(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130891
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】窒化物半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/80 20060101AFI20240920BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/20 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
H01L29/80 Z
H01L29/80 H
H01L29/80 C
H01L29/80 F
H01L21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040838
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】舘 毅
【テーマコード(参考)】
5F102
5F152
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD04
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GK08
5F102GL04
5F102GL07
5F102GL08
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR06
5F102GR12
5F102GV03
5F102GV05
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC15
5F152LL05
5F152LM09
5F152LN03
5F152LN20
5F152MM06
5F152NN02
5F152NN03
5F152NN13
5F152NP09
5F152NQ09
(57)【要約】
【課題】結晶欠陥を低減して歩留まりを向上させることができる窒化物半導体装置を提供すること。
【解決手段】窒化物半導体装置10Aは、半導体基板11と、半導体基板11の上方に設けられた電子走行層16と、電子走行層16上に設けられた電子供給層18と、電子供給層18上の一部に設けられたゲート層22と、ゲート層22上に設けられたゲート電極24と、電子供給層18に接しているソース電極28およびドレイン電極30とを備える。半導体基板11は、平面視でゲート電極24と少なくとも部分的に重なる位置、平面視でソース電極28と少なくとも部分的に重なる位置、および平面視でドレイン電極30と少なくとも部分的に重なる位置のうちの少なくとも1つに設けられた1つまたは複数の凹部60を含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に設けられ、第1窒化物半導体で構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に設けられ、前記第1窒化物半導体よりも大きなバンドギャップを有する第2窒化物半導体で構成された電子供給層と、
前記電子供給層上の一部に設けられ、第3窒化物半導体で構成されたゲート層と、
前記ゲート層上に設けられたゲート電極と、
前記電子供給層に接しているソース電極およびドレイン電極と、を備え、
前記半導体基板は、
平面視で前記ゲート電極と少なくとも部分的に重なる位置、
平面視で前記ソース電極と少なくとも部分的に重なる位置、および
平面視で前記ドレイン電極と少なくとも部分的に重なる位置
のうちの少なくとも1つに設けられた1つまたは複数の凹部を含む、窒化物半導体装置。
【請求項2】
前記電子走行層は、平面視で前記半導体基板の前記1つまたは複数の凹部の位置に対応して前記電子走行層の下面に形成された1つまたは複数の凸部を含む、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板と前記電子走行層との間に設けられたバッファ層を備え、
前記バッファ層は、
前記半導体基板に接する前記バッファ層の下面に形成され、前記半導体基板の前記1つまたは複数の凹部に埋め込まれる1つまたは複数の凸部と、
前記電子走行層に接する前記バッファ層の上面に形成され、前記電子走行層の前記1つまたは複数の凸部が埋め込まれる1つまたは複数の凹部と、
を含む、請求項2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート電極、前記ソース電極、および前記ドレイン電極は各々、平面視で第1方向に長尺状に延在しており、
前記半導体基板の前記1つまたは複数の凹部は、
平面視で前記ゲート電極と重なる位置にて前記第1方向に延在する第1凹部と、
平面視で前記ソース電極と重なる位置にて前記第1方向に延在する第2凹部と、
平面視で前記ドレイン電極と重なる位置にて前記第1方向に延在する第3凹部と
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記第1凹部は、平面視で前記第1方向と直交する第2方向に前記ゲート電極の全体と重なっており、
前記ソース電極は、前記電子供給層と接するソースコンタクト部を含み、
前記第2凹部は、平面視で前記第2方向に前記ソースコンタクト部の全体と重なっており、
前記ドレイン電極は、前記電子供給層と接するドレインコンタクト部を含み、
前記第3凹部は、平面視で前記第2方向に前記ドレインコンタクト部の全体と重なっている、請求項4に記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート層は、
ゲート層本体部と、
前記ゲート層本体部の第1側面から前記ソースコンタクト部に向かって延在する第1延在部と、
前記第1側面とは反対側の前記ゲート層本体部の第2側面から前記ドレインコンタクト部に向かって延在する第2延在部と、を含み、
前記第1凹部は、平面視で前記第2方向に前記ゲート層本体部の全体と重なっている、請求項5に記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート電極、前記ソース電極、および前記ドレイン電極は各々、平面視で第1方向に長尺状に延在しており、
前記半導体基板の前記1つまたは複数の凹部は各々、平面視で前記第1方向と直交する第2方向に延在している、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記ゲート電極、前記ソース電極、および前記ドレイン電極は各々、平面視で第1方向に長尺状に延在しており、
前記半導体基板の前記1つまたは複数の凹部は、
平面視で前記ゲート電極と重なる位置にて前記第1方向に延在する第1凹部と、平面視で前記ソース電極と重なる位置にて前記第1方向に延在する第2凹部と、平面視で前記ドレイン電極と重なる位置にて前記第1方向に延在する第3凹部とのうちの少なくとも1つと、
平面視で前記第1方向と直交する第2方向に延在する第4凹部と、
を含む、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
前記ゲート電極、前記ソース電極、および前記ドレイン電極は各々、平面視で第1方向に長尺状に延在しており、
前記半導体基板の前記1つまたは複数の凹部は各々、前記ゲート層、前記ゲート電極、前記ソース電極、および前記ドレイン電極を含む単位トランジスタを平面視で囲む大きさで形成されている、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項10】
前記半導体基板の前記1つまたは複数の凹部は各々、深さ方向に前記半導体基板の上面から徐々に幅狭となる断面テーパ状に形成されている、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項11】
前記半導体基板の前記1つまたは複数の凹部は各々、前記半導体基板の上面から300nm以上500nm以下の深さで形成されている、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項12】
前記電子走行層はGaN層であり、
前記電子供給層はAlGaN層であり、
前記ゲート層は、Mg、Zn、およびCのうちの少なくとも一つをアクセプタ型不純物として含むGaN層である、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、窒化ガリウム(GaN)等の窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)の製品化が進んでいる。特許文献1は、窒化物半導体を用いたHEMT構造の一例を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HEMTデバイスは、半導体基板上に種々の窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることによって形成される。このとき、エピタキシャル成長の過程で、窒化物半導体層には貫通転位に起因した結晶欠陥が形成され得る。この結晶欠陥は、その結晶欠陥を通じて流れる電流リークを増加させる要因となり、ひいてはHEMTデバイスの歩留まりを低下させる要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様である窒化物半導体装置は、基板と、前記基板の上方に設けられ、第1窒化物半導体で構成された電子走行層と、前記電子走行層上に設けられ、前記第1窒化物半導体よりも大きなバンドギャップを有する第2窒化物半導体で構成された電子供給層と、前記電子供給層上の一部に設けられ、第3窒化物半導体で構成されたゲート層と、前記ゲート層上に設けられたゲート電極と、前記電子供給層に接しているソース電極およびドレイン電極と、を備える。前記基板は、平面視で前記ゲート電極と少なくとも部分的に重なる位置、平面視で前記ソース電極と少なくとも部分的に重なる位置、および平面視で前記ドレイン電極と少なくとも部分的に重なる位置のうちの少なくとも1つに設けられた1つまたは複数の凹部を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の窒化物半導体装置によれば、結晶欠陥を低減して歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる例示的な窒化物半導体装置の概略平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のF2-F2線および
