(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130930
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】火災受信機及び防災システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G08B17/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040899
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 知弘
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA06
5G405CA04
5G405CA41
5G405CA50
5G405CA53
(57)【要約】
【課題】火災受信機と他の端末との間で、一方から他方へのデータの伝達方法を改善する火災受信機及び防災システムを得る。
【解決手段】火災を検知し発報信号を出力する火災感知器及び発報信号によって出力される移報信号を受信して所定の動作をする連動機器が接続される火災受信機であって、当該火災受信機が受信した発報信号の履歴を含む発報履歴情報と、火災感知器と連動機器との連動関係が登録された連動データベース情報のうち少なくともいずれかを含む情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された発報履歴情報と連動データベース情報のうち少なくともいずれかが含まれる二次元コードを生成するコード生成部と、生成された二次元コードを出力する出力部と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を検知し発報信号を出力する火災感知器及び前記発報信号によって出力される移報信号を受信して所定の動作をする連動機器が接続される火災受信機であって、
当該火災受信機が受信した前記発報信号の履歴を含む発報履歴情報と、前記火災感知器と前記連動機器との連動関係が登録された連動データベース情報のうち少なくともいずれかを含む情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記発報履歴情報と前記連動データベース情報のうち少なくともいずれかが含まれる二次元コードを生成するコード生成部と、
生成された前記二次元コードを出力する出力部と、を備えた
火災受信機。
【請求項2】
前記出力部は、生成された前記二次元コードを表示する表示装置である
請求項1記載の火災受信機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の火災受信機と、
前記出力部によって出力された前記二次元コードを撮影するカメラを有する端末と、を備えた
防災システム。
【請求項4】
火災感知器及び前記火災感知器と連動する連動機器が接続された火災受信機であって、
二次元コードを読み取るカメラと、
前記カメラが読み取った前記二次元コードから、前記火災感知器と前記連動機器との連動関係が登録された連動データベース情報を読み取るコード読取部と、を備えた
火災受信機。
【請求項5】
火災を検知し発報信号を出力する火災感知器及び前記発報信号によって出力される移報信号を受信して所定の動作をする連動機器とが接続される火災受信機と、前記火災受信機と情報のやり取りを直接または間接的に行える端末とを有する防災システムにおいて、
前記火災受信機及び前記端末は、それぞれ、
前記火災感知器と前記連動機器との連動関係が登録された連動データベース情報を含む情報を記憶する記憶部を備え、
前記火災受信機及び前記端末の少なくともいずれか一方は、
前記記憶部に記憶された前記連動データベース情報が含まれる二次元コードを生成するコード生成部と、
生成された前記二次元コードを出力する出力部と、を備え、
前記火災受信機及び前記端末の他方は、
前記火災受信機又は前記端末が出力した前記二次元コードを読み取るコード読取部を備えた
防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災受信機及び火災受信機を含む防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災を検知し発報信号を送信する火災感知器に接続され、発報信号に応じて移報信号を出力して、接続する防排煙機器等の連動機器を連動させる火災受信機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の火災受信機は、記憶部に格納されている連動設定データに従い、発報信号に応じて連動機器を連動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、火災受信機は、連動機器を連動させるにあたって、記憶部に格納した連動設定データを用いる。ここで、点検者等が稼働中の火災受信機の連動設定の内容を確認する場合には、火災監視モードから点検モード等へ変更しなければならない火災受信機もある。このモード変更にあたっては、火災受信機の再起動が必要になることがある。また、連動設定データが、記憶部としてのメモリカードに記憶されている場合には、メモリカードを火災受信機から抜き差しするために火災受信機の再起動が必要になることもある。このように、連動設定データの確認のために火災受信機を再起動すると、再起動の間は火災受信機による火災監視が行われない。このため、火災受信機を再起動することなく連動設定データを確認できる手段が望まれていた。
