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特開2024-130848媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130848
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/26 20190101AFI20240920BHJP
【FI】
G07D11/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040775
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 卓磨
(72)【発明者】
【氏名】上野 仁嗣
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA09
3E141DA08
3E141GA06
(57)【要約】
【課題】デバイスにエラーが発生した場合にエラー制御を効果的に行うこと。
【解決手段】媒体処理システムは、有価媒体の取引を行うデバイスとの間でミドルウェアを介して取引情報のやり取りをし、取引の情報処理を行うアプリケーション実行部と、有価媒体の取引の際に前記デバイスにエラーが発生した場合、ミドルウェアを介さずにエラーに関する情報のうちの第1のエラー情報を取得し、第1のエラー情報に基づいてエラーの解除処理を行うエラー処理部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有価媒体の取引を行うデバイスとの間でミドルウェアを介して取引情報のやり取りをし、前記取引の情報処理を行うアプリケーション実行部と、
前記有価媒体の取引の際に前記デバイスにエラーが発生した場合、前記ミドルウェアを介さずに前記エラーに関する情報のうちの第1のエラー情報を取得し、前記第1のエラー情報に基づいて前記エラーの解除処理を行うエラー処理部と、
を備える媒体処理システム。
【請求項2】
前記有価媒体の取引は、前記有価媒体の搬送処理を伴い、前記エラーの解除処理は、搬送された前記有価媒体の戻し先を決定する処理を含む請求項1に記載の媒体処理システム。
【請求項3】
前記第1のエラー情報は、搬送された前記有価媒体の位置の情報を含む請求項2に記載の媒体処理システム。
【請求項4】
前記エラー処理部は、前記有価媒体の位置の情報に基づいて、前記デバイスからの前記有価媒体の抜き取りを促す情報を出力する請求項3に記載の媒体処理システム。
【請求項5】
前記第1のエラー情報は、前記取引が確定したか否かの情報を含む請求項2~4のいずれかに記載の媒体処理システム。
【請求項6】
前記エラー処理部は、前記デバイスが直前に実行したコマンドの情報に基づいて、前記有価媒体の戻し先を決定する請求項2~5のいずれかに記載の媒体処理システム。
【請求項7】
前記有価媒体の戻し先は、ユーザおよび前記デバイスを含む請求項2~6のいずれかに記載の媒体処理システム。
【請求項8】
前記取引は入金であり、前記エラー処理部は、前記入金が確定した場合に、前記有価媒体の戻し先を前記デバイスに決定し、前記入金が確定していない場合に、前記有価媒体の戻し先を前記ユーザに決定する請求項7に記載の媒体処理システム。
【請求項9】
前記取引は出金であり、前記エラー処理部は、前記出金が確定した場合に、前記有価媒体の戻し先を前記ユーザに決定し、前記出金が確定していない場合に、前記有価媒体の戻し先を前記デバイスに決定する請求項7または8に記載の媒体処理システム。
【請求項10】
前記ミドルウェアは、標準規格に準拠している請求項1~9のいずれかに記載の媒体処理システム。
【請求項11】
前記標準規格は、Extensions for Financial Systemsの規格である請求項10に記載の媒体処理システム。
【請求項12】
前記ミドルウェアを実行するミドルウェア実行部をさらに備える請求項1~11のいずれかに記載の媒体処理システム。
【請求項13】
前記デバイスを備える請求項1~12のいずれかに記載の媒体処理システム。
【請求項14】
有価媒体の取引を行うデバイスとの間でミドルウェアを介して取引情報のやり取りをし、前記取引の情報処理を行うステップと、
前記有価媒体の取引の際に前記デバイスにエラーが発生した場合に、前記ミドルウェアを介さずに前記エラーに関する情報のうちの第1のエラー情報を取得し、前記第1のエラー情報に基づいて前記エラーの解除処理を行うステップと、
を含む媒体処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
有価媒体の取引を行うデバイスとの間でミドルウェアを介して取引情報のやり取りをし、前記取引の情報処理を行うステップと、
前記有価媒体の取引の際に前記デバイスにエラーが発生した場合に、前記ミドルウェアを介さずに前記エラーに関する情報のうちの第1のエラー情報を取得し、前記第1のエラー情報に基づいて前記エラーの解除処理を行うステップと、
を実行させる媒体処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融業界用のソフトウェアのポータビリティを向上させることを目的として、XFS(eXtensions for Financial Services)と呼ばれる標準規格が欧州標準化委員会により策定されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、この規格に対応したカード搬送システムが開示されている。このカード搬送システムでは、上位装置のアプリケーションが、ミドルウェアであるXFSマネージャおよびサービスプロバイダを介してカードリーダデバイスを制御する。XFSの標準規格は、紙幣処理デバイスや、硬貨処理デバイスなどにも利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-21569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、XFSの標準規格では、デバイスのエラー処理に関するコマンドが十分に規定されていない。そのため、デバイスにエラーが発生した場合、エラー制御を効果的に行うことが難しかった。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであって、デバイスにエラーが発生した場合にエラー制御を効果的に行うことができる媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本開示に係る媒体処理システムは、有価媒体の取引を行うデバイスとの間でミドルウェアを介して取引情報のやり取りをし、取引の情報処理を行うアプリケーション実行部と、有価媒体の取引の際に前記デバイスにエラーが発生した場合、ミドルウェアを介さずにエラーに関する情報のうちの第1のエラー情報を取得し、第1のエラー情報に基づいてエラーの解除処理を行うエラー処理部と、を備える。
