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特開2024-130923落下防止装置、昇降機、溶接システム、及び落下防止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130923
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】落下防止装置、昇降機、溶接システム、及び落下防止方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20240920BHJP
   B66F 7/14 20060101ALI20240920BHJP
   B66F 3/08 20060101ALI20240920BHJP
   B66F 5/04 20060101ALI20240920BHJP
   F15B 11/044 20060101ALI20240920BHJP
   B23K 37/047 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F15B11/02 F
B66F7/14
B66F3/08 J
B66F5/04
F15B11/044
B23K37/047 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040887
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小林 宣秀
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA24
3H089AA43
3H089AA68
3H089BB06
3H089BB12
3H089BB28
3H089CC08
3H089DA12
3H089DB03
3H089DB08
3H089DB13
3H089DB32
3H089DC03
3H089GG02
3H089JJ06
3H089JJ07
3H089JJ09
(57)【要約】
【課題】汎用性が高く、落下直後に昇降体を停止させることができ又は緩やかな速度で降下させることができる、落下防止装置、昇降機、溶接システム、及び落下防止方法を提供する。
【解決手段】昇降体を昇降させる昇降機において、昇降体の落下を防止する落下防止装置であって、昇降機は、昇降体の昇降にともない回転する回転軸を備え、落下防止装置は、回転軸に接続される液圧回路部を備え、液圧回路部は、回転軸に接続される液体モータと、液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、を備え、液体モータの少なくとも一方の出入口と、貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置される、落下防止装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降体を昇降させる昇降機において、前記昇降体の落下を防止する落下防止装置であって、
前記昇降機は、前記昇降体の昇降にともない回転する回転軸を備え、
前記落下防止装置は、前記回転軸に接続される液圧回路部を備え、
前記液圧回路部は、
前記回転軸に接続される液体モータと、
前記液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、
を備え、
前記液体モータの少なくとも一方の出入口と、前記貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置される、
ことを特徴とする落下防止装置。
【請求項2】
前記液体モータは、
前記貯留部の第1貯留部出入口と液路を介して接続される第1モータ出入口と、
前記貯留部の第2貯留部出入口と液路を介して接続される第2モータ出入口と、
を備え、
前記第1モータ出入口と、前記第1貯留部出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、前記方向制御弁及び前記流量制御弁の少なくとも1つが配置され、
前記昇降体が上昇する場合には、前記第1モータ出入口を介して前記液体モータに液体が流入し、
前記昇降体が降下する場合には、前記第1モータ出入口を介して前記液体モータから液体が流出する、
請求項1に記載の落下防止装置。
【請求項3】
前記液圧回路部は、
前記第1モータ出入口と前記第1貯留部出入口とを接続する第1液路及び第2液路と、
前記第2モータ出入口と前記第2貯留部出入口とを接続する第3液路と、
を備え、
前記第1液路は、少なくとも前記方向制御弁を含み、
前記第2液路は、少なくとも前記流量制御弁を含み、
前記第1液路及び前記第2液路は、前記方向制御弁と、前記流量制御弁と、前記第1モータ出入口と、の間で分岐する、
請求項2に記載の落下防止装置。
【請求項4】
前記第2液路は、圧力制御弁を含み、
前記圧力制御弁は、前記流量制御弁と、前記第1貯留部出入口と、の間に配置される、
請求項3に記載の落下防止装置。
【請求項5】
前記第1液路又は前記第2液路には、前記方向制御弁と前記流量制御弁と前記第1モータ出入口との間において、圧力計測器が配置される、
請求項3又は4に記載の落下防止装置。
【請求項6】
前記方向制御弁は、ヒューズ弁であり、
前記流量制御弁は、絞り弁または流量調整弁である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の落下防止装置。
【請求項7】
前記昇降体に載置されるワークの情報に基づいて、前記流量制御弁及び前記方向制御弁の設定値を制御する制御装置を備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の落下防止装置。
【請求項8】
前記液体モータは、
前記貯留部の第1貯留部出入口と液路を介して接続される第1モータ出入口と、
前記貯留部の第2貯留部出入口と液路を介して接続される第2モータ出入口と、
を備え、
前記第1モータ出入口と、前記第1貯留部出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、前記方向制御弁及び前記流量制御弁の少なくとも1つが配置され、
前記第2モータ出入口と、前記第2貯留部出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、前記方向制御弁及び前記流量制御弁の少なくとも1つが配置される
請求項1に記載の落下防止装置。
【請求項9】
昇降体を昇降させる昇降機であって、
前記昇降機は、
前記昇降体の昇降にともない回転する回転軸と、
前記昇降体の落下を防止する落下防止装置と、
を備え、
前記落下防止装置は、前記回転軸に接続される液圧回路部を備え、
前記液圧回路部は、
前記回転軸に接続される液体モータと、
前記液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、
を備え、
前記液体モータの少なくとも一方の出入口と、前記貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置される、
ことを特徴とする昇降機。
【請求項10】
請求項9に記載の昇降機と、
前記昇降機の前記昇降体に載置されるワークを溶接する溶接装置と、
を備える、ことを特徴とする溶接システム。
【請求項11】
昇降体を昇降させる昇降機において、前記昇降体の落下を防止する落下防止方法であって、
前記昇降機は、前記昇降体の昇降にともない回転する回転軸を備え、
前記回転軸には、液圧回路部が接続され、
前記液圧回路部は、
前記回転軸に接続される液体モータと、
前記液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、
を備え、
前記液体モータの少なくとも一方の出入口と、前記貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置され、
前記昇降体が所定値を超えた速度で降下した場合、前記方向制御弁及び前記流量制御弁の少なくとも1つによって液体の流動を規制することで、前記昇降体の降下速度を規制する
ことを特徴とする落下防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下防止装置、昇降機、溶接システム、及び落下防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接を行うため、被溶接物(以下、ワークとも呼ぶ。)が搭載され、適切な溶接位置になるようにワークを昇降させる昇降体を備えた昇降機が、従来から知られている。一般的に搭載されるワークの重量は大きいため、昇降体を支持して昇降させる昇降機構に過大な負荷が生じ、昇降機構が破断して昇降体が落下する危険性があった。なお、昇降機構とは、例えば、ボールねじやチェーン等が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、溶接ロボットや自動溶接装置での自動溶接時や手動溶接時等にワークを保持するワーク保持装置が開示され、特に、ワークの3軸方向での姿勢を変更可能な3軸ポジショナーが開示されている。そして、ワーク支持台での床面からの高さを調整する昇降駆動機構として、ボールねじ式の昇降機構が利用されている。何らかの原因でボールねじのねじ軸が破断した場合、昇降面板や傾動面板、ワーク支持台を有しているアームが落下することになるため、これを防止するための構造が提案されている。
【0004】
具体的には、特許文献1には、ボールネジのネジ軸の下端面とそのネジ軸の下端面に対向するコラム部の底壁との間にクラッチ機構を配置し、何らかの原因でボールネジのネジ軸の段差部で破断することがあっても、この破断に伴う落下は小間隙隔てて対置しているクラッチ板の凸条突起の凹溝への嵌り込みで受け止めることが開示されている。これにより、昇降面板や傾動面板あるいはワーク支持台を有しているアームの落下防止を図っている。
【0005】