【0005】
また、火災受信機に記憶された連動設定データの変更が必要な場合もある。火災受信機に設けられた限られた表示領域の表示装置を用いた連動設定データの変更は、手間のかかる作業であり、連動設定データを新たに作成する場合の手間はさらに大きい。火災受信機に接続される感知器回線及び移報回線の数が増えるほど連動設定の複雑さは増すため、連動設定データの作成及び変更の手間を軽減できる技術が望まれていた。
【0006】
また、火災受信機は、火災感知器から受信した発報信号又は火災受信機が送信した移報信号等、発報に関する情報を履歴として記憶部に記憶する。この記憶部に記憶された履歴を確認しやすい技術が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記のような課題の少なくとも一つを背景としたものであり、火災受信機と他の端末との間で、一方から他方へのデータの伝達方法を改善する火災受信機及び防災システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る火災受信機の一態様は、火災を検知し発報信号を出力する火災感知器及び前記発報信号によって出力される移報信号を受信して所定の動作をする連動機器に接続される火災受信機であって、当該火災受信機が受信した前記発報信号の履歴を含む発報履歴情報と、前記火災感知器と前記連動機器との連動関係が登録された連動データベース情報のうち少なくともいずれかを含む情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記発報履歴情報と前記連動データベース情報のうち少なくともいずれかが含まれる二次元コードを生成するコード生成部と、生成された前記二次元コードを出力する出力部と、を備えたものである。
【0009】
本発明に係る防災システムは、上記火災受信機と、前記出力部によって出力された前記二次元コードを撮影するカメラを有する端末と、を備えたものである。
【0010】
本発明に係る火災受信機の他の一態様は、火災感知器及び前記火災感知器と連動する連動機器と接続された火災受信機であって、二次元コードを読み取るカメラと、前記カメラが読み取った前記二次元コードから、前記火災感知器と前記連動機器との連動関係が登録された連動データベース情報を読み取るコード読取部と、を備えたものである。
【0011】
本発明に係る防災システムは、火災を検知し発報信号を出力する火災感知器及び前記発報信号によって出力される移報信号を受信して所定の動作をする連動機器とが接続される火災受信機と、前記火災受信機と情報のやり取りを直接または間接的に行える端末とを有する防災システムにおいて、前記火災受信機及び前記端末は、それぞれ、前記火災感知器と前記連動機器との連動関係が登録された連動データベース情報を含む情報を記憶する記憶部を備え、前記火災受信機及び前記端末の少なくともいずれか一方は、前記記憶部に記憶された前記連動データベース情報が含まれる二次元コードを生成するコード生成部と、生成された前記二次元コードを出力する出力部と、を備え、前記火災受信機及び前記端末の他方は、前記火災受信機又は前記端末が出力した前記二次元コードを読み取るコード読取部を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の火災受信機の一態様及び防災システムによれば、連動データベース情報と発報履歴情報の少なくともいずれかが二次元コードとして出力される。このため、二次元コードを読み取り可能な端末を用いることで、火災受信機を再起動することなく、火災受信機に記憶された情報を取得することができる。
【0013】
また、本発明の火災受信機の他の一態様によれば、カメラで読み取った二次元コードから連動データベースを取得できるので、連動データベースの作成及び変更の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態1に係る防災システムの構成を説明する図である。
【
図2】実施の形態1に係る火災受信機の二次元コードの出力動作を説明するフローチャートである。
【
