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特開2024-130929ブリード塗膜の製造方法、及び塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130929
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ブリード塗膜の製造方法、及び塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 7/63 20180101AFI20240920BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C09D7/63
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040898
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩之
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038BA202
4J038CA001
4J038CB001
4J038CD001
4J038DD001
4J038DG001
4J038DL031
4J038DL032
4J038DL052
4J038DL082
4J038DL092
4J038GA03
4J038GA07
4J038GA09
4J038GA13
4J038HA446
4J038KA03
4J038KA08
4J038MA09
4J038MA15
4J038NA05
4J038NA07
4J038PA18
4J038PB05
4J038PB06
4J038PB07
(57)【要約】
【課題】着雪及び/又は着氷防止機能に優れるブリード塗膜を製造する方法を提供することを、及び、着雪及び/又は着氷防止機能に優れるブリード塗膜を得るための、塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法を提供すること。
【解決手段】樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、ブリード塗膜の製造方法、及び、樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、
前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、
ブリード塗膜の製造方法。
【請求項2】
前記オイルBが前記塗膜からブリードしない条件下で前記工程2を行う、請求項1に記載のブリード塗膜の製造方法。
【請求項3】
前記オイルBが親水性基を有する、請求項1又は2に記載のブリード塗膜の製造方法。
【請求項4】
前記親水性基が、カルビノール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、無水カルボン酸基、アミノ基、スルホ基、エーテル基、エポキシ基、メルカプト基、チオール基、エステル基及びポリエーテル基からなる群から選択される少なくとも1種の基である、請求項3に記載のブリード塗膜の製造方法。
【請求項5】
前記オイルBの重量平均分子量が500以上10,000以下である、請求項1又は2に記載のブリード塗膜の製造方法。
【請求項6】
前記組成物が増粘剤をさらに含有する、請求項1又は2に記載のブリード塗膜の製造方法。
【請求項7】
樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、
前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、
塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリード塗膜の製造方法に関し、詳しくは、太陽光パネル、航空機、鉄道、自動車、風力発電機、住宅、信号機、看板等の物体表面への雪や氷の付着を防止するために用いられるブリード塗膜の製造方法に関する。また、本発明は、塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物体表面への氷の付着(着氷)や降雪による雪片の付着(着雪)は、様々な分野において多くの被害や障害をもたらす原因となっている。例えば、航空機翼への着氷、機関車下部への着雪・凍結、自動車のヘッドライトへの着雪、太陽光パネルや風力発電機のブレードへの着氷、信号機の灯器への着雪・凍結等は、これらの運行、運転、安全性に対する障害となり得る。
また、住宅屋根や看板等への着雪・凍結は、これらの構築物の損傷や落雪による人への被害の原因となり得る。
【0003】
従来、各産業分野において、このような物体表面への着雪や着氷を防止するための対策として、オイルを含有する様々な塗料が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、フッ素樹脂粉末或いは表面に疎水化処理を施した無機微粉末の一種類の粉末もしくは複数種類の混合粉末と、シリコーン樹脂バインダと、シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイルのうち一種類のオイルもしくは複数種類の混合オイルを含むことを特徴とする撥水性コーティング用塗料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-026844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような、所定の条件下で塗膜層からオイルがブリードするように設計されたブリード塗膜には、経時的に着雪及び/又は着氷防止機能が失われる問題があった。