しかしながら、落下の際、ネジ軸側のクラッチ板突状突起が底壁側凹溝に即座に噛み合うとは限らないため、落下し始めてからブレーキがかかるまでタイムラグがあり、特にワークの重量が大きい場合など使用環境によっては、昇降体が停止する前に最下点まで落下してしまう可能性がある。
【0006】
特許文献2には、縦長の機器本体に設けた、ワーク搭載台やロボット支持アーム等の可動体を装備する昇降体の不用意な落下を防止して安全を確保するための昇降体落下防止装置が開示されている。
【0007】
特許文献2の落下防止装置は、固定係止具と係止駒を備えた移動係止具と、移動係止具を前後に移動させる駆動装置と、を備える。固定係止具は、縦方向に間隔をあけて形成された二以上の受歯を備える。係止駒は、縦方向に間隔をあけて形成された二以上の係止歯を備える。係止駒は、移動係止具の保持具に昇降可能に設けられて係止駒の係止歯が固定係止具の受歯と対向する。受歯は、係止歯側に先鋭な鋸歯状であって、上面が水平状態、底面が先端側から根元側に下り傾斜である。係止歯は、受歯側に先鋭な鋸歯状であって、底面が水平状態、上面が根元側から先端側に向けて下り斜面である。両歯は昇降体の昇降停止時に、移動係止具が駆動装置により固定係止具側に押されると、互いに噛み合い、係止駒の係止歯が受歯により強制的に押し下げられて、係止歯の下水平面が受歯の上水平面に押し付けられて昇降体の落下を防止することを図っている。
【0008】
しかしながら、昇降体の昇降時には、移動係止具が固定係止具から後退して係止歯と受歯の噛み合いを開放する必要があるため、昇降体の昇降時には落下防止が機能しない。
【0009】
なお、特許文献1及び2のような昇降体の落下を防止する機械的機構ではなく、昇降体が落下したことをセンサ等で検知することで、電気信号を用いて落下防止装置を制御して、昇降体の落下を防止する電気的機構を採用することも考えられる。しかしながら、電気信号による制御は、装置の複雑化を招来し、汎用性も低いため好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005-211961号公報
【特許文献2】特開2012-115986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、汎用性が高く、落下直後に昇降体を停止させることができる、又は緩やかな速度で降下させることができる、落下防止装置、昇降機、溶接システム、及び落下防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、落下防止装置に係る下記[1]の構成により達成される。
[1] 昇降体を昇降させる昇降機において、前記昇降体の落下を防止する落下防止装置であって、
前記昇降機は、前記昇降体の昇降にともない回転する回転軸を備え、
前記落下防止装置は、前記回転軸に接続される液圧回路部を備え、
前記液圧回路部は、
前記回転軸に接続される液体モータと、
前記液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、
を備え、
前記液体モータの少なくとも一方の出入口と、前記貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置される、
ことを特徴とする落下防止装置。
【0013】
本発明の上記目的は、昇降機に係る下記[2]の構成により達成される。
[2] 昇降体を昇降させる昇降機であって、
前記昇降機は、
前記昇降体の昇降にともない回転する回転軸と、
前記昇降体の落下を防止する落下防止装置と、
を備え、
前記落下防止装置は、前記回転軸に接続される液圧回路部を備え、
前記液圧回路部は、
前記回転軸に接続される液体モータと、
前記液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、
を備え、
前記液体モータの少なくとも一方の出入口と、前記貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置される、
ことを特徴とする昇降機。
【0014】
本発明の上記目的は、溶接システムに係る下記[3]の構成により達成される。
[3] 上記[2]に記載の昇降機と、
前記昇降機の前記昇降体に載置されるワークを溶接する溶接装置と、
を備える、ことを特徴とする溶接システム。
【0015】
本発明の上記目的は、落下防止方法に係る下記[4]の構成により達成される。
[4] 昇降体を昇降させる昇降機において、前記昇降体の落下を防止する落下防止方法であって、
前記昇降機は、前記昇降体の昇降にともない回転する回転軸を備え、
前記回転軸には、液圧回路部が接続され、
前記液圧回路部は、
前記回転軸に接続される液体モータと、
前記液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、
を備え、
前記液体モータの少なくとも一方の出入口と、前記貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置され、
前記昇降体が所定値を超えた速度で降下した場合、前記方向制御弁及び前記流量制御弁の少なくとも1つによって液体の流動を規制することで、前記昇降体の降下速度を規制する
ことを特徴とする落下防止方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、汎用性が高く、落下直後に昇降体を停止させることができる、又は緩やかな速度で降下させることができる、落下防止装置、昇降機、溶接システム、及び落下防止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態に係る昇降機の斜視図である。
図2図2は、図1のIIで示した部分に配置された落下防止装置の斜視図である。
図3図3は、通常運転時において昇降体が上昇した場合における、液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図4図4は、通常運転時において昇降体が下降した場合における、液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図5図5は、昇降体が落下した場合における、液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図6図6は、通常運転時において昇降体が上昇した場合における、第1変形例に係る液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図7図7は、通常運転時において昇降体が下降した場合における、第1変形例に係る液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図8図8は、昇降体が落下した場合における、第1変形例に係る液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図9図9は、通常運転時において昇降体が上昇した場合における、第2変形例に係る液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図10図10は、通常運転時において昇降体が下降した場合における、第2変形例に係る液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図11図11は、昇降体が落下した場合における、第2変形例に係る液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図12図12は、通常運転時において昇降体が上昇した場合における、第3変形例に係る液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図13図13は、通常運転時において昇降体が下降した場合における、第3変形例に係る液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図14図14は、昇降体が落下した場合における、第3変形例に係る液圧回路部中の油の流れを示す図である。
図15図15は、第2実施形態に係る昇降機の斜視図である。
図16図16は、第3実施形態に係る昇降機の斜視図である。
図17図17は、第3実施形態に係る昇降機において、反時計回りに昇降体が降下する様子を示す図である。
図18図18は、第3実施形態に係る昇降機において、時計回りに昇降体が降下する様子を示す図である。
図19図19は、第3実施形態の液圧回路部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る昇降機と、昇降機の昇降体の落下を防止する落下防止装置及び落下防止方法と、昇降機の昇降体に載置されるワークを溶接する溶接装置と、について説明する。なお、各図は、説明のために作成されたものであり、本発明の各実施形態は、図示の内容に限られない。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る昇降機の斜視図である。図2は、図1のIIで示した部分に配置された落下防止装置の斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の昇降機1は、床面に載置される台座部3と、台座部3の上面に鉛直に立設された立設部5と、を有する。立設部5には、不図示の被溶接物等のワークが載置されて上下方向に昇降可能な昇降体10と、昇降体10の昇降にともない回転する回転軸20と、昇降体10の落下を防止する落下防止装置30と、を備える。なお、ここでいう上下方向は鉛直方向を指す。
【0021】
なお、本実施形態における昇降体10は、上下方向に直線的に昇降するものとして例示されるが、昇降体10の昇降は、直線運動による昇降に限られず、回転運動による昇降等、任意の運動による昇降が含まれる。後述の第3実施形態(図16図19参照)においては、昇降体10が回転運動による昇降を行うものが例示されている。
【0022】
