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特開2024-130911比重選別装置およびこれを備えた焼却灰処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130911
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】比重選別装置およびこれを備えた焼却灰処理システム
(51)【国際特許分類】
   B07B 4/08 20060101AFI20240920BHJP
   B03C 7/04 20060101ALI20240920BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B07B4/08 Z
B03C7/04
B09B5/00 N ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040869
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】作野 崚哉
(72)【発明者】
【氏名】柁山 航介
(72)【発明者】
【氏名】福本 康二
【テーマコード(参考)】
4D004
4D021
4D054
【Fターム(参考)】
4D004AA36
4D004CA07
4D004CA09
4D004CA12
4D004CA34
4D004CA50
4D004CB47
4D021FA09
4D021GA02
4D021GA08
4D021GA12
4D021GA21
4D021GA23
4D021GA30
4D021GB02
4D021HA10
4D054GA01
4D054GA09
4D054GB05
4D054GB09
(57)【要約】
【課題】 廃棄物の焼却灰に含まれる低比重粒子と高比重粒子とを選別する選別精度の向上を図ることができる比重選別装置およびこれを備えた焼却灰処理システムを提供する。
【解決手段】 比重選別装置5Aは、廃棄物の焼却灰が供給され、傾斜して配置された通気性を有する振動板52と、振動板52の下面側から上面側に向かう空気を供給する送風機62と、振動板52を振動させる振動装置53と、振動板52の上方において、振動板52とは逆方向に傾斜して振動板の傾斜方向に並んで配置された複数の電極板63a~63cと、樋形状を有し、樋形状の内側面が、隣合う電極板のうちの振動板52の低い位置側に配置された電極板の傾斜方向における低い位置側の端縁と間隔を空けてかつ当該端縁に沿って配置された補助電極65と、振動板52および補助電極65が正極となり電極板63a~63cが負極となるように直流電圧を印加する直流電源64と、を備えている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径が所定範囲内に揃えられた廃棄物の焼却灰が供給され、傾斜して配置された通気性を有する振動板と、
前記振動板を通過して前記振動板の下面側から上面側に向かう空気を供給する送風機と、
前記振動板を前記振動板の傾斜角度よりも大きな傾斜角度に沿う方向に振動させる振動装置と、
前記振動板の上方において、前記振動板の傾斜角度以上の傾斜角度で前記振動板とは逆方向に傾斜して前記振動板の傾斜方向に並んで配置された複数の電極板と、
前記振動板の傾斜方向に隣合う前記電極板のうちの前記振動板の高い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における高い位置側の電極板端縁の下方に配置されており、樋形状を有し、前記樋形状の内側面が、前記隣合う前記電極板のうちの前記振動板の低い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁と間隔を空けてかつ当該端縁に沿って配置された補助電極と、
前記振動板および前記補助電極が正極となり前記電極板が負極となるように、前記振動板および前記補助電極と前記電極板との間に直流電圧を印加する直流電源と、
を備えた比重選別装置。
【請求項2】
前記振動板の傾斜方向に隣合う前記電極板のうちの前記振動板の高い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と、前記隣合う前記電極板のうちの前記振動板の低い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁との間に設置され、空気の流通を阻止する通流阻止体を、
さらに備えた請求項1に記載の比重選別装置。
【請求項3】
粒径が所定範囲内に揃えられた廃棄物の焼却灰が供給され、傾斜して配置された通気性を有する振動板と、
前記振動板を通過して前記振動板の下面側から上面側に向かう空気を供給する送風機と、
前記振動板を前記振動板の傾斜角度よりも大きな傾斜角度に沿う方向に振動させる振動装置と、
前記振動板の上方において、前記振動板の傾斜角度以上の傾斜角度で前記振動板とは逆方向に傾斜して前記振動板の傾斜方向に並んで配置された複数の電極板と、
前記振動板が正極となり前記電極板が負極となるように、前記振動板と前記電極板との間に直流電圧を印加する直流電源と、
前記振動板の傾斜方向に隣合う前記電極板のうちの前記振動板の高い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と、前記隣合う前記電極板のうちの前記振動板の低い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁との間に設置され、空気の流通を阻止する通流阻止体と、
を備えた比重選別装置。
【請求項4】
廃棄物を焼却する焼却炉から排出されて粒径が所定範囲内に揃えられた焼却灰が供給される請求項1~3のいずれかに記載の比重選別装置と、
炭酸化処理装置と、
を備え、
前記比重選別装置は、
振動板に供給される焼却灰を、比重の大きい高比重粒子を主な構成要素とする高比重選別灰と比重の小さい低比重粒子を主な構成要素とする低比重選別灰とに選別して前記振動板から排出させ、
前記炭酸化処理装置は、
前記比重選別装置の前記振動板から排出される低比重選別灰に、前記焼却炉から排出され浄化処理された排ガスを接触させて、前記低比重選別灰の炭酸化を行う、
焼却灰処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃棄物の焼却灰の選別に用いられる比重選別装置およびこれを備えた焼却灰処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市ごみなどの廃棄物は焼却炉で焼却され、焼却によって生じる焼却灰は最終処分場に埋立処分されていた。
【0003】
近年、焼却灰から金属を回収してリサイクルしたり、金属が除去された焼却灰を土木資材等に有効利用する試みがなされている。これにより、最終処分場への焼却灰の搬入量を低減し、最終処分場の延命化を図ることもできる。
【0004】
特許文献1には、一定の粒径に分級された粒子群からなる焼却灰が乾式比重選別機によって比重選別され、比重の小さい軽量灰が回収されるとともに、比重の大きい重量灰が回収されることにより、鉛の含有量を低減させた軽量灰が選別されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-140556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の乾式比重選別機によって回収される軽量灰には、少量ではあるが鉛のような比重の大きい高比重粒子が含まれ、重量灰には、少量ではあるが比重の小さい低比重粒子が含まれる。このように、焼却灰に含まれる高比重粒子と低比重粒子とを完全に分離して選別することはできず、選別精度の向上を図る上で、改善の余地がある。
