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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130852
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】サーボドライバ及びサーボシステム
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H02P5/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040782
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 郷
(72)【発明者】
【氏名】浅野 恵
(72)【発明者】
【氏名】村上 拓嗣
【テーマコード(参考)】
5H572
【Fターム(参考)】
5H572DD02
5H572EE04
5H572FF05
5H572GG01
5H572GG02
5H572GG04
5H572HA01
5H572HA10
5H572HC01
5H572HC04
5H572HC07
5H572LL21
5H572LL22
5H572LL24
(57)【要約】
【課題】より有効に回生抵抗を活用できるサーボドライバ及びサーボシステムを提供する。
【解決手段】本サーボドライバは、第1の回生抵抗と、上記第1の回生抵抗と他のサーボドライバが備える第2の回生抵抗とを接続するバスと、制御部と、を備える。上記制御部は、上記バスの電圧が第1の閾値以上になると、回生状態のモータから入力される回生電力を上記第1の回生抵抗に入力させ、上記第1の回生抵抗の負荷率が所定の閾値以上になると、上記回生電力を上記第1の回生抵抗に入力させる閾値を上記第1の閾値より大きい第2の閾値に切り替える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回生抵抗と、
前記第1の回生抵抗と他のサーボドライバが備える第2の回生抵抗とを接続するバスと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記バスの電圧が第1の閾値以上になると、回生状態のモータから入力される回生電力を前記第1の回生抵抗に入力させ、
前記第1の回生抵抗の負荷率が所定の閾値以上になると、前記回生電力を前記第1の回生抵抗に入力させる閾値を前記第1の閾値より大きい第2の閾値に切り替える、
サーボドライバ。
【請求項2】
前記第1の閾値及び前記第2の閾値は、前記負荷率が高いほど高い値が設定される、
請求項1に記載のサーボドライバ。
【請求項3】
第1のサーボドライバと第2のサーボドライバを備えるサーボシステムであって、
前記第1のサーボドライバは、
第1の回生抵抗と、
前記第1の回生抵抗と前記第2のサーボドライバが備える第2の回生抵抗とを接続するバスと、
第1の制御部と、を備え、
前記第1の制御部は、
前記バスの電圧が第1の閾値以上になると、回生状態のモータから入力される回生電力を前記第1の回生抵抗に入力させ、
前記第1の回生抵抗の負荷率が所定の閾値以上になると、前記回生電力を前記第1の回生抵抗に入力させる閾値を前記第1の閾値より大きい第2の閾値に切り替え、
前記第2のサーボドライバは、
前記第2の回生抵抗と、
第2の制御部と、を備え、
前記第2の制御部は、
前記バスの電圧が前記第1の閾値以上前記第2の閾値未満の第3の閾値以上になると、前記回生電力を前記第2の回生抵抗に入力させ、
前記第2の回生抵抗の負荷率が前記所定の閾値以上になると、前記回生電力を前記第2の回生抵抗に入力させる閾値を前記第3の閾値より大きい第4の閾値に切り替える、
サーボシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボドライバ及びサーボシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数軸を備えるサーボシステムにおいて、各サーボドライバをDCバスで接続する構成が利用されている。サーボシステムにおいては、モータの回生電力はサーボドライバが備える回生抵抗によって消費される。
【0003】
このようなサーボシステムでは、回生電力の消費が一方のサーボドライバの回生抵抗に集中することを抑制するため、当該回生抵抗の負荷率が高くなりきる前に当該回生抵抗を無効にする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2017/183200号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術では、回生抵抗の有効・無効を切り替えるだけであるため、夫々のサーボドライバが備える回生抵抗を有効に活用できるとは言い難い。
【0006】
開示の技術の1つの側面は、より有効に回生抵抗を活用できるサーボドライバ及びサーボシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の1つの側面は、次のようなサーボドライバによって例示される。本サーボドライバは、第1の回生抵抗と、上記第1の回生抵抗と他のサーボドライバが備える第2の回生抵抗とを接続するバスと、制御部と、を備える。上記制御部は、上記バスの電圧が第1の閾値以上になると、回生状態のモータから入力される回生電力を上記第1の回生抵抗に入力させ、上記第1の回生抵抗の負荷率が所定の閾値以上になると、上記回生電力を上記第1の回生抵抗に入力させる閾値を上記第1の閾値より大きい第2の閾値に切り替える。
【0008】
