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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130887
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/44 20060101AFI20240920BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20240920BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41F15/44 B
B41F15/08 303E
H05K3/34 505D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040833
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】玉木 英一
【テーマコード(参考)】
2C035
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA22
2C035FB25
2C035FC07
2C035FD01
2C035FD29
5E319BB01
5E319CC22
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】半田を供給する頻度を減少させて、印刷を行う時間が増大するのを抑制することが可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】この印刷装置100は、開口302が設けられたマスク300の上面に当接し、第1方向(Y方向)に移動してマスク300に供給された半田303を開口302を介して基板200に印刷するスキージ311と、第1方向(Y方向)に直交する水平方向の第2方向(X方向)においてスキージ311の一方側および他方側に設けられ、第2方向(X方向)への半田303の移動を規制する一対のプレート34と、マスク300上の半田303の量に応じて、一対のプレート34のうち少なくとも一方を第2方向(X方向)に移動させるプレート移動部35と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられたマスクの上面に当接し、第1方向に移動して前記マスクに供給された半田を前記開口を介して基板に印刷するスキージと、
前記第1方向に直交する水平方向の第2方向において前記スキージの一方側および他方側に設けられ、前記第2方向への半田の移動を規制する一対のプレートと、
前記マスク上の半田の量に応じて、前記一対のプレートのうち少なくとも一方を前記第2方向に移動させるプレート移動部と、を備える、印刷装置。
【請求項2】
前記プレート移動部の駆動を制御する制御部をさらに備え、
前記プレート移動部は、モータを含み、
前記制御部は、前記マスク上の半田の量に応じて、前記プレート移動部の前記モータを制御して、前記スキージに対する前記プレートの位置を調整する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記マスク上の半田の減少量に応じて、前記一対のプレートを互いに近づけるように移動させる、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記プレート移動部は、前記一対のプレートを同時に移動させる、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記プレート移動部は、共通の前記モータの駆動により、前記一対のプレートを連動して前記第2方向に移動させる、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記プレート移動部は、前記一対のプレートを前記第2方向における互いに反対方向に移動させて、前記一対のプレートの間隔を変更させる、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、印刷時の前記一対のプレートの初期位置が、印刷を行う前記基板の前記第2方向における両端部の位置、または、前記両端部の位置よりも外側の位置になるように、前記プレート移動部を制御する、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記マスク上の半田の量を計測する計測部をさらに備え、
前記制御部は、前記計測部により計測した半田の量に基づいて、前記一対のプレートを移動させる制御を行う、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記制御部は、印刷開始から所定の複数枚数印刷するまでは、前記一対のプレートを移動させずに、所定の複数枚数印刷後から、前記一対のプレートを互いに近づけるように移動させる、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記マスクの前記第2方向における前記開口が配置される範囲を取得し、前記一対のプレートを互いに最も近づける位置を、前記開口が配置される範囲の両端の位置よりも外側となるように前記一対のプレートの移動を制御する、請求項2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関し、特に、半田を基板に印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半田を基板に印刷する印刷装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1には、マスクに供給された半田を印刷パターンを介して基板に印刷するスキージと、スキージの長手方向の両端部の位置に固定的に配置され、スキージの長手方向の端部から半田が横漏れするのを抑制する横漏れ防止プレートと、を備える印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-128023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、横漏れ防止プレートにより、スキージの長手方向の端部から半田が横漏れするのを抑制することができるものの、印刷に使用される半田の分だけ、マスク上の半田が減少する。そのため、印刷により半田の量が減少する分、マスク上の半田の断面積が小さくなる。