、および、第1の導通状態から第2の導通状態までの間のストローク長を十分に長くすることができる。特に、第1の導通状態から第2の導通状態までの間のストローク長が長く、動作力が重いため、ユーザーは、第1の押圧操作(半押し操作)と第2の押圧操作(全押し操作)とを容易に区別して実行することができる。
【0016】
また、本発明のプッシュスイッチにおいては、プッシュスイッチが自然状態から第1の導通状態に移行する際のキャップの弾性変形量は、プッシュスイッチが第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際の可動接点の弾性変形量よりも大きい。そのため、自然状態から第1の導通状態までのストローク長を長くすることができ、ユーザーが意図しないタイミングで、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来技術の2段動作のプッシュスイッチを示す分解斜視図である。
図2図1に示すプッシュスイッチの断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るプッシュスイッチの斜視図である。
図4図3に示すプッシュスイッチの別の角度からの斜視図である。
図5図3に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。
図6図5に示すケースの上面図である。
図7図6中に示すB-B線に沿ったケースの断面斜視図である。
図8図5に示す中央固定接点、第1の外側固定接点、第2の外側固定接点、および第3の外側固定接点の斜視図である。
図9】中央固定接点、第1の外側固定接点、第2の外側固定接点、および第3の外側固定接点を内部に収納した状態のケースの断面斜視図である。
図10図5に示す下側弾性コンタクトの別の角度からの斜視図である。
図11図5に示す上側弾性コンタクトの別の角度からの斜視図である。
図12】中央固定接点、第1の外側固定接点、第2の外側固定接点、第3の外側固定接点、可動接点、下側弾性コンタクト、および上側弾性コンタクトを内部に収納した状態のケースの断面斜視図である。
図13図5に示すキャップの別の角度からの斜視図である。
図14図5に示すカバーの別の角度からの斜視図である。
図15】自然状態におけるプッシュスイッチの図3に示すA-A線に沿った断面図である。
図16】第1の導通状態におけるプッシュスイッチの断面図である。
図17】第2の導通状態におけるプッシュスイッチの断面図である。
図18図3に示すプッシュスイッチの荷重-変位グラフ(F-S曲線)である。
図19】本発明の第2実施形態に係るプッシュスイッチの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のプッシュスイッチを、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて、説明する。なお、以下で参照する各図は、本発明の説明のために用意された模式的な図である。図面に示された各構成要素の寸法(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法を反映したものではない。また、各図において、同一または対応する要素には、同じ参照番号が付されている。以下の説明において、各図のZ軸の正方向を「上方」といい、Z軸の負方向を「下方」ということがある。
【0019】
<第1実施形態>
最初に、図3図18を参照して、本発明の第1実施形態に係るプッシュスイッチを詳述する。図3は、本発明の第1実施形態に係るプッシュスイッチの斜視図である。図4は、図3に示すプッシュスイッチの別の角度からの斜視図である。図5は、図3に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。図6は、図5に示すケースの上面図である。図7は、図6中に示すB-B線に沿ったケースの断面斜視図である。図8は、図5に示す中央固定接点、第1の外側固定接点、第2の外側固定接点、および第3の外側固定接点の斜視図である。図9は、中央固定接点、第1の外側固定接点、第2の外側固定接点、および第3の外側固定接点を内部に収納した状態のケースの断面斜視図である。図10は、図5に示す下側弾性コンタクトの別の角度からの斜視図である。図11は、図5に示す上側弾性コンタクトの別の角度からの斜視図である。図12は、中央固定接点、第1の外側固定接点、第2の外側固定接点、第3の外側固定接点、可動接点、下側弾性コンタクト、および上側弾性コンタクトを内部に収納した状態のケースの断面斜視図である。図13は、図5に示すキャップの別の角度からの斜視図である。図14は、図5に示すカバーの別の角度からの斜視図である。図15は、自然状態におけるプッシュスイッチの図3に示すA-A線に沿った断面図である。図16は、第1の導通状態におけるプッシュスイッチの断面図である。図17は、第2の導通状態におけるプッシュスイッチの断面図である。図18は、図3に示すプッシュスイッチの荷重-変位グラフ(F-S曲線)である。
【0020】
図3および図4に示す本発明の第1実施形態に係るプッシュスイッチ1は、ユーザーから印加された押圧力に応じて第1の導通状態または第2の導通状態を取ることが可能な2段動作のプッシュスイッチである。プッシュスイッチ1に押圧力が印加されていない自然状態において、ユーザーがプッシュスイッチ1に対して、第1の作動力以上の押圧力を印加し、第1の押圧操作(半押し操作)を行った際、プッシュスイッチ1は、第1の導通状態を取る。さらに、第1の導通状態が維持されている状態において、ユーザーがプッシュスイッチ1に対して、第2の作動力以上の押圧力をさらに印加し、第2の押圧操作(全押し操作)を行った際、プッシュスイッチ1は、第2の導通状態を取る。
【0021】
プッシュスイッチ1は、自然状態において、図8に示す複数の固定接点3(より具体的には、中央固定接点31、第1の外側固定接点32、第2の外側固定接点33、および第3の外側固定接点34)を互いに絶縁した状態で保持している。図4に示されているように、中央固定接点31の端子部311、第1の外側固定接点32の端子部321、第2の外側固定接点33の端子部331、および第3の外側固定接点34の端子部341が外部に露出しており、図示しない任意のデバイスが端子部311、321、331、341に接続される。
【0022】
該デバイスは、複数の固定接点3の導通状態の組み合わせから、プッシュスイッチ1が、自然状態、第1の導通状態、または第2の導通状態のいずれを取っているのかを判別することができる。第1の導通状態は、ユーザーの第1の押圧操作(半押し操作)に対応し、第2の導通状態は、ユーザーの第2の押圧操作(全押し操作)に対応している。そのため、デバイスは、プッシュスイッチ1に対するユーザーの押圧操作を判別することができ、ユーザーの押圧操作に対応した所望の機能を実行することができる。
【0023】
典型的には、プッシュスイッチ1は、カメラのシャッターボタンや電気自動車のステアリングホイールに設けられたボタンとして利用され、ユーザーの第1の押圧操作(半押し操作)および第2の押圧操作(全押し操作)に対応した所望の機能を実行する。例えば、プッシュスイッチ1が、電気自動車のステアリングホイールに設けられたボタンとして利用された場合、ユーザーの第1の押圧操作(半押し操作)により、電気自動車のダッシュボードに表示された項目の選択(項目のリスト中の選択部分の上下移動、左右移動等)が実行され、ユーザーの第2の押圧操作(全押し操作)により、電気自動車のダッシュボードに表示された項目の決定が実行される。
【0024】
図5図7に示されているように、プッシュスイッチ1は、中央固定接点31、第1の外側固定接点32、第2の外側固定接点33、および第3の外側固定接点34を互いに絶縁した状態で内部に保持し、底板21と、底板21の外縁部から上方に向かって延伸する4つの壁部22と、底板21および4つの壁部22によって規定される収納部23と、4つの壁部22のそれぞれの外側面上に設けられた中央ガイド24および一対の外側ガイド25と、X方向に直交する一対の壁部22のそれぞれの外側面上の上端部に設けられた一対のストッパー26と、収納部23の内側面上に等角度間隔で形成された4つのガイド溝27と、-Y方向の壁部22の外側面の下端部に形成された方向インデックス28(図4および図6参照)と、を備える箱型部材であるケース2と、収納部23内に互いに離間して設けられ、導通状態の組み合わせにより第1の導通状態と第2の導通状態を提供可能な複数の固定接点3(中央固定接点31、第1の外側固定接点32、第2の外側固定接点33、および第3の外側固定接点34)と、収納部23内に設けられたドーム状の1つ以上の可動接点4と、収納部23内に、可動接点4よりも上側に位置するよう設けられた下側弾性コンタクト5および上側弾性コンタクト6と、収納部23内に、上側弾性コンタクト6を上方から覆うよう設けられたキャップ7と、ケース2に取り付けられ、ケース2との間でキャップ7を挟持するカバー8と、を含んでいる。
