(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130893
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
A01D 33/08 20060101AFI20240920BHJP
A01D 33/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01D33/08
A01D33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040840
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】塚本 智貴
(72)【発明者】
【氏名】小出 盛人
(72)【発明者】
【氏名】川上 裕雅
(72)【発明者】
【氏名】相澤 功大
(72)【発明者】
【氏名】岩淵 義信
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA03
2B072CA15
2B072CB01
2B072CB08
2B072CB10
2B072DA02
2B072DA11
2B072EA08
2B072GA01
2B072GA18
(57)【要約】
【課題】農作物を適切に供給できる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、コンテナ5を支持する上下方向に回動可能な支持部6と、この支持部6を上下方向に回動させる駆動部7と、この駆動部7を制御する制御部12とを備える。そして、制御部12は、支持部6がコンテナ5内の農作物Wの引掛係合を解除するための動作を行うように、駆動部7を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物収納体を支持する上下方向に回動可能な支持部と、
前記支持部を上下方向に回動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記支持部が前記農作物収納体内の農作物の引掛係合を解除するための動作を行うように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
農作物収納体を支持する上下方向に回動可能な支持部と、
前記支持部を上下方向に回動させる駆動部と、
農作物収納体内からの農作物が貯留される貯留部と、
前記貯留部内の農作物の量を検知する検知部と、
前記検知部の検知に基づいて前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記支持部が上限位置よりも低い所定位置まで上方回動した後、前記貯留部内の農作物の量が少なくなった場合に、前記支持部が第1設定値だけ上方回動した後に第2設定値だけ下方回動するという動作を行うように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項3】
農作物収納体を支持する上下方向に回動可能な支持部と、
前記支持部を上下方向に回動させる駆動部と、
農作物収納体内からの農作物が貯留される貯留部と、
前記貯留部内の農作物の量を検知する検知部と、
前記検知部の検知に基づいて前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記支持部が上限位置まで上方回動した後、前記貯留部内の農作物の量が少なくなった場合に、前記支持部が設定値だけ下方回動した後に前記設定値と同じ値だけ上方回動するという動作を行うように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項4】
農作物収納体を支持する上下方向に回動可能な支持部と、
前記支持部を上下方向に回動させる駆動部と、
農作物収納体内からの農作物が貯留される貯留部と、
前記貯留部内の農作物の量を検知する検知部と、
前記検知部の検知に基づいて前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記支持部が上限位置よりも低い所定位置まで上方回動した後、前記貯留部内の農作物の量が少なくなった場合に、前記支持部が第1設定時間だけ上方回動した後に前記第1設定時間よりも短い第2設定時間だけ下方回動するという動作と、