回転軸20は、昇降機1の立設部5に、軸受を介して回転可能に支持されている。回転軸20は、床面や台座部3に対して垂直に延び、すなわち、上下方向に延びる。本実施形態の回転軸20は、ボールねじであり(以下、回転軸20をボールねじ20とも呼ぶ。)、上下方向に延びる不図示のねじ軸と、ねじ軸の周囲にボールを介して配置された不図示のナットと、を有する。ボールねじ20のねじ軸が、サーボモータ等によって回転駆動されることによって、ナットがねじ軸に沿って上下方向に直線運動する。
【0023】
ボールねじ20のナットには、ブラケット21を介して昇降体10が固定されている。したがって、ボールねじ20のねじ軸を回転駆動すれば、ナット及びブラケット21とともに昇降体10が上下方向に昇降移動する。
【0024】
昇降体10は、ブラケット21に固定されて鉛直方向に延びる鉛直板部11と、鉛直板部11の下端から水平方向に延びる水平板部13と、を有しており、全体として略L字形状である。水平板部13の先端の上面には、ワークを載置可能な載置台15が設けられる。この載置台15には、例えば溶接ロボットによって溶接されるワークが載置され、昇降体10を上下に移動させることで、ワークを適切な溶接位置に移動させることができる。
【0025】
昇降体10に載置されるワークを溶接する不図示の溶接装置と、昇降機1と、によって溶接システムが構成される。溶接装置としては、公知のものを適宜利用可能であり、アーク溶接装置やガス溶接装置、レーザ溶接装置等が例示される。また、ここで言う溶接装置とは、例えば、溶接ロボットや溶接電源などが含まれる。
【0026】
正常時には、ボールねじ20と、ボールねじ20を回転駆動するサーボモータとは、互いにギア等を介して噛合しているため、サーボモータが停止している状態では、ボールねじ20の回転も停止し、ひいてはナットや昇降体10も自重によっては落下しない。しかしながら、何らかの原因によって、ボールねじ20が破断した場合、ボールねじ20とサーボモータとの噛合も解除されるため、ボールねじ20が回転可能な状態になり、ナットや昇降体10が自重によって落下してしまう。
【0027】
そこで、本実施形態の昇降機1は、昇降体10の落下を防止する落下防止装置30を備える。図2に示すように、落下防止装置30は、ボールねじ20に接続される液圧回路部31と、液圧回路部31を支持して立設部5に固定される支持ブラケット33と、を有する。なお、液圧回路部31に適用する液体は特に問わないが、本実施形態では、液体として油を用いた液圧回路部31のため、後述する液圧回路部31に含まれる圧力モータは、油圧モータ40として説明し、油圧モータ40と後述する貯留部50、マニホールド35の間を接続する液路は、油路60として説明する。
【0028】
液圧回路部31は、ボールねじ20の上端に接続される油圧モータ40と、油圧モータ40に油路60を介して接続され油が貯留される貯留部50と、油圧モータ40の後述する第1モータ出入口41と貯留部50の後述する第1貯留部出入口51との間に配置されたマニホールド35と、を備える。
【0029】
マニホールド35には、図3図5を参照して後述する第1油路61や、第2油路62、ヒューズ弁70、絞り弁80、カウンタバランス弁90、圧力計測器100等が設けられる。
【0030】
油圧モータ40は、油圧を回転運動に変換可能であり、逆に回転運動を油圧に変換可能でもある。したがって、ボールねじ20が回転し、昇降体10が昇降した場合、ボールねじ20の回転運動が油圧に変換され、油路60内に油が流動する。なお、ボールねじ20に接続される液体モータとしては、液体の圧力を回転運動に変換する、換言すれば回転運動を液体の圧力に変換する圧力モータであれば、上述の油圧モータ40に限られず、水圧モータ等であってもよい。
【0031】
図3は、通常運転時において昇降体10が上昇した場合における、液圧回路部31中の油の流れを示す図である。図4は、通常運転時において昇降体10が下降した場合における、液圧回路部31中の油の流れを示す図である。図5は、昇降体10が落下した場合における、液圧回路部31中の油の流れを示す図である。
【0032】
油圧モータ40は、貯留部50の第1貯留部出入口51と油路60を介して接続される第1モータ出入口41と、貯留部50の第2貯留部出入口52と油路60を介して接続される第2モータ出入口42と、を備える。
【0033】
第1モータ出入口41と第1貯留部出入口51とを接続する油路60は、単一でも、複数でもよく、図示の例では第1油路61と第2油路62とによって複数設けられている。第1貯留部出入口51のうち、第1油路61と接続するものを符号51Aで示し、第2油路62と接続するものを符号51Bで示すことがある。また、第2モータ出入口42と第2貯留部出入口52とを接続する油路60は、第3油路63と呼ぶことがある。
【0034】
図示の例では、第1油路61用の第1貯留部出入口51Aと、第2貯留部出入口52とに、フィルタ53が配置されている。フィルタ53は、油圧回路内を流れる作動油に含まれる異物を取り除き、作動油を濾過する。なお、第2油路62用の第1貯留部出入口51Bにもフィルタ53を配置しても構わない。
【0035】
貯留部50は、油Hを貯蔵して油圧回路に作動油を供給するためのタンクであり、上述のフィルタ53の他に、不図示の油面計やエアブリーザ55等の付属品が取り付けられている。エアブリーザ55は、貯留部50の上部に設置され、貯留部50内の油面の上下に伴って貯留部50に進入する空気を濾過し、油Hに異物が入らないようにするものである。エアブリーザ55は、油Hの給油口としても使用される。
【0036】
第1モータ出入口41と第1貯留部出入口51とを接続する単一又は複数の油路60には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置される。本実施形態では、第1油路61が方向制御弁としてのヒューズ弁70を含み、第2油路62が流量制御弁としての絞り弁80を含む。
【0037】
第1油路61及び第2油路62は、ヒューズ弁70と絞り弁80と第1モータ出入口41との間で分岐する。この第1油路61と第2油路62との分岐部を符号65で示す。図示の例では、この分岐部65に圧力計測器100が配置される。圧力計測器100は、分岐部65における圧力を計測する。圧力計測器100は、必ずしも分岐部65に設けられなくてもよく、第1油路61又は第2油路62において、ヒューズ弁70と絞り弁80との間に配置されればよい。
【0038】
第2油路62は、圧力制御弁としてのカウンタバランス弁90を含む。カウンタバランス弁90は、絞り弁80と、第2油路62用の第1貯留部出入口51Bと、の間に配置される。
【0039】
ヒューズ弁70は、緊急遮断弁や落下防止弁とも呼ばれる方向制御弁の一種であり、一方側へ向かう流量が所定値を超えたときに自動的に閉止するものである。ヒューズ弁70に代えて、逆止弁、方向切替弁、パイロットチェック弁等を用いても構わない。図示の例では、ヒューズ弁70は、第1貯留部出入口51Aから第1モータ出入口41に向かう油の流れ(図中、下から上の流れ)に対しては、流量制御を行わない。逆に、ヒューズ弁70は、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かう油の流れ(図中、上から下の流れ)に対しては、流量が所定値を超えたとき、油が流れないように、第1油路61を遮断する。
【0040】
ヒューズ弁70の、第1油路61を遮断する流量の所定値Q2は、ワークの重量など用途に応じて、設定値を適宜変更すればよく、限定されるものではない。この所定値Q2は、昇降機1の通常運転時(図3及び図4)に第1油路61内に流れる油の流量Q1よりも大きく設定され、昇降体10が何らかの異常により落下した場合(図5)に第1油路61内に流れようとする油の流量Q4よりも小さく設定される。つまりQ1<Q2<Q4の関係となる。
【0041】
絞り弁80は、スロットルバルブとも呼ばれる流量制御弁の一種であり、油の通過する流量を調整するものである。なお、絞り弁80に代えて、流量調整弁(流量調整弁は、フローコントロールバルブとも呼ぶ。)や、可変絞り弁、スローリターンチェック弁、精密絞り弁等を用いても構わない。
【0042】
絞り弁80は、第1貯留部出入口51Bから第1モータ出入口41に向かう油の流れ(図中、下から上の流れ)に対しても、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れ(図中、上から下の流れ)に対しても、流量制御を行う。絞り弁80による調整流量Q3は、、落下を停止させたい場合は調整流量を0に設定し、ゆっくり落下させたい場合は例えば昇降機1の通常運転時(図3及び図4)に第2油路62内に流れる油の流量Q1程度に設定する。ただし、調整流量Q3は、昇降体10が何らかの異常により落下した場合(図5)に第2油路62内に流れようとする油の流量Q4よりも小さく設定される。したがって、昇降機1の通常運転時には、絞り弁80によって流量調整は行われない。つまり停止させたい場合はQ3=0<Q1<Q4の関係となり、緩やかに降下させたい場合はQ3≠0<Q1<Q4またはQ1<Q3<Q4の関係となる。
【0043】
カウンタバランス弁90は、圧力制御弁の一種である。なお、カウンタバランス弁90に代えて、リリーフ弁や減圧弁、シーケンス弁等を用いても構わない。カウンタバランス弁90は、第1貯留部出入口51Bから第1モータ出入口41に向かう油の流れ(図中、下から上の流れ)に対して、流量制御を行わない。したがって、図3に破線矢印で示したような油の流れが生じ得る。
【0044】
また、図4に示すように、カウンタバランス弁90と第1モータ出入口41との間の油路60の圧力が所定値P未満の場合、カウンタバランス弁90は作動せず、第2油路62の第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れ(図中、上から下の流れ)を遮断する。
【0045】
また、図5に示すように、カウンタバランス弁90と第1モータ出入口41との間の油路60の圧力が所定値P以上の場合、カウンタバランス弁90が作動して、第2油路62の第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れを許容する。
