(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130905
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】天井搬送車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B65G1/04 551A
B65G1/04 551D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040859
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】可知 美胤
(72)【発明者】
【氏名】佐方 英次
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA05
3F022CC05
3F022JJ02
3F022JJ08
3F022KK11
3F022KK14
3F022MM13
(57)【要約】
【課題】昇降台を上昇させる際に、昇降台が揺動した場合でも、昇降台の上昇を確実に検知することができる天井搬送車を提供する。
【解決手段】本発明は、上方に敷設されたレール(6)に沿って走行する走行機体(2)と、この走行機体から昇降可能に吊り下げられた昇降台(4)と、を備えた天井搬送車(1)であって、走行機体の下側に、検知位置と非検知位置との間で移動可能に支持され、非検知位置に向けて付勢されている接触片(16)と、この接触片が検知位置に移動されたことを検知する検出センサ(18)と、昇降台の上側に設けられ、昇降台が所定の高さまで上昇すると、接触片と当接し、接触片を非検知位置から検知位置に移動させる当接部(20)と、を有することを特徴としている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に敷設されたレールに沿って走行する走行機体と、この走行機体から昇降可能に吊り下げられた昇降台と、を備えた天井搬送車であって、
上記走行機体の下側に、検知位置と非検知位置との間で移動可能に支持され、非検知位置に向けて付勢されている接触片と、
この接触片が検知位置に移動されたことを検知する検出センサと、
上記昇降台の上側に設けられ、上記昇降台が所定の高さまで上昇すると、上記接触片と当接し、上記接触片を非検知位置から検知位置に移動させる当接部と、
を有することを特徴とする天井搬送車。
【請求項2】
上記検出センサは、検出光が遮られることにより、上記接触片の検知位置への移動を検知する光電センサであり、上記接触片は、一端部が上記走行機体の下側に回動可能に支持され、他端部が上記検出センサの検出光を遮るように構成されている請求項1記載の天井搬送車。
【請求項3】
さらに、上記接触片の回動を所定の範囲に規制するストッパを有する請求項2記載の天井搬送車。
【請求項4】
上記当接部は、上記接触片が検知位置に移動される、上記昇降台の高さを微調整するための微調整機構を備えている請求項1乃至3の何れか1項に記載の天井搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井搬送車に関し、特に、上方に敷設されたレールに沿って走行する走行機体と、この走行機体から昇降可能に吊り下げられた昇降台と、を備えた天井搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-194118号公報(特許文献1)には、搬送システムが記載されている。この搬送システムは、天井に取り付けられたレールを走行する天井走行車を有し、この天井走行車は昇降可能に設けられた昇降台を備えている。昇降台は4本のベルトにより吊り下げられ、ベルトを繰り出すことにより昇降台が下降され、ベルトを巻き上げことにより昇降台が上昇される。また、天井走行車が荷物を持ち上げる場合には、持ち上げるべき荷物の位置まで昇降台を下降させ、荷物を支持する。次いで、荷物を支持した状態で昇降台を所定の高さまで上昇させ、荷物を支持した状態で天井走行車を搬送先まで走行させる。
【0003】
また、このような天井走行車において、昇降台が所定の高さまで上昇したことは、光電センサと遮蔽板を使用して検出することが行われている。即ち、昇降台の上部には遮蔽板が鉛直方向に向けて取り付けられており、天井走行車の本体部(天井走行部)には、遮蔽板に対応する位置に光電センサが取り付けられている。これにより、昇降台が所定の高さまで上昇すると、遮蔽板によって光電センサの光が遮られる。光電センサは発光部と受光部を備えており、遮蔽板が昇降台と共に上昇すると、発光部と受光部の間の隙間に遮蔽板が挿入され、発光部から射出された光が遮られ、受光部によって受光されなくなることにより、昇降台(遮蔽板)が所定の高さまで上昇したことが検知される。昇降台が所定の高さ(原点)まで上昇したことが検知されると、ベルトの巻き上げが停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、天井搬送車(天井走行車)においては、昇降台を上昇させる際に、昇降台が水平方向に揺動する場合がある。特に、昇降台の上昇をベルトの巻き上げによって行う場合には、昇降台が揺動しやすくなる。そして、上昇する昇降台の揺動が大きい場合には、昇降台側に取り付けられた遮蔽板の位置がずれてしまい、天井走行部側に取り付けられた光電センサによって、昇降台の上昇を検知できなくなるという問題が発生する。即ち、昇降台が揺動し、これに取り付けられた遮蔽板の位置がずれると、昇降台と共に上昇してきた遮蔽板が、天井走行部側に取り付けられた光電センサの発光部と受光部の間の隙間に挿入されず、昇降台の上昇が検知できなくなる。また、昇降台の揺動により遮蔽板の位置がずれると、遮蔽板が光電センサに衝突してしまい、光電センサを損傷する虞がある。