【0007】
本開示は上記のような課題を解決するためになされたもので、廃棄物の焼却灰に含まれる低比重粒子と高比重粒子とを選別する選別精度の向上を図ることができる比重選別装置およびこれを備えた焼却灰処理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示のある態様に係る比重選別装置は、粒径が所定範囲内に揃えられた廃棄物の焼却灰が供給され、傾斜して配置された通気性を有する振動板と、前記振動板を通過して前記振動板の下面側から上面側に向かう空気を供給する送風機と、前記振動板を前記振動板の傾斜角度よりも大きな傾斜角度に沿う方向に振動させる振動装置と、前記振動板の上方において、前記振動板の傾斜角度以上の傾斜角度で前記振動板とは逆方向に傾斜して前記振動板の傾斜方向に並んで配置された複数の電極板と、前記振動板の傾斜方向に隣合う前記電極板のうちの前記振動板の高い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における高い位置側の電極板端縁の下方に配置されており、樋形状を有し、前記樋形状の内側面が、前記隣合う前記電極板のうちの前記振動板の低い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁と間隔を空けてかつ当該端縁に沿って配置された補助電極と、前記振動板および前記補助電極が正極となり前記電極板が負極となるように、前記振動板および前記補助電極と前記電極板との間に直流電圧を印加する直流電源と、を備えている。
【0009】
本開示の他の態様に係る比重選別装置は、粒径が所定範囲内に揃えられた廃棄物の焼却灰が供給され、傾斜して配置された通気性を有する振動板と、前記振動板を通過して前記振動板の下面側から上面側に向かう空気を供給する送風機と、前記振動板を前記振動板の傾斜角度よりも大きな傾斜角度に沿う方向に振動させる振動装置と、前記振動板の上方において、前記振動板の傾斜角度以上の傾斜角度で前記振動板とは逆方向に傾斜して前記振動板の傾斜方向に並んで配置された複数の電極板と、前記振動板が正極となり前記電極板が負極となるように、前記振動板と前記電極板との間に直流電圧を印加する直流電源と、前記振動板の傾斜方向に隣合う前記電極板のうちの前記振動板の高い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と、前記隣合う前記電極板のうちの前記振動板の低い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁との間に設置され、空気の流通を阻止する通流阻止体と、を備えている。
【0010】
また、本開示のある態様に係る焼却灰処理システムは、廃棄物を焼却する焼却炉から排出されて粒径が所定範囲内に揃えられた焼却灰が供給される上記の比重選別装置と、炭酸化処理装置と、を備え、前記比重選別装置は、振動板に供給される焼却灰を、比重の大きい高比重粒子を主な構成要素とする高比重選別灰と比重の小さい低比重粒子を主な構成要素とする低比重選別灰とに選別して前記振動板から排出させ、前記炭酸化処理装置は、前記比重選別装置の前記振動板から排出される低比重選別灰に、前記焼却炉から排出され浄化処理された排ガスを接触させて、前記低比重選別灰の炭酸化を行う。
【発明の効果】
【0011】
本開示は、以上に説明した構成を有し、廃棄物の焼却灰に含まれる低比重粒子と高比重粒子とを選別する選別精度の向上を図ることができる比重選別装置およびこれを備えた焼却灰処理システムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態の焼却灰処理システム及びその関連設備の一例の概略構成を示す図である。
図2図2は、第1構成例の比重選別装置及び炭酸化処理装置の一例を示す模式図である。
図3図3は、第1構成例の比重選別装置の選別装置本体を正面から見た図である。
図4図4は、比較例の比重選別装置の選別装置本体を示す模式図である。
図5図5は、電極板、補助電極、通流阻止体、電極板カバーおよび補助電極カバー等を有する電極部構造の一例を示す図である。
図6図6は、図5におけるI-I断面図である。
図7図7は、第2構成例の比重選別装置の一部を示す斜視図である。
図8図8は、図7におけるII-II断面における要部等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0014】
(実施形態)
図1は、本実施形態の焼却灰処理システム及びその関連設備の一例の概略構成を示す図である。
【0015】
図1では、焼却灰処理システムASの関連設備として焼却プラントBSが示されている。焼却プラントBSは、廃棄物を焼却する焼却炉7と、ボイラ8と、タービン9と、発電機10と、排ガス処理設備としての集じん器11、ブロア12及び煙突13とを備えている。
【0016】
焼却炉7は、主燃焼室7A、再燃焼室7B、ホッパ71、給じん機72及び複数のストーカ73を有するストーカ式の焼却炉である。ホッパ71に投入された廃棄物は、給じん機72によって主燃焼室7Aへ送り込まれ、ストーカ73上で乾燥して着火し燃焼する。燃焼後に残った主灰mは排出シュート74から排出される。この主灰mとストーカ73から落下する落じん灰nとが、焼却灰搬送装置1へ供給される。主燃焼室7Aの燃焼排ガスは、再燃焼室7Bで完全燃焼する。
【0017】
ボイラ8は、再燃焼室7Bの上方に配置された第1煙道81と、第1煙道81と連通する第2煙道82と、第2煙道82と連通し過熱器84が配置された第3煙道83とを有する。ボイラ8では、第1~第3煙道81~83を通過する排ガスから熱回収して水蒸気を生成するよう構成されている。この生成された水蒸気は、発電機10と連結されたタービン9に送られて発電に利用される。また、ボイラ8を通過した排ガスは、集じん器11で浄化処理された後、ブロア12を介して煙突13から大気中へ放出される。
【0018】
また、本実施形態では、集じん器11を通過した一部の排ガスG1は、ブロア14を介して炭酸化処理装置6へ供給され、さらに炭酸化処理装置6を通過した排ガスG2は、ブロア12を介して煙突13から大気中へ放出される。
【0019】
焼却灰処理システムASは、焼却灰搬送装置1と、振動コンベア2と、吊下げ磁選機3と、分級装置4と、比重選別装置5と、炭酸化処理装置6とを備えている。
【0020】
焼却灰搬送装置1は、金網ベルトコンベアの下方から空冷用の空気gが供給されるよう構成された乾式コンベアである。焼却灰搬送装置1は、焼却炉7から排出される落じん灰n及び主灰mからなる焼却灰Pを搬送して振動コンベア2へ供給する。
【0021】
振動コンベア2へ供給された焼却灰Pは、振動コンベア2によって搬送されながら、吊下げ磁選機3の下方を通過するときに鉄分等の磁性物が除去されて、分級装置4へ供給される。
【0022】
分級装置4は、例えば振動ふるい機で構成することができる。分級装置4によって、粒径が所定範囲内に揃えられた焼却灰が比重選別装置5に供給される。粒径が所定範囲外の焼却灰は別途処理される。
【0023】
比重選別装置5では、供給された焼却灰を高比重選別灰と低比重選別灰とに選別し、低比重選別灰が炭酸化処理装置6に供給される。ここで、高比重選別灰とは、比重の大きい粒子である高比重粒子を主な構成要素とする焼却灰であり、低比重選別灰とは、比重の小さい粒子である低比重粒子を主な構成要素とする焼却灰である。