【0046】
このような、各種の弁が設けられた落下防止装置30の動作例について説明する。図3に示すように昇降機1の通常運転時において昇降体10が上昇した場合、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図3で左回りに回転駆動される。これにより液圧回路部31には、第1貯留部出入口51から第1モータ出入口41に向かう油の流れと、第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が上昇した場合における、油路60内の油の最大流量はQ1である。
【0047】
図3のように、第1貯留部出入口51Aから第1モータ出入口41に向かって流量Q1で油が流れる場合には、ヒューズ弁70は開放されており、油は第1油路61内を自由に流動する。図3には、第1油路61のみならず第2油路62にも油が流れ得ることが破線矢印で図示されている。この場合、第2油路62内を第1貯留部出入口51Bから第1モータ出入口41に向かって油が流れるのであるが、第2油路62内の流量は第1油路61内の流量Q1と同程度以下であり、流量調整の設定値がQ3とされた絞り弁80によっては流量制御されない。また、カウンタバランス弁90は、第1貯留部出入口51Bから第1モータ出入口41に向かう油の流れ(図中、下から上の流れ)に対して流量制御を行わないので、図3に破線矢印で示したような油の流れが生じ得る。
【0048】
次に、図4に示すように昇降機1の通常運転時において昇降体10が下降した場合、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図4で右回りに駆動される。これにより液圧回路部31には、昇降体10が上昇する場合と逆方向の油の流れが生じる。すなわち、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が下降した場合における、油路60内の油の最大流量はQ1である。
【0049】
図4のように、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かって流量Q1で油が流れる場合には、ヒューズ弁70は開放されており、油は第1油路61内を自由に流動する。第1貯留部出入口51Aと第1モータ出入口41との間で油は自由に流動するので、カウンタバランス弁90と第1モータ出入口41との間の油路60の圧力Pを超えることはない。したがって、カウンタバランス弁90は作動せず、第2油路62の第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れは遮断される。
【0050】
図5に示すように、ボールねじ20が破断する等の異常が発生し、昇降体10が落下した場合、図4と同様に、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図5で右回りに駆動される。これにより液圧回路部31には、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。
【0051】
図5のような異常時における昇降体10の落下速度は、図4のような通常下降時の昇降体10の降下速度よりも早い。したがって、油路60内の油の流量は、Q4なる。ここで、第1油路61を第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かってQ4で油が流れようとした場合には、設定値Q2を超過しているのでヒューズ弁70は閉止され、油は第1油路61内を流動しない。
【0052】
これにより、ヒューズ弁70と油圧モータ40との間に油が滞留するため、第1油路61及び第2油路62内におけるヒューズ弁70及びカウンタバランス弁90よりも油圧モータ40側の部分の圧力が高まっていく。そして、カウンタバランス弁90の所定値Pを超えたとき、カウンタバランス弁90が作動して、第2油路62の第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れを許容する。
【0053】
したがって、油は、第2油路62を第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かってQ4で流れようとする。この際、第2油路62には絞り弁80が配置されているので、油の流量はQ3に調整される。油路60内の流量が制限されることで、油圧モータ40及びボールねじ20の回転数も制限され、昇降体10の下降速度も制限される。
【0054】
このようにして、昇降体10の下降にブレーキが掛かった状態となるので、緩やかに降下させることができ、昇降体10を最下端まで到達させることができ、安全に事故処理を行うことができる。なお、絞り弁80の流量調整の設定値Q3によっては、昇降体10を緩やかに降下させるのみならず、昇降体10を停止させることも可能である。しかしながら、昇降体10の落下という異常発生時に昇降体10を停止させる構成よりも、本実施形態のように緩やかに降下させる構成の方が好ましい。なぜならば、昇降体10の落下を上方で停止させた場合、ワークを昇降体10から下ろす作業が発生し、安全性に劣るためである。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、油圧モータ40の第1モータ出入口41と、貯留部50の第1貯留部出入口51と、の間を接続する単一又は複数の油路60には、ヒューズ弁70及び絞り弁80の少なくとも1つが配置される。
【0056】
したがって、昇降体10が意図せず急速で降下した場合、昇降体10に接続されるボールねじ20の回転速度が増加し、当該ボールねじ20に接続された油圧モータ40による油の流量も増加する。ここで、ヒューズ弁70及び絞り弁80の少なくとも1つが設けられているので、油の流動が停止または制限される。これにより、ボールねじ20の回転が停止され又は緩やかとなるので、昇降体10の降下も停止され又は緩やかとなる。
また、昇降体10の落下直後、遅れが生じることなく、即座に昇降体10の降下を停止し又は緩やかすることができるので、確実に急速な落下を防止することができる。
また、本実施形態の落下防止装置30は、上記の通り電気信号を用いない簡易な機械的装置構成であるので、汎用性が高く、様々な昇降機に用いることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、第1油路61は少なくともヒューズ弁70を含み、第2油路62は少なくとも絞り弁80を含み、第1油路61及び第2油路62は、ヒューズ弁70と、絞り弁80と、第1モータ出入口と、の間で分岐する、
【0058】
したがって、昇降体10が意図せず急速で降下した場合、絞り弁80によって油の流動が制限される。これにより、ボールねじ20の回転が緩やかとなるので、昇降体10の降下も緩やかとなる。したがって、昇降体10は上方で停止せず、緩やかに降下を続け下端に到達するので、作業者が安全に事後処理を行うことが可能である。
【0059】
また、本実施形態によれば、第2油路62はカウンタバランス弁90を含み、カウンタバランス弁90は絞り弁80と第1貯留部出入口51Bとの間に配置される。
【0060】
したがって、昇降体10の通常の降下時(図4参照)には、第2油路62は、高圧にならないため、カウンタバランス弁90によって回路が遮断されている。これに対し、昇降体10が意図せず急速で降下した場合(図5参照)、第1モータ出入口41を介して油圧モータ40から油が吐出され、第2油路62における圧力が高まり、カウンタバランス弁90によって回路が開放される。これにより、第2油路62に油が流入し、絞り弁80によって流量が制限され、ボールねじ20の回転が緩やかとなるので、昇降体10の降下も緩やかとなる。
すなわち、カウンタバランス弁90によって第2油路62の回路を開閉することで、絞り弁80による流量制御のオン、オフを行うことができる。これにより、昇降体が急速で降下したときのみ、絞り弁80による流量制御を行うように設定できる。
【0061】
第1油路61又は第2油路62には、ヒューズ弁70と絞り弁80と第1モータ出入口41との間において、圧力計測器100が配置される。
【0062】
したがって、圧力計測器100が計測した圧力値に基づいて、落下防止装置30の健全性を確認できる。具体的には、ワークが昇降体10に載置されていない状態で、ヒューズ弁70が動作する(第1油路61が遮断される)速度となるように昇降体10を急速降下させ、油路60内の圧力を確認する。圧力が上がることが確認された場合、ヒューズ弁70が動作して油路60を遮断していることが確認でき、落下防止装置30が健全であると判断できる。
【0063】
昇降機1は、昇降体10に載置されるワークの情報(例えば、重量や寸法、形状等)に基づいて、ヒューズ弁70が動作する(第1油路61を遮断する)流量設定値Q2及び絞り弁80が動作する流量設定値Q3を制御する制御装置を備えてもよい。制御装置は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等のハードウェアと、それらに実装されたソフトウェアと、により構築されている。制御装置は、昇降体10に載置されるワークの情報(例えば、重量や寸法、形状等の情報)に基づいて、カウンタバランス弁90が動作する圧力設定値を制御しても構わない。
【0064】
(第1実施形態の第1変形例)
落下防止装置30の液圧回路部31には、必ずしもカウンタバランス弁90が設けられなくてもよい。第1実施形態の第1変形例として、カウンタバランス弁90が設けられない場合を説明する。
【0065】
図6は、通常運転時において昇降体10が上昇した場合における、第1変形例に係る液圧回路部31中の油の流れを示す図である。図7は、通常運転時において昇降体10が下降した場合における、第1変形例に係る液圧回路部31中の油の流れを示す図である。図8は、昇降体10が落下した場合における、第1変形例に係る液圧回路部31中の油の流れを示す図である。
【0066】