【0008】
また、本開示における媒体処理方法は、有価媒体の取引を行うデバイスとの間でミドルウェアを介して取引情報のやり取りをし、取引の情報処理を行うステップと、有価媒体の取引の際にデバイスにエラーが発生した場合に、ミドルウェアを介さずにエラーに関する情報のうちの第1のエラー情報を取得し、第1のエラー情報に基づいてエラーの解除処理を行うステップと、を含む。
【0009】
また、本開示における媒体処理プログラムは、コンピュータに、有価媒体の取引を行うデバイスとの間でミドルウェアを介して取引情報のやり取りをし、取引の情報処理を行うステップと、有価媒体の取引の際に前記デバイスにエラーが発生した場合に、ミドルウェアを介さずにエラーに関する情報のうちの第1のエラー情報を取得し、第1のエラー情報に基づいてエラーの解除処理を行うステップと、を実行させる。
【0010】
これにより、ミドルウェアが第1のエラー情報を取り扱う機能を有していない場合であっても、本開示における媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラムを含む解決手段は、エラー制御を効果的に行うことができる。
【0011】
なお、前記解決手段は、以下の特徴の1つ、または複数を、矛盾のない、かつ合理的な範囲で組み合わせてもよい。
【0012】
すなわち、前記デバイスは、有価媒体を搬送する搬送部を備えてもよい。また、前記デバイスは、有価媒体の種類を識別する識別部を備えてもよい。また、前記デバイスは、有価媒体を収納する収納部を備えてもよい。
【0013】
前記有価媒体の取引は、有価媒体の搬送処理を伴い、エラーの解除処理は、搬送された有価媒体の戻し先を決定する処理を含んでもよい。
【0014】
これにより、ミドルウェアが第1のエラー情報を取り扱う機能を有していない場合であっても、前記解決手段は有価媒体の戻し先を決定することができる。
【0015】
前記第1のエラー情報は、搬送された有価媒体の位置の情報を含んでもよい。
【0016】
前記デバイスの搬送部には、有価媒体の有無を検知するセンサが設けられ、前記デバイスは、センサの出力信号を検出することにより、有価媒体の位置の情報を生成してもよい。
【0017】
これにより、前記解決手段は、デバイス内に留まる有価媒体の位置を容易に検出でき、エラーの解除処理を効果的に行うことができる。
【0018】
前記エラーの解除処理は、有価媒体の位置の情報に基づいて、デバイスからの有価媒体の抜き取りを促す情報を出力する処理を含んでもよい。
【0019】
これにより、前記解決手段は、ユーザまたは媒体処理システムの管理者にデバイスからの有価媒体の抜き取りを効果的に促すことができる。
【0020】
前記第1のエラー情報は、取引が確定したか否かの情報を含んでもよい。
【0021】
これにより、前記解決手段は、取引が確定したか否かに応じて、有価媒体の戻し先を容易に決定することができる。
【0022】
前記エラーの解除処理は、デバイスが直前に実行したコマンドの情報に基づいて、有価媒体の戻し先を決定する処理を含んでもよい。
【0023】
これにより、前記解決手段は、デバイスが直前に実行したコマンドの種別に応じて、有価媒体の戻し先を容易に決定することができる。
【0024】
前記有価媒体の戻し先は、ユーザおよびデバイスを含んでもよい。
【0025】
これにより、前記解決手段は、有価媒体の戻し先を、ユーザまたは媒体処理システムの管理者に決定することができる。
【0026】
前記取引は入金であり、エラーの解除処理は、入金が確定した場合に、有価媒体の戻し先をデバイスに決定し、入金が確定していない場合に、有価媒体の戻し先をユーザに決定する処理を含んでもよい。
【0027】
前記取引が入金である場合、デバイスは、入金口から取り込まれ、識別部で金種が識別され、さらに収納部に収納された有価媒体を入金の取引が確定された有価媒体と判定し、それ以外の有価媒体を入金の取引が確定していない有価媒体と判定してもよい。
【0028】
これにより、前記解決手段は、取引が入金である場合に、有価媒体の戻し先を適切に決定することができる。
【0029】
前記取引は出金であり、エラーの解除処理は、出金が確定した場合に、有価媒体の戻し先をユーザに決定し、出金が確定していない場合に、有価媒体の戻し先をデバイスに決定する処理を含んでもよい。
【0030】
前記取引が出金である場合、デバイスは、エラーが発生する前に収納部から繰り出され、出金口に払い出された有価媒体を出金の取引が確定された有価媒体と判定し、それ以外の有価媒体を出金の取引が確定していない有価媒体と判定してもよい。
【0031】
これにより、前記解決手段は、取引が出金である場合に、有価媒体の戻し先を適切に決定することができる。
【0032】
前記ミドルウェアは、標準規格に準拠していてもよい。
【0033】
前記第1のエラー情報は、標準規格に準拠しないメッセージであってもよい。
【0034】
これにより、ミドルウェアが準拠する標準規格が、第1のエラー情報を取り扱う機能を有していない場合であっても、前記解決手段はエラー制御を効果的に行うことができる。
【0035】
上記標準規格は、Extensions for Financial Systemsの規格であってもよい。
【0036】
