(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130921
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20240920BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E02F9/16 Z
E02F9/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040884
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】三木 貴弘
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】運転部の限られたスペースを有効活用しながらアンテナを運転席から離れた位置に配置することができる建設機械を提供する。
【解決手段】運転台50を基部とする運転部10に設けられた無線通信用のアンテナ52を備えた建設機械であって、運転台50上に設けられた運転席17と、運転席17の左右一側の側方に配置された右側作業操作レバー22と、を備え、アンテナ52は、前後方向についてアンテナ52の前方の位置、かつ左右方向について右側作業操作レバー22の外側であって運転台50の縁端の内側の位置に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転台を基部とする運転部に設けられた無線通信用のアンテナを備えた建設機械であって、
前記運転台上に設けられた運転席と、
前記運転席の左右一側の側方に配置された操作レバーと、を備え、
前記アンテナは、前後方向について前記操作レバーの前方の位置、かつ左右方向について前記操作レバーの外側であって前記運転台の縁端の内側の位置に配置されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記アンテナは、前記操作レバーの前方に配置されたモニタの下方に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
平面視で前記運転台の前記左右一側の縁部に沿って前記運転席より前方に延出された前後延出部、および前記前後延出部から立ち上がった起立部を有する空調用ダクトを備え、
前記アンテナは、左右方向について前記起立部の外側の位置、かつ上下方向について前記起立部の上端よりも下方の位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記モニタは、前記空調用ダクトに対して前記起立部の上部に配置され、
前記アンテナは、平面視で少なくとも一部を前記モニタに重ねるように配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【請求項5】
前記空調用ダクトは、前記起立部における上下方向について前記アンテナの配置位置を含む部位に、左右内側に凹んだ凹部を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の建設機械。
【請求項6】
前記運転台に対して前記空調用ダクトを支持するダクト支持フレームを備え、
前記アンテナは、前記ダクト支持フレームに対して支持された状態で設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の建設機械。
【請求項7】
上下方向について前記アンテナより下方の位置に設けられ、前記空調用ダクトに対して支持された状態で設けられた電装部品を備えた
ことを特徴とする請求項3に記載の建設機械。
【請求項8】
前記空調用ダクトは、前記電装部品を支持する部分として、側面視で前上がりに傾斜した傾斜部を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部との間で無線通信を行うためのアンテナを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、掘削作業機等の建設機械において、衛星や基地局等の外部との間で無線通信を行うためのアンテナを備えたものがある。従来、建設機械におけるアンテナの配置に関し、下部走行体に対して旋回可能に搭載された上部旋回体に設けられた運転室内にアンテナを配置した構成がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、建設機械の一種であるミニショベルにおいて、運転室内の運転席の背もたれ部の内部または運転席の着座部の内部に、外部の通信手段との通信を可能とするGPS(global positioning system)アンテナを配置した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GPSアンテナ等のアンテナは、比較的強い電波を送受信する装置である。このため、例えば特許文献1に開示された構成のように、運転席等の人体が近接する位置にアンテナを配置した構成によれば、アンテナが送受信する電波の人体への影響が懸念される。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、運転部の限られたスペースを有効活用しながらアンテナを運転席から離れた位置に配置することができる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る建設機械は、運転台を基部とする運転部に設けられた無線通信用のアンテナを備えた建設機械であって、前記運転台上に設けられた運転席と、前記運転席の左右一側の側方に配置された操作レバーと、を備え、前記アンテナは、前後方向について前記操作レバーの前方の位置、かつ左右方向について前記操作レバーの外側であって前記運転台の縁端の内側の位置に配置されているものである。
【0008】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記アンテナは、前記操作レバーの前方に配置されたモニタの下方に配置されているものである。
【0009】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、平面視で前記運転台の前記左右一側の縁部に沿って前記運転席より前方に延出された前後延出部、および前記前後延出部から立ち上がった起立部を有する空調用ダクトを備え、前記アンテナは、左右方向について前記起立部の外側の位置、かつ上下方向について前記起立部の上端よりも下方の位置に配置されているものである。
【0010】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記モニタは、前記空調用ダクトに対して前記起立部の上部に配置され、前記アンテナは、平面視で少なくとも一部を前記モニタに重ねるように配置されているものである。
【0011】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記空調用ダクトは、前記起立部における上下方向について前記アンテナの配置位置を含む部位に、左右内側に凹んだ凹部を有するものである。
