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特開2024-130928貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130928
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/25 20190101AFI20240920BHJP
   G07D 11/23 20190101ALI20240920BHJP
   G07D 11/34 20190101ALI20240920BHJP
【FI】
G07D11/25
G07D11/23
G07D11/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040897
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215267
【弁理士】
【氏名又は名称】古屋 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100215555
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】和泉 保則
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 敬一
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA09
3E141CA16
3E141DA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】利便性を向上させることができる貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】搬送部25および収納繰出部34の制御を行うとともに、収納繰出部27に収納されている貨幣の金額を、少なくとも釣銭準備金としての金額および予定売上金としての金額に分けて管理を行う制御部が設けられている。制御部は、機体内に投入された貨幣を収納繰出部27に収納することができない場合に、機体内に投入された貨幣を回収部41に収納させるよう搬送部25を制御するとともに予定売上金としての金額から回収部41に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに収納されている貨幣を前記搬送部に繰り出し可能な収納繰出部と、
前記搬送部から送られた貨幣を収納し、収納されている貨幣ごと回収可能な回収部と、
前記搬送部および前記収納繰出部の制御を行うとともに、前記収納繰出部に収納されている貨幣の金額を、少なくとも釣銭準備金としての金額および予定売上金としての金額に分けて管理を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができない場合に、機体内に投入された貨幣を前記回収部に収納させるよう前記搬送部を制御するとともに予定売上金としての金額から前記回収部に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行う、貨幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、売上金としての貨幣が入金されて前記収納繰出部に収納された場合に、予定売上金としての金額に前記収納繰出部に収納された貨幣の金額を加えるよう演算を行う、請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、釣銭としての貨幣が前記収納繰出部から繰り出されて機体外に投出された場合に、釣銭準備金としての金額から前記収納繰出部から繰り出された貨幣の金額を差し引くよう演算を行う、請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、締め処理が行われる際に、予定売上金としての金額が0より大きい場合は、前記収納繰出部から前記回収部に貨幣を移動させるとともに予定売上金としての金額から前記回収部に送られた貨幣の金額を差し引くよう演算を行い、予定売上金としての金額が0以下の場合は、前記収納繰出部から前記回収部に貨幣を移動させないとともに予定売上金としての金額を変化させない、請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記締め処理が行われる際において、予定売上金としての金額が0より大きい場合に前記収納繰出部から前記回収部に移動可能な貨幣の金額の上限は予定売上金としての金額である、請求項4記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
操作者に対して報知を行うための報知部を更に備え、
前記制御部は、前記締め処理が行われる際に、予定売上金としての金額が0以下の場合は、予定売上金としての金額が0以下である旨の報知を行わせるよう前記報知部を制御する、請求項4記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、両替処理が行われる際に、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができる場合は、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納させるとともに前記収納繰出部に収納された金額と同一の金額かつ異なる金種の貨幣を前記収納繰出部から繰り出して出金し、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができない場合は、機体内に投入された貨幣を前記回収部に収納させるとともに前記回収部に収納された金額と同一かつ異なる金種の貨幣を前記収納繰出部から繰り出して出金し、予定売上金としての金額から前記回収部に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行う、請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記収納繰出部に収納されている貨幣の管理権限を第1の管理権限とするとともに前記回収部に収納されている貨幣の管理権限を前記第1の管理権限とは異なる第2の管理権限とするよう貨幣の管理を行う、請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに収納されている貨幣を前記搬送部に繰り出し可能な収納繰出部と、前記搬送部から送られた貨幣を収納し、収納されている貨幣ごと回収可能な回収部と、前記搬送部および前記収納繰出部の制御を行うとともに、前記収納繰出部に収納されている貨幣の金額を、少なくとも釣銭準備金としての金額および予定売上金としての金額に分けて管理を行う制御部とを備えた貨幣処理装置による貨幣処理方法であって、
前記制御部が、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができない場合に、機体内に投入された貨幣を前記回収部に収納させるとともに予定売上金としての金額から前記回収部に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行う工程を備えた、貨幣処理方法。
【請求項10】
貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに収納されている貨幣を前記搬送部に繰り出し可能な収納繰出部と、前記搬送部から送られた貨幣を収納し、収納されている貨幣ごと回収可能な回収部とを備えた貨幣処理装置における、前記搬送部および前記収納繰出部の制御を行う制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部は、前記プログラムを実行することにより、前記収納繰出部に収納されている貨幣の金額を、少なくとも釣銭準備金としての金額および予定売上金としての金額に分けて管理を行い、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができない場合に、機体内に投入された貨幣を前記回収部に収納させるとともに予定売上金としての金額から前記回収部に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行う、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣や硬貨等の貨幣の処理を行う貨幣処理装置として従来から様々なタイプのものが知られている。例えば、特許文献1には、締め処理において違算によるトラブルを防止できる貨幣処理装置が開示されている。具体的には、このような貨幣処理装置において、営業終了時等の締め処理として、現金回収庫内の現金の合計金額が売上金の合計金額と一致するように、差額分の現金を釣銭用現金収納庫から現金回収庫に移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-124737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の貨幣処理装置では、機体内に投入された貨幣を、この貨幣の金種に対応する収納部に収納することができない場合は、機体内への貨幣の投入を受け付けないような運用が行われていた。しかしながら、この場合は利用者にとって不便であるという問題があった。
【0005】
本開示は、このような点を考慮してなされたものであり、利便性を向上させることができる貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の貨幣処理装置は、
貨幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに収納されている貨幣を前記搬送部に繰り出し可能な収納繰出部と、
前記搬送部から送られた貨幣を収納し、収納されている貨幣ごと回収可能な回収部と、
前記搬送部および前記収納繰出部の制御を行うとともに、前記収納繰出部に収納されている貨幣の金額を、少なくとも釣銭準備金としての金額および予定売上金としての金額に分けて管理を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができない場合に、機体内に投入された貨幣を前記回収部に収納させるよう前記搬送部を制御するとともに予定売上金としての金額から前記回収部に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行うことを特徴とする。
【0007】
また、本開示の貨幣処理装置においては、
前記制御部は、売上金としての貨幣が入金されて前記収納繰出部に収納された場合に、予定売上金としての金額に前記収納繰出部に収納された貨幣の金額を加えるよう演算を行ってもよい。
【0008】
また、前記制御部は、釣銭としての貨幣が前記収納繰出部から繰り出されて機体外に投出された場合に、釣銭準備金としての金額から前記収納繰出部から繰り出された貨幣の金額を差し引くよう演算を行ってもよい。
【0009】
また、前記制御部は、締め処理が行われる際に、予定売上金としての金額が0より大きい場合は、前記収納繰出部から前記回収部に貨幣を移動させるとともに予定売上金としての金額から前記回収部に送られた貨幣の金額を差し引くよう演算を行い、予定売上金としての金額が0以下の場合は、前記収納繰出部から前記回収部に貨幣を移動させないとともに予定売上金としての金額を変化させない、といった処理を行ってもよい。
【0010】
また、前記締め処理が行われる際において、予定売上金としての金額が0より大きい場合に前記収納繰出部から前記回収部に移動可能な貨幣の金額の上限は予定売上金としての金額であってもよい。
【0011】
また、本開示の貨幣処理装置は、
操作者に対して報知を行うための報知部を更に備え、
前記制御部は、前記締め処理が行われる際に、予定売上金としての金額が0以下の場合は、予定売上金としての金額が0以下である旨の報知を行わせるよう前記報知部を制御してもよい。
【0012】
また、前記制御部は、両替処理が行われる際に、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができる場合は、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納させるとともに前記収納繰出部に収納された金額と同一の金額かつ異なる金種の貨幣を前記収納繰出部から繰り出して出金し、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができない場合は、機体内に投入された貨幣を前記回収部に収納させるとともに前記回収部に収納された金額と同一かつ異なる金種の貨幣を前記収納繰出部から繰り出して出金し、予定売上金としての金額から前記回収部に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行ってもよい。
【0013】
また、前記制御部は、前記収納繰出部に収納されている貨幣の管理権限を第1の管理権限とするとともに前記回収部に収納されている貨幣の管理権限を前記第1の管理権限とは異なる第2の管理権限とするよう貨幣の管理を行ってもよい。
【0014】
本開示の貨幣処理方法は、
貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに収納されている貨幣を前記搬送部に繰り出し可能な収納繰出部と、前記搬送部から送られた貨幣を収納し、収納されている貨幣ごと回収可能な回収部と、前記搬送部および前記収納繰出部の制御を行うとともに、前記収納繰出部に収納されている貨幣の金額を、少なくとも釣銭準備金としての金額および予定売上金としての金額に分けて管理を行う制御部とを備えた貨幣処理装置による貨幣処理方法であって、
前記制御部が、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができない場合に、機体内に投入された貨幣を前記回収部に収納させるとともに予定売上金としての金額から前記回収部に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行う工程を備えたことを特徴とする。
【0015】
本開示のプログラムは、
貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに収納されている貨幣を前記搬送部に繰り出し可能な収納繰出部と、前記搬送部から送られた貨幣を収納し、収納されている貨幣ごと回収可能な回収部とを備えた貨幣処理装置における、前記搬送部および前記収納繰出部の制御を行う制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部は、前記プログラムを実行することにより、前記収納繰出部に収納されている貨幣の金額を、少なくとも釣銭準備金としての金額および予定売上金としての金額に分けて管理を行い、機体内に投入された貨幣を前記収納繰出部に収納することができない場合に、機体内に投入された貨幣を前記回収部に収納させるとともに予定売上金としての金額から前記回収部に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示の貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラムによれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施の形態による貨幣処理装置の外観を示す斜視図である。
図2図1に示す貨幣処理装置における紙幣処理装置の内部構成を示す構成図である。
図3図1に示す貨幣処理装置における硬貨処理装置の内部構成を示す構成図である。
図4図1に示す貨幣処理装置における制御系の構成を示す機能ブロック図である。
図5A】本開示の実施の形態による貨幣処理方法における貨幣処理の基本的な流れを示すフローチャートである。
図5B】本開示の実施の形態による貨幣処理方法における貨幣処理の基本的な流れを示すフローチャートである。
図6】本開示の実施の形態による貨幣処理方法において、貨幣処理装置が待機状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
図7】本開示の実施の形態による貨幣処理方法において、リサイクル部に収納できる金種の貨幣による売上金入金後の状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