前記支持部が前記上限位置まで上方回動した後、前記貯留部内の農作物の量が少なくなった場合に、前記支持部が第3設定時間だけ下方回動した後に前記第3設定時間と同じ時間だけ上方回動するという動作とを行うように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項5】
前記支持部の動作パターンは、複数の動作パターンの中から選択可能である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。
【請求項6】
作業者が操作する操作部を備え、
前記操作部は、前記支持部の動作パターンを選択するための選択手段を有する
ことを特徴とする請求項5記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物を適切に供給できる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された玉葱処理機等の農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、例えばコンテナ等の農作物収納体を支持する上下方向に回動可能でかつ昇降可能な支持部と、この支持部を駆動する駆動部と、農作物収納体内からの農作物(例えば玉葱等)が一時的に貯留される貯留部とを備えている。
【0004】
そして、駆動部のシリンダが伸びると、支持部が農作物収納体を支持したまま上昇するとともに上方回動し、その結果、農作物が農作物収納体内から落下して貯留部に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば農作物の状態等によっては、農作物を適切に供給できないおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、農作物を適切に供給できる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る農作業機は、農作物収納体を支持する上下方向に回動可能な支持部と、前記支持部を上下方向に回動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記支持部が前記農作物収納体内の農作物の引掛係合を解除するための動作を行うように、前記駆動部を制御するものである。
【0009】
また、本発明に係る農作業機は、農作物収納体を支持する上下方向に回動可能な支持部と、前記支持部を上下方向に回動させる駆動部と、農作物収納体内からの農作物が貯留される貯留部と、前記貯留部内の農作物の量を検知する検知部と、前記検知部の検知に基づいて前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記支持部が上限位置よりも低い所定位置まで上方回動した後、前記貯留部内の農作物の量が少なくなった場合に、前記支持部が第1設定値だけ上方回動した後に第2設定値だけ下方回動するという動作を行うように、前記駆動部を制御するものである。
【0010】
さらに、本発明に係る農作業機は、農作物収納体を支持する上下方向に回動可能な支持部と、前記支持部を上下方向に回動させる駆動部と、農作物収納体内からの農作物が貯留される貯留部と、前記貯留部内の農作物の量を検知する検知部と、前記検知部の検知に基づいて前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記支持部が上限位置まで上方回動した後、前記貯留部内の農作物の量が少なくなった場合に、前記支持部が設定値だけ下方回動した後に前記設定値と同じ値だけ上方回動するという動作を行うように、前記駆動部を制御するものである。
【0011】
また、本発明に係る農作業機は、農作物収納体を支持する上下方向に回動可能な支持部と、前記支持部を上下方向に回動させる駆動部と、農作物収納体内からの農作物が貯留される貯留部と、前記貯留部内の農作物の量を検知する検知部と、前記検知部の検知に基づいて前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記支持部が上限位置よりも低い所定位置まで上方回動した後、前記貯留部内の農作物の量が少なくなった場合に、前記支持部が第1設定時間だけ上方回動した後に前記第1設定時間よりも短い第2設定時間だけ下方回動するという動作と、前記支持部が前記上限位置まで上方回動した後、前記貯留部内の農作物の量が少なくなった場合に、前記支持部が第3設定時間だけ下方回動した後に前記第3設定時間と同じ時間だけ上方回動するという動作とを行うように、前記駆動部を制御するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、農作物を適切に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の概要側面図である。