【0007】
本発明者らの検討によると、ブリード塗膜に用いられるブリード性を有するオイルは、水や紫外線の影響により経時的にブリード塗膜から流出したり変性したりするため、塗膜のブリード機能が低下し、その結果として着雪及び/又は着氷防止機能が失われることがわかった。
また、本発明者らのさらなる検討によると、塗膜のブリード機能を回復させるための手段は、ブリード塗膜の製造及びブリード機能の付与にも適用できることがわかった。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、着雪及び/又は着氷防止機能に優れるブリード塗膜を製造する方法の提供を解決すべき課題としている。また、本発明は、着雪及び/又は着氷防止機能に優れるブリード塗膜を得るための、塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法の提供を解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、下記に関するものである。
[1]
樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、
前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、
ブリード塗膜の製造方法。
[2]
前記オイルBが前記塗膜からブリードしない条件下で前記工程2を行う、[1]に記載のブリード塗膜の製造方法。
[3]
前記オイルBが親水性基を有する、[1]又は[2]に記載のブリード塗膜の製造方法。
【0010】
[4]
前記親水性基が、カルビノール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、無水カルボン酸基、アミノ基、スルホ基、エーテル基、エポキシ基、メルカプト基、チオール基、エステル基及びポリエーテル基からなる群から選択される少なくとも1種の基である、[3]に記載のブリード塗膜の製造方法。
[5]
前記オイルBの重量平均分子量が500以上10,000以下である、[1]又は[2]に記載のブリード塗膜の製造方法。
[6]
前記組成物が増粘剤をさらに含有する、[1]又は[2]に記載のブリード塗膜の製造方法。
【0011】
[7]
樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、
前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、
塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、着雪及び/又は着氷防止機能に優れるブリード塗膜を製造する方法を提供することができる。また、本発明により、着雪及び/又は着氷防止機能に優れるブリード塗膜を得るための、塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態をさらに詳しく説明するが、本発明は下記実施形態に何ら制限されるものではない。
【0014】
<ブリード塗膜の製造方法>
本発明によるブリード塗膜の製造方法は、樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、製造方法である。
【0015】
[工程1]
工程1は、樹脂及びオイルAを含有する塗膜(以下、単に「塗膜」ということがある。)上に、ブリード性を有するオイルB(以下、単に「オイルB」ということがある。)又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物(以下、単に「オイルBを含有する組成物」ということがある。)を塗布する工程である。
【0016】
オイルB又はオイルBを含有する組成物を塗膜上に塗布する手段には特に制限がなく、例えば、スプレー、ブラシ又は刷毛等を用いて塗布することができる。これらのうち、容易に厚塗りが可能であることから、ブラシ又は刷毛を用いることが好ましい。
【0017】
オイルB又はオイルBを含有する組成物を塗膜上に塗布する量には特に制限がないが、優れた着雪及び/又は着氷防止機能を付与する観点から、オイルB又はオイルBを含有する組成物を塗布する厚みが30μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることがさらに好ましい。
【0018】
工程1において、塗膜の態様には特に制限がなく、水平な塗膜であってもよく、傾斜した塗膜であってもよく、例えば、角度90°に固定された塗膜であってもよい。塗布したオイルB又はオイルBを含有する組成物が垂れることにより、後述する工程2において、塗膜内へオイルBが染み込む量が減少したり、塗膜内へのオイルBの染み込みにムラが生じたりする懸念が少ないことから、水平な塗膜であることが好ましい。
【0019】
[工程2]
工程2は、オイルBを塗膜内に染み込ませる工程である。
【0020】
オイルBを塗膜内に染み込ませる方法には特に制限がなく、例えば、オイルB又はオイルBを含有する組成物が塗布された塗膜を静置すること等が挙げられる。
【0021】
オイルBの塗膜内への染み込みを迅速に行う観点から、工程2はオイルBが塗膜からブリードしない条件下で行うことが好ましい。
