(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130913
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】生体信号計測装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/276 20210101AFI20240920BHJP
A61B 5/28 20210101ALI20240920BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B5/276 100
A61B5/28
A61B5/256 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040871
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村(石田) ゆい
(72)【発明者】
【氏名】小泉 昌之
(72)【発明者】
【氏名】王 タンニー
(72)【発明者】
【氏名】久保 光明
(72)【発明者】
【氏名】川端 康大
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健司
(72)【発明者】
【氏名】松村 直美
(72)【発明者】
【氏名】福永 誠治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓矢
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127CC10
4C127LL13
4C127LL15
(57)【要約】
【課題】乾式電極の装着状態の良否の判定やユーザーへの報知を適切に行うための技術を提供する。
【解決手段】生体信号計測装置は、乾式の電極と、前記電極を生体に押し当てた状態で固定する部材と、前記電極により生体信号を計測する制御本体と、を備え、前記制御本体は、前記電極と前記生体の間のインピーダンスを計測するインピーダンス計測部と、前記部材により前記電極を前記生体に装着してからの経過時間が所定時間に達した時点のインピーダンスの値に基づいて、前記電極の装着状態の良否を判定する装着状態判定部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式の電極と、
前記電極を生体に押し当てた状態で固定する部材と、
前記電極により生体信号を計測する制御本体と、を備え、
前記制御本体は、
前記電極と前記生体の間のインピーダンスを計測するインピーダンス計測部と、
前記部材により前記電極を前記生体に装着してからの経過時間が所定時間に達した時点のインピーダンスの値に基づいて、前記電極の装着状態の良否を判定する装着状態判定部と、を有する、
生体信号計測装置。
【請求項2】
前記所定時間が5分以上の時間に設定されている、
請求項1に記載の生体信号計測装置。
【請求項3】
前記乾式の電極は、複数の電極を含み、
前記装着状態判定部は、前記経過時間が前記所定時間に達した時点で、前記複数の電極のうち少なくともいずれかの電極のインピーダンスの値が所定の閾値以上であった場合に、装着状態が不良と判定する、
請求項1に記載の生体信号計測装置。
【請求項4】
前記装着状態判定部は、前記経過時間が前記所定時間に達する前における前記電極のインピーダンスの値もしくは時間変化が所定の基準に当てはまる場合に、前記経過時間が前記所定時間に達するよりも前に、装着状態が不良と判定する、
請求項1に記載の生体信号計測装置。
【請求項5】
前記乾式の電極は、複数の電極を含み、
前記所定の基準は、前記複数の電極のすべてのインピーダンスの値が所定の上限値以上であることである、
請求項4に記載の生体信号計測装置。
【請求項6】
前記乾式の電極は、複数の電極を含み、
前記所定の基準は、前記複数の電極のうちの一部の電極のインピーダンスの値と他の電極のインピーダンスの値との間の差、比率、又は分離度が所定値以上であることである、請求項4に記載の生体信号計測装置。
【請求項7】
前記所定の基準は、インピーダンスの時間変化において値の上昇が現れることである、請求項4に記載の生体信号計測装置。
【請求項8】
前記所定の基準は、インピーダンスの低下の傾きが所定の傾きよりも小さいことである、
請求項4に記載の生体信号計測装置。
【請求項9】
前記装着状態判定部によって装着状態が不良と判定された場合にユーザーに報知する報知部をさらに有する、
請求項1~8のいずれかに記載の生体信号計測装置。
【請求項10】
前記装着状態判定部は、インピーダンスの値もしくは時間変化に基づいて、装着状態の不良の原因を判別し、
前記報知部は、装着状態の不良の原因に応じて、前記ユーザーへの報知を異ならせる、
請求項9に記載の生体信号計測装置。
【請求項11】
前記制御本体は、
ユーザーが前記電極を装着した後に操作する操作部を有し、
前記ユーザーによって前記操作部の操作が行われた場合に、前記経過時間のカウントを開始する、
請求項1~8のいずれかに記載の生体信号計測装置。
【請求項12】