上記サーボドライバでは、サーボドライバにおいて上記第1の閾値と上記第2の閾値というように複数の閾値が設定される。そして、上記第1の回生抵抗の負荷率が所定の閾値以上となると、上記回生電力を上記第1の回生抵抗に入力させる閾値を上記第1の閾値より大きい第2の閾値に切り替える。第2の閾値に切り替えられると、上記バスの電圧がより高い電圧となるまで上記第1の回生抵抗が使用されないため、回生電力は上記他のサーボドライバに流れるようになる。そして、上記第2の回生抵抗によって回生電力が消費されることになる。また、上記第2の回生抵抗の負荷率が高くなると、上記他のサーボドライバにおいて上記回生電力を上記第2の回生抵抗に入力させる閾値がより高い閾値に更新されると、上記第1の回生抵抗によって上記回生電力は消費されるようになる。すなわち、本サーボドライバによれば、より有効に回生抵抗を活用できる。
【0009】
上記サーボドライバにおいて、前記第1の閾値及び前記第2の閾値は、前記負荷率が高いほど高い値が設定されてもよい。例えば、回生電力の消費が上記第2の回生抵抗で行われるようになった後、再び上記第1の回生抵抗で消費されるようになるときに、上記第1
の回生抵抗の上記負荷率が下がっていない場合も考えられる。上記負荷率に応じて前記第1の閾値及び前記第2の閾値が決定されることで、上記第1の回生抵抗の負荷率に応じた閾値で上記第1の回生抵抗を有効とすることができる。
【0010】
以上説明した技術は、上記サーボドライバを複数備えたサーボシステムとして把握することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、より有効に回生抵抗を活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係るサーボシステムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るサーボドライバの回路図の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る制御回路の機能部の概略構成を示す第1の図である。
図4図4は、実施形態に係る制御回路の機能部の概略構成を示す第2の図である。
図5図5は、実施形態に係るサーボシステムによる回生制御の一例を模式的に示す図である。
図6図6は、実施形態に係るサーボドライバの処理フローの一例を示す図である。
図7図7は、第1比較例に係るサーボシステムを示す図である。
図8図8は、第1比較例に係るサーボシステムによる回生制御を模式的に示す図である。
図9図9は、第2比較例に係るサーボシステムを示す図である。
図10図10は、第2比較例に係るサーボシステムによる回生制御を模式的に示す図である。
図11図11は、第2比較例に係るサーボシステムの処理フローの一例を示す図である。
図12図12は、第3比較例に係るサーボシステムを示す図である。
図13図13は、各比較例と本実施形態との蓄電部による回生電力吸収量と回生抵抗器による回生電力消費量を模式的に示す図である。
図14図14は、第1変形例における回生抵抗器を有効にする閾値の決定を模式的に示す第1の図である。
図15図15は、第1変形例における回生抵抗器を有効にする閾値の決定を模式的に示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<適用例>
本発明の適用例について説明する。本適用例は、図1に例示するように、サーボモータ2Aを駆動するサーボドライバ1A及びサーボモータ2Bを駆動するサーボドライバ1Bを備える。サーボドライバ1Aとサーボドライバ1Bとは、DCバス5によって接続される。サーボドライバ1Aは回生抵抗器104A(図3参照)を含む制御回路11Aを備え、サーボドライバ1Bは回生抵抗器104B(図4参照)を含む制御回路11Bを備える。
【0014】
サーボドライバ1Bでは、サーボモータ2A、2Bからの回生電力が入力されてDCバス5の電圧が第1の閾値(図5の「Vr_on2_1」)以上となると、回生電力は回生抵抗器104Bによって消費される。回生抵抗器104Bの負荷率が所定の閾値以上となると(図5のT1に相当)、サーボドライバ1Bは回生抵抗器104Bを有効にする閾値
を閾値Vr_on2_1より高い閾値Vr_on2_2に切り替える。
【0015】
ここで、回生抵抗器104A、104Bの負荷率は、回生抵抗器104A、104Bの許容回生電力に対する、回生抵抗器104A、104Bによって実際に消費された回生電力の割合を示す。また、回生抵抗器104A、104Bの許容回生電力は、回生抵抗器104A、104Bによって消費できる回生電力の最大値を示す。なお、回生抵抗器104A、104Bの負荷率は、回生抵抗器104A、104Bを回生電力が流れない時間に応じて減少する。
【0016】
回生抵抗器104Bを有効にする閾値が閾値Vr_on2_2に切り替えられた結果、閾値Vr_on2_2より低い閾値Vr_on1_1が設定されたサーボドライバ1Aの回生抵抗器104Aにサーボモータ2A、2Bからの回生電力が流れるようになる。ここで、回生抵抗器104Aの負荷率が所定の閾値以上となると(図5のT2に相当)、サーボドライバ1Aは回生抵抗器104Aを有効にする閾値を閾値Vr_on1_1より高い閾値Vr_on1_2に切り替える。その結果、回生電力は、再び、サーボドライバ1Bの回生抵抗器104Bで消費されることになる。
【0017】
本適用例によれば、サーボドライバ1Aの回生抵抗器104Aとサーボドライバ1Bの回生抵抗器104Bとが交互に有効になって回生電力を消費するため、より有効に回生抵抗を活用できる。