図8】本開示の実施の形態による貨幣処理方法において、リサイクル部に収納できない金種の貨幣による売上金入金後の状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
図9】本開示の実施の形態による貨幣処理方法において、両替処理後の状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
図10】本開示の実施の形態による貨幣処理方法において、別の両替処理後の状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
図11】本開示の実施の形態による貨幣処理方法において、別の売上金入金後の状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
図12】本開示の実施の形態による貨幣処理方法において、締め処理後の状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
図13】本開示の実施の形態による貨幣処理方法において、図7の状態から締め処理を行った場合の状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
図14】本開示の実施の形態による貨幣処理方法において、回収処理後の状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態による貨幣処理装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す貨幣処理装置における紙幣処理装置の内部構成を示す構成図である。図3は、図1に示す貨幣処理装置における硬貨処理装置の内部構成を示す構成図である。また、図4は、図1に示す貨幣処理装置における制御系の構成を示す機能ブロック図である。図5Aおよび図5Bは、本開示の実施の形態による貨幣処理方法における貨幣処理の基本的な流れを示すフローチャートである。図6図14は、本開示の実施の形態による貨幣処理方法における各処理後の状態にあるときのリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
【0019】
[貨幣処理装置10]
本実施の形態による貨幣処理装置は、例えば店舗等のバックヤード領域に設置してもよく、店舗等における売上金としての貨幣の入金処理や、釣銭準備金等の貨幣の出金処理、および回収業務を行う回収業者へ売上金等の貨幣を引き渡す締め処理、回収処理等を行うようになっている。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態による貨幣処理装置10は略直方体形状の筐体11を備えており、この筐体11の内部には、貨幣処理装置10を前方から見て上部において左右に並ぶよう配置された紙幣処理装置20および硬貨処理装置30が設けられている。ここで、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30は、それぞれ、紙幣や硬貨の入金処理および出金処理を行うようになっている。また、貨幣処理装置10の筐体11の内部において、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30の下方には、硬貨および紙幣の収納を行う貨幣収納部40が設けられている。ここで、貨幣処理装置10のうち、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30は店舗側の管理権限下にあり、貨幣収納部40は回収業者側の管理権限下にある。
【0021】
以下、紙幣処理装置20、硬貨処理装置30および貨幣収納部40の詳細について説明する。
【0022】
(紙幣処理装置20)
まず、紙幣処理装置20の構成について図1乃至図2を用いて説明する。図2は、図1に示す紙幣処理装置20の内部構成を右側から見たときの図である。なお、図2における筐体11の左側の側面が紙幣処理装置20の前面側(すなわち、紙幣処理装置20を手前側から見たときの正面側)となっており、図2における右方向が筐体11の奥行き方向となっている。
【0023】
図1および図2に示すように、紙幣処理装置20は、当該紙幣処理装置20内への紙幣の取り込みを行う紙幣投入口21と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち偽札や識別不能な紙幣等のリジェクトを行う紙幣リジェクト口22と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち貨幣収納部40に収納されない紙幣を紙幣処理装置20の外部に返却する紙幣返却口23とを備えている。また、図2に示すように、紙幣処理装置20の内部には、紙幣投入口21に投入された紙幣を紙幣処理装置20内で搬送する搬送部25が設けられている。
【0024】
紙幣投入口21は、操作者により1または束状態の複数の紙幣が短手方向に一括して投入されるよう構成されている。図1に示すように、この紙幣投入口21には紙幣ステージ28が配設されている。紙幣ステージ28は、待機時には上昇位置にありこの際には操作者は紙幣投入口21に紙幣を投入することができず、一方、紙幣の入金処理時や補充処理時には下降して操作者が紙幣投入口21に紙幣を投入することができるように構成されている。また、図2に示すように、紙幣投入口21は搬送部25に接続されており、紙幣投入口21に投入された1または束状態の複数の紙幣は、1枚ずつ搬送部25に繰り出されて当該搬送部25で搬送されるようになっている。
【0025】
紙幣リジェクト口22は、図2に示すように搬送部25に接続されており、紙幣投入口21により紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち後述する識別部26によりリジェクトすべき紙幣であると識別された紙幣や識別部26で識別することができなかった紙幣が搬送部25から送られるようになっている。操作者はこの紙幣リジェクト口22に送られた紙幣を筐体11の前面側から取り出すことができるようになっている。
【0026】
紙幣返却口23には、図2に示すように、搬送部25に接続された紙幣保留部29が設けられている。この紙幣保留部29には、搬送部25から紙幣が送られるようになっている。また、紙幣返却口23には開閉可能な扉24が設けられている。紙幣保留部29にある紙幣を返却する場合には、紙幣保留部29の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉24から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉24は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。なお、後述のように、紙幣保留部29内に保留された紙幣は、操作者により紙幣返却口23から取り出される代わりに、貨幣収納部40内に配置された紙幣回収カセット41(後述)に送られる場合もある。以下の説明で、この紙幣回収カセットを単に「カセット」または「回収部」ともいう。
【0027】
搬送部25は、紙幣処理装置20の内部で紙幣を1枚ずつ順次搬送する機能を有している。具体的には、搬送部25において、紙幣は一対のベルト間に挟まれて搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、図2に示すように、搬送部25に設けられた搬送路は様々な箇所で分岐するようになっており、この搬送路が分岐する箇所には分岐部材(図示せず)が設けられている。各分岐部材は例えば分岐爪からなり、これらの分岐部材はそれぞれ後述する制御部15により制御されるようになっている。また、搬送部25には、当該搬送部25で搬送される紙幣の識別を行う識別部26が介設されている。この識別部26は、搬送部25で搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等を識別するようになっている。識別部26による紙幣の識別結果は後述する制御部15に送られるようになっている。
【0028】