図3】実施の形態2に係る防災システムの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、図面に示す装置は、本発明の装置の一例を示すものであり、図面に示された装置によって本発明の装置が限定されるものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る防災システム100の構成を説明する図である。防災システム100は、火災受信機1と端末装置20とを備え、火災受信機1と端末装置20のいずれか一方が記憶した情報を出力し、出力された情報を他方が取得するシステムである。火災受信機1は、火災報知システム200の一部を構成する。火災報知システム200は、建物に設置され、火災を監視するとともに火災が検知されると報知等を行う。火災報知システム200は、火災受信機1と、感知器回線2を介して火災受信機1に接続された火災感知器3、発信機4及び地区音響装置5と、移報回線6を介して火災受信機1に接続された防排煙装置7とを備える。図示された感知器回線2及び移報回線6の数は一例であり、数は図示のものに限定されない。また、火災受信機1は、P型とR型のいずれであってもよい。
【0017】
火災感知器3は、例えば、熱感知器、煙感知器、又は炎感知器である。火災感知器3は、火災により発生する熱や煙などの物理現象の変化を一定量検出すると、火災を検知したことを示す発報信号を出力する。発報信号は、感知器回線2を介して火災受信機1によって取得される。
【0018】
発信機4は、押しボタンを備え、火災を発見した人が押しボタンを押すことにより、火災受信機1に火災信号を発信する装置である。
【0019】
地区音響装置5は、火災が検出されたときに火災受信機1からの信号に基づいて鳴動する装置である。地区音響装置5は、地区ベルとも称される。地区音響装置5は、建物の区画ごとに設置されている。
【0020】
防排煙装置7は、防火扉、防火ダンパ、防火シャッター、排煙機、排煙口の開閉扉等である。
【0021】
地区音響装置5及び防排煙装置7は、火災感知器3の発報信号に応じて火災受信機1からの信号によって連動する連動機器の一例である。連動機器として、例えば、音声を出力するスピーカ、視覚的な警報を出力するフラッシュライト又は表示灯、非常放送設備等を含んでいてもよい。
【0022】
火災受信機1は、制御部10と、伝送回路11と、移報回路12と、操作装置13と、表示装置14と、記憶部15と、コード生成部16と、プリンタ17とを備える。
【0023】
制御部10は、火災感知器3からの発報信号が入力されると、地区音響装置5又は他の報知装置によって火災の発生が報知され、火災受信機1の管理者等が目視で火災発生の有無を確認する。火災が発生していることを確認した管理者等が、発信機4の押しボタンを押すと、発信機4からの火災信号を受けて火災受信機1は火災の発生と断定する。1つの感知器回線2に対して複数台の火災感知器3から発報信号が送信された場合に、火災の発生が断定されてもよい。
【0024】
制御部10は、専用の制御回路、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)若しくはこれらの組み合わせにより構成される。制御部10がCPUである場合、制御部10が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0025】
伝送回路11は、火災感知器3及び発信機4が接続された感知器回線2のそれぞれに対して設けられており、感知器回線2からの発報信号及び発信機4からの火災信号を受信し、受信した信号を制御部10に送る。
【0026】
移報回路12は、防排煙装置7が接続された移報回線6に対応して設けられている。移報回路12は、制御部10から出力される指示に基づき、連動動作を指示する動作信号を、防排煙装置7に送る。ここで、移報回路12から出力される連動動作を指示する動作信号を、移報信号と称する。
【0027】
操作装置13は、火災受信機1の筐体に設けられたハードウェアボタンと、表示装置14のディスプレイに重ねて設けられたタッチパネルの、いずれか又は両方を含む。操作装置13は、ユーザからの操作を受け付け、操作に対応した信号を制御部10に送る。操作装置13に設けられたハードウェアボタンには、当該ボタンの機能を示す銘板が設けられている。
【0028】
表示装置14は、火災受信機1の筐体に設けられた液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー又はランプを含む。表示装置14は、発報信号が発生した感知器回線2又は火災感知器3を表示する。本実施の形態の表示装置14は、後述する二次元コードを表示するディスプレイ又は電子ペーパーを含む。
【0029】