【0025】
底板21は、略四角形の平面形状を有する板状部分であり、プッシュスイッチ1の基板として機能する。図6および図7に示されているように、底板21は、底板21の上面上に形成された円形の中央凹部211と、中央凹部211上に、中央固定接点31の露出部312を露出させるために形成された第1の端子用スペース212と、底板21の上面上であって、図6中の左上に位置するガイド溝27の下端部と隣接する部分に、第1の外側固定接点32の露出部322を露出させるために形成された第2の端子用スペース213と、中央凹部211を外側から断続的に囲むように上側に突出する4つの第1の台座214と、4つの第1の台座214上にそれぞれ設けられた4つの凹部215と、+Y方向に位置する凹部215上に、第2の外側固定接点33の露出部332を露出させるために形成された第3の端子用スペース216と、-Y方向に位置する凹部215上に、第3の外側固定接点34の露出部342を露出させるに形成された第4の端子用スペース217と、4つの第1の台座214から上側にそれぞれ突出する4つの第2の台座218と、を備えている。
【0026】
中央凹部211は、底板21の上面の略中心に形成された略円形の凹部である。また、図6に示されているように、高さ方向(Z方向)からの平面視において、中央凹部211は、収納部23の内側面(すなわち、4つの壁部22の内側面によって形成される円筒空間)と同心となっている。図9に示されているように、中央凹部211の底面と、中央固定接点31の露出部312の上面とが略同一平面上に位置するよう、中央固定接点31がケース2によって保持される。そのため、底板21の上面上に中央凹部211を形成することによって、可動接点4が中央固定接点31の接触部313に接触するまでの下方へのストローク長を長くすることができる。
【0027】
図6および図7に戻り、第1の端子用スペース212は、中央凹部211の底面上に、中央凹部211と同心となるよう形成された円形凹部である。第1の端子用スペース212は、中央固定接点31の露出部312に対応した形状を有しており、第1の端子用スペース212内に露出部312が位置し、露出部312の上面のみが、上方に向かって露出する。
【0028】
第2の端子用スペース213は、底板21の上面であって、図6中の左上側に位置するガイド溝27に隣接する部分に設けられた矩形状の凹部である。第2の端子用スペース213は、第1の外側固定接点32の露出部322に対応する形状を有しており、第2の端子用スペース213内に露出部322が位置し、露出部322の上面のみが、上方に向かって露出する。
【0029】
4つの第1の台座214は、底板21の上面であって、収納部23の内側面に隣接する部分から、上方に突出するよう形成された、中央凹部211と同心の円弧状の段差である。4つの第1の台座214は、4つの第1の台座214の外側面が収納部23の内側面に連続するよう形成されている。また、4つの第1の台座214は、4つのガイド溝27から内側に向かって直線状に延伸する間隙2141を規定している。4つの第1の台座214のそれぞれの上面は、高さ方向(Z方向)に対して垂直な平坦面であり、4つの第1の台座214のそれぞれの内側面は、収納部23の内側面と同心な円弧面である。また、図6に示されているように、平面視において、4つの第1の台座214は、中央凹部211と間隙を介して対向している。さらに、4つの第1の台座214の内側面によって規定される円筒空間の径は、可動接点4の外縁部42の外径と略等しい。そのため、外縁部42が外側から4つの第1の台座214の内側面によって支持される。また、この状態において、可動接点4の4つの支持部43(図5参照)が、間隙2141内にそれぞれ収納される。
【0030】
4つの凹部215は、4つの第1の台座214の上面上にそれぞれ形成された凹部である。図12に示されているように、+Y方向に位置する凹部215は、下側弾性コンタクト5の接触部514を収納する。-Y方向に位置する凹部215は、上側弾性コンタクト6の接触部614を収納する。-X方向に位置する凹部215は、下側弾性コンタクト5の-X方向に位置するベース部513(図10参照)を収納する。さらに、図12には示されていないが、+X方向に位置する凹部215は、下側弾性コンタクト5の+X方向に位置するベース部513を収納する。さらに、図6に示されているように、-Y方向および+Y方向に位置する2つの第1の台座214のそれぞれは、凹部215によって上下に分割されている。一方、+X方向および-X方向に位置する2つの第1の台座214のそれぞれの-Y方向側の端部に、凹部215が形成されている。
【0031】
第3の端子用スペース216は、+Y方向に位置する凹部215に形成された矩形状の凹部である。第3の端子用スペース216は、第2の外側固定接点33の露出部332に対応する形状を有しており、第3の端子用スペース216内に露出部332が位置し、露出部332の上面のみが、上方に向かって露出する。第4の端子用スペース217は、-Y方向に位置する凹部215に形成された矩形状の凹部である。第4の端子用スペース217は、第3の外側固定接点34の露出部342に対応する形状を有しており、第4の端子用スペース217内に露出部342が位置し、露出部342の上面のみが、上方に向かって露出する。
【0032】
4つの第2の台座218は、4つの第1の台座214の内縁部から上側に突出するよう形成された、中央凹部211および4つの第1の台座214と同心の円弧状の段差である。4つの第2の台座218は、4つの第2の台座218の内側面が、それぞれ、4つの第1の台座214の内側面に連続するよう形成されている。4つの第2の台座218のそれぞれの上面は、高さ方向(Z方向)に対して垂直な平坦面であり、4つの第2の台座218のそれぞれの内側面は、収納部23の内側面と同心な円弧面である。また、-Y方向および+Y方向に位置する2つの第2の台座218のそれぞれは、凹部215によって上下に分割されている。図12に示されているように、上側弾性コンタクト6の支持部61のリング状の本体部611が、4つの第2の台座218の上面上に載置される。
【0033】
図6および図7に戻り、図示の形態では、収納部23の内側面は、略円形の平面形状を形成している。収納部23内にプッシュスイッチ1の各コンポーネントが収納される。このように、ケース2は、収納部23内にプッシュスイッチ1の各コンポーネントを収納するハウジングとしての機能を有している。
【0034】
中央ガイド24および一対の外側ガイド25は、4つの壁部22のそれぞれの外側面上に形成されている。中央ガイド24は、4つの壁部22のそれぞれの外側面上であって、壁部22の長尺方向の略中央部において、上端から下端まで直線状に延伸する突出部であり、高さ方向(Z方向)からの平面視において外側に突出する円弧形状を有している。一対の外側ガイド25は、4つの壁部22のそれぞれの外側面上であって、中央ガイド24を壁部22の長尺方向から挟むように形成され、上端から下端まで直線状に延伸する突出部である。一対の外側ガイド25のそれぞれは、高さ方向(Z方向)からの平面視において外側に突出する矩形形状を有している。中央ガイド24は、後述するカバー8の内側面上に形成されたガイド溝822(図14参照)と係合し、さらに、一対の外側ガイド25は、カバー8の内側面と接触し、カバー8のケース2に対するスライド移動をガイドすると共に、ケース2に対するカバー8のガタつき(揺動)を防止する。
【0035】
一対のストッパー26は、X方向に直交する一対の壁部22のそれぞれの外側面の上端部であって、壁部22の長尺方向の両端部にそれぞれ形成された突出部である。一対のストッパー26は、一対の外側ガイド25の外側に位置している。一対のストッパー26のそれぞれは、上側から下側に向かって高さ(壁部22の外側面からの突出量)が漸増するテーパー形状を有している。一対のストッパー26のそれぞれの上面は、外側下方に向かって延伸する斜面となっており、一対のストッパー26のそれぞれの下面は、高さ方向(Z方向)に対して垂直な平坦面となっている。
【0036】
4つのガイド溝27は、収納部23の内側面上に等角度間隔で形成され、高さ方向に延伸する凹部である。図示の形態では、4つのガイド溝27は、収納部23の内側面上であって、図6中の左上部分、右上部分、右下部分、および左下部分に、90度の角度間隔で形成されている。4つのガイド溝27のそれぞれの幅は、可動接点4の4つの支持部43のそれぞれの幅と略等しい。そのため、ケース2の収納部23内に可動接点4を収納する際、4つの支持部43が4つのガイド溝27内をそれぞれスライドしながら可動接点4が収納される。方向インデックス28は、-Y方向の壁部22の外側面の下端部に、外側に突出するよう形成されたブロック状の突出部である。方向インデックス28は、プッシュスイッチ1の向きを、プッシュスイッチ1の外観から特定することを可能とするために設けられている。
