(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130895
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ホームドア装置、ホームドア制御方法、ホームドア制御プログラム及びホームドア制御装置
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B61B1/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040842
(22)【出願日】2023-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌兵
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101AA03
3D101AA05
3D101AA12
3D101AA26
3D101AA32
3D101AB01
3D101AB15
3D101AC10
(57)【要約】
【課題】安全面を考慮しつつ、ホームドア装置の待機消費電力を適切に削減することを可能にする技術を提供する。
【解決手段】本発明のホームドア装置は、プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して乗降口を開閉させる駆動機構13と、車両がプラットホームの乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断する存在判断部33と、駆動機構13を制御する駆動制御部34と、を備え、駆動制御部34は、車両が所定区間内に存在していないと判断された場合にはドアの全閉位置で駆動機構13を第1制御条件で制御し、車両が所定区間内に存在していると判断された場合にはドアの全閉位置で駆動機構を第2制御条件で制御し、第1制御条件での制御は第2制御条件での制御よりもドアの全閉位置での駆動機構13の駆動に要する消費電力が小さい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構と、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断する存在判断部と、
前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合には前記ドアの全閉位置において前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記車両が前記所定区間内に存在していると判断された場合には前記ドアの全閉位置において前記駆動機構を第2制御条件で制御し、
前記第1制御条件での制御は前記第2制御条件での制御よりも前記ドアの全閉位置での前記駆動機構の駆動に要する消費電力量が小さい、
ホームドア装置。
【請求項2】
前記第1制御条件での制御は前記第2制御条件での制御よりも前記駆動機構が前記ドアを全閉位置に保持する力が小さい、
請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項3】
前記第2制御条件での制御は前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御であり、
前記第1制御条件での制御は前記押付制御よりも押付荷重の小さい弱押付制御である、
請求項2に記載のホームドア装置。
【請求項4】
前記第2制御条件での制御は前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御であり、
前記第1制御条件での制御は前記ドアの戸先を対向物に押し付ける動作を間欠的に繰り返す間欠押付制御である
請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項5】
前記第2制御条件での制御は前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御であり、
前記第1制御条件での制御は、前記駆動機構のモータのショートブレーキを作用させているショートブレーキ制御及び前記モータのロータをフリーランさせるフリーラン制御のうちのいずれかである、
請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項6】
前記ドアが全閉位置から開方向に移動するか否かを判断する開判断部を備え、
前記駆動制御部は、前記ドアが全閉位置から開方向に移動すると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御する、
請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項7】
前記存在判断部は前記車両が前記プラットホームと前記プラットホームに隣接する他のプラットホームとの間に設けられた他の軌道の他の所定区間内に存在しているか否かを判断し、
前記駆動制御部は、前記車両が前記他の所定区間内に存在していると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御する、
請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項8】
前記第2制御条件での制御は、前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御と、前記ドアの戸先を前記押付制御の押付荷重よりも小さい弱押付荷重で対向物に押し付ける弱押付制御と、を含む、
請求項7に記載のホームドア装置。
【請求項9】
前記ドアの振動度合いを取得する振動取得部を備え、
前記駆動制御部は前記振動度合いに基づいて前記押付荷重及び前記弱押付荷重の少なくとも一方の大きさを決定する、
請求項8に記載のホームドア装置。
【請求項10】
前記全閉位置からの前記ドアの開方向の移動の発生のしやすさを示す情報を取得する取得部を備え、
前記駆動制御部は、前記発生のしやすさが所定の基準以上である場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御する、
請求項1から9のいずれか1項に記載のホームドア装置。
【請求項11】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御する方法であって、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップと、
前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御するステップと、
前記所定区間内に前記車両が存在していると判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記第1制御条件よりも前記駆動機構の駆動に要する消費電力が大きい第2制御条件で前記駆動機構を制御するステップと、
を含む、
ホームドア制御方法。
【請求項12】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御するためのホームドア制御プログラムであって、コンピュータに、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップと、
前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御するステップと、
前記所定区間内に前記車両が存在していると判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記第1制御条件よりも前記駆動機構の駆動に要する消費電力が大きい第2制御条件で前記駆動機構を制御するステップと、
を実行させるためのホームドア制御プログラム。
【請求項13】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御するホームドア制御装置であって、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断する存在判断部と、