半田の断面積が小さくなると、基板に十分な半田がのらないなどの印刷不具合が生じるため、半田印刷の安定性を確保するためにマスクに半田を供給する頻度を多くする必要がある。その結果、半田を供給する頻度が多くなる分だけ、印刷を行う時間が増大してしまう。そこで、半田を供給する頻度を減少させて、印刷を行う時間が増大するのを抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、半田を供給する頻度を減少させて、印刷を行う時間が増大するのを抑制することが可能な印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における印刷装置は、開口が設けられたマスクの上面に当接し、第1方向に移動してマスクに供給された半田を開口を介して基板に印刷するスキージと、第1方向に直交する水平方向の第2方向においてスキージの一方側および他方側に設けられ、第2方向への半田の移動を規制する一対のプレートと、マスク上の半田の量に応じて、一対のプレートのうち少なくとも一方を第2方向に移動させるプレート移動部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面による印刷装置では、上記のように、マスク上の半田の量に応じて、一対のプレートのうち少なくとも一方を第2方向に移動させるプレート移動部を設ける。これにより、マスク上の半田の量に応じて一対のプレートを近づけるように移動させることができるので、印刷によりマスク上の半田の量が減ったとしても、マスク上の半田の第2方向の長さを小さくすることができる。その結果、マスク上の開口が設けられる領域における半田の第1方向(スキージの移動方向)の幅を大きくすることができるので、マスク上の開口が設けられる領域における半田の断面積が小さくなるのを抑制することができる。これにより、半田を供給する頻度を多くしなくても半田印刷の安定性を確保することができる。その結果、半田を供給する頻度を減少させて、印刷を行う時間が増大するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、プレート移動部の駆動を制御する制御部をさらに備え、プレート移動部は、モータを含み、制御部は、マスク上の半田の量に応じて、プレート移動部のモータを制御して、スキージに対するプレートの位置を調整する。このように構成すれば、モータの駆動によりプレートの位置を自動で細かく移動することができるので、マスク上の半田の量に応じてプレートの位置を自動で細かく調整することができる。また、制御部によりプレートの位置を自動で調整する制御を行うので、作業者がプレートの位置を移動させる作業を行う必要がない。
【0010】
上記制御部を備える構成の印刷装置において、好ましくは、制御部は、マスク上の開口が設けられる領域における半田の減少量に応じて、一対のプレートを互いに近づけるように移動させる。このように構成すれば、印刷によるマスク上の半田の減少量に応じて、一対のプレートの間に挟まれて配置される半田の第2方向の長さを小さくすることができるので、その分、半田の第1方向の幅が小さくなるのを抑制することができる。その結果、マスク上の開口が設けられる領域における半田の断面積が小さくなり半田の断面形状が変化するのを抑制することができる。
【0011】
上記制御部を備える構成の印刷装置において、好ましくは、プレート移動部は、一対のプレートを同時に移動させる。このように構成すれば、一対のプレートの各々を順番に移動させる場合と比べて、一対のプレートを移動させる時間が長くなるのを抑制することができる。
【0012】
上記制御部を備える構成の印刷装置において、好ましくは、プレート移動部は、共通のモータの駆動により、一対のプレートを連動して第2方向に移動させる。このように構成すれば、一対のプレートの各々に対して移動させるためのモータを別個に設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができるとともに、装置構成を簡素化することができる。
【0013】
上記制御部を備える構成の印刷装置において、好ましくは、プレート移動部は、一対のプレートを第2方向における互いに反対方向に移動させて、一対のプレートの間隔を変更させる。このように構成すれば、スキージに対して一対のプレートを第2方向において互いに近づける移動、および、互いに遠ざける移動を、容易に行うことができる。
【0014】
上記制御部を備える構成の印刷装置において、好ましくは、制御部は、印刷時の一対のプレートの初期位置が、印刷を行う基板の第2方向における両端部の位置、または、両端部の位置よりも外側の位置になるように、プレート移動部を制御する。このように構成すれば、第2方向における基板の両端部の間の位置に対応するマスク上の位置に半田を配置することができるので、基板の半田が印刷される領域に対して半田を確実に印刷することができる。
【0015】
上記制御部を備える構成の印刷装置において、好ましくは、マスク上の半田の量を計測する計測部をさらに備え、制御部は、計測部により計測した半田の量に基づいて、一対のプレートを移動させる制御を行う。このように構成すれば、マスク上の半田の量を計測部により計測することができるので、計測部により計測した半田の量に基づいて、半田の形状を維持するように、一対のプレートの位置を精度よく調整することができる。
【0016】
上記制御部を備える構成の印刷装置において、好ましくは、制御部は、印刷開始から所定の複数枚数印刷するまでは、一対のプレートを移動させずに、所定の複数枚数印刷後から、一対のプレートを互いに近づけるように移動させる。このように構成すれば、一対のプレートの位置を移動させない状態(固定した状態)で、所定の複数枚数の基板に半田を印刷した後に、半田の変化量を測定することができるので、1枚の基板における半田の使用量が少ない場合でも、複数枚の基板における半田の使用量をまとめて測定することにより、変化量を精度よく取得することができる。これにより、取得した変化量を所定の複数枚数で除することにより、1枚の基板における半田の使用量を精度よく取得することができる。また、1枚の基板における半田の使用量を取得した後は、半田の形状を維持するように、印刷毎に一対のプレートの位置を精度よく調整することができる。
【0017】