【0006】
本発明は、上記の技術課題を解決するために為されたものであり、昇降台を上昇させる際に、昇降台が揺動した場合でも、昇降台の上昇を確実に検知することができる天井搬送車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、上方に敷設されたレールに沿って走行する走行機体と、この走行機体から昇降可能に吊り下げられた昇降台と、を備えた天井搬送車であって、走行機体の下側に、検知位置と非検知位置との間で移動可能に支持され、非検知位置に向けて付勢されている接触片と、この接触片が検知位置に移動されたことを検知する検出センサと、昇降台の上側に設けられ、昇降台が所定の高さまで上昇すると、接触片と当接し、接触片を非検知位置から検知位置に移動させる当接部と、を有することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明によれば、走行機体の下側に設けられた接触片が、検知位置と非検知位置との間で移動可能に支持され、昇降台の上側に設けられた当接部が、昇降台が所定の高さまで上昇すると接触片を非検知位置から検知位置に移動させる。このため、昇降台が揺動した場合でも、接触片は検知位置に移動され、昇降台が所定の高さまで上昇したことを確実に検知することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、検出センサは、検出光が遮られることにより、接触片の検知位置への移動を検知する光電センサであり、接触片は、一端部が走行機体の下側に回動可能に支持され、他端部が検出センサの検出光を遮るように構成されている。
【0010】
このように構成された本発明によれば、接触片の一端部が回動可能に支持され、他端部が検出センサの検出光を遮るので、接触片の他端部は、上昇中の昇降台が揺動した場合でも常に同じ軌道で移動される。このため、接触片の他端部は検出センサの検出光を確実に遮ることができ、昇降台が所定の高さまで上昇したことを確実に検知することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、さらに、接触片の回動を所定の範囲に規制するストッパを有する。
【0012】
このように構成された本発明によれば、ストッパにより、接触片の回動が所定の範囲に規制されるので、接触片は、常に適正な範囲で回動されることとなり、接触片を確実に作動させることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、当接部は、接触片が検知位置に移動される、昇降台の高さを微調整するための微調整機構を備えている。
【0014】
このように構成された本発明によれば、微調整機構を備えているので、接触片が検知位置に移動されるときの昇降台の高さを微調整することができ、昇降台が上昇する高さを適正な高さに調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の天井搬送車によれば、昇降台を上昇させる際に、昇降台が揺動した場合でも、昇降台の上昇を確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態による天井搬送車全体を示す側面図である。
【
図2】本発明の実施形態による天井搬送車に備えられている走行機体の下部と、走行機体から吊り下げられている昇降台の上部を拡大して示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態による天井搬送車の昇降台が荷物を保持する手順を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による天井搬送車の昇降台が荷物を保持する手順を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による天井搬送車の昇降台が荷物を保持する手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による天井搬送車を説明する。
図1は、本発明の実施形態による天井搬送車全体を示す側面図である。