【0037】
このような構成を有するケース2は、図8に示す中央固定接点31、第1の外側固定接点32、第2の外側固定接点33、および第3の外側固定接点34を互いに絶縁した状態で保持している。ケース2は、ケース2の形状に対応した内側形状を有する金型内に、中央固定接点31、第1の外側固定接点32、第2の外側固定接点33、および第3の外側固定接点34を配置して、該金型内に溶融された絶縁性樹脂を注入し、冷却し、硬化させることにより得られる。
【0038】
中央固定接点31、第1の外側固定接点32、第2の外側固定接点33、および第3の外側固定接点34のそれぞれは、金属板に対して打ち抜き加工および折り曲げ加工を施すことにより得られる導電性部品である。図8および図9に示されているように、中央固定接点31は、ケース2から外部に露出し、デバイスに接続される端子部311と、ケース2の収納部23内において上方に向かって露出する露出部312と、露出部312の上面から上方に向かって突出する接触部313と、端子部311と露出部312とを接続し、ケース2内に埋設される埋設部314と、を備えている。図3および図4に示されているように、端子部311は、+X方向に位置する壁部22から外側に向かって延伸し、露出している。さらに、図9に示されているように、露出部312は、ケース2の第1の端子用スペース212内に位置し、その上面のみが上方に向かって露出している。また、露出部312の上面は、ケース2の中央凹部211の底面と略同一平面上に位置している。接触部313は、図示の形態では、露出部312の上面から上方に向かって突出する半円状の突出部である。プッシュスイッチ1の自然状態および第1の導通状態において、可動接点4の中央可動部41は、接触部313と間隙を介して対向しており、接触部313とは接触していない。中央可動部41が接触部313に接触すると、プッシュスイッチ1が第2の導通状態を取る。
【0039】
図8に戻り、第1の外側固定接点32は、ケース2から外部に露出し、デバイスに接続される端子部321と、ケース2の収納部23内において上方に向かって露出する露出部322と、端子部321と露出部322とを接続し、ケース2内に埋設される埋設部323と、を備えている。図4に示されているように、端子部321は、-X方向に位置する壁部22から外側に向かって延伸し、露出している。さらに、図9に示されているように、露出部322は、第2の端子用スペース213内に位置し、その上面のみが上方に向かって露出している。また、露出部312の上面は、底板21の上面と略同一平面上に位置している。プッシュスイッチ1の自然状態、第1の導通状態、および第2の導通状態の全てにおいて、可動接点4の4つの支持部43の1つが、露出部322と接触している。そのため、可動接点4の中央可動部41が接触部313に接触すると、可動接点4を介して、中央固定接点31と第1の外側固定接点32とが導通する。
【0040】
図8に戻り、第2の外側固定接点33は、ケース2から外部に露出し、デバイスに接続される端子部331と、ケース2の収納部23内において上方に向かって露出する露出部332と、端子部331と露出部332とを接続し、ケース2内に埋設される埋設部333と、を備えている。図3および図4に示されているように、端子部331は、+Y方向に位置する壁部22から外側に向かって延伸し、露出している。さらに、図9に示されているように、露出部332は、ケース2の第3の端子用スペース216内に位置し、その上面のみが上方に向かって露出している。また、露出部332の上面は、凹部215の底面と略同一平面上に位置している。プッシュスイッチ1の自然状態、第1の導通状態、および第2の導通状態の全てにおいて、下側弾性コンタクト5の接触部514(図10参照)が、露出部332と接触している。
【0041】
図8に戻り、第3の外側固定接点34は、ケース2から外部に露出し、デバイスに接続される端子部341と、ケース2の収納部23内において上方に向かって露出する露出部342と、端子部341と露出部342とを接続し、ケース2内に埋設される埋設部343と、を備えている。図4に示されているように、端子部341は、-Y方向に位置する壁部22から外側に向かって延伸し、露出している。さらに、図9に示されているように、露出部342は、ケース2の第4の端子用スペース217内に位置し、その上面のみが上方に向かって露出している。また、露出部342の上面は、凹部215の底面と略同一平面上に位置している。プッシュスイッチ1の自然状態、第1の導通状態、および第2の導通状態の全てにおいて、上側弾性コンタクト6の接触部614(図11参照)が、露出部342と接触している。そのため、下側弾性コンタクト5が上側弾性コンタクト6に接触すると、下側弾性コンタクト5および上側弾性コンタクト6を介して、第2の外側固定接点33と第3の外側固定接点34とが導通する。
【0042】
図9に示されているように、中央固定接点31、第1の外側固定接点32、第2の外側固定接点33、および第3の外側固定接点34がケース2によって互いに絶縁して保持された状態において、第2の外側固定接点33の露出部332の上面および第3の外側固定接点34の露出部342の上面は、中央固定接点31の露出部312の上面および第1の外側固定接点32の露出部322の上面より上方に位置している。
【0043】
また、高さ方向からの平面視において、第1の外側固定接点32の露出部322、第2の外側固定接点33の露出部332、および第3の外側固定接点34の露出部342は、中央固定接点31の露出部312および接触部313よりも外側に位置している。
【0044】
図5に戻り、可動接点4は、自然状態において、上方に凸となるドーム状の導電性部品である。可動接点4は、プッシュスイッチ1が第2の導通状態を取る際、中央固定接点31と第1の外側固定接点32との間の導通経路として機能する。さらに、可動接点4は、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際、下方に急激に弾性変形し、自身の急激な弾性変形によって、ユーザーに第2のクリック感を提供する機能を有している。
【0045】
可動接点4は、薄型の金属板に対して打ち抜き可能および曲げ加工を施すことにより得られる。可動接点4は、自然状態において上側に凸のドーム状であり、第2の導通状態において中央固定接点31と接触する中央可動部41と、中央可動部41を取り囲む外縁部42と、外縁部42から外側下方に向かって延伸する4つの支持部43と、を備えている。なお、図示の形態では、プッシュスイッチ1は、1つの可動接点4を含んでいるが、本発明はこれに限られない。2つ以上の可動接点4が重ねて用いられてもよく、重ねて用いられる可動接点4の数は、プッシュスイッチ1を第1の導通状態から第2の導通状態に移行させるために必要とされる第2の作動力に応じて任意に設定可能である。
【0046】
中央可動部41は、平面視において、上側に凸の円形ドーム状部分である。外縁部42は、中央可動部41の外縁部を取り囲むように形成され、外側下方に延伸するリング状部分であり、中央可動部41と同心となっている。4つの支持部43は、外縁部42の外縁部上に等角度間隔(90度間隔)で形成され、外側下方に向かって、直線状に延伸する板状部分である。
【0047】
図12に示されているように、可動接点4は、ケース2の4つの第1の台座214の内側面によって規定される円筒空間内に収納される。この状態において、4つの支持部43は、ケース2の底板21の4つの間隙2141内にそれぞれ収納されている。このような構成により、ケース2の収納部23内での可動接点4の回転およびガタつきが防止されている。また、図9に示されているように、図9中の左上に位置する間隙2141内では、第2の端子用スペース213から第1の外側固定接点32の露出部322の上面が露出している。そのため、図12中において左上に位置する支持部43が、間隙2141内において、露出部322に接触している。したがって、プッシュスイッチ1の自然状態、第1の導通状態、および第2の導通状態の全てにおいて、可動接点4は、第1の外側固定接点32と導通している。一方、プッシュスイッチ1の自然状態および第1の導通状態において、中央可動部41は、中央固定接点31と間隙を介して対向しており、中央固定接点31と導通していない。
【0048】
中央可動部41に対して上側から外力が印加された際、中央可動部41は下方に弾性変形し、中央固定接点31と接触する。この際、中央固定接点31と第1の外側固定接点32とが可動接点4を介して導通し、プッシュスイッチ1は、第2の導通状態を取る。このように、可動接点4は、中央固定接点31および第1の外側固定接点32を非導通状態とする第1の位置と、中央固定接点31および第1の外側固定接点32を導通状態とする第2の位置との間で変位可能に構成されている。