オイルBが塗膜からブリードしない条件とは、ブリード塗膜の特性によって異なる。例えば、温度が低下したときにオイルBが塗膜からブリードするブリード塗膜の製造の際には、オイルBが塗膜からブリードしない温度条件(例えば、室温)下で工程2を行うことが好ましい。また、例えば、着雪及び/又は着氷したときにオイルBが塗膜からブリードするブリード塗膜の製造の際には、塗膜に着雪及び/又は着氷していない条件下で工程2を行うことが好ましい。さらに、例えば、塗膜に水が付着したときにオイルBが塗膜からブリードするブリード塗膜の製造の際には、塗膜に水が付着していない条件下で工程2を行うことが好ましい。
【0022】
塗膜にオイルBを十分に染み込ませるという観点から、工程2のために必要な時間は、1時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましく、8時間以上がさらに好ましい。例えば、工程1により得られた塗膜を工程2で静置する場合、静置のための時間は1時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましく、8時間以上がさらに好ましい。
【0023】
<塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法>
本発明による塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法は、樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、方法である。
本発明による塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法の態様を、以下に例示する。
【0024】
一態様として、ブリード塗膜を新規に製造する際に、塗膜を作成した後、塗膜上にオイルB又はオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、オイルBを塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含むことができる。この場合、工程1及び工程2を経ることにより、これまでオイルBを含有することがなかった塗膜にオイルBが染み込み、その結果として塗膜のブリード機能が新たに発揮されるため、かかる態様は、塗膜のブリード機能を付与する方法ということができる。
【0025】
別の一態様として、オイルBを染み込ませた塗膜を一定時間使用後にオイルBの量が減少し又はオイルBが失われた場合において、塗膜上に、オイルB又はオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、オイルBを塗膜内に染み込ませる工程2と、をこの順序で含むことができる。この場合、工程1及び工程2を経ることにより塗膜にオイルBが再び染み込み、その結果としていったん減少又は失われた塗膜のブリード機能が再度発揮されるため、かかる態様は、塗膜のブリード機能を回復させる方法ということができる。
なお、上記別の一態様において、工程1及び工程2よりも前の段階で塗膜に含まれていたオイルBと、工程1及び工程2において用いられるオイルBとは、同一であっても異なっていてもよい。
【0026】
[工程1及び工程2]
本発明による塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法における、工程1及び工程2の詳細及び好ましい態様は、本発明によるブリード塗膜の製造方法について上述したとおりである。
【0027】
<塗膜>
本発明によるブリード塗膜の製造方法、及び、本発明による塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法において、塗膜は、樹脂及びオイルAを含有する。また、本発明による塗膜のブリード機能を回復させる方法において、塗膜は、樹脂及びオイルAに加えてオイルBを含有していてもよい。
【0028】
塗膜の厚さには特に制限がないが、ハンドリング性の観点から、500μm以下が好ましく、また、強度の観点から、50μm以上が好ましい。
【0029】
[樹脂]
樹脂は、湿分により硬化させた湿分硬化型樹脂、紫外線照射により硬化させた紫外線硬化型樹脂、加熱により硬化させた熱硬化型樹脂のいずれであってもよい。また、樹脂は、架橋反応する硬化剤を添加することによって硬化させた樹脂や熱可塑性樹脂であってもよい。
【0030】
樹脂としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アクリル樹脂、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、SEBS(スチレン系熱可塑エラストマー)、SBR(スチレンブタジエンゴム)等が挙げられる。
【0031】
シリコーン樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン樹脂を採用し得る。シリコーン樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このようなシリコーン樹脂としては、縮合型のシリコーン樹脂であってもよいし、付加型のシリコーン樹脂であってもよい。また、このようなシリコーン樹脂としては、単独で乾燥させる1液型のシリコーン樹脂(例えば、1液型の室温硬化性(RTV)樹脂)であってもよいし、2液型のシリコーン樹脂(例えば、2液型の室温硬化性(RTV)樹脂)であってもよい。
【0032】
シリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製の1液型RTVゴム(例えば、KE-3423、KE-347、KE-3475、KE-3495、KE-4895、KE-4896、KE-1830、KE-1884、KE-3479、KE-348、KE-4897、KE-4898、KE-1820、KE-1825、KE-1831、KE-1833、KE-1885、KE-1056、KE-1151、KE-1842、KE-1886、KE-3424G、KE-3494、KE-3490、KE-40RTV、KE-4890、KE-3497、KE-3498、KE-3493、KE-3466、KE-3467、KE-1862、KE-1867、KE-3491、KE-3492、KE-3417、KE-3418、KE-3427、KE-3428、KE-41、KE-42、KE-44、KE-45、KE-441、KE-445、KE-45S等)、信越化学工業株式会社製の2液型RTVゴム(例えば、KE-1800T-A/B、KE-66、KE-1031-A/B、KE-200、KE-118、KE-103、KE-108、KE-119、KE-109E-A/B、KE-1051J-A/B、KE-1012-A/B、KE-106、KE-1282-A/B、KE-1283-A/B、KE-1800-A/B/C、KE-1801-A/B/C、KE-1802-A/B/C、KE-1281-A/B、KE-1204-A/B、KE-1204-AL/BL、KE-1280-A/B、KE-513-A/B、KE-521-A/B、KE-1285-A/B、KE-1861-A/B、KE-12、KE-14、KE-17、KE-113、KE-24、KE-26、KE-1414、KE-1415、KE-1416、KE-1417、KE-1300T、KE-1310ST、KE-1314-2、KE-1316、KE-1600、KE-117603-A/B、KE-1606、KE-1222-A/B、KE-1241等)、信越化学工業株式会社製のシリコーンシーラント(例えば、KE-42AS、KE-420、KE-450等)、信越化学工業株式会社製のゴムコンパウンド(例えば、KE-655-U、KE-675-U、KE-931-U、KE-941-U、KE-951-U、KE-961-U、KE-971-U、KE-981-U、KE-961T-U、KE-971T-U、KE-871C-U、KE-9410-U、KE-9510-U、KE-9610-U、KE-9710-U、KE-742-U、KE-752-U、KE-762-U、KE-772-U、KE-782-U、KE-850-U、KE-870-U、KE-880-U、KE-890-U、KE-9590-U、KE-5590-U、KE-552-U、KE-582-U、KE-552B-U、KE-555-U、KE-575-U、KE-541-U、KE-551-U、KE-561-U、KE-571-U、KE-581-U、KE-520-U、KE-530B-2-U、KE-540B-2-U、KE-1551-U、KE-1571-U、KE-152-U、KE-174-U、KE-3601SB-U、KE-3711-U、KE-3801M-U、KE-5612G-U、KE-5620BL-U、KE-5620W-U、KE-5634-U、KE-7511-U、KE-7611-U、KE-765-U、KE-785-U、KE-7008-U、KE-7005-U、KE-503-U、KE-5042-U、KE-505-U、KE-6801-U、KE-136Y-U等)、信越化学工業株式会社製のLIMS(液状シリコーンゴム射出成形システム)(例えば、KEG-2000-40A/B、KEG-2000-50A/B、KEG-2000-60A/B、KEG-2000-70A/B、KEG-2001-40A/B、KEG-2001-50A/B、KE-1950-10A/B、KE-1950-20A/B、KE-1950-30A/B、KE-1950-35A/B、KE-1950-40A/B、KE-1950-50A/B、KE-1950-60A/B、KE-1950-70A/B、KE-1935A/B、KE-1987A/B、KE-1988A/B、KE-2019-40A/B、KE-2019-50A/B、KE-2019-60A/B、KE-2017-30A/B、KE-2017-40A/B、KE-2017-50A/B、KE-2090-40A/B、KE-2090-50A/B、KE-2090-60A/B、KE-2090-70A/B、KE-2096-40A/B、KE-2096-50A/B、KE-2096-60A/B等、KE-2098-40A/B、KE-2098-50A/B、KE-2098-60A/B等)、信越化学工業株式会社製のジメチコノール(例えば、X-21-5847、X-21-5849)、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製のLR7665シリーズ、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製のLR3033シリーズ、モメンティブ株式会社製のTSE3032シリーズ等、東レダウコーニング製のシルガード184等を用いることができる。
【0033】
[オイルA]
オイルAは、後述するオイルBとは異なるオイルである。オイルAは、例えば、疎水性のオイルであることが好ましく、親水性基を有しない疎水性のオイルであることがより好ましい。このような親水性基としては、例えば、カルビノール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、無水カルボン酸基、アミノ基、スルホ基、エーテル基、エポキシ基、メルカプト基、チオール基、エステル基及びポリエーテル基からなる群から選択される少なくとも1種の基が挙げられる。