上記制御部を備える構成の印刷装置において、好ましくは、制御部は、マスクの第2方向における開口が配置される範囲を取得し、一対のプレートを互いに最も近づける位置を、開口が配置される範囲の両端の位置よりも外側となるように一対のプレートの移動を制御する。このように構成すれば、一対のプレートをマスクの開口が配置される範囲まで近づけるまでは、マスク上に半田を供給することなく、印刷を継続することができる。また、マスクの開口が配置される範囲よりも内側に一対のプレートが配置されることがないので、半田をマスクの開口から基板に確実に印刷することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、半田を供給する頻度を減少させて、印刷を行う時間が増大するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による印刷装置の全体構成を示した正面図である。
図2】本発明の一実施形態による印刷装置のスキージユニット付近の側面図である。
図3】本発明の一実施形態による印刷装置の制御的な構成を示したブロック図である。
図4】本発明の一実施形態による印刷装置のプレートの移動の第1例を説明するための上面図である。
図5】本発明の一実施形態による印刷装置のプレートの移動の第2例を説明するための上面図である。
図6】本発明の一実施形態による印刷装置の印刷時に一対のプレートの両方を近づけるように移動させる例を説明するための上面図である。
図7】本発明の一実施形態による印刷装置の印刷時に一対のプレートの一方を他方に近づけるように移動させる例を説明するための上面図である。
図8】本発明の一実施形態による印刷装置の制御部により半田印刷処理を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1図7を参照して、本発明の一実施形態による印刷装置100の構造について説明する。
【0022】
本実施形態による印刷装置100は、マスク300に形成された開口302の所定のパターンで基板200の表面に半田303を印刷する機能を有している。印刷装置100は、図1に示すように、基台1と、基台1上に設けられ、基板200を保持するとともに、マスク300に対して位置合わせする基板テーブル2と、基板テーブル2の上方に配置されたマスク300の上方に設けられたスキージユニット3とを備えている。この印刷装置100は、搬入コンベア4aにより搬入される基板200に対して印刷処理を行った後、印刷済みの基板200を搬出コンベア4bにより搬出する機能を有している。
【0023】
基板テーブル2は、主に、一対のコンベア22と、X軸移動機構23と、Y軸移動機構24と、R軸移動機構25と、Z軸移動機構26と、基板昇降支持機構27とにより構成されている。
【0024】
X軸移動機構23は、X軸駆動部231(図3参照)と、X軸テーブル232と、X軸レール233とを有する。Y軸移動機構24は、Y軸駆動部241(図3参照)と、Y軸テーブル242と、Y軸レール243とを有する。R軸移動機構25は、R軸駆動部251(図3参照)と、R軸テーブル252とを有する。Z軸移動機構26は、Z軸駆動部261(図3参照)と、Z軸テーブル262とを有する。基板昇降支持機構27は、バックアップ軸駆動部271(図3参照)と、基板昇降支持部材(複数本のバックアップピン)272とを含む。
【0025】
基板テーブル2は、搬送される基板200をコンベア22上所定の位置に保持する。その後、基板カメラ111(図3参照)により基板200の基板テーブル2に対する位置が認識される。また、予めマスクカメラ112(図3参照)によりマスク300の位置が認識されている。また、基板テーブル2は、X軸移動機構23、Y軸移動機構24、およびR軸移動機構25により基板200を移動して、マスク300に対して位置決めした状態で、Z軸移動機構26により基板200をマスク300下面に密着する所定の位置まで上昇するように構成されている。なお、基板カメラ111およびマスクカメラ112は、それぞれ、基板200のマーク(図示せず)およびマスクマーク(図示せず)の撮像時、カメラ軸駆動部11(図3参照)により、基板テーブル2とマスク300との間の空間に侵入移動するように構成されている。
【0026】
一対のコンベア22は、図1に示すように、基板200の搬送方向に沿って延びるように設けられている。また、一対のコンベア22は、前後方向(Y方向)に所定距離を隔てて互いに平行に配置されている。また、一対のコンベア22は、搬送する基板200の幅に対応させてY方向の間隔を調整可能に構成されている。具体的には、基板幅軸駆動部28(図3参照)の駆動により、一対のコンベア22の間隔(幅)が調整されるように構成されている。
【0027】
また、一対のコンベア22は、基板搬送軸駆動部29(図3参照)の駆動によりX方向に基板200を搬送するように構成されている。また、一対のコンベア22は、Z軸テーブル262により下方から支持され、Z軸移動機構26により上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。また、一対のコンベア22は、搬入コンベア4aから印刷前の基板200を受け取るとともに、印刷済みの基板200を搬出コンベア4bに搬出する機能を有している。
【0028】
また、基板テーブル2には、Z軸テーブル262の上側(Z1方向側)に複数のバックアップピンを含む基板昇降支持部材272が設けられている。複数のバックアップピンは、基板200を下方から支持するように構成されている。具体的には、一対のコンベア22により搬送された基板200は、複数のバックアップピンにより一対のコンベア22から所定の高さ分上昇移動される。そして、一対のコンベア22に対しての所定の高さ位置まで上昇された基板200は、基板クランプ221(図3参照)によりクランプされる。この状態で上記したように基板200のマスク300に対する位置合わせと、マスク300下面へ密着するための基板200の上昇とが行われ、基板200は、マスク300の下面の所定の印刷位置に保持される。
【0029】
マスク300には、所定のパターンの開口302(図2参照)が形成されている。また、マスク300は、平面視で矩形形状を有し、外周部にフレーム301が取り付けられている。また、図1に示すように、マスク300は、マスククランプ部5によりフレーム301がクランプされることによって基板テーブル2の上方で固定的に保持される。
【0030】