前記生体信号は、ECG(Electrocardiogram)信号である、
請求項1~8のいずれかに記載の生体信号計測装置。
【請求項13】
前記部材は、前記電極が設けられたバンドである、
請求項1~8のいずれかに記載の生体信号計測装置。
【請求項14】
前記バンドは、前記生体の上腕に装着される、
請求項13に記載の生体信号計測装置。
【請求項15】
乾式の電極により生体信号を計測する生体信号計測装置の制御方法であって、
前記電極が生体に装着されてからの経過時間をカウントするステップと、
前記電極と前記生体の間のインピーダンスを計測するステップと、
前記経過時間が所定時間に達した時点のインピーダンスの値に基づいて、前記電極の装着状態の良否を判定するステップと、を有する、
生体信号計測装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚表面に固定した電極により生体信号を計測する生体信号計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の皮膚表面に電極を固定し心電や筋電などの生体信号を計測する技術が知られており、かかる技術はさまざまな計測装置に応用されている。この種の装置では、電極と皮膚表面の接触状態が適切でないと、計測精度の低下を招いたり、計測自体が不能となったりする。
【0003】
特許文献1では、皮膚表面に粘着電極を貼り付けるタイプの筋電計測装置において、2電極間の電気インピーダンス値又は各電極間の抵抗値を計測することにより、各電極の貼付状態の良否を判定する、というアイデアが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、乾式電極が埋め込まれたバンド(以下、「電極バンド」とも称する。)を腕や脚に巻き付けることで、皮膚表面への電極固定を行うタイプの計測装置の開発を進めている。このような乾式電極の固定構造を採用することにより、患者自身が装置の付け外しを簡単にできるため手軽に計測を行える、皮膚かぶれなどが無いため装置を装着したまま長時間にわたる計測を行いやすい、などの利点がある。しかしその反面、患者自身に装置の付け外しを任せるとなると、装着不良の発生頻度が高まることが予想される。そこで、計測の信頼性・安定性を向上する観点から、乾式電極の装着状態を自動で判定し、装着不良の場合は患者に報知する、という仕組みが望まれる。
【0006】
本発明者らは、電極バンドを試作し装着実験を繰り返すなかで、電極の装着不良が起こる原因には、電極が皮膚表面に正しく接触していないこと(物理的な接続不良)と、電極と皮膚表面の間の湿潤不足の2つの要因が存在するという知見を得た。さらに、電極を装着してからある程度時間が経つと、発汗により湿潤不足が解消するケースが多いことや、時間が経っても電極と皮膚の間が十分に湿潤しない患者も一定数存在することなども判ってきた。
【0007】
特許文献1の装置では、皮膚表面に貼り付ける湿式電極が用いられているため、湿潤不足を原因とする装着不良は想定されていない。そのため、特許文献1の判定方法を、乾式電極タイプの装置に単純に適用した場合、湿潤不足か物理的な接続不良かの切り分けができず、一律に装着不良という判定結果が出力されてしまう。しかし、湿潤不足が原因の場合は、時間の経過とともに解消する可能性が高いのであるから、即座に装着不良と判定することは適当でない。むしろ、湿潤不足の場合は電極を装着し直したとしても解消しないため、患者を誤誘導する結果となる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、乾式電極を採用した生体信号計測装置において、電極の装着状態の良否の判定やユーザーへの報知を適切に行うための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、乾式の電極と、前記電極を生体に押し当てた状態で固定する部材と、前記電極により生体信号を計測する制御本体と、を備え、前記制御本体は、前記電極と前記生体の間のインピーダンスを計測するインピーダンス計測部と、前記部材により前記電極を前記生体に装着してからの経過時間が所定時間に達した時点のインピーダンスの値に基づいて、前記電極の装着状態の良否を判定する装着状態判定部と、を有する、生体信号計測装置を含む。
【0010】
前記所定時間が5分以上の時間に設定されていてもよい。
【0011】
前記乾式の電極は、複数の電極を含み、前記装着状態判定部は、前記経過時間が前記所定時間に達した時点で、前記複数の電極のうち少なくともいずれかの電極のインピーダンスの値が所定の閾値以上であった場合に、装着状態が不良と判定してもよい。
【0012】
前記装着状態判定部は、前記経過時間が前記所定時間に達する前における前記電極のインピーダンスの値もしくは時間変化が所定の基準に当てはまる場合に、前記経過時間が前記所定時間に達するよりも前に、装着状態が不良と判定してもよい。
【0013】
前記乾式の電極は、複数の電極を含み、前記所定の基準は、前記複数の電極のすべてのインピーダンスの値が所定の上限値以上であることであってもよい。