紙幣処理装置20の内部には、複数(例えば3つ)のリサイクル式紙幣収納部27が横方向に並ぶよう設けられている。ここで、複数のリサイクル式紙幣収納部27a~27cは、概して金種毎に紙幣を一時的に収納するようになっている。図2に示す例では、各リサイクル式紙幣収納部27は、正逆両方向に回転可能なドラム27pをそれぞれ有しており、各ドラム27pに帯状のテープが巻き取られるようになっている。搬送部25から各リサイクル式紙幣収納部27に送られた紙幣は、このテープに押さえられた状態で1枚ずつ順次ドラム27pにより巻き取られて収納される。また、ドラム27pを逆転させると、巻き取られた紙幣が1枚ずつ搬送部25に送られる。このように、各リサイクル式紙幣収納部27は、紙幣を金種毎に収納するとともに収納されている紙幣を繰り出す「収納繰出部」として機能するようになる。以下の説明において、一つまたは複数の収納繰出部を「リサイクル部」ともいう場合がある。
【0029】
紙幣保留部29は、前述のように紙幣返却口23に設けられており、図2に示すように搬送部25に接続されている。この紙幣保留部29には、紙幣投入口21に投入された紙幣や、各リサイクル式紙幣収納部27に収納された紙幣が搬送部25により送られるようになっており、搬送部25から送られた紙幣を束状態で複数保留することができるようになっている。図2に示すように、紙幣保留部29には一時保留板29aおよび押さえ部材29bが設けられている。ここで、紙幣保留部29にある紙幣を返却する場合には、前述のように、筐体11の前面側における紙幣保留部29の壁面が開いて、操作者は扉24から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉24は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。また、紙幣保留部29に紙幣が保留される際に、紙幣は一時保留板29aに載せられるようになっており、紙幣保留部29にある紙幣を紙幣回収カセット41に収納させる際には、この紙幣回収カセット41に設けられたステージ41aが紙幣保留部29の一時保留板29aに載せられた紙幣を迎えにいき、一時保留板29aが図2の矢印方向に退避することにより紙幣をステージ41a上に載せて紙幣保留部29から紙幣回収カセット41へ下降し、そしてステージ41a上の紙幣を上から押さえ部材29bで押さえて紙幣回収カセット41へ収納するようになっている。
【0030】
(硬貨処理装置30)
次に、硬貨処理装置30の構成について図1および図3を用いて説明する。図3は、図1に示す硬貨処理装置30の内部構成を右側から見たときの図である。なお、図3における筐体11の左側の側面が硬貨処理装置30の前面側(すなわち、硬貨処理装置30を手前側から見たときの正面側)となっており、図3における右方向が筐体11の奥行き方向となっている。
【0031】
図1および図3に示すように、硬貨処理装置30は、当該硬貨処理装置30内への硬貨の取り込みを行う硬貨投入口31と、硬貨投入口31により硬貨処理装置30内へ取り込まれた硬貨を1枚ずつ繰り出す硬貨繰出部33と、硬貨繰出部33により繰り出された硬貨を硬貨処理装置30内で1枚ずつ搬送する搬送部35と、硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち偽貨や識別不能な硬貨等のリジェクトを行う硬貨リジェクト口32とを備えている。
【0032】
硬貨投入口31は、操作者により1または複数の硬貨が一括して投入されるよう構成されている。また、図1に示すように、硬貨投入口31には、当該硬貨投入口31の開閉を行う開閉部材としてシャッタ31aが設けられており、シャッタ31aにより硬貨投入口31が開かれた場合においてのみ当該硬貨投入口31に硬貨を投入することができるようになっている。また、硬貨投入口31の下方には、ホッパ等から構成される硬貨繰出部33が設けられており、硬貨投入口31に投入された硬貨は自重により落下して硬貨繰出部33に貯留されるようになっている。また、硬貨繰出部33は、当該硬貨繰出部33に貯留されている硬貨を1枚ずつ搬送部35に繰り出すようになっている。
【0033】
搬送部35は、硬貨繰出部33から繰り出された硬貨を1枚ずつ図3における右方向に搬送するようになっている。また、搬送部35には、上流側から順に、搬送部35で搬送される硬貨の識別を行う識別部35a、識別部35aにより偽貨や識別不能な硬貨等であると識別された硬貨を選別するリジェクト選別部35b、識別部35aにより識別された硬貨の金種に対応する、後述するリサイクル式硬貨収納部34がフル状態またはニアフル状態である場合に当該硬貨を選別するオーバーフロー選別部35c、および硬貨を金種毎に選別する選別部36がそれぞれ設けられている。識別部35aは、搬送部35で搬送される硬貨の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等を識別するようになっている。識別部35aによる硬貨の識別結果は後述する制御部15に送られるようになっている。また、リジェクト選別部35bは、識別部35aにより偽貨や識別不能な硬貨等であると識別された硬貨を搬送部35から選別し、この選別された硬貨を硬貨リジェクト口32に送るようになっている。また、オーバーフロー選別部35cは、識別部35aにより識別された硬貨の金種に対応するリサイクル式硬貨収納部34(後述)がフル状態またはニアフル状態である場合に当該硬貨を搬送部35から選別し、この選別された硬貨を出金一時保留部37(後述)に直接送るようになっている。また、選別部36は、識別部35aにより識別された硬貨の金種に基づいて、搬送部35から硬貨を金種毎に選別して後述する各リサイクル式硬貨収納部34に金種毎に送るようになっている。
【0034】
硬貨処理装置30の内部には、複数(例えば6つ)のリサイクル式硬貨収納部34が並列に設けられている。各リサイクル式硬貨収納部34には、選別部36により搬送部35から選別された硬貨が収納されるようになっている。また、各リサイクル式硬貨収納部34における硬貨収納領域の底部には繰出ベルト等の繰出部が設けられており、各リサイクル式硬貨収納部34に収納されている硬貨は繰出部により1枚ずつ後述する出金搬送部34aに繰り出されるようになっている。このように、各リサイクル式硬貨収納部34は、硬貨を金種毎に収納するとともに収納されている硬貨を繰り出す「収納繰出部」として機能するようになる。各リサイクル式硬貨収納部34から繰り出された硬貨は出金搬送部34aにより後述する出金一時保留部37に送られるようになっている。なお、以下の説明において、これらのリサイクル式硬貨収納部34の一つまたは複数も「リサイクル部」という場合がある。
【0035】
出金一時保留部37は、図3において実線で示すような保留位置と、保留位置から図3において左側に移動した位置である出金位置(図3において二点鎖線で表示)と、保留位置から図3において右側に移動した位置である引渡位置(図3において二点鎖線で表示)との間で水平方向に移動可能となっている。なお、通常時は出金一時保留部37は保留位置で待機するようになっている。出金一時保留部37が保留位置で待機しているときには、オーバーフロー選別部35cにより搬送部35から選別された硬貨や、各リサイクル式硬貨収納部34から繰り出された硬貨が出金一時保留部37に送られ、この出金一時保留
部37に一時的に保留されるようになる。また、筐体11の前面側には硬貨返却口38が設けられており、この硬貨返却口38には開閉可能な扉38a(図1参照)が設けられている。ここで、出金一時保留部37が保留位置から出金位置に移動すると、出金一時保留部37の底部が開かれることによりこの出金一時保留部37に保留されている硬貨が硬貨返却口38に送られ、当該硬貨返却口38に硬貨が集積されるようになる。また、出金一時保留部37に保留されている硬貨が硬貨返却口38に送られると、扉38aが自動的に開くようになり、このことにより操作者は硬貨返却口38から硬貨を取り出すことができるようになる。また、出金一時保留部37の引渡位置の下方には収納シュート39が設けられており、出金一時保留部37が保留位置から引渡位置に移動すると、出金一時保留部37の底部が開かれることによりこの出金一時保留部37に保留されている硬貨が収納シュート39に送られ、収納シュート39により硬貨が貨幣収納部40内に配置された硬貨回収カセット42(後述)に送られるようになっている。以下の説明で、この硬貨回収カセットも単に「カセット」または「回収部」ともいう。