図7のF2-F2線に沿った概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のF3領域の窒化物半導体装置の部分の拡大図である。
【
図4】
図4は、
図3のF4領域の窒化物半導体装置の部分の拡大図である。
【
図5】
図5は、
図4のF5-F5線に沿った概略断面図である。
【
図6】
図6は、
図4のF6-F6線に沿った概略断面図である。
【
図7】
図7は、
図1のF7領域の窒化物半導体装置の部分の概略平面図である。
【
図8】
図8は、例示的な基板凹部レイアウトを示す概略平面図である。
【
図9】
図9は、
図8のF9-F9線に沿った概略断面図である。
【
図11】
図11は、
図9の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態にかかる例示的な基板凹部レイアウトを示す概略平面図である。
【
図18】
図18は、
図17の基板凹部レイアウトに基づいてバッファ層および電子走行層に形成された凹凸構造を有する窒化物半導体装置の概略断面図である。
【
図19】
図19は、変形例にかかる例示的な基板凹部レイアウトを示す概略平面図である。
【
図20】
図20は、別の変形例にかかる例示的な基板凹部レイアウトを示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本開示における窒化物半導体装置の種々の実施形態を説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図ではハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0009】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。
【0010】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図16を参照して、第1実施形態にかかる窒化物半導体装置10Aについて説明する。
【0011】
[1.窒化物半導体装置の概略構造]
図1は、窒化物半導体装置10Aの概略平面構造を示している。
なお、本開示において使用される「平面視」という用語は、
図1に示される互いに直交するXYZ軸のZ軸方向に窒化物半導体装置10Aおよびその関連する構成を視ることをいう。また、本開示において、Y軸方向は「第1方向」に対応し、X軸方向は、平面視において第1方向と直交する「第2方向」に対応する。以下では、説明の便宜上、
図1に示される窒化物半導体装置10Aにおいて、+Z方向を上、-Z方向を下、+X方向を右、-X方向を左と定義する。
【0012】
図1に示されるように、窒化物半導体装置10Aは、半導体基板11と、半導体基板11上に形成されたトランジスタT(
図1では図示略)と、トランジスタTを覆う絶縁層12とを含む。
【0013】
半導体基板11としては、例えばシリコン(Si)基板を用いることができる。あるいは、Si基板に代えて、シリコンカーバイド(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、またはサファイア基板を用いることもできる。半導体基板11の厚さは、例えば200μm以上1500μm以下とすることができる。なお、以下の説明において、明示的に別段の記載がない限り、「厚さ」とは、Z軸方向に沿った寸法を指す。
【0014】
絶縁層12は、例えば窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO2)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al2O3)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成され得る。一例では、絶縁層12は、SiNを含む材料によって形成されている。
【0015】
窒化物半導体装置10Aは、アクティブ領域A1と、平面視においてアクティブ領域A1を囲む周辺領域A2とを含む。
図1の例では、アクティブ領域A1は、平面視で半導体基板11の中央部分に位置し、周辺領域A2は、半導体基板11の外周側に枠状に位置している。アクティブ領域A1は、トランジスタTが形成されている領域であり、周辺領域A2は、トランジスタTが形成されていない領域である。
【0016】
[2.トランジスタ構造]
図2は、
図1のF2-F2線に沿った窒化物半導体装置10Aの部分の概略断面図であり、トランジスタTの概略断面構造の一例を示している。なお、
図2では、トランジスタTの上方を覆う絶縁層12の部分の図示を省略している。
【0017】
図2に示されるように、トランジスタTは、窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)である。トランジスタTは、半導体基板11上に形成されたバッファ層14と、バッファ層14上に形成された電子走行層16と、電子走行層16上に形成された電子供給層18とを含む。
【0018】
バッファ層14は、半導体基板11と電子走行層16との間の熱膨張係数の不整合によるウェハ反りやクラックの発生を抑制することができる任意の材料によって構成され得る。バッファ層14は、窒化物半導体によって構成された1つまたは複数の窒化物半導体層を含む。バッファ層14は、例えば、窒化物アルミニウム(AlN)層、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、および異なるアルミニウム(Al)組成を有するグレーテッドAlGaN層のうち少なくとも1つを含んでもよい。例えば、バッファ層14は、AlNの単膜、AlGaNの単膜、AlGaN/GaN超格子構造を有する膜、AlN/AlGaN超格子構造を有する膜、またはAlN/GaN超格子構造を有する膜等によって構成されていてもよい。
【0019】
一例において、バッファ層14は、半導体基板11上に形成されたAlN層である第1バッファ層と、AlN層(第1バッファ層)上に形成されたAlGaN層である第2バッファ層を含む。第1バッファ層は例えば200nmの厚さを有するAlN層であってよく、第2バッファ層は例えば300nmの厚さを有するグレーテッドAlGaN層であってよい。なお、バッファ層14におけるリーク電流を抑制するために、バッファ層14の一部に不純物を導入することによってバッファ層14の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。この場合、不純物は、例えば炭素(C)または鉄(Fe)である。不純物濃度は、例えば4×1016cm-3以上とすることができる。
【0020】
電子走行層16は、窒化物半導体によって構成されている。電子走行層16は、例えばGaN層であってよい。電子走行層16の厚さは、例えば0.5μm以上2μm以下とすることができる。なお、電子走行層16におけるリーク電流を抑制するために、電子走行層16の一部に不純物を導入することによって電子走行層16の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。この場合、不純物は、例えばCである。不純物の濃度は、例えば4×1016cm-3以上とすることができる。
【0021】
電子走行層16は、不純物濃度の異なる複数のGaN層、一例ではCドープGaN層とノンドープGaN層を含むことができる。この場合、CドープGaN層は、バッファ層14上に形成されている。CドープGaN層の厚さは、例えば0.3μm以上2μm以下とすることができる。CドープGaN層中のC濃度は、例えば5×1017cm-3以上9×1019cm-3以下とすることができる。ノンドープGaN層は、CドープGaN層上に形成されている。ノンドープGaN層の厚さは、例えば0.05μm以上0.4μm以下とすることができる。ノンドープGaN層は、電子供給層18と接している。一例では、電子走行層16は、厚さ0.4μmのCドープGaN層と、厚さ0.4μmのノンドープGaN層とを含む。CドープGaN層中のC濃度は約2×1019cm-3である。
【0022】
電子供給層18は、電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されている。電子供給層18は、例えばAlGaN層であってよい。窒化物半導体では、Al組成が高いほどバンドギャップが大きくなるため、AlGaN層である電子供給層18は、GaN層である電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する。一例では、電子供給層18はAlxGa1-xNによって構成されており、ここで、xは、例えば0<x<0.4であり、より好ましくは0.1<x<0.3である。電子供給層18の厚さは、例えば5nm以上20nm以下とすることができる。
【0023】
電子走行層16と電子供給層18とは、バルク領域において異なる格子定数を有する。したがって、電子走行層16と電子供給層18とは格子不整合系のヘテロ接合を形成する。電子走行層16および電子供給層18の自発分極と、電子走行層16のヘテロ接合部が受ける圧縮応力に起因するピエゾ分極とによって、電子走行層16と電子供給層18との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層16の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、電子走行層16と電子供給層18とのヘテロ接合界面に近い位置(例えば、界面から数nm程度の距離)において電子走行層16内には二次元電子ガス(2DEG)20が広がっている。
【0024】
トランジスタTは、電子供給層18上に形成されたゲート層22と、ゲート層22上に形成されたゲート電極24と、電子供給層18、ゲート層22、およびゲート電極24を覆う絶縁層26とを含む。ゲート電極24は、ゲート層22上の一部に形成されている。絶縁層26は、X軸方向におけるゲート層22の両側にゲート層22から離間して設けられたソース開口部26Aおよびドレイン開口部26Bを含む。すなわち、ソース開口部26Aとドレイン開口部26Bとは、X軸方向に互いに離間している。