【0018】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態について説明する。図1は、実施形態に係るサーボシステム100の一例を示す図である。サーボシステム100は、サーボドライバ1A、サーボドライバ1B、サーボモータ2A、サーボモータ2B、動力線3A、動力線3B、エンコーダケーブル4A、エンコーダケーブル4B及びDirect Current(DC)バス5を備える。サーボドライバ1Aは制御回路11Aを備え、サーボドライバ1Bは制御回路11Bを備える。サーボドライバ1A及びサーボドライバ1Bを総称して、サーボドライバ1とも称する。制御回路11A及び制御回路11Bを総称して、制御回路11とも称する。サーボモータ2A及びサーボモータ2Bを総称して、サーボモータ2とも称する。動力線3A及び動力線3Bを総称して、動力線3とも称する。エンコーダケーブル4A及びエンコーダケーブル4Bを総称して、エンコーダケーブル4とも称する。
【0019】
サーボドライバ1Aとサーボモータ2Aとは、動力線3A及びエンコーダケーブル4Aによって接続される。サーボドライバ1Bとサーボモータ2Bとは、動力線3B及びエンコーダケーブル4Bによって接続される。また、サーボドライバ1Aとサーボドライバ1Bとは、DCバス5によって接続される。
【0020】
サーボドライバ1は、PLC等の上位装置からサーボモータ2の動作に係る指令信号を受ける。サーボドライバ1は、サーボモータ2に動力線3を介して駆動電流を供給する。サーボドライバ1は、サーボモータ2からエンコーダケーブル4を介してフィードバック信号を受ける。サーボドライバ1においては、位置制御器、速度制御器、電流制御器等を利用したフィードバック制御を行うサーボ系が形成されており、これらの信号を利用して、指令信号にしたがった動作となるようにサーボモータ2をサーボ制御し駆動する。
【0021】
サーボモータ2は、例えば、ACサーボモータである。サーボモータ2は、サーボドライバ1から給電された駆動電流を受けて動作する。サーボモータ2は、サーボモータ2の出力軸の変位を検出し、検出した変位を示すフィードバック信号をサーボドライバ1に出力する。また、サーボモータ2は、回生状態においては、回生電力をサーボドライバ1に動力線3を介して入力する。例えば、サーボモータ2Aで生じた回生電力は、動力線3A
を介してサーボドライバ1Aに入力される。また、サーボモータ2Bで生じた回生電力は、動力線3Bを介してサーボドライバ1Bに入力される。
【0022】
DCバス5は、サーボドライバ1Aとサーボドライバ1Bとを接続する。DCバス5によって接続されることで、サーボモータ2Aからサーボドライバ1Aに入力された回生電力がDCバス5を介してサーボドライバ1Bに入力されたり、サーボモータ2Bからサーボドライバ1Bに入力された回生電力がDCバス5を介してサーボドライバ1Aに入力されたりする。
【0023】
図2は、実施形態に係るサーボドライバ1の回路図の一例を示す図である。サーボドライバ1では、入力されるL1相、L2相、L3相の三相交流電流を直流電流に変換した後、U相、V相、W相の三相交流電流に変換して、サーボモータ2に出力する。サーボドライバ1では、P母線14とN母線15との間の電圧(PN間電圧)が電圧検出回路12によって検出され、U相とV相との間の電流値が電流検出回路13によって検出される。電圧検出回路12によって検出される電圧はDCバス5の電圧と等しいため、電圧検出回路12はDCバス5の電圧を検出しているということもできる。
【0024】
電圧検出回路12によって検出された電圧及び電流検出回路13によって検出された電流値は、制御回路11に入力される。DCバス5は、P側バス51及びN側バス52を含む。P側バス51は、P母線14及び制御回路11に接続される。また、N側バス52は、N母線15及び制御回路11に接続される。すなわち、DCバス5によってサーボドライバ1A及びサーボドライバ1Bが接続されることで、サーボドライバ1A、1B間においてPN母線が共有される。
【0025】
制御回路11は、演算装置、記憶装置等を有するコンピュータとみなすことができる。制御回路11は、例えば、電圧検出回路12によって検出された電圧を基に、回生電力が入力される際に回生抵抗器を有効にするか無効にするかを切り替える制御を行う。
【0026】
図3は、実施形態に係る制御回路11Aの機能部の概略構成を示す図である。制御回路11Aは、制御部101A、記憶部102A、蓄電部103A及び回生抵抗器104Aを備える。制御部101Aは、例えば、制御回路11Aにおいて所定のプログラム等が実行されることで実現される。また、記憶部102A、蓄電部103A及び回生抵抗器104Aは、例えば、制御回路11Aに実装されるハードウェアである。
【0027】
制御部101Aは、電圧検出回路12によって検出された電圧を基に回生抵抗器104Aを有効にしたり無効にしたりする。例えば、制御部101Aによって回生抵抗器104Aが無効に設定されると、サーボモータ2Aからの回生電力はDCバス5を介してサーボドライバ1Bに入力されるようになる。
【0028】
また、制御部101Aは、回生抵抗器104Aの負荷率を監視し、回生抵抗器104Aの負荷率が所定の閾値以上になると、回生抵抗器104Aを有効にするための閾値をより高い値に切り替える。回生抵抗器104Aの負荷率は、例えば、回生抵抗器104Aを回生電力が継続して流れる時間に応じて増加する。また、回生抵抗器104Aの負荷率は、回生抵抗器104Aを回生電力が継続して流れない時間に応じて減少する。制御部101Aは、回生抵抗器104Aの負荷率が許容回生電力を超えると異常を通知する。
【0029】
記憶部102Aは、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)を含む。記憶部102Aは、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)等であってもよい。記憶部102Aには、例え
ば、制御部101Aによる回生抵抗器104Aの有効及び無効の切り替えに用いられる閾値が記憶される。回生抵抗器104Aを有効に切り替える閾値としては、低い値(後述のVr_on1_1に対応)と高い値(後述のVr_on1_2に対応)の2つの閾値が記憶部102Aに記憶される。