図1に示すように、スキージユニット3は、マスク300の上方に配置されている。スキージユニット3は、前後方向(Y方向)に往復移動することにより、マスク300の上面上に供給された半田303をマスク300の上面に掻き広げる機能を有している。これにより、マスク300の開口302を介して基板200の表面に半田303が印刷される。具体的には、スキージユニット3は、図2および図3に示すように、印刷ヘッド部31と、印刷ヘッド部31を昇降駆動させるスキージZ軸モータ32とを備えている。なお、スキージZ軸モータ32の代わりに、印刷ヘッド部31を空気圧により昇降駆動させるシリンダを設けてもよい。
【0031】
図1に示すように、印刷ヘッド部31は、一対のレール6により前後方向(Y方向)に移動可能に支持されている。具体的には、スキージY軸モータ3a(図3参照)の駆動により、印刷ヘッド部31がY方向に移動されるように構成されている。つまり、スキージY軸モータ3aは、スキージ311を所定の方向(Y方向)に移動させる。また、印刷ヘッド部31は、上下方向(Z方向)に昇降可能に構成されている。具体的には、スキージZ軸モータ32(図3参照)の駆動により、印刷ヘッド部31がZ方向に移動されるように構成されている。
【0032】
また、図2に示すように、印刷ヘッド部31は、印刷ヘッド本体部31aと、スキージ支持プレート313とを有する。印刷ヘッド本体部31aは、主に、スキージ311と、スキージ回動モータ312と、一対のガイド部314と、一対の圧縮コイルバネ315と、スキージ支持ブラケット316とから構成されている。
【0033】
スキージ311は、図1に示すように、X方向に延びるように形成されている。また、スキージ311は、開口302が設けられたマスク300の上面に当接し、第1方向(Y方向)に移動してマスク300に供給された半田303をマスク300の開口302を介して基板200に印刷するように構成されている。また、スキージ311は、図2に示すように、第1方向(Y方向)に直交する水平方向の第2方向(X方向)に延びる支持軸317を回動中心として、スキージ支持ブラケット316に対し回動可能に取り付けられている。具体的には、スキージ311は、スキージ回動モータ312の駆動により、支持軸317を中心に回動されるように構成されている。
【0034】
また、スキージ311は、半田303を掻き取る掻き取り面(作業面)311aを有し、マスク300の上面に対して前後方向(Y方向)に摺動することによりマスク300の上面上の半田303を掻き取るように構成されている。また、スキージ311は、往路の印刷(後方から前方に向かう方向(Y1方向)の印刷)および復路の印刷(前方から後方に向かう方向(Y2方向)の印刷)の両方で共通の掻き取り面311aが用いられる。
【0035】
スキージ支持プレート313は、印刷ヘッド本体部31aを支持するように構成されている。具体的には、スキージ支持プレート313は、一対のガイド部314のストッパ314aが当接することにより、ガイド部314と、ガイド部314の下方(Z2方向)に接続されているスキージ支持ブラケット316と、スキージ支持ブラケット316にそれぞれ設けられたスキージ311およびスキージ回動モータ312と、スキージ支持ブラケット316に支持された一対の圧縮コイルバネ315とを含む印刷ヘッド本体部31aを吊るように支持するように構成されている。また、スキージ支持プレート313は、ボールネジ軸322に係合(螺合)しており、ボールネジ軸322が回動することにより、上下方向(Z方向)に移動するように構成されている。
【0036】
また、図3に示すように、スキージユニット3には、半田供給部33が設けられている。半田供給部33は、マスク300上に半田303を自動で供給するように構成されている。
【0037】
ここで、本実施形態では、印刷装置100には、図1に示すように、第1方向(Y方向)に直交する水平方向の第2方向(X方向)においてスキージ311の一方側および他方側(X1方向側およびX2方向側)に設けられ、第2方向(X方向)への半田303の移動を規制する一対のプレート34が設けられている。一対のプレート34は、X1方向側に配置されたプレート34aと、X2方向側に配置されたプレート34bとを含んでいる。つまり、プレート34aは、スキージ311の中心に対してX1方向側に配置されている。また、プレート34bは、スキージ311の中心に対してX2方向側に配置されている。また、プレート34aは、スキージ311により移動される半田303のX1方向側への移動を規制して、半田303がX1方向側に漏れ出るのを抑制する。プレート34bは、スキージ311により移動される半田303のX2方向側への移動を規制して、半田303がX2方向側に漏れ出るのを抑制する。プレート34は、たとえば、樹脂により板状に形成されている。
【0038】
また、本実施形態では、印刷装置100には、図4に示すように、マスク300上の半田303の量に応じて、一対のプレート34のうち少なくとも一方をX方向に移動させるプレート移動部35を設ける。
【0039】
プレート移動部35は、図4に示すように、プレート移動モータ351と、駆動軸352と、歯車353と、第1歯車354aおよび354bと、第2歯車355aおよび355bと、ボールネジ軸356aおよび356bと、ベアリング357aおよび357bと、を含んでいる。なお、プレート移動モータ351は、特許請求の範囲の「モータ」の一例である。
【0040】
プレート移動モータ351は、駆動軸352を回転させる。具体的には、プレート移動モータ351は、サーボモータを含み、駆動軸352を指令値に基づく所定量だけ回転させる。また、プレート移動モータ351は、軸線方向にみて、時計回りおよび反時計周りの両方の向きに回転可能である。駆動軸352は、プレート移動モータ351による回転駆動を歯車353に伝達する。
【0041】
歯車353は、第1歯車354aおよび354bの両方に係合する第1位置(図4参照)と、第2歯車355aおよび355bのうちいずれか一方に係合する第2位置(図5参照)との間で位置を切り替えることが可能である。具体的には、エアシリンダなどの駆動部により、プレート移動モータ351、駆動軸352および歯車353の位置が移動される。
【0042】
歯車353は、第1歯車354aおよび354bの両方に係合する第1位置(図4参照)に位置する場合に、回転駆動を、第1歯車354aおよび354bの両方に伝達する。また、歯車353は、第2歯車355aおよび355bのうちいずれか一方に係合する第2位置(図5参照)に位置する場合に、回転駆動を、第2歯車355aおよび355bのうち係合している歯車に伝達する。なお、図5では、歯車353がX1方向側に位置する第2歯車355aに係合している場合を示しているが、X2方向側に位置する第2歯車355aに対しても、歯車353がX2方向側に移動することにより同様に係合する。