【
図3】同上農作業機のA視部分の概要側面図である。
【
図4】同上農作業機のコンテナ押さえ体を示す斜視図である。
【
図5】(a)は操作部の正面図、(b)は選択スイッチ(選択手段)によって選択可能な動作パターンの一例を示す図である。
【
図6】同上農作業機の支持部の動作(供給動作)の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図13を参照して説明する。
【0015】
図1ないし
図3において、1は農作業機(農業機械)で、この農作業機1は、例えば収穫後の農作物Wに対して所定の農作業(処理)を行うための農作物処理機である。
【0016】
つまり、農作業機1は、収穫後の農作物Wの不要部分、すなわち例えば圃場から収穫して地干し後の玉葱の不要部分である茎葉部及び根部を切断処理する定置型の玉葱処理機である。
【0017】
そして、農作業機(玉葱処理機)1は、走行車であるトラクタに着脱可能に連結される連結部(図示せず)を前側に有する機体2を備え、この機体2の後側には左右一対の車輪3が設けられている。
【0018】
また、農作業機1は、複数個の農作物(処理対象の所定量の玉葱)Wを収納可能な農作物収納体であるコンテナ5を着脱可能に支持する上下方向に回動可能な支持部6と、この支持部6を上下方向に回動させる駆動部7と、コンテナ5内から供給された農作物Wが一時的に貯留される貯留部8と、この貯留部8内から排出された農作物Wを搬送する搬送部9と、農作物Wを選別するための選別部10とを備えている。
【0019】
さらに、農作業機1は、貯留部8内の農作物Wの量を検知する検知部11と、この検知部11の検知に基づいて駆動部7を制御する制御部12と、この制御部12に操作情報(信号)を送信する操作部13とを備えている。
【0020】
なお、検知部11は、例えば貯留部8内の農作物Wとの距離を検知する光学系の距離センサ(残量センサ)からなるものである。制御部12は、例えばタイマー機能を有したもので、駆動部7のほか、例えば搬送部9の駆動源等も適宜制御するものである。コンテナ5は、例えば外形直方体をなす箱形状のメッシュコンテナ等で、当該コンテナ5内に対して農作物Wを出し入れするための上面開口部5aを有している。
【0021】
支持部6は、上面開口状の箱形状をなすコンテナ5を着脱可能に支持する側面視略L字状の支持体21を有している。支持体21は、機体2が有する左右一対のフレーム部15の上端部に左右方向の回動中心軸線(回動支点)L1を中心として上下方向に回動可能に設けられている。
【0022】
支持体21は、コンテナ5の底面を支持する底面支持部22と、コンテナ5の側面(機体のフレーム部と対向する側の側面)を支持する左右一対の側面支持部23と、これら両側面支持部23の上端部間に架設された円筒状の支持フレーム部24とを有している。そして、支持フレーム部24が機体2の両フレーム部15によって軸部(回動中心軸線L1)25を中心として回動可能に支持されている。
【0023】
なお、支持体21の軸部25付近には、支持部6の回動角度を検知するポテンショメータやパルスセンサ等の角度センサ(図示せず)が設けられている。このため、制御部12は、角度センサからの検知情報により支持部6の位置(支持体の高さ位置)を認識可能である。
【0024】
また、支持体21の底面支持部22の左右両端部には、コンテナ5の左右側方への移動を規制する板状の規制体20が取り付けられている。さらに、支持体21の側面支持部23の上端部には、コンテナ5の上面を押さえて支持するコンテナ押さえ体26が回動可能に取り付けられている。つまり、このコンテナ押さえ体26は、支持体21の上端部に左右方向の回動中心軸線(回動支点)L2を中心として上下方向に回動可能に設けられている(
図4参照)。
【0025】