【0025】
ゲート層22は、ソース開口部26Aとドレイン開口部26Bとの間に位置している。ゲート層22は、X軸方向においてドレイン開口部26Bよりもソース開口部26A寄りに配置されている。すなわち、X軸方向におけるゲート層22とドレイン開口部26Bとの間の距離は、X軸方向におけるゲート層22とソース開口部26Aとの間の距離よりも長い。
【0026】
ゲート層22は、窒化物半導体によって構成されている。例えば、ゲート層22は、AlGaN層である電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有する任意の材料によって構成され得る。また、第1実施形態では、ゲート層22は、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されている。一例では、ゲート層22は、アクセプタ型不純物がドープされたGaN層(p型GaN層)である。アクセプタ型不純物は、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、およびCのうち少なくとも1つを含むことができる。ゲート層22中のアクセプタ型不純物の最大濃度は、例えば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0027】
なお、本開示において、電子走行層16を構成する窒化物半導体は、第1窒化物半導体に対応し、電子供給層18を構成する窒化物半導体は、第2窒化物半導体に対応する。また、ゲート層22を構成する窒化物半導体は、第3窒化物半導体に対応し、バッファ層14を構成する窒化物半導体は、第4窒化物半導体に対応する。
【0028】
ゲート層22にアクセプタ型不純物が含まれることにより、電子走行層16および電子供給層18のエネルギーレベルが引き上げられる。その結果、ゲート層22の直下の領域において電子走行層16と電子供給層18との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層16の伝導帯のエネルギーレベルは、フェルミ準位とほぼ同じか、またはそれよりも大きくなる。したがって、ゲート電極24に電圧を印加していないゼロバイアス時において、ゲート層22の直下の領域における電子走行層16には、2DEG20が形成されない。一方、ゲート層22の直下の領域以外の領域における電子走行層16には、2DEG20が形成されている。
【0029】
このように、アクセプタ型不純物がドープされたゲート層22の存在によってゲート層22の直下の領域で2DEG20によるチャネルが消失する。これにより、トランジスタTのノーマリーオフ動作が実現される。ゲート電極24に適切なオン電圧が印加されると、ゲート電極24の直下の領域における電子走行層16に2DEG20によるチャネルが形成されるため、ソース-ドレイン間が導通する。
【0030】
ゲート層22の形状は特に限定されない。
図2の例では、ゲート層22は、ステップ(段差)構造を有している。例えば、ゲート層22は、ゲート層本体部22Aと、ゲート層本体部22Aの第1側面(
図2では左側面)からソース開口部26Aに向かって延在する第1延在部22Bと、ゲート層本体部22Aの第2側面(
図2では右側面)からドレイン開口部26Bに向かって延在する第2延在部22Cとを含む。ゲート電極24はゲート層本体部22A上に位置している。ゲート層本体部22Aは、例えばXZ平面において矩形状、台形状、またはリッジ状等の任意の断面形状を有し得る。ゲート層本体部22Aの厚さ、すなわち、ゲート層本体部22Aの上面からゲート層本体部22Aの下面(電子供給層18に接するゲート層22の下面)までの距離は、80nm以上150nm以下とすることができる。
【0031】
第1延在部22Bは、ゲート層本体部22Aからソース開口部26Aに向けて延在しつつ、ソース開口部26Aから離間している。第2延在部22Cは、ゲート層本体部22Aからドレイン開口部26Bに向けて延在しつつ、ドレイン開口部26Bから離間している。
図2の例では、第2延在部22Cは、X軸方向に第1延在部22Bよりも長く形成されている。ただし、第1延在部22Bと第2延在部22Cとは同じ長さであってもよい。第1延在部22BのX軸方向の長さは、例えば0.2μm以上0.3μm以下とすることができる。第2延在部22CのX軸方向の長さは、例えば0.2μm以上1.5μm以下とすることができる。
【0032】
ゲート電極24は、1つまたは複数の金属層によって構成されている。ゲート電極24は、一例では窒化チタン(TiN)層である。あるいは、ゲート電極24は、Tiを含む材料によって形成された第1金属層と、第1金属層上に積層され、TiNを含む材料によって形成された第2金属層とを含んでもよい。ゲート電極24が例えばTiNで構成される場合、ゲート電極24はゲート層22とショットキー接合を形成する。ゲート電極24は、平面視でゲート層本体部22Aよりも小さい領域に形成されている。ただし、ゲート電極24は、平面視でゲート層本体部22Aと同じ領域に形成されてもよい。ゲート電極24の厚さは、例えば、50nm以上200nm以下とすることができる。
【0033】
絶縁層26は、電子供給層18上に形成されている。絶縁層26は、トランジスタTを覆う絶縁層12の一部である。絶縁層26は、パッシベーション層とも呼ばれる。絶縁層26は、ゲート層22およびゲート電極24を覆っている。
【0034】
トランジスタTは、ソース開口部26Aを介して電子供給層18に接するソース電極28と、ドレイン開口部26Bを介して電子供給層18に接するドレイン電極30とをさらに含む。
【0035】
ソース電極28およびドレイン電極30は、1つまたは複数の金属層(例えば、Ti、Al、AlCu、TiN等)によって構成されている。ソース電極28は、ソース開口部26Aを介して電子供給層18と接するソースコンタクト部28Aを含み、ソース開口部26Aを介してソースコンタクト部28Aの直下の2DEG20とオーミック接触している。ドレイン電極30は、ドレイン開口部26Bを介して電子供給層18と接するドレインコンタクト部30Aを含み、ドレイン開口部26Bを介してドレインコンタクト部30Aの直下の2DEG20とオーミック接触している。
【0036】
トランジスタTは、絶縁層26上に形成されたフィールドプレート電極31をさらに含み得る。フィールドプレート電極31は、ゲート層22とドレイン電極30との間の領域に延在しつつ、ドレイン電極30からは離間している。したがって、フィールドプレート電極31は、平面視でドレイン電極30(ドレイン開口部26B)とゲート層22との間に位置する端部31Aを含む。
【0037】
フィールドプレート電極31は、ソース電極28に電気的に接続されている。
図2の例では、フィールドプレート電極31は、ソース電極28と連続して一体的に形成されている。このような一体化電極の場合、ソース開口部26Aに埋設された電極部分、または、それに加えてソース開口部26A近傍に位置する電極部分がソース電極28に対応し得る。フィールドプレート電極31は、一体化電極のうちソース電極28以外の残りの部分に対応し得る。フィールドプレート電極31は、ゲート電極24にゲート電圧が印加されていないゼロバイアス時にゲート層22の端部近傍およびゲート電極24の端部近傍の電界集中を緩和する役割を果たす。
【0038】
図3は、
図1のF3領域における窒化物半導体装置10Aの部分の拡大図であり、
図4は、
図3のF4領域における窒化物半導体装置10Aの部分の拡大図である。なお、
図4では、ソース開口部26Aに埋設されたソース電極28の部分、ドレイン開口部26Bに埋設されたドレイン電極30の部分、およびゲート電極24が透過して視えるように示されている。
【0039】
図4に示されるように、ソース電極28、ドレイン電極30、およびゲート電極24はY軸方向に延在している。すなわち、
図2に示すトランジスタT(HEMT)はY軸方向に連続して形成されている。なお、アクティブ領域A1には複数のトランジスタT(単位トランジスタ)がアレイ状に配置されており、そのうちの1つが
図2に示されている。なお、
図4には示されていないが、ゲート電極24の端部はアクティブ領域A1から突出して周辺領域A2に位置している。
【0040】
[3.各種電極パッドおよび各種配線の構造、ならびに周辺構造]
図1に示されるように、窒化物半導体装置10Aは、絶縁層12の上面12Aにそれぞれ形成されたソースパッド41、ドレインパッド42、およびゲートパッド43を含む。ソースパッド41、ドレインパッド42、およびゲートパッド43は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、AlCu合金、タングステン(W)、チタン(Ti)、および窒化チタン(TiN)のうちの少なくとも1つを含む任意の導体材料によって構成することができる。
【0041】
ソースパッド41は、ソース電極28に電気的に接続される電極パッドである。
図1の例では、ソースパッド41は、アクティブ領域A1の右側(+X方向側)位置にアクティブ領域A1と並んで周辺領域A2内に配置されている。ソースパッド41は、平面視でY軸方向に延在する矩形状である。ソースパッド41は、Y軸方向に沿ってアクティブ領域A1の寸法とほぼ同じ寸法で形成され得る。
【0042】
ドレインパッド42は、ドレイン電極30に電気的に接続される電極パッドである。
図1の例では、ドレインパッド42は、アクティブ領域A1の左側(-X方向側)位置にアクティブ領域A1と並んで周辺領域A2内に配置されている。ドレインパッド42は、平面視でY軸方向に延在する矩形状である。ドレインパッド42は、Y軸方向に沿ってアクティブ領域A1の寸法とほぼ同じ寸法で形成され得る。
【0043】
ゲートパッド43は、ゲート電極24に電気的に接続される電極パッドである。ゲートパッド43は、第1ゲートパッド43Aと第2ゲートパッド43Bを含む。
図1の例では、第1ゲートパッド43Aは、ソースパッド41の上側(+Y方向側)位置、すなわち、アクティブ領域A1の上側位置にソースパッド41と並んで周辺領域A2内に配置されている。第2ゲートパッド43Bは、ソースパッド41の下側(-Y方向側)位置、すなわち、アクティブ領域A1の下側位置にソースパッド41と並んで周辺領域A2内に配置されている。