【0036】
(貨幣収納部40)
次に、貨幣収納部40の構成について図1図2および図3を用いて説明する。図1に示すように、貨幣収納部40は、貨幣処理装置10の筐体11の下部に設けられている。この貨幣収納部40は、図2および図3に示すように、紙幣を収納する紙幣回収カセット41および硬貨を収納する硬貨回収カセット42を有している。紙幣回収カセット41には、紙幣処理装置20の紙幣保留部29に保留された紙幣が収納されるようになっている(図2参照)。一方、硬貨回収カセット42には、出金一時保留部37から収納シュート39に送られた硬貨が収納されるようになっている(図3参照)。また、回収業者の収集特定者によって、貨幣収納部40が筐体11の前面側へ引き出され、この収集特定者が各カセット41、42自体を貨幣収納部40から回収するようになっている。
【0037】
紙幣回収カセット41の上面にはシャッタ(図示せず)が設けられている。紙幣回収カセット41が貨幣収納部40に収容された状態でこの貨幣収納部40が筐体11内にセットされた後、特定の処理を行うときに、図示しない駆動装置によって駆動されてシャッタは開いた状態となる。具体的には例えば、紙幣の締め処理が行われるときにはシャッタが開いた状態となっており、紙幣保留部29から紙幣回収カセット41に紙幣を送ることができる。締め処理が終了すると、シャッタは閉じた状態となる。一方、貨幣収納部40が筐体11から引き出されるときには、シャッタは必ず閉じた状態となる。また、紙幣回収カセット41は錠を備えた図示しない扉を有しており、鍵を持つ特定の権限を有する者でないと扉の錠を開くことができないようになっている。また、紙幣回収カセット41において、紙幣がステージ41a上に積層状態で集積されるようになっている。ここで、ステージ41aは図2における上下方向に移動可能となっており、ステージ41a上に紙幣が集積される度に、当該ステージ41aの位置が下降するようになっている。
【0038】
また、硬貨回収カセット42の上面にもシャッタ(図示せず)が設けられている。硬貨回収カセット42が貨幣収納部40に収容された状態でこの貨幣収納部40が筐体11内にセットされたときに、シャッタは開いた状態となる。このため、硬貨の締め処理が行われるときにはシャッタが開いた状態となっており、出金一時保留部37から収納シュート39を介して硬貨回収カセット42に硬貨を送ることができる。一方、貨幣収納部40が筐体11から引き出されたときには、シャッタは閉じた状態となる。また、硬貨回収カセット42は錠を備えた図示しない扉を有しており、鍵を持つ特定の権限を有する者でないと扉の錠を開くことができないようになっている。
【0039】
ここで、前述のように、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30は店舗側に管理権限がある。このため、紙幣処理装置20におけるリサイクル式紙幣収納部27や、硬貨処理装置30におけるリサイクル式硬貨収納部34にある紙幣や硬貨に対する様々な処理や、この紙幣や硬貨の入出金情報や在高データへのアクセスは店舗側の権限のある操作者のみが行うことができる。一方、貨幣収納部40は回収業者側に管理権限があるため、貨幣収納部40にある紙幣や硬貨の回収は回収業者の収集特定者のみが行うことができるようになっている。
【0040】
(その他の構成要素)
次に、貨幣処理装置10に設けられた他の様々な機構について説明する。図1に示すように、貨幣処理装置10の筐体11の上面には、操作者が貨幣処理装置10の制御部15(後述)に対して様々な指令を行うための操作部45、および貨幣処理装置10における貨幣の処理内容等を表示する表示部44が設けられている。ここで、操作部45は、例えばテンキーや確定キー、スタートキー、取消キーならびにリセットキーを有しており、操作者が各キーを押すことにより貨幣処理装置10の制御部15に対して様々な指令を行うことができるようになっている。表示部44は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)から構成されている。
【0041】
また、筐体11の前面には、貨幣処理装置10における貨幣の処理内容等を印字するプリンタ43、および操作者の操作権限の確認を行うためのカードリーダ46がそれぞれ設けられている。カードリーダ46は、操作者が携帯するIDカードのID情報の読み取りを行うようになっている。
【0042】
貨幣処理装置10は、操作者に対して報知を行うための報知部49を備えている。報知部49は所定の場合に報知を行えるものであれば特に限定されず、音で報知するスピーカーでも、光で報知するLEDランプでもよく、所定のメッセージを表示させて報知するのであれば、表示部44が報知部49を兼ねてもよい。
【0043】
次に、貨幣処理装置10における各構成部材の制御を行う制御部15について図4を用いて説明する。制御部15は貨幣処理装置10の筐体11内に設置されている。
【0044】
図4に示すように、制御部15には、紙幣処理装置20の各構成部材(例えば、搬送部25、識別部26、リサイクル式紙幣収納部27、紙幣ステージ28、紙幣保留部29等)、硬貨処理装置30の各構成部材(例えば、硬貨繰出部33、搬送部35、識別部35a、選別部36、リサイクル式硬貨収納部34、出金一時保留部37等)、貨幣収納部40、プリンタ43、表示部44、操作部45、カードリーダ46、記憶部47、通信インターフェース部48、報知部49等が接続されている。
【0045】
制御部15には、紙幣処理装置20の識別部26による紙幣の識別結果や、硬貨処理装置30の識別部35aによる硬貨の識別結果が送られるようになっている。また、制御部15には、操作部45からの入力やカードリーダ46によりカードから読み取られた操作者のID情報等の情報が送られるようになっている。
【0046】
また、制御部15は、貨幣処理装置10の操作が行われる際は操作部45やカードリーダ46から入力された操作者のID情報等をもとに操作者の権限の確認を行う。また、制御部15は、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の搬送部や収納繰出部を含む各構成部材を制御したり、表示部44、プリンタ43等を制御したりするようになっている。
【0047】
また、制御部15は、通信インターフェース部48を介して上位端末等の外部装置に対して信号の送受信を行うようになっている。
【0048】
また、制御部15は、操作者に対して報知を行うための報知部49に接続されており、後述するように所定の場合に報知部49によって操作者に注意喚起できるようになっている。
【0049】
さらに、制御部15は、収納繰出部27、34(リサイクル部)における予定売上金、釣銭準備金、小口現金等を把握して、収納されている貨幣の金額を、釣銭準備金としての金額、小口現金としての金額、予定売上金としての金額等に分けて管理を行い、紙幣および硬貨を含む貨幣の入出金毎に各種の演算を行うことができる(図5A図6等を参照して後述する)。なお、これらの情報や各種プログラムは、記憶部47に記憶される。より具体的には、記憶部47には、貨幣処理装置10における紙幣の入金処理や出金処理等の処理履歴や、各収納部に収納されている貨幣の在高等に関する情報等も記憶されるようになっている。記憶部47は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成されている。
【0050】
(動作)
次に、このような構成からなる貨幣処理装置10の動作について説明する。本実施の形態では、貨幣処理装置10において、紙幣や硬貨の入金処理、出金処理、補充処理、締め処理、回収処理、両替処理、小口現金処理等を行うことができるようになっている。なお、以下に示すような貨幣処理装置10の動作は、記憶部47に記憶されているプログラムを実行する制御部15が紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の各構成部材を制御することによって行われるようになっている。
【0051】