記憶部15は、内部記憶メモリ、メモリカード等の外部記憶媒体、又はそれらの組み合わせである。記憶部15は、発報履歴情報151及び連動データベース情報152を記憶している。発報履歴情報151は、火災受信機1が受信した発報信号、すなわち火災感知器3が送信した発報信号の履歴を含む。発報履歴情報151は、火災受信機1が送信した移報信号を含んでいてもよいし、火災受信機1が他の機器(図示せず)との間で送受信した信号の履歴を含んでいてもよい。予め定められた期間に火災受信機1が送信又は受信した信号の履歴が、発報履歴情報151として記憶される。連動データベース情報152は、一以上の連動条件と一以上の連動先の機器である連動機器とを対応付けたデータベースである。連動条件は、連動機器を動作させる条件であり、例えば、火災感知器3からの発報信号、又は火災受信機1に対する操作等がある。具体的には、連動条件として、「アドレスNの火災感知器3からの発報信号」のように連動条件を特定する情報が設定される。連動機器は、本実施の形態では地区音響装置5又は防排煙装置7である。連動データベース情報152に登録される連動条件は、複数の条件の組み合わせであってもよく、例えば第1条件と第2条件の両方が充足した場合に連動機器が動作するように設定されていてもよい。なお、本実施の形態では記憶部15に発報履歴情報151と連動データベース情報152の両方が記憶される例を示すが、いずれか一方のみが記憶されてもよい。
【0030】
コード生成部16は、発報履歴情報151及び連動データベース情報152の情報に基づいて、これらの情報を含む二次元コードを生成する。コード生成部16は、専用の処理回路、又はCPUで構成され、制御部10の機能部として構成されてもよい。
【0031】
プリンタ17は、記憶部15に記憶された発報履歴情報151及び後述する二次元コードを印刷する装置である。
【0032】
端末装置20は、火災受信機1が出力した後述する二次元コードを取得する装置である。端末装置20は、例えば、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、スマートフォン、又は火災受信機1のメンテナンス用の専用端末等である。端末装置20は、制御部21と、カメラ22と、記憶部23と、入力装置24と、表示装置25と、コード読取部26とを備える。端末装置20は、図示しない通信回路を備え、インターネット回線を介して他の端末装置と通信可能である。
【0033】
制御部21は、メモリに格納されるプログラムを実行するCPUを有し、プログラムと入力装置24への入力とに基づいて、カメラ22と、記憶部23と、表示装置25と、コード読取部26とを制御する。
【0034】
カメラ22は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等を含み、撮像素子を用いて撮像する装置である。本実施の形態では、カメラ22は、後述する二次元コードを撮影する。カメラ22で撮影された二次元コードの画像は、コード読取部26に入力される。カメラ22は、端末装置20に内蔵されていてもよいし、端末装置20とは別の装置として設けられて端末装置20に通信接続されてもよい。
【0035】
記憶部23は、コード読取部26が二次元コードから読み取った情報を記憶する。記憶部23は、端末装置20に内蔵された内蔵ストレージ、又はメモリカード等のリムーバブルストレージである。
【0036】
入力装置24は、端末装置20の利用者からの操作を受け付ける装置である。入力装置24は、例えばタッチパネル、ハードウェアキーボード、又はソフトウェアキーボードである。
【0037】
表示装置25は、コード読取部26が二次元コードから読み取った情報を表示する装置である。表示装置25は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は電子ペーパー等の、発報履歴情報151又は連動データベース情報152を表示可能な装置である。
【0038】
本実施の形態の火災受信機1は、記憶部15に記憶された発報履歴情報151及び連動データベース情報152から二次元コードを生成し、生成した二次元コードを出力する点に特徴を有する。以下、具体的な動作を説明する。
図2は、実施の形態1に係る火災受信機1の二次元コードの出力動作を説明するフローチャートである。
【0039】
(ステップS1)
火災受信機1は、二次元コード生成指示を受け付ける。二次元コード生成指示は、二次元コードを生成する対象、すなわち発報履歴情報151及び連動データベース情報152のいずれか又は両方を特定する指示を含む。発報履歴情報151又は連動データベース情報152それぞれの一部の情報のみが、二次元コード生成対象として指定されてもよい。二次元コード生成指示は、操作装置13に対して入力される。端末装置20と火災受信機1とが通信接続される場合、二次元コード生成指示は、端末装置20の入力装置24に対して入力され、通信により端末装置20から火災受信機1に入力されてもよい。
【0040】
(ステップS2)
制御部10は、ステップS1で入力された二次元コード生成対象の情報量が、閾値以下であるか否かを判定する。一つの二次元コードは、格納可能な情報量に上限があり、この上限を閾値とする。二次元コード生成対象の情報量が閾値以下であれば(ステップS2:YES)、ステップS5に進み、二次元コード生成対象の情報量が閾値を超えていれば(ステップS2:NO)、ステップS3に進む。