【0044】
図1および
図3に示されるように、窒化物半導体装置10Aは、ソースパッド41から延出する複数のソース配線44、ドレインパッド42から延出する複数のドレイン配線45、およびゲートパッド43から延出するゲート配線46を含む。ソース配線44、ドレイン配線45、およびゲート配線46は、絶縁層12の上面12Aに形成されている。なお、
図1においては、ソース配線44およびドレイン配線45の図示を省略している。
【0045】
ソース配線44は、ソースパッド41からドレインパッド42に向けてX軸方向に櫛状に延在している。ソース配線44は周辺領域A2およびアクティブ領域A1の双方に跨って設けられるとともに、ソース配線44の先端はアクティブ領域A1に位置している。ソース配線44は、Y軸方向に等間隔に離間して配置されている。なお、ソース配線44はソースパッド41と一体に形成されている。
【0046】
ドレイン配線45は、ドレインパッド42からソースパッド41に向けてX軸方向に櫛状に延在している。ドレイン配線45は、周辺領域A2およびアクティブ領域A1の双方に跨って設けられるとともに、ドレイン配線45の先端は、アクティブ領域A1に位置している。ドレイン配線45は、Y軸方向に等間隔に離間して配置されている。また、ソース配線44とドレイン配線45とは、Y軸方向に1つずつ交互に、互いに離間しつつ配置されている。なお、ドレイン配線45は、ドレインパッド42と一体に形成されている。
【0047】
図1に示されるように、ゲート配線46は、第1ゲート配線46Aと第2ゲート配線46Bを含む。第1ゲート配線46Aと第2ゲート配線46Bは各々、第1ゲートパッド43Aと第2ゲートパッド43Bとを接続する。第1ゲートパッド43A、第2ゲートパッド43B、第1ゲート配線46A、および第2ゲート配線46Bは、それらの接続状態では全体として、アクティブ領域A1、ソースパッド41、およびドレインパッド42を囲む枠状に配置されている。
【0048】
第1ゲート配線46Aは、周辺領域A2内に配置されるとともに、
図1の例では平面視でアクティブ領域A1およびドレインパッド42を囲むU字状に延在している。第1ゲート配線46Aの一方の端部は第1ゲートパッド43Aに接続されており、他方の端部は第2ゲートパッド43Bに接続されている。第2ゲート配線46Bは、
図1の例ではソースパッド42の右側位置において周辺領域A2内に配置されている。第1ゲート配線46Aおよび第2ゲート配線46B(すなわち、ゲート配線46)は、ゲートパッド43と一体に形成されている。
【0049】
図5は、
図4のF5-F5線に沿った窒化物半導体装置10Aの部分の概略断面図であり、
図6は、
図4のF6-F6線に沿った窒化物半導体装置10Aの部分の概略断面図である。なお、
図5および
図6では、図示を分かり易くするために、トランジスタTの断面構造が
図2の断面構造と比較して簡略化して示されている。例えば、ゲート層22はゲート電極24の直下の部分のみが簡略化して示されている。また、ソース電極28とフィールドプレート電極31との一体化電極の形状は簡略化されている。また、半導体基板11およびバッファ層14の図示は省略されている。
【0050】
図5および
図6に示されるように、周辺領域A2には電子供給層18が形成されていない。周辺領域A2に位置する電子走行層16は、電子走行層16の上部が除去された状態で第1窒化物半導体(例えばGaN)によって形成された外周部として設けられており、この外周部上に接して絶縁層12が形成されている。外周部として形成された電子走行層16上には電子供給層18が存在しないため、外周部に2DEG20は発生しない。
【0051】
図4および
図5に示されるように、ソース配線44は、平面視でソース電極28(およびそれと一体的に形成されたフィールドプレート電極31)と重なる重なり部分44Aを含む。この重なり部分44Aに対応する位置にてソース配線44とソース電極28との間の絶縁層12には、絶縁層12を貫通してソース配線44とソース電極28とを電気的に接続するビアVsが形成されている。
【0052】
図4および
図6に示されるように、ドレイン配線45は、平面視でドレイン電極30と重なる重なり部分45Aを有している。この重なり部分45Aに対応する位置にてドレイン配線45とドレイン電極30との間の絶縁層12には、絶縁層12を貫通してドレイン配線45とドレイン電極30とを電気的に接続するビアVdが形成されている。
【0053】
なお、図示は省略するが、ゲート配線46は、周辺領域A2に突出したゲート電極24の端部と平面視で重なる重なり部分を含み、この重なり部分に対応する位置で絶縁層12を貫通するビアによりゲート電極24と電気的に接続されている。
【0054】
図4~
図6に示されるように、アクティブ領域A1内の外周部分には、アクティブ領域A1の中央部分を囲む四角枠状の第1外周ガードリング51および第2外周ガードリング52が設けられている。
【0055】
第1外周ガードリング51の一例は、電子供給層18上に接して設けられた半導体層51Aと、半導体層51A上に接して設けられた第1導電層51Bと、第1導電層51Bの上方において、絶縁層12内に埋め込まれた第2導電層51Cとを含む。半導体層51Aは、例えば、ゲート層22と同じ材料により構成されている。第1導電層51Bは、例えば、ゲート電極24と同じ材料により構成されている。第2導電層51Cは、例えば、ソース電極28およびドレイン電極30と同じ材料により構成されている。
【0056】
第2外周ガードリング52は、第1外周ガードリング51よりもアクティブ領域A1の外周側において第1外周ガードリング51を囲むように設けられている。第2外周ガードリング52の一例は、電子供給層18上に接して設けられた導電層である。第2外周ガードリング52は、例えば、ソース電極28およびドレイン電極30と同じ材料により構成されている。
【0057】
[4.トランジスタの平面レイアウト]
図7は、
図1のF7領域における窒化物半導体装置10Aの部分の概略平面図であり、トランジスタTの例示的な平面レイアウトを示している。なお、
図7では、トランジスタTの上方を覆う絶縁層12の部分およびトランジスタTのゲート層22の図示を省略している。
【0058】
上記したように、アクティブ領域A1には、複数のトランジスタT(単位トランジスタ)がアレイ状に配置されている。例えば、トランジスタT1は、アクティブ領域A1においてX軸方向およびY軸方向の各々に並んで配置されている。なお、
図7の例では、説明を目的として、X軸方向に並ぶ8つのトランジスタT1のみを示しているが、実際には、より多くの数のトランジスタT1がX軸方向およびY軸方向に並んで配置され得る。Y軸方向に並ぶトランジスタT1のゲート電極24は互いに電気的に接続されている。
【0059】
図7に示されるように、各トランジスタTにおいて、ソース電極28(およびそれと一体的に形成されたフィールドプレート電極31)、ソース開口部26A、ドレイン電極30、ドレイン開口部26B、およびゲート電極24は、Y軸方向に長尺状に延在している。なお、図示を省略しているが、ゲート層22もY軸方向に長尺状に延在している。
【0060】
ゲート電極24は、平面視でソース電極28(ソース開口部26A)を囲む枠状に形成されている。例えば、トランジスタTの耐圧を高くするには、ゲート・ドレイン間距離をゲート・ソース間距離よりも大きくする必要がある。各ゲート電極24がドレイン電極30(ドレイン開口部26B)を囲む構造の場合、ドレイン電極30とゲート電極24とのY軸方向の離間距離も相対的に大きくなる。このため、ゲート電極24がソース電極28を囲む構造は、ゲート電極24がドレイン電極30を囲む構造に比べてチップ面積の点で有利である。
【0061】
[5.半導体基板の凹凸構造]
図8は、例示的な基板凹部レイアウトを示す概略平面図であり、
図9は、
図8のF9-F9線に沿った概略断面図であり、
図8の基板凹部レイアウトに基づいてバッファ層14および電子走行層16に形成された凹凸構造を有する窒化物半導体装置10Aの概略断面図である。なお、便宜上、上述したトランジスタTの概略構造の説明に用いた
図2の断面図では、
図9の断面図に示す半導体基板11、バッファ層14、および電子走行層16の凹凸構造は省略されている。
【0062】
まず、半導体基板11の凹凸構造について説明する。
図8および
図9に示されるように、半導体基板11(
図8では図示略)は、半導体基板11の上面11Aに形成された1つまたは複数(第1実施形態では複数)の凹部60を含む。したがって、半導体基板11は、凹部60の形状に基づく凹凸構造を上面11Aに有している。凹部60は、半導体基板11の上面11Aから深さD1で形成される。深さD1は、例えば、300nm以上500nm以下とすることができる。
【0063】
例えば、凹部60は、平面視でゲート電極24と少なくとも部分的に重なる位置(以下、ゲート電極重複位置という)に設けられた第1凹部60Aを含む。また、凹部60は、平面視でソース電極28と少なくとも部分的に重なる位置(以下、ソース電極重複位置という)に設けられた第2凹部60Bを含む。また、凹部60は、平面視でドレイン電極30と少なくとも部分的に重なる位置(以下、ドレイン重複位置という)に設けられた第3凹部60Cを含む。
【0064】
なお、
図8および
図9の例に示される第1実施形態では、凹部60は、第1~第3凹部60A,60B,60Cのすべてを含むものであるが、凹部60は、ゲート電極重複位置、ソース電極重複位置、およびドレイン電極重複位置のうちの少なくとも1つに設けられていればよい。例えば、凹部60は、第1~第3凹部60A,60B,60Cのうちのいずれか一つまたは2つのみを含むものであってよい。
【0065】
第1凹部60Aは、平面視でゲート電極24と重なる位置にてY軸方向に延在している。なお、
図8では、分かり易くするために第1凹部60AがY軸方向に1つのトランジスタT(単位トランジスタ)のゲート電極24と重なる長さで形成されるものとして示されているが、第1凹部60AはY軸方向に複数のトランジスタT1のゲート電極24と重なる長さで形成されてよい。例えば、第1凹部60Aは、アクティブ領域A1全体に亘ってY軸方向に延在し得る。
【0066】
第1凹部60Aは、X軸方向にゲート電極24の全体と重なるように形成されている。例えば、X軸方向の第1凹部60Aの幅W1は、X軸方向のゲート電極24の長さ以上であってよい。第1実施形態では、
