(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130856
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】計尺器
(51)【国際特許分類】
B65H 61/00 20060101AFI20240920BHJP
B65H 51/14 20060101ALI20240920BHJP
G01B 5/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65H61/00
B65H51/14
G01B5/04 101
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040786
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000238049
【氏名又は名称】冨士電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺尾 有貴
(72)【発明者】
【氏名】厚美 優真
【テーマコード(参考)】
2F062
3F115
【Fターム(参考)】
2F062AA24
2F062BB02
2F062BC01
2F062CC10
2F062EE01
2F062EE62
2F062FF02
2F062FF04
2F062FF13
2F062GG90
3F115AA02
3F115AA04
3F115CB01
3F115CB07
3F115CB23
3F115CE03
3F115CG10
(57)【要約】
【課題】頻繁なベルトの交換を抑制することができる計尺器を提供すること。
【解決手段】ケーブル(1)の長さを測定する計尺器(10)であって、前記ケーブル(1)に接触するためのベルト(21)を有する計尺器本体(20)と、前記ベルト(21)の移動方向に垂直な前記ベルト(21)の幅方向に前記計尺器本体(20)を移動させるための移動機構(30)と、を有することを特徴とする、計尺器(10)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの長さを測定する計尺器であって、
前記ケーブルに接触するためのベルトを有する計尺器本体と、
前記ベルトの移動方向に垂直な前記ベルトの幅方向に前記計尺器本体を移動させるための移動機構と、
を有することを特徴とする、計尺器。
【請求項2】
請求項1に記載の計尺器であって、
前記移動機構および前記計尺器本体を支持するための支持台をさらに有し、
前記移動機構は、前記支持台に対して前記計尺器本体を前記ベルトの幅方向に移動させることを特徴とする、計尺器。
【請求項3】
請求項1に記載の計尺器であって、
前記計尺器本体に入線するか、または前記計尺器本体から出線された前記ケーブルを位置決めするためのガイドローラをさらに有し、
前記移動機構は、前記ガイドローラに対して前記計尺器本体を前記ベルトの幅方向に移動させることを特徴とする、計尺器。
【請求項4】
請求項1に記載の計尺器であって、
前記移動機構は、前記幅方向に延びるレールと、前記計尺器本体に直接的または間接的に固定され、前記レール上をスライド可能な保持器とを有することを特徴とする、計尺器。
【請求項5】
請求項4に記載の計尺器であって、
前記移動機構は、前記幅方向に延びるネジ軸と、前記計尺器本体に直接的または間接的に固定され、前記ネジ軸に沿って移動する移動部とをさらに有することを特徴とする、計尺器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の計尺器であって、
前記移動機構は、前記計尺器本体の移動を止めるための固定部をさらに有することを特徴とする、計尺器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計尺器に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルの長さを測るための計尺器には様々なタイプのものがあるが、ベルトを有する計尺器が知られている。このようなベルトを有する計尺器を用いてケーブルの長さを測る場合、ケーブルをベルトに接触させた状態でケーブルをケーブルの長さ方向に移動させる。このとき、ベルトはケーブルと一緒に移動することになるため、ベルトの移動距離を測ることによってケーブルの長さを測ることができる。たとえば、特許文献1は、このような計尺器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなベルトを有する計尺器において、ベルトが摩耗するとベルトとケーブルとが一緒に移動せず、ケーブルの長さとベルトの移動距離とが一致しなくなり測定精度が悪くなることがある。そのため、ベルトは摩耗する前に交換する必要があり、例えば、稼働時間が長い計尺器では、頻繁なベルトの交換が必要になることがある。
【0005】
本発明の目的は、頻繁なベルトの交換を抑制することができる計尺器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
ケーブルの長さを測定する計尺器であって、
前記ケーブルに接触するためのベルトを有する計尺器本体と、
前記ベルトの移動方向に垂直な前記ベルトの幅方向に前記計尺器本体を移動させるための移動機構と、