【0024】
〔第1構成例〕
図2は、図1の比重選別装置5の第1構成例及び炭酸化処理装置6の一例を示す模式図である。図2に示す第1構成例の比重選別装置5Aは、選別装置本体15Aと集塵装置93とを有する。
【0025】
選別装置本体15Aは、箱状の振動板保持ケース51を有する。振動板保持ケース51は、上面が開口され、この開口部に通気性を有する金属製の振動板52が配置されている。振動板保持ケース51は、矢印x方向(以下、「長手方向x」ともいう)に長い略直方体形状であり、振動板52は上方から見て矢印x方向に長い長方形状である。振動板保持ケース51の長手方向xの一端側の上端には排出シュート54が設置され、他端側の上端には排出シュート55が設置されている。また、振動板保持ケース51の幅方向両側の各側面51sには、振動装置53が固定されている。振動板保持ケース51の幅方向は、長手方向xと直交する水平方向である。
【0026】
振動板52は、これの長手方向の一端52aが他端52bよりも高くなるように、水平面100に対して傾斜角度αをもって振動板保持ケース51に取り付けられている。分級装置4から供給される焼却灰の供給口50が、焼却灰が振動板52の中央部分に供給されるように設置されている。振動板52は、送風機62から供給される空気が通過し、かつ、供給口50から供給される焼却灰が落下しない大きさの無数の小孔が設けられている。このような振動板52は、例えば、目開きが数十μm程度の金網で構成することができる。なお、各排出シュート54、55の幅方向両側には焼却灰の落下防止用のガイド板が設置されていてもよい。
【0027】
振動装置53は、振動モータ等で構成され、振動板保持ケース51を矢印S1方向に所定の周期及び振幅で振動させる。これにより、振動板保持ケース51に固定された振動板52も矢印S1方向に振動させられる。振動装置53による振動方向である矢印S1方向は、水平面100に対して振動板52の傾斜角度αよりも大きな傾斜角度γに沿う方向である。
【0028】
振動板保持ケース51は、その底面の4隅の近傍に取り付けられた4個のばね56、57によって弾性支持されている。振動板保持ケース51の排出シュート54側の底面に2個のばね56が配置され、振動板保持ケース51の排出シュート55側の底面に2個のばね57が配置されている。
【0029】
排出シュート54側の2個のばね56は、その上端が振動板保持ケース51の底面に固定され、下端がばね取付板58に固定されている。ばね取付板58は、昇降装置59の上端に固定されている。昇降装置59は、台座60上に設置され、ばね取付板58を昇降可能である。昇降装置59は、例えば、油圧シリンダを有するジャッキ等で構成してもよい。
【0030】
また、排出シュート55側の2個のばね57は、その上端が振動板保持ケース51の底面に固定され、下端が台座60に固定されている。台座60内には、送風機62が設置されている。振動板保持ケース51と台座60との間には可とう管61が設置され、送風機62からの空気が可とう管61を介して振動板保持ケース51内へ供給される。この送風機62から供給される空気が破線矢印S2で示すように振動板52の全面から均一に吹き上げられるように、振動板保持ケース51内で空気流が調整されるようになっている。
【0031】
なお、図2の構成に限らず、振動板52及び振動板保持ケース51が傾斜した状態で弾性支持されて、振動装置53によって矢印S1方向に振動可能に構成されていればよい。
【0032】
振動板保持ケース51の上方には、振動板保持ケース51と隙間を開けて電極板保持ケース91が配置されている。電極板保持ケース91は、適宜の部材を用いて固定されている。電極板保持ケース91は、下面が開口し、複数の電極板63a、63b、63cを内部に保持し、上部に排気口92を有している。電極板保持ケース91の下面の開口は、下方に配置される振動板52の形状に応じて設計された長方形状である。電極板保持ケース91は、上面および下面が長方形状に開口された直方体状の下部ケース91aと、下部ケース91a上に連結されて上部に排気口92を有する山型部分91bとを有する。下部ケース91aは絶縁性樹脂で構成されており、下部ケース91aの内部に電極板63a、63b、63cが保持されている。
【0033】
図3は、第1構成例の比重選別装置5Aの選別装置本体15Aを正面から見た図である。図2には図示されていないが、図3に示すように、電極板保持ケース91の幅方向の両側の各側面91sと振動板保持ケース51の幅方向の両側の各側面51sとの間の隙間を囲うシールド97が、側面91sと側面51sとに固定されている。電極板保持ケース91が固定された状態で、振動板保持ケース51が振動するため、シールド97は、柔軟性を有する絶縁性樹脂で構成され、側面91sと側面51sとの間でゆるみを持った状態で固定されている。このようなシールド97を備えたことにより、電極板保持ケース91の側面91sと振動板保持ケース51の側面51sとの隙間から、灰がこぼれ落ちるのを防止できるとともに粉塵が外部へ飛散するのを防止できる。なお、図2に示す焼却灰の供給口50は、電極板保持ケース91の一方の側面91sを貫通して、焼却灰が振動板52の中央部分に供給されるように設置されている。
【0034】
電極板保持ケース91の排気口92は、配管を介して集塵装置93に接続されている。集塵装置93は、フィルタ94、ブロア95および排出装置96を備えている。この集塵装置93では、ブロア95の吸引力によって電極板保持ケース91内の空気を吸引し、フィルタ94によって吸引した空気から粉塵を捕集し、粉塵が除去された空気をブロア95から外部へ排出する。また、フィルタ94で捕集されてフィルタ94内に貯蔵されている粉塵は、例えば定期的に排出装置96を駆動させることにより炭酸化処理装置6の供給口612へ供給される。排出装置96は、例えばロータリバルブで構成することができる。
【0035】
電極板保持ケース91の内部に保持された複数の電極板63a~63cは、振動板52の長手方向(矢印x方向)に並んで設置されている。ここでは、電極板が3つの場合を例示しているが、2つ以上であればよい。
【0036】
電極板63a~63cの各々は、水平面100に対して振動板52とは逆方向に傾斜して配置され、各々の傾斜角度βの大きさは、振動板52の傾斜角度αと同等以上の大きさである。なお、電極板63a~63cの各々の傾斜角度βは、必ずしも同一角度でなくてもよい。また、全ての電極板63a~63cの傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と振動板52との距離が所定距離L以内となるように配置されている。なお、電極板端縁とは、電極板の端縁である。
【0037】
また、電極板63a、63bの各々に対して樋形状を有する補助電極65が配置されている。本例では、樋形状として、断面が半円形のものが例示されているが、これに限らず、断面がU字型であってもよいし、多角形の一部の形状であってもよい。
【0038】
図2において、左側の補助電極65は、振動板52の傾斜方向に隣合う電極板63a、63bのうちの振動板52の高い位置側に配置された電極板63bの傾斜方向における高い位置側の電極板端縁の下方に配置されている。また、この左側の補助電極65は、樋形状の内側面が、隣合う電極板63a、63bのうちの振動板52の低い位置側に配置された電極板63aの傾斜方向における低い位置側の電極板端縁と間隔を空けてかつ当該端縁に沿って配置されている。