【0049】
また、中央可動部41は、上側に凸のドーム形状を有しているので、中央可動部41に対して、中央可動部41の形状(厚み、湾曲度等)および材料によって決定される所定の値以上の下方への外力が加わると、中央可動部41が下方に急激に弾性変形する。このような中央可動部41の下方への急激な弾性変形によって、ユーザーに対して、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際の第2のクリック感を提供することができる。
【0050】
また、可動接点4の下面は、中央固定接点31および第1の外側固定接点32と接触し、プッシュスイッチ1の動作上重要な導通を提供するため、可動接点4の下面には、導電信頼性を高めるためのメッキ処理が施されている。このようなメッキ処理は、典型的には、銀メッキ処理である。一方、可動接点4の上面には、プッシュスイッチ1の動作上重要な導通を提供する接触がないため、可動接点4の上面には、前述のようなメッキ処理が施されていない。
【0051】
図5に戻り、下側弾性コンタクト5は、自然状態において、ケース2の収納部23内において上側弾性コンタクト6と接触しないよう設けられた薄型の導電性部品である。下側弾性コンタクト5は、導電信頼性を向上させるためのメッキ処理(銀メッキ等)が両面に施された薄型の金属板に対して打ち抜き加工および折り曲げ加工を施すことにより得られる。図5および図10に示されているように、下側弾性コンタクト5は、ケース2の底板21の第1の台座214上に載置され、収納部23内において固定される支持部51と、支持部51に対して上下方向(Z方向)に変位可能な中央部52と、中央部52が支持部51に対して上下方向に変位可能となるように、支持部51と中央部52との間を連結するバネ部53と、を備えている。中央部52に対して下方への外力が印加されると、印加された外力に応じてバネ部53が下方に向かって弾性変形し、中央部52が支持部51に対する初期位置から下方に変位する。中央部52に対して印加されている外力が解除されると、バネ部53が上方に向かって弾性復元し、中央部52が支持部51に対する初期位置に戻る。
【0052】
支持部51は、本体部511と、本体部511から外側下方に向かって延伸する3つの脚部512と、3つの脚部512のうちの2つの下端部から外側に向かってそれぞれ延伸する2つのベース部513と、3つの脚部512のうちの残りの1つの下端部から外側に向かって延伸する接触部514と、を備えている。本体部511は、リング形状を有しており、本体部511の内側に中央部52およびバネ部53が位置している。3つの脚部512は、本体部511の外縁部に等角度間隔(120度間隔)で設けられ、外側下方に向かって延伸する部分である。3つの脚部512のそれぞれの上端部は、本体部511の外縁部に接続されている。2つのベース部513は、3つの脚部512のうちの2つの下端部から外側に向かって延伸する板状部分である。同様に、接触部514は、3つの脚部512のうちの残りの1つの下端部から外側に向かって延伸する板状部分である。また、接触部514は、接触部514の下面から下方に向かって突出する2つの円形突起5141を有している。図12に示されているように、ベース部513は、ケース2の+X方向および-X方向に位置する凹部215(図6参照)内に収納される。接触部514は、+Y方向に位置する凹部215内に収納される。接触部514は、+Y方向に位置する凹部215とフィッティング(嵌合)するので、収納部23内における下側弾性コンタクト5の回転が防止されている。さらに、2つの円形突起5141は、+Y方向に位置する凹部215内において上方に向かって露出する第2の外側固定接点33の露出部332の上面と接触する。そのため、下側弾性コンタクト5は、第2の外側固定接点33と導通している。また、2つのベース部513および接触部514による3点支持によって、下側弾性コンタクト5が底板21上において安定的に保持される。
【0053】
図10に戻り、中央部52は、支持部51の本体部511の内側に、本体部511と離間して位置する円板状部分である。中央部52は、円板状の本体部521と、本体部521から下方に向かって突出する押圧部522と、を備えている。本体部521は本体部511と同心に設けられており、支持部51に対して上下方向に変位可能となっている。押圧部522は、本体部521と同心に設けられ、上側から下側に向かって径が漸減する円錐台形状を有しており、本体部521の中心部分に対して、下方に押圧加工を施すことにより形成される。押圧部522の下面は、本体部521の下面と平行な平坦面、すなわち、高さ方向に直交する平坦面となっている。押圧部522は、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際、可動接点4の中央可動部41の上面を押圧し、中央可動部41を下方に弾性変形させる。このように、本体部521に押圧部522を設けることにより、本体部521に押圧部522が設けられていない場合と比較して、中央可動部41をより小さな接触面積で押圧することができ、中央可動部41の弾性変形の特性(荷重特性)を安定化させることができる。
【0054】
バネ部53は、中央部52が支持部51に対して上下方向に変位可能となるよう、支持部51と中央部52とを接続する部分である。バネ部53は、円弧状の本体部531と、本体部531の一端部と支持部51とを接続する第1の接続部532と、本体部531の他端部と中央部52とを接続する第2の接続部533と、を備えている。本体部531は、支持部51の本体部511と中央部52の本体部521との間に、本体部511および本体部521と離間して位置している。本体部531は、リング形状の一部を切り欠くことにより得られる円弧形状を有しており、切り欠き部分を介して対向する一対の部分が、本体部531の両端部となっている。また、本体部531は、本体部511および本体部521と同心となっている。
【0055】
第1の接続部532は、支持部51の本体部511の内側面から、バネ部53の本体部531の一方の端部に向かって、本体部531の径方向に直線状に延伸する板状部分であり、本体部531の一端部と支持部51とを接続している。第2の接続部533は、本体部531の他端部から中央部52の本体部521に向かって、本体部531の径方向に直線状に延伸する板状部分であり、本体部531の他端部と中央部52とを接続している。
【0056】
下側弾性コンタクト5がケース2の底板21上に載置された状態において、中央部52に対して下方に向かって外力が印加されると、バネ部53の本体部531が下方に向かって弾性変形し、中央部52が支持部51に対する初期位置から下方に変位する。中央部52に対して印加されている外力が解除されると、本体部531が、自身の弾性によって弾性復元し、中央部52が支持部51に対する初期位置に戻る。なお、自然状態において、支持部51の本体部511、中央部52の本体部521、およびバネ部53が略同一平面上に位置している。
【0057】
図5に戻り、上側弾性コンタクト6は、自然状態において、ケース2の収納部23内において下側弾性コンタクト5よりも上側に位置し、かつ、下側弾性コンタクト5と接触しないよう設けられた薄型の導電性部品である。下側弾性コンタクト5と同様に、上側弾性コンタクト6は、導電信頼性を向上させるためのメッキ処理(銀メッキ等)が両面に施された薄型の金属板に対して打ち抜き加工および折り曲げ加工を施すことにより得られる。図5および図11に示されているように、上側弾性コンタクト6は、ケース2の底板21上に載置され、収納部23内において固定される支持部61と、支持部61に対して上下方向(Z方向)に変位可能な中央部62と、中央部62が支持部61に対して上下方向に変位可能となるように、支持部61と中央部62との間を連結するバネ部63と、を備えている。中央部62に対して下方への外力が印加されると、印加された外力に応じてバネ部63が下方に向かって弾性変形し、中央部62が支持部61に対する初期位置から下方に変位する。中央部62に対して印加されている外力が解除されると、バネ部63が上方に向かって弾性復元し、中央部62が支持部61に対する初期位置に戻る。
【0058】
支持部61は、本体部611と、本体部611から外側下方に向かって延伸する3つの脚部612と、3つの脚部612のうちの2つの下端部から外側に向かってそれぞれ延伸する2つのベース部613と、3つの脚部612のうちの残りの1つの下端から外側に向かって延伸する接触部614と、を備えている。本体部611は、リング形状を有しており、本体部611の内側に中央部62およびバネ部63が位置している。図12に示されているように、本体部611の下面の外縁部が、ケース2の底板21の第2の台座218上に載置される。
【0059】