前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第2制御条件で制御し、
前記第1制御条件での制御は前記第2制御条件での制御よりも前記ドアの全閉位置での前記駆動機構の駆動に要する消費電力が小さい、
ホームドア制御装置。
【請求項14】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構と、
前記ドアの振動度合いを取得する取得部と、
前記ドアの全閉位置において前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御により前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は前記振動度合いに基づいて前記押付制御における押付荷重を決定する、
ホームドア装置。
【請求項15】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御する方法であって、
前記ドアの振動度合いを取得するステップと、
前記ドアの全閉位置において前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御により前記駆動機構を制御するステップと、を備え、
前記制御するステップは、前記振動度合いに基づいて前記押付制御における押付荷重を決定するステップを含む、
ホームドア制御方法。
【請求項16】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御するためのホームドア制御プログラムであって、コンピュータに、
前記ドアの振動度合いを取得するステップと、
前記ドアの全閉位置において前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御により前記駆動機構を制御するステップであって、前記振動度合いに基づいて前記押付制御における押付荷重を決定するステップを含む、制御するステップと、
を実行させるためのホームドア制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームドア装置、ホームドア制御方法、ホームドア制御プログラム及びホームドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、列車のプラットホーム上で安全性をより向上させるためにホームドア装置の設置が進められている(例えば、特許文献1参照)。ホームドア装置は列車がホームに進入するまで閉状態を保ち、ホームドア装置のホーム側から軌道側への乗客の移動を規制する。列車がホームの所定位置に停止するとホームドア装置は開状態となり、乗客が列車に乗降するのを可能にする。
【0003】
このようなホームドア装置では、通常、外部からドアが受ける荷重により扉が全閉位置から開いてしまうことを抑制するために、扉が全閉位置に達して乗降口が閉まった場合に扉を全閉位置からさらに閉方向に駆動させて扉を対向物に押し付ける押付動作を行うことにより、扉が開方向に移動しないようにして扉を全閉位置に維持することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
扉が意図せず開いてしまう可能性が低い状況においても扉の全閉位置で上述の扉の押付け動作などのドアの駆動に要する消費電力が大きい動作を行う場合、待機消費電力を効果的に削減することができないという課題がある。そのため、ホームドア装置では、安全性を考慮しつつ、待機消費電力を適切に削減することが望まれている。
【0006】
上記課題を鑑みて、本発明の目的は、安全性を考慮しつつ、ホームドア装置の待機消費電力を適切に削減可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のホームドア装置は、プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構と、車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断する存在判断部と、前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記車両が前記所定区間内に存在していると判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第2制御条件で制御し、前記第1制御条件は前記第2制御条件よりも前記ドアの全閉位置での前記駆動機構の駆動に要する消費電力量が小さい。
【0008】
本発明のある態様のホームドア制御方法は、プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御する方法であって、車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップと、前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御するステップと、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記第1制御条件よりも前記駆動機構の駆動に要する消費電力が大きい第2制御条件で前記駆動機構を制御するステップと、を備える。
【0009】
本発明のある態様のホームドア制御プログラムは、プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御するためのホームドア制御プログラムであって、コンピュータに、車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップと、前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御するステップと、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記第1制御条件よりも前記駆動機構の駆動に要する消費電力が大きい第2制御条件で前記駆動機構を制御するステップと、を実行させるためのホームドア制御プログラムである。
【0010】
本発明のある態様のホームドア制御装置は、プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御するホームドア制御装置であって、車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断する存在判断部と、前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第2制御条件で制御し、前記第1制御条件での制御は前記第2制御条件での制御よりも前記ドアの全閉位置での前記駆動機構の駆動に要する消費電力が小さい。
【0011】
本発明の他の態様のホームドア装置は、プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構と、前記ドアの振動度合いを取得する取得部と、前記ドアの全閉位置において前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御により前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は前記振動度合いに基づいて前記押付制御における押付荷重を決定する。
【0012】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安全面を考慮しつつ、ホームドア装置の待機消費電力を適切に削減可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ホームドア装置が設置された駅を上方から見たときの平面図である。
【
図2】プラットホームドアシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3(a)は扉が全閉位置のときの第1実施形態のホームドア装置の正面図であり、