まず、紙幣や硬貨の入金処理について簡単に説明する。貨幣処理装置10において紙幣や硬貨の入金処理を行うにあたり、操作者が紙幣処理装置20の紙幣投入口21に紙幣を投入したり硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入したりすると、筐体11の内部に投入された紙幣や硬貨は識別部26、35aにより識別された後に各リサイクル式紙幣収納部27や各リサイクル式硬貨収納部34に金種毎に収納される。
【0052】
次に、紙幣や硬貨の出金処理について簡単に説明する。貨幣処理装置10において紙幣や硬貨の出金処理を行うにあたり、操作者が出金されるべき紙幣や硬貨の金種毎の枚数や合計金額等を操作部45により入力すると、紙幣処理装置20の各リサイクル式紙幣収納部27に収納されている紙幣が当該リサイクル式紙幣収納部27から繰り出されて紙幣返却口23に送られたり、硬貨処理装置30の各リサイクル式硬貨収納部34に収納されている硬貨が当該リサイクル式硬貨収納部34から繰り出されて出金一時保留部37に保留された後に硬貨返却口38に送られたりする。このことにより、操作者は出金されるべき紙幣や硬貨を紙幣返却口23や硬貨返却口38から筐体11の外部に取り出すことができるようになる。
【0053】
次に、紙幣や硬貨の補充処理について簡単に説明する。紙幣や硬貨の補充処理とは、紙幣を金種毎に紙幣処理装置20の各リサイクル式紙幣収納部27に補充したり、硬貨を金種毎に硬貨処理装置30の各リサイクル式硬貨収納部34に補充したりする処理のことをいう。貨幣処理装置10において紙幣や硬貨の補充処理を行うにあたり、操作者が紙幣処理装置20の紙幣投入口21に紙幣を投入したり硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入したりすると、筐体11の内部に投入された紙幣や硬貨は識別部26、35aにより識別された後に各リサイクル式紙幣収納部27や各リサイクル式硬貨収納部34に金種毎に収納される。本実施の形態の貨幣処理装置10では、例えば毎月所定の金額を小口現金として補充できるようになっている。
【0054】
次に、紙幣や硬貨の締め処理について簡単に説明する。ここで、紙幣や硬貨の締め処理とは、紙幣処理装置20の各リサイクル式紙幣収納部27に収納されている紙幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット(回収部)41に送ったり、硬貨処理装置30の各リサイクル式硬貨収納部34に収納されている硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット(回収部)42に送ったりする処理のことをいう。上述したように、貨幣収納部40の管理権限が回収業者側に設定されているため、各リサイクル式紙幣収納部27や各リサイクル式硬貨収納部34から貨幣収納部40に送られた紙幣や硬貨の管理権限が店舗側の管理権限下から回収業者側の管理権限下に変更される。そして、リサイクル式紙幣収納部27やリサイクル式硬貨収納部34の在高は、締め処理が行われた紙幣や硬貨の金額や金種毎の枚数である貨幣移動量分だけ減少し、一方、貨幣収納部40の在高は、締め処理が行われた紙幣や硬貨の金額や金種毎の枚数である貨幣移動量分だけ増加する。貨幣移動量は、日時や操作者ID等とともに締めデータとして記憶部47に記憶される。こうして、売上金が算出されることとなる。
【0055】
次に、紙幣や硬貨の回収処理について簡単に説明する。警送会社等の回収業者の収集特定者により操作部45を介して回収処理の指令が制御部15に送られたときに、制御部15は貨幣収納部40の扉のロックを解除し、紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42を取り出し可能とする。回収業者の収集特定者が、各カセットを取り出して代わりの空のカセットと交換して扉を閉じると、回収された紙幣や硬貨の金種毎の枚数または合計金額もしくは金種毎の金額のデータである回収データが通信インターフェース部48により外部装置(具体的には、回収業者の管理センターに設置されているコンピュータ等)に送信される。
【0056】
さらに、本実施の形態に係る貨幣処理装置10は、両替処理や小口現金処理にも対応できる。両替処理とは、両替したい資金とリサイクル部(27、34)の資金を等価交換する処理である。また、小口現金処理とは、貨幣処理装置10が設置される店舗の運営のために、電気代等の細かい経費の支払いの際にリサイクル部(27、34)から出金する処理であり、またその後の補充処理も小口現金処理に含まれる。
【0057】
上述したように、リサイクル部(27、34)には所定の金種の紙幣または硬貨を収納することができる。実際に貨幣処理装置10を使用する店舗において、例えば、各リサイクル部27にそれぞれ収納する紙幣を1万、5千、千円とするだけでなく、ニーズに合わせて、5千、千、千と設定することもできる。従来の貨幣処理装置ではこのような設定の場合、両替処理をするために両替資金の1万円札を投入しても、対応するリサイクル部27がないため、この1万円札は取り扱いできない紙幣としてリジェクトされることになる。この結果、上記のような場合、従来の貨幣処理装置では両替処理を受け付けることができなかった。このような問題は、あるリサイクル部が満杯(フル)で特定の金種の貨幣を収納できない場合にも発生し得る。
【0058】
これに対し、本実施形態に係る貨幣処理装置10では、貨幣処理装置10の機体内(筐体11)に投入された貨幣を収納繰出部27、34に収納することができない場合に、制御部15は、投入された貨幣を回収部41、42に収納させるように搬送部25、35を制御する。さらに、制御部15は、収納繰出部27、34に収納されている貨幣の金額を少なくとも釣銭準備金としての金額および予定売上金としての金額に分けて管理を行い、機体内に投入された貨幣を収納繰出部27、34に収納することができない場合には、予定売上金としての金額から回収部41、42に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行う。
【0059】
こうして、収納繰出部27、34に収納される貨幣の金種の設定が偏ったものであり、リサイクル部に対応する金種以外の金種を両替処理しようとしても、効率良く受付を行うことができ、運用面での制約がなくなる。また、収納繰出部27、34がフルの場合でも、回収部41、42がフルでなければ、同様に、収納繰出部27、34に収納することができない貨幣を回収部41、42に収納することによって、効率良く店舗運用できる。
【0060】
[貨幣処理方法]
以下、図5A図14を参照しながら、上記した貨幣処理装置10を用いた場合の各処理について詳細に説明する。なお、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムは、以下の金種、金額、処理等の具体的設定に限定されない。図5A及び図5Bは、本開示の実施の形態による貨幣処理方法における貨幣処理の基本的な流れを示すフローチャートであり、図6図14は、本開示の実施の形態による貨幣処理方法における各処理後の状態のリサイクル部および回収部の在高を示す説明図である。
【0061】
(待機状態:図6
本開示に係る貨幣処理方法およびプログラムを開始する前の、貨幣処理装置10内の貨幣に関する待機状態として、図6に記載のものを例示できる。
【0062】
この例では、リサイクル部が3つのリサイクル式紙幣収納部(収納繰出部)27a~27cから構成され、収納される貨幣の金種がそれぞれ「5千」、「5千」、「千」に設定されている。準備金、小口現金、予定売上金等の情報は、制御部15によって管理される。なお、準備金には、釣銭として用いる釣銭準備金の他にも、貨幣処理装置10とは別のATM等の貨幣処理機への補充金として用いる準備金や、両替等において貨幣処理装置1自身が出金するための準備金等が含まれ得る。
【0063】
(入金処理:図5AのステップS10~S40、図7
このような待機状態において、図7に示すように、10万円の売上金が入金される(図5A、ステップS10)。この売上金は20枚の5千円札で構成され、この例ではリサイクル式紙幣収納部(収納繰出部)27aに収納できることから(図5A、ステップS20で「YES」)、制御部15は、これらの20枚の5千円札を収納繰出部27aに収納させるよう搬送部25を制御する(図5AのステップS30、図7)。また、制御部15は、売上金としての貨幣(5千円札×20枚=10万円)が入金されて収納繰出部27aに収納された場合に、予定売上金としての金額(0円、図6)に収納繰出部27aに収納された貨幣の金額(5千円札×20枚=10万円)を加えるよう演算を行う(図7中、予定売上金:10万円)。