【0012】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記運転台に対して前記空調用ダクトを支持するダクト支持フレームを備え、前記アンテナは、前記ダクト支持フレームに対して支持された状態で設けられているものである。
【0013】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、上下方向について前記アンテナより下方の位置に設けられ、前記空調用ダクトに対して支持された状態で設けられた電装部品を備えたものである。
【0014】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記空調用ダクトは、前記電装部品を支持する部分として、側面視で前上がりに傾斜した傾斜部を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、運転部の限られたスペースを有効活用しながらアンテナを運転席から離れた位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の左側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る運転部の左前方斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る運転部の平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る運転部の右後方斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る空調用ダクトおよびその周辺の構成を示す右側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る空調用ダクトおよびその周辺の構成を示す一部断面平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るアンテナの支持構成を示す右後方斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る空調用ダクトおよびその周辺の構成を示す一部切欠き断面平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るリレーボックスの支持構成を示す右後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、運転部の基台部を構成する運転台上に無線通信用のアンテナを設けた構成において、アンテナの配置を工夫することにより、アンテナと運転席との間の距離を十分に確保するとともに、アンテナについて良好なメンテナンス性を得ようとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本発明の実施の形態では、本発明に係る建設機械として、旋回作業車である掘削作業機(ショベル)を例にとって説明する。ただし、本発明に係る建設機械は、掘削作業機に限らず、例えば、ブルドーザ、クレーン作業機、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用可能である。
【0019】
本実施形態に係る掘削作業機1の全体構成について、
図1から
図3を用いて説明する。
図1および
図2に示すように、掘削作業機1は、自走可能な走行車体としての走行装置2と、走行装置2に取り付けられた作業部としての掘削装置3および排土装置4とを備える。
【0020】
走行装置2は、掘削作業機1の本機をなす部分であり、左右一対のクローラ式の走行部5,5と、左右の走行部5,5間に介設された基台としての機体フレーム6と、機体フレーム6上に設けられた旋回フレーム7とを有する。
【0021】
走行部5は、機体フレーム6に支持されたスプロケットやローラ等の複数の回転体に履帯を巻回した構成を有する。走行部5は、その後端部に駆動輪である駆動スプロケット5aを有する。機体フレーム6は、左右の走行部5,5間の中央部に位置するセンターフレーム部6aと、センターフレーム部6aの左右両側に設けられたサイドフレーム部6bとを有する。
【0022】
各走行部5には、走行用油圧モータ11が設けられている。走行用油圧モータ11は、各走行部5において、機体フレーム6のサイドフレーム部6b等の所定の部位に取り付けられた状態で、駆動スプロケット5aを回転駆動させるように設けられている。左右の走行用油圧モータ11がそれぞれ走行部5を駆動させることで、走行装置2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。
【0023】
旋回フレーム7は、機体フレーム6に対して、センターフレーム部6aの上側に設けられた旋回ベアリングを含む旋回支持部8を介して接続されており、上下方向の軸線回りに左右いずれの方向にも旋回可能に設けられている。旋回フレーム7は、旋回用の油圧モータである旋回モータ(図示せず)の駆動によって旋回する。
【0024】
旋回フレーム7上には、運転部10が設けられている。また、旋回フレーム7上の後部には、駆動源としてのエンジン12等を含む原動機部が設けられている。運転部10の右側には、燃料タンク14および作動油タンク15を収容したタンク収容部13が設けられている(
図2参照)。
【0025】
運転部10は、走行装置2、掘削装置3および排土装置4を運転・操作するためのものであり、旋回フレーム7に対して設けられたキャビン20内に設けられている。キャビン20は、その外形をなすフレームと、ガラス等の透明部材によって構成された複数の窓部とを有し、全体として略箱状に構成されている。キャビン20は、左側の側面部に、運転部10に対するオペレータの乗降口を開閉させる開閉扉20aを有する。
【0026】
キャビン20内においては、
図3に示すように、床部9上に運転席支持台16が設けられており、運転席支持台16上に運転席17が設けられている。運転席支持台16は、中空状に構成された箱状の部分であり、床部9に対して垂直状をなす前面部および左側面部、並びに運転席17の接地面部をなす水平状の上面部を有する。
【0027】
運転席17は、座面部17aおよび背もたれ部17bを有する。運転席17の前方には、左右一対の走行レバー18が、床部9から上方へ向けて延出した状態で設けられている。床部9上における左右の走行レバー18の左右両側には、作業用の複数の操作ペダル19が配設されている。また、運転席17の周囲には、掘削装置3や排土装置4等の作業部を操作するための作業操作レバー等の作業操作部や、スイッチ等の各種操作部を有する操作パネル部等が設けられている。
【0028】
作業操作部に関し、運転席17の左側には左側作業操作レバー21が設けられており、運転席17の右側には右側作業操作レバー22が設けられている。これらの左右の操作レバー21,22により、掘削装置3の操作が行われる。左側作業操作レバー21および右側作業操作レバー22は、いずれも基部側を蛇腹状のレバーブーツ21a,22aにより被覆させており、棒状の把持部をレバーブーツ21a,22aから上側に露出させている。これらの操作レバー21,22は、少なくとも前後左右に傾動操作可能に構成されている。
【0029】