図3(b)は扉が全開位置のときの第1実施形態のホームドア装置の正面図である。
【
図4】第1実施形態の総合制御盤及びホームドア装置の機能ブロック図である。
【
図5】ドアの閉動作における時間に対する扉の走行速度を示すグラフである。
【
図6】第1実施形態のホームドア制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態の総合制御盤及びホームドア装置の機能ブロック図である。
【
図8】第2実施形態のホームドア制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図9】第3実施形態のホームドア制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態の変形例の総合制御盤及びホームドア装置の機能ブロック図である。
【
図11】第4実施形態の総合制御盤及びホームドア装置の機能ブロック図である。
【
図12】第4実施形態のホームドア制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図13】第5実施形態の総合制御盤及びホームドア装置の機能ブロック図である。
【
図14】第5実施形態のホームドア制御部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0016】
第1実施形態
図1は、ホームドア装置100が設置された駅1を上方から見たときの平面図である。
図1に示すように、駅1は、車両61が走行する軌道2と、車両61の乗客が乗降を行うプラットホーム3とを備えている。ホームドア装置100は、プラットホーム3の乗降口Eに沿って設けられた軌道2側の縁部に沿って設置される。
【0017】
図2は、プラットホームドアシステム5を概略的に示すブロック図である。プラットホームドアシステム5は、総合制御盤50と、複数のホームドア装置100と、を備える。ホームドア装置100は、ホームドア制御部30を含む。
【0018】
複数のホームドア装置100は、駅1のプラットホーム3の上り線及び下り線にそれぞれ設けられる。複数のホームドア装置100は、プラットホーム3の所定位置に車両61が停止したときに、この車両61の各車両ドアに対応する位置に設けられた乗降口E(
図3参照)にそれぞれ配置される。
【0019】
総合制御盤50は、プラットホーム3に1つ設けられ、複数のホームドア装置100の各ホームドア制御部30に接続される。ホームドア装置100のドア11は、ホームドア制御部30を介して総合制御盤50によって開閉制御される。車両ドアが開くとともにドア11が開くことによって、乗客の車両61への乗降が可能となる。車両ドアとドア11とのいずれか一方が閉じることによって、乗客の乗降が制限される。
【0020】
総合制御盤50と各ホームドア制御部30とは、相互に通信できる。例えば、総合制御盤50は、一対のドア11を開移動又は閉移動させるための開指令信号又は閉指令信号を各ホームドア制御部30に送信する。ホームドア制御部30は、開指令信号に応答して対応するドア11を開くと、全開信号を総合制御盤50に送信する。ホームドア制御部30は、閉指令信号に応答して対応するドア11を閉じると、全閉信号を総合制御盤50に送信する。各ホームドア制御部30は、後述の状態情報等を総合制御盤50に送信できる。
【0021】
総合制御盤50と車両61とは、車両情報伝送装置(ATO)63および地上子62を介して相互に通信できる。車両61は、全てのホームドア装置100のドア11を開く開要求信号および全てのホームドア装置100のドア11を閉じる閉要求信号を総合制御盤50に送信できる。総合制御盤50は、全てのホームドア制御部30から全開信号又は全閉信号を受けると、全開確認信号又は全閉確認信号を車両61に送信できる。なお、車両情報伝送装置63および地上子62は、駅1によっては設けられていない場合がある。
【0022】
プラットホームドアシステム5の動作を説明する。車両61がプラットホーム3の所定位置に到達して停止すると、地上子62および車両情報伝送装置63が総合制御盤50に車両61が停止したことを示す停止信号を送信する。これにより、総合制御盤50は、車両61が停止したことを検出する。その後、車両61の乗務員は、地上子62および車両情報伝送装置63を介して総合制御盤50に開要求信号を送信する。この開要求信号を受信すると、総合制御盤50は、各ホームドア制御部30に開指令信号を供給する。各ホームドア制御部30は、この開指令信号に応答して、対応するドア11を開く。ホームドア制御部30は、全開位置センサ41aから後述の全開位置信号を受信したことに応答して、全開信号を総合制御盤50に送信する。総合制御盤50は、全てのホームドア制御部30から全開信号を受けると、全開確認信号を車両情報伝送装置63および地上子62を介して車両61に送る。車両61の乗務員は、この全開確認信号を受けると、車両ドアを開く。
【0023】
乗客の乗降車が完了して、車両61がプラットホーム3から出発するとき、車両61の乗務員は、地上子62および車両情報伝送装置63を介して総合制御盤50に閉要求信号を送信する。この閉要求信号を受けると、総合制御盤50は、各ホームドア制御部30に閉指令信号を供給する。各ホームドア制御部30は、この閉指令信号に応答して、対応するドア11を閉じる。ホームドア制御部30は、全閉位置センサ41bから後述の全閉位置信号を受信したことに応答して、全閉信号を総合制御盤50に送信する。総合制御盤50は、全てのホームドア制御部30から全閉信号を受けると、全閉確認信号を車両情報伝送装置63および地上子62を介して車両61に送る。車両61の乗務員は、この全閉確認信号を受けると、車両ドアを閉じる。なお、駅係員がプラットホームに設けられた駅係員操作盤66を用いて閉要求信号又は開要求信号を総合制御盤50に送信してもよい。
【0024】
図3(a)は扉が全閉位置のときの第1実施形態のホームドア装置の正面図であり、
図3(b)は扉が全開位置のときの第1実施形態のホームドア装置の正面図である。ホームドア装置100は、一対の戸袋10と、一対のドア11a及び11b(ドア11と総称する場合がある)と、一対のドア11を開閉駆動する一対の駆動機構13と、ホームドア制御部30と、を有する。
【0025】
ホームドア装置100は、一対の戸袋10の間の空間である乗降口Eをドア11の移動により開閉する。ホームドア装置100は、ドア11の戸先が戸袋10から離れる方向に移動して一対のドア11の互いの戸先が接触することにより乗降口Eを閉じる(
図3(a)参照))。ホームドア装置100は、ドア11の戸先が戸袋10に近づく方向に移動することにより乗降口Eを開く(
図3(b)参照))。
【0026】
戸袋10は、ドア11を進退可能に収納する。戸袋10は、正面視において開閉方向Dxを長手方向として構成される。戸袋10は、プラットホーム上に配置される。各戸袋10には、駆動機構13が設けられる。また、一対の戸袋10の一方には、ホームドア制御部30が設けられる。
【0027】
本実施形態のドア11は、戸袋10から開閉方向Dxに移動可能な両開き式の引き戸であり、パネル状に構成される。
【0028】
駆動機構13は、一対のドア11のそれぞれに設けられる。駆動機構13は、ホームドア制御部30の制御に応じてドア11を開閉するモータ13mと、開閉方向Dxの両側でモータ13mに連結される一対の回転体13pと、モータ13mの駆動力をドア11に伝達する連結部13cと、一対の回転体13pに巻き掛けられる伝達部材13tと、モータ13mの回転角度を検出するエンコーダ13e(
図4参照)と、を備える。連結部13cは、例えばドア11の戸尻側に設けられる。一対の駆動機構13は、動力線(不図示)を介してホームドア制御部30と接続される。
【0029】
図4は、第1実施形態の総合制御盤50及びホームドア装置100の機能ブロック図である。
図4を含む各図に示す各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描く。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0030】