【0014】
前記乾式の電極は、複数の電極を含み、前記所定の基準は、前記複数の電極のうちの一部の電極のインピーダンスの値と他の電極のインピーダンスの値との間の差、比率、又は分離度が所定値以上であることであってもよい。
【0015】
前記所定の基準は、インピーダンスの時間変化において値の上昇が現れることであってもよい。
【0016】
前記所定の基準は、インピーダンスの低下の傾きが所定の傾きよりも小さいことであってもよい。
【0017】
前記装着状態判定部によって装着状態が不良と判定された場合にユーザーに報知する報知部をさらに有してもよい。
【0018】
前記装着状態判定部は、インピーダンスの値もしくは時間変化に基づいて、装着状態の不良の原因を判別し、前記報知部は、装着状態の不良の原因に応じて、前記ユーザーへの報知を異ならせてもよい。
【0019】
前記制御本体は、ユーザーが前記電極を装着した後に操作する操作部を有し、前記ユーザーによって前記操作部の操作が行われた場合に、前記経過時間のカウントを開始してもよい。
【0020】
前記生体信号は、ECG(Electrocardiogram)信号であってもよい。
【0021】
前記部材は、前記電極が設けられたバンドであってもよい。
【0022】
前記バンドは、前記生体の上腕に装着されてもよい。
【0023】
本開示は、乾式の電極により生体信号を計測する生体信号計測装置の制御方法であって、前記電極が生体に装着されてからの経過時間をカウントするステップと、前記電極と前記生体の間のインピーダンスを計測するステップと、前記経過時間が所定時間に達した時点のインピーダンスの値に基づいて、前記電極の装着状態の良否を判定するステップと、を有する、生体信号計測装置の制御方法を含む。
【0024】
本発明は、上記構成の少なくとも一部を有する生体信号計測装置として捉えてもよいし、生体信号としてECG信号を計測する心電計測装置として捉えてもよい。あるいは、生体信号計測装置に搭載可能な装着状態判定装置として捉えてもよい。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む装着状態判定方法、生体信号計測装置の制御方法、または、かかる方法を実現するためのプログラムやそのプログラムを非一時的に記録した記録媒体として捉えることもできる。なお、上記構成および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、乾式電極を採用した生体信号計測装置において、電極の装着状態の良否の判定やユーザーへの報知を適切に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は生体信号計測装置を上腕に装着した様子を示す図である。
【
図4】
図4は制御本体の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は第1実施形態における装着状態の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は第2実施形態における装着状態の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7はインピーダンス値の時間変化の例を示す図である。
【
図8】
図8は第3実施形態における装着状態の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は第3実施形態において装着状態を判定する際の基準の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<適用例>
図1を参照して、本発明の適用例の一つについて説明する。
【0028】
生体信号計測装置1は、生体に装着して使用される携帯型の計測デバイスである。生体信号計測装置1は、主な構成として、1つ以上の乾式の電極11が設けられたバンド10と、電極11により生体信号を計測する制御本体12とを備えている。
【0029】
計測の対象となる生体信号は、生体電気信号又は生体電位とも呼ばれ、生体の活動に伴って生じる電気信号である。例えば、心電信号(拍動に伴う微小電気信号)、筋電信号(筋肉の活動に伴う微小電気信号)、脳波信号(脳の活動に伴う微小電気信号)などがある。バンド10を装着する計測部位としては、上肢(上腕、前腕、手首、手、指)、下肢(大腿、下腿、足首、足、指)、頭部、頸部、胸部、腹部、耳朶などを例示でき、計測する生体信号の種類や計測アルゴリズムなどに応じて適宜選択される。
【0030】
計測時には、ユーザー自らがバンド10を計測部位に巻き付けて装置1を装着した後、制御本体12のボタンを押下するなどして計測を開始する。このとき、バンド10の巻き
方や締めつけが悪く、電極11が皮膚表面から浮いてしまっているなどの物理的な接続不良があると、正しい計測を行うことができない。それゆえ、このような場合には、ユーザーに報知し、バンド10の装着し直しなどの対処を講じてもらう必要がある。ただし、電極11と皮膚表面の物理的な接続が良好であっても、湿潤不足が原因で電極11と皮膚表面の間の電気的な接続が不良となるケースがある。したがって、電極11と皮膚表面の間の電気的な接続の良し悪しを単純に評価するだけでは、物理的な接続不良なのか湿潤不足なのかの切り分けができず、ユーザーに適切な対処を案内することができない。
