(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130863
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】分岐端子台
(51)【国際特許分類】
H01R 9/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01R9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040800
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 直登
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086DD05
5E086DD23
5E086DD33
5E086DD35
5E086DD43
5E086DD48
5E086LL17
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることができる分岐端子台を提供する。
【解決手段】分岐端子台は、一次側電線を接続可能な一次側端子と、複数の二次側電線を接続可能な複数の二次側端子と、一次側端子及び複数の二次側端子に電気的に接続される金属電極と、一次側端子、複数の二次側端子及び金属電極が配置される絶縁性の端子台本体と、を備え、一次側端子の端子面と、複数の二次側端子の端子面とは、異なる方向を向いている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側電線を接続可能な一次側端子と、
複数の二次側電線を接続可能な複数の二次側端子と、
前記一次側端子及び複数の前記二次側端子に電気的に接続される金属電極と、
前記一次側端子、複数の前記二次側端子及び前記金属電極が配置される絶縁性の端子台本体と、を備え、
前記一次側端子の端子面と、複数の前記二次側端子の端子面とは、異なる方向を向いている、
分岐端子台。
【請求項2】
前記一次側端子の端子面と、前記二次側端子の端子面とは、反対方向を向いている、
請求項1に記載の分岐端子台。
【請求項3】
前記金属電極は、前記一次側端子が接続される一次側電極部と、複数の前記二次側端子に接続される複数の二次側電極部と、を有し、
複数の前記二次側電極部は、前記一次側電極部から立体的に分岐して形成されている、
請求項1に記載の分岐端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を配線する際に使用される分岐端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一次側電線の電流経路を分岐して、複数の二次側電線と電気的に接続するための分岐端子台が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般に、分岐端子台における一次側電線が接続される一次側端子と、二次側電線が接続される二次側端子とは、それぞれの端子面が同じ方向を向いて配置されており、平面的な配置構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、配線部品を使用した機器ユニットは、コンパクト化を要求され、分岐端子台を含む実装部品の配置構造にも改善が求められている。しかしながら、従来の分岐端子台は、一次側端子と二次側端子が平面的な配置構造であり、一次側端子及び二次側端子の端子数に応じて分岐端子台のサイズが大きくなるため、機器ユニットのコンパクト化に適しているとはいえない。
【0005】
本発明の目的は、小型化を図ることができる分岐端子台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る分岐端子台は、
一次側電線を接続可能な一次側端子と、
複数の二次側電線を接続可能な複数の二次側端子と、
前記一次側端子及び複数の前記二次側端子に電気的に接続される金属電極と、
前記一次側端子、複数の前記二次側端子及び前記金属電極が配置される絶縁性の端子台本体と、を備え、
前記一次側端子の端子面と、複数の前記二次側端子の端子面とは、異なる方向を向いている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、分岐端子台の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1A、
図1Bは、実施の形態に係る分岐端子台ユニットの全体構成を示す外観斜視図である。
【
図2】
図2A~
図2Dは、Y軸方向の正側から見た分岐端子台の正面図、左側面図、右側面図及び上面図である。
【
図3】
図3は、分岐端子台の内部構造を示す透視図である。
【
図4】
図4A、
図4Bは、実施の形態の分岐端子台及び従来の分岐端子台の使用形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係る分岐端子台1A~1Dを適用した分岐端子台ユニット1の概略構成を示す図である。