【0039】
また、図2において、右側の補助電極65は、振動板52の傾斜方向に隣合う電極板63b、63cのうちの振動板52の高い位置側に配置された電極板63cの傾斜方向における高い位置側の電極板端縁の下方に配置されている。また、この右側の補助電極65は、樋形状の内側面が、隣合う電極板63b、63cのうちの振動板52の低い位置側に配置された電極板63bの傾斜方向における低い位置側の電極板端縁と間隔を空けてかつ当該端縁に沿って配置されている。
【0040】
そして、振動板52および補助電極65が正極となり、電極板63a、63b、63cが負極となるように直流電圧を印加する直流電源64が備えられている。電極板63a、63b、63cの傾斜方向における低い位置側の電極板端縁と振動板52との距離が、電極板63a、63b、63cの傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と振動板52との距離よりも短い。よって、直流電源64によって直流電圧が印加されたとき、電極板63a、63b、63cの傾斜方向における低い位置側の電極板端縁と振動板52との間の電界強度は、電極板63a、63b、63cの傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と振動板52との間の電界強度よりも強い。
【0041】
また、電極板63a、63b、63cの各々は、電極板カバーC2によって被覆されている。電極板カバーC2は、少なくとも一端が閉口され、内部に電極板が配置される筒状の絶縁体からなり、例えば、絶縁性樹脂で形成されている。そして、閉口された一端が電極板の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁と隣接するように電極板が内部に配置されている。なお、本例では筒状の電極板カバーC2の両端が閉口されている。これにより、粉塵が電極板カバーC2内に入るのを防止できる。
【0042】
また、補助電極65は、補助電極カバーC3によって被覆されている。補助電極カバーC3は、補助電極65の周囲を覆う絶縁体からなり、例えば、絶縁性樹脂で形成されている。
【0043】
また、振動板52の傾斜方向に隣合う電極板63a、63bの間、及び、振動板52の傾斜方向に隣合う電極板63b、63cの間には、空気の流通を阻止する通流阻止体C1が設置されている。通流阻止体C1は、絶縁体からなり、例えば、絶縁性樹脂で形成されている。
【0044】
図2において、左側の通流阻止体C1は、隣合う電極板63a、63bのうちの振動板52の高い位置側に配置された電極板63bの傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と、上記隣合う電極板63a、63bのうちの振動板52の低い位置側に配置された電極板63aの傾斜方向における低い位置側の電極板端縁との間に設置されている。本例では、左側の通流阻止体C1は、電極板63aの電極板カバーC2と電極板63bの電極板カバーC2との隙間を塞ぐように、2つの電極板カバーC2の間に固定されている。
【0045】
また、図2において、右側の通流阻止体C1は、隣合う電極板63b、63cのうちの振動板52の高い位置側に配置された電極板63cの傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と、上記隣合う電極板63b、63cのうちの振動板52の低い位置側に配置された電極板63bの傾斜方向における低い位置側の電極板端縁との間に設置されている。本例では、右側の通流阻止体C1は、電極板63bの電極板カバーC2と電極板63cの電極板カバーC2との隙間を塞ぐように、2つの電極板カバーC2の間に固定されている。
【0046】
この比重選別装置5Aでは、分級装置4から振動板52の中央部に供給される焼却灰が、図中の黒丸で示された高比重粒子を主な構成要素とする高比重選別灰と、図中の白丸で示された低比重粒子を主な構成要素とする低比重選別灰とに選別される。ここで、高比重選別灰は、振動板52上を振動板52の一端52aに向かう方向へ移動して排出シュート54から排出され、例えば容器101に貯留される。低比重選別灰は振動板52上を振動板52の他端52bに向かう方向へ移動して排出シュート55から排出され、炭酸化処理装置6の供給口612に供給される。なお、図2では、比重選別装置5Aから排出される低比重選別灰が炭酸化処理装置6へ直接供給されるように構成しているが、比重選別装置5Aから排出される低比重選別灰が搬送装置を介して炭酸化処理装置6へ供給されるように構成してもよい。
【0047】
比重選別装置5Aにおける高比重粒子と低比重粒子との選別原理について説明する。供給口50から供給される焼却灰には、高比重粒子としてCu,Pb等の重金属が含まれ、低比重粒子としてSi,Ca,Al等が含まれる。
【0048】
高比重粒子は、振動板52の振動によって、排出シュート54の方向へ移動して排出シュート54から排出される。一方、低比重粒子は、振動板52の下から吹き上がる空気によって浮遊し、振動板52の振動による影響をほとんど受けずに、重力によって振動板52の低い方向へ移動し、排出シュート55から排出される。
【0049】
さらに、本例では、直流電源64によって振動板52と電極板63a、63b、63cとの間に直流電圧が印加されることにより、振動板52と電極板63a、63b、63cとの間に、振動板52から電極板63a、63b、63cへ向かう方向の電界が生じる。これにより、高比重粒子に含まれる電気伝導度の高い金属分(Cu,Pb等)が正に帯電し、高比重粒子には電極板63a、63b、63cへ向かう力(例えば矢印S3方向の力)が作用する。よって、正に帯電した高比重粒子の排出シュート54の方向への移動をアシストすることができる。したがって、高比重粒子が振動板52の傾斜によって排出シュート55の方向へ移動するのを防ぎ、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量を低減し、低比重粒子と高比重粒子とを選別する選別精度の向上を図ることができる。
【0050】
なお、実際は、比重選別装置5Aにおいて、図2のように高比重粒子と低比重粒子とを完全に分離して選別できるわけではない。つまり、排出シュート54から排出される高比重選別灰は、高比重粒子を主な構成要素とするが低比重粒子を少量含む。また、排出シュート55から排出される低比重選別灰は、低比重粒子を主な構成要素とするが、Pb等の高比重粒子を少量含む。
【0051】
また、送風機62によって振動板52の下から供給された空気は、電極板保持ケース91の内部を通って排気口92から集塵装置93のフィルタ94へ送られる。フィルタ94では空気から粉塵を捕集し、粉塵が除去された空気はブロア95から外部へ排出される。このように集塵装置93によって粉塵が捕集されるので、粉塵が外部へ飛散するのを防止できる。また、フィルタ94で捕集されて貯蔵されている粉塵は、排出装置96によって例えば定期的に炭酸化処理装置6の供給口612へ供給される。なお、捕集された粉塵において、鉛等の金属濃度が高い場合には、破線矢印S5で示すように、粉塵を排出装置96から炭酸化処理装置6へ供給しないで、排出装置96から分級装置4によって分離された粒径が所定範囲外の焼却灰と一緒になるように粉塵を排出し、別途処理されてもよい。
【0052】