オイルAの具体的態様としては、疎水性シリコーンオイルが好ましい。
【0034】
本実施形態において、疎水性シリコーンオイルとしては、疎水性の非反応性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0035】
疎水性の非反応性シリコーンオイルとしては、主鎖がシロキサン結合からなるポリシロキサンであり、置換基を有していてもよい。主鎖は環を形成していてもよい。疎水性の非反応性シリコーンオイルとしては、例えば、ストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイル(ポリエーテル変性シリコーンオイルを除く)が挙げられる。
【0036】
ストレートシリコーンオイルにおける置換基は、好ましくは、メチル基、フェニル基である。
【0037】
ストレートシリコーンオイルにおける置換基の結合位置は、任意の適切な結合位置であり得る。例えば、置換基が主鎖の両末端に結合されていてもよいし、置換基が主鎖の片末端に結合されていてもよいし、置換基が側鎖に結合されていてもよい。
【0038】
疎水性の非反応性シリコーンオイルとしては、例えば、信越化学工業株式会社製のKF96L、KF96、KF69、KF99、KF50、KF54、KF410、KF412、KF414、KF415、FL;東レダウコーニング株式会社製のBY16-846、SF8416、SH200、SH203、SH230、SF8419、FS1265、SH510、SH550、SH710、FZ-2110、FZ-2203;などが挙げられる。
【0039】
塗膜におけるオイルAの含有量には特に制限がないが、最終的に形成される塗膜全体の質量を基準として、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上に設定することができる。また、オイルAの含有量は、最終的に形成される塗膜層全体の質量を基準として、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下に設定することができる。
【0040】
[その他の添加剤]
塗膜はその他の添加剤をさらに含有することができる。
その他の添加剤としては、例えば、シリカ粒子などの無機フィラー、架橋剤、紫外線吸収材、紫外線散乱剤、硬化触媒、硬化遅延剤などが挙げられる。
【0041】
塗膜がその他の添加剤を含む場合、その他の添加剤の含有量は特に限定されないが、製膜性及びオイルブリード機能を阻害しないという観点から、最終的に形成される塗膜全体の質量を基準として、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0042】
[塗膜の作製方法]
塗膜は、硬化により上記樹脂を与える樹脂成分、オイルA、及び、必要によりその他の添加剤を含む塗料を被塗物に塗布し、公知の方法で硬化することにより作製することができる。
【0043】
塗膜が作製される被塗物としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、金属板若しくは金属箔(アルミニウム、銅、銀、鉄、ニッケル、スズ、ステンレス等)、コンクリート、セラミックス等を用いることができる。
【0044】
<オイルBを含有する組成物>
本発明によるブリード塗膜の製造方法、及び、本発明による塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法において、オイルBを含有する組成物は、ブリード性を有するオイルBを含有する。
【0045】
[オイルB]
オイルBは、所定の条件下で塗膜からブリードする特性を有するオイルである。オイルBが塗膜からブリードする条件には特に制限がないが、例えば、温度が低下すること、塗膜に着雪及び/又は着氷すること、塗膜に水が付着すること、等を挙げることができる。
【0046】
ブリード性の観点から、オイルBは親水性基を有することが好ましい。オイルBは親水性基を少なくとも1種有することができる。
親水性基としては、カルビノール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、無水カルボン酸基、アミノ基、スルホ基、エーテル基、エポキシ基、メルカプト基、チオール基、エステル基及びポリエーテル基からなる群から選択される少なくとも1種の基が好ましく、カルビノール基がより好ましい。
【0047】
オイルBの重量平均分子量は、500以上10,000以下であることが好ましい。
オイルBの重量平均分子量が500以上あれば、優れた着氷及び/又は着雪防止機能を発揮できるため好ましい。また、重量平均分子量が10,000以下であることにより、オイルBの塗膜への染み込み量を多くすることができるため、ブリード塗膜の長寿命化が期待できる。
【0048】
工程1においてオイルBを含有する組成物を塗布する場合、オイルBの含有量は特に限定されないが、オイルBを含有する組成物全体の質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
オイルBを含有する組成物全体の質量に対するオイルBの含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。オイルBを含有する組成物全体の質量に対して、オイルBの含有量が100質量%である場合、工程1はオイルBを塗布する工程ということができる。
【0049】
オイルBの例としては、温度が低下することにより塗膜からブリードするオイル、塗膜に着雪及び/又は着氷することにより塗膜からブリードするオイル、塗膜に水が付着することにより塗膜からブリードするオイル、等が挙げられる。