総合制御盤50は、開閉信号取得部51と、指令制御部52と、通信制御部53とを備える。開閉信号取得部51は、ホームドア制御部30から全開信号及び全閉信号を取得する。指令制御部52は、車両61又は駅係員操作盤66から開要求信号または閉要求信号を受けたとき、開指令信号または閉指令信号をホームドア制御部30に送信する。指令制御部52は、通信制御部53が後述の車両進入信号又は車両進出信号を受信したことに応答して、車両61が所定の区間内に進入又は進出した軌道に対応するホームドア装置100に車両進入信号又は車両進出信号を供給する。
【0031】
通信制御部53は、全開確認信号または全閉確認信号を車両情報伝送装置54に送信する。通信制御部53は、駅務室表示装置64や駅係員操作盤66に設けられている表示装置に所定の情報を送信する。一例として、これらの表示装置は、この情報に基づいて上り線及び下り線のドア11の異常の有無等を表示する。通信制御部53は、駅とは離れた場所に設けられている総合司令室の総合司令室表示装置65に所定の情報を送信する。一例として、総合司令室表示装置65は、この情報に基づいて全ての駅のドア11の異常の有無等を表示する。本実施形態の通信制御部53は、車両情報伝送装置63から車両61が軌道2の所定の区間内に進入又は進出したか否かを示す車両進入信号又は車両進出信号を受信する。
【0032】
ホームドア装置100は、開閉検出部41を含む。開閉検出部41は、全開位置センサ41aと、全閉位置センサ41bと、を含む。全開位置センサ41aは、ドア11が全開位置に位置しているか否かを検出するセンサであり、ドア11が全開位置に位置することを示す全開位置信号を送信する。全閉位置センサ41bは、ドア11が全閉位置に位置しているか否かを検出するセンサであり、ドア11が全閉位置に位置することを示す全閉位置信号を送信する。例えば、全開位置センサ41a及び全閉位置センサ41bとして、磁気検出型の近接センサや光電センサが使用される。
【0033】
ホームドア装置100は、ホームドア制御部30を含む。本実施形態のホームドア制御部30は、取得部31と、位置判断部32と、存在判断部33と、駆動制御部34と、送信部35と、記憶部36と、を備える。本実施形態のホームドア制御部30は、ホームドア制御装置の一例である。
【0034】
取得部31は、外部から供給される各種信号を取得する。例えば、取得部31は、開閉検出部41からの全開位置信号又は全閉位置信号、エンコーダ13eからのモータ13mの回転角度に基づく一対のドア11のそれぞれの位置を示す位置情報、総合制御盤50の指令制御部52からの開指令信号または閉指令信号等をそれぞれ受信する。取得部31は、指令制御部52から車両存在信号を取得する。
【0035】
位置判断部32は、ドア11の位置を判断する。例えば、位置判断部32は、ドア11の位置情報に基づいて、ドア11が全閉位置にあるか否かを判断する。
【0036】
存在判断部33は、車両61が軌道2の所定区間内に存在しているか否かを判断する。本実施形態の存在判断部33は、後述の記憶部36に登録されている軌道2の状態に基づいて、車両61が軌道2の所定区間内に存在しているか否かを判断する。
【0037】
駆動制御部34は、駆動機構13を制御する。例えば、駆動制御部34は、取得部31を介して受信した開指令信号または閉指令信号に応じて駆動機構13のモータ13mを制御して一対のドア11のそれぞれを開閉方向に移動させる。本実施形態の駆動制御部34は、ドア11のモータ13mに流す駆動電流を制御することにより、ドア11の開閉方向の駆動を制御する。
【0038】
図5を用いて、ドア11を閉駆動させる際の駆動制御部34における処理の一例を説明する。
図5は、ドア11の閉動作における時間に対するドア11の走行速度を示すグラフである。
図5は、軌道2の所定区間内に車両61が存在している場合の例である。本実施形態の駆動制御部34は、駆動機構13に
図5に示す閉動作を実行させる。本実施形態の閉動作は、全開位置で停止しているドア11を所定の第1速度まで加速する加速制御動作と、第1速度を維持する高速制御動作と、第2速度まで減速する減速制御動作と、全閉位置に達するまで第2速度を維持する低速制御動作と、閉移動により全閉位置に到達した後に次にドア11が開方向に移動するまでの間にドア11をさらに閉駆動してドア11の戸先を他方のドア11の戸先に押し付ける押付動作と、を含む。特に、押付動作により、全閉位置において一対のドア11の戸先同士が押し付け合った状態で保持されるため、例えば乗客がドア11をこじ開けようとする場合など一対のドア11に対して開方向の荷重が加わった場合であってもドア11が開きにくくなる。これにより、乗客の安全を確保しやすくなる。
【0039】
送信部35は、全開信号又は全閉信号を総合制御盤50に送信する。
【0040】
記憶部36は、本発明の処理を実行するための各種アルゴリズムや閾値等を記憶している。本実施形態の記憶部36は、指令制御部52から車両進入信号を取得したことに応答して軌道2の状態を存在状態として登録し、指令制御部52から車両進出信号を取得したことに応答して軌道2の状態を不在状態として登録する。
【0041】
図6は、第1実施形態のホームドア制御部30の処理S100を示すフローチャートである。本実施形態では、処理S100は、車両61の運行時間(例えば、深夜を除く時間帯)中に実行される。
【0042】
ステップS101で、取得部31は、ドア11の位置情報を取得する。
【0043】
ステップS102で、位置判断部32は、取得したドア11の位置情報に基づいて、ドア11が全閉位置にあるか否かを判断する。ドア11が全閉位置にある場合(S102のY)、処理S100はステップS103に進む。
【0044】
ステップS103で、存在判断部33は、車両61が軌道2の所定の区間内に存在しているか否かを判断する。例えば、存在判断部33は、記憶部36に登録されている軌道2の状態が存在状態である場合には、車両61が軌道2の所定区間内に存在していると判断し、記憶部36に登録されている軌道2の状態が不在状態である場合には車両61が軌道2の所定区間内に存在していないと判断する。車両61が軌道2の所定区間内に存在していない場合(S103のN)、処理S100はステップS104に進む。車両61が軌道2の所定区間内に存在している場合(S103のY)、処理S100はステップS105に進む。
【0045】
ステップS104で、駆動制御部34は、駆動機構13を第1制御条件で制御する。本実施形態の第1制御条件での制御は、駆動機構13のモータ13mのショートブレーキを作用させているショートブレーキ制御である。ステップS104の後、処理S100は終了する。
【0046】
ステップS105で、駆動制御部34は、駆動機構13を第2制御条件で制御する。本実施形態の第2制御条件での制御は、一対のドア11のそれぞれを同じ駆動力で互いに押し付け合うように閉駆動させる上述の押付動作を実行する押付制御である。
【0047】
ここで、押付動作は、駆動機構13に駆動電流を印加し続けることによりドア11の全閉位置から駆動機構13をさらに閉駆動させる動作である。一方で、ショートブレーキは、モータ13mのコイル端子同士を短絡させて、回転エネルギーを電気エネルギーに変換するようにすることで、モータ13mに対してブレーキ力を作用させるものである。ショートブレーキは、モータ13mのコイル端子同士を短絡させるようにコイル端子を切り替える分の電力量で、ドア11の開方向の移動を抑制することができる。そのため、ショートブレーキでは、駆動機構13がドア11を全閉位置に保持する力は押付動作よりも小さいものの、ドア11の全閉位置での駆動機構13の駆動に要する単位時間当たりの消費電力量は押付動作よりも小さいといえる。したがって、ドア11の開方向の移動を抑制するために、ショートブレーキを使用する場合は、押付動作を使用する場合よりも消費電力量を削減することができる。
【0048】
ステップS105の後、処理S100は終了する。
【0049】