【0043】
X1方向側に配置されたボールネジ軸356aは、第1歯車354aおよび第2歯車355aに接続されている。つまり、ボールネジ軸356aは、第1歯車354aまたは第2歯車355aの回転駆動が伝達される。また、ボールネジ軸356aには、プレート34aが係合(螺合)している。つまり、ボールネジ軸356aが回転することにより、プレート34aがX方向に移動される。
【0044】
X2方向側に配置されたボールネジ軸356bは、第1歯車354bおよび第2歯車355bに接続されている。つまり、ボールネジ軸356bは、第1歯車354bまたは第2歯車355bの回転駆動が伝達される。また、ボールネジ軸356bには、プレート34bが係合(螺合)している。つまり、ボールネジ軸356bが回転することにより、プレート34bがX方向に移動される。
【0045】
また、歯車353が第1歯車354aおよび354bの両方に係合する第1位置(図4参照)に位置する場合には、ボールネジ軸356aおよび356bの両方が回転するため、X1方向側のプレート34aおよびX2方向側のプレート34bの両方がX方向に移動する。つまり、プレート移動部35は、一対のプレート34(34aおよび34b)を同時に移動させる。また、プレート移動部35は、共通のプレート移動モータ351の駆動により、一対のプレート34(34aおよび34b)を連動してX方向に移動させる。
【0046】
また、プレート移動部35は、一対のプレート34(34aおよび34b)をX方向における互いに反対方向に移動させて、一対のプレート34の間隔を変更させる。つまり、プレート移動部35は、プレート34aのX2方向側への移動と、プレート34bのX1方向側への移動とを、連動させる。これにより、一対のプレート34(34aおよび34b)の間隔が小さくなる(近づく)。また、プレート移動部35は、プレート34aのX1方向側への移動と、プレート34bのX2方向側への移動とを、連動させる。これにより、一対のプレート34(34aおよび34b)の間隔が大きくなる(広がる)。
【0047】
また、印刷装置100には、図3に示すように、印刷装置100を制御する制御部7が設けられている。制御部7は、主制御部7aと、駆動制御部7bと、バルブ制御部7cとを有している。主制御部7aは、CPUからなり、記憶部10に記憶された印刷プログラムに基づいて各部を制御する機能を有している。また、主制御部7aは、駆動制御部7bおよびバルブ制御部7cを介して、スキージユニット、コンベアユニットおよびカメラユニットを制御するように構成されている。具体的には、駆動制御部7bにより、スキージY軸モータ3a、スキージZ軸モータ32およびスキージ回動モータ312の駆動が制御されて、スキージ311がY方向およびZ方向に移動されるとともに、スキージ311が支持軸317周りに回動される。つまり、制御部7は、スキージY軸モータ3a、スキージZ軸モータ32およびスキージ回動モータ312によるスキージ311の移動を制御する。
【0048】
また、駆動制御部7bにより、半田供給部33の駆動が制御されて、マスク300上に半田303が供給される。具体的には、制御部7は、所定の印刷枚数毎に半田303をマスク300上に供給する制御を行う。また、制御部7は、レーザ測定部12(図3参照)や基板カメラ111(図3参照)によりマスク300上の半田303の量を取得して、半田303の量が所定の量よりも少なくなったと判断した場合に、半田供給部33により、マスク300上に半田303を供給する制御を行う。
【0049】
また、駆動制御部7bにより、プレート移動モータ351の駆動が制御されて、一対のプレート34が第2方向(X方向)に移動される。
【0050】
また、駆動制御部7bにより、X軸駆動部231、Y軸駆動部241、R軸駆動部251およびZ軸駆動部261の駆動が制御されて、コンベアユニットの基板クランプ221にクランプされた基板200がX方向、Y方向およびZ方向に移動される。また、駆動制御部7bにより、R軸駆動部251の駆動が制御されて、コンベアユニットの基板クランプ221にクランプされた基板200がZ軸方向を回動中心としてR軸方向に回動される。また、駆動制御部7bにより、バックアップ軸駆動部271の駆動が制御されて、基板昇降支持部材272(バックアップピン)が上下方向(Z方向)に移動される。また、駆動制御部7bにより、カメラユニットのカメラ軸駆動部11の駆動が制御されて、マスク300の位置および姿勢を認識するためのマスクカメラ112(図3参照)が移動される。
【0051】
また、駆動制御部7bにより、基板幅軸駆動部28の駆動が制御されて、コンベア22のY方向の間隔(幅)が調整される。また、駆動制御部7bにより、基板搬送軸駆動部29の駆動が制御されて、コンベア22により基板200がX方向に搬送される。また、バルブ制御部7cにより、基板クランプ221のエア駆動が制御されて、基板200のクランプのオンオフが制御される。また、駆動制御部7bにより、カメラユニットのカメラ軸駆動部11の駆動が制御されて、基板200の位置および姿勢を認識するための基板カメラ111(図3参照)が移動される。
【0052】
なお、カメラユニットには上向きのマスクカメラ112と下向きの基板カメラ111が搭載されている。また、基板クランプ221は基板200のY方向両側から基板200を挟むものであり、基板200をクランプした状態で基板クランプ221の上面は基板200の上面と高さ位置(Z方向位置)が一致するようにされ、かつ、スキージ311からの荷重を基板200と同様にマスク300を介して支持することが可能に構成されている。
【0053】
また、主制御部7aは、印刷装置100の運転状態を表示ユニット8に表示させるように構成されている。また、主制御部7aは、作業者が入力ユニット9を介して入力する各種情報を受け付けるように構成されている。
【0054】
また、主制御部7aは、レーザ測定部12によりマスク300上の半田303の量を測定する制御を行う。また、主制御部7aは、基板カメラ111により基板200の位置および姿勢を取得するための撮像を制御する。また、主制御部7aは、マスクカメラ112によりマスク300の位置および姿勢を取得するための撮像を制御する。
【0055】