【0030】
蓄電部103Aは、回生状態のサーボモータ2Aから入力される回生電力を蓄電する。回生電力は、例えば、サーボモータ2Aが減速しているときに生じる。蓄電部103Aは、例えば、コンデンサである。
【0031】
回生抵抗器104Aは、回生電力を熱に代えて消費する抵抗器である。回生抵抗器104Aは、回生電力を熱に代えて消費するトランジスタであってもよい。蓄電部103Aが回生電力によって満充電にされた状態において、制御部101Aによって回生抵抗器104Aが有効にされると回生抵抗器104Aに回生電力が流れ、回生抵抗器104Aは回生電力を熱として消費する。
【0032】
図4は、実施形態に係る制御回路11Bの機能部の概略構成を示す図である。制御回路11Bは、制御部101B、記憶部102B、蓄電部103B及び回生抵抗器104Bを備える。制御部101B、記憶部102B、蓄電部103B及び回生抵抗器104Bは、制御部101A、記憶部102A、蓄電部103A及び回生抵抗器104Aと同様であるため、その説明を省略する。
【0033】
図5は、実施形態に係るサーボシステム100による回生制御の一例を模式的に示す図である。図5の縦軸は電圧検出回路12によって検出された電圧を例示し、横軸は時間を例示する。閾値Vr_on1_1、Vr_off1_1、Vr_on1_2、Vr_off1_2は、サーボドライバ1Aの記憶部102Aに記憶される閾値である。また、閾値Vr_on2_1、Vr_off2_1、Vr_on2_2、Vr_off2_2は、サーボドライバ1Bの記憶部102Bに記憶される閾値である。
【0034】
ここでは、Vr_off2_1とVr_off1_1とは、同じ値に設定される。また、Vr_on2_1とVr_on1_1とは、同じ値に設定される。さらに、Vr_on2_2とVr_on1_2とは、同じ値に設定される。しかしながら、電圧検出回路12の測定誤差によって差が生じるため、同一の電圧がかけられた回路に対してサーボドライバ1Aの電圧検出回路12とサーボドライバ1Bの電圧検出回路12の夫々で電圧の検出を行うと、互いに違う検出結果を得ることにある。図5の例では、サーボドライバ1Aの電圧検出回路12よりもサーボドライバ1Bの電圧検出回路12の方が低い値がでる傾向がある。そのため図5では、Vr_off2_1よりもVr_off1_1を高い値として示し、Vr_on2_1よりもVr_on1_1を高い値として示し、Vr_on2_2よりもVr_on1_2を高い値として示す。
【0035】
制御部101A及び制御部101Bは、回生抵抗器104A、104Bの負荷率に応じて回生抵抗器104A、104Bを有効にさせる閾値を切り替える。区間1では、サーボドライバ1Bの制御部101Bは、回生抵抗器104Bを有効にする閾値Vr_on2_1及びVr_on2_1のうち、低い方の閾値である閾値Vr_on2_1を有効にする。また、サーボドライバ1Aの制御部101Aは、回生抵抗器104Aを有効にする閾値Vr_on1_1及びVr_on1_1のうち、低い方の閾値である閾値Vr_on1_1を有効にする。
【0036】
閾値Vr_on1_1よりも閾値Vr_on2_1の方が低い値に設定されているため、サーボモータ2Aの回生電力は、DCバス5を介してサーボドライバ1Bの蓄電部103B及び回生抵抗器104Bに流れるようになる。また、サーボモータ2Bの回生電力は
、動力線3Bを介してサーボドライバ1Bの蓄電部103B及び回生抵抗器104Bに流れるようになる。
【0037】
回生電力によって蓄電部103Bが充電されるとともに、サーボドライバ1Bの電圧検出回路12によって検出される電圧が高くなる。サーボドライバ1Bの電圧検出回路12によって検出される電圧が閾値Vr_on2_1以上となると回生抵抗器104Bが有効になり、回生電力は回生抵抗器104Bで熱として消費される。
【0038】
回生電力が回生抵抗器104Bで熱として消費されると、サーボドライバ1Bの電圧検出回路12によって検出される電圧が低下する。サーボドライバ1Bの電圧検出回路12によって検出される電圧が閾値Vr_off2_1以下となると回生抵抗器104Bが無効とされ、回生電力によって蓄電部103Bが充電される。
【0039】
このような閾値Vr_on2_1、Vr_off2_1による蓄電部103Bの有効、無効が繰り返されると、回生抵抗器104Bが使用される時間が増加することで、回生抵抗器104Bの負荷率が高くなる。制御部101Bは、時刻T1の段階で回生抵抗器104Bの負荷率が所定の閾値以上となると、回生抵抗器104Bを有効にする閾値を閾値Vr_on2_1から閾値Vr_on2_2に切り替える。閾値Vr_on2_2は、上述のとおり、閾値Vr_on1_1よりも高い値である。
【0040】
時刻T1以降の区間2では、閾値Vr_on2_2が閾値Vr_on1_1よりも高い値に設定されているため、サーボモータ2Bの回生電力は、DCバス5を介してサーボドライバ1Aの蓄電部103A及び回生抵抗器104Aに流れるようになる。また、サーボモータ2Aの回生電力は、動力線3Aを介してサーボドライバ1Aの蓄電部103A及び回生抵抗器104Aに流れるようになる。
【0041】
回生電力によって蓄電部103Aが充電されるとともに、サーボドライバ1Aの電圧検出回路12によって検出される電圧が高くなる。サーボドライバ1Aの電圧検出回路12によって検出される電圧が閾値Vr_on1_1以上となると回生抵抗器104Aが有効になり、回生電力は回生抵抗器104Aで熱として消費される。
【0042】
回生電力が回生抵抗器104Aで熱として消費されると、サーボドライバ1Aの電圧検出回路12によって検出される電圧が低下する。サーボドライバ1Aの電圧検出回路12によって検出される電圧が閾値Vr_off1_1以下となると回生抵抗器104Aが無効とされ、回生電力によって蓄電部103Aが充電される。
【0043】