図11に戻り、3つの脚部612は、本体部611の外縁部に等角度間隔(120度間隔)で設けられ、外側下方に向かって延伸する部分である。3つの脚部612のそれぞれの上端部は、本体部611の外縁部に接続されている。2つのベース部613は、3つの脚部612のうちの2つの下端部から外側に向かって延伸する板状部分である。同様に、接触部614は、3つの脚部612のうちの残りの1つの下端部から外側に向かって延伸する板状部分である。また、接触部614は、接触部614の下面から下方に向かって突出する2つの円形突起6141を有している。図12に示されているように、ベース部613は、ケース2の底板21上の間隙2141内に収納され、さらに、接触部614は、ケース2の-Y方向に位置する凹部215内に収納される。さらに、2つの円形突起6141は、-Y方向に位置する凹部215内において上方に向かって露出する第3の外側固定接点34の露出部342の上面と接触する。そのため、上側弾性コンタクト6は、第3の外側固定接点34と導通している。なお、2つのベース部613は、間隙2141内において、可動接点4の支持部43と間隙を介して対向している。そのため、自然状態において、上側弾性コンタクト6は、可動接点4と導通していない。また、2つのベース部613は、ケース2の底板21上の2つの間隙2141内にそれぞれフィッティング(嵌合)され、さらに、接触部614は、ケース2の-Y方向に位置する凹部215内にフィッティングされていることから、収納部23内における上側弾性コンタクト6の回転が防止されている。
【0060】
図11に戻り、中央部62は、支持部61の本体部611の内側に、本体部611と離間して位置する円板状部分である。中央部62は、円板状の本体部621と、本体部621から下方に向かって突出する4つの突起622と、を備えている。本体部621は本体部611と同心に設けられており、支持部61に対して上下方向に変位可能となっている。突起622は、本体部521から下方に突出する円形部分であり、本体部621の中心部分に対して、下方に押圧加工を施すことにより形成される。4つの突起622は、下側弾性コンタクト5の中央部52の本体部521の上面と対向する位置に形成されている。外力によって中央部62が下方に変位すると、4つの突起622が本体部521の上面と接触し、上側弾性コンタクト6と下側弾性コンタクト5とが導通し、プッシュスイッチ1が第1の導通状態を取る。第1の導通状態において外力がさらに印加されると、4つの突起622が本体部521の上面を下方に押圧し、中央部52を下方に変位させる。
【0061】
バネ部63は、中央部62が支持部61に対して上下方向に変位可能となるよう、支持部61と中央部62とを接続する部分である。バネ部63は、円弧状の本体部631と、本体部631の一端部と支持部61とを接続する第1の接続部632と、本体部631の他端部と中央部62とを接続する第2の接続部633と、を備えている。本体部631は、支持部61の本体部611と中央部62の本体部621との間に、本体部611および本体部621と離間して位置している。本体部631は、リング形状の一部を切り欠くことにより得られる円弧形状を有しており、切り欠き部分を介して対向する一対の部分が、本体部631の両端部となっている。また、本体部631は、本体部611および本体部621と同心となっている。
【0062】
第1の接続部632は、支持部61の本体部611の内側面から、バネ部63の本体部631の一方の端部に向かって、本体部631の径方向に直線状に延伸する板状部分であり、本体部631の一端部と支持部61とを接続している。第2の接続部633は、本体部631の他端部から中央部62の本体部621に向かって、本体部631の径方向に直線状に延伸する板状部分であり、本体部631の他端部と中央部62とを接続している。
【0063】
上側弾性コンタクト6がケース2の底板21上に載置された状態において、中央部62に対して下方に向かって外力が印加されると、バネ部63の本体部631が弾性変形し、中央部62が支持部61に対する初期位置から下方に変位する。中央部62に対して印加されている外力が解除されると、本体部631が、自身の弾性によって弾性復元し、中央部62が支持部61に対する初期位置に戻る。なお、自然状態において、支持部61の本体部611、中央部62の本体部621、およびバネ部63が略同一平面上に位置している。
【0064】
図5に戻り、キャップ7は、エラストマー樹脂、シリコーンスポンジ、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、天然ゴム、シリコーンゴム等の軟質の弾性材料から形成され、ケース2の収納部23内に、上側弾性コンタクト6を上方から覆うよう設けられた部材である。典型的には、キャップ7は、シリコーンゴムによって形成される。キャップ7は、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行する際、急激に弾性変形し、自身の急激な弾性変形により、ユーザーに第1のクリック感を提供する機能を有している。
【0065】
図5および図13に示されているように、キャップ7は、ケース2の収納部23内に載置されるベース部71と、ベース部71から上方に突出するテーパー状の突出部72と、突出部72から上方に延伸する円錐台部73と、円錐台部73の下面から下方に向かって突出する円柱状の下方突出部74と、下方突出部74の下面から下方に突出する円錐台状の押圧部75と、を備えている。
【0066】
ベース部71は、リング状の本体部711と、本体部711の外縁部から下方に向かって突出するリング状の脚部712と、を備えている。本体部711は、ケース2の収納部23の内側面によって規定される円筒空間の径と略等しい外径のリング形状を有している。図15に示されているように、本体部711のリング形状の縁の幅(XY平面内での縁の幅)は、ケース2の収納部23の内側面と第2の台座218の外側面との間の離間距離よりも大きくなっている。そのため、キャップ7を収納部23内に収納した際、本体部711は、第2の台座218の上面上に載置された上側弾性コンタクト6の本体部611上に載置される。
【0067】
図13に戻り、脚部712は、本体部711の外縁部を取り囲むように形成され、本体部711の外縁部から下方に向かって突出する、本体部711と同心のリング状部分である。また、図15に示されているように、脚部712のリング形状の縁の厚さ(XY平面内での縁の幅)は、ケース2の収納部23の内側面と第2の台座218の外側面との間の離間距離以下となっている。さらに、脚部712の下方への突出量(縁のZ方向の長さ)は、ケース2の第1の台座214からの第2の台座218の上方への突出量(第2の台座218の高さ)と略等しくなっている。そのため、キャップ7を収納部23内に収納した際、脚部712は、ケース2の収納部23の内側面と第2の台座218の外側面との間の空間内に収納される。また、この状態において、脚部712は、ケース2の凹部215内に収納されている下側弾性コンタクト5のベース部513および接触部514、並びに、上側弾性コンタクト6の接触部614(図12参照)上に載置される。
【0068】
このように、ケース2の収納部23内において、脚部712は、下側弾性コンタクト5のベース部513および接触部514を上側から抑え、下側弾性コンタクト5の支持部51を収納部23内において固定している。そのため、収納部23内での下側弾性コンタクト5での上下方向へのガタつきが防止される。また、収納部23内において、本体部711は、上側弾性コンタクト6の本体部611を上側から抑え、さらに、脚部712は、上側弾性コンタクト6の接触部614を上側から抑え、上側弾性コンタクト6の支持部61を収納部23内において固定している。そのため、収納部23内での上側弾性コンタクト6での上下方向へのガタつきが防止される。
【0069】
図5および図13に戻り、突出部72は、ベース部71の本体部711の内縁部から上方に向かって突出するテーパー部分である。突出部72は、下側から上側に向かって径が漸減する中空のテーパー形状を有している。また、突出部72は、ベース部71と同心に設けられている。突出部72に対して、円錐台部73を介して、突出部72の形状(厚さ、テーパー角等)や材料から決定される所定の値以上の下向きの外力が印加されると、突出部72は、急激に下方に弾性変形する。このような突出部72の急激な弾性変形によって、ユーザーに対して、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行する際の第1のクリック感を提供することができる。
【0070】