【0031】
そこで、生体信号計測装置1は、電極11を装着してからの経過時間が所定時間Twに達した時点における、電極11と皮膚表面の間の接触インピーダンスに基づいて、電極11の装着状態の良否を判定する。すなわち、電極11の装着直後ではなく、敢えて所定時間Twだけ待ってから装着状態の良否判定を実施するのである。このような待ち時間を設けたことによって、発汗により電極11と皮膚表面の間が湿潤することが期待されるため、物理的な接続不良かどうか(つまり、装着し直しの要否)を高い確度で判定することが可能となる。
【0032】
所定時間(待ち時間)Twは、5分以上30分以下の時間に設定されるとよい。電極11を装着した状態でこの程度の時間が経過すれば、ほとんどのユーザーにおいて十分な湿潤状態(つまり、接触インピーダンスの計測・評価が可能な程度に電極11と皮膚表面の電気的接続が維持された状態)が得られるからである。
【0033】
以下では、本発明の一実施形態として、本発明を上腕心電デバイスに適用した場合の具体的な構成例を説明する。
【0034】
<第1実施形態>
(装置構成)
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は生体信号計測装置1を上腕に装着した様子を示す図であり、
図2は生体信号計測装置1の平面図、
図3は生体信号計測装置1の斜視図である。
【0035】
本実施形態の生体信号計測装置1は、ユーザーの上腕(好ましくは心臓に近い左上腕)に装着され、生体信号としてのECG(Electrocardiogram)信号(心電信号)を計測するために用いられる上腕心電デバイスである。
【0036】
生体信号計測装置1は、主な構成として、バンド10と、バンド10に固定された複数の電極11と、バンド10に固定された制御本体12と、を有している。
【0037】
バンド10は、電極11を生体に押し当てた状態で固定するための部材(固定部材)である。本実施形態では、可撓性及び柔軟性のある材料(例えば化学繊維、シリコン、皮革など)からなる帯状のバンド10が用いられる。バンド10の長手方向端部には固定機構13が設けられている。
図1及び
図3に示すようにバンド10をループ状にし、固定機構13で留めることにより、生体信号計測装置1を上腕に装着することができる。固定機構13は、面ファスナ、フック、コネクタ、ボタン、マグネットなどどのようなものでもよい。
【0038】
複数の電極11(電極アレイとも呼ばれる)は、生体との接触面がバンド10の内側(生体側)に露出するようにして、バンド10に埋め込み固定されている。複数の電極11は、バンド10の長手方向に一列に等間隔で配置されている。これにより、バンド10を腕に巻き付けたときに、腕の周囲の異なる位置に電極11が接触する。電極11の数は任意に設計できる。ECG信号を計測する目的であれば、少なくとも2つの電極11(1組
の電極ペア)があればよく、計測の信頼性やロバスト性を高めるために3つ以上の電極11を設けてもよい。本実施形態では、6個の電極11(3組の電極ペア)を設ける構成を採用している。
【0039】
電極11は、乾式の金属電極である。湿式の電極(ゲル電極など)は、長時間装着していると皮膚かぶれや痒みを生じる可能性がある、耐久性やメンテナンス性が低い、などの問題があるのに対し、乾式の電極11はそのような問題がない。本実施形態の生体信号計測装置1は、長時間装着し続け、ECG信号を24時間モニタリングすることを想定しているため、乾式の電極11であることが好ましい。
【0040】
制御本体12は、生体信号計測装置1の制御や信号処理を行う処理ユニットである。制御本体12は、例えば、樹脂や金属からなるケースの内部に、プロセッサ、メモリ、バッテリ、その他の回路が実装された構造を有する。制御本体12には、物理スイッチ及びディスプレイが設けられていてもよい。図示しないが、制御本体12と複数の電極11の間は信号線を介して接続されている。
【0041】
(制御本体)
図4は、制御本体12の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0042】