ここで、本実施形態では、制御部7は、プレート移動部35の駆動を制御する。具体的には、制御部7は、マスク300上の半田303の量に応じて、プレート移動部35のプレート移動モータ351を制御して、スキージ311に対するプレート34の位置を調整する。
【0056】
また、制御部7は、マスク300上の半田303の減少量に応じて、一対のプレート34を互いに近づけるように移動させる。
【0057】
具体的には、制御部7は、マスク300上の半田303の量を、レーザ測定部12または基板カメラ111により測定して取得する。レーザ測定部12は、マスク300の上方に配置され、レーザを照射してスキャンすることにより、マスク300上の半田303の幅W(Y方向の長さ)および高さH(Z方向の長さ)を計測する。また、基板カメラ111によりマスク300上の半田303の量を測定する場合には、基板カメラ111により、半田303を撮像して、半田303の幅Wを計測する。
【0058】
また、制御部7は、プレート34の位置に基づいて、半田303の長さL(X方向の長さ)を取得する。つまり、半田303は、X方向において、両端部がプレート34に当接するため、プレート34の間隔が半田303の長さLとして取得される。
【0059】
制御部7は、取得した半田303の幅W、高さHおよび長さLに基づいて、半田303の量(体積)を算出する。そして、制御部7は、半田303の幅Wおよび高さHに基づく断面積Sが所定の範囲内になるように、プレート34の間隔を小さくする制御を行う。つまり、半田303の長さLを小さくして、その分、半田303の幅Wおよび高さHを大きくして、断面積Sを所定の範囲内に維持する。
【0060】
また、制御部7は、半田303の長さLの目標値を、(半田303の量(体積))/(半田303の断面積)により算出する。そして、制御部7は、プレート34aを、((現在の間隔)ー(目標の間隔))/2だけ、X2方向に移動させる。また、制御部7は、プレート34bを、((現在の間隔)ー(目標の間隔))/2だけ、X1方向に移動させる。これにより、半田303のロールの直径が維持される。
【0061】
また、制御部7は、印刷開始から所定の複数枚数印刷するまでは、一対のプレート34を移動させずに、所定の複数枚数印刷後から、一対のプレート34を互いに近づけるように移動させる。つまり、制御部7は、プレート34を同じ位置とした状態で、基板200に半田303を複数枚印刷した後に、半田303の変化量を計測する。そして、制御部7は、変化量を複数枚で除することにより、1枚あたりの半田303の使用量を算出する。そして、制御部7は、基板200の1枚当たりの半田303の使用量を算出した結果に基づいて、基板200を1枚印刷する毎に、一対のプレート34を、使用量に応じた距離だけ互いに近づけるように移動させる。これにより、プレート34を一度に移動させる量を最小限にすることができるので、プレート34の移動に起因して半田303のX方向の端部の形状が大きく変形するのを抑制することが可能である。また、半田303の断面積および断面形状を効果的に維持することが可能である。
【0062】
また、制御部7は、印刷時の一対のプレート34の初期位置が、印刷を行う基板200のX方向における両端部の位置、または、両端部の位置よりも外側の位置になるように、プレート移動部35を制御する。具体的には、図7(A)に示すように、印刷開始時では、一対のプレート34が間隔D1となるようにする。なお、間隔D1は、基板200のX方向における長さL1以上である。
【0063】
また、制御部7は、マスク300のX方向における開口302が配置される範囲302aを取得する。そして、制御部7は、図6および図7に示すように、一対のプレート34を互いに最も近づける位置を、開口302が配置される範囲302aの両端の位置よりも外側となるように一対のプレート34の移動を制御する。
【0064】
たとえば、制御部7は、基板生産データのマスク300の情報に基づいて、開口302が配置される範囲302aを取得する。また、たとえば、制御部7は、基板生産データの基板200の情報に基づいて、開口302が配置される範囲302aを取得する。つまり、基板200の電極の位置に基づいて、開口302が配置される範囲302aが取得される。また、たとえば、制御部7は、カメラなどによりマスク300を撮像した画像に基づいて、開口302が配置される範囲302aを取得する。
【0065】
図6に示す動作例では、制御部7は、印刷毎に一対のプレート34(34aおよび34b)の両方を互いに近づく方向に移動させる。図6(A)に示すように、印刷開始時に、一対のプレート34(34aおよび34b)を間隔D1だけ離間させる。そして、印刷毎に一対のプレート34(34aおよび34b)の間隔を近づけていき、図6(B)の状態では、間隔D2(D2<D1)となる。そして、図6(C)に示すように、一対のプレート34(34aおよび34b)が間隔D3まで近づくと、図6(A)に戻る。つまり、一対のプレート34(34aおよび34b)の間隔D3が、開口302が配置される範囲302aのX方向の長さL2となると、一対のプレート34(34aおよび34b)の間隔を広げて、半田303が供給される。
【0066】
図7に示す動作例では、開口302が配置される範囲302aがX1方向側に寄っている。この場合、制御部7は、印刷毎に一対のプレート34(34aおよび34b)の一方(図7の例ではプレート34b)を他方(プレート34a)に近づく方向に移動させる。図7(A)に示すように、印刷開始時に、一対のプレート34(34aおよび34b)を間隔D11だけ離間させる。そして、印刷毎にプレート34bをプレート34aに近づけていき、図7(B)の状態では、間隔D12(D12<D11)となる。そして、図7(C)に示すように、一対のプレート34(34aおよび34b)が間隔D13まで近づくと、図7(A)に戻る。つまり、一対のプレート34(34aおよび34b)の間隔D13が、開口302が配置される範囲302aのX方向の長さL12となると、一対のプレート34(34aおよび34b)の間隔を広げて、半田303が供給される。
【0067】
(半田印刷処理)
次に、図8を参照して、制御部7の制御による半田印刷処理について説明する。
【0068】
図8のステップS1において、基板品種が切り替えられる。ステップS2において、制御部7は、マスク300の開口302が配置される範囲302aを取得する。
【0069】