円錐台部73は、突出部72の上端部から上方に向かって突出する部分である。円錐台部73は、下方から上方に向かって径が漸減し、かつ、上面および下面が高さ方向(Z方向)に対して垂直な平坦面である円錐台形状を有している。また、円錐台部73は、ベース部71および突出部72と同心に設けられている。下方突出部74は、円錐台部73の下面から下方に突出する円柱部分である。また、下方突出部74は、円錐台部73と同心に設けられており、さらに、下方突出部74の径は、円錐台部73の下面の径よりも小さい。押圧部75は、下方突出部74の下面から下方に突出する円錐台部分である。押圧部75の径は、上側から下側に向かって漸減しており、さらに、押圧部75の下面は、高さ方向(Z方向)に対して垂直な平坦面となっている。図15に示されているように、自然状態において、押圧部75は、上側弾性コンタクト6の中央部62の本体部611と間隙を介して対向している。
【0071】
図5に戻り、カバー8は、ケース2に上側から取り付けられ、ケース2とカバー8との間でキャップ7を挟持する機能を有している。図5および図14に示されているように、カバー8は、下方に向かって開放する箱状部材であり、矩形状の上板81と、上板81の外縁部から下方に向かって直線状に延伸する4つの壁部82と、を備えている。
【0072】
上板81は、ケース2の底板21に対応した矩形形状を有する板状部分である。上板81は、上板81の上面から上方に突出するよう形成された押圧部811を備えている。押圧部811は、上板81の上面から上方に突出する円形部分である。図15に示されているように、押圧部811の径は、キャップ7の円錐台部73の上面の径よりも大きい。また、カバー8をケース2に取り付けた状態において、押圧部811は、ケース2の収納部23と同心となっている。押圧部811は、ユーザーがプッシュスイッチ1に対して押圧力を印加する際に、押圧力を印加すべき箇所をユーザーに示すインデックスとして機能する。
【0073】
図14に戻り、4つの壁部82のそれぞれは、上板81の外縁部から下方に向かって直線状に延伸する板状部分である。4つの壁部82のそれぞれは、下端部に形成された第1の切り欠き部821と、内側面上に形成されたガイド溝822と、を備えている。第1の切り欠き部821は、カバー8が、ケース2から外部に露出する中央固定接点31の端子部311、第1の外側固定接点32の端子部321、第2の外側固定接点33の端子部331、および第3の外側固定接点34の341と干渉することを防止するために形成されている。
【0074】
ガイド溝822は、壁部82の内側面上であって、壁部82の長尺方向の略中央部において、上端から下端まで直線長に延伸する溝である。カバー8をケース2に取り付けた際、ケース2の中央ガイド24がガイド溝822と係合し、さらに、外側ガイド25が壁部82の内側面と接触する。このような構成により、カバー8のケース2に対するスライド移動をガイドすると共に、ケース2に対するカバー8のガタつきを防止している。
【0075】
さらに、図14に示されているように、+Y方向および-Y方向に位置する2つの壁部82のそれぞれは、下端部に形成された第2の切り欠き部823を備えている。第2の切り欠き部823は、カバー8が、ケース2の壁部22から外部に突出する方向インデックス28と干渉することを防止するために形成されている。さらに、+X方向および-X方向に位置する2つの壁部82のそれぞれは、自身の内面上に形成された一対のストッパー824を備えている。一対のストッパー824は、壁部82の内側面の下端部であって、壁部82の長尺方向の両端部にそれぞれ形成されている。一対のストッパー824のそれぞれは、上側から下側に向かって幅(X方向の長さ)が漸減するテーパー形状を有している。一対のストッパー824のそれぞれの上面は、高さ方向(Z方向)に対して垂直な平坦面であり、一対のストッパー824のそれぞれの下面は、内側上方に向かって延伸する傾斜面となっている。
【0076】
カバー8をケース2に取り付ける際、ストッパー824の下面が、ケース2のストッパー26の上面上をスライドし、+X方向および-X方向に位置する2つの壁部82が外側に開いていく。ストッパー824が、ストッパー26を乗り越えると、+X方向および-X方向に位置する2つの壁部82が内側に弾性復元し、カバー8がケース2に対して取り付けられる。このような、ストッパー824とストッパー26によるスナップフィットによって、カバー8がケース2に取り付けられる。また、ストッパー824の上面が、ストッパー26の下面と係合するので、ケース2からのカバー8の離脱が防止される。
【0077】
次に、このようなプッシュスイッチ1の組立手順について詳述する。最初に、可動接点4の4つの支持部43が、ケース2の4つの4つのガイド溝27内にそれぞれ挿入されるように、ケース2の収納部23に対する可動接点4の位置決めを実行し、可動接点4を収納部23内に収納する。次に、下側弾性コンタクト5のベース部513および接触部514が、ケース2の凹部215内に挿入されるように、収納部23に対する下側弾性コンタクト5の位置決めを実行し、下側弾性コンタクト5を収納部23内に収納する。
【0078】
次に、上側弾性コンタクト6のベース部613がケース2のガイド溝27内に挿入され、かつ、上側弾性コンタクト6の接触部614がケース2の凹部215内に挿入されるように、収納部23に対する上側弾性コンタクト6の位置決めを実行し、上側弾性コンタクト6を収納部23内に収納する。次に、キャップ7のベース部71の脚部712が、ケース2の収納部23の内側面と第2の台座218の外側面との間に挿入されるように、収納部23に対するキャップ7の位置決めを実行し、キャップ7を収納部23内に収納する。最後に、カバー8を上側からケース2に押し込み、カバー8のストッパー824とケース2のストッパー26によるスナップフィットによって、カバー8がケース2に取り付けられる。
【0079】
次に、図15図18を参照して、プッシュスイッチ1の動作について説明する。プッシュスイッチ1のカバー8の押圧部811に対してユーザーによって押圧力が印加されていない場合、プッシュスイッチ1は、図15に示す自然状態を取る。自然状態において、キャップ7の押圧部75は、間隙を介して、上側弾性コンタクト6の中央部62の本体部621と対向しており、本体部621と接触していない。さらに、自然状態において、上側弾性コンタクト6の4つの突起622は、間隙を介して、下側弾性コンタクト5の本体部521と対向しており、本体部521と接触していない。すなわち、自然状態において、第2の外側固定接点33と第3の外側固定接点34は、非導通状態となっている。
【0080】
自然状態において、可動接点4は、上に凸となっており、第1の位置を取っている。第1の位置において、可動接点4の支持部43の1つは、第1の外側固定接点32の露出部322と接触している。一方、可動接点4の中央可動部41は、間隙を介して、中央固定接点31の接触部313と対向しており、接触部313と接触していない。すなわち、自然状態において、中央固定接点31と第1の外側固定接点32は、非導通状態となっている。このように、自然状態において、第2の外側固定接点33と第3の外側固定接点34は、導通されておらず、さらに、中央固定接点31と第1の外側固定接点32も、導通されていない。
【0081】
さらに、下側弾性コンタクト5の押圧部522は、間隙を介して、可動接点4の中央可動部41と対向しており、中央可動部41と接触していない。すなわち、自然状態において、中央固定接点31と第2の外側固定接点33は、非導通状態となっている。
【0082】
自然状態において、ユーザーが、カバー8の押圧部811に対して、第1の作動力以上の押圧力を印加し、第1の押圧操作(半押し操作)を行った際、プッシュスイッチ1は、自然状態から、図16に示す第1の導通状態に移行する。プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行する際、キャップ7の突出部72が急激に弾性変形する。突出部72の急激な弾性変形により、ユーザーに対して、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行する際の第1のクリック感が提供される。
【0083】
図16に示されているように、第1の導通状態において、キャップ7の押圧部75は、上側弾性コンタクト6の中央部62の本体部621を上から押圧している。この結果、上側弾性コンタクト6のバネ部63が下方に弾性変形し、上側弾性コンタクト6の支持部61に対して、中央部62が下方に変位している。また、中央部62が下方に変位した結果、上側弾性コンタクト6の4つの突起622が、下側弾性コンタクト5の本体部521と接触する。そのため、第1の導通状態において、下側弾性コンタクト5および上側弾性コンタクト6を介して、第2の外側固定接点33と第3の外側固定接点34が導通する。
【0084】