図9に示されるように、第1凹部60Aの幅W1は、第1凹部60AがX軸方向にゲート層本体部22Aの全体と重なるように、X軸方向のゲート層本体部22Aの長さ以上に設定されている。
【0067】
第2凹部60Bは、平面視でソース電極28と重なる位置にてY軸方向に延在している。なお、
図8では、分かり易くするために第2凹部60BがY軸方向に1つのトランジスタT(単位トランジスタ)のソース電極28と重なる長さで形成されるものとして示されているが、第2凹部60BはY軸方向に複数のトランジスタT1のソース電極28と重なる長さで形成されてよい。例えば、第2凹部60Bは、アクティブ領域A1全体に亘ってY軸方向に延在し得る。
【0068】
第2凹部60Bは、X軸方向にソースコンタクト部28Aの全体と重なるように、すなわち、ソース開口部26Aの全体と重なるように形成されている。例えば、
図9に示されるように、X軸方向の第2凹部60Bの幅W2は、X軸方向のソースコンタクト部28Aの長さ(ソース開口部26Aの幅)以上であってよい。なお、図示を分かり易くするために、
図8では、第2凹部60Bの幅(
図9の幅W2)がソース開口部26Aの幅よりもわずかに大きく描かれている。
【0069】
第3凹部60Cは、平面視でドレイン電極30と重なる位置にてY軸方向に延在している。なお、
図8では、分かり易くするために第3凹部60CがY軸方向に1つのトランジスタT(単位トランジスタ)のドレイン電極30と重なる長さで形成されるものとして示されているが、第3凹部60CはY軸方向に複数のトランジスタT1のドレイン電極30と重なる長さで形成されてよい。例えば、第3凹部60Cは、アクティブ領域A1全体に亘ってY軸方向に延在し得る。
【0070】
第3凹部60Cは、X軸方向にドレインコンタクト部30Aの全体と重なるように、すなわち、ドレイン開口部26Bの全体と重なるように形成されている。例えば、
図9に示されるように、X軸方向の第3凹部60Cの幅W3は、X軸方向のドレインコンタクト部30Aの長さ(ドレイン開口部26Bの幅)以上であってよい。なお、図示を分かり易くするために、
図8では、第3凹部60Cの幅(
図9の幅W3)がドレイン開口部26Bの幅よりもわずかに大きく描かれている。
【0071】
[6.バッファ層および電子走行層の凹凸構造]
次に、引き続き
図9を参照して、
図8の基板凹部レイアウトに基づいてバッファ層14および電子走行層16に形成される例示的な凹凸構造について説明する。
【0072】
電子走行層16およびその下層のバッファ層14は、半導体基板11上に種々の窒化物半導体をエピタキシャル成長させることによって形成される。例えば、バッファ層14はAlN層とAlGaN層とを含む層であってよく、電子走行層16はGaN層であってよい。半導体基板11は、上記したように凹部60を含む。したがって、半導体基板11上に形成されるバッファ層14、およびバッファ層14上に形成される電子走行層16には、半導体基板11の凹部60の位置に対応して凹凸構造が形成される。なお、電子走行層16(それを形成する窒化物半導体層)にはその形成過程で平坦化処理が施されるため、電子走行層16上に形成される電子供給層18には凹凸構造は形成されない。
【0073】
まず、バッファ層14の凹凸構造について説明する。
バッファ層14は、半導体基板11の凹部60の形状に対応して形成される凹凸構造をバッファ層14の上面14Aおよび下面14Bに各々有している。
図9の例においては、バッファ層14は、平面視で半導体基板11の複数の凹部60に対応する位置にてバッファ層14の下面14Bに形成された複数の凸部80を含む。また、バッファ層14は、平面視でバッファ層14の複数の凸部80(すなわち、半導体基板11の複数の凹部60)に対応する位置にてバッファ層14の上面14Aに形成された複数の凹部81を含む。
【0074】
バッファ層14の凸部80は、バッファ層14の下面14Bから下方に突出して半導体基板11の凹部60に埋め込まれている。したがって、バッファ層14の凸部80は、半導体基板11の凹部60と同等な深さD1で形成される。バッファ層14の凸部80は、半導体基板11の第1~第3凹部60A,60B,60Cにそれぞれ埋め込まれる第1~第3凸部80A,80B,80Cを含む。したがって、第1凸部80Aはゲート電極重複位置に設けられており、第2凸部80Bはソース電極重複位置に設けられており、第3凸部80Cはドレイン電極重複位置に設けられている。
【0075】
バッファ層14の凹部81は、バッファ層14の上面14Aから、上記深さD1と同等かまたはそれよりもわずかに小さい深さD2で形成される。バッファ層14の凹部81は、平面視でバッファ層14の第1~第3凸部80A,80B,80C(すなわち、半導体基板11の第1~第3凹部60A,60B,60C)にそれぞれ対応する位置に形成された第1~第3凹部81A,81B,81Cを含む。したがって、第1凹部81Aはゲート電極重複位置に設けられており、第2凹部81Bはソース電極重複位置に設けられており、第3凹部81Cはドレイン電極重複位置に設けられている。
【0076】
次に、電子走行層16の凹凸構造について説明する。
電子走行層16は、半導体基板11の凹部60の形状に対応して形成される凹凸構造を電子走行層16の下面16Bに有している。なお、上記したように電子走行層16(それを形成する窒化物半導体層)にはその形成過程で平坦化処理が施されるため、電子走行層16の上面16Aには凹凸構造は形成されない。
【0077】
図9の例においては、電子走行層16は、平面視で半導体基板11の複数の凹部60に対応する位置にて電子走行層16の下面16Bに形成された複数の凸部70を含む。電子走行層16の凸部70は、電子走行層16の下面16Bから下方に突出してバッファ層14の凹部81に埋め込まれている。したがって、電子走行層16の凸部70は、バッファ層14の凹部81と同等な深さD2で形成される。電子走行層16の凸部70は、バッファ層14の第1~第3凹部81A,81B,81Cにそれぞれ埋め込まれる第1~第3凸部70A,70B,70Cを含む。したがって、第1凸部70Aはゲート電極重複位置に設けられており、第2凸部70Bはソース電極重複位置に設けられており、第3凸部70Cはドレイン電極重複位置に設けられている。
【0078】
[7.凹凸構造の形状]
図10は、半導体基板11、バッファ層14、および電子走行層16にそれぞれ形成される凹凸構造の例示的な形状を示す
図9の部分拡大断面図である。
図10に示されるように、半導体基板11の第1凹部60Aは、深さ方向に半導体基板11の上面11Aから徐々に幅狭となるテーパ面60Tを有する断面テーパ状に形成され得る。この場合、バッファ層14の第1凸部80Aもテーパ面80Tを有するように形成されるとともに、バッファ層14の第1凹部81Aもテーパ面81Tを有するように形成される。さらには、電子走行層16の第1凸部70Aもテーパ面70Tを有するように形成される。なお、図示は省略しているが、他の凹部60,81および他の凸部70,80も、
図10と同様な断面テーパ状に形成され得る。
【0079】
[8.窒化物半導体装置の製造方法]
次に、
図11~
図16を参照して、
図9の窒化物半導体装置10Aの例示的な製造方法について説明する。なお、理解を容易にするために、
図11~
図16に示される製造過程の構造において、
図9の窒化物半導体装置10Aの構成要素と同じまたはそれに対応する構成要素には同一符号を付している。
【0080】
図11に示されるように、半導体基板11の上面11Aに、第1~第3凹部60A,60B,60Cを含む複数の凹部60が形成される。半導体基板11は、例えばSi基板である。凹部60は、例えば図示しないマスクを使用してリソグラフィおよびエッチングを行い、凹部60を形成する位置に対応する半導体基板11の所与の部分を除去することで形成される。このとき、凹部60は、
図10に示す断面テーパ状に形成されてよい。
【0081】
次いで、
図12に示されるように、例えば有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法を用いたエピタキシャル成長によって、半導体基板11上にバッファ層14が形成される。詳細な図示は省略するが、バッファ層14は、例えば、半導体基板11上に形成されたAlN層と、AlN層上に形成されたグレーテッドAlGaN層とを含む多層バッファ層であってよい。グレーテッドAlGaN層は、AlN層に近い側から順にAl組成を例えば75%、50%、25%とした3つのAlGaN層を積層することによって形成され得る。
【0082】
バッファ層14が形成されるとき、バッファ層14の下面14Bには、半導体基板11の第1~第3凹部60A,60B,60Cにそれぞれ埋め込まれる第1~第3凸部80A,80B,80Cを含む複数の凸部80が形成される。また、これら第1~第3凸部80A,80B,80Cの形状に倣って、バッファ層14の上面14Aには、平面視で第1~第3凸部80A,80B,80Cにそれぞれ対応する位置に第1~第3凹部81A,81B,81Cを含む複数の凹部81が形成される。
【0083】
次いで、
図13に示されるように、引き続きMOCVD法を用いたエピタキシャル成長によって、バッファ層14上に電子走行層16が形成される。電子走行層16は例えばGaN層である。
【0084】
電子走行層16が形成されるとき、電子走行層16の下面16Bには、バッファ層14の第1~第3凹部81A,81B,81Cにそれぞれ埋め込まれる第1~第3凸部70A,70B,70Cを含む複数の凸部70が形成される。また、これら第1~第3凸部70A,70B,70Cの形状に倣って、電子走行層16の形成層である窒化物半導体層(ここでの例ではGaN層)の上面には、平面視で第1~第3凸部70A,70B,70Cにそれぞれ対応する位置に第1~第3凹部71A,71B,71Cを含む複数の凹部71が形成される。
【0085】
次いで、
図14に示されるように、電子走行層16の形成層である窒化物半導体層(ここでの例ではGaN層)の上面に対して平坦化処理が施される。この平坦化処理により、先の工程で形成された第1~第3凹部71A,71B,71Cを含む複数の凹部71(
図13参照)が除去される。その結果、電子走行層16の形成層である窒化物半導体層(GaN層)の上面が平坦化される。
【0086】
次いで、