ステップS3において、制御部7は、一対のプレート34(34aおよび34b)を互いに遠ざかるように移動させる。たとえば、制御部7は、一対のプレート34(34aおよび34b)の間隔を最大まで広げる。その後、マスク300上に半田303が供給される。そして、ステップS4において、制御部7は、マスク300上の半田303の幅(Y方向の長さ)を測定し、その測定の結果Aを取得する。
【0070】
ステップS5において、制御部7は、1枚の基板200に半田303を印刷して、半田303が印刷された基板200を1枚生産する。ステップS6において、制御部7は、複数の所定枚数の基板200を生産したか否かを判断する。所定枚数の基板200を生産するまで、ステップS5~S6の処理が繰り返される。
【0071】
複数の所定枚数の基板200が生産されると、ステップS7において、制御部7は、マスク300上の半田303の幅(Y方向の長さ)を測定し、その測定の結果Bを取得する。ステップS8において、制御部7は、結果Aおよび結果Bに基づいて、半田303の減少量を算出する。そして、制御部7は、算出した半田303の減少量を所定枚数で除して、1枚の基板200に使用される半田303の量を算出する。
【0072】
ステップS9において、制御部7は、基板200を1枚印刷する毎のプレート34の移動量を算出する。つまり、制御部7は、半田303の径(Y方向の長さ)を維持するように、一対のプレート34を近づける移動量を算出する。ステップS10において、1枚の基板200に半田303を印刷して、半田303が印刷された基板200を1枚生産する。
【0073】
ステップS11において、制御部7は、プレート34を移動させた場合に、プレート34が開口302の配置される範囲302aに到達するか否かを判断する。プレート34が範囲302aに到達しなければ、ステップS12に進み、プレート34が範囲302aに到達するようであれば、ステップS13に進む。ステップS12において、制御部7は、プレート34を、ステップS9で算出した量だけ近づくようにX方向に移動させる。なお、プレート34のX方向への移動は、ステップS10における印刷時(スキージ311のY方向への移動時)に並行して行うことが好ましい。
【0074】
ステップS13において、制御部7は、一対のプレート34(34aおよび34b)の間隔を最大まで広げる。ステップS14において、制御部7は、マスク300上に半田303を供給する。その後、ステップS10に戻る。
【0075】
また、この品種の基板200の生産が終了するまで、ステップS10~S14の処理が繰り返される。
【0076】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、マスク300上の半田303の量に応じて、一対のプレート34のうち少なくとも一方をX方向に移動させるプレート移動部35を設ける。これにより、マスク300上の半田303の量に応じて一対のプレート34を近づけるように移動させることができるので、印刷によりマスク300上の半田303の量が減ったとしても、マスク300上の半田303のX方向の長さを小さくすることができる。その結果、マスク300上の開口302が設けられる領域における半田303のY方向(スキージ311の移動方向)の幅を大きくすることができるので、マスク300上の開口302が設けられる領域における半田303の断面積が小さくなるのを抑制することができる。これにより、半田303を供給する頻度を多くしなくても半田印刷の安定性を確保することができる。その結果、半田303を供給する頻度を減少させて、印刷を行う時間が増大するのを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、プレート移動部35の駆動を制御する制御部7を設ける。また、プレート移動部35は、プレート移動モータ351を含む。また、制御部7は、マスク300上の半田303の量に応じて、プレート移動部35のプレート移動モータ351を制御して、スキージ311に対するプレート34の位置を調整する。これにより、プレート移動モータ351の駆動によりプレート34の位置を自動で細かく移動することができるので、マスク300上の半田303の量に応じてプレート34の位置を自動で細かく調整することができる。また、制御部7によりプレート34の位置を自動で調整する制御を行うので、作業者がプレート34の位置を移動させる作業を行う必要がない。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、マスク300上の開口302が設けられる領域における半田303の減少量に応じて、一対のプレート34を互いに近づけるように移動させる。これにより、印刷によるマスク300上の半田303の減少量に応じて、一対のプレート34の間に挟まれて配置される半田303のX方向の長さを小さくすることができるので、その分、半田303のY方向の幅が小さくなるのを抑制することができる。その結果、マスク300上の開口302が設けられる領域における半田303の断面積が小さくなり半田303の断面形状が変化するのを抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、プレート移動部35は、一対のプレート34(34aおよび34b)を同時に移動させる。これにより、一対のプレート34の各々を順番に移動させる場合と比べて、一対のプレート34を移動させる時間が長くなるのを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、プレート移動部35は、共通のプレート移動モータ351の駆動により、一対のプレート34(34aおよび34b)を連動してX方向に移動させる。これにより、一対のプレート34の各々に対して移動させるためのプレート移動モータ351を別個に設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができるとともに、装置構成を簡素化することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、プレート移動部35は、一対のプレート34(34aおよび34b)をX方向における互いに反対方向に移動させて、一対のプレート34の間隔を変更させる。これにより、スキージ311に対して一対のプレート34をX方向において互いに近づける移動、および、互いに遠ざける移動を、容易に行うことができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、印刷時の一対のプレート34の初期位置が、印刷を行う基板200のX方向における両端部の位置、または、両端部の位置よりも外側の位置になるように、プレート移動部35を制御する。