【0064】
一方、図8に示すように、リサイクル式紙幣収納部(収納繰出部)27a~27cに収納できない金種の貨幣(具体的には、1万円札)が入金された場合には(図5A、ステップS20で「NO」の場合)、制御部15は、その投入された貨幣(例えば、1万円札×10枚=10万円分、図8)を回収部(紙幣回収カセット)41に収納させるよう搬送部25を制御する(図5AのステップS40)。さらに、制御部15は、予定売上金としての金額(0万円、図6)から回収部41に収納された貨幣の金額(10万円)を差し引くよう演算を行う(図8中、予定売上金:-10万円)。
【0065】
(別の入金処理(その1):図5AのステップS10~S40、図9
次に、図7に示す状態から、別の入金処理として(図5A、ステップS10)、図9に示すように、両替処理が行われる場合について以下に説明する。具体的には、両替のために、10枚の1万円札が入金される。この例では、1万円札に対応するリサイクル式紙幣収納部(収納繰出部)がない、すなわち、機体内に投入された貨幣を収納繰出部27a~27cに収納することができないため、これらの1万円札を回収部(紙幣回収カセット)41に収納させるよう搬送部25を制御部15は制御する(図9)。すなわち、入金処理毎に、ステップS20~S40の判断および処理が行われる。また、制御部15は、この両替処理で、回収部41に収納された金額(1万円札×10枚=10万円)と同一かつ異なる金種の貨幣(5千円札×10枚+千円札×50枚=10万円)を収納繰出部27aと27cから繰り出して出金する。また、制御部15は、予定売上金としての金額(10万円、図7)から回収部41に収納された貨幣の金額(10万円)を差し引くよう演算を行う(図9中、予定売上金:0万円)。
【0066】
(別の入金処理(その2):図5AのステップS10~S40、図10
次に、図9に示す状態から、別の入金処理として、図10に示すように、両替処理がさらに行われる場合について以下に説明する。この例では、両替のために、新たに10枚の1万円札が入金される。図10に示す処理と同様に、1万円札に対応するリサイクル式紙幣収納部(収納繰出部)がないため、これらの1万円札を回収部(紙幣回収カセット)41に収納させるよう搬送部25を制御部15は制御する(図10中、回収部内の金額の小計は「20万」)。また、制御部15は、この両替処理で、回収部41に収納された金額(1万円札×10枚=10万円)と同一かつ異なる金種の貨幣(5千円札×10枚+千円札×50枚=10万円)を収納繰出部27aと27cから繰り出して出金する。また、制御部15は、予定売上金としての金額(0万円、図9)から回収部41に収納された貨幣の金額(10万円)を差し引くよう演算を行う(図10中、予定売上金:-10万円)。
【0067】
(別の入金処理(その3):図5AのステップS10~S40、図11
次に、図10に示す状態から、別の入金処理として、図11に示すように、売上金が入金される場合について以下に説明する。この例では、新たに50枚の千円札が入金される。図7に示す処理と同様に、これらの千円札をリサイクル式紙幣収納部(収納繰出部)27cに収納できることから、入金された千円札を収納繰出部27cに収納させるよう搬送部25を制御部15は制御する(図10)。また、制御部15は、売上金としての貨幣(千円札×50枚=5万円)が入金されて収納繰出部27cに収納された場合に、予定売上金としての金額(-10万円、図10)に収納繰出部27cに収納された貨幣の金額(千円札×50枚=5万円)を加えるよう演算を行う(図11中、予定売上金:-5万円)。
【0068】
(締め処理:図5BのステップS60~S90、図12図13
次に、図12に示すように、締め処理(売上金算出)が行われる場合について以下に説明する(図5B、ステップS60)。締め処理が行われる際に、制御部15は、予定売上金としての金額が0より大きいか否かを判断する(図5B、ステップS70「予定売上金>0?」)。この例においては、予定売上金としての金額が0より小さいので(図12、「-5万円」。図5B、ステップS70で「NO」)、制御部15は、収納繰出部27a~27cから回収部41に貨幣を移動させないとともに予定売上金としての金額を変化させない(図11図12)。
【0069】
また、この例では、図7図11に示す処理から分かるように、売上金は合計15万円である。ただし、図9図10に示す処理により、回収部41には20枚の1万円札(合計20万円)がある。これらの差額「5万円」は、「その他」の項目として計上されている(図12)。ここで、上述のように、貨幣処理装置10のうち、回収部41が配置される貨幣収納部40と、収納繰出部27等が配置される紙幣処理装置20および硬貨処理装置30とでは、管理権限が異なる。このため、一旦貨幣が紙幣保留部29を介して回収部41(貨幣収納部40)に収納されると、店舗側の操作者は回収部41(貨幣収納部40)に収納された貨幣にアクセスできない。また、その後の回収処理において、回収部41(貨幣収納部40)に収納された貨幣は回収業者によって回収される。そこで、上記のような差額の余剰金は「その他」の項目として区別している。
【0070】
本開示において、金額が0より小さい(マイナス状態の)予定売上金とは、出し過ぎた金額であり、未入金の売上金ともいえる。マイナス状態の予定売上金は、制御部15によって把握される。例えば、翌営業日に売上金が入金された場合に、このマイナス状態の予定売上金の金額と相殺(補填)して、その後の会計処理の適切化を図ることができる。
【0071】
なお、図5BのステップS70において、予定売上金としての金額が0より大きい場合を(「YES(予定売上金>0)」)、図7の状態から締め処理を行う場合を例にして説明する。この場合、制御部15は、収納繰出部27a(収納繰出部27cでもよい)から売上金相当額の貨幣(10万円分)を回収部41に移動させるとともに、予定売上金としての金額(10万円、図7)から回収部41に送られた貨幣の金額(10万円)を差し引くよう演算を行う(図13中、予定売上金:0万円、売上金:10万円)。
【0072】
(回収処理:図5BのステップS100、図14
次に、図12に示す状態から、図14に示すように、回収処理が行われる(図5B、ステップS100)。回収処理において、回収部41内の貨幣が回収業者によって回収される(図14)。この例では、売上金の15万円の他に、その他の項目の余剰金5万円も回収業者によって回収される。これらの情報も、制御部15によって管理され、通信インターフェース部48を介して回収業者の管理システム等に送信可能であり、回収業者側においても余剰金(即ち、マイナス状態の予定売上金)を回収したことを把握できる。
【0073】
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムによれば、貨幣を搬送する搬送部25、35と、搬送部25、35から送られた貨幣を収納するとともに収納されている貨幣を搬送部25、35に繰り出し可能な収納繰出部27、34と、搬送部25、35から送られた貨幣を収納し、収納されている貨幣ごと回収可能な回収部41、42と、搬送部25、35および収納繰出部27、34の制御を行うとともに、収納繰出部27、34に収納されている貨幣の金額を、少なくとも釣銭準備金としての金額および予定売上金としての金額に分けて管理を行う制御部15と、が設けられている。制御部15は、機体内に投入された貨幣を収納繰出部27、34に収納することができない場合に、機体内に投入された貨幣を回収部41、42に収納させるよう搬送部25、35を制御するとともに予定売上金としての金額から回収部41、42に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行う(図8等)。このように、投入された貨幣が何らかの理由により収納繰出部27、34に収納できない場合であっても、回収部41、42に収納されるため、このような貨幣を受け付けできる。また、締め処理の際に過剰に貨幣を回収部41、42に引き渡してしまっても、上記の減算の結果、予定売上金がマイナス状態になったことを把握できるため、当該金額を記憶しておき翌日以降の売上金で相殺することが可能である。これにより、収納繰出部27、34における資金確保を実現できる。また、回収部41、42に収納してしまった余剰金を別途回収する必要がなく、効率よく店舗運用を行うことができる。