図2は、本発明の実施形態による天井搬送車に備えられている走行機体の下部と、走行機体から吊り下げられている昇降台の上部を拡大して示す側面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態による天井搬送車1は、上方に敷設されたレールに沿って走行する走行機体2と、この走行機体2から昇降可能に吊り下げられた昇降台4と、を有する。レール6は、天井搬送車1が設置されている建屋の天井Cから吊り下げられ、天井Cに沿って敷設されている。本実施形態の天井搬送車1は、走行機体2から昇降台4を下降させて下方にある荷物を載置又は保持し、その状態で荷物と共に昇降台4を上昇させる。次いで、走行機体2をレール6に沿って所定の場所まで走行させた後、昇降台4を下降させて荷物を目的とする地点に下ろすことにより、荷物を搬送するように構成されている。なお、本実施形態は、天井搬送車1を、建屋内における生タイヤTの搬送に使用した場合を例示しているが、プラスチックケースや、段ボール箱等、任意の荷物の搬送に、本発明の天井搬送車を適用することができる。
【0019】
走行機体2は、レール6に沿って走行する走行台車8と、この走行台車8の下側に取り付けられた天井走行部10と、を有する。
走行台車8は、4つの車輪8aを備え、C字形断面のレール6の内部に配置されて、レール6に沿って走行可能に構成されている。
【0020】
天井走行部10は、走行台車8の下側に吊り下げられるように取り付けられており、走行台車8と共にレール6に沿って走行するように構成されている。さらに、天井走行部10には昇降駆動部12が内蔵されており、この昇降駆動部12は走行機体2から吊り下げられた昇降台4を昇降させるように構成されている。
【0021】
具体的には、昇降駆動部12は、ベルト12aと、このベルト12aを巻き取り、送り出すためのプーリー(図示せず)と、このプーリーを駆動するためのモータ(図示せず)を備えている。なお、本実施形態において、昇降駆動部12には、4本のベルト12aが備えられており、プーリー(図示せず)を回転させて4本のベルト12aを同時に送り出すことにより、ベルト12aの先端に取り付けられた昇降台4を下降させることができる。また、プーリー(図示せず)を回転させて4本のベルト12aを同時に巻き取ることにより、ベルト12aの先端に取り付けられた昇降台4を上昇させることができる。なお、本実施形態においては、4本のベルト12aにより昇降台4を昇降させているが、3本のベルトで昇降台を昇降させるように本発明を構成することもできる。
【0022】
昇降台4は、4本のベルト12aにより天井走行部10から吊り下げられており、ベルト12aの巻き取り、送り出しにより昇降されるように構成されている。本実施形態において、昇降台4は、その下面に生タイヤTを保持可能に構成されている。本実施形態においては、昇降台4の下面に4本のL字形の支持部材4aが摺動可能に取り付けられており、これらの支持部材4aによって、昇降台4の下側に生タイヤTを保持することができる。
【0023】
具体的には、4本の支持部材4aは、L字形の水平部分が昇降台4下面の中心点から放射状に延びるように、中心角90度ずつ間隔を空けて昇降台4の下面に取り付けられている。また、各支持部材4aの鉛直部分の上端は、昇降台4の下面に摺動可能に取り付けられており、昇降台4下面の中心点に対して半径方向に移動することができる。生タイヤTを保持する際は、各支持部材4aの水平部分が生タイヤTの内側に入った状態で、各支持部材4aを半径方向外方に摺動させ、L字形の各支持部材4aの水平部分を、生タイヤTの内壁面に係合させる。これにより、昇降台4の下側に生タイヤTを保持することができる。
【0024】
なお、本実施形態において、昇降台4は、支持部材4aを備え、搬送すべき荷物である生タイヤTを昇降台4の下側に保持するように構成されているが、昇降台4は、荷物を載置するための単なる棚又はフレーム(図示せず)であっても良く、搬送すべき荷物に応じて任意の構成をとることができる。また、昇降台4を、棚又はフレームとして構成した場合には、荷物を移載するための移載装置(図示せず)を、昇降台4に設けることもできる。
【0025】
次に、
図2を参照して、本実施形態の天井搬送車1に備えられている原点検出機構を説明する。
図2に示すように、原点検出機構14は、走行機体2の下側に設けられた接触片16、及び検出センサである光電センサ18と、昇降台4の上側に設けられた当接部20と、を有する。
【0026】
接触片16は、走行機体2の天井走行部10の下側に、回動可能に支持された部材であり、
図2に実線で示された非検知位置と、想像線で示された検知位置の間で移動可能に構成されている。即ち、接触片16は、上方に向けてL字形に折り曲げられた部材であり、L字形の長辺の一端部が、水平方向に向けられた支持軸16aによって回動可能に支持されている。
【0027】
また、接触片16の下側には下ストッパ16bが設けられ、上側には上ストッパ16cが設けられている。これらのストッパである下ストッパ16b及び上ストッパ16cは、接触片16と当接して、接触片16が回動可能な角度範囲を規制するように、天井走行部10の下側に取り付けられている。即ち、接触片16の回動は、下ストッパ16bに当接する位置から、上ストッパ16cに当接する位置までの範囲に規制される。また、当接部20が接触片16に当接していない状態においては、接触片16は重力により下方に向けて回動され、下ストッパ16bに当接する。これにより、接触片16は、