図4に示すように、コンテナ押さえ体26は、左右一対の押さえ部27を有し、これら両押さえ部27は棒状の連結部28で連結されている。連結部28の左右の2箇所には、機体2の取付フレーム部16に取り付けられた規制部材17と当接する当接部29が設けられている。そして、コンテナ押さえ体26は、その当接部29と規制部材17との当接により下方回動が規制される。
【0026】
駆動部7は、互いに離間対向する伸縮可能な左右一対のシリンダ(例えば油圧シリンダ等)31を有している。シリンダ31は、シリンダ本体部32と、シリンダ本体部32内に対して出入りするロッド部33とを有している。シリンダ本体部32の基端部は、機体2のシリンダ取付部36に回動可能に取り付けられている。ロッド部33の先端部は、支持体21のシリンダ取付部37に回動可能に取り付けられている。
【0027】
そして、シリンダ31の伸び動作によって支持部6が一方向である上方向(
図1において反時計回りの方向である供給方向)に回動し、かつ、シリンダ31の縮み動作によって支持部6が他方向である下方向(
図1において時計回りの方向である戻し方向)に回動する。
【0028】
なお、
図1に図示した例では、支持部6の回動角度(下限位置から上限位置までの回動角度)αは、例えば略135度である。また、農作物Wを収納したコンテナ(供給コンテナ)5を支持する支持部6と、この支持部6を駆動する駆動部7とによって、コンテナ5内の農作物Wを貯留部8内に投入供給する供給部(供給装置)40が構成されている。
【0029】
貯留部8は、供給部40によって供給された農作物(処理前の玉葱)Wを搬送方向(
図3に示す矢印方向であって前低後高に傾斜した方向)に搬送して搬送部9の搬送始端部に排出(送出)する傾斜状の搬送手段である波形コンベヤ41を底部に有している。
【0030】
また、貯留部8は、波形コンベヤ41の搬送面部45上に農作物Wを案内する傾斜状の左右一対の案内板42と、波形コンベヤ41の搬送面部45上の農作物Wが自重で転がって反搬送方向に移動するのを規制する傾斜状の規制板43とを有している。
【0031】
波形コンベヤ41は、波形状の無端ベルト46を有し、この無端ベルト46が複数のスプロケット47に掛け渡されている。そして、無端ベルト46の上側の往路面部が、農作物Wを搬送方向に搬送する傾斜状の搬送面部45となっている。
【0032】
なお、波形コンベヤ41の上方には、支持部6が上限位置に移動した際にコンテナ5の上面に当接してこのコンテナ5の落下を防止するストッパ手段44が配置されている。ストッパ手段44は、コンテナ5の上面に当接する回動可能なストッパ48を有し、このストッパ48は緩衝用のガススプリング49によって弾性的に支持されている。
【0033】
搬送部9は、貯留部8の波形コンベヤ41から排出された農作物Wを受け入れて搬送するとともに、その搬送途中で農作物Wの不要部分である茎葉部及び根部を切断処理する搬送切断部である。
【0034】
つまり、この搬送部9は、農作物Wである玉葱を搬送しながらその茎葉部及び根部を切断するものであって、例えば
図1に示すように、搬送シュート51と、搬送ローラ52と、持上コンベヤ53と、振動発生部54を有した振動コンベヤ55と、茎葉切断部56を有したカッティングコンベヤ(茎葉部切断手段)57と、搬送シュート58と、根部を切断するタッピングコンベヤ(根部切断手段)59と、切断処理後の農作物(玉葱)Wを持上搬送するリフトコンベヤ60とを有している。
【0035】
そして、貯留部8内から排出されて搬送部9上に供給された農作物Wは、搬送ローラ52、持上コンベヤ53及び振動コンベヤ55にて搬送される際に、小石や土塊等の雑物が除去されるとともに、互いに絡み合った葉がほぐされて個々に分離した状態となる。
【0036】
その後、互いに分離した各農作物Wは、カッティングコンベヤ57で茎葉部が切断され、かつ、タッピングコンベヤ59で根部が切断された後、リフトコンベヤ60によって持上搬送されて次工程の選別部10に送られる。なお、農作物Wの球状の本体部から切断除去された茎葉部及び根部は、機体2の底部に設けられた搬出コンベヤ50によって後方側に搬送されて機体2の後端部から搬出される。
【0037】
選別部10は、切断処理後の農作物Wを搬送する選別用の搬送コンベヤ61を有している。そして、ステップ62上の作業者は、その搬送コンベヤ61上の農作物Wを良品と不良品とに選別する選別作業を行う。