これにより、ミドルウェアが準拠する標準規格が、第1のエラー情報を取り扱う機能を有していないExtensions for Financial Systemsの規格であっても、前記解決手段はエラー制御を効果的に行うことができる。
【0037】
前記解決手段は、ミドルウェアを実行するミドルウェア実行部をさらに備えてもよい。
【0038】
これにより、前記解決手段が、ミドルウェアを実行するミドルウェア実行部を備える場合であっても、エラー制御を効果的に行うことができる。
【0039】
前記解決手段は、前記デバイスを備えてもよい。
【0040】
これにより、前記解決手段が、前記デバイスを備える場合であっても、エラー制御を効果的に行うことができる。
【0041】
前記解決手段は、ミドルウェアを介して、エラーに関する情報のうちの第2のエラー情報を取得してもよい。第2のエラー情報は、標準規格に準拠したメッセージであってもよい。第2のエラー情報は、エラーが発生したデバイスを示す識別情報を含んでもよい。
【発明の効果】
【0042】
本開示に係る媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラムは、デバイスにエラーが発生した場合にエラー制御を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本実施の形態に係る媒体処理システムを前方から見た場合の外観の一例を示す図である。
図2図2は、媒体処理システムを後方から見た場合の外観の一例を示す図である。
図3図3は、紙幣デバイスの内部構造の一例を示す図である。
図4図4は、媒体処理システムの機能ブロックの一例を示すブロック図である。
図5図5は、コンピュータとしての媒体処理システムのソフトウェア構成の一例を示す図である。
図6図6は、コンピュータとしての媒体処理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
図7図7は、デバイスにエラーが発生した場合に媒体処理システムが行うエラー解除処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、紙幣デバイスがユーザ向けに出力する媒体抜取情報の一例を示す図である。
図9図9は、戻し先の決定ルールの一例を示す図である。
図10図10は、紙幣デバイスがユーザ向けに出力する戻し先情報の一例を示す図である。
図11図11は、バラ硬貨デバイスが媒体処理システムの管理者向けに出力する戻し先情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本実施の形態に係る媒体処理システム100を前方から見た場合の外観の一例を示す図である。なお、図1には媒体処理システム100を基準とした前後左右方向が示されており、本明細書ではこの方向に基づいて説明を行う。
【0045】
媒体処理システム100は、銀行などの金融機関の店舗(金融店舗)またはコンビニエンスストアなどの店舗(流通店舗)などを含む各種施設に設置される。媒体処理システム100は、各種の有価媒体を対象とした取引に関する各種の処理を行う装置である。
【0046】
有価媒体の具体例としては、例えば紙幣(banknotes)、硬貨(coins)、小切手(cheque)などが挙げられる。硬貨には包装硬貨(rolled coins)とバラ硬貨(loose coins)が含まれる。紙幣には帯封紙幣(bound notes)とバラ紙幣(loose notes)が含まれてもよい。取引の具体例としては、入金、出金、両替、振込などが挙げられる。
【0047】
媒体処理システム100は、包装硬貨を対象とした取引に関する処理を行う包装硬貨デバイス2と、バラ紙幣を対象とした取引に関する処理を行う紙幣デバイス3と、バラ硬貨を対象とした取引に関する処理を行うバラ硬貨デバイス4と、小切手を対象とした取引に関する処理を行う小切手デバイス5と、媒体処理システム100により正常に識別されなかった有価媒体が入った封筒が投入されるドロップボックス6とを備える。
【0048】
包装硬貨デバイス2、紙幣デバイス3、バラ硬貨デバイス4、小切手デバイス5、およびドロップボックス6は、左右方向に沿って一列に並べられた状態でハウジング1に収められる。
【0049】
図1に示す例では、媒体処理システム100を基準として見た場合に、右から左に向かって、包装硬貨デバイス2、紙幣デバイス3、小切手デバイス5、バラ硬貨デバイス4、ドロップボックス6がこの順に配置されている。さらに、帯封紙幣を対象とした取引に関する処理を行う帯封紙幣デバイスを備えてもよい。帯封紙幣デバイスは、包装硬貨デバイス2と紙幣デバイス3の間に配置されてもよい。
【0050】
ハウジング1の前面には、各デバイスの入金口および出金口の少なくとも1つが設けられている。包装硬貨デバイス2は、包装硬貨の出金を行う出金口22を有する。出金口22には出金口22を開閉するシャッター22Sが設けられている。
【0051】
紙幣デバイス3は、紙幣を受け付ける入金口31および紙幣の出金を行う出金口32を有する。入金口31には入金口31を開閉するシャッター31Sが、出金口32には出金口32を開閉するシャッター32Sが、それぞれ設けられている。
【0052】
バラ硬貨デバイス4は、バラ硬貨を受け付ける入金口41およびバラ硬貨の出金を行う出金口42を有する。入金口41には入金口41を開閉するシャッター41Sが、出金口42には出金口42を開閉するシャッター42Sがそれぞれ設けられている。
【0053】
小切手デバイス5は、小切手を受け付ける入金口51および小切手を繰り出す出金口52を有する。入金口51には入金口51を開閉するシャッター51Sが、出金口52には出金口52を開閉するシャッター52Sが、それぞれ設けられている。なお、出金口52は、入金口51から投入された小切手を返却するための投出口であってもよい。
【0054】
なお、図1では各入金口および各出金口にそれぞれシャッターが設けられている例を示したが、本開示では各入金口または各出金口にシャッターが設けられなくてもよい。
【0055】