図2に実線で示す非検知位置に位置する。即ち、接触片16は、重力により非検知位置に向けて付勢されている。
【0028】
光電センサ18は、天井走行部10の下部に設けられた検出センサであり、接触片16が検知位置に移動されたことを検知するように構成されている。即ち、光電センサ18には、互いに対向するように、発光部18aと受光部18bが内蔵されている。そして、接触片16が非検知位置にある状態では、発光部18aから射出された光が受光部18bによって検出される。
【0029】
また、光電センサ18の発光部18aと受光部18bの間には、所定の隙間Gが設けられている。そして、接触片16が
図2に想像線で示す検知位置に移動された状態では、接触片16の他端(接触片16の支持軸16aによって支持されていない方の端)が、隙間Gに挿入される。その結果、光電センサ18の発光部18aから受光部18bに向かう光軸Aが接触片16によって遮られ、発光部18aから射出された光が受光部18bによって受光されなくなる。これにより、光電センサ18は、接触片16が検知位置に移動されたことを検知することができる。
【0030】
当接部20は、昇降台4の上側に取り付けられた部材であり、昇降台4が所定の高さまで上昇すると、接触片16と当接し、接触片16を非検知位置から検知位置に移動させるように構成されている。即ち、当接部20は、昇降台4の上側の、接触片16に対応する位置に取り付けられたカム部材であり、4本のベルト12aにより昇降台4が吊り上げられると、昇降台4と共に上昇する。そして、昇降台4が所定の高さまで上昇すると、当接部20は、接触片16に当接して、接触片16を上方に向けて回動させる。さらに接触片16が回動されると、L字形の接触片16の短辺の先端(他端)が、光電センサ18の発光部18aと受光部18bの間の隙間Gに挿入される。このように、光電センサ18の発光部18aと受光部18bの間の光軸Aが接触片16により遮られると、光電センサ18は、接触片16が検知位置に移動されたことを検知し、ベルト12aによる昇降台4の巻き上げを停止させる。
【0031】
なお、当接部20の、接触片16に当接する部分は、十分な広さに構成されており、上昇中の昇降台4が水平方向に揺動された場合でも、当接部20が所定の高さまで上昇すれば、当接部20は確実に接触片16と当接し、接触片16を回動させる。また、本実施形態においては、当接部20により接触片16が押し上げられた場合でも、接触片16が上ストッパ16cに当接する前に、接触片16が検知位置に移動されたことが光電センサ18によって検知され、昇降台4の上昇が停止される。このため、通常の動作においては、接触片16は、上ストッパ16cに当接しない。しかしながら、何らかの原因で当接部20と接触片16が衝突し、接触片16が跳ね上げられた場合には、接触片16の上方への回動は上ストッパ16cにより規制される。これにより、光電センサ18に対する接触片16の接触が回避され、光電センサ18の損傷を防止することができる。
【0032】
また、
図2に示すように、当接部20は、複数のネジ20aにより昇降台4の筐体に固定されている。さらに、これらのネジ20aを通すために、当接部20に設けられた穴は、上下方向に長い長穴20bにされている。このため、昇降台4の筐体に対して当接部20を固定する高さは、長穴20bの上下方向の長さの範囲において微調整することが可能である。
【0033】
ここで、当接部20を昇降台4の筐体に対して高い位置に取り付けると、昇降台4が上昇して天井走行部10に接近する際、早期に当接部20が接触片16に当接し、接触片16は早期に検知位置に移動される。一方、当接部20を低い位置に取り付けると、当接部20が接触片16に当接するタイミングが遅くなり、接触片16が検知位置に移動されるのが遅くなる。このように、当接部20を昇降台4の筐体に固定する高さを調節することにより、接触片16が検知位置に移動される(接触片16の先端が光電センサ18の光軸Aを遮る)昇降台4の高さを微調整することができる。従って、当接部20の長穴20bは、接触片16が検知位置に移動される昇降台4の高さを微調整するための微調整機構として機能する。
【0034】
次に、
図3乃至
図5を新たに参照して、本発明の実施形態による天井搬送車1の作用を説明する。
図3乃至
図5は、本発明の実施形態による天井搬送車1の昇降台4が荷物を保持する手順を示す図である。
【0035】
まず、棚S上に載置されている荷物である生タイヤTを搬送するために、昇降台4に生タイヤTを保持する場合には、走行機体2を走行させ、走行台車8を保持すべき生タイヤTの真上に移動させる。次いで、走行台車8に備えられている昇降駆動部12からベルト12aを送り出し、
図3に示すように、昇降台4を生タイヤTに向けて降下させる。なお、この際、昇降台4の下面に設けられた4本の支持部材4aは、半径方向内方に移動させておく。この状態においては、L字型の各支持部材4aは昇降台4の中心に近づいているため、各支持部材4aの先端と生タイヤTの内周縁は係合せず、昇降台4を降下させることにより各支持部材4aの先端が生タイヤTの内側に進入する。
【0036】
次に、