【0050】
(温度が低下することにより塗膜からブリードするオイル)
温度が低下することにより塗膜からブリードするオイルは、温度が所定値以下に低下したとき前記塗膜からブリードするオイルである。
なお、上記所定値以下とは、例えば、氷点(0℃)以下を意味する。
【0051】
オイルBとして使用することができる、温度が低下することにより塗膜からブリードするオイルとして、例えば、シリコーンオイル、炭化水素系オイル、フッ素オイル、ポリエーテル系オイル、エステル系オイル、リン化合物系オイル、鉱油系オイル、アルコール等を用いることができる。
【0052】
シリコーンオイルとしては、例えば、東レダウコーニング株式会社製のシリコーンオイル(例えば、BY16-201等)、信越化学株式会社製のシリコーンオイル(例えば、KF-6000、KF-6001、KF-6002、KF-6003、KF-6011、KF-6011P、KF-6043、PAM-E、KF-8010、X-22-161A、X-22-161B、KF-8012、KF-8008、X-22-1660B-3、X-22-9409、X-22-4952、X-22-4272、KF-6123、X-22-162C、X-21-5841、KF-9701、KF-864、KF-865、KF-868、KF-859、KF-393、KF-860、KF-880、KF-8004、KF-8002、KF-8005、KF-867、KF-8021、KF-869、KF-861、X-22-3939A、X-22-4039、X-22-4015、X-22-3701E、X-22-173BX、X-22-173DX、X-22-176F、X-22-176DX、X-22-176GX-A、X-22-3710等)等を用いることができる。
その他末端あるいは側鎖に親水性基を有するオイルを用いることができる。
【0053】
(塗膜に着雪及び/又は着氷することにより塗膜からブリードするオイル)
オイルBとして用いることができる、塗膜に着雪及び/又は着氷することにより塗膜からブリードするオイルとして、例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル、炭化水素系オイル、ポリエーテル系オイル、エステル系オイル、リン化合物系オイル、鉱油系オイル、アルコール等を用いることができる。
【0054】
シリコーンオイルとしては、例えば、東レダウコーニング株式会社製のシリコーンオイル(例えば、BY16-201等)、信越化学株式会社製のシリコーンオイル(例えば、KF-6000、KF-6001、KF-6002、KF-6003、KF-6011、KF-6011P、KF-6043、PAM-E、KF-8010、X-22-161A、X-22-161B、KF-8012、KF-8008、X-22-1660B-3、X-22-9409、X-22-4952、X-22-4272、KF-6123、X-22-162C、X-21-5841、KF-9701、KF-864、KF-865、KF-868、KF-859、KF-393、KF-860、KF-880、KF-8004、KF-8002、KF-8005、KF-867、KF-8021、KF-869、KF-861、X-22-3939A、X-22-4039、X-22-4015、X-22-3701E、X-22-173BX、X-22-173DX、X-22-176F、X-22-176DX、X-22-176GX-A、X-22-3710等)等を用いることができる。
その他末端あるいは側鎖に親水性基を有するオイルを用いることができる。
【0055】
(塗膜に水が付着することにより塗膜からブリードするオイル)
オイルBとして用いることができる、塗膜に水が付着することにより塗膜からブリードするオイルとして、例えば、シリコーンオイル等を用いることができ、好ましくはポリエーテル変性シリコーンオイルを用いることができる。
【0056】
ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、例えば、信越化学工業株式会社製のKF-6011、KF-6011P、KF-6012、KF-6013、KF-6015、KF-6016、KF-6017、KF-6017P、KF-6043、KF-6004、KF351A、KF352A、KF353、KF354L、KF355A、KF615A、KF945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-644、KF-6020、KF-6204、X22-4515等の側鎖型(直鎖タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイル;信越化学工業株式会社製のKF-6028、KF-6028P等の側鎖型(分岐鎖タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイル;信越化学工業株式会社製の、KF-6038等の側鎖型(分岐鎖タイプ、アルキル共変性タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイル;モメンティブ社製のSilwetL-7602、SilwetL-7600、SilwetL-7604、SilwetL-7622、SilwetL-7657;東レ・ダウコーニング株式会社製のFZ-2162、モメンティブ社製のTSF4446、TSF4440、などが挙げられる。
【0057】
[増粘剤]
オイルBを含有する組成物は、増粘剤をさらに含有することができる。