次に、炭酸化処理装置6について説明する。炭酸化処理装置6は、低比重選別灰の炭酸化を行う装置であり、低比重選別灰に含まれる鉛(Pb)及びカルシウム(Ca)等の炭酸化を促進する。この炭酸化処理装置6は、例えば、スクリュー型造粒機を用いて構成することができる。図2に示す炭酸化処理装置6の一例は、スクリュー型造粒機610と造粒後処理装置620とを備えている。炭酸化処理装置6には、図1の集じん器11を通過した一部の排ガスG1が供給される。この排ガスG1は、造粒後処理装置620へ供給され、さらに造粒後処理装置620からスクリュー型造粒機610へ供給される。
【0053】
比重選別装置5から排出される低比重選別灰は、供給口612からスクリュー型造粒機610に供給される。また、スクリュー型造粒機610には水と排ガスG1とが供給される。スクリュー型造粒機610では、低比重選別灰は、スクリュー611の回転によって移送されながら、水と排ガスG1内の二酸化炭素と反応し、炭酸化が促進されるとともに粒状に固められる。そして、粒状の低比重選別灰は、造粒後処理装置620に供給される。
【0054】
造粒後処理装置620では、粒状の低比重選別灰は、コンベア621上を移送されながら排ガスG1によってさらに炭酸化が促進される。コンベア621は、例えば金網ベルトコンベアで構成され、下方から排ガスG1が供給される。ここでは、主に粒状の低比重選別灰の外側部分の炭酸化が進み、強度の高められた粒状の低比重選別灰になり、排出口622から排出される。
【0055】
この炭酸化処理装置6では、低比重選別灰に含まれるPb、Ca等が排ガスG1に含まれる二酸化炭素と反応して炭酸化処理される。Pbの炭酸化によって、Pbが不溶化し、排出口622から排出される低比重選別灰は、Pbの溶出濃度が低く抑えられた灰となる。よって、低比重選別灰を安全な土木資材等として有効利用することが可能になる。
【0056】
また、集塵装置93のフィルタ94で捕集された粉塵を、排出装置96によって炭酸化処理装置6の供給口612へ供給することにより、粉塵は低比重選別灰とともに炭酸化処理装置6で炭酸化処理される。これにより、粉塵の有効利用が図られる。また、炭酸化処理によって低比重選別灰が粒状に固められて骨材化される際に、粉塵が混ざった方が固まりやすいという利点がある。
【0057】
次に、比重選別装置5Aの選別装置本体15Aにおいて、補助電極65、通流阻止体C1、電極板カバーC2および補助電極カバーC3を設置した理由について説明する。
【0058】
図4は、比較例の比重選別装置の選別装置本体を示す模式図である。この比較例における選別装置本体15Xは、第1構成例の比重選別装置5Aの選別装置本体15Aにおいて、補助電極65、通流阻止体C1、電極板カバーC2および補助電極カバーC3が無い構成である。
【0059】
ここで、図4の電極板63a、63b、63cは、図2の電極板63a、63b、63cと同じものであり、図4を用いて電極板の端縁について説明しておく。電極板63a、63b、63cは、同電極板の傾斜方向における端縁として、高い位置側の電極板端縁63ah、63bh、63chと、低い位置側の電極板端縁63au、63bu、63cuとを有する。振動板52の傾斜方向に隣合う電極板、例えば電極板63a、63bでは、振動板52の高い位置側に配置された電極板63bの高い位置側の電極板端縁63bhの下方に、振動板52の低い位置側に配置された電極板63aの低い位置側の電極板端縁63auが位置しており、電極板端縁63bhと電極板端縁63auとがほぼ上下方向に離れて配置されている。同様に、隣合う電極板63b、63cでは、振動板52の高い位置側に配置された電極板63cの高い位置側の電極板端縁63chの下方に、振動板52の低い位置側に配置された電極板63bの低い位置側の電極板端縁63buが位置しており、電極板端縁63chと電極板端縁63buとがほぼ上下方向に離れて配置されている。
【0060】
図4の構成において、電界解析したところ、中央の電極板63bの直下部分の振動板52上には、矢印E1で示すように、高比重選別灰が排出される方向とは反対方向へ寄った電界が生じることが判明した。同様に、右側の電極板63cの直下部分の振動板52上には、矢印E2で示すように、高比重選別灰が排出される方向とは反対方向へ寄った電界が生じることが判明した。
【0061】
つまり、電極板63bの高い位置側の電極板端縁63bhおよびこの端縁63bhに近い部分と振動板52との距離は、電極板63aの低い位置側の電極板端縁63auと振動板52との距離よりも長い。よって、矢印E1に示すように、電極板63bの高い位置側の電極板端縁63bhおよびこの端縁63bhに近い部分の直下の振動板52部分から、電極板63aの低い位置側の電極板端縁63auへ向かう方向の電界が発生する。矢印E2に示す電界についても同様にして発生する。
【0062】
この矢印E1,E2のような電界(以下、「不良電界」という)が生じると、この不良電界によって、高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動のアシストが阻害されるおそれがある。そこで、図2のように正極となる補助電極65、65を備えることにより、補助電極65、65と電極板63a、63bの低い位置側の電極板端縁63au、63buとの間に電界が発生し、上記の不良電界の発生を抑制することができる。よって、上記の不良電界によって高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動のアシストが阻害されるのを防止でき、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量をより低減し、低比重粒子と高比重粒子との選別精度の向上をより図ることができる。
【0063】
また、図4の構成において、流体解析したところ、矢印W1で示すように隣合う電極板63a、63bの間を通過する空気の流れが発生する。同様に、矢印W2で示すように隣合う電極板63b、63cの間を通過する空気の流れが発生する。このように振動板52上から隣合う電極板の間に空気が流れると、振動板52上から高比重選別灰の排出方向とは反対方向寄りの斜め上向きとなる空気の流れが生じ、この空気の流れによって、高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動を阻害されるおそれがある。そこで、隣合う電極板63a、63bの間、及び、隣合う電極板63b、63cの間に、通流阻止体C1を備えることによって、隣合う電極板の間の空気の流通を阻止し、上記のような高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動が阻害されるのを防止できる。よって、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量をより低減し、低比重粒子と高比重粒子との選別精度の向上をより図ることができる。
【0064】
また、図4の構成において、電界強度を強くして電界による高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動をアシストする力を大きくするために、振動板52と電極板63a、63b、63cとの間に印加する直流電源64の直流電圧を高くすると、各電極板63a、63b、63cの低い位置側の端縁63au、63bu、63cuと振動板52との間にスパークSPが発生する場合がある。そこで、電極板カバーC2を備えることにより、振動板52と電極板63a、63b、63cとの間に印加する直流電圧を高くしても電極板63a、63b、63cと振動板52との間のスパークの発生を抑制できる。よって、直流電圧を高くして電界強度を強くすることにより、高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動をアシストする力を大きくすることができる。これにより、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量をより低減し、低比重粒子と高比重粒子との選別精度の向上をより図ることができる。