さらに、第1の導通状態において、可動接点4は、上に凸となっており、第1の位置を取っている。可動接点4の中央可動部41は、間隙を介して、中央固定接点31の接触部313と対向しており、接触部313と接触していない。すなわち、第1の導通状態において、中央固定接点31と第1の外側固定接点32は、非導通状態となっている。このように、第1の導通状態において、第2の外側固定接点33と第3の外側固定接点34は、導通されており、さらに、中央固定接点31と第1の外側固定接点32は、導通されていない。なお、第1の導通状態において、ユーザーが、カバー8の押圧部811に対して印加している押圧力を解除すると、プッシュスイッチ1は、キャップ7の突出部72、下側弾性コンタクト5のバネ部53、および/または上側弾性コンタクト6のバネ部63の弾性復元力によって、自然状態に戻る。
【0085】
なお、図16に示す状態では、上側弾性コンタクト6の4つの突起622が、下側弾性コンタクト5の中央部52の本体部521を下方に押圧している。この結果、下側弾性コンタクト5のバネ部53が下方に弾性変形し、下側弾性コンタクト5の支持部51に対して、中央部52が下方に変位している。また、中央部52が下方に変位した結果、下側弾性コンタクト5の押圧部522が、可動接点4の中央可動部41と接触している。そのため、第1の外側固定接点32と第2の外側固定接点33が導通し、さらに、第1の外側固定接点32と第3の外側固定接点34が導通している。しかしながら、第1の導通状態は、第2の外側固定接点33と第3の外側固定接点34が導通し、かつ、中央固定接点31と第1の外側固定接点32が導通されていない状態を指し、第1の外側固定接点32と第2の外側固定接点33の間の導通、および、第1の外側固定接点32と第3の外側固定接点34との間の導通が確立されていなくともよい。
【0086】
第1の導通状態において、ユーザーが、カバー8の押圧部811に対して、さらに、第2の作動力以上の押圧力を印加し、第2の押圧操作(全押し操作)を行った際、プッシュスイッチ1は、第1の導通状態から、図17に示す第2の導通状態に移行する。プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際、可動接点4の中央可動部41が急激に弾性変形する。中央可動部41の急激な弾性変形により、ユーザーに対して、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際の第2のクリック感が提供される。
【0087】
第2の導通状態において、キャップ7の押圧部75、上側弾性コンタクト6の中央部62の4つの突起622、および下側弾性コンタクト5の中央部52の押圧部522を介して、ユーザーからの押圧力が、可動接点4の中央可動部41に伝達され、中央可動部41が下方に弾性変形する。また、中央可動部41が下方に弾性変形した結果、中央可動部41が、中央固定接点31の接触部313と接触する。そのため、第2の導通状態において、可動接点4を介して、中央固定接点31と第1の外側固定接点32が導通する。このように、第2の導通状態において、第2の外側固定接点33と第3の外側固定接点34は、導通されており、さらに、中央固定接点31と第1の外側固定接点32も、導通されている。なお、第2の導通状態において、ユーザーが、カバー8の押圧部811に対して印加している押圧力を解除すると、プッシュスイッチ1は、キャップ7の突出部72、下側弾性コンタクト5のバネ部53、上側弾性コンタクト6のバネ部63、および可動接点4の中央可動部41の弾性復元力によって、自然状態に戻る。
【0088】
図18は、上述した動作を実行するプッシュスイッチ1の荷重-変位グラフ(F-S曲線)を示している。図18にグラフの縦軸は、カバー8の押圧部811に対して加えられる荷重(押圧力)(N)であり、横軸は、カバー8のストローク量(下方への移動距離)(mm)である。図18に示されているように、押圧部811に対して加えられる荷重がプッシュスイッチ1を自然状態から第1の導通状態に移行させるための第1の作動力に到達するまで、カバー8を押し下げるために必要な荷重は徐々に増加する。押圧部811に対して加えられる荷重が第1の作動力に達すると、キャップ7の突出部72が急激に弾性変形し、カバー8を押し下げるために必要な荷重が急激に減少する。この結果、カバー8が急激に押し下げられることになり、ユーザーに、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行する際の第1のクリック感が提供される。
【0089】
第1のクリック感が提供された後、カバー8を押し下げるために必要な荷重は、上側弾性コンタクト6の中央部62が下側弾性コンタクト5の本体部521と接触し、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行すると、ストローク量の増加に応じて、再度増加する。押圧部811に対して加えられる荷重が、プッシュスイッチ1を第1の導通状態から第2の導通状態に移行させるための第2の作動力に到達するまで、カバー8を押し下げるために必要な荷重は徐々に増加する。
【0090】
押圧部811に対して加えられる荷重が第2の作動力に達すると、可動接点4の中央可動部41が急激に弾性変形し、カバー8を押し下げるために必要な荷重が急激に減少する。この結果、カバー8が急激に押し下げられることになり、ユーザーに、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際の第2のクリック感が提供される。第2のクリック感が提供された後、カバー8を押し下げるために必要な荷重は、中央可動部41が中央固定接点31の接触部313に接触し、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行すると、ストローク量の増加に応じて、急激に増加する。その後、押圧部811に対する荷重の印加が解除されると、キャップ7の突出部72、下側弾性コンタクト5のバネ部53、上側弾性コンタクト6のバネ部63、および可動接点4の中央可動部41の弾性復元力によって、カバー8が上方に押し上げられて、プッシュスイッチ1が自然状態に戻る。
【0091】
本実施形態のプッシュスイッチ1では、キャップ7は、シリコーンゴム等の軟質の弾性材料により構成されているので、キャップ7の下方への弾性変形可能量は、下側弾性コンタクト5のバネ部53の下方への弾性変形可能量および上側弾性コンタクト6のバネ部63の下方への弾性変形可能量よりも大幅に大きい。そのため、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行するまでのストローク長は、主として、上側弾性コンタクト6のバネ部63の下方への弾性変形可能量によって制限される。
【0092】
さらに、下側弾性コンタクト5のバネ部53の下方への弾性変形可能量と上側弾性コンタクト6のバネ部63の下方への弾性変形可能量との差は、大きなものではない。そのため、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行するまでのストローク長も、主として、下側弾性コンタクト5よりも上方に位置する上側弾性コンタクト6のバネ部63の下方への弾性変形可能量によって制限される。さらに、バネ部53の下方への弾性変形可能量およびバネ部63の下方への弾性変形可能量は、可動接点4の中央可動部41の下方への弾性変形可能量よりも、大幅に大きい。
【0093】
そのため、従来技術の欄で述べたような、可動接点4のようなドーム状の可動接点を2つ用いる2段動作のプッシュスイッチと比較して、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行するまでのストローク長、および、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行するまでのストローク長を長くすることができる。さらに、本実施形態のプッシュスイッチ1では、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行する際の第1のクリック感は、キャップ7の突出部72の急激な弾性変形によって提供され、さらに、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際の第2のクリック感は、可動接点4の中央可動部41の急激な弾性変形によって提供される。
【0094】
このように、本実施形態のプッシュスイッチ1では、ドーム状の可動接点と比較してより弾性変形可能量を有する下側弾性コンタクト5および上側弾性コンタクト6が、第1の導通状態を提供するために利用され、さらに、弾性材料によって形成されたキャップ7の突出部72の急激な弾性変形によって、第1のクリック感が提供される。さらに、可動接点4の中央可動部41の急激な弾性変形によって、プッシュスイッチ1が第1の導通状態から第2の導通状態に移行する際の第2のクリック感が提供される。そのため、ユーザーに対して第1のクリック感と第2のクリック感を提供すると共に、自然状態から第1の導通状態までのストローク長、および、第1の導通状態から第2の導通状態までの間のストローク長を十分に長くすることができる。特に、第1の導通状態から第2の導通状態までの間のストローク長が十分に長くなるので、ユーザーは、第1の押圧操作(半押し操作)と第2の押圧操作(全押し操作)とを容易に区別して実行することができる。