このような閾値Vr_on1_1、Vr_off1_1による蓄電部103Aの有効、無効が繰り返されると、回生抵抗器104Aが使用される時間が増加することで、回生抵抗器104Aの負荷率が高くなる。制御部101Aは、時刻T2の段階で回生抵抗器104Aの負荷率が所定の閾値以上となると、回生抵抗器104Aを有効にする閾値を閾値Vr_on1_1から閾値Vr_on1_2に切り替える。閾値Vr_on1_2は、上述のとおり、閾値Vr_on2_2よりも高い値である。
【0044】
時刻T2以降の区間3では、閾値Vr_on1_2が閾値Vr_on2_2よりも高い値に設定されているため、サーボモータ2Aの回生電力は、DCバス5を介してサーボドライバ1Bの蓄電部103B及び回生抵抗器104Bに流れるようになる。また、サーボモータ2Bの回生電力は、動力線3Bを介してサーボドライバ1Bの蓄電部103B及び回生抵抗器104Bに流れるようになる。すなわち、閾値Vr_on2_1を閾値Vr_on2_2に切り替えた状態で、区間1と同様の処理が実行される。
【0045】
そして、制御部101Aは、時刻T3の段階で回生抵抗器104Bの負荷率が所定の閾値以上となると、回生抵抗器104Bを有効にする閾値を閾値Vr_on2_2よりから閾値Vr_on1_2に切り替える。サーボシステム100では、回生抵抗器104A、104Bを有効にする閾値が複数設定されることで、回生抵抗器104A及び回生抵抗器104Bの双方を有効に活用して、回生電力を熱として消費することができる。
【0046】
図6は、実施形態に係るサーボドライバ1Bの処理フローの一例を示す図である。以下、図6を参照して、サーボドライバ1Bの処理フローの一例について説明する。
【0047】
ステップS1では、制御部101Bは、サーボドライバ1Bの電圧検出回路12によって検出される電圧を監視する。検出される電圧が閾値Vr_on2_1以上である場合(ステップS1でYES)、処理はステップS2に進められる。検出される電圧が閾値Vr_on2_1未満である場合(ステップS1でNO)、ステップS1の処理が繰り返されて、回生電力は蓄電部103Bに充電される。
【0048】
ステップS2では、回生抵抗器104Bによって回生電力が熱として消費される。また、制御部101Bは、回生抵抗器104Bの負荷率を監視する。回生抵抗器104Bの負荷率が所定の閾値以上である場合(ステップS3でYES)、処理はステップS4に進められる。回生抵抗器104Bの負荷率が所定の閾値未満の場合(ステップS3でNO)、ステップS2の処理が繰り返される。
【0049】
ステップS4では、制御部101Bは、回生抵抗器104Bを有効にする負荷率を閾値Vr_on2_1から、閾値Vr_on2_1よりも高い閾値Vr_on2_2に切り替える。上記の通り、閾値Vr_on2_2は閾値Vr_on1_1よりも高いため、回生電力の消費はサーボドライバ1Aで行われるようになる。
【0050】
図6では、サーボドライバ1Bの処理フローについて説明したが、サーボドライバ1Aにおいても同様の処理フローが実行される。
【0051】
<第1比較例>
ここで、実施形態の効果を検証するため、比較例について説明する。図7は、第1比較例に係るサーボシステム600を示す図である。サーボシステム600は、サーボドライバ61A、サーボモータ62A、サーボドライバ61B、サーボモータ62B、動力線63A、エンコーダケーブル64A、動力線63B、エンコーダケーブル64B及びDCバス65を備える。サーボドライバ61Aは、蓄電部603A及び回生抵抗器604Aを備える。また、サーボドライバ61Bは、蓄電部603B及び回生抵抗器604Bを備える。サーボシステム600は、サーボドライバ61A、61Bの夫々が回生抵抗を有効にする閾値をひとつだけ有する点で、実施形態に係るサーボシステム100とは異なる。
【0052】
図8は、第1比較例に係るサーボシステム600による回生制御を模式的に示す図である。図8の縦軸はサーボドライバ61A、61Bの夫々に設けられた電圧検出回路によって検出された電圧を例示し、横軸は時間を例示する。閾値Vr_on1、Vr_off1は、サーボドライバ61Aに設定される閾値である。また、閾値Vr_on2、Vr_off2、サーボドライバ61Bに設定される閾値である。なお、ここでは、Vr_on1とVr_on2に同じ電圧値を設定し、Vr_off1とVr_off2に同じ電圧値を設定しているが、サーボドライバ61A、61Bの夫々が有する電圧検出回路の測定誤差によって差が生じるため、図8では、Vr_on1とVr_on2とをずらして例示するとともに、Vr_off1とVr_off2とをずらして例示している。
【0053】
電圧検出回路の測定誤差によって閾値Vr_on1よりも閾値Vr_on2の方が低く
なっているため、サーボモータ62Aの回生電力は、DCバス65を介してサーボドライバ61Bの蓄電部603B及び回生抵抗器604Bに流れるようになる。また、サーボモータ62Bの回生電力は、動力線63Bを介してサーボドライバ61Bの蓄電部603B及び回生抵抗器604Bに流れるようになる。
【0054】
回生電力によって蓄電部603Bが充電されるとともに、サーボドライバ61Bの電圧検出回路によって検出される電圧が高くなる。サーボドライバ61Bの電圧検出回路によって検出される電圧が閾値Vr_on2以上となると回生抵抗器604Bが有効になり、回生電力は回生抵抗器604Bで熱として消費される。
【0055】
回生電力が回生抵抗器604Bで熱として消費されると、サーボドライバ61Bの電圧検出回路によって検出される電圧が低下する。サーボドライバ61Bの電圧検出回路によって検出される電圧が閾値Vr_off2以下となると回生抵抗器604Bが無効とされ、回生電力によって蓄電部603Bが充電される。
【0056】