【0038】
選別の結果、良品の農作物(規格内の玉葱)Wは、良品用シュート63及びスライドコンベヤ64にて搬送されて良品コンテナ65内に収納される一方、不良品の農作物(規格外の玉葱)Wは、不良品用シュート66にて搬送されて不良品コンテナ67内に収納される。なお、良品用シュート63の上方には、ステップ62に乗った作業者が操作する操作部13が配置されている。
【0039】
操作部13は、例えば
図5(a)に示すように、昇降用の操作レバー71と、自動制御入切用の切換スイッチ(モード切換手段)72と、自動制御モード時(切換スイッチの「入」時)には点灯し、かつ手動制御モード時(切換スイッチの「切」時)には消灯する表示ランプ73と、非常停止スイッチ74と、コンベヤ起動用の起動スイッチ75と、動作パターン選択用の選択手段である選択スイッチ(ロータリースイッチ)76とを有している。
【0040】
そして、選択スイッチ76は、農作物Wの状態(玉葱の茎葉部の湿り状態、乾燥状態等)に応じて、支持部6の動作パターンを選択するためのパターン選択操作部である。つまり、制御部12の制御に基づく支持部6の動作パターンは、選択スイッチ76の操作により、農作物Wの状態に応じて、予め設定された複数(例えば7つ)の動作パターンの中から任意(自由)に選択可能となっている。
【0041】
ここで、選択スイッチ76で選択可能な動作パターンの一例を
図5(b)に示すが、当該パターンに限定されるものではない。
【0042】
例えば、「上昇2秒、下降0秒」(茎葉部が乾いた状態)や、「上昇2秒、下降1秒」(茎葉部が湿った状態)等の動作パターンを含むようにしてもよい。また、上限位置での揺動回数は「3回」以上でもよく、その際の下降秒数(=上昇秒数)も例えば「1.0秒」、「1.5秒」や「2秒」等でもよく任意である(ただし2秒以内が好ましい)。
【0043】
なお、
図5に図示した操作部13は、複数の動作パターンが予め設定されたものであるが、例えばパターン変更用の変更手段(スイッチやボタン等)を設けて支持部6の動作パターンの内容を変更可能な構成としてもよい。また、当該操作部13と同じレバー及びスイッチ等の操作部材を有したリモコン(遠隔操作部)を用いて、制御部12を遠隔操作できるようにしてもよい。
【0044】
次に、
図6に示すフローチャートに沿って、
図7ないし
図13を参照しながら農作業機1の支持部6の動作(農作物の自動供給動作)について説明する。
【0045】
コンテナ5内の処理前の農作物(玉葱)Wを貯留部8内へ自動供給する場合、ステップ62上の作業者は、操作部13の選択スイッチ76により動作パターン(例えば動作パターン5の「上昇1.5秒、下降0.5秒、振動2回」)を選択設定してから、切換スイッチ72を「入」に切り換えた後、操作レバー71を「上昇」側に長押しすることで供給開始を指示する(ステップ1)。
【0046】
なお、トラクタ又はリフト等を使用して、農作物Wが収納されたコンテナ5を下限位置の支持部6上に載せる作業を行う作業者が、リモコンを操作して供給開始の指示を行ってもよい。
【0047】
そして、供給開始が指示されると、制御部12は、支持部6が下限位置から上限位置よりも低い所定位置(所定の中間位置)、すなわち例えば予め設定された初期高さ位置まで上方回動した後、貯留部8内の農作物Wの量が少なくなった場合に、タイマー機能を用いて支持部6が予め設定された第1設定値である第1設定時間だけ上方回動した後にその第1設定時間よりも短い予め設定された第2設定値である第2設定時間(基本は第1設定時間とは異なる時間であるが、同じ時間(略同じ時間を含む)とすることも可能である)だけ下方回動するという動作(第1動作)を少なくとも1回行うように、駆動部7のシリンダ31を制御する。
【0048】
具体的には、まず、
図7及び
図8に示すように、農作物Wが収納されたコンテナ5を支持した支持部6は、当該コンテナ5とともに回動中心軸線L1を中心として下限位置から初期高さ位置まで上方回動(上昇)する(ステップ2)。なお、この上方回動の際に、コンテナ5は、隙間80の分だけ移動して支持体21の側面支持部23に支持されるとともにコンテナ押さえ体26によっても支持される。
【0049】
すると、コンテナ5内の農作物Wが、上面開口部5aから出て貯留部8内に向かって落下して波形コンベヤ41上に供給され、この供給された農作物Wは波形コンベヤ41にて搬送部9側に向かって搬送される。その結果、