また、ドロップボックス6は、正常に識別されなかった有価媒体が入った封筒の投入を受け入れる受入口61を有する。受入口61には、ロック付きのシャッターが設けられてもよい。
【0056】
ハウジング1の前面には、媒体処理システム100のユーザーインターフェースとして、フロントディスプレイFDと、ピンパッドPPが設けられている。
【0057】
フロントディスプレイFDは、タッチパッドと薄型ディスプレイとが重ねられた構造(タッチパネル)を有し、ユーザに対する各種の表示と、ユーザによる入力操作の受付とを行う。
【0058】
ピンパッドPPは、ユーザによるPIN(personal identification number)の入力を受け付ける。ピンパッドPPは、例えばテンキーである。なお、ユーザとは、媒体処理システム100を用いて取引を行う人物を意味しており、例えば媒体処理システム100が設置された施設を利用する顧客である。
【0059】
図1に示す例では、フロントディスプレイFDおよびピンパッドPPは、左右方向において、紙幣デバイス3に対応する位置に設けられている。
【0060】
例えば、フロントディスプレイFDは、紙幣デバイス3の上側に設けられ、ピンパッドPPは、紙幣デバイス3の入金口31または出金口32に隣接して設けられる。フロントディスプレイFDおよびピンパッドPPは、紙幣デバイス3を利用している最中のユーザにより操作しやすい位置に設けられている。
【0061】
また、ハウジング1の前面には、カードリーダCaR、コードリーダCoR、レシートプリンタRP、A4プリンタAP、カメラCam、およびNFC読取機NMが設けられている。
【0062】
カードリーダCaRは、例えば銀行口座のキャッシュカードやクレジットカードなどの読み取りを行う。コードリーダCoRは、バーコードや2次元コードなどの読み取りを行う。
【0063】
レシートプリンタRPおよびA4プリンタAPは、ユーザが媒体処理システム100を用いて行った処理の結果に関する情報などを印刷してユーザに提供する。
【0064】
カメラCamは、媒体処理システム100を利用するユーザや媒体処理システム100の管理者の顔などを撮影し、処理の履歴情報の一部とする。また、カメラCamは、ユーザや管理者の顔認証に利用される顔画像データを生成するために用いられてもよい。
【0065】
媒体処理システム100の管理者とは、媒体処理システム100および有価媒体を管理する人物であり、例えば媒体処理システム100が設置された施設の従業員などである。
【0066】
NFC読取機NMは、例えばユーザが有する携帯端末(スマートフォンやタブレット端末など)との間でNFC(Near Field Communication)による通信を行う。
【0067】
図2は、媒体処理システム100を後方から見た場合の外観の一例を示す図である。ハウジング1の後面には、包装硬貨デバイス2のドア25、紙幣デバイス3のドア35、バラ硬貨デバイス4のドア45、小切手デバイス5のドア55、およびドロップボックス6のドア65が設けられている。これらのドア25、35、45、55、65により、媒体処理システム100の管理者などは、各デバイスの内部にアクセスすることができる。
【0068】
各ドア25、35、45、55、65は、ロック26、36、46、56、66により施錠が可能である。紙幣デバイス3およびドロップボックス6は、ロック36、66を解除するための暗証番号を入力するためのキー入力デバイス361、661を有していてもよい。
【0069】
また、図2に示す例では、紙幣デバイス3と小切手デバイス5との間に、コントローラーボックス7が設けられている。コントローラーボックス7には、後に説明する制御部10に対応するコントローラーが収納される。コントローラーボックス7は、ドア75およびロック76を有する。
【0070】
紙幣デバイス3、バラ硬貨デバイス4、および小切手デバイス5の上側には、ペリフェラルデバイスボックス(peripheral device box)8が設けられている。
【0071】
ペリフェラルデバイスボックス8には、図1に示すフロントディスプレイFD、ピンパッドPP、カードリーダCaR、コードリーダCoR、レシートプリンタRP、A4プリンタAP、カメラCam、NFC読取機NMなどの本体部が収められている。ペリフェラルデバイスボックス8は、ドア85およびロック86を有する。
【0072】
また、ハウジング1の後面における紙幣デバイス3の上側には、リアディスプレイRDが設けられている。リアディスプレイRDは、フロントディスプレイFDと同様に、タッチパッドと薄型ディスプレイとが重ねられた構造(タッチパネル)を有する。リアディスプレイRDは、管理者に対する各種の表示と、管理者による入力操作の受付とを行うことができる。
【0073】
次に、媒体処理システム100が備える各デバイスの内部構造の一例として、紙幣デバイス3の内部構造について説明する。図3は、紙幣デバイス3の内部構造の一例を示す図である。紙幣デバイス3は、搬送部33と、識別部34と、収納部37と、を備える。
【0074】
搬送部33は、入金口31、出金口32、および収納部37の間で、紙幣を搬送する。搬送部33は、例えばベルトおよびローラーで構成される。入金口31から繰り出された紙幣は、搬送部33により、出金口32、収納部37のいずれかに搬送される。
【0075】
識別部34は、搬送部33の経路上、かつ入金口31の近くに配置されており、入金口31から繰り出された紙幣の金種、正損、真偽などを識別する。
【0076】
収納部37は、紙幣を収納する。収納部37は、一度収納した紙幣を繰り出すことができるように構成されたリサイクル部と、一度収納した紙幣を繰り出すことができないように構成された回収部と、を含んでもよい。
【0077】
さらに、収納部37は、取引に関する処理が完了するまでの間、一時的に紙幣を収納する、繰り出し可能な一時保留部を含んでもよい。また、収納部37は、複数の収納庫を備え、金種毎に収納される収納庫があらかじめ決められていてもよい。
【0078】
また、搬送部33の各部には、紙幣の有無を検知するセンサSが設けられている。紙幣デバイス3は、センサSの出力信号を検出することにより、搬送されている紙幣の位置を判定する。