ステップS102に戻ると、ドア11が全閉位置にない場合(S102のN)、処理S100はステップS106に進む。ステップS106で、位置判断部32は、取得したドア11の位置情報に基づいて、ドア11が全開位置にあるか否かを判断する。ドア11が全開位置にない場合(S106のN)、処理S100はステップS107に進む。ドア11が全開位置にある場合(S106のY)、処理S100はステップS108に進む。
【0050】
ステップS107で、駆動制御部34は、ドア11をその進行方向に移動させる。例えば、駆動制御部34は、ドア11が開方向に移動中である場合にはドア11を開方向に移動させ、ドア11が閉方向に移動中である場合にはドア11を閉方向に移動させる。
【0051】
ステップS108で、駆動制御部34は、開指令信号を受信したか否かを判断する。開指令信号を受信している場合(S108のY)、処理S100はステップS109に進む。開指令信号を受信していない場合(S108のN)、ドア11が全開位置に維持され、処理S100は終了する。
【0052】
ステップS109で、駆動制御部34は、ドア11を閉方向に移動させる。ステップS109の後、処理S100は終了する。
【0053】
ここで、従来のホームドア装置は、車両61がプラットホーム3に進入する際に発生する振動などの外部からの荷重によりドア11が誤って開いてしまうことを抑制するために、ドア11の全閉位置でドア11の押付動作を常に実行している。しかし、車両61が軌道2の所定区間内に存在していない場合には、車両61がプラットホーム3に進入せず振動が発生しないため、ドア11が誤って開きにくい状況であるといえる。このようなドア11が誤って開きにくく安全性に対する懸念が少ない状況においても常に押付動作を実行すると、安全性は必要以上に確保できている一方で、高い消費電力量を費やしてしまうため、消費電力量の削減の観点からは効率的とはいえない。
【0054】
これに対し、本実施形態では、駆動制御部34は、車両61が軌道2の所定区間内に存在していないと判断された場合にはドア11の全閉位置で駆動機構13を第1制御条件で制御し、車両61が軌道2の所定区間内に存在していると判断された場合にはドア11の全閉位置で駆動機構13を第2制御条件で制御する。第1制御条件は、第2制御条件よりもドア11の全閉位置での駆動機構13の駆動に要する消費電力量が小さい。本構成によると、車両61が軌道2の所定区間内に存在していない場合に駆動機構13の駆動に要する消費電力量が第2制御条件よりも小さい第1制御条件で駆動機構13を制御できるため、安全性を考慮しつつ、待機消費電力を適切に削減することができる。
【0055】
本実施形態では、第1制御条件での制御は、第2制御条件での制御よりも駆動機構13がドア11を全閉位置に保持する力が小さい。本構成によると、駆動機構13がドア11を全閉位置に保持する力が小さいことからその消費電力量も小さいため、安全性を考慮しつつ、待機消費電力を適切に削減することができる。
【0056】
本実施形態では、第2制御条件での制御は、押付制御であり、第1制御条件での制御は、ショートブレーキ制御である。本構成によると、車両61が軌道2の所定区間内に存在してドア11が振動を受けやすい場合にドア11が誤って開くことを適切に抑制することができるとともに、安全性を考慮しつつ、待機消費電力を適切に削減することができる。
【0057】
以下、本実施形態の変形例を説明する。
【0058】
実施形態では、両開き式の一対のドア11が用いられたが、これに限定されず、片開き式の1つのドア11が用いられてもよい。この場合、ドア11は戸当たりなどの対向物に押し付けられればよい。
【0059】
実施形態では、ドア11としてパネル状に構成された引き戸が用いられたが、これに限定されず、例えば、乗降口Eを開閉するためのバーが用いられてもよい。
【0060】
実施形態では、車両情報伝送装置63から通信制御部53及び指令制御部52を介して取得した車両進入信号又は車両進出信号に基づいて在線が判断されたが、これに限定されない。例えば、プラットホーム3上、プラットホーム3の軌道2側、又は天井に設置された車両61の存否を検出するセンサの検出信号に基づいて、在線が判断されてもよい。
【0061】
また、プラットホーム3における車両61の入線端に車両61に搭載された固有ID(IDタグやQRコード(登録商標)等)を読み取る読取装置を設置し、この読取装置から車両61に付された固有IDの検出信号が総合制御盤50に送信されたことに基づいて、在線が判断されてもよい。
【0062】
また、軌道回路から車両61が特定区間に進入したことの検出信号が総合制御盤50に送信されたことに基づいて、在線が判断されてもよい。
【0063】
また、プラットホーム3の軌道2側に設置された軌道2上の支障物を検出する支障物センサ(3Dセンサなど)から車両61の検出信号が総合制御盤50に送信されたことに基づいて、在線が判断されてもよい。
【0064】
また、存在判断部33は、上述したようなホームドア装置100の外部に設けられた外部機器から取得した情報に限られず、ホームドア装置100に設けられたセンサから取得した情報に基づいて車両61が所定区間内に存在しているか否かを判断してもよい。ホームドア装置100の振動を検出する振動センサをホームドア装置100に設置し、この振動センサから車両23がプラットホーム3に近づく際に生じる振動の検出信号が総合制御盤50に送信されたことに基づいて、在線が判断されてもよい。
【0065】
ホームドア装置100は、駆動機構13が第1制御条件で制御されている場合に、駆動機構13を第1制御条件で制御していることを外部に通知する通知部を備えてもよい。また、この通知部は、駆動機構13が第1制御条件で制御されている場合に、ホームドア装置100を省電力制御している旨やドア11が開方向に動くおそれがあるので注意する旨を通知してもよい。
【0066】
実施形態では、第1制御条件での制御をショートブレーキ制御としたが、これに限定されない。第1制御条件での制御は、例えば、ショートブレーキ制御及びモータ13mのロータをフリーランさせるフリーラン制御のうちのいずれかであってもよい。第1制御条件としてショートブレーキ制御及びフリーラン制御のうちのいずれかで制御することにより、待機消費電力を効果的に削減できるとともに、モータ13mの負荷が大きい押付動作が実行される頻度を低減できるため、モータ13mの劣化を低減することが可能となる。また、第1制御条件での制御は、ドア11の戸先を第2制御条件での押付制御の押付荷重よりも小さい弱押付荷重で対向物に押し付ける弱押付制御であってもよい。第1制御条件での制御として弱押付制御で制御することにより、待機消費電力を効果的に削減できるとともに、第2制御条件での押付制御の押付荷重よりも小さい押付荷重に変更するという簡易な操作により第1制御条件での制御を実現できる。さらに、第1制御条件での制御は、押付動作を間欠的に繰り返す間欠押付制御であってもよい。第1制御条件での制御として間欠押付制御で制御することにより、第2制御条件での押付制御においてドア11の戸先を対向物に押し付ける時間間隔を設定するという簡易な操作により第1制御条件での制御を実現できる。また、第1制御条件での制御は、一対のドア11のうち一方のドア11のみを他方のドア11に押し付ける片側押付制御であってもよい。
【0067】
第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0068】
図7は、第2実施形態の総合制御盤50及びホームドア装置100の機能ブロック図である。第2実施形態のホームドア制御部30は、開判断部37をさらに備える。開判断部37は、ドア11が全閉位置から開方向に移動するか否かを判断する。以下、第2実施形態の具体的な処理を説明する。
【0069】
図8は、第2実施形態のホームドア制御部30の処理S200を示すフローチャートである。
図8のステップS201~S203、S205~S210は、
図6のステップS101~S109と特に言及する点を除いて基本的に同様であるため、その説明を省略する。
【0070】
ステップS201~S202を経て、ステップS203で車両61が軌道の所定区間内に存在していないと判断されると(ステップS203のN)、処理S200はステップS204に進む。