を有することを特徴とする、計尺器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、頻繁なベルトの交換を抑制することができる計尺器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aは、本発明の実施の形態に係る計尺器の側面図であり、
図1Bは、本発明の実施の形態に係る計尺器がベルトの幅方向に移動する様子を示す平面概略図である。
【
図2】
図2Aは、計尺器本体の側面図であり、
図2Bは、移動機構の側面図であり、
図2C、Dは、移動機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施の形態に係る計尺器について説明する。
【0010】
図1Aは、本実施の形態に係る計尺器10の側面図を示す。
図1Aに示されるように、計尺器10は、計尺器本体20と、移動機構30と、ガイドローラ40と、支持台50とを有する。
【0011】
計尺器10において、移動機構30は、計尺器本体20をベルト21の幅方向(ベルト21の移動方向に垂直な方向)に移動させる。
図1Bは、移動機構30によって、計尺器本体20がベルト21の幅方向(図中における左右方向)に移動する態様を平面図で示している。
図1Bの左図では、ベルト21の図中右側の領域にケーブル1が接触し、中央図では、ベルト21の中央の領域にケーブル1が接触し、右図では、ベルト21の図中左側の領域にケーブル1が接触している。このように計尺器本体20をベルト21の幅方向に移動させることで、ケーブル1がベルト21に接触する位置をベルト21の幅方向において変えることができる。そのため、ベルト21が幅方向の一部の位置において摩耗しても、まだ摩耗していない別の位置でベルト21を利用でき、頻繁なベルト21の交換を抑制することができる。
以下、計尺器10の各構成について説明する。
【0012】
(計尺器本体)
図2Aは、本実施の形態に係る計尺器本体20を示す。計尺器本体20は、ベルト21と、ベルトローラ22と、計尺輪23と、測定部24と、架台25と、搬送ローラ26と、を有する。計尺器本体20は、上述のようにケーブル1の長さを測定するためのものである。
【0013】
ベルト21は、ケーブル1と接触してケーブル1の移動とともに実質的に同じ距離を移動できるように構成されていれば特に制限されない。本実施の形態において、ベルト21は、架台25によって回転可能に支持されている搬送ローラ26との間でケーブル1を挟み込めるような位置に配置されていることで、ケーブル1の移動とともに移動できる。また、本実施の形態において、ベルト21は、無端ベルトであり、ケーブル1の長さ方向に配置された2つのベルトローラ22によって、たるまないように保持されている。ベルト21の幅は、測定されるケーブル1の太さより大きければ特に制限されないが、本発明の効果を発揮させる観点から、ベルト21の幅は、ケーブル1の太さの数倍以上であることが好ましい。ベルト21の材料は、移動するケーブル1に合わせてずれることなく移動できるように適度な摩擦を有するものが好ましい。
【0014】
ベルトローラ22は、上述のようにベルト21をたるまないように保持する。ベルトローラ22は、ベルト21の移動に伴って回転する。ベルトローラ22は、ベルト21および計尺輪23と共に、架台25によって支持され、かつ上下方向に移動可能に構成されている。ベルトローラ22が上下方向に移動することで、ベルト21も上下方向に移動して、ベルト21と搬送ローラ26との間で、ケーブル1を挟み込むことができる。
【0015】
計尺輪23は、ベルト21に接触してベルト21の移動とともに回転する。計尺輪23の回転は測定部24によって計測されて、これによりケーブル1の長さが測定される。本実施の形態において、計尺輪23はベルト21の上部に配置されてベルト21に接触している。
【0016】
架台25は、移動するケーブル1、ベルト21、ベルトローラ22、計尺輪23、および測定部24を支えるためのものである。本実施の形態において、架台25の上部には搬送ローラ26が回転可能に配置され、この搬送ローラ26がケーブル1に接触してケーブル1の移動とともに回転する。
【0017】
なお、計尺器本体20の構成は、ベルト21を用いてケーブル1の長さを測定するものであれば本実施の形態の態様に限定されない。たとえば、計尺器本体20は、測定部24によってベルト21の移動を直接測定してもよい。
【0018】
(移動機構)
図2B~Dは、本実施の形態に係る移動機構30を示す。
図2Bは、移動機構30の側面図であり、
図2Cは、平面図であり、
図2Dは
図2Cから保持板31を取り除いた状態を示す。
図2B~Dに示されるように移動機構30は、保持板31と、保持器32と、レール33と、ハンドル34と、ネジ軸35と、移動部36と、固定部37とを有する。
【0019】
保持板31は、計尺器本体20を保持する。本実施の形態において、保持板31は計尺器本体20の架台25に固定されて、計尺器本体20を保持している。保持板31の形状および大きさは計尺器本体20を保持できれば特に制限されない。本実施の形態において、保持板31は、計尺器本体20を載せられる程度の大きさの板状の部材である。
【0020】