【0079】
例えば、紙幣デバイス3は、出金口32の入り口に設けられたセンサSの出力を検出することにより、搬送されている紙幣が出金口32に払い出されたか否かを判定する。また、紙幣デバイス3は、収納部37の入り口に設けられたセンサSの出力を検出することにより、搬送されている紙幣が収納部37に収納されたか否かを判定する。
【0080】
紙幣デバイス3以外のデバイス、すなわち包装硬貨デバイス2、バラ硬貨デバイス4、および小切手デバイス5は、上述した紙幣デバイス3と同様のまたは類似した内部構造、あるいは既知の内部構造を有する。また、ドロップボックス6の内部構造も既知のものであり、具体的には、図1に示した受入口61から投入された封筒を収納する収納部を有する。
【0081】
このため、包装硬貨デバイス2、バラ硬貨デバイス4、小切手デバイス5、およびドロップボックス6については内部構造の詳細な説明は省略する。
【0082】
図4は、媒体処理システム100の機能ブロックの一例を示すブロック図である。制御部10は、媒体処理システム100が有する各構成の制御を行うプロセッサである。記憶部11は、制御部10が実行する処理に必要な各種データ、およびプログラムなどを記憶するメモリなどの記憶装置である。
【0083】
制御部10は、アプリケーション実行部10a、エラー処理部10b、およびミドルウェア実行部10cを備える。
【0084】
アプリケーション実行部10aは、有価媒体の取引を行うデバイスとの間でミドルウェアを介して取引情報のやり取りをし、取引に関する情報処理を行うアプリケーションを実行する。
【0085】
有価媒体の取引を行うデバイスとは、包装硬貨デバイス2、紙幣デバイス3、バラ硬貨デバイス4、小切手デバイス5、ドロップボックス6、カードリーダCaRなどのデバイスである。
【0086】
取引に関する情報処理を行うアプリケーションとは、例えば、媒体処理システム100を運営する銀行などにより開発されたアプリケーションである。アプリケーション実行部10aは、その他のアプリケーションも実行する。
【0087】
エラー処理部10bは、有価媒体の取引の際にデバイスにエラーが発生した場合に、ミドルウェアを介さずにエラーに関する情報のうちの第1のエラー情報を取得し、第1のエラー情報に基づいてエラーの解除処理を行う。この処理については後に詳しく説明する。
【0088】
ミドルウェア実行部10cは、制御部10が実行するアプリケーションとデバイスに組み込まれたファームウェアとの間におけるデータのやり取りを司るミドルウェアを実行する。
【0089】
図5は、コンピュータとしての媒体処理システム100のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【0090】
媒体処理システム100のソフトウェアは、制御部10のアプリケーション実行部10aにより実行される取引処理アプリケーション101a、およびその他のアプリケーション102a、エラー処理部10bにより実行されるエラー処理アプリケーション101b、各デバイスを制御するソフトウェアであるファームウェア(FW)105、各アプリケーションと各デバイスに組み込まれたファームウェアとの間におけるデータのやり取りを司るミドルウェア101cを含む。
【0091】
図5の例では、ミドルウェア101cは、欧州標準化委員会により策定されたXFS(eXtensions for Financial Services)の標準規格に準拠したミドルウェアである。このミドルウェア101cは、XFSマネージャ102cと、サービスプロバイダ103cを含む。
【0092】
XFSマネージャ102cは、各アプリケーションとサービスプロバイダ103cとの間でデータのやり取りを行うAPI(Application Programming Interface)を実行する。このデータのやり取りは、XFSの標準規格に準拠した方法で行われる。
【0093】
サービスプロバイダ103cは、XFSマネージャ102cとの間ではXFSの標準規格に準拠した方法でデータのやり取りを行い、ファームウェア105との間では、各デバイスの仕様に合った方法でデータのやり取りを行う。
【0094】
各サービスプロバイダ103cと各デバイスに組み込まれたファームウェア105との間のデータのやり取りが、各デバイスを提供するベンダの仕様に依存するとしても、各アプリケーションおよびXFSマネージャ102cは、その仕様の違いによって影響を受けることはない。
【0095】
図6は、コンピュータとしての媒体処理システム100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0096】
コンピュータ1000は、入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、ROM(Read Only Memory)1004、RAM(Random Access Memory)1005、記憶装置1006、各種記録媒体から情報を読み取る読取装置1007、送受信装置1008を備え、各部はバス1009により接続される。
【0097】
図1などに示すフロントディスプレイFD、ピンパッドPP、および図2などに示すリアディスプレイRDは、入力装置1001の例である。フロントディスプレイFD、およびリアディスプレイRDは、出力装置1002の例である。図4に示す記憶部11は、記憶装置1006の例である。
【0098】
読取装置1007は、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1006に記憶させる。あるいは、送受信装置1008が、ネットワークに接続されたシステム装置と通信を行い、システム装置からダウンロードしたプログラムを記憶装置1006に記憶させる。
【0099】
そして、CPU1003が、記憶装置1006に記憶されたプログラムをRAM1005にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行することにより、図4に示す媒体処理システム100の各機能ブロックが動作する。