制御本体12は、ECG信号の計測に関する構成として、計測使用電極選択部30、ECG計測部20、ECG信号処理部21、ECG心拍情報算出部22、ECG信号品質判定部23、AF判定部24、記憶部25、通信部26、操作部27を有する。計測使用電極選択部30は、ECG信号の計測に用いる電極ペアを選択する。ECG計測部20は、選択された電極ペアの間の電位差を差動アンプにより増幅し、ECG信号として出力する回路である。ECG信号処理部21は、ECG信号のAD変換及びフィルタ処理を行う部分であり、ECG信号をAD変換するAD変換部210と、ECG信号から電磁ノイズを除去してSN比を高める電磁ノイズ除去部211と、ECG信号の基線変動(低周波の変動)を除去する基線変動除去部212を有する。ECG心拍情報算出部22は、ECG信号から各種の心拍情報を抽出する部分であり、R波検出部220、RRI算出部221、心拍変動算出部222、P波検出部223を有する。ECG信号品質判定部23は、ECG信号の品質の良否(すなわち、診断などの目的に適う精度ないし信頼性のあるデータが計測できているか否か)を判定する部分である。AF判定部24は、心拍情報に基づいてAF(Atrial Fibrillation;心房細動)の発生を検出したり、AFに関する指標を算出したりする部分である。記憶部25は、計測ないし算出されたデータを記憶する不揮発性のメモリである。通信部26は、外部機器(例えば、ユーザーのスマートフォン、他の健康機器、ホームサーバーなど)と無線によるデータ通信を行う部分である。操作部27は、ユーザーが入力操作を行うための入力インターフェイスである。操作部27は、物理ボタンでもよいし、タッチパネルディスプレイでもよい。
【0043】
また、制御本体12は、電極11の装着状態の自動判定に関する構成として、計測使用電極選択部30、インピーダンス計測部31、インピーダンス信号処理部32、装着状態判定部33、報知部(通知部)34を有する。計測使用電極選択部30は、インピーダンスの計測に用いる電極ペアを選択する。インピーダンス計測部31は、選択された電極ペアの間に計測用電流を流すことで、電極11と皮膚表面の間の接触インピーダンスを計測する回路である。本実施形態では、ECG信号に近い10Hz程度の正弦波交流を計測用電流として用いる。インピーダンス信号処理部32は、計測された信号のAD変換などを行い、インピーダンス値(kΩ)を求める部分である。装着状態判定部33は、計測されたインピーダンス値に基づいて、電極11の装着状態の良否を判定する部分である。報知部34は、装着状態判定部33の判定結果に応じてユーザーへの報知を行う部分である。
【0044】
(装着状態の判定処理)
図5は、第1実施形態における装着状態の判定処理の流れを示している。
【0045】
ユーザーがバンド10を上腕に巻き付け、固定機構13でバンド10を留めた後、操作部27により計測開始を指示する操作を行うと、制御本体12のプロセッサが
図5の判定処理を開始する。なお、
図5の判定処理と並行してECG信号の計測処理も実行されるが、本発明の特徴とは直接関係がないため、本明細書では計測処理の詳細については割愛する。
【0046】
制御本体12の装着状態判定部33は、ユーザーによって計測開始を指示する操作が行われたことを検知すると、ユーザーが電極11を装着したとみなし、「電極11を装着してからの経過時間Tp」のカウントを開始する(ステップS100)。なお、本実施形態では、ユーザー操作を経過時間Tpのカウントのトリガとしたが、光学的/電気的/磁気的/物理的なセンサでバンド10もしくは電極11が腕に装着されたことを検知して経過時間Tpのカウントを開始するようにしてもよい。
【0047】
ステップS101では、インピーダンスの計測が行われる。具体的には、計測使用電極選択部30が計測に使用する電極11のペアを選択し、インピーダンス計測部31が選択された電極11の間の接触インピーダンスを計測し、インピーダンス信号処理部32が接触インピーダンスの値を算出して、電極11の番号nと経過時間Tpとインピーダンス値Znをセットにして記憶部25に保存する(電極11が6個の場合、n=1,2,・・・,6である。)。この計測処理を複数の電極11のそれぞれについて実行することで、電極11それぞれのインピーダンス値が記憶部25に記録される。
【0048】
ステップS102では、装着状態判定部33が、ステップS101の計測を行った時点の経過時間Tpが所定時間Twに達しているかを判定する。経過時間Tpが所定時間Twに達していない場合(Tp<Tw)は、ステップS101に戻る。このような制御により、経過時間Tpが所定時間Twに達するまでは、一定の時間間隔Tiでインピーダンスの計測が繰り返される。本実施形態では、例えば、Tw=10分、Ti=1分に設定される。
【0049】
経過時間Tpが所定時間Twに達すると(Tp≧Tw)、装着状態判定部33は、この時点のインピーダンス値Znに基づいて電極11の装着状態の良否を判定する(ステップS103)。具体的には、装着状態判定部33は、すべての電極11のインピーダンス値Znが所定の閾値Zthを下回っていたら「装着状態:良好」と判定し、少なくともいずれかの電極11のインピーダンス値Znが閾値Zth以上であった場合は「装着状態:不良」と判定する。本実施形態では、例えば、Zth=100kΩに設定される。
【0050】
装着状態が不良と判定された場合(ステップS104)、報知部34は、ユーザーに報知を行い、バンド10の巻き直しを促す(ステップS105)。報知の方法は任意である。例えば、警告音を鳴らす、バンド10の巻き直しを促す音声メッセージを出力する、ディスプレイにメッセージを表示する、振動や光によって報知する、外部装置(ユーザーが所持するスマートフォンなど)にメッセージを転送する、などが考えられる。
【0051】