右側作業操作レバー22は、運転席17の右側に隣接配置されたコンソール部23に対して設けられている。コンソール部23は、平面視で前後方向を長手方向とするように前後方向に延伸している。コンソール部23の前端部上に、右側作業操作レバー22が設けられている。右側作業操作レバー22は、平面視で略矩形状をなす運転席17の座面部17aの右前側の角部の右斜め前方に位置している。コンソール部23の後部の上面側に、ダイヤル等の操作部が設けられている。
【0030】
旋回フレーム7の前端の左右中央部には、掘削装置3の基端部が取り付けられている。掘削装置3は、その基端部を構成するブーム31と、ブーム31の先端側に連結されたアーム32と、アーム32の先端部に取り付けられたバケット33とを有する。また、掘削装置3は、ブーム31を回動動作させるブームシリンダ34と、アーム32を回動動作させるアームシリンダ35と、バケット33を回動動作させるバケットシリンダ36とを有する。
【0031】
ブーム31の基端部は、ブーム支持ブラケット37により支持されている。ブーム支持ブラケット37は、旋回フレーム7の前端の左右中央部に突設されたブラケット取付部38に支持されている。掘削装置3を構成するブームシリンダ34、アームシリンダ35およびバケットシリンダ36は、いずれも油圧ポンプ25(
図2参照)が吐出する圧油によって動作する油圧シリンダである。
【0032】
機体フレーム6の前側には、排土装置4が取り付けられている。排土装置4は、左右の走行部5,5間において前後方向に伸延する左右一対のアームを含む支持フレーム41と、支持フレーム41の先端側に設けられた排土板であるブレード42と、支持フレーム41を介してブレード42を昇降させるブレードシリンダ43とを有する。ブレードシリンダ43は、油圧ポンプ25が吐出する圧油によって動作する油圧シリンダである。
【0033】
支持フレーム41は、左右のアームの後端部を、機体フレーム6の前部に設けられた支持ブラケットに対して左右方向を回動軸方向として回動可能に支持させ、機体フレーム6に対して昇降回動可能に取り付けられている。ブレード42は、支持フレーム41の前端部に支持された状態で設けられている。ブレードシリンダ43は、機体フレーム6とブレード42の裏側との間に前後に架設された状態で設けられている。
【0034】
掘削作業機1は、機体フレーム6およびその左右両側に支持された走行部5,5を含む構成を下部走行体とし、下部走行体に対して旋回可能に搭載された上部旋回体を備える。上部旋回体は、旋回フレーム7と、旋回フレーム7上に設けられた運転部10やエンジン12やタンク収容部13等を含んで構成されている。
【0035】
以上のような構成を備えた掘削作業機1においては、運転席17に着座したオペレータにより走行レバー18や操作レバー21,22等が適宜操作されることで、所望の動作・作業が行われる。具体的には、例えば、左右の走行レバー18の操作により、左右の走行部5の操作による走行装置2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。また、操作レバー21,22の操作により、掘削装置3による掘削作業、あるいは排土装置4による排土作業や整地作業が行われる。
【0036】
掘削作業機1は、衛星や基地局等の外部との間で無線通信を行うための通信装置を備えている。通信装置は、掘削作業機1の位置を捕捉したり掘削作業機1の稼動状況や動作状態等を把握したりするための情報の送受信を行う。すなわち、通信装置は、例えば、GPS衛星からの電波を受信して掘削作業機1の位置を捕捉させる機能や、通信衛星等によるモバイル通信を用いて掘削作業機1についての各種の情報(例えばエンジン12の回転数等)を外部の基地局との間で相互に伝達する機能等を有する。
【0037】
通信装置は、制御部を構成する通信装置本体部51と、アンテナ52と、アンテナ52を通信装置本体部51に対して電気的に接続するアンテナケーブル53とを含む。アンテナ52は、例えば、GNSS衛星群からの電波を受信するGNSS受信機(GNSSアンテナ)や、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPS受信機(GPSアンテナ)である。
【0038】
通信装置を構成する通信装置本体部51、アンテナ52およびアンテナケーブル53は、運転部10における所定の位置に配置されている。本実施形態では、通信装置本体部51、アンテナ52およびアンテナケーブル53は、いずれもキャビン20内に設けられている。
【0039】
通信装置本体部51は、運転席17が設置された運転席支持台16の水平状の上面部における左端部に配置され、運転席17の左方に位置している。通信装置本体部51は、扁平なボックス状の外形を有し、運転席支持台16の上面部に対してボルト等の固定具によって固定されるとともに、上側から保護板54により被覆された状態で設けられている。
【0040】
アンテナ52は、運転部10における右前側の隅部近傍に配置されている。アンテナ52は、扁平な円筒状の外形を有し、その外形における中心軸(筒軸)方向を上下方向とする向きで設けられている。
【0041】
アンテナケーブル53は、アンテナ52から下方に延出しており、キャビン20内の右側の縁部に沿って後方に向けて配され、運転席支持台16の後側を回り込み、運転席17の左方に位置する通信装置本体部51に対して接続されている。なお、
図5においては、アンテナケーブル53の配線経路を二点鎖線で示している。
【0042】
このように、掘削作業機1は、運転台50を基部とする運転部10に設けられた無線通信用のアンテナ52を備えている。運転台50は、床部9を含んで運転部10の基部を構成する水平状の基台部分であり、平面視で略矩形状の外形を有する(
図4参照)。運転台50は、運転部10を被覆するキャビン20に対する底面部を構成している。運転台50上における所定の位置に、アンテナ52が配置されている。以下、アンテナ52の配置構成およびその周囲の構成について、
図3から
図10を用いて説明する。
【0043】
掘削作業機1は、運転台50上に運転席支持台16を介して設けられた運転席17と、運転席17の左右一側である右側の側方に配置された操作レバーとしての右側作業操作レバー22とを備える。このような構成において、アンテナ52は、平面視で運転席17の右斜め前方の位置に配置されている。具体的には、アンテナ52は、前後方向について右側作業操作レバー22の前方の位置、かつ左右方向について右側作業操作レバー22の外側であって運転台50の縁端の内側の位置に配置されている。
【0044】
図4に示すように、前後方向について、アンテナ52は、その全体を、右側作業操作レバー22の前端位置P1よりも前方に位置させるように配置されている。右側作業操作レバー22の前端位置P1は、例えば、レバーの可動範囲の前端の位置、あるいはレバーブーツ22aの前端の位置である。すなわち、アンテナ52は、前後方向について、右側作業操作レバー22の可動範囲を含む右側作業操作レバー22の配置領域よりも前方の位置に設けられている。なお、アンテナ52は、前後方向について、少なくとも一部を右側作業操作レバー22よりも前方に位置させるように設けられればよい。
【0045】