このような閾値Vr_on2、Vr_off2による蓄電部603Bの有効、無効が繰り返されると、回生抵抗器604Bが使用される時間が増加することで、回生抵抗器604Bの負荷率が高くなる。時刻T11で負荷率が所定の閾値以上となると回生過負荷異常となり、サーボドライバ61Bは回生エラーを通知する。第1比較例に係るサーボシステム600では、より低い電圧で回生抵抗が有効にされるサーボドライバ61Bの回生抵抗器604Bは回生電力の消費に使用されるものの、サーボドライバ61Aの回生抵抗器604Aは回生電力の消費に使用されないことになる。
【0057】
<第2比較例>
図9は、第2比較例に係るサーボシステム700を示す図である。サーボシステム700は、サーボドライバ71A、サーボモータ72A、サーボドライバ71B、サーボモータ72B、動力線73A、エンコーダケーブル74A、動力線73B、エンコーダケーブル74B及びDCバス75を備える。サーボドライバ71Aは、蓄電部703A及び回生抵抗器704Aを備える。また、サーボドライバ71Bは、蓄電部703B及び回生抵抗器704Bを備える。サーボシステム700は、回生抵抗器704Bが回生エラーになる前に回生抵抗器704Bを無効にする点で、第1比較例に係るサーボシステム600とは異なる。
【0058】
図10は、第2比較例に係るサーボシステム700による回生制御を模式的に示す図である。図10の縦軸はサーボドライバ71A、71Bの夫々に設けられた電圧検出回路によって検出された電圧を例示し、横軸は時間を例示する。閾値Vr_on1、Vr_off1は、サーボドライバ71Aに設定される閾値である。また、閾値Vr_on2、Vr_off2、サーボドライバ71Bに設定される閾値である。なお、ここでは、Vr_on1とVr_on2に同じ電圧値を設定し、Vr_off1とVr_off2に同じ電圧値を設定しているが、サーボドライバ71A、71Bの夫々が有する電圧検出回路の測定誤差によって差が生じるため、図10では、Vr_on1とVr_on2とをずらして例示するとともに、Vr_off1とVr_off2とをずらして例示している。
【0059】
電圧検出回路の測定誤差によって閾値Vr_on1よりも閾値Vr_on2の方が低くなっているため、サーボモータ72Aの回生電力は、DCバス75を介してサーボドライバ71Bの蓄電部703B及び回生抵抗器704Bに流れるようになる。また、サーボモータ72Bの回生電力は、動力線73Bを介してサーボドライバ71Bの蓄電部703B及び回生抵抗器704Bに流れるようになる。
【0060】
回生電力によって蓄電部703Bが充電されるとともに、サーボドライバ71Bの電圧
検出回路によって検出される電圧が高くなる。サーボドライバ71Bの電圧検出回路によって検出される電圧が閾値Vr_on2以上となると回生抵抗器704Bが有効になり、回生電力は回生抵抗器704Bで熱として消費される。
【0061】
回生電力が回生抵抗器704Bで熱として消費されると、サーボドライバ71Bの電圧検出回路によって検出される電圧が低下する。サーボドライバ71Bの電圧検出回路によって検出される電圧が閾値Vr_off2以下となると回生抵抗器704Bが無効とされ、回生電力によって蓄電部703Bが充電される。
【0062】
ここで、時刻T21の段階で回生抵抗器704Bの負荷率が、第2の閾値以上となった場合、サーボドライバ71Bは回生抵抗器704Bを無効にする。第2の閾値としては、回生抵抗器704Bの負荷率100%未満を示す値(例えば、90%)が適宜採用される。そのため、サーボモータ72Bの回生電力は、DCバス75を介してサーボドライバ71Aの蓄電部703A及び回生抵抗器704Aに流れるようになる。また、サーボモータ72Aの回生電力は、動力線73Aを介してサーボドライバ71Aの蓄電部703A及び回生抵抗器704Aに流れるようになる。
【0063】
時刻T22の段階で回生抵抗器704Aの負荷率が、所定の閾値よりも低い第2の閾値以上となった場合、サーボドライバ71Aは回生抵抗器704Aを無効にする。そのため、サーボモータ72Aの回生電力は、DCバス75を介してサーボドライバ71Bの蓄電部703B及び回生抵抗器704Bに流れるようになる。また、サーボモータ72Bの回生電力は、動力線73Bを介してサーボドライバ71Bの蓄電部703B及び回生抵抗器704Bに流れるようになる。この段階において回生抵抗器704Bの負荷率が下がっていな場合には回生過負荷異常となり、サーボドライバ71Bは回生エラーを通知することになる。
【0064】
図11は、第2比較例に係るサーボドライバ61Bの処理フローの一例を示す図である。図6と同様の処理については同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、図11を参照して、サーボシステム700の処理フローの一例について説明する。
【0065】
ステップS13では、サーボドライバ61Bは、回生抵抗器704Bの負荷率が上記第2の閾値以上であるか否かを判定する。第2の閾値以上である場合(ステップS13でYES)、処理はステップS14に進められる。第2の閾値未満である場合(ステップS13でNO)、処理はステップS2に進められる。
【0066】
ステップS14では、サーボドライバ61Bは、回生抵抗器704Bを無効にする。回生抵抗器704Bが無効にされることで、回生電力の消費はサーボドライバ61Aで行われるようになる。
【0067】
図11では、サーボドライバ61Bの処理フローについて説明したが、サーボドライバ61Aにおいても同様の処理フローが実行される。すなわち、サーボドライバ61Aにおいて回生抵抗器704Aの負荷率が第2の閾値以上となると回生抵抗器704Aが無効にされて、サーボドライバ61Bでの回生電力の消費が行われるようになる。
【0068】
サーボシステム700では、回生過負荷異常を検出する所定の負荷率まで回生抵抗器704Bの負荷率が下がる前に、回生抵抗器704Aから回生抵抗器704Bに回生電力の消費が切り替わってしまうと、回生過負荷異常となる。