図6図8に示すように、本変形例では、第2油路62にカウンタバランス弁90が配置されない。それ以外の構成は、図1図5に示した第1実施形態と同一であるので、同一部分に関してはその説明を省略又は簡略化する。
【0067】
図6に示すように昇降機1の通常運転時において昇降体10が上昇した場合、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図6で左回りに回転駆動される。これにより液圧回路部31には、第1貯留部出入口51から第1モータ出入口41に向かう油の流れと、第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が上昇した場合における、油路60内の油の最大流量はQ1である。
【0068】
図6のように、第1貯留部出入口51Aから第1モータ出入口41に向かって流量Q1で油が流れる場合には、ヒューズ弁70は開放されており、油は第1油路61内を自由に流動する。図6には、第1油路61のみならず第2油路62にも油が流れ得ることが破線矢印で図示されている。この場合、第2油路62内を第1貯留部出入口51Bから第1モータ出入口41に向かって油が流れるのであるが、第2油路62内の流量は第1油路61内の流量Q1と同程度以下であり、流量調整の設定値がQ3とされた絞り弁80によっては流量制御されない。
【0069】
次に、図7に示すように昇降機1の通常運転時において昇降体10が下降した場合、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図7で右回りに駆動される。これにより液圧回路部31には、昇降体10が上昇する場合と逆方向の油の流れが生じる。すなわち、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が下降した場合における、油路60内の油の最大流量はQ1である。
【0070】
図7のように、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かって流量Q1で油が流れる場合には、ヒューズ弁70は開放されており、油は第1油路61内を自由に流動する。また、図7には、第1油路61のみならず第2油路62にも油が流れ得ることが破線矢印で図示されている。この場合、第2油路62内を第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かって油が流れ得るのであるが、第2油路62内の流量は第1油路61内の流量Q1と同程度以下であり、流量調整の設定値がQ3とされた絞り弁80によっては流量制御されない。
【0071】
さらに、図8に示すように、ボールねじ20が破断する等の異常が発生し、昇降体10が落下した場合、図7と同様に、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図8で右回りに駆動される。これにより液圧回路部31には、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。
【0072】
図8のような異常時における昇降体10の落下速度は、図7のような通常下降時の昇降体10の降下速度よりも早い。したがって、油路60内の油の流量は、Q4となる。ここで、第1油路61を第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かってQ4で油が流れようとした場合には、設定値Q2を超過しているのでヒューズ弁70は閉止され、油は第1油路61内を流動しない。
【0073】
したがって、油は、第2油路62を第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かってQ4で流れようとする。この際、第2油路62には絞り弁80が配置されているので、油の流量はQ3に調整される。油路60内の流量が制限されることで、油圧モータ40及びボールねじ20の回転数も制限され、昇降体10の下降速度も制限される。
【0074】
このようにして、昇降体10の下降にブレーキが掛かった状態となるので、緩やかに降下させることができ、昇降体10を最下端まで到達させることができ、安全に事故処理を行うことができる。
【0075】
以上のように、カウンタバランス弁90が設けられない本変形例においても、第1実施形態と同様の効果を奏することが可能であるが、第1実施形態のようにカウンタバランス弁90は設ける方が好ましい。本変形のようにカウンタバランス弁90を設けない場合、昇降体10の急速落下(図8参照)が発生した直後に、第2油路62への油の流れが遮断されないため、第1油路61への油の流量がそれ程多くならずヒューズ弁70が作動せず、第1油路61が遮断されない可能性がある。第1油路61に油が流れると、絞り弁80による流量制限が十分に行われないので、昇降体10の下降を抑制する効果も薄れる可能性がある。
【0076】
(第1実施形態の第2変形例)
落下防止装置30の液圧回路部31には、必ずしもカウンタバランス弁90及び絞り弁80が設けられなくてもよい。第1実施形態の第2変形例として、カウンタバランス弁90及び絞り弁80が設けらず、ヒューズ弁70のみが設けられる場合を説明する。
【0077】
図9は、通常運転時において昇降体10が上昇した場合における、第2変形例に係る液圧回路部31中の油の流れを示す図である。図10は、通常運転時において昇降体10が下降した場合における、第2変形例に係る液圧回路部31中の油の流れを示す図である。図11は、昇降体10が落下した場合における、第2変形例に係る液圧回路部31中の油の流れを示す図である。
【0078】
図9図11に示すように、本変形例では、第2油路62が設けられず、したがってカウンタバランス弁90及び絞り弁80が配置されない。それ以外の構成は、図1図5に示した第1実施形態と同一であるので、同一部分に関してはその説明を省略又は簡略化する。
【0079】
図9に示すように昇降機1の通常運転時において昇降体10が上昇した場合、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図9で左回りに回転駆動される。これにより液圧回路部31には、第1貯留部出入口51から第1モータ出入口41に向かう油の流れと、第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が上昇した場合における、油路60内の油の最大流量は、Q1である。この場合、ヒューズ弁70は開放されており、油は第1油路61内を自由に流動する。
【0080】
次に、図10に示すように昇降機1の通常運転時において昇降体10が下降した場合、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図10で右回りに駆動される。これにより液圧回路部31には、昇降体10が上昇する場合と逆方向の油の流れが生じる。すなわち、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が下降した場合における、油路60内の油の最大流量は、Q1である。この場合、ヒューズ弁70は開放されており、油は第1油路61内を自由に流動する。
【0081】
さらに、図11に示すように、ボールねじ20が破断する等の異常が発生し、昇降体10が落下した場合、図10と同様に、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図11で右回りに駆動される。これにより液圧回路部31には、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。
【0082】
図11のような異常時における昇降体10の落下速度は、図10のような通常下降時の昇降体10の降下速度よりも早い。したがって、油路60内の油の流量は、Q4となる。ここで、第1油路61を第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かってQ4で油が流れようとした場合には、設定値Q2を超過しているのでヒューズ弁70は閉止され、油は第1油路61内を流動しない。
【0083】
したがって、液圧回路部31全体の油路60において油の流動が停止されることになるため、油圧モータ40及びボールねじ20も停止し、昇降体10の下降が停止する。このようにして、昇降体10の急速降下を即座に停止することができる。
【0084】
(第1実施形態の第3変形例)
落下防止装置30の液圧回路部31には、必ずしもヒューズ弁70及びカウンタバランス弁90が設けられなくてもよい。第1実施形態の第3変形例として、ヒューズ弁70及びカウンタバランス弁90が設けられず、絞り弁80のみが設けられる場合を説明する。
【0085】
図12は、通常運転時において昇降体10が上昇した場合における、第3変形例に係る液圧回路部31中の油の流れを示す図である。図13は、通常運転時において昇降体10が下降した場合における、第3変形例に係る液圧回路部31中の油の流れを示す図である。図14は、昇降体10が落下した場合における、第3変形例に係る液圧回路部31中の油の流れを示す図である。
【0086】
図12図14に示すように、本変形例では、第2変形例(図9図11参照)と比較し、ヒューズ弁70に代えて絞り弁80が設けられる。それ以外の構成は、第2変形例と同一であるので、同一部分に関してはその説明を省略又は簡略化する。
【0087】
図12に示すように昇降機1の通常運転時において昇降体10が上昇した場合、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図12で左回りに回転駆動される。これにより液圧回路部31には、第1貯留部出入口51から第1モータ出入口41に向かう油の流れと、第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が上昇した場合における、油路60内の油の最大流量は、Q1である。この場合、流量調整の設定値がQ3とされた絞り弁80によっては流量制御されず、油は第1油路61内を自由に流動する。
【0088】