図2A~
図2Dは、Y軸方向先端側から見た分岐端子台の正面図、左側面図、右側面図及び上面図である。
図3は、分岐端子台1A~1Dの内部構造を示す透視図である。本実施の形態では、分岐端子台1A~1Dは同様の構造を有するので、
図2及び
図3では、一つの分岐端子台だけを示している。
【0011】
本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。以下において、「X軸方向」、「Y軸方向」及び「Z軸方向」とは、X軸、Y軸及びZ軸に沿う方向である。
【0012】
図1A、
図1Bに示すように、分岐端子台ユニット1は、4つの分岐端子台1A~1Dで構成されている。分岐端子台1A~1Dは、同様の構成を有する。分岐端子台1A~1Dは、Y軸方向に並んで配置され、隣接するもの同士が連結されている。分岐端子台1A~1Dは、例えば、XZ面に沿う側面同士が接着により連結されてもよいし、機械的に連結されてもよい。なお、Y軸方向の両端に配置される分岐端子台1A、1Dにおいて、外部に露出する側面には、機器ユニットの構造体に分岐端子台ユニット1を取り付けるための取付タブが配置されてもよい。
【0013】
分岐端子台1A~1Dは、それぞれ、一次側端子10、複数の二次側端子20、金属電極30、及び端子台本体40を備える。分岐端子台1A~1Dは、一次側電線51(
図4A参照)の電流経路を、複数の経路に分岐する。本実施の形態では、それぞれの分岐端子台1A~1Dは、8つの二次側端子20を有し、一次側電線51の電流経路を8経路に分岐可能となっている。
【0014】
一次側端子10は、一次側電線51(
図4A参照)が接続される端子であり、端子台本体40のX軸方向の正側の取付面41に配置される。本実施の形態では、取付面41に一次側端子10が1つだけ配置されている。
【0015】
図2Bに示すように、一次側端子10は、例えば、導電板11及び端子ねじ12を有する。例えば、導電板11の端子面(一次側電線51と接触する面)に、一次側電線51の先端に接続された丸形端子等の圧着端子が配置され、端子ねじ12が締め込まれることにより、一次側端子10と一次側電線51が機械的かつ電気的に接続される。なお、一次側電線51に取り付けられる圧着端子は、90度曲げ端子であってもよい。
【0016】
複数の二次側端子20は、それぞれ、二次側電線52(
図4A参照)が接続される端子であり、端子台本体40のX軸方向の負側の取付面421~423に配置される。本実施の形態では、取付面421~423に、3つの二次側端子20、2つの二次側端子20、3つの二次側端子20が、Z軸方向に3列に並んで配置されている。
【0017】
図2Cに示すように、二次側端子20は、例えば、導電板21及び端子ねじ22を有する。それぞれの二次側端子20の導電板21は、離間して配置される。例えば、導電板21の端子面(二次側電線52と接触する面)に、二次側電線52の先端に接続された丸形端子等の圧着端子が配置され、端子ねじ22が締め込まれることにより、二次側端子20と二次側電線52が機械的かつ電気的に接続される。なお、二次側電線52に取り付けられる圧着端子は、90度曲げ端子であってもよい。
【0018】
金属電極30は、通電に適した導電性材料で形成される。金属電極30は、端子台本体40の内部に配置される。金属電極30は、例えば、インサート成形により、端子台本体40の内部に埋設される。
【0019】
図2Dに示すように、金属電極30は、一次側電極部31及び二次側電極部32を有する。一次側電極部31及び二次側電極部32は、それぞれ、X軸方向に延在する柱形状を有する。二次側電極部32の数は、二次側端子20の数と同じである。複数の二次側電極部32は、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一方に離間して、三次元的に配置される。一次側電極部31と複数の二次側電極部32は、例えば、板状の連結部33を介して接続される。
【0020】
一次側電極部31は、一次側端子10と電気的に接続される。一次側電極部31は、例えば、一次側端子10の導電板11とはんだ付けにより接合される。二次側電極部32は、二次側端子20と電気的に接続される。二次側電極部32は、例えば、二次側端子20の導電板21とはんだ付けにより接合される。
【0021】
端子台本体40は、一次側端子10、二次側端子20及び金属電極30が配置される筐体である。端子台本体40は、例えば、絶縁性の樹脂材料で形成される。本実施の形態では、端子台本体40は、略直方体形状を有しており、X方向に対向する2つのYZ面に、一次側端子10及び二次側端子20が配置されている。金属電極30は、端子台本体40の内部に、X軸方向に貫通する用に配置される。
【0022】