本実施形態の判定処理では、電極11の装着直後ではなく、所定時間経過後の接触インピーダンスによって電極11と皮膚表面の接触状態を評価する。発汗により電極11と皮膚表面の間の湿潤が十分高まるまで待ってからインピーダンスの計測及び評価を行うことで、湿潤不足による計測不良をできる限り排除できるため、電極11の浮きなどの物理的な接続不良(つまり、バンド10の巻き直しが必要な状態)を高い確度で判定することができる。
【0052】
<第2実施形態>
第1実施形態のように所定時間Twの待ち時間を設けることによりほとんどのケースで湿潤不足を解消することができると考えられるが、十分な時間が経ったとしても電極11と皮膚の間が十分に湿潤しない者も一定数存在し得る。また、その場の環境(温度、湿度など)に依存する可能性もある。もし湿潤不足が原因であった場合は、バンド10の巻き直しでは状況を改善することはできず、クリームや化粧水を皮膚に塗布するとか、電極を湿らせるといった、電極11と皮膚表面の間の湿潤を高めるための対処が必要となる。そこで、第2実施形態では、第1実施形態の方法で装着状態が不良と判定された後に、不良の原因が湿潤不足か物理的な接続不良かの判別を行う。
【0053】
図6は、第2実施形態における装着状態の判定処理の流れを示している。第1実施形態の判定処理と同じ部分は、同一のステップ番号を付している。以下、第1実施形態と異なる処理を中心に説明する。
【0054】
装着状態が不良と判定された場合(ステップS104)、装着状態判定部33は、各電極11のインピーダンス値Znに基づいて、装着不良の原因が、電極11の浮きなどの物理的な接続不良にあるのか、電極11と皮膚の間の湿潤不足にあるのかを推定する(ステップS200)。具体的には、装着状態判定部33は、すべての電極11でインピーダンス値Znが閾値Zth以上であった場合は「湿潤不足が原因」と判定し、それ以外の場合は「物理的な接続不良が原因」と判定する。バンド10の巻き付け方がいくら悪かったとしても、すべての電極11で物理的な接続不良が生じることは考えにくく、少なくとも一部の電極11は皮膚に密着している。したがって、所定時間Tw待った後でもインピーダンス値Znが閾値Zthを下回る電極11が一つもないということは、湿潤不足が原因と考えるのが妥当だからである。
【0055】
報知部34は、電極11と皮膚表面の間の湿潤不足による装着状態の不良の場合と、電極11が皮膚表面に正しく接触していないことによる装着状態の不良の場合とで、ユーザーへの報知を異ならせるとよい。例えば、ステップS200において原因が湿潤不足にあると判定された場合は、報知部34は、ユーザーにクリーム塗布などの湿潤を高めるための対処を促すとよい(ステップS201)。他方、ステップS200において原因が物理的な接続不良にあると判定された場合は、報知部34は、ユーザーにバンド10の巻き直しを促すとよい(ステップS202)。
【0056】
本実施形態の判定処理によれば、第1実施形態と同様の作用効果に加え、ユーザーの体質や環境が原因で湿潤不足が解消しない場合にユーザーに適切な対処法を案内することができ、ユーザビリティに優れた計測装置を提供することができる、という利点がある。
【0057】
なお、ステップS200における原因推定は、他の方法でもよい。
図7にインピーダンス値Znの時間変化の例を示す。横軸は経過時間Tp(分)であり、縦軸はインピーダンス値Zn(kΩ)である。3つのグラフは、それぞれ、通常の場合70、電極11の浮きなどの物理的な接続不良がある場合71、湿潤不足が解消しない場合72を示している。
図7からわかるように、通常の場合70は、初期的には湿潤不足によりインピーダンス値Znが高かったとしても、時間の経過とともに湿潤が高まり、インピーダンス値Znが徐々に低下していき、所定時間Twの時点では閾値Zthを下回る。しかし、物理的な接続不良がある場合71は、電極11と皮膚表面との接触状態が安定しないために、インピーダンス値Znが上昇したり低下したりと不安定かつ不規則に変化する。そして、湿潤不足が解消しない場合72は、電極11と皮膚表面は接触しているために時間の経過とともにインピーダンス値Znは徐々に低下していくものの、その傾きが小さく、インピーダンス値Znが閾値Zthをなかなか下回らない、という挙動を示す。したがって、例えば、装
着状態判定部33は、バンド10の装着直後から所定時間Twまでのインピーダンス値Znの時間変化をみて、インピーダンス値Znが途中で上昇するような変化が現れていた場合は「物理的な接続不良が原因」と判定し、インピーダンス値Znが単調減少していた場合には「湿潤不足が原因」と判定してもよい。
【0058】
<第3実施形態>
第1及び第2実施形態では、所定時間Twが経過してから電極11の装着状態の判定を実施したが、所定時間Twが経過するより前に明らかに装着不良と判る場合には、その時点でユーザーに報知してもよい。
【0059】
図8は、第3実施形態における装着状態の判定処理の流れを示している。第1及び第2実施形態の判定処理と同じ部分は、同一のステップ番号を付している。以下、第1及び第2実施形態と異なる処理を中心に説明する。
【0060】