次に、図13に示すように昇降機1の通常運転時において昇降体10が下降した場合、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図13で右回りに駆動される。これにより液圧回路部31には、昇降体10が上昇する場合と逆方向の油の流れが生じる。すなわち、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が下降した場合における、油路60内の油の最大流量は、Q1である。この場合、流量調整の設定値がQ3とされた絞り弁80によっては流量制御されず、油は第1油路61内を自由に流動する。
【0089】
さらに、図14に示すように、ボールねじ20が破断する等の異常が発生し、昇降体10が落下した場合、図13と同様に、ボールねじ20が回転することで、油圧モータ40が図14で右回りに駆動される。これにより液圧回路部31には、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。
【0090】
図14のような異常時における昇降体10の落下速度は、図13のような通常下降時の昇降体10の降下速度よりも早い。したがって、油路60内の油の流量は、Q4となる。ここで、第1油路61を第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かってQ4で油が流れようとした場合には、第1油路61には絞り弁80が配置されているので、油の流量はQ3に調整される。油路60内の流量が制限されることで、油圧モータ40及びボールねじ20の回転数も制限され、昇降体10の下降速度も制限される。
【0091】
このようにして、昇降体10の下降にブレーキが掛かった状態となるので、緩やかに降下させることができ、昇降体10を最下端まで到達させることができ、安全に事故処理を行うことができる。
【0092】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る昇降機1について説明する。図15は、第2実施形態に係る昇降機1の斜視図である。本実施形態の昇降機1の昇降体10は、第1実施形態のようなボールねじ20によって昇降駆動されるのではなく、チェーン7によって昇降駆動される。なお、チェーン7に代えて、ベルト等で駆動してもよいことは言うまでもない。
【0093】
チェーン7は、下方に配置されたモータ9の駆動ギア9aと、上方に配置された落下防止装置30の従動ギア30aと、に巻き掛けられている。また、チェーン7には、ワークを載置可能な昇降体10が固定されている。したがって、モータ9によってチェーン7が駆動されると、昇降体10が上下に昇降するとともに、落下防止装置30の従動ギア30aが回転する。
【0094】
従動ギア30aは、液圧回路部31の油圧モータ40(図2等参照)に接続されている。液圧回路部31は、上述した図3図14の構成を採用できる。したがって、本実施形態においても、昇降体10が意図せず急速で落下した場合、ヒューズ弁70や絞り弁80等の機能によって、昇降体10の降下を停止又は緩やかとすることができる。
【0095】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る昇降機1について説明する。図16は、第3実施形態に係る昇降機1の斜視図である。図17は、第3実施形態に係る昇降機1において、反時計回りに昇降体が降下する様子を示す図である。図18は、第3実施形態に係る昇降機1において、時計回りに昇降体が降下する様子を示す図である。
【0096】
図16に示すように、本実施形態の昇降機1は、床面に載置される台座部3と、台座部3の上面に鉛直に立設された立設部5と、を有する。立設部5には、被溶接物等のワーク(不図示)が載置されて上下方向(鉛直方向)に昇降可能な昇降体10と、昇降体10の昇降にともない回転する回転軸20と、昇降体10の落下を防止する落下防止装置30と、を備える。
【0097】
なお、本実施形態における昇降体10の昇降は、第1及び第2実施形態のような直線運動による昇降ではなく、回転運動による昇降である。より具体的には、床面と水平に延びる回転軸20の中心軸Gを中心とした円運動によって、昇降体10は上下方向に昇降する。
【0098】
回転軸20は、昇降機1の立設部5に、軸受を介して回転可能に支持されている。回転軸20は、立設部5に対して垂直に延び、すなわち、重力方向に対して垂直な水平方向に延びる。本実施形態の回転軸20は、立設部5を貫通するシャフトであり、一端側にはモータ8が接続され、他端側には昇降体10が固定される。
【0099】
昇降体10は、回転軸20に固定されて鉛直方向に延びる鉛直板部11と、鉛直板部11の下端から水平方向に延びる水平板部13と、を有しており、全体として略L字形状である。水平板部13の先端の上面には、ワークを載置可能な載置台15が設けられる。この載置台15には、例えば溶接ロボットによって溶接されるワークが載置され、昇降体10を上下に昇降させることで、ワークを適切な溶接位置に移動させることができる。回転軸20をモータ8によって回転駆動すれば、回転軸20に固定された昇降体10が中心軸G回りに円運動し、上下方向に昇降移動する。
【0100】
正常時には、回転軸20と、回転軸20を回転駆動するモータ8とは、互いにギア等を介して噛合しているため、モータ8が停止している状態では、回転軸20の回転も停止し、ひいては昇降体10も自重によっては落下しない。しかしながら、何らかの原因によって、回転軸20が破断した場合、回転軸20とモータ8との噛合も解除されるため、回転軸20が回転可能な状態になり、昇降体10が自重によって落下してしまう。図17には、昇降体10が、中心軸Gを中心として反時計回りに円運動し、下方に落下する様子が示されている。図18には、昇降体10が、中心軸Gを中心として時計回りに円運動し、下方に落下する様子が示されている。
【0101】
そこで、本実施形態の昇降機1は、昇降体10の時計回り及び反時計回りの両方向の落下を防止する落下防止装置30を備える。落下防止装置30は、回転軸20に接続される液圧回路部31を備える。図19は、本実施形態の液圧回路部31を示す図である。
【0102】
図19に示すように、第1モータ出入口41と第1貯留部出入口51とを接続する油路60は、単一でも、複数でもよく、図示の例では第1油路61と第2油路62とによって複数設けられている。第1貯留部出入口51のうち、第1油路61と接続するものを符号51Aで示し、第2油路62と接続するものを符号51Bで示すことがある。
【0103】
第2モータ出入口42と第2貯留部出入口52とを接続する油路60は、単一でも、複数でもよく、図示の例では第3油路63と第4油路64とによって複数設けられている。第2貯留部出入口52のうち、第3油路63と接続するものを符号52Aで示し、第4油路64と接続するものを符号52Bで示すことがある。
【0104】
図示の例では、第1油路61用の第1貯留部出入口51Aと、第3油路63用の第2貯留部出入口52Aとに、フィルタ53が配置されている。フィルタ53は、油圧回路内を流れる作動油に含まれる異物を取り除き、作動油を濾過する。なお、第2油路62用の第1貯留部出入口51Bや第4油路64用の第2貯留部出入口52Bにもフィルタ53を配置しても構わない。
【0105】
第1モータ出入口41と第1貯留部出入口51とを接続する単一又は複数の油路60と、第2モータ出入口42と第2貯留部出入口52とを接続する単一又は複数の油路60には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置される。本実施形態では、第1油路61が方向制御弁としてのヒューズ弁70を含み、第2油路62が流量制御弁としての絞り弁80を含み、第3油路63が方向制御弁としてのヒューズ弁70を含み、第4油路64が流量制御弁としての絞り弁80を含む。
【0106】
第1油路61及び第2油路62は、第1油路61のヒューズ弁70と第2油路62の絞り弁80と第1モータ出入口41との間で分岐する。この第1油路61と第2油路62との分岐部を符号65で示す。第3油路63及び第4油路64は、第3油路63のヒューズ弁70と第4油路64の絞り弁80と第2モータ出入口42との間で分岐する。この第3油路63と第4油路64との分岐部を符号66で示す。図示の例では、これら分岐部65,66にそれぞれ圧力計測器100が配置される。圧力計測器100は、分岐部65,66における圧力を計測する。圧力計測器100は、必ずしも分岐部65,66に設けられなくてもよく、第1油路61又は第2油路62においてヒューズ弁70と絞り弁80との間に配置されればよく、第3油路63又は第4油路64においてヒューズ弁70と絞り弁80との間に配置されればよい。
【0107】
第2油路62及び第4油路64はそれぞれ、圧力制御弁としてのカウンタバランス弁90を含む。カウンタバランス弁90はそれぞれ、第2油路62の絞り弁80と第2油路62用の第1貯留部出入口51Bとの間と、第4油路64の絞り弁80と第4油路64用の第2貯留部出入口52Bとの間と、に配置される。
【0108】
第1油路61のヒューズ弁70は、第1貯留部出入口51Aから第1モータ出入口41に向かう油の流れに対しては、流量制御を行わない。逆に、第1油路61のヒューズ弁70は、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かう油の流れに対しては、流量が所定値を超えたとき、油が流れないように、第1油路61を遮断する。第3油路63のヒューズ弁70は、第2貯留部出入口52Aから第2モータ出入口42に向かう油の流れに対しては、流量制御を行わない。逆に、第3油路63のヒューズ弁70は、第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52Aに向かう油の流れに対しては、流量が所定値を超えたとき、油が流れないように、第3油路63を遮断する。
【0109】