【0095】
また、図18から明らかなように、本実施形態のプッシュスイッチ1では、キャップ7の自然状態から第1の導通状態までの弾性変形量は、キャップ7および可動接点4のそれぞれの第1の導通状態から第2の導通状態までの弾性変形量よりも大きい。そのため、自然状態から第1の導通状態までのストローク長を長くすることができ、ユーザーが意図しないタイミングで、プッシュスイッチ1が自然状態から第1の導通状態に移行することを防止することができる。
【0096】
なお、上述の説明では、本実施形態のプッシュスイッチ1は、下側弾性コンタクト5と上側弾性コンタクト6とによって第1の導通状態が提供されるよう構成されていたが、本発明はこれに限られない。例えば、下側弾性コンタクト5を削除し、可動接点4と上側弾性コンタクト6とによって第1の導通状態が提供されるような態様もまた、本発明の範囲内である。
【0097】
この場合の第1の導通状態では、上側弾性コンタクト6の4つの突起622が、可動接点4の中央可動部41に接触し、可動接点4と上側弾性コンタクト6を介して、第1の外側固定接点32と第3の外側固定接点34が導通する。したがって、第1の導通状態は、第1の外側固定接点32と第3の外側固定接点34が導通し、かつ、中央固定接点31と第1の外側固定接点32が導通されていない状態を指す。第2の導通状態は、第1の外側固定接点32と第3の外側固定接点34が導通し、かつ、中央固定接点31と第1の外側固定接点32も導通されている状態を指す。
【0098】
なお、この場合、可動接点4の中央可動部41の上面と、上側弾性コンタクト6の4つの突起622との接触は、プッシュスイッチ1の動作上重要となる導通を提供する。そのため、可動接点4の下面と同様に、可動接点4の上面にも、前述のようなメッキ処理が施されている。
【0099】
<第2実施形態>
次に、図19を参照して、本発明の第2実施形態に係るプッシュスイッチを詳述する。図19は、本発明の第2実施形態に係るプッシュスイッチの断面図である。
【0100】
本実施形態のプッシュスイッチは、下側弾性コンタクト5の構成が変更されている点を除き、第1実施形態のプッシュスイッチ1と同様の構成を有している。そのため、本実施形態のプッシュスイッチについて、第1実施形態のプッシュスイッチ1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0101】
図19は、自然状態における、本実施形態のプッシュスイッチ1の断面図を示している。なお、図19中では、自然状態における、下側弾性コンタクト5と可動接点4との関係を示すため、下側弾性コンタクト5よりも上方に位置する上側弾性コンタクト6、キャップ7、およびカバー8が省略されている。
【0102】
前述の第1実施形態に係るプッシュスイッチ1では、図15に示されているように、自然状態において、下側弾性コンタクト5の中央部52の押圧部522が、間隙を介して、可動接点4の中央可動部41と対向しており、中央可動部41と接触していない。そのため、自然状態において、中央部52が懸架された状態となっており、プッシュスイッチ1に振動や衝撃等が印加された際に、中央部52が上下に振動し、中央可動部41に接触してしまう場合がある。中央部52の振動による中央可動部41に対する接触は、プッシュスイッチ1の不要なノイズ音を発生させてしまう。
【0103】
また、下側弾性コンタクト5の中央部52が懸架された状態では、ケース2の収納部23内における中央部52の上下位置が安定しない。収納部23内における中央部52の上下位置の不安定さは、プッシュスイッチ1を自然状態から第1の導通状態に移行させるためのストローク長、および、プッシュスイッチ1を第1の導通状態から第2の導通状態に移行させるためのストローク長を不安定にさせ、プッシュスイッチ1の動作を不安定にしてしまう。
【0104】
このような課題に対し、本実施形態のプッシュスイッチ1の下側弾性コンタクト5は、図19に示されているように、自然状態において、下側弾性コンタクト5の中央部52の押圧部522が、中央可動部41に接触し、中央可動部41上に載置されるよう、構成されている。より具体的には、高さ方向に直交する平坦面である押圧部522の下面が、中央可動部41に接触している。このような構成は、前述した第1実施形態の下側弾性コンタクト5の形状変更、例えば、下側弾性コンタクト5の3つの脚部512の長さや延伸角度を変更する、押圧部522の本体部521からの下方への突出量を変更する等により得ることができる。
【0105】
このような構成により、下側弾性コンタクト5の中央部52が下側から可動接点4の中央可動部41によって支持されるので、プッシュスイッチ1に振動や衝撃等が印加された場合であっても、中央部52と中央可動部41との接触によるノイズ音が生じない。さらに、ケース2の収納部23内における中央部52の上下位置が安定し、プッシュスイッチ1を自然状態から第1の導通状態に移行させるためのストローク長、および、プッシュスイッチ1を第1の導通状態から第2の導通状態に移行させるためのストローク長を安定させることができる。この結果、プッシュスイッチ1の動作を安定させることができる。
【0106】
以上、本発明の各実施形態のプッシュスイッチを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の各実施形態の各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、本発明の各実施形態の各構成に任意の構成のものを付加することができる。
【0107】
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明の各実施形態のプッシュスイッチの構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有するプッシュスイッチもまた、本発明の範囲内である。
【0108】
また、図3図17図19に示されたプッシュスイッチの構成要素の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の構成要素が追加若しくは組み合わされ、または任意の構成要素が削除された態様も、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0109】
1…プッシュスイッチ 2…ケース 21…底板 211…中央凹部 212…第1の端子用スペース 213…第2の端子用スペース 214…第1の台座 2141…間隙 215…凹部 216…第3の端子用スペース 217…第4の端子用スペース 218…第2の台座 22…壁部 23…収納部 24…中央ガイド 25…外側ガイド 26…ストッパー 27…ガイド溝 28…方向インデックス 3…固定接点 31…中央固定接点 311…端子部 312…露出部 313…接触部 314…埋設部 32…第1の外側固定接点 321…端子部 322…露出部 323…埋設部 33…第2の外側固定接点 331…端子部 332…露出部 333…埋設部 34…第3の外側固定接点 341…端子部 342…露出部 343…埋設部 4…可動接点 41…中央可動部 42…外縁部 43…支持部 5…下側弾性コンタクト 51…支持部 511…本体部 512…脚部 513…ベース部 514…接触部 5141…円形突起 52…中央部 521…本体部 522…押圧部 53…バネ部 531…本体部 532…第1の接続部 533…第2の接続部 6…上側弾性コンタクト 61…支持部 611…本体部 612…脚部 613…ベース部 614…接触部 6141…円形突起 62…中央部 621…本体部 622…突起 63…バネ部 631…本体部 632…第1の接続部 633…第2の接続部 7…キャップ 71…ベース部 711…本体部 712…脚部 72…突出部 73…円錐台部 74…下方突出部 75…押圧部 8…カバー 81…上板 811…押圧部 82…壁部 821…第1の切り欠き部 822…ガイド溝 823…第2の切り欠き部 824…ストッパー 500…プッシュスイッチ 501a…中央固定接点 501b…第1の外側固定接点 501c…第2の外側固定接点 502a、502b、502c…端子部 503…ケース 504…第1の可動接点 505…第2の可動接点 506…防塵テープ 507…カバー
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