図4に示すように、各支持部材4aの先端が生タイヤTの内側に進入した状態で、各支持部材4aを半径方向外方に摺動させる。これにより、各支持部材4aの水平部分と、生タイヤTの内壁面が係合するようになる。この状態で、昇降駆動部12によりベルト12aを巻き取ると、
図5に示すように、昇降台4が上昇すると共に、昇降台4の各支持部材4aと係合している生タイヤTも棚Sから持ち上げられる。
【0037】
昇降台4を更に上昇させると、
図2に示すように、昇降台4の上面と、天井走行部10の下面が近づく。そして、昇降台4が所定の高さまで上昇すると、昇降台4の上側に設けられた当接部20と、天井走行部10(走行機体2)の下側に取り付けられた接触片16が当接する。ここで、当接部20の当接面は十分な広さに構成されているため、上昇している昇降台4が水平方向に揺動している場合でも、当接部20は確実に接触片16に当接し、接触片16を押し上げる。これにより、接触片16は、支持軸16aを中心に、非検知位置から上方に向けて回動され、検知位置へ移動される(
図2の想像線)。接触片16が検知位置へ移動されると、発光部18aから射出され、受光部18bへ向かう光の光軸Aが遮られ、光電センサ18は、接触片16が検知位置へ移動されたことを検知する。
【0038】
接触片16の検知位置への移動が光電センサ18により検知されると、天井走行部10に内蔵された制御部(図示せず)は、昇降駆動部12(
図1)のモータ(図示せず)を停止させる。これにより、プーリー(図示せず)によるベルト12aを巻き上げが停止され、昇降台4の上昇が停止する。
【0039】
次いで、生タイヤTを昇降台4に保持した状態で、天井搬送車1を目的とする搬送先まで走行させ、ベルト12aを送り出して、昇降台4を降下させる。生タイヤTが搬送先に載置された後、昇降台4の各支持部材4aを半径方向内方に摺動させ、各支持部材4aと生タイヤTの係合を解除させる。この状態で、昇降台4を原点(接触片16が検知位置へ移動される高さ)まで上昇させ、1回の搬送が終了する。
【0040】
本発明の実施形態の天井搬送車1によれば、走行機体2の下側に設けられた接触片16が、検知位置と非検知位置との間で移動可能に支持され、昇降台4の上側に設けられた当接部20が、昇降台4が所定の高さまで上昇すると接触片を非検知位置から検知位置に移動させる。このため、昇降台4が揺動した場合でも、接触片16は検知位置に移動され、昇降台4が所定の高さまで上昇したことを確実に検知することができる。
【0041】
また、本実施形態の天井搬送車1によれば、接触片16の一端部が回動可能に支持され、他端部が検出センサである光電センサ18の検出光を遮るので、接触片16の他端部は、上昇中の昇降台4が揺動した場合でも常に同じ軌道で移動される。このため、接触片16の他端部は光電センサ18の検出光を確実に遮ることができ、昇降台4が所定の高さまで上昇したことを確実に検知することができる。
【0042】
さらに、本実施形態の天井搬送車1によれば、ストッパである下ストッパ16b及び上ストッパ16cにより、接触片16の回動が所定の範囲に規制されるので、接触片16は、常に適正な範囲で回動されることとなり、接触片16を確実に作動させることができる。
【0043】
また、本実施形態の天井搬送車1によれば、当接部20が微調整機構(長穴20b)を備えているので、接触片16が検知位置に移動されるときの昇降台4の高さを微調整することができ、昇降台4が上昇する高さを適正な高さに調整することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態の天井搬送車1を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。例えば、上述した実施形態においては、天井走行部10の筐体に部材を取り付け、これを当接部20としていたが、当接部として特別な部材を取り付けることなく、天井走行部10の筐体自体を当接部とすることもできる。
【0045】
また、上述した実施形態においては、接触片16は、走行機体2の天井走行部10に支持軸16aを中心に回動可能に取り付けられていたが、接触片は、上下方向に摺動可能に支持された部材であっても良い。さらに、上述した実施形態においては、接触片16は、自重により、非検知位置に向けて付勢されていたが、接触片を非検知位置に向けて付勢するためのバネや、弾性部材を設けることもできる。また、上述した実施形態においては、接触片16の検知位置への移動を、光電センサ18により検知していたが、接触片が検知位置に移動されたことを検知する検出センサとして、タッチセンサや、リミットスイッチ等、種々のセンサを使用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 天井搬送車
2 走行機体
4 昇降台
4a 支持部材
6 レール
8 走行台車
8a 車輪
10 天井走行部
12 昇降駆動部
12a ベルト
14 原点検出機構
16 接触片
16a 支持軸
16b 下ストッパ(ストッパ)
16c 上ストッパ(ストッパ)
18 光電センサ(検出センサ)
18a 発光部
18b 受光部
20 当接部
20a ネジ
20b 長穴(微調整機構)