左右方向について、アンテナ52は、その全体を、右側作業操作レバー22の外側(右側)の端である右端位置P2と運転台50の右側の縁端の位置P3との間の範囲D1に位置させるように配置されている。右側作業操作レバー22の右端位置P2は、例えば、レバーの可動範囲の右端の位置、あるいはレバーブーツ22aの右端の位置である。すなわち、アンテナ52は、左右方向について、右側作業操作レバー22の可動範囲を含む右側作業操作レバー22の配置領域よりも右方の位置に設けられている。なお、アンテナ52は、左右方向について、少なくとも一部を範囲D1内に位置させるように設けられればよい。
【0046】
また、掘削作業機1は、運転台50を覆うキャビン20を備えている(
図1参照)。このような構成において、アンテナ52は、左右方向について、右側作業操作レバー22とキャビン20の右側の側壁部である右側壁部20bとの間に配置されている(
図4参照)。
【0047】
キャビン20の右側壁部20bは、キャビン20の右側において、全体として略左右方向を厚さ方向とした垂直状の面部を構成している。本実施形態では、右側壁部20bは、平面視において運転台50の右側の縁端部に沿うように、左右方向について運転台50の右側の縁端部と略同じ位置に位置している。ただし、右側壁部20bの左右方向の位置に関し、運転台50の右側の縁端部との位置関係は限定されるものではなく、右側壁部20bは、運転台50の右側の縁端部の外側(右側)または内側(左側)に位置するように設けられていてもよい。
【0048】
上述のとおり運転台50上において左右方向について右側作業操作レバー22の右側に配置されたアンテナ52は、キャビン20の右側壁部20bに対して左側に位置するように設けられている。すなわち、左右方向について、アンテナ52は、その全体を、右側作業操作レバー22の右端位置P2と、右側壁部20bの左側面の位置P4との間の範囲D2に位置させるように配置されている。
【0049】
したがって、キャビン20を備えた構成において、アンテナ52は、左右方向について、右側作業操作レバー22の可動範囲を含む右側作業操作レバー22の配置領域よりも右方の位置であって、かつキャビン20の内部の位置に設けられている。なお、アンテナ52は、左右方向について、少なくとも一部を範囲D2内に位置させるように設けられればよい。
【0050】
また、アンテナ52は、掘削作業機1がキャビン20内に備えた空調用ダクト60に対して付設された態様で設けられている。空調用ダクト60は、掘削作業機1が備える空調ユニット(図示略)に対して設けられている。空調ユニットは、キャビン20の室内に対する冷暖房運転を行う空調装置の室内機をなす装置構成であり、室外機としてのコンデンサユニット(図示略)とともに空調装置を構成している。
【0051】
空調ユニットは、中空状の運転席支持台16の内部に設けられており、運転席17の下方に配置されている。空調ユニットは、エバポレータやヒータコア等を含む熱交換器と、熱交換器に空気を送風する送風ファンとを有する。運転席支持台16の内部に設けられた空調ユニットは、運転席支持台16の左側を外気の吸込み側とし、運転席支持台16の右側を空調用の空気の吐出側としている。運転席支持台16の左側面部には、外気取込み用の通気口部16aが設けられている(
図3参照)。
【0052】
空調用ダクト60は、空調ユニットで得られた空調用の空気をキャビン20の室内に送付するためのダクトであり、主に樹脂製の部材により構成されている。空調用の空気としては、熱交換器のエバポレータにより生起される冷気等が、図示せぬコンプレッサにより空調用ダクト60内を圧送され、キャビン20の室内に対して設けられた複数の吹出口から吹き出す。
【0053】
空調用ダクト60は、運転席支持台16の空調ユニットの収納空間に対して右側に連通するように設けられている。空調用ダクト60は、平面視で運転席支持台16の右側から前方に向けて延設されており、キャビン20の右側壁部20bの内側に沿うように設けられている。空調用ダクト60は、ダクト形状をなす部分として、空調用ダクト60の後部を形成する前後延出部61と、前後延出部61の前側に設けられて空調用ダクト60の前部を形成する起立部62とを有する。
【0054】
前後延出部61は、平面視で運転台50の右側の縁部に沿って運転席17より前方に延出されたダクト部分である。前後延出部61は、運転席支持台16と略同じ高さを有するとともに、前後方向を長手方向とした略四角筒状の外形を有し、運転台50上に沿って設けられている。前後延出部61は、その後部を、空調ユニットの吐出側である運転席支持台16の右側の側方部に対して全体的に接合させた態様で、空調ユニットの収納空間に連通接続させている。
【0055】
起立部62は、前後延出部61から立ち上がったダクト部分である。起立部62は、前後延出部61の前端部から斜め上前方に延出した傾斜部63と、傾斜部63の前側から傾斜部63に対して急な角度で立ち上がった起立本体部64とを含む。
【0056】
傾斜部63は、側面視で水平方向に対して所定の角度(例えば約40°)の傾斜をなすように略直線状に沿って傾斜状に配された部分である。起立本体部64は、側面視で前側(
図6における右側)を凸側とした緩やかな湾曲形状を有し、起立部62の前部の形態として、傾斜部63の前側から反り上がった形態をなしている。起立部62は、側面視形状として、後側から前側にかけて、傾斜部63により傾斜状に徐々に立ち上がるとともに、起立本体部64により前部を比較的急に立ち上げた形状を有する。
【0057】
空調用ダクト60には、複数の吹出口として、前後延出部61の左右内側(左側)に設けられた第1吹出口71と、起立本体部64に設けられた第2吹出口72、第3吹出口73および第4吹出口74とを有する。
【0058】
第1吹出口71は、運転席17に着座したオペレータの足元に向かうように設けられた足元用の吹出口である。第2吹出口72は、運転席17に着座したオペレータの上半身あるいは頭部に向かうように設けられている。第2吹出口72は、空調用ダクト60の起立本体部64において運転席17に向かうように円筒状の外形を有しながら左右内側かつ斜め後上方に向けて分岐状に突出した円筒部65の端面部に設けられている。第1吹出口71および第2吹出口72は、いずれも円形状の開口形状を有する。第1吹出口71および第2吹出口72の各吹出口には、開口形状に対応して円形状の外形を有する風量調整用のルーバ71a,72aが設けられている。
【0059】
第3吹出口73は、起立本体部64の上下中間部において左右内側に向けて設けられている。第4吹出口74は、第3吹出口73の上方に位置し、起立本体部64の上端部に、左右内側かつ斜め前上方に向けて設けられている。第3吹出口73および第4吹出口74は、いずれも矩形状の開口形状を有する。第3吹出口73および第4吹出口74の各吹出口には、開口形状に対応して矩形状の外形を有する風量調整用のルーバ73a,74aが設けられている。
【0060】
空調用ダクト60には、主に空調用ダクト60の起立部62を被覆するダクトカバーとしてのカバー部材77が設けられている。カバー部材77は、空調用ダクト60の外形に応じた所定の被覆形状を有する樹脂製の板状部材であり、空調用ダクト60の起立本体部64のうち、キャビン20の右側壁部20bに面する右側以外の略全体を被覆している。カバー部材77は、空調用ダクト60の起立部62とともにダクト部の起立部分であるダクト起立部78を構成している。カバー部材77は、第1吹出口71、第2吹出口72、第3吹出口73および第4吹出口74の各吹出口の位置に対応した開口部を有し、各吹出口を外部に臨ませるように設けられている。