【0065】
また、補助電極65を有する場合には、補助電極カバーC3を備えることにより、直流電源64の直流電圧を高くしても電極板63a、63bと補助電極65、65との間のスパークの発生を抑制できる。
【0066】
図5は、電極板、補助電極、通流阻止体、電極板カバーおよび補助電極カバー等を有する電極部構造の一例を示す図である。図6は、図5におけるI-I断面図である。なお、図6では、電極板保持ケース91の幅方向の両側の側面91sが示されているが、図5には示されていない。図6に示すように、電極板カバーC2と電極板保持ケース91の側面91sとの間には、振動板52を通って吹き上げられた空気が通過する隙間が設けられている。
【0067】
図5および図6に示す例では、電極板カバーC2は、電極板支持部分C21と上蓋部分C22と筒底部分C23等を有する。
【0068】
電極板支持部分C21は、図6に示すように、断面U字状で、底板部21bと両側の側板部C21sとからなる。底板部21bは、長方形状の電極板63aが配置される平面を有する。当該平面には、複数のおねじC4が突設され、電極板63aにはおねじC4を貫通する貫通穴を有している。この貫通穴におねじC4が貫通されるように電極板63aを電極板支持部分C21に配置し、めねじC5をおねじC4に螺合することにより、電極板63aが電極板支持部分C21の内面に固定される。よって、電極板支持部分C21は、電極板63aの傾斜と同様に傾斜している。おねじC4及びめねじC5は、絶縁体からなり、例えば絶縁性樹脂で形成されている。
【0069】
電極板63aの傾斜方向における低い位置側の電極板端縁部分63tは、180度折り返す曲げ加工が施されている。また、電極板支持部分C21の低い方の端部には、電極板支持部分C21の両側の側板部C21s、C21sに渡って厚みのある筒底部分C23が固定されている。以上の構成により、直流電圧を高くした場合に、電極板63aの端縁部分63tと振動板52との間に発生するスパークを抑制できる。
【0070】
電極板支持部分C21の両側の側板部C21s、C21sには、それぞれ対向する位置に丸穴H1と長穴H2とが開けられている。丸穴H1には、支持棒98が挿通している。支持棒98の両端は、電極板保持ケース91の両側の側面91sに固定されている。ここで、筒底部分C23とともに丸穴H1の周囲を囲む断面U字状の樋状部分C6が、両側の側板部C21s、C21sに渡って設置されている。この構成により、直流電圧を高くした場合に、電極板63aの端縁部分63tから丸穴H1を通って振動板52に至る経路で発生するスパークを抑制できる。
【0071】
また、長穴H2には、支持棒99が挿通されている。支持棒99の両端も、支持棒98と同様、電極板保持ケース91の両側の側面91sに固定されている。なお、本例では、支持棒99は、電極板保持ケース91の側面91sへの固定位置を上下方向に変更可能であり、支持棒99を固定前に上下方向に移動させることにより、電極板63aの傾斜角度を調整可能に構成されている。
【0072】
電極板支持部分C21の上方および位置が高い方の端部は上蓋部分C22によって蓋をしている。なお、直流電圧を高くした場合の電極板63aと振動板52との間のスパークを抑制するという観点からは、電極板支持部分C21の位置が高い方の端部、すなわち、筒状の電極板カバーC2の位置が高い方の端部は蓋をしなくてもよい。当該端部に蓋をすることにより、粉塵が電極板カバーC2の内部に入るのを防止できる。
【0073】
補助電極65の周囲は補助電極カバーC3で覆われている。図5の例の補助電極カバーC3は、補助電極65の半円状の内部まで埋設されているが、これに限らず、補助電極65の周囲が覆われていればよい。図5の例では、補助電極カバーC3が電極板カバーC2の筒底部分C23に固定されることにより、補助電極65も固定されている。
【0074】
なお、電極板63b、63c及び当該電極板の電極板カバーC2も、上記の電極板63a及び当該電極板の電極板カバーC2とほぼ同様の構成とすることができる。また、電極板63bに対応する補助電極65及び補助電極カバーC3も、上記の電極板63aに対応する補助電極65及び補助電極カバーC3と同様の構成とすることができる。
【0075】
例えば、電極板63a、63b、63cの各々を電極板カバーC2に収納した後、電極板63a、63bの各々に対応する補助電極65を収納した補助電極カバーC3を電極板カバーC2に固定する。その後、電極板63a、63b、63cの各々に対応する電極板カバーC2に収納された電極板が所定の傾斜角度βとなるようにして電極板カバーC2を支持棒98、99によって電極板保持ケース91に固定する。そして、隣合う電極板カバーC2の隙間に通流阻止体C1を配置して固定するようにしてもよい。
【0076】
また、予め3つの電極板63a、63b、63cが所定の傾斜角度βとなるように電極板カバーC2、補助電極カバーC3および通流阻止体C1を設計しておいて、これらを固定した状態で、3つの電極板カバーC2を電極板保持ケース91に固定するようにしてもよい。この場合、例えば、3つの電極板カバーC2に、側板部C21sの丸穴H1及び長穴H2に代えて、図5の側板部C21sの長手方向のほぼ中央部分ないし左寄りに1つの丸穴を開けて、この丸穴を貫通する支持棒の両端を電極板保持ケース91の両側の側面91sに固定するようにしてもよい。この場合、前述の樋状部分C6は不要である。
【0077】
なお、電極板カバーC2の電極板の傾斜方向に対して垂直な断面を山型形状にしてもよい。例えば、図6の二点鎖線で示すように、電極板カバーC2の上蓋部分C22aを山型形状にしてもよい。これにより、振動板52を通過した空気によって舞い上がった粉塵が電極板カバーC2の上面に堆積するのを抑制できる。
【0078】
〔第2構成例〕
図7は、図1の比重選別装置5の第2構成例の一部を示す斜視図である。図8は、図7におけるII-II断面における要部等を示す図である。なお、図8に示された補助電極65A、電極板カバーC2、補助電極カバーC3、通流阻止体C1及び電極板保持ケース91A等は図7では省略されている。
【0079】
この第2構成例の比重選別装置5Bは、選別装置本体15Bと図2に示す集塵装置93とを有する。選別装置本体15Bでは、振動板52A、電極板63A、63B、63C及び補助電極65Aの形状が、第1構成例の比重選別装置5Aの振動板52、電極板63a、63b、63c及び補助電極65とは異なるが、基本的な機能は第1構成例の場合と同様である。また、電極板カバーC2、補助電極カバーC3及び通流阻止体C1は、電極板63A、63B、63C及び補助電極65Aの形状に応じた形状に形成されており、これらの基本的な機能は第1構成例の場合と同様である。そして、電極板63A、63B、63C、補助電極65A、電極板カバーC2、補助電極カバーC3及び通流阻止体C1は、電極板保持ケース91Aによって保持されている。電極板保持ケース91Aは、適宜の部材を用いて固定されている。
【0080】