図15に示されるように、引き続きMOCVD法を用いたエピタキシャル成長によって、目標とする所望の厚さ(例えば、0.5μm以上2μm以下)が得られるまで電子走行層16の形成が継続される。なお、先の工程で平坦化処理が行われているため、最終的に得られる電子走行層16の上面16Aは平坦面として形成される。
【0087】
次いで、
図16に示されるように、引き続きMOCVD法を用いたエピタキシャル成長によって、電子走行層16上に電子供給層18が形成される。電子供給層18は例えばAlGaN層であり、例えば5nm以上20nm以下の厚さで形成される。また、引き続きMOCVD法を用いたエピタキシャル成長によって、電子供給層18上に、ゲート層22を形成するための窒化物半導体層を形成する。ゲート層22用の窒化物半導体層は、例えばアクセプタ型不純物がドープされたGaN層(p型GaN層)であり、例えば80nm以上150nm以下の厚さで形成される。
【0088】
なお、以降の製造工程の図示は省略するが、公知の製造プロセスを用いて
図9の窒化物半導体装置10Aを製造することができる。例えば、
図16の工程後は、ゲート層22用の窒化物半導体層上に、ゲート電極24を形成するための電極層が例えばスパッタ法によって形成され、その電極層が選択的にエッチングされることでゲート電極24が形成される。次いで、ゲート層22用の窒化物半導体層が選択的にエッチングされることでゲート層22が形成される。このとき、ゲート層22用の窒化物半導体層をエッチングする領域を変更しながら複数回に亘ってエッチングを行うことで、ゲート層22をゲート層本体部22Aと第1延在部22Bと第2延在部22Cとを含む形状に形成することができる。次いで、絶縁層26が形成される。次いで、その絶縁層26上に、フィールドプレート電極31と一体のソース電極28と、ドレイン電極30とが形成される。これにより、
図9の窒化物半導体装置10Aが製造される。
【0089】
[9.作用]
次に、第1実施形態の窒化物半導体装置10Aの作用を説明する。
図9に示されるように、半導体基板11は複数の凹部60を含む。これら複数の凹部60は、ゲート電極重複位置に設けられた第1凹部60Aと、ソース電極重複位置に設けられた第2凹部60Bと、ドレイン電極重複位置に設けられた第3凹部60Cとを含む。これにより、半導体基板11の上方に形成される電子走行層16には、平面視で第1~第3凹部60A,60B,60Cにそれぞれ対応する位置において電子走行層16の下面16Bから下方に突出する第1~第3凸部70A,70B,70Cが形成される。
【0090】
電子走行層16に形成された第1~第3凸部70A,70B,70Cは、電子走行層16の厚さを局所的に増加させる。第1凸部70Aは、ゲート電極24(第1実施形態ではソース層本体部22A)の直下の領域において電子走行層16の厚さを増加させる。第2凸部70Bは、ソース電極28(第1実施形態ではソースコンタクト部28A)の直下の領域において電子走行層16の厚さを増加させる。第3凸部70Cは、ドレイン電極30(第1実施形態ではドレインコンタクト部30A)の直下の領域において電子走行層16の厚さを増加させる。
【0091】
HEMTデバイス(すなわち、トランジスタT)は、半導体基板11上に種々の窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることで形成される。このとき、エピタキシャル成長の過程で窒化物半導体層には貫通転位に起因した結晶欠陥が形成され得る。この結晶欠陥は、その結晶欠陥を通じて流れる電流リークを増加させる要因となる。特に、電子走行層16に多数の貫通転位が存在している場合には、電流リークの増大が顕著となる。これはHEMTデバイスの歩留まりを低下させる要因となる。
【0092】
この点、半導体基板11に複数の凹部60が形成されている構成では、電子走行層16に複数の凸部70が形成されるため電子走行層16の厚さが局所的に増加する。電子走行層16の厚さが増加すると、電子走行層16の厚さ方向(Z軸方向)に屈曲しながら延在する転位線(貫通転位)のうちのいくつかが相互に結合されることにより、貫通転位の数が減少する。
【0093】
ここで、電子走行層16の厚さを単に全体的に増加させることによっても貫通転位の数を減少させることは可能である。しかしながら、電子走行層16の全体を厚くした場合には、電子走行層16にクラックが入り易くなるためHEMTデバイスの欠陥が生じ易くなる。これに対して、電子走行層16の厚さが局所的に増加する構成では、クラックの発生を好適に抑制しつつ、貫通転位の数を減らすことができる。
【0094】
特に、上記のような貫通転位による結晶欠陥を通じた電流リークは、ゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の直下の領域でより発生し易くなる。この点を考慮して、第1実施形態では、電子走行層16の第1~第3凸部70A,70B,70Cにより、ゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の直下の領域において電子走行層16の厚さが局所的に増加されている。これにより、電子走行層16におけるクラックの発生を好適に抑制しつつ、貫通転位の数を減少させて電流リークを低減することができる。その結果、HEMTデバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0095】
第1実施形態の窒化物半導体装置10Aは、以下の利点を有する。
(1-1)
半導体基板11は複数の凹部60を含む。これにより、電子走行層16には平面視で複数の凹部60に対応する位置に複数の凸部70が形成される。この構成によれば、電子走行層16の厚さを局所的に増加させることができるため、電子走行層16におけるクラックの発生を抑制しつつ、貫通転位の数を低減してHEMTデバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0096】
(1-2)
半導体基板11と電子走行層16との間にはバッファ層14が設けられている。バッファ層14は、半導体基板11の複数の凹部60に埋め込まれる複数の凸部80と、電子走行層16の複数の凸部70が埋め込まれる複数の凹部81とを含む。この構成によれば、電子走行層16とバッファ層14との合計厚さを半導体基板11の複数の凹部60に対応する位置で局所的に増加させて、電子走行層16およびバッファ層14を通じて半導体基板11に流れる電流リークを低減することができる。
【0097】
(1-3)
半導体基板11の複数の凹部60は、第1~第3凹部60A,60B,60Cを含む。第1凹部60Aは、平面視でゲート電極24と重なる位置にてY軸方向に延在し、第2凹部60Bは、平面視でソース電極28と重なる位置にてY軸方向に延在し、第3凹部60Cは、平面視でドレイン電極30と重なる位置にてY軸方向に延在する。この構成によれば、ゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の直下の領域で電子走行層16の厚さを局所的に増加させて貫通転位の数を低減することができる。これにより、ゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の直下の領域での電流リークを好適に抑制することができる。
【0098】
(1-4)
半導体基板11の第1凹部60Aは、平面視でX軸方向にゲート電極24の全体と重なっている。第2凹部60Bは、平面視でX軸方向にソースコンタクト部28Aの全体と重なっている。第3凹部60Cは、平面視でX軸方向にドレインコンタクト部30Aの全体と重なっている。この構成によれば、ゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の直下の領域のうち電子走行層16の厚さを増加させる領域が、電流リークのより生じ易い領域にさらに局所的に制限される。これにより、電流リークの低減とクラックの抑制とをより好適に両立することができる。
【0099】
(1-5)
ゲート層22は、ゲート層本体部22Aと、第1延在部22Bと、第2延在部22Cとを含むステップ構造を有している。このようなゲート層22が採用されている構成において、半導体基板11の第1凹部60Aは、平面視でX軸方向にゲート層本体部22Aの全体と重なるように形成されている。この構成によれば、ゲート層22の直下の領域のうち電流リークのより生じ易い領域で電子走行層16の厚さを局所的に増加させることができる。これにより、電流リークの低減とクラックの抑制とをより好適に両立することができる。
【0100】
(1-6)
半導体基板11の複数の凹部60は各々、深さ方向に半導体基板11の上面11Aから徐々に幅狭となる断面テーパ状に形成されている。この構成では、半導体基板11の凹部60の形状に倣って、電子走行層16の下面16Bに形成される複数の凸部70も断面テーパ状に形成される。上記のように、電流リークを抑制する観点においては、ゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の直下の領域で電子走行層16の厚さを増加させることが効果的である。半導体基板11の凹部60(すなわち電子走行層16の凸部70)が断面テーパ状である場合、電子走行層16の厚さが増加する領域が増えるため、例えば、第1凹部60Aによって電子走行層16の厚さが増加する領域をゲート電極24の直下の領域に位置合わせし易くなる。これは、ソース電極28の直下の領域およびドレイン電極30の直下の領域についても同様である。このため、上述した効果を得やすくなるとともに製造が容易となる。
【0101】
(1-7)
半導体基板11の複数の凹部60は各々、半導体基板11の上面11Aから300nm以上500nm以下の深さD1で形成されている。この場合、電子走行層16の凸部70も深さD1と同等かまたはそれよりもわずかに小さい深さD2で形成される。この構成によれば、電流リークを低減する効果をより好適に得られる厚さで電子走行層16を形成することができる。
【0102】
(1-8)
第1実施形態では、電子走行層16はGaN層であり、電子供給層18はAlGaN層であり、ゲート層22はアクセプタ型不純物を含むGaN層である。この構成によれば、ノーマリーオフ型のGaN-HEMTデバイスにおいて、上述した利点を得ることができる。
【0103】
<第2実施形態>