【0069】
<第3比較例>
図12は、第3比較例に係るサーボシステム800を示す図である。サーボシステム8
00は、サーボドライバ81A、サーボモータ82A、サーボドライバ81B、サーボモータ82B、動力線83A、エンコーダケーブル84A、動力線83B、エンコーダケーブル84B、回生ユニット86及びDCバス85を備える。回生ユニット86は、DCバス85によってサーボドライバ81A及びサーボドライバ81Bに接続される。
【0070】
回生ユニット86は、回生抵抗器及び蓄電部を有する。回生ユニット86は、DCバス85を介してサーボモータ82A及びサーボモータ82Bからの回生電力を受け、当該回生電力を回生ユニット86の蓄電部に充電し、また、回生抵抗器で熱として消費する。第3変形例に場合、サーボドライバ81Aの回生抵抗器804A及びサーボドライバ81Bの回生抵抗器804Bは無効にされ、使用されない。
【0071】
<実施形態との比較>
図13は、各比較例と本実施形態との蓄電部による回生電力吸収量と回生抵抗器による回生電力消費量を模式的に示す図である。図13Aは、第1比較例に係るサーボシステム600による回生電力吸収量と回生電力消費量を例示する。図13Aの(1)は、サーボドライバ61Aにおける回生電力吸収量と回生電力消費量を模式的に示す。図13Aの(2)は、サーボドライバ61Bにおける回生電力吸収量と回生電力消費量を模式的に示す。
【0072】
図13Bは、第2比較例に係るサーボシステム700による回生電力吸収量と回生電力消費量を例示する。図13Bの(1)は、サーボドライバ71Aにおける回生電力吸収量と回生電力消費量を模式的に示す。図13Bの(2)は、サーボドライバ71Bにおける回生電力吸収量と回生電力消費量を模式的に示す。
【0073】
図13Cは、第3変形例に係るサーボシステム800による回生電力吸収量と回生電力消費量を例示する。図13Cの(1)は、サーボドライバ81Aにおける回生電力吸収量と回生電力消費量を模式的に示す。図13Cの(2)は、サーボドライバ81Bにおける回生電力吸収量と回生電力消費量を模式的に示す。図13Cの(3)は、回生ユニット86おける回生電力吸収量と回生電力消費量を模式的に示す。
【0074】
図13Dは、実施形態に係るサーボシステム100による回生電力吸収量と回生電力消費量を例示する。図13Dの(1)は、サーボドライバ1Aにおける回生電力吸収量と回生電力消費量を模式的に示す。図13Dの(2)は、サーボドライバ1Bにおける回生電力吸収量と回生電力消費量を模式的に示す。
【0075】
図13Aを参照すると、サーボドライバ61Bの回生抵抗器604Bは回生電力の消費に使用されているものの、サーボドライバ61Aの回生抵抗器604Aは回生電力の消費に使用されていないことが理解できる。図13Bを参照すると、サーボドライバ71Aの回生抵抗器704A及びサーボドライバ71Bの回生抵抗器704Bのいずれも回生電力の消費に使用されているものの、図13Dに例示される実施形態に係るサーボシステム100と比較すると、回生電力の消費量が少ないことが理解できる。また、図13Cを参照すると、サーボドライバ81Aの回生抵抗器804A及びサーボドライバ81Bの回生抵抗器804Bのいずれも使用されていないことが理解できる。
【0076】
本実施形態では、回生抵抗器を有効にするための閾値として、サーボドライバ1Aにおいては(閾値Vr_on1_1、閾値Vr_on1_2)、サーボドライバ1Bにおいては(閾値Vr_on2_1、閾値Vr_on2_2)と、夫々のサーボドライバ1において複数の閾値が設定される。そして、これらの複数の閾値を切り替えることで、サーボドライバ1Aの回生抵抗器104A及びサーボドライバ1Bの回生抵抗器104Bの双方をより有効に活用して回生電力を消費することができる。また、本実施形態では、第3比較
例で説明したような回生ユニット86を備えなくてよいため、装置の大型化が抑制される。したがって、本実施形態によれば、装置の大型化を抑制しつつ消費可能な回生電力を増大させることができる。
【0077】
本実施形態では、サーボドライバ1Aとサーボドライバ1Bとは、互いに通信を行わなくとも、夫々が回生抵抗器104A、104Bの負荷率と電圧検出回路12によって検出される電圧に応じて回生抵抗器104A、104Bを有効にする閾値を切り替えれば、回生抵抗器104A、104Bの双方を有効に活用して回生電力を消費できる。そのため、本実施形態によれば、ドライバ間通信も行わないシンプルな構成で消費可能な回生電力を増大させることができる。
【0078】
<第1変形例>
以上説明した実施形態では、回生抵抗器を有効にする閾値として固定値が採用された。第1変形例では、回生抵抗器の負荷率に応じて回生抵抗器を有効にする閾値が変動する構成について説明する。
【0079】
図14は、第1変形例における回生抵抗器を有効にする閾値の決定を模式的に示す第1の図である。図14の縦軸は回生抵抗器を有効にする閾値を例示し、横軸は回生抵抗器の負荷率を例示する。図14の例では、回生抵抗器の負荷率がR1未満の間は最小の閾値が回生抵抗器を有効にする閾値として設定される。また、回生抵抗器の負荷率がR1以上となると、回生抵抗器を有効にする閾値を回生抵抗器の負荷率に応じて線形に増大させる。
【0080】
図15は、第1変形例における回生抵抗器を有効にする閾値の決定を模式的に示す第2の図である。図15の縦軸は回生抵抗器を有効にする閾値を例示し、横軸は回生抵抗器の負荷率を例示する。図15の例では、回生抵抗器の負荷率がR1未満の間は最小の閾値が回生抵抗器を有効にする閾値として設定される。回生抵抗器の負荷率がR1以上R2未満の間は、回生抵抗器を有効にする閾値は第1の傾きで線形に増大される。回生抵抗器の負荷率がR2以上になると、回生抵抗器を有効にする閾値は第1の傾きより大きい第2の傾きで線形に増大される。
【0081】