図9の如く貯留部8内の農作物Wの量(残量)が徐々に減少する。
【0050】
そして、制御部12は、検知部11の検知に基づいて貯留部8内の農作物Wの量が設定量以下であるか否かを判断し(ステップ3)、その残量が設定量以下であると判断した場合には、
図10の如く支持部6が第1設定時間(例えば動作パターン5の「1.5秒」)だけ上方回動し(ステップ4)、その直後に当該第1設定時間よりも短い第2設定時間(例えば動作パターン5の「0.5秒」)だけ下方回動する(ステップ5)。なおこの際、コンテナ5の上面開口部5aが鉛直面を超えて斜め下方側を向いた状態となるが、そのコンテナ5は、コンテナ押さえ体26によって支持されているため、支持体21上から落下することがない。
【0051】
このような支持部6の上昇下降の動作(X秒上昇+Y秒下降)により、主としてコンテナ5内の農作物W同士の引掛係合(玉葱の茎葉部同士が絡み合って引掛係合した状態)が解除されるため、茎葉部同士が湿って絡み合った複数個の農作物Wが大きな塊となって貯留部8内へ落下供給されてしまうことが防止される。当該上昇下降の動作は、支持部6が予め設定された上限付近位置に到達するまで繰り返される。
【0052】
次いで、制御部12は、角度センサの検知に基づいて支持部6が上限付近位置に到達したか否かを判断し(ステップ6)、その支持部6が
図11に示す上限付近位置に到達したと判断した場合には、検知部11の検知に基づいて貯留部8内の農作物Wの量が設定量以下であるか否かを判断する(ステップ7)。なお、ステップ6で上限付近位置に到達していないと判断した場合は、ステップ3に戻って前記上昇下降の動作を繰り返す。
【0053】
そして、貯留部8内の農作物Wの量が設定量以下になったと判断されると、
図12の如く支持部6が上限付近位置(上限手前位置)から上限位置まで上方回動する(ステップ8)。なおこの際、コンテナ5の上面がストッパ手段44のストッパ48に当接する。
【0054】
ここで、制御部12は、支持部6が上限付近位置から予め設定された上限位置まで上方回動した後、貯留部8内の農作物Wの量が少なくなった場合に、タイマー機能を用いて支持部6が予め設定された設定値(第3設定値)である設定時間(以下「第3設定時間」ということがある)だけ下方回動した後にその設定時間と同じ値である同じ時間(略同じ時間を含む)だけ上方回動するという動作(第2動作)を少なくとも1回行うように、駆動部7のシリンダ31を制御する。
【0055】
具体的には、支持部6が上限位置に位置した状態で、制御部12が検知部11からの検知情報に基づいて貯留部8内の農作物Wの残量が設定量以下であるか否かを判断し(ステップ9)、その残量が設定量以下であると判断した場合には、
図13の如く支持部6が第3設定時間(例えば「1.0秒」)だけ下方回動し(ステップ10)、その直後に同じ第3設定時間(例えば「1.0秒」)だけ上方回動する(ステップ11)。
【0056】
つまり、貯留部8内の残量が設定量以下になると、制御部12によるシリンダ31の制御に基づいて、支持部6が下降上昇の動作(Z秒下降+Z秒上昇)、すなわち揺動動作を行う。
【0057】
続いて、制御部12は、支持部6の揺動動作の回数が設定回数に到達したか否かを判断し(ステップ12)、その回数が設定回数に到達したと判断した場合には、支持部6が上限位置から予め設定された下限位置まで下方回動(下降)する(ステップ13)。なお、この下方回動の際に、コンテナ押さえ体26は、コンテナ5と一緒に下方回動するが、当接部29が規制部材17に当接した時点でその下方回動が規制されて停止する。また、下限位置に戻った支持部6上の空コンテナを降ろして次の供給コンテナを載せて同様に作業を行う。
【0058】
また、ステップ12において、支持部6の揺動回数が設定回数(例えば「2回」)に到達していないと判断した場合は、ステップ10に戻って前記下降上昇の動作(揺動動作)を繰り返す。
【0059】
このような支持部6の下降上昇の動作(Z秒下降+Z秒上昇)により、主としてコンテナ5内の農作物Wとコンテナ5のメッシュ部との引掛係合(玉葱の茎葉部とコンテナのメッシュ部とが絡み合って引掛係合した状態)が解除されるため、被供給部である貯留部8内に供給すべき農作物Wがコンテナ5内に残存してしまうことが防止される。当該下降上昇の動作である揺動動作は、予め設定された設定回数(複数回が好ましい)に到達するまで繰り返される。