ステップS101においてインピーダンスの計測が行われた後、ステップS300において、装着状態判定部33が、電極11の装着直後から現時点までのインピーダンス値Znに基づいて、電極11の装着状態の良否を判定する。ステップS300の判定処理を、ステップS103の判定処理と区別するため、「早期判定処理」と呼ぶ。早期判定処理において装着不良と判定された場合は(ステップS301)、直ちに報知を行い終了する(ステップS302)。早期判定処理では、インピーダンス値Znもしくはその時間変化が所定の基準に当てはまるか否かが評価される。
図9に所定の基準の一例を示す。
【0061】
(1)基準1は、複数の電極11のすべてのインピーダンス値Znが所定の上限値Zu以上であることである。上限値Zuは、所定時間Twが経過したとしても十分な湿潤が得られないほど、極度に皮膚が乾燥している状態を指している。本実施形態では、例えば、Zu=900kΩに設定される。例えば、電極11の装着直後の1回目の計測において、すべての電極11のインピーダンス値ZnがZu以上であった場合には、装着状態判定部33は即座に装着不良と判定し、報知部34がユーザーにクリーム塗布などの対処を促すとよい。
【0062】
(2)基準2は、複数の電極11のうちの一部の電極11のインピーダンス値Znが他の電極11のインピーダンス値Znに比べて突出して高いことである。バンド10の巻き付け方が悪い場合に、物理的な接続不良が生じる電極11は1個か2個程度である。したがって、複数の電極11のインピーダンス値Znを比較すると、接続不良が生じている一部の電極11のインピーダンス値Znのみが他と比べて突出して高くなる。このような状況がみられた場合には、即座に、装着不良と判定し、ユーザーにバンド10の巻き直しを促すとよい。なお、一部の電極11のインピーダンス値Znが突出しているか否かの判定はどのように行ってもよい。例えば、複数の電極11のインピーダンス値Znの中の最大値Zmaxと、それ以外のインピーダンス値Znの平均値Zaveとの差が所定値以上である場合に「突出」と判定してもよい。あるいは、最大値Zmaxと平均値Zaveの比率が所定値以上である場合に「突出」と判定してもよい。あるいは、複数の電極11をインピーダンス値Znの大きさにより第1クラスと第2クラスの2つのクラスに分け、第1クラスのインピーダンス値Znの代表値(例えば、最大値、平均値など)と第2クラスのインピーダンス値Znの代表値(例えば、最大値、平均値など)の間の差又は比率が所定値以上である場合に「突出」と判定してもよい。あるいは、第1クラスと第2クラスの間の分離度(クラス間分散など)が所定値以上である場合に「突出」と判定してもよい。
【0063】
(3)基準3は、インピーダンス値Znの時間変化において値の上昇が現れることである。第2実施形態でも述べたように、電極11が皮膚に正しく接触している場合には、インピーダンス値Znは単調減少する。したがって、複数の電極11のいずれかでインピー
ダンス値Znの上昇が現れた場合には、その電極11に物理的な接続不良が生じているということなので、即座に装着不良と判定し、ユーザーにバンド10の巻き直しを促すとよい。
【0064】
(4)基準4は、インピーダンス値Znの低下の傾きが所定の傾きよりも小さいことである。電極11が皮膚に正しく接触している場合には、インピーダンス値Znは単調減少する。その場合の減少カーブは簡易的には1次式で近似できる。そこで、例えば、インピーダンスが3~4点計測された段階で減少カーブの傾きを近似的に計算し、所定時間Tw経過後にどの程度までインピーダンス値Znが低下するかを予測することができる。ここでもし、減少カーブの傾きが小さすぎて、所定時間Twが経過してもインピーダンス値Znが閾値Zthを下回ることが期待できない場合には、即座に装着不良と判定し、ユーザーにクリーム塗布などの対処を促すとよい。
【0065】
以上述べた判定処理を組み合わせることにより、明らかに装着不良と判る場合には経過時間Tpが所定時間Twに達するよりも前にユーザーに対処を促すことができる。例えば、基準1、2であれば、電極11の装着直後でも判定可能であるし、基準3はインピーダンスの上昇が現れた時点、基準4はインピーダンスの減少カーブの予測が可能な程度の計測値が蓄積された時点で、判定が可能である。したがって、本実施形態によれば、装置の利便性を一層高めることができる。
【0066】
<その他>
上記実施形態は、本発明の構成例を例示的に説明するものに過ぎない。本発明は上記の具体的な形態には限定されることはなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、装置を装着する身体部位は上腕以外でもよい。また、電極11を生体に押し当てた状態で固定するための固定部材としては、上記実施形態のように、電極11を接触させた状態で生体の測定部分に巻き付くバンド状(帯状)のものの他、生体の測定部分を覆って包む包状のものやリング状のものを用いてもよい。また、固定部材は、生体の測定部分のサイズ(径)に対応するために、伸縮性や変形性を有しているとよい。あるいは、非伸縮性のある素材で作成されている場合は、長さの調節が可能な構造を有しているとよい。電極11の数は1個以上であればよい。複数の電極11の場合の配列は1列である必要はなく、2次元アレイ状に配置してもよい。また、等間隔ではなく、電極11の配置間隔に偏りをつけてもよい。電極11は、固定部材(バンド10)に一体であってもよいし、固定部材とは別の構造でもよい。制御本体12はバンド10に固定されていなくてもよい。例えば、制御本体12とバンド10を別構造とし、制御本体12とバンド10(電極11)との間をケーブルで繋いでもよい。計測対象の生体信号はECG信号に限られず、例えば、筋電信号や脳波信号でもよい。