第1変形例において、図14図15に例示した閾値と負荷率の対応関係は、記憶部102A、102Bに予め記憶されればよい。そして、制御部101A、101Bが、記憶部102A、102Bを参照して、回生抵抗器を有効にする閾値を決定すればよい。
【0082】
サーボドライバ1Aの回生抵抗器104Aとサーボドライバ1Bの回生抵抗器104Bとの間で回生電力の消費が行われると、回生抵抗器が有効されたときに当該回生抵抗器の負荷率が0%にまで下がっていない場合も考えられる。第1変形例によれば、回生抵抗器が有効されたときにおける回生抵抗器の負荷率に応じて好適な値を回生抵抗器を有効にする閾値として設定できる。なお、図14及び図15における線形に変化する領域の傾きについては、試験等で適宜決定すればよい。
【0083】
<その他の変形例>
以上説明した実施形態では、サーボドライバ1A、1Bの2軸を備えるサーボシステム100が例示されたが、本実施形態で説明した技術は3軸以上のサーボシステムに適用されてもよい。この場合、軸数に応じて回生抵抗器を有効にする閾値を設定すればよい。例えば、本実施形態で説明した技術を3軸のサーボシステムに適用する場合、夫々のサーボドライバに回生抵抗器を有効にする閾値を3つ設定すればよい。
【0084】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0085】
(付記1)
第1の回生抵抗(104B)と、
前記第1の回生抵抗(104B)と他のサーボドライバ(1A)が備える第2の回生抵抗(104A)とを接続するバス(5)と、
制御部(101B)と、を備え、
前記制御部(101B)は、
前記バス(5)の電圧が第1の閾値(Vr_on2_1)以上になると、回生状態のモータ(2A、2B)から入力される回生電力を前記第1の回生抵抗(104B)に入力させ、
前記第1の回生抵抗(104B)の負荷率が所定の閾値以上になると、前記回生電力を前記第1の回生抵抗(104B)に入力させる閾値を前記第1の閾値(Vr_on2_1)より大きい第2の閾値(Vr_on2_2)に切り替える、
サーボドライバ(1B)。
(付記2)
前記第1の閾値(Vr_on2_1)及び前記第2の閾値(Vr_on2_2)は、前記負荷率が高いほど高い値が設定される、
付記1に記載のサーボドライバ(1B)。
(付記3)
第1のサーボドライバ(1B)と第2のサーボドライバ(1A)を備えるサーボシステム(100)であって、
前記第1のサーボドライバ(1B)は、
第1の回生抵抗(104B)と、
前記第1の回生抵抗(104B)と前記第2のサーボドライバ(1A)が備える第2の回生抵抗(104A)とを接続するバス(5)と、
第1の制御部(101B)と、を備え、
前記第1の制御部(101B)は、
前記バス(5)の電圧が第1の閾値(Vr_on2_1)以上になると、回生状態のモータ(2A、2B)から入力される回生電力を前記第1の回生抵抗(104B)に入力させ、
前記第1の回生抵抗(104B)の負荷率が所定の閾値以上になると、前記回生電力を前記第1の回生抵抗(104B)に入力させる閾値を前記第1の閾値(Vr_on2_1)より大きい第2の閾値(Vr_on2_2)に切り替え、
前記第2のサーボドライバ(1A)は、
前記第2の回生抵抗(104A)と、
第2の制御部(101A)と、を備え、
前記第2の制御部(101A)は、
前記バス(5)の電圧が前記第1の閾値(Vr_on2_1)以上前記第2の閾値(Vr_on2_2)未満の第3の閾値(Vr_on1_1)以上になると、前記回生電力を前記第2の回生抵抗(104A)に入力させ、
前記第2の回生抵抗(104A)の負荷率が前記所定の閾値以上になると、前記回生電力を前記第2の回生抵抗(104A)に入力させる閾値を前記第3の閾値(Vr_on1_1)より大きい第4の閾値(Vr_on1_2)に切り替える、
サーボシステム。
【符号の説明】
【0086】
1・・サーボドライバ
1A・・サーボドライバ
1B・・サーボドライバ
2・・サーボモータ
2A・・サーボモータ
2B・・サーボモータ
3・・動力線
3A・・動力線
3B・・動力線
4・・エンコーダケーブル
4A・・エンコーダケーブル
4B・・エンコーダケーブル
5・・DCバス
11・・制御回路
11A・・制御回路
11B・・制御回路
12・・電圧検出回路
13・・電流検出回路
14・・P母線
15・・N母線
51・・P側バス
52・・N側バス
61A・・サーボドライバ
61B・・サーボドライバ
62A・・サーボモータ
62B・・サーボモータ
71A・・サーボドライバ
71B・・サーボドライバ
72A・・サーボモータ
72B・・サーボモータ
81A・・サーボドライバ
81B・・サーボドライバ
82A・・サーボモータ
82B・・サーボモータ
63A・・動力線
63B・・動力線
64A・・エンコーダケーブル
64B・・エンコーダケーブル
73A・・動力線
73B・・動力線
74A・・エンコーダケーブル
74B・・エンコーダケーブル
83A・・動力線
83B・・動力線
84A・・エンコーダケーブル
84B・・エンコーダケーブル
65・・DCバス
75・・DCバス
85・・DCバス
86・・回生ユニット
101A・・制御部
101B・・制御部
102A・・記憶部
102B・・記憶部
103A・・蓄電部
103B・・蓄電部
104A・・回生抵抗器
104B・・回生抵抗器
603A・・蓄電部
603B・・蓄電部
604A・・回生抵抗器
604B・・回生抵抗器
703A・・蓄電部
703B・・蓄電部
704A・・回生抵抗器
704B・・回生抵抗器
803A・・蓄電部
803B・・蓄電部
804A・・回生抵抗器
804B・・回生抵抗器
100・・サーボシステム
600・・サーボシステム
700・・サーボシステム
800・・サーボシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15