これにより、X方向における基板200の両端部の間の位置に対応するマスク300上の位置に半田303を配置することができるので、基板200の半田が印刷される領域に対して半田303を確実に印刷することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、マスク300上の半田303の量を計測するレーザ測定部12、基板カメラ111(計測部)を設ける。また、制御部7は、レーザ測定部12、基板カメラ111により計測した半田303の量に基づいて、一対のプレート34を移動させる制御を行う。これにより、マスク300上の半田303の量をレーザ測定部12、基板カメラ111により計測することができるので、レーザ測定部12、基板カメラ111により計測した半田303の量に基づいて、半田303の形状を維持するように、一対のプレート34の位置を精度よく調整することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、印刷開始から所定の複数枚数印刷するまでは、一対のプレート34を移動させずに、所定の複数枚数印刷後から、一対のプレート34を互いに近づけるように移動させる。これにより、一対のプレート34の位置を移動させない状態(固定した状態)で、所定の複数枚数の基板200に半田303を印刷した後に、半田303の変化量を測定することができるので、1枚の基板200における半田303の使用量が少ない場合でも、複数枚の基板200における半田303の使用量をまとめて測定することにより、変化量を精度よく取得することができる。これにより、取得した変化量を所定の複数枚数で除することにより、1枚の基板200における半田303の使用量を精度よく取得することができる。また、1枚の基板200における半田303の使用量を取得した後は、半田303の形状を維持するように、印刷毎に一対のプレート34の位置を精度よく調整することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、マスク300のX方向における開口302が配置される範囲302aを取得し、一対のプレート34を互いに最も近づける位置を、開口302が配置される範囲302aの両端の位置よりも外側となるように一対のプレート34の移動を制御する。これにより、一対のプレート34をマスク300の開口302が配置される範囲まで近づけるまでは、マスク300上に半田303を供給することなく、印刷を継続することができる。また、マスク300の開口302が配置される範囲302aよりも内側に一対のプレート34が配置されることがないので、半田303をマスク300の開口302から基板200に確実に印刷することができる。
【0087】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0088】
たとえば、上記実施形態では、前後方向(Y方向)の両方に1つのスキージを移動させて印刷を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、前方向に移動させて印刷を行うスキージと、後方向に移動させて印刷を行うスキージとの2つのスキージが設けられている構成であってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、一対のプレートの両方が第2方向(X方向)に移動可能である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一対のプレートのうち一方のみが第2方向(X方向)に移動可能であってもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、プレート移動部がボールネジ機構によりプレートを移動させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、プレート移動部がコンベア機構によりプレートを移動させてもよいし、プレート移動部がリニアモータ機構によりプレートを移動させてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、プレート移動部が共通のモータにより、一対のプレートの両方を移動させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、プレート移動部が別個のモータにより、一対のプレートの各々を移動させてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、一対のプレートを同時に移動させる場合に、一対のプレートの各々が互いに反対方向に移動する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一対のプレートを同時に移動させる場合に、一対のプレートの各々を互いに同じ方向に移動してもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、基板とマスクとを密着させて印刷を行うコンタクト印刷方式により基板への半田の印刷を行う例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板とマスクとの間にギャップ(空隙)を設けて、印刷(スキージング)と版離れとの工程を同時に行うキャップ印刷(オフコンタクト印刷)方式を適用して、基板への半田の印刷を行ってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、前後方向(Y方向)に基板を搬送するレーンが1つ設けられているシングルレーンの構成の印刷装置の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板を搬送するレーンが前後方向(Y方向)に複数設けられているマルチレーンの構成の印刷装置であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
7 制御部
12 レーザ測定部(計測部)
34、34a、34b プレート
35 プレート移動部
100 印刷装置
111 基板カメラ(計測部)
200 基板
300 マスク
302 開口
302a 開口が配置される範囲
303 半田
311 スキージ
351 プレート移動モータ(モータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8