そして、振動板52Aおよび補助電極65Aが正極となり、電極板63A、63B、63Cが負極となるように直流電圧を印加する直流電源64が備えられている。電極板63A、63B、63Cの傾斜方向における低い位置側の電極板端縁63Au、63Bu、63Cuと振動板52Aとの距離が、電極板63A、63B、63Cの傾斜方向における高い位置側の電極板端縁63Ah、63Bh、63Chと振動板52Aとの距離よりも短い。よって、直流電源64によって直流電圧が印加されたとき、電極板63A、63B、63Cの傾斜方向における低い位置側の電極板端縁63Au、63Bu、63Cuと振動板52Aとの間の電界強度は、電極板63A、63B、63Cの傾斜方向における高い位置側の電極板端縁63Ah、63Bh、63Chと振動板52Aとの間の電界強度よりも強い。
【0081】
この比重選別装置5Bにおいて、振動板52Aは、振動板保持ケース51Aに保持されている。振動板52Aから下方の構成は、周知のエアテーブルを用いて構成することができる。よって、振動板52Aは、傾斜角度yのサイドロープを有し、傾斜角度αのエンドロープを有する。また、振動板52Aを矢印S1方向に振動させる振動装置及び振動板52Aに上昇気流を供給する送風機を有している。
【0082】
振動板52Aは、台形形状であり、台形形状の上底側部分が図1の分級装置4から供給される焼却灰の受入れ部50Aとなり、台形形状の下底側の端部が高比重選別灰および低比重選別灰の排出口となる。この排出口に、例えば高比重選別灰の排出シュート54Aと低比重選別灰の排出シュート55Aとが並んで配置される。
【0083】
この場合、図8に示すように、振動板52Aは矢印S1方向に振動させられ、この振動方向である矢印S1方向は、振動板52Aの傾斜角度αよりも大きな傾斜角度γに沿う方向である。
【0084】
電極板63A、63B、63Cは、振動板52Aから受入れ部50Aを除いた部分の上方に配置される。図8に示すように、電極板63A、63B、63Cは、振動板52Aとは逆方向に傾斜して配置される。この電極板63A、63B、63Cの傾斜角度βの大きさは、振動板52Aの傾斜角度αと同等以上の大きさである。2つの補助電極65Aは、図2のように2つの補助電極65が電極板63a、63bの低い位置側の電極板端縁に沿って配置されるのと同様、電極板63A、63Bの低い位置側の電極板端縁63Au、63Buに沿って配置されている。
【0085】
この比重選別装置5Bでは、受入れ部50Aに供給された焼却灰に含まれる高比重粒子は、振動板52A上を例えば矢印aに示す方向へ移動し、高比重選別灰の排出シュート54Aへ排出される。また、低比重粒子は、振動板52A上を例えば矢印bに示す方向へ移動し、低比重選別灰の排出シュート55Aへ排出される。なお、排出シュート54Aへ排出される高比重選別灰には、低比重粒子が少量含まれ、排出シュート55Aへ排出される低比重選別灰には、高比重粒子が少量含まれる。排出シュート55Aへ排出される低比重選別灰は、例えば、図2に示す炭酸化処理装置6の供給口612へ供給される。
【0086】
この第2構成例の比重選別装置5Bにおいても、第1構成例の比重選別装置5Aと同様の効果が得られる。
【0087】
また、上記の第1、第2構成例の比重選別装置5A,5Bの場合、振動板52,52Aの傾斜方向に並んで複数の電極板63a~63c、63A~63Cが配置されることにより、1つの大きな電極板が配置される場合に比べて、振動板52,52Aと電極板63a~63c、63A~63Cとの間の電界強度が振動板52,52Aの位置によって弱くなりすぎることを回避し、正に帯電した高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動を良好にアシストすることができる。よって、高比重粒子が低比重選別灰の排出方向へ移動するのを防ぎ、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量をより低減し、低比重粒子と高比重粒子とを選別する選別精度の向上をより図ることができる。
【0088】
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0089】
(本開示のまとめ)
本開示の第1態様に係る比重選別装置は、粒径が所定範囲内に揃えられた廃棄物の焼却灰が供給され、傾斜して配置された通気性を有する振動板と、前記振動板を通過して前記振動板の下面側から上面側に向かう空気を供給する送風機と、前記振動板を前記振動板の傾斜角度よりも大きな傾斜角度に沿う方向に振動させる振動装置と、前記振動板の上方において、前記振動板の傾斜角度以上の傾斜角度で前記振動板とは逆方向に傾斜して前記振動板の傾斜方向に並んで配置された複数の電極板と、前記振動板の傾斜方向に隣合う前記電極板のうちの前記振動板の高い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における高い位置側の電極板端縁の下方に配置されており、樋形状を有し、前記樋形状の内側面が、前記隣合う前記電極板のうちの前記振動板の低い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁と間隔を空けてかつ当該端縁に沿って配置された補助電極と、前記振動板および前記補助電極が正極となり前記電極板が負極となるように、前記振動板および前記補助電極と前記電極板との間に直流電圧を印加する直流電源と、を備えている。
【0090】
この構成によれば、振動装置によって振動板を振動板の傾斜角度よりも大きな傾斜角度に沿う方向に振動させるようにしている。これにより、振動板に供給される焼却灰は、比重の大きい高比重粒子を主な構成要素とする高比重選別灰と比重の小さい低比重粒子を主な構成要素とする低比重選別灰とに選別されて振動板から排出される。さらに、振動板が正極となり電極板が負極となるように、振動板と電極板との間に直流電圧を印加することによって、銅、鉛等の金属を含む高比重粒子が正に帯電し、電界によって電極板へ向かう力が付与される。よって、高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動をアシストすることができる。また、振動板の傾斜方向に並んで複数の電極板が配置されることにより、1つの大きな電極板が配置される場合に比べて、振動板と電極板との間の電界強度が振動板の位置によって弱くなりすぎることを回避し、正に帯電した高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動を良好にアシストすることができる。よって、高比重粒子が低比重選別灰の排出方向へ移動するのを防ぎ、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量を低減し、低比重粒子と高比重粒子とを選別する選別精度の向上を図ることができる。
【0091】
さらに、正極となる補助電極を備えている。補助電極は、振動板の傾斜方向に隣合う電極板のうちの振動板の高い位置側に配置された電極板(以下、「第1の電極板」という)の傾斜方向における高い位置側の電極板端縁の下方に配置されている。また、補助電極は、樋形状を有し、樋形状の内側面が、隣合う電極板のうちの振動板の低い位置側に配置された電極板(以下、「第2の電極板」という)の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁と間隔を空けてかつ当該端縁に沿って配置されている。上記の隣合う電極板では、第1の電極板の高い位置側の電極板端縁の下方に、第2の電極板の低い位置側の電極板端縁が位置している。