【0100】
次に、媒体処理システム100が行う媒体処理の動作例について説明する。図7は、デバイスにエラーが発生した場合に媒体処理システム100が行うエラー解除処理の一例を示すフローチャートである。
【0101】
以下では、デバイスに発生するエラーとして、有価媒体がデバイス内で詰まったり、何らかの故障が発生したりなどして有価媒体の搬送が止まり、デバイスの動作が中断する場合について説明するが、発生するエラーはこれに限定されるものではない。
【0102】
まず、媒体処理システム100のエラー処理部10bは、エラーが発生したデバイスから、ミドルウェア101cを介して、エラーが発生したことを示すエラー電文を受信する(ステップS1)。このエラー電文は、標準規格に準拠したメッセージである第2のエラー情報である。エラー電文は、エラーが発生したデバイスを示す識別情報を含んでいる。
【0103】
そして、エラー処理部10bは、エラー電文に基づいて、エラーが発生したデバイスを特定する(ステップS2)。さらに、エラー処理部10bは、ミドルウェア101cが直前にファームウェア105に送信した実行コマンドに関する情報をミドルウェア101cから取得して、エラーが発生したデバイスが直前に実行していた処理を特定する(ステップS3)。
【0104】
なお、エラーが発生したデバイスは、エラー電文をエラー処理部10bに送信するとともに、エラー処理アプリケーション101bが起動する前に、発生したエラーに対して必要な処理を行う。
【0105】
例えば、エラーが発生したデバイスは、有価媒体の取引を停止し、搬送部33に留まっている有価媒体を出金口32に排出する吐き出し処理を実行する。
【0106】
また、このデバイスは、第1のエラー情報を生成し、ミドルウェア101cを経由することなく、エラー処理部10bに第1のエラー情報を送信する。第1のエラー情報は、標準規格に準拠していないメッセージである。
【0107】
第1のエラー情報は、エラーが発生したデバイスの出金口32に排出されずに搬送部33に留まっている有価媒体の位置を示す情報と、取引が確定した媒体に関する情報とを含む。有価媒体の位置は、例えば、図3で説明した紙幣デバイス3の場合、センサSにより検出される。取引が確定した有価媒体に関する情報については、のちに詳しく説明する。
【0108】
つぎに、エラー処理部10bは、ミドルウェア101cを介さずに、エラーが発生したデバイスにより送信された第1のエラー情報を受信する(ステップS4)。
【0109】
そして、エラー処理部10bは、第1のエラー情報に含まれる有価媒体の位置を示す情報に基づいて、搬送部33に留まっている有価媒体の抜き取りを指示する媒体抜取情報を生成し、媒体抜取情報をフロントディスプレイFDに出力する(ステップS5)。
【0110】
なお、エラー処理部10bは、媒体抜取情報を、リアディスプレイRDに出力してもよいし、フロントディスプレイFDとリアディスプレイRDの両方に出力してもよい。また、エラー処理部10bは、媒体抜取情報をユーザまたは媒体処理システム100の管理者が有する携帯端末に出力することとしてもよい。
【0111】
図8は、紙幣デバイス3がユーザ向けに出力する媒体抜取情報の一例を示す図である。図8に示す媒体抜取情報には、紙幣が留まっている位置200aを示す画像200と、ユーザにその位置200aから紙幣を取り除くことを促す指示201と、シャッターを開けるためのシャッターボタン202と、その位置200aに紙幣がない場合、または、ユーザが紙幣を取り除いた場合にユーザに押下させるOKボタン203が表示される。
【0112】
ユーザによりOKボタン203が押下された後、エラー処理部10bは、ミドルウェア101c経由で、エラーが発生したデバイスに、そのデバイスをリセットするコマンドを送信する(ステップS6)。このコマンドは、標準規格に準拠したコマンドである。
【0113】
エラーが発生したデバイスのリセットが成功したら、エラー処理部10bは、前述の第1のエラー情報に含まれる取引が確定した有価媒体に関する情報に基づき、デバイス内から取り除かれた有価媒体の戻し先を特定する(ステップS7)。ここで、デバイス内から取り除かれた有価媒体とは、出金口32に排出された有価媒体、および、位置200aから取り除かれた有価媒体である。
【0114】
図9は、戻し先の決定ルールの一例を示す図である。図9に示すように、デバイスが直前に実行していた処理が入金処理であり、入金の取引が確定していた場合、有価媒体の戻し先はデバイスとなる。この場合、デバイス内から取り除かれた有価媒体は、入金口31から投入され、デバイスに収納される。
【0115】
デバイスが直前に実行していた処理が入金処理であり、入金の取引が確定していなかった場合、有価媒体の戻し先はユーザとなる。この場合、デバイス内から取り除かれた有価媒体は、ユーザに返却される。
【0116】
デバイスが直前に実行していた処理が出金処理であり、出金の取引が確定していた場合、有価媒体の戻し先はユーザとなる。この場合、デバイス内から取り除かれた有価媒体は、ユーザに渡される。
【0117】
デバイスが直前に実行していた処理が出金処理であり、出金の取引が確定していなかった場合、有価媒体の戻し先はデバイスとなる。この場合、デバイス内から取り除かれた有価媒体は、入金口31から投入され、デバイスに収納される。
【0118】
エラーが発生したデバイスは、取引が確定したか否かを、例えば、以下のようにして判定する。
【0119】
入金処理の場合、デバイスは、入金口31から取り込まれ、識別部34で金種が識別され、さらに収納部37に収納された有価媒体を入金の取引が確定された有価媒体と判定し、それ以外の有価媒体を入金の取引が確定していない有価媒体と判定する。
【0120】
特に、収納部37の入口で詰まった媒体については、デバイスが、センサSの出力に基づいて有価媒体が収納部37に収納されたか否かを検出し、入金の取引が確定したか否かを判定する。
【0121】
出金処理の場合、デバイスは、エラーが発生する前に収納部37から繰り出され、出金口32に払い出された有価媒体を出金の取引が確定された有価媒体と判定し、それ以外の有価媒体を出金の取引が確定していない有価媒体と判定する。