【0061】
以上のような構成において、アンテナ52は、左右方向について空調用ダクト60の起立部62の外側の位置、かつ上下方向について起立部62の上端よりも下方の位置に配置されている。
【0062】
図7および
図8に示すように、左右方向について、アンテナ52は、起立部62の前部をなす起立本体部64に対して、左右方向の外側(右側)の位置に配置されている。アンテナ52は、起立本体部64の右側において、起立本体部64に形成された傾斜右側面部64aに対して平面視で大部分を重ねる位置に配置されている。これにより、アンテナ52は、空調用ダクト60の起立部62に対して平面視で大部分を重ねるように配置されている。
【0063】
傾斜右側面部64aは、起立本体部64の下部の右側面部であり、正面視において下側から上側にかけて徐々に左右外側(右側)から左右内側(左側)に向かうように傾斜した面部である。傾斜右側面部64aは、空調用ダクト60の傾斜部63の右側面部63aの上側に滑らかに連続している。
【0064】
上下方向について、アンテナ52は、その全体を、起立部62の起立本体部64の上端位置Q1より下方に位置させるように配置されている(
図6参照)。起立本体部64の上端部は、起立本体部64の上端部に設けられた矩形状の第4吹出口74の形成部位の上側の角部64bとなっている。アンテナ52は、起立本体部64に対して、上下方向について略中央の位置に配置されている。
【0065】
起立本体部64の右側にアンテナ52を位置させる空調用ダクト60は、起立本体部64において、起立部62の起立本体部64における上下方向についてアンテナ52の配置位置を含む部位に、左右内側に凹んだ凹部66を有する。凹部66は、傾斜右側面部64aの上側に滑らかに連続した凹面部により形成されている。
【0066】
凹部66は、起立本体部64の略上半部の右側であって起立本体部64に対する円筒部65の分岐部分を含む部位に、平面断面視で湾曲状の凹形状をなすように形成されている(
図9参照)。凹部66をなす凹面部は、起立本体部64の上部の後側の面部67aと、円筒部65の右側の面部67bとを有し、右側面視で、起立本体部64と円筒部65の分岐形状にならって略「Y」字状をなす部位に形成されている。
【0067】
以上のように空調用ダクト60の起立本体部64の右側に配置されたアンテナ52は、運転台50上に立設されたダクト支持フレーム80に対して支持された状態で設けられている。ダクト支持フレーム80は、下フレーム部材により構成されダクト支持フレーム80の下半部をなす下フレーム部81と、上フレーム部材により構成されダクト支持フレーム80の上半部をなす上フレーム部82とを有する。なお、
図5においてはダクト支持フレーム80の図示を省略している。
【0068】
下フレーム部81および上フレーム部82の各フレーム部をなすフレーム部材は、上下方向を延伸方向とした長手状の部材であり、直列配置された状態で溶接等によって互いに固定され、一体的な支柱状のダクト支持フレーム80を形成している。ダクト支持フレーム80は、全体として略垂直状に立設されており、上端を空調用ダクト60の上端と略同じ高さに位置させている。
【0069】
ダクト支持フレーム80は、下フレーム部81および上フレーム部82の各部において、左右方向を板厚方向とした右側面部81a,82aと、前後方向を板厚方向とした前面部81b,82bとを有する。右側面部81a,82aおよび前面部81b,82bは、平面断面視で略「L」字状をなす部分として、上下方向についてダクト支持フレーム80の略全体にわたる範囲に形成されている。
【0070】
ダクト支持フレーム80は、下フレーム部81の下端部に固定面部83を有する。固定面部83は、ダクト支持フレーム80の延伸方向に対して垂直状の(水平状の)板面部である。固定面部83は、下フレーム部81の右側面部81aの下端から左右内側(左側)に向けて直角状に屈曲形成された内側部分と、前面部81bの下側から前側に向けて突出した外側部分とを含む。
【0071】
ダクト支持フレーム80は、運転台50の右前側の部分に形成された水平状の支持面部50aに対して、固定面部83および支持面部50aを貫通してナット85に螺挿される固定ボルト84により2箇所で締結固定されている(
図6参照)。運転台50の支持面部50aは、運転台50の他の大部分に対して突出した部分であって右側面視で略台形状をなす支持台部50bの上面部として設けられている。
【0072】
ダクト支持フレーム80は、下フレーム部81の下端部を、下フレーム部81の上側の他の部分に対して幅(前後方向の寸法)を後側に広げた幅広部81cとしている。ダクト支持フレーム80は、幅広部81cにおいて、固定ボルト86により、空調用ダクト60の固定を受けている。
【0073】
固定ボルト86は、空調用ダクト60の支持突片部68を左側から貫通し、幅広部81cの内側(左側)に突設された円筒状のボス部69に螺挿され、ダクト支持フレーム80に対して空調用ダクト60を締結固定させている(
図8参照)。支持突片部68は、ダクト支持フレーム80に対する空調用ダクト60の固定部分であり、略左右方向を板厚方向とした板状の突片部分として、傾斜部63の前端部の下側に下方に向けて突出するように形成されている。
【0074】
以上のように運転台50上に立設されて空調用ダクト60に固定され、空調用ダクト60の支持に用いられるダクト支持フレーム80において、上フレーム部82の下部に、アンテナ52を支持するアンテナ支持プレート87が設けられている。アンテナ支持プレート87は、水平板状の部分であり、上フレーム部82の右側面部82aおよび前面部82bによる断面略「L」字状の内側に設けられている。
【0075】
アンテナ支持プレート87は、所定の形状を有する板状部材を右側面部82aおよび前面部82bの各部に対して溶接等によって固定することにより設けられている。アンテナ支持プレート87は、平面視外形をなす縁部として、右側面部82aの内側に沿う前後方向の直線状の右辺部87a、前面部82bの内側に沿う左右方向の直線状の前辺部87b、および円弧形状に沿う円弧部87cとを有する。アンテナ支持プレート87は、右辺部87a、前辺部87bおよび円弧部87cにより、右前側を直角状の角部とした異形の円形状(略水滴形状)の平面視外形をなしている(
図9参照)。アンテナ支持プレート87は、平面視で円形状の外形を有するアンテナ52に対して一回り大きな外形寸法を有する。
【0076】
アンテナ52は、アンテナ支持プレート87上に載置された状態で、ネジ等の固定具等によってアンテナ支持プレート87に固定されている。アンテナ支持プレート87には、アンテナ52の下面部から延出されたアンテナケーブル53との干渉を避けるための貫通状の開口部87dが形成されている(
図9参照)。開口部87dは、アンテナ支持プレート87の中心部から後方側に向けて直線状に切り欠かれた部分として形成されている。
【0077】
ダクト支持フレーム80には、掘削作業機1がキャビン20内の運転部10において備えるモニタ90が支持されている。モニタ90は、掘削作業機1の各種状況・状態等をオペレータ等に対して表示する表示装置である。モニタ90は、略矩形板状の外形を有し、矩形状の表示画面91と、表示画面の下側に配置された複数の操作ボタン92とを有する。モニタ90は、例えばタッチパネル機能を有する液晶モニタであり、背面側から延出したモニタケーブル93(