増粘剤としては、例えば、シリカ粒子、アマイドワックス、層状ケイ酸塩等が挙げられる。
【0058】
増粘剤を添加することにより、オイルBを含有する組成物にチキソ性が付与されて液垂れが起こりにくくなり、傾斜した塗膜、例えば、角度90°に固定された塗膜、に塗布した際の液垂れが抑制されるため好ましい。また、増粘剤を添加することによりオイルBを含有する組成物を塗膜上に厚く塗布することが可能になり、塗膜の単位面積当たりのオイル量を増加させることができるため、ブリード塗膜の長寿命化が期待できる。
【0059】
オイルBを含有する組成物が増粘剤を含む場合、増粘剤の含有量は特に限定されないが、オイルBを含有する組成物全体の質量に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。オイルBを含有する組成物における増粘剤の含有量が上記範囲内であれば、オイルの垂れ防止性とオイルの染み込みやすさに優れるため好ましい。
【0060】
オイルBを含有する組成物にチキソ性を付与させ、良好な施工性を得るという観点から、増粘剤としてはシリカ粒子が好ましく、親水性シリカ粒子がより好ましい。
【0061】
シリカ粒子としては、例えば、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL 50、AEROSIL 90 G、AEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 200 CF、AEROSIL 200 V、AEROSIL 200 FAD、AEROSIL 300、AEROSIL 300 CF、AEROSIL 380、AEROSIL OX 50、AEROSIL TT 600、などの親水性シリカ粒子;AEROSIL R 972、AEROSIL R 972 CF、AEROSIL R 972 V、AEROSIL R 974、AEROSIL R 976、AEROSIL R 976 S、AEROSIL R 9200、AEROSIL RY 50、AEROSIL RY 51、AEROSIL NY 50、AEROSIL NY 50 L、AEROSIL RY 200 S、AEROSIL RY 200、AEROSIL RY 200 L、AEROSIL RY 300、AEROSIL R 202及びAEROSIL R 805、などの疎水性シリカ粒子;などが挙げられる。
【0062】
[オイルBを含有する組成物の作製方法]
オイルBを含有する組成物は、上述の各成分を、公知の方法によって混合及び/又は撹拌して作製することができる。
【0063】
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
<1>
樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、
前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、
ブリード塗膜の製造方法。
<2>
前記オイルBが前記塗膜からブリードしない条件下で前記工程2を行う、<1>に記載のブリード塗膜の製造方法。
<3>
前記オイルBが親水性基を有する、<1>又は<2>に記載のブリード塗膜の製造方法。
【0064】
<4>
前記親水性基が、カルビノール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、無水カルボン酸基、アミノ基、スルホ基、エーテル基、エポキシ基、メルカプト基、チオール基、エステル基及びポリエーテル基からなる群から選択される少なくとも1種の基である、<3>に記載のブリード塗膜の製造方法。
<5>
前記オイルBの重量平均分子量が500以上10,000以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のブリード塗膜の製造方法。
<6>
前記組成物が増粘剤をさらに含有する、<1>~<5>のいずれか1つに記載のブリード塗膜の製造方法。
【0065】
<7>
樹脂及びオイルAを含有する塗膜上に、ブリード性を有するオイルB又はブリード性を有するオイルBを含有する組成物を塗布する工程1と、
前記オイルBを前記塗膜内に染み込ませる工程2とをこの順序で含む、
塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法。
【実施例0066】
以下、実施例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0067】
<塗膜の作製>
(塗膜Aの作製)
塗料成分として、樹脂成分:KE-1935A(信越化学工業株式会社製)、KE-1935B(信越化学工業株式会社製)、オイルA:KF-96-50CS(信越化学工業株式会社製)、オイルB:BY16-201(ダウ・東レ株式会社製)を用意した。
【0068】
上記の樹脂成分KE-1935A(20質量%)、KE-1935B(20質量%)、オイルA(48質量%)、オイルB(12質量%)を、25℃、101kPaの条件下で混合した。得られた混合液をスパチュラで約120rpmの速さで60秒間撹拌し、ディスパー(プライミクス株式会社製、ラボ・リューション)で2000rpmの速さで5分間撹拌し、塗料を得た。
【0069】
得られた塗料を、ポリエチレン系アイオノマーフィルム(倉敷紡績株式会社製、ハイミラン(登録商標)1855)に、アプリケーターを用いて均一に塗布し、150℃の環境下において4分間、加熱硬化させることによって、厚さ250μmの塗膜を形成した。
その後、得られた塗膜を角度60°で屋外に設置し、1年後に回収することにより、厚さ250μmの塗膜Aを得た。