【0122】
特に、出金口32の入口で詰まった媒体については、デバイスが、センサSの出力に基づいて出金口32に払い出されたか否かを検出し、出金の取引が確定したか否かを判定する。
【0123】
なお、入金の取引については、デバイスは、ユーザにより入金口31に投入されたすべての有価媒体が収納部37に収納されたら、それらの有価媒体を入金の取引が確定された有価媒体と判定し、それ以外の有価媒体を入金の取引が確定していない有価媒体と判定してもよい。
【0124】
また、デバイスは、ユーザにより入金口31に投入されたすべての有価媒体が収納部37に収納され、ユーザがフロントディスプレイFDに表示されたOKボタンを押下したらそれらの有価媒体を入金の取引が確定された有価媒体と判定し、それ以外の有価媒体を入金の取引が確定していない有価媒体と判定してもよい。
【0125】
また、出金の取引については、デバイスは、出金口32にすべての有価媒体が払い出され、ユーザがフロントディスプレイFDに表示されたシャッターボタンを押下してシャッターを開いた場合に、それらの有価媒体を出金の取引が確定された有価媒体と判定し、それ以外の有価媒体を出金の取引が確定していない有価媒体と判定してもよい。
【0126】
有価媒体の戻し先を特定した後、エラー処理部10bは、デバイス内から取り除かれた有価媒体の戻し先を示す戻し先情報をフロントディスプレイFDに出力する(ステップS8)。
【0127】
なお、エラー処理部10bは、戻し先情報をリアディスプレイRDに出力してもよいし、フロントディスプレイFDとリアディスプレイRDの両方に出力してもよい。また、エラー処理部10bは、戻し先情報をユーザまたは媒体処理システム100の管理者が有する携帯端末に出力することとしてもよい。
【0128】
図10は、紙幣デバイス3がユーザ向けに出力する戻し先情報の一例を示す図である。図10に示す戻し先情報には、紙幣が留まっていた位置300aを示す画像300と、ユーザに取り除いた紙幣を媒体処理システム100の管理者に返却することを促す指示301と、シャッターを開けるためのシャッターボタン302と、指示301の内容を確認した場合にユーザに押下させるOKボタン303が表示される。なお、この段階では、シャッターボタン302は、押下できないようにグレーアウトの状態となっている。
【0129】
媒体処理システム100の管理者は、ユーザから取り除いた紙幣が返却された場合、その紙幣を入金口31に投入し、デバイスに収納する。
【0130】
また、図11は、バラ硬貨デバイス4が媒体処理システム100の管理者向けに出力する戻し先情報の一例を示す図である。図11に示す戻し先情報には、硬貨が留まっていた位置400aを示す画像400と、媒体処理システム100の管理者に取り除いた硬貨をユーザに返却することを促す指示401と、シャッターを開けるためのシャッターボタン402と、指示401の内容を確認した媒体処理システム100の管理者に押下させるOKボタン403が表示される。なお、この段階では、シャッターボタン302は、押下できないようにグレーアウトの状態となっている。
【0131】
図11に示したような管理者向けの戻し先情報は、媒体処理システム100の管理者でなければ取り除くことができない位置に有価媒体が留まっていた場合に出力されるものである。
【0132】
また、前述のように、デバイスは、エラーが発生した場合、デバイス内に留まっている有価媒体を出金口32に吐き出す吐出処理を行う。そのため、出金の取引の場合、エラーが発生する前に正常に出金された有価媒体と、吐出処理で吐き出された有価媒体とが出金口32で混在する。
【0133】
この場合、デバイスは、出金の取引が確定した有価媒体の金種と枚数の情報を保持しているので、アプリケーション実行部10aは、ミドルウェア101cを経由して、デバイスから出金の取引が確定した有価媒体の金種と枚数の情報を取得する。そして、アプリケーション実行部10aは、その情報を出金レシートとしてレシートプリンタRPに印刷させる。
【0134】
この出金レシートを見ることにより、ユーザは、自分が持ち帰ることができる有価媒体の金種と枚数、および、媒体処理システム100の管理者に返却すべき有価媒体の金種と枚数を容易に把握することができる。
【0135】
さらに、この場合、エラー処理部10bは、出金の取引が確定した有価媒体と出金の取引が確定していない有価媒体とを仕分け、出金の取引が確定していない有価媒体を媒体処理システム100の管理者に返却するよう促す情報をフロントディスプレイFDに出力してもよい。
【0136】
なお、エラー処理部10bは、この情報をリアディスプレイRDに出力してもよいし、フロントディスプレイFDとリアディスプレイRDの両方に出力してもよい。また、エラー処理部10bは、この情報をユーザまたは媒体処理システム100の管理者が有する携帯端末に出力することとしてもよい。
【0137】
また、上述した実施の形態では、図4で説明したように、アプリケーション実行部10a、エラー処理部10b、およびミドルウェア実行部10cが、ハウジング1に各デバイスと一緒に収められた制御部10に設けられることとしたが、それらのすべてまたは一部は、各デバイスと離れて設置されたクラウドサーバ装置などの他の装置に設けられることとしてもよい。この場合、他の装置も特許請求の範囲における媒体処理システムに含まれる。
【0138】
図5に示したソフトウェア構成で言えば、取引処理アプリケーション101a、その他のアプリケーション102a、エラー処理アプリケーション101b、XFSマネージャ102c、サービスプロバイダ103cのすべてまたは一部は、各デバイスと離れて設置されたクラウドサーバ装置などの他の装置に導入されることとしてもよい。この場合の他の装置も特許請求の範囲における媒体処理システムに含まれる。
【0139】
以上説明したように、媒体処理システム100は、有価媒体の取引を行うデバイスとの間でミドルウェア101cを介して取引情報のやり取りをし、取引の情報処理を行うアプリケーション実行部10aと、有価媒体の取引の際にデバイスにエラーが発生した場合、ミドルウェア101cを介さずにエラーに関する情報のうちの第1のエラー情報を取得し、第1のエラー情報に基づいてエラーの解除処理を行うエラー処理部10bと、を備える。