図6参照)により、掘削作業機1が備えた制御部(図示略)に接続されている。制御部によりモニタ90の表示内容が制御される。なお、
図8においてはモニタ90の図示を省略している。
【0078】
モニタ90は、右側作業操作レバー22の前方に配置されており、ダクト支持フレーム80の上端部に設けられたモニタ支持板部88に固定された状態で設けられている。モニタ支持板部88は、上フレーム部82を構成する上フレーム部材の上端に屈曲形成された部分として設けられている。モニタ支持板部88は、上フレーム部82の右側面部82aを形成する部分の上端から左右内側に向けて屈曲形成されている。モニタ支持板部88は、その四隅をなす左右の辺部およびこれらの辺部同士をつなぐ中間部により略「H」状の板形状を有する(
図8参照)。右側の辺部の上部が、右側面部82aの上端部につながっている。
【0079】
モニタ支持板部88は、モニタ90の表示画面の向きに応じて、板面をモニタ90の表示画面91と平行とするように設けられている。モニタ支持板部88は、後側にモニタ90を支持固定させ、モニタ90の背面側からモニタ90を支持している。モニタ90は、運転席17の右斜め前方に位置されており、表示画面91が運転席17に着座した状態のオペレータに向くように、表示画面91を左斜め上方に向けて設置されている。モニタ支持板部88は、モニタ90の向きに応じて傾斜状に設けられている。
【0080】
モニタ90は、モニタ支持板部88に対して、略矩形板状の外形における四隅をボルト等の固定具89によって固定されている(
図6参照)。固定具89は、モニタ支持板部88を貫通してモニタ90のケース部分の背面側に突出形成されたボス部90aに螺挿されている。モニタ支持板部88の四隅には、固定具89を貫通させる孔部88aが形成されている(
図8参照)。モニタ支持板部88においては、略「H」状の外形における下側の凹部88bが、モニタケーブル93との干渉を避けるための部分として用いられている。
【0081】
このようにダクト支持フレーム80の上端部に支持されたモニタ90は、空調用ダクト60との関係において、起立部62の起立本体部64の上部に配置されている。詳細には、左右方向について、モニタ90は、起立本体部64の上端部をなす角部64bとともに第4吹出口74を形成する部分に対して一部を重ねるように、起立本体部64の右側の近傍に配置されている。また、左右方向について、モニタ90は、起立本体部64の上部に形成された円筒部65に対して左側の略半分の部分を重ねる位置に設けられている。
【0082】
また、前後方向について、モニタ90は、その全体を、空調用ダクト60の前端位置R1よりも後方に位置させるように設けられている(
図7参照)。空調用ダクト60の前端位置R1は、起立本体部64における第4吹出口74の形成部位の前上側の角部64cの前端の位置である。
【0083】
アンテナ52は、モニタ90との関係において、平面視で少なくとも一部をモニタ90に重ねるようにモニタ90の下方に配置されている。本実施形態では、アンテナ52は、上フレーム部82の下部に配置支持され、ダクト支持フレーム80の上下中間部に設けられており、モニタ90は、ダクト支持フレーム80の上端部に配置支持されている。これにより、アンテナ52は、モニタ90の下方に位置している。
【0084】
そして、アンテナ52は、平面視で略全体をモニタ90に重ねるように配置されている。具体的には、
図7に示すように、モニタ90の下方に配置されたアンテナ52は、モニタ90の平面視外形の範囲内に、円形状の平面視外形における前端部以外の略全体を位置させている。言い換えると、平面視において、アンテナ52は、モニタ90との関係において、円形状の外形における前端部を、モニタ90から前側にはみ出させるような位置に配置されている。
【0085】
以上のようにアンテナ52およびモニタ90を支持するダクト支持フレーム80は、その全体を、カバー部材77とキャビン20の右側壁部20bとの間の空間の内部に位置させ、空調用ダクト60とともに外部に対して隠れた状態となっている。カバー部材77には、モニタ90の略矩形状の外形に沿うとともに右側を開放側とした切欠部77aを有し(
図5参照)、切欠部77aに対してモニタ90を嵌合させた態様で、モニタ90を外部に臨ませている。
【0086】
また、空調用ダクト60に対しては、掘削作業機1が備える電装部品の一例であるリレーボックス100が支持されている。リレーボックス100は、概略的に直方体状の外形を有する。リレーボックス100は、掘削作業機1が備える電気部品(例えば、電磁制御式の制御弁、作動油の温度センサ等の各種センサ、エンジンのスタータモータ等)についての電気系統を構成する複数のリレーを収容したケースである。リレーボックス100内の各リレーには、電気配線(図示略)が接続されている。
【0087】
掘削作業機1は、リレーボックス100として、互いに略同じ外形形状・寸法を有する2つのリレーボックス100A,100Bを備えている。2つのリレーボックス100は、空調用ダクト60の傾斜部63の上方に配置されている。2つのリレーボックス100は、平面視で長手方向を前後方向とするとともに、長手方向を傾斜部63の傾斜に沿わせ、互いの間に隙間101を隔てて直列状に配置されている。2つのリレーボックス100は、空調用ダクト60に対して、支持プレート102および支持フレーム103を介して支持されている。
【0088】
支持プレート102は、略左右方向を板厚方向とする向きで空調用ダクト60の傾斜部63の右側に設けられており、傾斜部63の右側面部63aの前後中間部を右側から覆うように設けられている。支持プレート102は、運転台50の支持台部50bに対して固定支持されるとともに、空調用ダクト60の傾斜部63に固定されており、運転台50の支持台部50bに対して空調用ダクト60を支持している。
【0089】
支持プレート102は、下端部において、運転台50の支持面部50aおよび支持面部50aの後側に形成された後下がりの傾斜面部50cに沿う形状を有する。傾斜面部50cは、側面視で空調用ダクト60の傾斜部63の傾斜と同一または略同一の傾斜を有する。つまり、傾斜面部50cは、側面視で傾斜部63と平行状となるように設けられている。
【0090】
支持プレート102は、下端部の前部に、支持面部50aに対する固定面部104を有し、下端部の後部に、傾斜面部50cに対する固定面部105を有する(
図6参照)。これらの固定面部104,105は、支持プレート102の本体部分に対する左右内側(左側)への直角状の屈曲面部として形成されている。
【0091】
支持プレート102は、固定面部104を支持面部50aの後部に対して上側から重ね、固定ボルト106により固定面部104を支持面部50aに対して締結固定させている。固定ボルト106は、固定面部104および支持面部50aを貫通し、ナット107に螺合している。また、支持プレート102は、固定面部105を傾斜面部50cに対して上側から重ね、固定ボルト108により固定面部105を傾斜面部50cに対して締結固定させている。固定ボルト108は、固定面部105および傾斜面部50cを貫通し、ナット109に螺合している。
【0092】