【0074】
また、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムによれば、制御部15は、売上金としての貨幣が入金されて収納繰出部27、34に収納された場合に、予定売上金としての金額に収納繰出部27、34に収納された貨幣の金額を加えるよう演算を行うこともできる(図7図11)。このように、制御部15は、収納繰出部27、34に収納された貨幣の金額を適切に管理できる。
【0075】
また、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムによれば、制御部15は、釣銭としての貨幣が収納繰出部27、34から繰り出されて機体外に投出された場合に、釣銭準備金としての金額から収納繰出部27、34から繰り出された貨幣の金額を差し引くよう演算を行うことができる。このように、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムは、釣銭準備金の運用にも適用できる。
【0076】
また、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムによれば、制御部15は、締め処理が行われる際に、予定売上金としての金額が0より大きい場合は、収納繰出部27、34から回収部41、42に貨幣を移動させるとともに予定売上金としての金額から回収部41、42に送られた貨幣の金額を差し引くよう演算を行い(図13)、予定売上金としての金額が0以下の場合は、収納繰出部27、34から回収部41、42に貨幣を移動させないとともに予定売上金としての金額を変化させない(図12)、といった処理をすることもできる。このように、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムは、状況に応じて適切に処理を行うことができる。
【0077】
また、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムによれば、締め処理が行われる際において、予定売上金としての金額が0より大きい場合に収納繰出部27、34から回収部41、42に移動可能な貨幣の金額の上限は予定売上金としての金額とすることができる。このような上限を設けることにより、収納繰出部27、34における資金を確保して、適切な店舗運営を実現できる。
【0078】
また、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムにおいて、操作者に対して報知を行うための報知部49を更に設け、制御部15は、締め処理が行われる際に、予定売上金としての金額が0以下の場合は、予定売上金としての金額が0以下である旨の報知を行わせるよう報知部49を制御することができる。このように、締め処理の際、回収部41、42に売上金以上の額が収納されたことを知ることができ、操作者に注意喚起することができる。なお、報知の方法は特に限定されず、報知部49としてLEDランプ(図示せず)が設けられている場合にはこのLEDランプが点滅してもよく、あるいは、表示部44に所定のメッセージが表示されるようになっていてもよい。
【0079】
また、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムによれば、制御部15は、両替処理が行われる際に、機体内に投入された貨幣を収納繰出部27、34に収納することができる場合は、機体内に投入された貨幣を収納繰出部27、34に収納させるとともに収納繰出部27、34に収納された金額と同一の金額かつ異なる金種の貨幣を収納繰出部27、34から繰り出して出金し、機体内に投入された貨幣を収納繰出部27、34に収納することができない場合は、機体内に投入された貨幣を回収部41、42に収納させるとともに回収部41、42に収納された金額と同一かつ異なる金種の貨幣を収納繰出部27、34から繰り出して出金し、予定売上金としての金額から回収部41、42に収納された貨幣の金額を差し引くよう演算を行うこともできる。
【0080】
例えば、図6等の例において、1万5千円(1万円札と5千円札)を投入して千円札15枚に両替する場合、5千円札は収納操出部27aまたは27bに、1万円札は回収部41に収納され、15枚の千円札は収納操出部27cから出金される。すなわち、制御部15は、収納繰出部27に収納された金額(5千円)と同一の金額かつ異なる金種の貨幣(5枚の千円札)を収納繰出部27cから繰り出して出金する。一方、制御部15は、回収部41に収納された金額(1万円)と同一かつ異なる金種の貨幣(10枚の千円札)を収納繰出部27cから繰り出して出金し、予定売上金としての金額から回収部41に収納された貨幣の金額(1万円)を差し引く演算が行われる。
【0081】
また、制御部15は、収納繰出部27、34に収納されている貨幣の管理権限を第1の管理権限とするとともに回収部41、42に収納されている貨幣の管理権限を前記第1の管理権限とは異なる第2の管理権限とするよう貨幣の管理を行うことができる。このように、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムは、収納繰出部と回収部とを分けて貨幣の管理を行うことができる。
【0082】
なお、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムは、上記の態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0083】
上述の実施形態では紙幣について述べたが、硬貨でも同様の処理が行われる。
【0084】
また、図6図14を用いた実施形態では、3つの収納繰出部27a~27cに対応しない金種が投入された場合について述べたが(図9等)、本開示はこの場合に限定されない。例えば、収納繰出部27a~27cに対応する金種が投入された場合であって、収納繰出部27a~27cがフルで対応する金種を収納できない場合であっても、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムを適用することができる。例えば、収納繰出部27aが1万円札のみに対応し収納することとする。この場合、制御部15は、機体内に投入された1万円札を収納繰出部27aがフルで収納することができない場合に、機体内に投入された1万円札(1枚)を回収部41に収納させるよう搬送部25を制御するとともに予定売上金としての金額から回収部41に収納された貨幣の金額(1万円)を差し引くよう演算を行うことができる。
【0085】
また、本開示に係る貨幣処理装置10、貨幣処理方法およびプログラムは、小口現金処理にも適用できる。
【符号の説明】
【0086】
10 貨幣処理装置
11 筐体
15 制御部
20 紙幣処理装置
21 紙幣投入口
22 紙幣リジェクト口
23 紙幣返却口
24 扉
25 搬送部
26 識別部
27、27a、27b、27c リサイクル式紙幣収納部(収納繰出部)
27p ドラム
27t 出入口
28 紙幣ステージ
29 紙幣保留部
29a 一時保留板
29b 押さえ部材
30 硬貨処理装置
31 硬貨投入口
31a シャッタ
32 硬貨リジェクト口
33 硬貨繰出部
34 リサイクル式硬貨収納部(収納繰出部)
34a 出金搬送部
35 搬送部
35a 識別部
35b リジェクト選別部
35c オーバーフロー選別部
36 選別部
37 出金一時保留部
38 硬貨返却口
38a 扉
39 収納シュート
40 貨幣収納部
41 紙幣回収カセット(回収部)
41a ステージ
42 硬貨回収カセット(回収部)
43 プリンタ
44 表示部
45 操作部
46 カードリーダ
47 記憶部
48 通信インターフェース部
49 報知部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14