【0071】
ステップS204で、開判断部37は、ドア11が全閉位置から開方向に移動するか否かを判断する。ここで、ドア11に外部から一定以上の荷重がかかった場合、ドア11の近傍に人が存在するため接触によりドア11が開方向に移動してしまうおそれがあると考えられる。本実施形態では、ドア11に外部から一定以上の荷重がかかったことを示す荷重検出信号を出力する荷重センサ(不図示)がホームドア装置100に設けられる。開判断部37は、この荷重センサから荷重検出信号を受けた場合、ドア11が全閉位置から開方向に移動するか否かを判断する。開方向に移動しない場合(ステップS204のN)、処理S200はステップS205に進み、駆動機構13が第1制御条件で制御される。開方向に移動する場合(ステップS204のY)、処理S200はステップS206に進み、駆動機構13が第2制御条件で制御される。
【0072】
このように、第2実施形態では、駆動制御部34は、ドア11が全閉位置から開方向に移動すると判断された場合には、車両61が所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、駆動機構13を第2制御条件で制御する。本構成によると、ドア11が全閉位置から開方向に移動するおそれがある場合には、第1制御条件ではなく第2制御条件で制御することにより安全性を適切に向上させることができる。
【0073】
なお、開判断部37は、上記の荷重センサに限定されず、ホームドア装置100の近傍の人を検出する赤外線センサや画像センサ等の検出結果に基づいてドア11が全閉位置から開方向に移動するか否かを判断してもよい。また、開判断部37は、ドア11が全閉位置から実際に開方向に移動したことが検出された場合に、ドア11が全閉位置から開方向に移動するか否かを判断してもよい。
【0074】
第3実施形態
以下、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0075】
第3実施形態の存在判断部33は、車両61がプラットホーム3aに隣接する他のプラットホーム3bとの間に設けられた他の軌道2bの他の所定区間内に存在しているか否かを判断する。以下、第3実施形態の具体的な処理を説明する。
【0076】
図9は、第3実施形態のホームドア制御部30の処理S300を示すフローチャートである。
図9のステップS301~S303、S305、S308~S311は、
図6のステップS101~S109と特に言及する点を除いて基本的に同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
ステップS301~S302を経て、ステップS303で車両61が軌道の所定区間内に存在していないと判断されると(ステップS303のN)、処理S300はステップS304に進む。
【0078】
ステップS304で、存在判断部33は、プラットホーム3aとプラットホーム3aに隣接する他のプラットホーム3bとの間に設けられた他の軌道2bの他の所定区間内に車両61が存在しているか否かを判断する。第3実施形態の記憶部36は、指令制御部52から他の軌道2bについての他の車両進入信号を取得したことに応答して他の軌道2bの状態を存在状態として登録し、指令制御部52から他の軌道2bについての他の車両進出信号を取得したことに応答して他の軌道2bの状態を不在状態として登録する。例えば、存在判断部33は、記憶部36に登録されている他の軌道2bの状態が存在状態である場合には、車両61が他の軌道2bの他の所定区間内に存在していると判断し、記憶部36に登録されている他の軌道2bの状態が不在状態である場合には車両61が他の軌道2bの他の所定区間内に存在していないと判断する。他の軌道2bの他の所定区間内に車両61が存在していない場合(ステップS304のN)、処理S300はステップS305に進み、駆動機構13が第1制御条件で制御される。他の軌道2bの他の所定区間内に車両61が存在している場合(ステップS304のY)、処理S300はステップS306に進む。
【0079】
ステップS306で、駆動制御部34は、駆動機構13を第2制御条件での制御として弱押付制御により制御する。弱押付制御は、ドア11の戸先を後述の強押付荷重よりも小さい弱押付荷重で対向物に押し付ける制御である。ステップS306の後、処理S300は終了する。
【0080】
ステップS307で、駆動制御部34は、駆動機構13を第2制御条件での制御として強押付制御に制御する。強押付制御は、ドア11の戸先を弱押付荷重よりも大きい強押付荷重で対向物に押し付ける制御である。ステップS307の後、処理S300は終了する。
【0081】
図1を再び参照する。プラットホーム3aに配置されたホームドア装置100のドア11は、プラットホーム3a側の軌道2aを車両61が通行することにより発生する振動だけではなく、他のプラットホーム3b側の他の軌道2bを車両61が通行することにより発生する振動によっても開方向に移動してしまう場合がある。
【0082】
第3実施形態では、駆動制御部34は、車両61が他の軌道2bの他の所定区間内に存在していると判断された場合には、車両61が軌道2aの所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、駆動機構13を第2制御条件で制御する。本構成によると、他のプラットホーム3b側の他の軌道2bを車両61が通行することにより発生する振動によりドア11が開方向に移動してしまうことを抑制できる。
【0083】
また、第3実施形態では、第2制御条件での制御は、強押付制御と、弱押付制御と、を含む。ここで、車両61が他の軌道2bの他の所定区間内に存在している場合であっても、車両61が軌道2aの所定区間内に存在していない場合には、車両61が軌道2aの所定区間内に存在している場合よりもドア11が受ける振動が小さいため、比較的小さい押付荷重でもドア11が全閉位置から開方向に移動することを適切に抑制できる。そのため、本構成によると、安全性を考慮しつつ、ホームドア装置100の待機消費電力を適切に削減できる。
【0084】
図10は、第3実施形態の変形例の総合制御盤50及びホームドア装置100の機能ブロック図である。本変形例の取得部31は、ホームドア装置100のドア11の振動度合いを検出する振動センサ42の検出結果を取得する。本変形例の駆動制御部34は、取得した振動度合いに基づいて強押付荷重及び弱押付荷重の少なくとも一方の大きさを決定する。例えば、駆動制御部34は、振動度合いが大きいほど、強押付荷重及び弱押付荷重の少なくとも一方を大きくする。ここで、ホームドア装置100と他の軌道2aとの間の距離やプラットホーム3の間に複数の列車が進行している場合などによってホームドア装置100が受ける振動が増減するため、振動に応じてドア11が開方向に移動しないようにするための最適な押付荷重も変化する。本変形例によると、振動度合いに応じて適切な押付荷重を用いることができるため、安全性を考慮しつつ、ホームドア装置100の待機消費電力を適切に削減できる。
【0085】
第3実施形態では、第2制御条件での制御は強押付制御及び弱押付制御を含んだが、これに限定されない。ステップS306及びS307のいずれも、同じ押付荷重の押付制御が用いられてもよい。
【0086】
第3実施形態では、他の軌道2bは、プラットホーム3aに隣接する他のプラットホーム3bに沿って設けられているものとしたが、これに限定されず、同一のプラットホーム3aにおいて軌道2aの乗降口Eとは反対側の乗降口Eに沿って設けられた軌道2であってもよい。
【0087】
第4実施形態
以下、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0088】