【0140】
これにより、ミドルウェア101cが第1のエラー情報を取り扱う機能を有していない場合であっても、媒体処理システム100はエラー制御を効果的に行うことができる。
【0141】
また、上記有価媒体の取引は、有価媒体の搬送処理を伴い、エラーの解除処理は、搬送された有価媒体の戻し先を決定する処理を含む。
【0142】
これにより、ミドルウェア101cが第1のエラー情報を取り扱う機能を有していない場合であっても、媒体処理システム100は有価媒体の戻し先を決定することができる。
【0143】
また、上記第1のエラー情報は、搬送された有価媒体の位置の情報を含む。
【0144】
これにより、媒体処理システム100は、デバイス内に留まる有価媒体の位置を容易に検出でき、エラーの解除処理を効果的に行うことができる。
【0145】
また、エラー処理部10bは、有価媒体の位置の情報に基づいて、デバイスからの有価媒体の抜き取りを促す情報を出力する。
【0146】
これにより、媒体処理システム100は、ユーザまたは媒体処理システム100の管理者にデバイスからの有価媒体の抜き取りを効果的に促すことができる。
【0147】
また、上記第1のエラー情報は、取引が確定したか否かの情報を含む。
【0148】
これにより、媒体処理システム100は、取引が確定したか否かに応じて、有価媒体の戻し先を容易に決定することができる。
【0149】
また、エラー処理部10bは、デバイスが直前に実行したコマンドの情報に基づいて、有価媒体の戻し先を決定する。
【0150】
これにより、媒体処理システム100は、デバイスが直前に実行したコマンドの種別に応じて、有価媒体の戻し先を容易に決定することができる。
【0151】
また、上記有価媒体の戻し先は、ユーザおよびデバイスを含む。
【0152】
これにより、媒体処理システム100は、有価媒体の戻し先を、ユーザまたは媒体処理システム100の管理者に決定することができる。
【0153】
また、上記取引は入金であり、エラー処理部10bは、入金が確定した場合に、有価媒体の戻し先をデバイスに決定し、入金が確定していない場合に、有価媒体の戻し先をユーザに決定する。
【0154】
これにより、媒体処理システム100は、取引が入金である場合に、有価媒体の戻し先を適切に決定することができる。
【0155】
また、取引は出金であり、エラー処理部10bは、出金が確定した場合に、有価媒体の戻し先をユーザに決定し、出金が確定していない場合に、有価媒体の戻し先をデバイスに決定する。
【0156】
これにより、媒体処理システム100は、取引が出金である場合に、有価媒体の戻し先を適切に決定することができる。
【0157】
また、上記ミドルウェア101cは、標準規格に準拠している。
【0158】
これにより、ミドルウェア101cが準拠する標準規格が、第1のエラー情報を取り扱う機能を有していない場合であっても、媒体処理システム100はエラー制御を効果的に行うことができる。
【0159】
また、上記標準規格は、Extensions for Financial Systemsの規格である。
【0160】
これにより、ミドルウェア101cが準拠する標準規格が、第1のエラー情報を取り扱う機能を有していないExtensions for Financial Systemsの規格であっても、媒体処理システム100はエラー制御を効果的に行うことができる。
【0161】
また、媒体処理システム100は、ミドルウェア101cを実行するミドルウェア実行部10cをさらに備える。
【0162】
これにより、媒体処理システム100が、ミドルウェア101cを実行するミドルウェア実行部10cを備える場合であっても、エラー制御を効果的に行うことができる。
【0163】
また、媒体処理システム100は、上記デバイスを備える。
【0164】
これにより、媒体処理システム100が、上記デバイスを備える場合であっても、エラー制御を効果的に行うことができる。
【0165】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本開示は、媒体処理システム、媒体処理方法、および媒体処理プログラムに適用できる。
【符号の説明】
【0167】
1 ハウジング
2 包装硬貨デバイス
3 紙幣デバイス
4 バラ硬貨デバイス
5 小切手デバイス
6 ドロップボックス
7 コントローラーボックス
8 ペリフェラルデバイスボックス
10 制御部
10a アプリケーション実行部
10b エラー処理部
10c およびミドルウェア実行部
22,32,42,52 出金口
22S,31S,32S,41S,42S,51S,52S シャッター
25,35,45,55,65,75,85 ドア
26,36,46,56,66,76,86 ロック
31,41,51 入金口
33 搬送部
34 識別部
37 収納部
61 受入口
100 媒体処理システム
101a 取引処理アプリケーション
102a その他のアプリケーション
101b エラー処理アプリケーション
101c ミドルウェア
102c XFSマネージャ
103c サービスプロバイダ
105 ファームウェア
200,300,400 画像
200a,300a,400a 位置
201,301,401 指示
202,302,402 シャッターボタン
203,303,403 OKボタン
361,661 キー入力デバイス
1000 コンピュータ
1001 入力装置
1002 出力装置
1003 CPU
1004 ROM
1005 RAM
1006 記憶装置
1007 読取装置
1008 送受信装置
1009 バス
AP A4プリンタ
Cam カメラ
CaR カードリーダ
CoR コードリーダ
FD フロントディスプレイ
NM NFC読取機
PP ピンパッド
RD リアディスプレイ
RP レシートプリンタ
S センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11