保持器32は保持板31の下部に固定されており、レール33に沿ってスライドする。保持器32がレール33に沿ってスライドすることで、保持板31および計尺器本体20も移動する。保持器32は、計尺器本体20に直接的または間接的に固定され、レール33に沿ってスライド可能に構成されていれば特に制限されない。本実施の形態において、
図2Dに示されるように、4つの保持器32が、保持板31の4隅にそれぞれ配置されている。
【0021】
レール33は、上記の保持器32の下部に配置され、ベルト21の幅方向に延びる。上述のようにレール33に沿って保持器32がスライドすることで、計尺器本体20がベルト21の幅方向に移動する。本実施の形態においては、2本のレール33が、ベルト21の長さ方向に離間して配置されている。また、本実施の形態において、レール33は支持台50上に固定されている。
【0022】
ハンドル34は、ネジ軸35を回転させるためのものである。ハンドル34を回すことで、ネジ軸35が回転し、保持板31に固定されている移動部36がネジ軸35に沿って移動する。これにより、保持板31がベルト21の幅方向に移動することで、計尺器本体20もベルト21の幅方向に移動する。
ハンドル34は、ネジ軸35を回転させるように構成されていれば特に制限されない。本実施の形態においては、ハンドル34はネジ軸35に固定され、ハンドル34の回転は、ネジ軸35の回転となる。
【0023】
ネジ軸35は、移動部36と噛み合うネジ山を有し、ベルト21の幅方向に延びる部材である。本実施の形態において、ネジ軸35は、2本のレール33の間に配置され、上記の様に保持板31を移動させる。
【0024】
移動部36は、いわゆるナット様の部品であり、保持板31に固定されてネジ軸35と噛み合っている。移動部36がネジ軸35に沿って移動することで保持板31が移動し、さらに保持板31上の計尺器本体20も移動することになる。移動部36は、計尺器本体20に直接的または間接的に固定され、ネジ軸35に沿って移動できれば特に制限されない。
【0025】
固定部37は、支持台50(土台)に固定されてネジ軸35を回転可能に支持する。固定部37がネジ軸35を支持することで、ネジ軸35は、支持台50(土台)に対しての位置を変化させずに、その場で回転し続ける。また、固定部37は、ネジ軸35の回転を止めることが可能なように構成されており、ネジ軸35の回転を止めることで計尺器本体20の移動を止めることができる。固定部37は、これらの機能を発揮できるように構成されていれば特に制限されない。本実施の形態において、固定部37は、ネジ軸35上に設けられた溝に嵌まる凸部を有し、これによりネジ軸35を回転可能に支持する。また、本実施の形態において、固定部37は回転レバー37aを有し、回転レバー37aを回転させることで、固定部37内においてネジ軸35を挟み、ネジ軸35の回転を止めるように構成されている。固定部37は、移動部36の移動の妨げにならないように適宜配置されればよく、本実施の形態において、固定部37は、支持台50上において、ハンドル34に近い位置に配置されている。
【0026】
なお、移動機構30の構成は、計尺器本体20をベルト21の幅方向に移動させることができれば本実施の形態の態様に限定されない。たとえば、キャスターなどによって計尺器本体20をベルト21の幅方向に移動させてもよい。
【0027】
(ガイドローラ)
ガイドローラ40は、計尺器本体20に入線するか、または計尺器本体20から出線するケーブル1を位置決めする。ガイドローラ40は、ケーブル1を、ベルト21と平行になるように位置決めすることが好ましい。入線するケーブル1を位置決めするガイドローラ40は、ケーブル1の移動方向の上流に配置され、出線するケーブル1を位置決めするガイドローラ40は、ケーブル1の移動方向の下流に配置される。また、計尺器10は、入線するケーブル1を位置決めするガイドローラ40と、出線するケーブル1を位置決めするガイドローラ40との両方を有することが好ましい。
【0028】
(支持台)
支持台50は、上記のレール33の下に配置され、移動機構30の土台となる。本実施の形態において、支持台50は建物の床に固定されている。したがって、本実施の形態において、移動機構30は、支持台50および床に対して計尺器本体20をベルト21の幅方向に移動させることになる。支持台50の高さは、移動するケーブル1の高さなどに合わせて適宜設定されればよい。また、支持台50はなくてもよく、例えば、建物の床が上記の、レール33を支持するための土台となってもよい。
【0029】
(効果)
本実施の形態に係る計尺器10によれば、計尺器本体20をベルト21の幅方向に容易に移動させることができ、ケーブル1とベルト21との接触位置を変えることができる。これにより、計尺器10のベルト21の交換頻度を下げることができ、ランニングコストを下げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る発明は、ケーブルに接触するベルトを有する計尺器に有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 ケーブル
10 計尺器
20 計尺器本体
21 ベルト
22 ベルトローラ
23 計尺輪
24 測定部
25 架台
26 搬送ローラ
30 移動機構
31 保持板
32 保持器
33 レール
34 ハンドル
35 ネジ軸
36 移動部
37 固定部
37a 回転レバー
40 ガイドローラ
50 支持台