次に、
図17および
図18を参照して、第2実施形態にかかる窒化物半導体装置10Bについて説明する。第2実施形態では、第1実施形態の基板凹部レイアウト(
図8参照)が
図17に示すものに変更されており、その他の構成については、第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と同様な構成要素については説明を省略し、第1実施形態と異なる構成要素について説明する。
【0104】
図17は、第2実施形態にかかる例示的な基板凹部レイアウトを示す概略平面図である。
図18は、
図17の基板凹部レイアウトに基づいてバッファ層14および電子走行層16に形成された凹凸構造を有する窒化物半導体装置10Bの概略断面図である。
【0105】
図17および
図18に示されるように、半導体基板11(
図17では図示略)は、半導体基板11の上面11Aに形成された1つまたは複数(第2実施形態では複数)の凹部62を含む。したがって、半導体基板11は、凹部62の形状に基づく凹凸構造を上面11Aに有している。凹部62は、第1実施形態(
図9参照)と同様に半導体基板11の上面11Aから深さD1で形成される。
【0106】
複数の凹部62は、X軸方向に延在する凹部62A,62Bを含む。凹部62Aは、Y軸方向にそれぞれ延在するゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30と平面視で交差する位置に配置されている。すなわち、凹部62Aは、平面視でゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の各々と少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。なお、
図17の例においては、凹部62Aは、平面視においてゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30と直交しているが、必ずしも直交(すなわち90度)である必要はなく、平面視で交差する方向に延びていてもよい。本開示において、凹部62A(凹部60)は第4凹部に対応する。凹部62Bは、平面視でゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の少なくともいずれか1つと重複していない。
【0107】
なお、
図17では、分かり易くするために凹部62がX軸方向に1つのトランジスタT(単位トランジスタ)のゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30と重なる長さで形成されるものとして示されているが、凹部62はX軸方向に複数のトランジスタT1と重なる長さで形成されてよい。例えば、凹部62は、アクティブ領域A1全体に亘ってX軸方向に延在し得る。
【0108】
Y軸方向の凹部62の幅W11の値は特に限定されない。幅W11の値は、例えば電子走行層16におけるクラックの発生を抑制しつつ電子走行層16の厚さを増加させることにより電流リークを抑制する観点により決定され得る。
【0109】
図18に示されるように、バッファ層14は、半導体基板11の凹部62(
図18では凹部62A)の形状に対応して形成される凹凸構造をバッファ層14の上面14Aおよび下面14Bに各々有している。
図18の例においては、バッファ層14は、平面視で半導体基板11の複数の凹部62に対応する位置にてバッファ層14の下面14Bに形成された複数の凸部82を含む。また、バッファ層14は、平面視でバッファ層14の複数の凸部82(すなわち、半導体基板11の複数の凹部62)に対応する位置にてバッファ層14の上面14Aに形成された複数の凹部83を含む。
【0110】
バッファ層14の凸部82は、バッファ層14の下面14Bから下方に突出して半導体基板11の凹部62に埋め込まれている。したがって、バッファ層14の凸部82は、半導体基板11の凹部62と同等な深さD1で形成される。バッファ層14の凹部83は、第1実施形態(
図9参照)と同様、バッファ層14の上面14Aから上記深さD1と同等かまたはそれよりもわずかに小さい深さD2で形成される。
【0111】
電子走行層16は、半導体基板11の凹部62の形状に対応して形成される凹凸構造を電子走行層16の下面16Bに有している。
図18の例においては、電子走行層16は、平面視で半導体基板11の複数の凹部62に対応する位置にて電子走行層16の下面16Bに形成された複数の凸部72を含む。電子走行層16の凸部72は、電子走行層16の下面16Bから下方に突出してバッファ層14の凹部83に埋め込まれている。したがって、電子走行層16の凸部72は、バッファ層14の凹部83と同等な深さD2で形成される。
【0112】
なお、第1実施形態と同様に、第2実施形態においても、半導体基板11の凹部62、バッファ層14の凸部82、バッファ層14の凹部83、および電子走行層16の凸部72は断面テーパ状に形成されてよい。
【0113】
第2実施形態の窒化物半導体装置10Bは、第1実施形態の(1-1)~(1-2)および(1-6)~(1-8)と同様な利点に加えて、以下の利点を有する。
(2-1)
半導体基板11は、X軸方向に延在する複数の凹部62A(凹部60)を含む。凹部62Aは、平面視でゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の各々と少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。これにより、電子走行層16には平面視で複数の凹部62A(凹部60)に対応する位置に複数の凸部72が形成される。したがって、第1実施形態と同様に、ゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の直下の領域において電子走行層16の厚さを局所的に増加させることができる。ここで、第1実施形態においては、半導体基板11に凹部60A,60B,60Cを形成する位置を、X軸方向におけるゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の位置に位置合わせする必要がある。これに対して、第2実施形態ではこのような位置合わせは不要である。このため、製造プロセスにおける種々の条件(例えばリソグラフィ条件)を考慮して半導体基板11に凹部62を形成する位置を厳密に管理する必要がない。したがって、製造が容易である。
【0114】
<変更例>
上記各実施形態は例えば以下のように変更できる。上記各実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記各実施形態と共通する部分については、上記各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0115】
・
図19に示されるように、第1実施形態において半導体基板11に形成される凹部60(60A,60B,60C)と第2実施形態において半導体基板11に形成される凹部62(62A,62B)とを組み合わせてもよい。すなわち、Y軸方向に延在する凹部60とX軸方向に延在する凹部62とを組み合わせて
図19に示されるように井桁状の凹部を半導体基板11に形成してもよい。図示は省略するが、この場合には、半導体基板11の井桁状の凹部の形状に倣って、電子走行層16の下面16Bに井桁状の凸部が形成される。この構成では、第1および第2実施形態に比べて、電流リークを抑制する効果を高めることができる。
【0116】
・
図20に示されるように、平面視において少なくとも1つのトランジスタT(単位トランジスタ)を囲む大きさを有する凹部64を半導体基板11に形成してもよい。なお、
図20の例では、凹部64は、1つのトランジスタTとともに隣接するトランジスタTのドレイン電極30を囲む大きさで形成されている。ただし、この大きさに限定されず、他の任意の大きさで凹部64を形成してもよい。図示は省略するが、この場合には、半導体基板11の凹部64の形状に倣って、電子走行層16の下面16Bには、平面視で凹部64と同等の大きさを有する凸部が形成される。この構成では、第1および第2実施形態に比べて、電流リークを抑制する効果を高めることができる。
【0117】
・上記第1実施形態では、半導体基板11は複数の凹部60を含み、上記第2実施形態では、半導体基板11は複数の凹部62を含む。しかしながら、半導体基板11は、複数の凹部を含むことに限定されず、単一の凹部を含むものであってもよい。例えば、平面視でアクティブ領域A1と同等な大きさを有する単一の凹部が半導体基板11に形成されてもよい。
【0118】
・上記第1実施形態において、半導体基板11の第1凹部60Aは、X軸方向においてゲート層本体部22A、第1延在部22B、および第2延在部22Cのすべてと重なる長さで形成されてもよい。この構成では、第1実施形態に比べて電流リークを抑制する効果を高めることができる。
【0119】
・上記第2実施形態において、凹部62A,62Bのうち凹部62Bを省略してもよい。すなわち、複数の凹部60は、平面視でゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30の各々と少なくとも部分的に重なる位置に配置される凹部62Aのみを含むものであってもよい。
【0120】
・上記第2実施形態において、凹部62Aは、平面視でゲート電極24、ソース電極28、およびドレイン電極30のうちのいずれか1つまたはそれらのうちの2つと部分的に重なるように形成されてもよい。
【0121】
・ソースパッド41、ドレインパッド42、およびゲートパッド43の各電極パッドに関して、その平面視形状、数、および絶縁層12の上面12A上における配置は上記実施形態に限定されない。
【0122】
・上記各実施形態では、トランジスタTは、窒化物半導体を用いたHEMTとして実現されたが、必ずしも窒化物半導体HEMTに限定されない。窒化物半導体装置により形成されるトランジスタTは、任意のトランジスタとすることができる。
【0123】
・上記各実施形態において、トランジスタTは、ノーマリーオフ型に限定されず、ノーマリーオフ型として実現されてもよい。この場合、ゲート層22はアクセプタ型不純物を含まない。
【0124】
・上記各実施形態において、ゲート層22は、第1延在部22Bおよび第2延在部22Cを含まず、ゲート層本体部22Aのみで形成されてもよい。