【0067】
本明細書は以下の開示を含む。
【0068】
[付記1]
乾式の電極(11)と、
前記電極(11)を生体に押し当てた状態で固定する部材(10)と、
前記電極(11)により生体信号を計測する制御本体(12)と、を備え、
前記制御本体(12)は、
前記電極(11)と前記生体の間のインピーダンスを計測するインピーダンス計測部(31)と、
前記部材(10)により前記電極(11)を前記生体に装着してからの経過時間が所定時間に達した時点のインピーダンスの値に基づいて、前記電極(11)の装着状態の良否を判定する装着状態判定部(33)と、を有する、
生体信号計測装置(1)。
【0069】
[付記2]
前記所定時間が5分以上の時間に設定されている、
付記1に記載の生体信号計測装置(1)。
【0070】
[付記3]
前記乾式の電極は、複数の電極(11)を含み、
前記装着状態判定部(33)は、前記経過時間が前記所定時間に達した時点で、前記複数の電極(11)のうち少なくともいずれかの電極(11)のインピーダンスの値が所定の閾値以上であった場合に、装着状態が不良と判定する、
付記1又は付記2に記載の生体信号計測装置(1)。
【0071】
[付記4]
前記装着状態判定部(33)は、前記経過時間が前記所定時間に達する前における前記電極(11)のインピーダンスの値もしくは時間変化が所定の基準に当てはまる場合に、前記経過時間が前記所定時間に達するよりも前に、装着状態が不良と判定する、
付記1~付記3のいずれかに記載の生体信号計測装置(1)。
【0072】
[付記5]
前記乾式の電極は、複数の電極(11)を含み、
前記所定の基準は、前記複数の電極(11)のすべてのインピーダンスの値が所定の上限値以上であることである、
付記4に記載の生体信号計測装置(1)。
【0073】
[付記6]
前記乾式の電極は、複数の電極(11)を含み、
前記所定の基準は、前記複数の電極(11)のうちの一部の電極(11)のインピーダンスの値と他の電極(11)のインピーダンスの値との間の差、比率、又は分離度が所定値以上であることである、
付記4又は付記5に記載の生体信号計測装置(1)。
【0074】
[付記7]
前記所定の基準は、インピーダンスの時間変化において値の上昇が現れることである、付記4~付記6のいずれかに記載の生体信号計測装置(1)。
【0075】
[付記8]
前記所定の基準は、インピーダンスの低下の傾きが所定の傾きよりも小さいことである、
付記4~付記7のいずれかに記載の生体信号計測装置(1)。
【0076】
[付記9]
前記装着状態判定部によって装着状態が不良と判定された場合にユーザーに報知する報知部(34)をさらに有する、
付記1~8のいずれかに記載の生体信号計測装置(1)。
【0077】
[付記10]
前記装着状態判定部(33)は、インピーダンスの値もしくは時間変化に基づいて、装着状態の不良の原因を判別し、
前記報知部(34)は、装着状態の不良の原因に応じて、前記ユーザーへの報知を異ならせる、
付記9に記載の生体信号計測装置(1)。
【0078】
[付記11]
前記制御本体(12)は、
ユーザーが前記電極(11)を装着した後に操作する操作部(27)を有し、
前記ユーザーによって前記操作部(27)の操作が行われた場合に、前記経過時間のカウントを開始する、
付記1~付記10のいずれかに記載の生体信号計測装置(1)。
【0079】
[付記12]
前記生体信号は、ECG(Electrocardiogram)信号である、
付記1~付記11のいずれかに記載の生体信号計測装置(1)。
【0080】
[付記13]
前記部材は、前記電極(11)が設けられたバンド(10)である、
付記1~付記12のいずれかに記載の生体信号計測装置(1)。
【0081】
[付記14]
前記バンド(10)は、前記生体の上腕に装着される、
付記13に記載の生体信号計測装置(1)。
【0082】
[付記15]
乾式の電極(11)により生体信号を計測する生体信号計測装置(1)の制御方法であって、
前記電極(11)が生体に装着されてからの経過時間をカウントするステップと、
前記電極(11)と前記生体の間のインピーダンスを計測するステップと、
前記経過時間が所定時間に達した時点のインピーダンスの値に基づいて、前記電極(11)の装着状態の良否を判定するステップと、を有する、
生体信号計測装置(1)の制御方法。
【符号の説明】
【0083】
1:生体信号計測装置
10:バンド
11:電極
12:制御本体
13:固定機構