ヒューズ弁70の、第1油路61及び第3油路63を遮断する流量の所定値は、Q2に設定される。この所定値は、昇降機1の通常運転時に第1油路61及び第3油路63内に流れる油の流量Q1よりも大きく設定され、昇降体10が何らかの異常により落下した場合に第1油路61及び第3油路63内に流れようとする油の流量Q4よりも小さく設定される。つまりQ1<Q2<Q4の関係となる。
【0110】
第2油路62の絞り弁80は、第1貯留部出入口51Bから第1モータ出入口41に向かう油の流れ(図中、下から上の流れ)に対しても、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れ(図中、上から下の流れ)に対しても、流量制御を行う。第4油路64の絞り弁80は、第2貯留部出入口52Bから第2モータ出入口42に向かう油の流れ(図中、下から上の流れ)に対しても、第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52Bに向かう油の流れ(図中、上から下の流れ)に対しても、流量制御を行う。絞り弁80による調整流量Q3は、落下を停止させたい場合は調整流量を0に設定し、ゆっくり落下させたい場合は例えば昇降機1の通常運転時に第2油路62及び第4油路64内に流れる油の流量Q1に設定する。ただし、調整流量Q3は、昇降体10が何らかの異常により落下した場合に第2油路62及び第4油路64内に流れようとする油の流量Q4よりも小さく設定される。したがって、昇降機1の通常運転時には、絞り弁80によって流量調整は行われない。つまり停止させたい場合はQ3=0<Q1<Q4の関係となり、緩やかに降下させたい場合はQ3≠0<Q1<Q4またはQ1<Q3<Q4の関係となる。
【0111】
第2油路62のカウンタバランス弁90は、第1貯留部出入口51Bから第1モータ出入口41に向かう油の流れ(図中、下から上の流れ)に対して、流量制御を行わない。第4油路64のカウンタバランス弁90は、第2貯留部出入口52Bから第2モータ出入口42に向かう油の流れ(図中、下から上の流れ)に対して、流量制御を行わない。
【0112】
また、第2油路62のカウンタバランス弁90と第1モータ出入口41との間の油路60の圧力が所定値P未満の場合、第2油路62のカウンタバランス弁90は作動せず、第2油路62の第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れ(図中、上から下の流れ)を遮断する。第4油路64のカウンタバランス弁90と第2モータ出入口42との間の油路60の圧力が所定値P未満の場合、第4油路64のカウンタバランス弁90は作動せず、第4油路64の第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52Bに向かう油の流れ(図中、上から下の流れ)を遮断する。
【0113】
また、第2油路62のカウンタバランス弁90と第1モータ出入口41との間の油路60の圧力が所定値P以上の場合、第2油路62のカウンタバランス弁90が作動して、第2油路62の第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れを許容する。第4油路64のカウンタバランス弁90と第2モータ出入口42との間の油路60の圧力が所定値P以上の場合、第4油路64のカウンタバランス弁90が作動して、第4油路64の第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52Bに向かう油の流れを許容する。
【0114】
このような、各種の弁が設けられた落下防止装置30の動作例について説明する。昇降機1の通常運転時において昇降体10が、中心軸Gを中心に時計回りに上昇又は下降した場合、回転軸20が回転することで、油圧モータ40が図19で左回り(矢印A1方向)に回転駆動される。これにより、図19に矢印A2で示すように、液圧回路部31には、第1貯留部出入口51から第1モータ出入口41に向かう油の流れと、第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が時計回りに上昇又は下降した場合における、油路60内の油の最大流量は、Q1である。
【0115】
第1貯留部出入口51Aから第1モータ出入口41に向かって流量Q1で油が流れる場合には、第1油路61のヒューズ弁70は開放されており、油は第1油路61内を自由に流動する。第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52Aに向かって流量Q1で油が流れる場合には、第3油路63のヒューズ弁70は開放されており、油は第3油路63内を自由に流動する。このように油は自由に流動するので、第4油路64のカウンタバランス弁90と第2モータ出入口42との間の油路60の圧力がPより過大となることはない。したがって、第4油路64のカウンタバランス弁90は作動せず、第4油路64の第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52Bに向かう油の流れは遮断される。
【0116】
次に、昇降機1の通常運転時において昇降体10が、中心軸Gを中心に反時計回りに上昇又は下降した場合、回転軸20が回転することで、油圧モータ40が図19で右回り(矢印B1方向)に駆動される。これにより、図19に矢印B2で示したように、液圧回路部31には、昇降体10が時計回りに上昇又は下降する場合と逆方向の油の流れが生じる。すなわち、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。通常運転時に昇降体10が反時計回りに上昇又は下降した場合における、油路60内の油の最大流量は、Q1である。
【0117】
第2貯留部出入口52Aから第2モータ出入口42に向かって流量Q1で油が流れる場合には、第3油路63のヒューズ弁70は開放されており、油は第3油路63内を自由に流動する。第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かって流量Q1で油が流れる場合には、第1油路61のヒューズ弁70は開放されており、油は第1油路61内を自由に流動する。このように油は自由に流動するので、第2油路62のカウンタバランス弁90と第1モータ出入口41との間の油路60の圧力がPより過大となることはない。したがって、第2油路62のカウンタバランス弁90は作動せず、第2油路62の第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れは遮断される。
【0118】
さらに、回転軸20が破断する等の異常が発生し、昇降体10が中心軸Gを中心に反時計回りに落下した場合、油圧モータ40が図19で右回り(矢印B1方向)に駆動される。そして、図19に矢印B2で示すように、液圧回路部31には、第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51に向かう油の流れと、第2貯留部出入口52から第2モータ出入口42に向かう油の流れと、が生じる。
【0119】
このような異常時における昇降体10の落下速度は、通常下降時の昇降体10の降下速度よりも早い。したがって、油路60内の油の流量は、Q4となる。ここで、第1油路61を第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Aに向かってQ4で油が流れようとした場合には、設定値Q2を超過しているので第1油路61のヒューズ弁70は閉止され、油は第1油路61内を流動しない。
【0120】
これにより、第1油路61のヒューズ弁70と油圧モータ40との間に油が滞留するため、第1油路61及び第2油路62内のヒューズ弁70及びカウンタバランス弁90よりも油圧モータ40側の部分の圧力が高まっていく。そして、第2油路62のカウンタバランス弁90の所定値Pを超えたとき、カウンタバランス弁90が作動して、第2油路62の第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かう油の流れを許容する。
【0121】
したがって、油は、第2油路62を第1モータ出入口41から第1貯留部出入口51Bに向かってQ4で流れようとする。この際、第2油路62には絞り弁80が配置されているので、油の流量はQ3に調整される。油路60内の流量が制限されることで、油圧モータ40及び回転軸20の回転数も制限され、昇降体10の下降速度も制限される。
【0122】
また、回転軸20が破断する等の異常が発生し、昇降体10が中心軸Gを中心に時計回りに落下した場合、油圧モータ40が図19で左回り(矢印A1方向)に駆動される。そして、図19に矢印A2で示すように、液圧回路部31には、第1貯留部出入口51から第1モータ出入口41に向かう油の流れと、第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52に向かう油の流れと、が生じる。
【0123】
このような異常時における昇降体10の落下速度は、通常下降時の昇降体10の降下速度よりも早い。したがって、油路60内の油の流量は、Q4となる。ここで、第3油路63を第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52Aに向かってQ4で油が流れようとした場合には、設定値Q2を超過しているので第3油路63のヒューズ弁70は閉止され、油は第3油路63内を流動しない。
【0124】
これにより、第3油路63のヒューズ弁70と油圧モータ40との間に油が滞留するため、第3油路63及び第4油路64内のヒューズ弁70及びカウンタバランス弁90よりも油圧モータ40側の部分の圧力が高まっていく。そして、第4油路64のカウンタバランス弁90の所定値Pを超えたとき、カウンタバランス弁90が作動して、第4油路64の第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52Bに向かう油の流れを許容する。
【0125】
したがって、油は、第4油路64を第2モータ出入口42から第2貯留部出入口52Bに向かってQ4で流れようとする。この際、第4油路64には絞り弁80が配置されているので、油の流量はQ3に調整される。油路60内の流量が制限されることで、油圧モータ40及び回転軸20の回転数も制限され、昇降体10の下降速度も制限される。