・上記各実施形態において、アクティブ領域A1および周辺領域A2の配置は、
図1に示すレイアウトに限定されない。
【0125】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」との双方の意味を含む。したがって、「第1層が第2層上に形成される」という表現は、或る実施形態では第1層が第2層に接触して第2層上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1層が第2層に接触することなく第2層の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1層と第2層との間に他の層が形成される構造を排除しない。
【0126】
本開示で使用されるZ軸方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造(例えば、
図2,
図3に示される構造)は、本明細書で説明されるZ軸方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X軸方向が鉛直方向であってもよく、またはY軸方向が鉛直方向であってもよい。
【0127】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。
<付記>
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0128】
(付記1)
半導体基板(11)と、
前記半導体基板(11)の上方に設けられ、第1窒化物半導体で構成された電子走行層(16)と、
前記電子走行層(16)上に設けられ、前記第1窒化物半導体よりも大きなバンドギャップを有する第2窒化物半導体で構成された電子供給層(18)と、
前記電子供給層(18)上の一部に設けられ、第3窒化物半導体で構成されたゲート層(22)と、
前記ゲート層(22)上に設けられたゲート電極(24)と、
前記電子供給層(18)に接しているソース電極(28)およびドレイン電極(30)と、を備え、
前記半導体基板(11)は、
平面視で前記ゲート電極(24)と少なくとも部分的に重なる位置、
平面視で前記ソース電極(28)と少なくとも部分的に重なる位置、および
平面視で前記ドレイン電極(30)と少なくとも部分的に重なる位置
のうちの少なくとも1つに設けられた1つまたは複数の凹部(60(60A;60B;60C);62A;64)を含む、窒化物半導体装置(10A;10B)。
【0129】
(付記2)
前記電子走行層(16)は、平面視で前記半導体基板(11)の前記1つまたは複数の凹部(60(60A;60B;60C);62A;64)の位置に対応して前記電子走行層(16)の下面(16B)に形成された1つまたは複数の凸部(70(70A;70B;70C);72)を含む、付記1に記載の窒化物半導体装置(10A;10B)。
【0130】
(付記3)
前記半導体基板(11)と前記電子走行層(16)との間に設けられたバッファ層(14)を備え、
前記バッファ層(14)は、
前記半導体基板(11)に接する前記バッファ層(14)の下面(14B)に形成され、前記半導体基板(11)の前記1つまたは複数の凹部(60(60A;60B;60C);62A;64)に埋め込まれる1つまたは複数の凸部(80(80A;80B;80C);82)と、
前記電子走行層(16)に接する前記バッファ層(14)の上面(14A)に形成され、前記電子走行層(16)の前記1つまたは複数の凸部(70(70A;70B;70C);72)が埋め込まれる1つまたは複数の凹部(81(81A;81B;81C);83)と、
を含む、付記2に記載の窒化物半導体装置(10A;10B)。
【0131】
(付記4)
前記ゲート電極(24)、前記ソース電極(28)、および前記ドレイン電極(30)は各々、平面視で第1方向(Y)に長尺状に延在しており、
前記半導体基板(11)の前記1つまたは複数の凹部(60(60A;60B;60C))は、
平面視で前記ゲート電極(24)と重なる位置にて前記第1方向(Y)に延在する第1凹部(60A)と、
平面視で前記ソース電極(28)と重なる位置にて前記第1方向(Y)に延在する第2凹部(60B)と、
平面視で前記ドレイン電極(30)と重なる位置にて前記第1方向(Y)に延在する第3凹部(60C)と
のうちの少なくとも1つを含む、付記1~3のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10A)。
【0132】
(付記5)
前記第1凹部(60A)は、平面視で前記第1方向(Y)と直交する第2方向(X)に前記ゲート電極(24)の全体と重なっており、
前記ソース電極(28)は、前記電子供給層(18)と接するソースコンタクト部(28A)を含み、
前記第2凹部(60B)は、平面視で前記第2方向(X)に前記ソースコンタクト部(28A)の全体と重なっており、
前記ドレイン電極(30)は、前記電子供給層(18)と接するドレインコンタクト部(30A)を含み、
前記第3凹部(60C)は、平面視で前記第2方向(X)に前記ドレインコンタクト部(30A)の全体と重なっている、付記4に記載の窒化物半導体装置(10A)。
【0133】
(付記6)
前記ゲート層(22)は、
ゲート層本体部(22A)と、
前記ゲート層本体部(22A)の第1側面から前記ソースコンタクト部(28A)に向かって延在する第1延在部(22B)と、
前記第1側面とは反対側の前記ゲート層本体部(22A)の第2側面から前記ドレインコンタクト部(30A)に向かって延在する第2延在部(22C)と、を含み、
前記第1凹部(60A)は、平面視で前記第2方向(X)に前記ゲート層本体部(22A)の全体と重なっている、付記5に記載の窒化物半導体装置(10A)。
【0134】
(付記7)
前記ゲート電極(24)、前記ソース電極(28)、および前記ドレイン電極(30)は各々、平面視で第1方向(Y)に長尺状に延在しており、
前記半導体基板(11)の前記1つまたは複数の凹部(62A)は各々、平面視で前記第1方向(Y)と直交する第2方向(X)に延在している、付記1~3のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10B)。
【0135】
(付記8)
前記ゲート電極(24)、前記ソース電極(28)、および前記ドレイン電極(30)は各々、平面視で第1方向(Y)に長尺状に延在しており、
前記半導体基板(11)の前記1つまたは複数の凹部(60(60A;60B;60C);62A)は、
平面視で前記ゲート電極(24)と重なる位置にて前記第1方向(Y)に延在する第1凹部(60A)と、平面視で前記ソース電極(28)と重なる位置にて前記第1方向(Y)に延在する第2凹部(60B)と、平面視で前記ドレイン電極(30)と重なる位置にて前記第1方向(Y)に延在する第3凹部(60C)とのうちの少なくとも1つと、
平面視で前記第1方向(Y)と直交する第2方向(X)に延在する第4凹部(62A)と、
を含む、付記1~3のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10A;10B)。
【0136】
(付記9)
前記ゲート電極(24)、前記ソース電極(28)、および前記ドレイン電極(30)は各々、平面視で第1方向(Y)に長尺状に延在しており、
前記半導体基板(11)の前記1つまたは複数の凹部(64)は各々、前記ゲート層(22)、前記ゲート電極(24)、前記ソース電極(28)、および前記ドレイン電極(30)を含む少なくとも単位トランジスタ(T)を平面視で囲む大きさで形成されている、付記1~3のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10A;10B)。
【0137】
(付記10)
前記半導体基板(11)の前記1つまたは複数の凹部(60(60A;60B;60C);62A)は各々、深さ方向に前記半導体基板(11)の上面(11A)から徐々に幅狭となる断面テーパ状に形成されている、付記1~9のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10A;10B)。
【0138】
(付記11)
前記半導体基板(11)の前記1つまたは複数の凹部(60(60A;60B;60C);62A)は各々、前記半導体基板(11)の上面(11A)から300nm以上500nm以下の深さ(D1)で形成されている、付記1~10のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10A;10B)。
【0139】
(付記12)
前記電子走行層(16)はGaN層であり、
前記電子供給層(18)はAlGaN層であり、
前記ゲート層(22)は、Mg、Zn、およびCのうちの少なくとも一つをアクセプタ型不純物として含むGaN層である、付記1~11のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10A;10B)。
【符号の説明】
【0140】
10A,10B…窒化物半導体装置
11…半導体基板
12…絶縁層
12A…上面
12B…下面
14…バッファ層
16…電子走行層
18…電子供給層
20…2DEG(二次元電子ガス)
22…ゲート層
22A…ゲート層本体部
22B…第1延在部
22C…第2延在部
24…ゲート電極
26…絶縁層
26A…ソース開口部
26B…ドレイン開口部
28…ソース電極
28A…ソースコンタクト部
30…ドレイン電極
30A…ドレインコンタクト部
31…フィールドプレート電極
31A…端部
41…ソースパッド
42…ドレインパッド
43…ゲートパッド
43A…第1ゲートパッド
43B…第2ゲートパッド
44…ソース配線
44A…重なり部分
45…ドレイン配線
45A…重なり部分
46…ゲート配線
46A…第1ゲート配線
46B…第2ゲート配線
51…第1外周ガードリング
52…第2外周ガードリング
60,62,64…半導体基板の凹部
70,72…電子走行層の凸部
80,82…バッファ層の凸部
81,83…バッファ層の凹部
60A…半導体基板の第1凹部
60B…半導体基板の第2凹部
60C…半導体基板の第3凹部
62A…半導体基板の第4凹部
A1…アクティブ領域
A2…周辺領域
T…トランジスタ(単位トランジスタ)
W1,W2,W3…幅
D1,D2…深さ