支持プレート102は、その上部を、側面視で空調用ダクト60の傾斜部63より上方に延出させた支持面部112としている。支持面部112は、支持プレート102のうち、傾斜部63の傾斜上面部63bからの上側へのはみ出し部分であり、傾斜部63の傾斜に沿った方向を長手方向とした長方形状の領域部分である。傾斜上面部63bは、傾斜部63において、右側面部63aとともに傾斜部63の傾斜に沿った直線状の稜線部63cを形成している。
【0093】
支持プレート102は、支持面部112において、固定ボルト115により、空調用ダクト60の固定を受けている。固定ボルト115は、空調用ダクト60の支持突片部116を左側から貫通し、支持面部112の右側に設けられたナット部118に螺挿され、支持面部112に対して空調用ダクト60を締結固定させている。支持突片部116は、支持プレート102に対する空調用ダクト60の固定部分であり、略左右方向を板厚方向とした板状の突片部分として、上側に突出するように形成されている。支持突片部116は、傾斜上面部63bの右側の縁部において、稜線部63cに沿うように、傾斜部63の前部および後部の2箇所に設けられている。つまり、支持プレート102は、空調用ダクト60に対して固定ボルト115等によって前後2箇所で固定されている。
【0094】
支持フレーム103は、所定の形状を有する板状の部材であり、所定の幅を有する直線状の基部121と、基部121から基部121の延伸方向に対して垂直な方向に上側に突出した複数の係合突片部122と、基部121の前側の端部から係合突片部122と同じ向きに延出した支持アーム部123とを有する(
図10参照)。支持フレーム103は、基部121、複数の係合突片部122および支持アーム部123により、略櫛歯型の形状をなしている。支持フレーム103は、基部121を支持プレート102の支持面部112の上縁部に沿わせ、支持面部112の内側(左側)に対して基部121の大部分を溶接等によって固定されている。
【0095】
支持フレーム103は、複数の係合突片部122を、各リレーボックス100の右側面部に設けられた被係合部110に対して挿嵌させた状態でリレーボックス100に係合し、支持プレート102に対してリレーボックス100を支持している。被係合部110は、矩形板状の係合突片部122を差し込ませる差込み孔部を有する。各リレーボックス100には、前後の2箇所に被係合部110が設けられており、各リレーボックス100は、前後の2箇所で係合突片部122により支持されている。
【0096】
2つのリレーボックス100に対しては、これらを上側および左側から部分的に被覆する保護プレート125が設けられている。保護プレート125は、前側のリレーボックス100Bの上面部の全体および左側面部の大部分を被覆するとともに、後側のリレーボックス100Aの上面部および左側面部それぞれの前側の一部を被覆するように設けられている。
【0097】
保護プレート125は、その上面部125aを、支持フレーム103の支持アーム部123の上端部からの左側への屈曲面部123aに対してボルト126および図示せぬナットにより締結固定させている。また、保護プレート125は、その左側面部125bを、前後のリレーボックス100の間の隙間101に設けられた支持ステー127に対して、ボルト128により上下2箇所で締結固定させている。各ボルト128は、支持ステー127が有する円筒状のボス部127aに螺挿されている。
【0098】
以上のように2つのリレーボックス100を備えた掘削作業機1は、アンテナ52とリレーボックス100との関係において、次のような配置構成を有する。すなわち、リレーボックス100は、上下方向についてアンテナ52より下方の位置に設けられ、空調用ダクト60に対して支持された状態で設けられている。
【0099】
図6に示すように、側面視で傾斜状に直列配置された2つのリレーボックス100は、いずれも、アンテナ52を載置状態で支持するアンテナ支持プレート87の高さ位置S1より下方に位置している。つまり、上側に位置する前側のリレーボックス100Bの上端の高さ位置S2は、アンテナ支持プレート87の高さ位置S1よりも下方に位置し、2つのリレーボックス100は、それぞれ全体をアンテナ52の下方に位置させるように配置されている。
【0100】
また、空調用ダクト60は、2つのリレーボックス100を支持する部分として、側面視で前上がりに傾斜した傾斜部63を有する。傾斜部63は、前後2箇所の支持突片部116に支持プレート102を固定させ、支持プレート102および支持フレーム103を介して、2つのリレーボックス100を傾斜部63の傾斜に沿わせて直列状に配置した態様で固定支持している。したがって、2つのリレーボックス100は、傾斜部63の傾斜上面部63bの上方において、側面視で水平方向に対して傾斜部63と同様の傾斜角度(例えば約40°)の傾斜角度をなすように直列状に配置支持されている。
【0101】
本実施形態では、空調用ダクト60に支持された電装部品としてリレーボックス100を例示しているが、空調用ダクト60に支持される電装部品は、掘削作業機1が備える電装部品であればよい。掘削作業機1が備える電装部品としては、例えば、バッテリ、コントローラ、コンバータ等の各種電気電子機器が挙げられる。
【0102】
以上のような本実施形態に係る掘削作業機1におけるアンテナ52の配置構成によれば、運転部10の限られたスペースを有効活用しながらアンテナ52を運転席17から離れた位置に配置することができる。
【0103】
運転部10において、アンテナ52は、右側作業操作レバー22の前方の位置、かつ右側作業操作レバー22の外側(右側)であって運転台50の縁端の内側の位置に配置されている。このような構成によれば、比較的強い電波を送受信する装置であるアンテナ52を、運転席17に着座したオペレータから離間した位置に設置することができるので、アンテナ52が送受信する電波のオペレータの人体への影響を低減することができる。
【0104】
また、アンテナ52は、右側作業操作レバー22とキャビン20の右側壁部20bとの間に配置されている。このような構成によれば、キャビン20内の限られたスペースを有効活用しながらアンテナ52を運転席17から離れた位置に配置することができる。特に、本実施形態では、アンテナ52は、キャビン20の右側壁部20bの内壁面に対して近接した位置に隣接配置されている。また、アンテナ52は、キャビン20の右側壁部20bに対して直接対向した部分、つまり右側壁部20bとの間に物体を介在させていない部分を有する。このような構成によれば、キャビン20内の限られたスペースを効果的に有効活用しながらアンテナ52を運転席17から離れた位置に配置することができる。
【0105】
また、アンテナ52は、右側作業操作レバー22の前方に配置されたモニタ90の下方に配置されている。このような構成によれば、モニタ90の下方のスペースを有効活用しながらアンテナ52を運転席17から離れた位置に配置することができる。
【0106】
また、アンテナ52は、運転部10に設けられた空調用ダクト60に対して、起立部62の外側(右側)の位置、かつ起立部62の上端よりも下方の位置に配置されている。このような構成によれば、空調用ダクト60の左右外側のスペースを有効活用しながら、アンテナ52を運転席17から離れた位置に配置することができる。また、運転席17に対して空調用ダクト60を遮蔽部として機能させることにより、アンテナ52が送受信する電波のオペレータの人体への影響を低減することができる。