【0060】
なお、揺動動作前に操作レバー71を「下降」側に長押しすると、支持部(供給ステージ)6が下限位置まで下降する。また、支持部6が上昇中は操作レバー71を「下降」側に押すことで自動制御モードが手動制御モードに切り換わり、支持部6が下降中は操作レバー71を「上降」側に押すことで自動制御モードが手動制御モードに切り換わる。そして、その手動制御モードでは、作業者は操作レバー71の操作により支持部6を下限位置から上限位置までの範囲内で任意に上下動できる。
【0061】
そして、上述した農作業機1によれば、機体2に回動中心軸線L1を中心として上下方向に回動可能に設けられてコンテナ5を支持する支持部6と、この支持部6を上下方向に回動させる駆動部7と、この駆動部7を制御する制御部12とを備え、この制御部12は、支持部6がコンテナ5内の農作物Wの引掛係合を解除するための所定の動作(上下方向に関する動作)、すなわち例えば上記の第1動作及び第2動作を行うように駆動部7を制御するため、例えばコンテナ5内における農作物W同士の引掛係合や農作物Wとコンテナ5との引掛係合を解除でき、農作物Wを貯留部8内へ適切に供給できる。
【0062】
したがって、例えば茎葉部が絡み合って大きな塊状となった農作物群が貯留部8内に供給されて農作物Wが損傷してしまうのを防止でき、かつ、コンテナ5に茎葉部が引っ掛かった農作物Wがコンテナ5内に残存することがなく、作業効率の向上を図ることもできる。
【0063】
また、制御部12の制御による支持部6の動作パターン(上下回動パターン)は、コンテナ内の農作物Wの状態に応じて複数の動作パターンの中から選択可能であることから、農作物Wの状態に対応できるため、農作物Wをより一層適切に供給できる。
【0064】
なお、農作業機は、農作物である玉葱の茎葉等を切断処理する玉葱処理機には限定されず、例えば玉葱以外の農作物に対して農作業(処理)を行うものでもよい。
【0065】
また、制御部による駆動部の制御に基づいて支持部が第1動作及び第2動作の両方を行うものには限定されず、例えば第1動作及び第2動作のいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
【0066】
さらに、制御部を操作するための操作部は、例えばタッチパネル式のものや、所定のアプリをダウンロードした携帯端末等でもよい。
【0067】
また、音声取得部で取得した作業者の音声に基づいて制御部が支持部の動作を制御するようにしてもよく、例えば制御部が作業者の音声に基づいて支持部の動作パターンを複数の動作パターンの中から選択する構成等でもよい。
【0068】
さらに、農作物収納体を支持する支持部(リスト装置)は、機体に対して上下方向の回動(上下回動)のみ行うものには限定されず、少なくとも上下回動すればよく、例えば機体に対して上下方向に回動可能でかつ昇降可能なものでもよく、また上下左右に回動可能なもの等でもよい。
【0069】
また、制御部は、タイマー機能(回動時間情報)を用いて、支持部が第1設定時間だけ上方回動した後にその第1設定時間よりも短い第2設定時間だけ下方回動する動作や、支持部が第3設定時間だけ下方回動した後にその第3設定時間と同じ時間だけ上方回動する動作を行うように、駆動部を制御するものには限定されず、例えば角度センサからの検知情報(回動角度情報)を用いて、支持部が第1設定角度だけ上方回動した後にその第1設定角度よりも小さい第2設定角度だけ下方回動する動作や、支持部が第3設定角度だけ下方回動した後にその第3設定角度と同じ角度だけ上方回動する動作を行うように、駆動部を制御するものでもよい。
【0070】
さらに、制御部は、例えば高さ位置センサからの検知情報(高さ情報)を用いて、支持部が第1設定高さ(設定距離や設定位置等でもよい)だけ上方回動した後にその第1設定高さよりも低い第2設定高さだけ下方回動する動作や、支持部が第3設定高さだけ下方回動した後にその第3設定高さと同じ高さだけ上方回動する動作を行うように、駆動部を制御するもの等でもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 農作業機
5 農作物収納体であるコンテナ
6 支持部
7 駆動部
8 貯留部
11 検知部
12 制御部
13 操作部
76 選択手段である選択スイッチ
W 農作物