二次側端子20の取付面421~423は、中央の取付面421が突出するように、凸形状に形成されている。これにより、複数の二次側電線52を接続する際の作業性が向上する。
【0023】
分岐端子台1A~1Dにおいて、端子台本体40に配置された一次側端子10の端子面は、X軸方向の正側を向く。一方、端子台本体40に配置された8つの二次側端子20の端子面は、X軸方向の負側を向く。すなわち、一次側端子10の端子面と二次側端子20の端子面は、反対方向を向いている。一次側端子10及び複数の二次側端子20が、それぞれの端子面が同じ方向を向くように平面的に配置される場合に比較して、端子の配置領域は小さくなる。
【0024】
図4Aは、実施の形態の分岐端子台1A~1Dを適用した配線構造の一例を示す図であり、
図4Bは、従来の分岐端子台2を適用した配線構造の一例を示す図である。
【0025】
図4A、
図4Bでは、機器ユニットの構造体3の周囲に一次側電線51及び二次側電線52が配線される場合、具体的には、分岐端子台1A~1D、2を中継して、二次側電線52が、一次側電線51の延在方向と直交する方向に引き出される場合について示している。分岐端子台1A~1D、2は構造体3に取り付けられており、構造体3に対する取付面とは反対側の取付面61に一次側端子10が配置されることになる。
【0026】
図4Aに示すように、分岐端子台1A~1Dを適用した場合、一次側端子10の取付面61とは反対側の取付面62に二次側端子20が配置されているので、二次側電線52を直線的に配線しつつ、分岐端子台1A~1Dに接続することができる。この場合、二次側電線52の圧着端子には、90度曲げ端子が使用される。
【0027】
これに対して、
図4Bに示すように、従来の分岐端子台2を適用した場合、一次側端子10の取付面61に二次側端子20も配置されるので、二次側電線52を配線する際に屈曲させる必要がある。そのため、二次側電線52の配線領域が、分岐端子台1A~1Dを適用した場合に比較して大きくなる。
【0028】
すなわち、分岐端子台1A~1Dを適用した場合、二次側電線52の配線領域を従来よりも小さくすることができるので、機器ユニットの設計の自由度が向上し、小型化を図ることもできる。
【0029】
[変形例]
実施の形態では、一次側端子10と二次側端子20は、それぞれ、X軸方向に対向する2つのYZ面に配置されているが、一次側端子10と二次側端子20は、それぞれの端子面が異なる方向を向いていればよい。例えば、分岐端子台1A~1Dにおいて、二次側端子20を、XZ面又はXY面に沿う取付面に二次側端子20が配置されてもよいし、複数の取付面に二次側端子20が配置されてもよい。金属電極30の形状を適宜設計することで、このような構造も容易に実現可能である。
【0030】
また、1つの一次側端子10と電気的に接続される二次側端子20の数は、特に制限されない。さらには、一つの分岐端子台に、複数の一次側端子10と、それぞれの一次側端子10と電気的に接続される複数の二次側端子20を配置し、複数の電流経路をそれぞれ分岐可能としてもよい。
【0031】
このように、実施の形態に係る分岐端子台1A~1Dは、以下の特徴事項を単独で、又は、適宜組み合わせて備えている。
【0032】
すなわち、分岐端子台1A~1Dは、一次側電線51を接続可能な一次側端子10と、複数の二次側電線52を接続可能な複数の二次側端子20と、一次側端子10及び複数の二次側端子20に電気的に接続される金属電極30と、一次側端子10、複数の二次側端子20及び金属電極が配置される絶縁性の端子台本体40と、を備え、一次側端子10の端子面と、複数の二次側端子20の端子面とは、異なる方向を向いている。具体的には、一次側端子10の端子面と、二次側端子20の端子面とは、反対方向を向いている。
【0033】
分岐端子台1A~1Dによれば、一次側端子10と二次側端子20が平面的に配置される場合に比較して、端子の配置領域が小さくなるので、分岐端子台1A~1Dの小型化を図ることができ、ひいては分岐端子台1A~1Dが適用される機器ユニットの小型化を図ることができる。さらには、機器ユニットにおける配線領域(特に、二次側電線52の配線領域)を小さくすることができ、機器ユニットの設計の自由度が向上する。
【0034】
また、分岐端子台1A~1Dにおいて、金属電極30は、一次側端子10が接続される一次側電極部31と、複数の二次側端子20に接続される複数の二次側電極部32と、を有し、複数の二次側電極部32は、一次側電極部31から立体的に分岐して形成されている。これにより、一次側端子10の端子面と二次側端子20の端子面とが異なる方向を向く構造を、容易に実現することができる。
【0035】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0036】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1 分岐端子台ユニット
1A~1D 分岐端子台
10 一次側端子
20 二次側端子
30 金属電極
40 端子台本体