【0070】
(塗膜Bの作製)
塗料成分として、樹脂成分:KE-1935A(信越化学工業株式会社製)、KE-1935B(信越化学工業株式会社製)、オイルA:KF-96-50CS(信越化学工業株式会社製)を用意した。
【0071】
上記の樹脂成分KE-1935A(26質量%)、KE-1935B(26質量%)、オイルA(48質量%)を、25℃、101kPaの条件下で混合した。得られた混合液をスパチュラで約120rpmの速さで60秒間撹拌し、ディスパー(プライミクス株式会社製、ラボ・リューション)で2000rpmの速さで5分間撹拌し、塗料を得た。
【0072】
得られた塗料を、ポリエチレン系アイオノマーフィルム(倉敷紡績株式会社製、ハイミラン(登録商標)1855)に、アプリケーターを用いて均一に塗布し、150℃の環境下において4分間、加熱硬化させることによって、厚さ250μmの塗膜Bを得た。
【0073】
作製した塗膜の詳細は表1に示すとおりである。
【0074】
【表1】
【0075】
[実施例1]
塗膜に塗布するためのオイルBを含有する組成物の成分として、オイルB:BY 16-201(ダウ・東レ株式会社製)、シリカ成分:AEROSIL130(日本アエロジル株式会社)を用意した。
上記のオイルB(90質量%)、シリカ成分(10質量%)を、25℃、101kPaの条件下で混合した。得られた混合液を、ディスパー(プライミクス株式会社製、ラボ・リューション)で2000rpmの速さで5分間撹拌し、組成物を得た。
その後、得られた組成物を、角度0°及び90°に固定した塗膜Aに刷毛で塗布した。
組成物を塗布した塗膜を、温度25℃の条件下で24時間静置した。
【0076】
[実施例2~15]
塗膜に塗布するためのオイルB又はオイルBを含有する組成物の成分として、オイルB:BY 16-201(ダウ・東レ株式会社製)、KF-6001、KF-6002、KF-6003(信越化学工業株式会社製)、シリカ成分:AEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL R972、AEROSIL R974(日本アエロジル株式会社)を用意した。
オイルB又は組成物の成分、各成分の含有量、塗膜、及び塗布後の静置時間を表2に示すものとした以外は、実施例1と同様にして組成物を作製し、得られた組成物を塗膜に塗布した。
【0077】
【表2】
【0078】
<測定>
実施例1~15で得られた塗膜の評価を、下記の測定により行った。結果を表3に示す。
【0079】
(表面オイル量)
塗膜の中心付近において10cm×2cmのサイズにカットしたオイル含有樹脂層を、-20℃の各温度で16時間静置した。静置後にオイル含有樹脂層の表面にブリードしたオイルを、-20℃の各温度環境下においてセルスクレーパー(ケニス株式会社製、CSS-10)で採取し、そのオイルを油取り紙の重量(吸油量)変化が見られなくなるまで吸い取った。セルスクレーパーによるオイル採取と油取り紙の吸い取りは1分間に7回繰り返した。オイル吸い取り前後の油取り紙の重量差を表面オイル量とした。試験は3回行い、その平均値を算出した。
【0080】
(着氷力)
まず、円柱状の氷塊を作製した。氷塊は、スチロール角型ケース16型(アズワン株式会社製)の底面にステンレスリング(内径25mm)を置き、そこに6gの純水を注ぎ込んで-20℃で16時間以上凍結させ、凍結後にステンレスリングを除去することによって作製した。
次いで、-20℃環境に16時間静置したサンプルを、床面に対し平行に設置したステンレス板に、塗膜層が表面となるように貼着し、そこに付着面積4.9cmとした上記円柱状の氷塊を着氷させた。
【0081】
環境温度-20℃に設定し、円柱状の氷塊を着氷させてから3時間後に、-20℃の環境下において、床面に対して平行な方向から氷塊をロードセル(イマダ株式会社製 DPU-50、アタッチメント治具 A型A-4)で速度0.1mm/秒で押し、40秒の間に加わった荷重をフォースゲージ(イマダ株式会社製 ZTS-50N)で測定した。測定された最大荷重を付着面積4.9cmで除算した値を着氷力として記録した。試験は3回行い、その平均値を求めた。
【0082】
(施工性(タレ性))
〇:角度90°に設置した塗膜に塗布したオイルB又はオイルBを含有する組成物が、100μm以上の厚みで液垂れを起こした。
△:角度90°に設置した塗膜に塗布したオイルB又はオイルBを含有する組成物が、50μm以上の厚みで液垂れを起こした。
×:角度90°に設置した塗膜に塗布したオイルB又はオイルBを含有する組成物が、50μm未満の厚みで液垂れを起こした。
【0083】
【表3】
【0084】
表3に示されるとおり、実施例のブリード塗膜の製造方法、及び、塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法を実施することにより、実施前の塗膜よりも、優れた着氷及び/又は着雪防止機能を有する塗膜が得られることがわかった。また、オイルBに加えて増粘剤、好ましくは親水性シリカ粒子をさらに含有する組成物となったことにより、傾斜した塗膜、例えば90°に固定した塗膜、に塗布した場合の施工性に優れることがわかった。
【0085】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によるブリード塗膜の製造方法、及び、塗膜のブリード機能を付与又は回復させる方法は、例えば、太陽光パネル、航空機、鉄道、自動車、風力発電機、住宅、信号機、看板等の物体表面への雪や氷の付着を防止するために用いることができる。