【0107】
また、モニタ90は、空調用ダクト60およびカバー部材77を含むダクト起立部78の上部に配置され、アンテナ52は、平面視で少なくとも一部をモニタ90に重ねるように配置されている。このような構成によれば、空調用ダクト60の左右外側であってモニタ90の周囲のスペースを有効活用しながらアンテナ52を運転席17から離れた位置に配置することができる。
【0108】
また、アンテナ52およびモニタ90を互いに近傍に配置することができるので、これらの電装部品について良好なメンテナンス性および組付け性を得ることができる。具体的には、例えば、カバー部材77を取り外すことにより、アンテナ52およびモニタ90に対して容易にアクセスすることが可能となるため、これらの電装部品についてのメンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【0109】
また、空調用ダクト60の起立部62の左右外側に配置した構成において、空調用ダクト60は、起立部62におけるアンテナ52の配置側に、左右内側(左側)に凹んだ凹部66を有する。このような構成によれば、起立部62の左右外側のスペースを、アンテナ52の配置スペース、アンテナ52のメンテナンス用のスペース、アンテナ52の着脱時の作業用のスペース等として効率的に利用することが可能となる。
【0110】
また、掘削作業機1は、運転台50に対して空調用ダクト60を支持するダクト支持フレーム80を備え、アンテナ52は、ダクト支持フレーム80に対して支持された状態で設けられている。このような構成によれば、空調用ダクト60を支持するための構成をアンテナ52の支持に兼用することができるため、アンテナ52を支持するための構成を簡略化することができ、空調用ダクト60の左右外側のスペースを有効活用することができる。また、ダクト支持フレーム80は、比較的大型の装置構成である空調用ダクト60を支持する堅固なフレーム構成であるため、アンテナ52をしっかりと支持することができる。
【0111】
また、空調用ダクト60に対しては、アンテナ52より下方に配置された2つのリレーボックス100が支持プレート102および支持フレーム103を介して支持された状態で設けられている。このような構成によれば、アンテナ52およびリレーボックス100を互いに近傍に配置することができるので、これらの電装部品をアクセスが良い場所にまとめて配置することができ、これらの電装部品について良好なメンテナンス性および組付け性を得ることができる。また、空調用ダクト60の周囲のスペースをリレーボックス100の配置スペースとして有効活用することができる。
【0112】
また、空調用ダクト60は、リレーボックス100を支持する部分として、側面視で前上がりに傾斜した傾斜部63を有する。このような構成によれば、運転部10に配された空調用ダクト60の傾斜部63の上方の空間をリレーボックス100の配置スペースとして利用することができ、運転部10のスペースを効率的に利用することができる。なお、空調用ダクト60に支持されるリレーボックス100の数は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0113】
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係る建設機械は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
【0114】
上述した実施形態では、掘削作業機1は、運転部10を覆うキャビン20を備えたキャビン仕様の構成を備えているが、本発明に係る建設機械は、キャビン仕様の構成に限定されず、例えば、ルーフ部を複数の支柱等によって支持したキャノピを備えたキャノピ仕様の構成や、キャビンおよびキャノピのいずれも備えておらず運転部を露出させた構成のものであってもよい。
【0115】
また、上述した実施形態では、アンテナ52は運転部10の右側の端に配置されているが、アンテナ52は、運転部10の左側の端に配置されてもよい。この場合、アンテナ52は、運転席17の左側の側方に配置された左側作業操作レバー21との関係において、前後方向について左側作業操作レバー21の前方の位置、かつ左右方向について左側作業操作レバー21の外側(左側)であって運転台50の縁端の内側の位置に配置される。
【0116】
本技術は、以下のような構成を取ることができる。なお、以下に記載の構成は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0117】
(1)
運転台を基部とする運転部に設けられた無線通信用のアンテナを備えた建設機械であって、
前記運転台上に設けられた運転席と、
前記運転席の左右一側の側方に配置された操作レバーと、を備え、
前記アンテナは、前後方向について前記操作レバーの前方の位置、かつ左右方向について前記操作レバーの外側であって前記運転台の縁端の内側の位置に配置されている
ことを特徴とする建設機械。
(2)
前記アンテナは、前記操作レバーの前方に配置されたモニタの下方に配置されている
ことを特徴とする前記(1)に記載の建設機械。
(3)
平面視で前記運転台の前記左右一側の縁部に沿って前記運転席より前方に延出された前後延出部、および前記前後延出部から立ち上がった起立部を有する空調用ダクトを備え、
前記アンテナは、左右方向について前記起立部の外側の位置、かつ上下方向について前記起立部の上端よりも下方の位置に配置されている
ことを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載の建設機械。
(4)
前記モニタは、前記空調用ダクトに対して前記起立部の上部に配置され、
前記アンテナは、平面視で少なくとも一部を前記モニタに重ねるように配置されている
ことを特徴とする前記(2)に記載の建設機械。
(5)
前記空調用ダクトは、前記起立部における上下方向について前記アンテナの配置位置を含む部位に、左右内側に凹んだ凹部を有する
ことを特徴とする前記(3)または前記(4)に記載の建設機械。
(6)
前記運転台に対して前記空調用ダクトを支持するダクト支持フレームを備え、
前記アンテナは、前記ダクト支持フレームに対して支持された状態で設けられている
ことを特徴とする前記(3)~(5)のいずれか1つに記載の建設機械。
(7)
上下方向について前記アンテナより下方の位置に設けられ、前記空調用ダクトに対して支持された状態で設けられた電装部品を備えた
ことを特徴とする前記(3)~(6)のいずれか1つに記載の建設機械。
(8)
前記空調用ダクトは、前記電装部品を支持する部分として、側面視で前上がりに傾斜した傾斜部を有する
ことを特徴とする前記(7)に記載の建設機械。
【符号の説明】
【0118】
1 掘削作業機(建設機械)
10 運転部
17 運転席
20 キャビン
20b 右側壁部(側壁部)
22 右側作業操作レバー(操作レバー)
50 運転台
52 アンテナ
60 空調用ダクト
61 前後延出部
62 起立部
63 傾斜部
64 起立本体部
66 凹部
80 ダクト支持フレーム
90 モニタ
100 リレーボックス(電装部品)