【0126】
このようにして、昇降体10が時計回りに落下する場合でも反時計回りに落下する場合でも、下降にブレーキが掛かった状態となるので、緩やかに降下させることができ、昇降体10を最下端まで到達させることができ、安全に事故処理を行うことができる。その他の効果は上述の各実施形態と同様である。
【0127】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0128】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 昇降体を昇降させる昇降機において、前記昇降体の落下を防止する落下防止装置であって、
前記昇降機は、前記昇降体の昇降にともない回転する回転軸を備え、
前記落下防止装置は、前記回転軸に接続される液圧回路部を備え、
前記液圧回路部は、
前記回転軸に接続される液体モータと、
前記液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、
を備え、
前記液体モータの少なくとも一方の出入口と、前記貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置される、
ことを特徴とする落下防止装置。
本構成によれば、昇降体が意図せず急速で降下した場合、昇降体に接続される回転軸の回転速度が増加し、当該回転軸に接続された液体モータによる液体の流量も増加する。ここで、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが設けられているので、液体の流動が停止または制限される。これにより、回転軸の回転が停止され又は緩やかとなるので、昇降体の降下も停止され又は緩やかとなる。このように、昇降体の不用意な落下を防止することが可能である。
なお、本発明の落下防止装置は、電気信号による制御は必ずしも必要なく、簡易的な装置構成で実現することができ汎用性に優れる。
【0129】
(2) 前記液体モータは、
前記貯留部の第1貯留部出入口と液路を介して接続される第1モータ出入口と、
前記貯留部の第2貯留部出入口と液路を介して接続される第2モータ出入口と、
を備え、
前記第1モータ出入口と、前記第1貯留部出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、前記方向制御弁及び前記流量制御弁の少なくとも1つが配置され、
前記昇降体が上昇する場合には、前記第1モータ出入口を介して前記液体モータに液体が流入し、
前記昇降体が降下する場合には、前記第1モータ出入口を介して前記液体モータから液体が流出する、
(1)に記載の落下防止装置。
本構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏することができる。
【0130】
(3) 前記液圧回路部は、
前記第1モータ出入口と前記第1貯留部出入口とを接続する第1液路及び第2液路と、
前記第2モータ出入口と前記第2貯留部出入口とを接続する第3液路と、
を備え、
前記第1液路は、少なくとも前記方向制御弁を含み、
前記第2液路は、少なくとも前記流量制御弁を含み、
前記第1液路及び前記第2液路は、前記方向制御弁と、前記流量制御弁と、前記第1モータ出入口と、の間で分岐する、
(2)に記載の落下防止装置。
本構成によれば、昇降体が意図せず急速で降下した場合、流量制御弁によって液体の流動が制限される。これにより、回転軸の回転が緩やかとなるので、昇降体の降下も緩やかと
なる。したがって、昇降体は上方で停止せず、緩やかに降下を続け下端に到達するので、作業者が安全に事後処理を行うことが可能である。
なお、昇降体が上方で停止した場合、昇降体を降下させる作業が発生するため、安全性の観点から好ましくない。
【0131】
(4) 前記第2液路は、圧力制御弁を含み、
前記圧力制御弁は、前記流量制御弁と、前記第1貯留部出入口と、の間に配置される、
(3)に記載の落下防止装置。
本構成によれば、昇降体の通常の降下時には、第2液路は、高圧にならないため、圧力制御弁によって回路が遮断されている。
これに対し、昇降体が意図せず急速で降下した場合、第1モータ出入口を介して液体モータから液体が流出し、第2液路における圧力が高まり、圧力制御弁によって回路が開放される。これにより、第2液路に液体が流入し、流量制御弁によって流量が制限され、回転軸の回転が緩やかとなるので、昇降体の降下も緩やかとなる。
すなわち、圧力制御弁によって第2液路の回路を開閉することで、流量制御弁による流量制御のオン、オフを行うことができる。これにより、昇降体が急速で降下したときのみ、流量制御弁による流量制御を行うように設定できる。
【0132】
(5) 前記第1液路又は前記第2液路には、前記方向制御弁と前記流量制御弁と前記第1モータ出入口との間において、圧力計測器が配置される、
(3)又は(4)に記載の落下防止装置。
本構成によれば、圧力計測器が計測した圧力値に基づいて、装置の健全性を確認できる。例えば、昇降体を故意に急速降下させ、圧力値が上昇することで、方向制御弁が閉まっていることが確認でき、装置が健全であることを確認できる。
【0133】
(6) 前記方向制御弁は、ヒューズ弁であり、
前記流量制御弁は、絞り弁または流量調整弁である、
(1)~(5)のいずれか1つに記載の落下防止装置。
本構成によれば、昇降体が意図せず急速で降下した場合に、方向制御弁又は流量制御弁の機能をより効果的に発揮できる。
【0134】
(7) 前記昇降体に載置されるワークの情報に基づいて、前記流量制御弁及び前記方向制御弁の設定値を制御する制御装置を備える、
(1)~(6)のいずれか1つに記載の落下防止装置。
本構成によれば、昇降体に載置するワーク毎に、流量制御弁及び方向制御弁の設定値を適切に設定することができる。
【0135】
(8) 前記液体モータは、
前記貯留部の第1貯留部出入口と液路を介して接続される第1モータ出入口と、
前記貯留部の第2貯留部出入口と液路を介して接続される第2モータ出入口と、
を備え、
前記第1モータ出入口と、前記第1貯留部出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、前記方向制御弁及び前記流量制御弁の少なくとも1つが配置され、
前記第2モータ出入口と、前記第2貯留部出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、前記方向制御弁及び前記流量制御弁の少なくとも1つが配置される
(1)に記載の落下防止装置。
本構成によれば、昇降体が水平軸を中心として円運動によって昇降する場合に、昇降体の落下を停止し又は緩やかとすることができ、昇降体の不用意な落下を防止することが可能である。
【0136】
(9) 昇降体を昇降させる昇降機であって、
前記昇降機は、
前記昇降体の昇降にともない回転する回転軸と、
前記昇降体の落下を防止する落下防止装置と、
を備え、
前記落下防止装置は、前記回転軸に接続される液圧回路部を備え、
前記液圧回路部は、
前記回転軸に接続される液体モータと、
前記液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、
を備え、
前記液体モータの少なくとも一方の出入口と、前記貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置される、
ことを特徴とする昇降機。
本構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する昇降機を提供できる。
【0137】
(10) (9)に記載の昇降機と、
前記昇降機の前記昇降体に載置されるワークを溶接する溶接装置と、
を備える、ことを特徴とする溶接システム。
本構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する溶接システムを提供できる。
(11) 昇降体を昇降させる昇降機において、前記昇降体の落下を防止する落下防止方法であって、
前記昇降機は、前記昇降体の昇降にともない回転する回転軸を備え、
前記回転軸には、液圧回路部が接続され、
前記液圧回路部は、
前記回転軸に接続される液体モータと、
前記液体モータに液路を介して接続され、液体が貯留される貯留部と、
を備え、
前記液体モータの少なくとも一方の出入口と、前記貯留部の出入口と、の間を接続する単一又は複数の液路には、方向制御弁及び流量制御弁の少なくとも1つが配置され、
前記昇降体が所定値を超えた速度で降下した場合、前記方向制御弁及び前記流量制御弁の少なくとも1つによって液体の流動を規制することで、前記昇降体の降下速度を規制する
ことを特徴とする落下防止方法。
本構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する落下防止方法を提供できる。
【符号の説明】
【0138】
1 昇降機
3 台座部
5 立設部
8 モータ
9 モータ
9a 駆動ギア
10 昇降体
11 鉛直板部
13 水平板部
15 載置台
20 ボールねじ(回転軸)
21 ブラケット
30 落下防止装置
30a 従動ギア
31 液圧回路部
33 支持ブラケット
35 マニホールド
40 油圧モータ(液体モータ)
41 第1モータ出入口
42 第2モータ出入口
50 貯留部
51,51A,51B 第1貯留部出入口
52,52A,52B 第2貯留部出入口
53 フィルタ
55 エアブリーザ
60 油路
61 第1油路(第1液路)
62 第2油路(第2液路)
63 第3油路(第3液路)
64 第4油路(第4液路)
65 第1油路と第2油路の分岐部
66 第3油路と第4油路の分岐部
70 ヒューズ弁(方向制御弁)
80 絞り弁(流量制御弁)
90 カウンタバランス弁(圧力制御弁)
100 圧力計測器
G 中心軸
H 油
図1
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