図11は、第4実施形態の総合制御盤50及びホームドア装置100の機能ブロック図である。第4実施形態のホームドア制御部30は、ホームドア装置100が設置されたプラットホーム3上の混雑度を推定し、混雑度が所定の基準以上であるか否かを判断する混雑度判断部38を備える。第4実施形態の取得部31は、全閉位置からのドア11の開方向の移動の発生のしやすさを示す情報として混雑度を取得する。第4実施形態の駆動制御部34は、混雑度が所定の基準以上である場合には、車両61が所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、駆動機構13を第2制御条件で制御する。以下、第4実施形態の具体的な処理を説明する。
【0089】
図12は、第4実施形態のホームドア制御部30の処理S400を示すフローチャートである。
図12のステップS401~S403、S405~S410は、
図6のステップS101~S109と特に言及する点を除いて基本的に同様であるため、その説明を省略する。
【0090】
ステップS401~S402を経て、ステップS403で車両61が軌道の所定区間内に存在していないと判断されると(ステップS403のN)、処理S400はステップS404に進む。
【0091】
ステップS404で、混雑度判断部38は、ホームドア装置100が設置されたプラットホーム3上の混雑度が所定の基準以上であるか否かを判定する。混雑度判断部38は、公知の手法を用いてプラットホーム3上の混雑度を推定する。例えば、混雑度判断部38は、駅のラッシュ時間帯においては混雑度を大きく推定する。また、例えば、混雑度判断部38は、プラットホーム3を監視するカメラの映像に基づいて、公知の画像認識手法を用いてプラットホーム3上にいる人数を推定することにより、混雑度を推定してもよい。混雑度が所定の基準以上ではない場合(ステップS404のN)、処理S400はステップS405に進み、駆動機構13が第1制御条件で制御される。混雑度が所定の基準以上である場合(ステップS404のY)、処理S400はステップS406に進み、駆動機構13が第2制御条件で制御される。
【0092】
このように、第4実施形態では、駆動制御部34は、混雑度が所定の基準以上と判断された場合には、車両61が所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、駆動機構13を第2制御条件で制御する。本構成によると、全閉位置からのドア11の開方向の移動が発生しやすい状況においては、第1制御条件ではなく第2制御条件で制御することにより安全性を適切に向上させることができる。
【0093】
第4実施形態では、全閉位置からのドア11の開方向の移動の発生のしやすさを示す情報として混雑度を挙げたが、これに限定されない。例えば、車両61の運行情報に基づいて算出した車両61の通行頻度などを全閉位置からのドア11の開方向の移動の発生のしやすさを示す情報としてもよい。
【0094】
第5実施形態
以下、本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0095】
図13は、第5実施形態の総合制御盤50及びホームドア装置100の機能ブロック図である。第5実施形態の取得部31は、ホームドア装置100のドア11の振動度合いを検出する振動センサ42の検出結果を取得する。第5実施形態の駆動制御部34は、取得した振動度合いに基づいて押付制御における押付荷重を決定する。以下、第5実施形態の具体的な処理を説明する。
【0096】
図14は、第5実施形態のホームドア制御部30の処理S500を示すフローチャートである。
図14のステップS501~S502、S506~S509は、
図6のステップS101~S102、S106~S109と特に言及する点を除いて基本的に同様であるため、その説明を省略する。
【0097】
ステップS501を経て、ステップS502でドア11が全閉位置にあると判断されると(ステップS502のY)、処理S500はステップS503に進む。
【0098】
ステップS503で、取得部31は、振動センサ42から、ドア11の振動情報を取得する。
【0099】
ステップS504で、駆動制御部34は、ドア11の振動度合いに基づいて押付制御における押付荷重を決定する。例えば、駆動制御部34は、振動度合いが大きいほど、押付荷重を大きくする。
【0100】
ステップS505で、駆動制御部34は、決定した押付荷重を用いて、駆動機構13を押付制御により制御する。ステップS505の後、処理S500は終了する。
【0101】
ここで、ホームドア装置100と他の軌道2aとの間の距離やプラットホーム3の間に複数の列車が進行している場合などによってホームドア装置100が受ける振動が増減するため、振動に応じてドア11が開方向に移動しないようにするための最適な押付荷重も変化する。第5実施形態によると、振動度合いに応じて適切な押付荷重を用いることができるため、安全性を考慮しつつ、ホームドア装置100の待機消費電力を適切に削減できる。
【0102】
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0103】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0104】
1 駅、 2 軌道、 3 プラットホーム、 5 プラットホームドアシステム、 10 戸袋、 11 扉、 13 駆動機構、 30 ホームドア制御部、 31 取得部、 32 位置判断部、 33 存在判断部、 34 駆動制御部、 35 送信部、 36 記憶部、 37 開判断部、 38 混雑度判断部、 100 ホームドア装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構と、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断する存在判断部と、
前記ドアが全閉位置から開方向に移動するか否かを判断する開判断部と、
前記駆動機構を制御する駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合には前記ドアの全閉位置において前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記車両が前記所定区間内に存在していると判断された場合には前記ドアの全閉位置において前記駆動機構を第2制御条件で制御し、
前記第1制御条件での制御は前記第2制御条件での制御よりも前記ドアの全閉位置での前記駆動機構の駆動に要する消費電力量が小さく、
前記駆動制御部は、前記ドアが全閉位置から開方向に移動すると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御する、
ホームドア装置。
【請求項2】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構と、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断する存在判断部と、
前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合には前記ドアの全閉位置において前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記車両が前記所定区間内に存在していると判断された場合には前記ドアの全閉位置において前記駆動機構を第2制御条件で制御し、
前記第1制御条件での制御は前記第2制御条件での制御よりも前記ドアの全閉位置での前記駆動機構の駆動に要する消費電力量が小さく、
前記存在判断部は前記車両が前記プラットホームと前記プラットホームに隣接する他のプラットホームとの間に設けられた他の軌道の他の所定区間内に存在しているか否かを判断し、
前記駆動制御部は、前記車両が前記他の所定区間内に存在していると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御する、
ホームドア装置。
【請求項3】
前記第1制御条件での制御は前記第2制御条件での制御よりも前記駆動機構が前記ドアを全閉位置に保持する力が小さい、
請求項1または2に記載のホームドア装置。
【請求項4】
前記第2制御条件での制御は前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御であり、