【0092】
ここで、第1の電極板の高い位置側の電極板端縁およびこの端縁に近い部分と振動板との距離は、第2の電極板の低い位置側の電極板端縁と振動板との距離よりも長い。よって、補助電極が無い場合には、第1の電極板の高い位置側の電極板端縁およびこの端縁に近い部分の直下の振動板部分から、第2の電極板の低い位置側の電極板端縁へ向かう方向の電界(以下、「不良電界」という)が発生しやすい。この不良電界によって、高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動のアシストが阻害されるおそれがある。正極となる補助電極を備えることにより、補助電極と第2の電極板の低い位置側の電極板端縁との間に電界が発生し、上記の不良電界の発生を抑制することができる。よって、上記の不良電界によって高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動のアシストが阻害されるのを防止でき、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量をより低減し、低比重粒子と高比重粒子との選別精度の向上をより図ることができる。
【0093】
本開示の第2態様に係る比重選別装置は、第1態様に係る比重選別装置において、前記振動板の傾斜方向に隣合う前記電極板のうちの前記振動板の高い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と、前記隣合う前記電極板のうちの前記振動板の低い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁との間に設置され、空気の流通を阻止する通流阻止体を、さらに備えている。
【0094】
この構成によれば、通流阻止体を備えている。通流阻止体が無い場合に、振動板上から隣合う電極板の間に空気が流れると、振動板上から高比重選別灰の排出方向とは反対方向寄りの斜め上向きとなる空気の流れが生じ、この空気の流れによって、高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動を阻害されるおそれがある。通流阻止体を備えることによって隣合う電極板の間の空気の流通を阻止し、上記のような高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動が阻害されるのを防止できる。よって、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量をより低減し、低比重粒子と高比重粒子との選別精度の向上をより図ることができる。
【0095】
本開示の第3態様に係る比重選別装置は、粒径が所定範囲内に揃えられた廃棄物の焼却灰が供給され、傾斜して配置された通気性を有する振動板と、前記振動板を通過して前記振動板の下面側から上面側に向かう空気を供給する送風機と、前記振動板を前記振動板の傾斜角度よりも大きな傾斜角度に沿う方向に振動させる振動装置と、前記振動板の上方において、前記振動板の傾斜角度以上の傾斜角度で前記振動板とは逆方向に傾斜して前記振動板の傾斜方向に並んで配置された複数の電極板と、前記振動板が正極となり前記電極板が負極となるように、前記振動板と前記電極板との間に直流電圧を印加する直流電源と、前記振動板の傾斜方向に隣合う前記電極板のうちの前記振動板の高い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における高い位置側の電極板端縁と、前記隣合う前記電極板のうちの前記振動板の低い位置側に配置された前記電極板の傾斜方向における低い位置側の電極板端縁との間に設置され、空気の流通を阻止する通流阻止体と、を備えている。
【0096】
この構成によれば、振動装置によって振動板を振動板の傾斜角度よりも大きな傾斜角度に沿う方向に振動させるようにしている。これにより、振動板に供給される焼却灰は、比重の大きい高比重粒子を主な構成要素とする高比重選別灰と比重の小さい低比重粒子を主な構成要素とする低比重選別灰とに選別されて振動板から排出される。さらに、振動板が正極となり電極板が負極となるように、振動板と電極板との間に直流電圧を印加することによって、銅、鉛等の金属を含む高比重粒子が正に帯電し、電界によって電極板へ向かう力が付与される。よって、高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動をアシストすることができる。また、振動板の傾斜方向に並んで複数の電極板が配置されていることにより、1つの大きな電極板が配置される場合に比べて、振動板と電極板との間の電界強度が振動板の位置によって弱くなりすぎることを回避し、正に帯電した高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動を良好にアシストすることができる。したがって、高比重粒子が低比重選別灰の排出方向へ移動するのを防ぎ、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量を低減し、低比重粒子と高比重粒子とを選別する選別精度の向上を図ることができる。
【0097】
さらに、通流阻止体を備えている。通流阻止体が無い場合には、振動板上から隣合う電極板の間に空気が流れると、振動板上から高比重選別灰の排出方向とは反対方向寄りの斜め上向きとなる空気の流れが生じ、この空気の流れによって、高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動を阻害されるおそれがある。通流阻止体を備えることによって隣合う電極板の間の空気の流通を阻止し、上記のような高比重粒子の高比重選別灰の排出方向への移動が阻害されるのを防止できる。よって、低比重選別灰に含まれる高比重粒子の量をより低減し、低比重粒子と高比重粒子との選別精度の向上をより図ることができる。
【0098】
本開示のある態様に係る焼却灰処理システムは、廃棄物を焼却する焼却炉から排出されて粒径が所定範囲内に揃えられた焼却灰が供給される第1ないし第3態様のいずれかに係る比重選別装置と、炭酸化処理装置と、を備え、前記比重選別装置は、振動板に供給される焼却灰を、比重の大きい高比重粒子を主な構成要素とする高比重選別灰と比重の小さい低比重粒子を主な構成要素とする低比重選別灰とに選別して前記振動板から排出させ、前記炭酸化処理装置は、前記比重選別装置の前記振動板から排出される低比重選別灰に、前記焼却炉から排出され浄化処理された排ガスを接触させて、前記低比重選別灰の炭酸化を行う。
【0099】
ここで、比重選別装置の振動板から排出される低比重選別灰は、低比重粒子を主な構成要素とする焼却灰であるが、鉛を含む高比重粒子を少量含む。この低比重選別灰の炭酸化処理を行うことにより、鉛の炭酸化によって鉛が不溶化し、鉛の溶出濃度を低く抑えることができるので、低比重選別灰を安全な土木資材等として有効利用することが可能になる。
【符号の説明】
【0100】
AS 焼却灰処理システム
5,5A,5B 比重選別装置
6 炭酸化処理装置
7 焼却炉
51 振動板保持ケース
52,52A 振動板
53 振動装置
62 送風機
63a,63b,63c,63A,63B,63C 電極板
64 直流電源
65,65A 補助電極
91,91A 電極板保持ケース
93 集塵装置
97 シールド
C1 通流阻止体
C2 電極板カバー
C3 補助電極カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8