前記第1制御条件での制御は前記押付制御よりも押付荷重の小さい弱押付制御である、
請求項3に記載のホームドア装置。
【請求項5】
前記第2制御条件での制御は前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御であり、
前記第1制御条件での制御は前記ドアの戸先を対向物に押し付ける動作を間欠的に繰り返す間欠押付制御である
請求項1または2に記載のホームドア装置。
【請求項6】
前記第2制御条件での制御は前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御であり、
前記第1制御条件での制御は、前記駆動機構のモータのショートブレーキを作用させているショートブレーキ制御及び前記モータのロータをフリーランさせるフリーラン制御のうちのいずれかである、
請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項7】
前記第2制御条件での制御は、前記ドアの戸先を対向物に押し付ける押付制御と、前記ドアの戸先を前記押付制御の押付荷重よりも小さい弱押付荷重で対向物に押し付ける弱押付制御と、を含む、
請求項2に記載のホームドア装置。
【請求項8】
前記ドアの振動度合いを取得する振動取得部を備え、
前記駆動制御部は前記振動度合いに基づいて前記押付荷重及び前記弱押付荷重の少なくとも一方の大きさを決定する、
請求項7に記載のホームドア装置。
【請求項9】
前記全閉位置からの前記ドアの開方向の移動の発生のしやすさを示す情報を取得する取得部を備え、
前記駆動制御部は、前記発生のしやすさが所定の基準以上である場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御する、
請求項1または2に記載のホームドア装置。
【請求項10】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御する方法であって、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップと、
前記ドアが全閉位置から開方向に移動するか否かを判断するステップと、
前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記第1制御条件よりも前記駆動機構の駆動に要する消費電力が大きい第2制御条件で前記駆動機構を制御するステップと、
を含み、
前記制御するステップは、前記ドアが全閉位置から開方向に移動すると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御するステップを含む、
ホームドア制御方法。
【請求項11】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御する方法であって、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップと、
前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記第1制御条件よりも前記駆動機構の駆動に要する消費電力が大きい第2制御条件で前記駆動機構を制御するステップと、
を含み、
前記判断するステップは前記車両が前記プラットホームと前記プラットホームに隣接する他のプラットホームとの間に設けられた他の軌道の他の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップを含み、
前記制御するステップは、前記車両が前記他の所定区間内に存在していると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御するステップを含む、
ホームドア制御方法。
【請求項12】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御するためのホームドア制御プログラムであって、コンピュータに、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップと、
前記ドアが全閉位置から開方向に移動するか否かを判断するステップと、
前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記第1制御条件よりも前記駆動機構の駆動に要する消費電力が大きい第2制御条件で前記駆動機構を制御するステップと、
を実行させ、
前記制御するステップは、前記ドアが全閉位置から開方向に移動すると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御するステップを含む、
ホームドア制御プログラム。
【請求項13】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御するためのホームドア制御プログラムであって、コンピュータに、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップと、
前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断した場合には前記ドアの全閉位置で前記第1制御条件よりも前記駆動機構の駆動に要する消費電力が大きい第2制御条件で前記駆動機構を制御するステップと、
を実行させ、
前記判断するステップは前記車両が前記プラットホームと前記プラットホームに隣接する他のプラットホームとの間に設けられた他の軌道の他の所定区間内に存在しているか否かを判断するステップを含み、
前記制御するステップは、前記車両が前記他の所定区間内に存在していると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御するステップを含む、
ホームドア制御プログラム。
【請求項14】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御するホームドア制御装置であって、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断する存在判断部と、
前記ドアが全閉位置から開方向に移動するか否かを判断する開判断部と、
前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第2制御条件で制御し、
前記第1制御条件での制御は前記第2制御条件での制御よりも前記ドアの全閉位置での前記駆動機構の駆動に要する消費電力が小さく、
前記駆動制御部は、前記ドアが全閉位置から開方向に移動すると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御する、
ホームドア制御装置。
【請求項15】
プラットホーム上の乗降口を開閉するドアを駆動して前記乗降口を開閉させる駆動機構を備えるホームドア装置を制御するホームドア制御装置であって、
車両が前記プラットホームの前記乗降口に沿って設けられた軌道の所定区間内に存在しているか否かを判断する存在判断部と、
前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記所定区間内に前記車両が存在していないと判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第1制御条件で制御し、前記所定区間内に前記車両が存在していると判断された場合には前記ドアの全閉位置で前記駆動機構を第2制御条件で制御し、
前記第1制御条件での制御は前記第2制御条件での制御よりも前記ドアの全閉位置での前記駆動機構の駆動に要する消費電力が小さく、
前記存在判断部は前記車両が前記プラットホームと前記プラットホームに隣接する他のプラットホームとの間に設けられた他の軌道の他の所定区間内に存在しているか否かを判断し、
前記駆動制御部は、前記車両が前記他の所定区間内に存在していると判断された場合には、前記車両が前記所定区間内に存在していないと判断された場合であっても、前記駆動機構を前記第2制御条件で制御する、
ホームドア制御装置。