【0041】
(ステップS3)
制御部10は、ステップS1で入力された二次元コード生成対象を、各々の情報量が閾値以下になるように分割する。二次元コード生成対象が発報履歴情報151である場合、例えば、履歴を期間で分割してもよいし、履歴を感知器回線2ごとに分割してもよい。また、二次元コード生成対象が連動データベース情報152である場合、連動条件、連動機器、又は火災報知システム200の監視区域の単位等で、情報を分割してもよい。表示装置14は、分割された二次元コード生成対象を表示し、これらのうちいずれか一つ以上を選択するよう促す。
【0042】
(ステップS4)
火災受信機1は、二次元コード生成対象の入力を受け付ける。ステップS1と同様に、操作装置13又は端末装置20を介して、二次元コード生成対象が入力される。
【0043】
(ステップS5)
コード生成部16は、ステップS1又はステップS4で入力された二次元コード生成対象の二次元コードを生成する。
【0044】
(ステップS6)
火災受信機1は、ステップS5で生成された二次元コードを出力する。二次元コードは、表示装置14に表示される。あるいは、二次元コードは、プリンタ17によって印刷される。
【0045】
なお、ステップS4で、分割された複数の二次元コード生成対象が入力された場合には、ステップS5及びステップS6が、二次元コード生成対象の数だけ繰り返される。
【0046】
ユーザによって操作された端末装置20のカメラ22は、出力された二次元コードを撮影して取得する。コード読取部26は、カメラ22で取得された二次元コードから、情報を読み取る。読み取られた情報は、記憶部23に記憶され、表示装置25に表示される。発報履歴情報151が読み取られた場合、発報履歴情報151は、専用ソフトウェアに読み込まれ、例えばテーブル又はトレンドグラフ等の形式で表示装置25に表示される。連動データベース情報152が読み取られた場合、連動データベース情報152は、連動設定を編集する専用ソフトウェアに読み込まれ、表示装置25に表示される。
【0047】
(変形例)
変形例に係る火災受信機1は、記憶装置を備えたサーバと、有線通信又は無線通信により通信接続される。火災受信機1は、記憶部15に発報履歴情報151及び連動データベース情報152を記憶することに代えて、あるいはこれに加えて、発報履歴情報151及び連動データベース情報152をサーバに記憶させる。
【0048】
変形例に係る火災受信機1は、
図2において、二次元コード生成対象の情報量が閾値を超えている場合の処理(ステップS2:NOの場合の処理)が、実施の形態1と異なる。具体的に、二次元コード生成対象の情報量が閾値を超えている場合には、火災受信機1は、通信接続されたサーバの記憶装置のネットワーク上のアドレスを出力する。例えば、火災受信機1は、サーバの記憶装置にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を二次元コードに格納し、表示装置14又はプリンタ17によって出力する。ユーザが当該アドレスにアクセスすることで、故障時の対応方法が示された取扱説明書など、必要な情報を閲覧できるので、ユーザ自身で初期対応を行うことができる。
【0049】
ユーザによって操作された端末装置20のカメラ22は、サーバの記憶装置のアドレスが含まれた二次元コードを撮影し、撮影された画像から制御部21によって当該アドレスの情報が読み取られる。あるいは、二次元コードの出力と同時に当該アドレスを出力することで、ユーザが、直接当該アドレスを入力装置24に入力してもよい。端末装置20は、図示しないブラウザ又は専用のソフトウェアを用いて、入力されたアドレスにアクセスし、サーバに記憶された発報履歴情報151又は連動データベース情報152を取得する。
【0050】
以上のように本実施の形態の火災受信機1は、記憶部15と、コード生成部16と、出力部としての表示装置14及びプリンタ17を備える。記憶部15には、当該火災受信機1が受信した発報信号の履歴を含む発報履歴情報151と、火災感知器3と連動機器との連動関係が登録された連動データベース情報152のうち少なくともいずれかを含む情報が記憶される。コード生成部16は、記憶部15に記憶された発報履歴情報151と連動データベース情報152のうち少なくともいずれかが含まれる二次元コードを生成する。
【0051】
このため、二次元コードを読み取り可能な端末装置20は、火災受信機1を再起動することなく、火災受信機1に記憶された情報を取得することができる。連動データベース情報152の情報を含む二次元コードが火災受信機1から出力されることで、火災受信機1を再起動することなく、また火災受信機1の監視状態を途切れさせることなく、端末装置20で連動データベース情報152を取得できる。また、火災受信機1の表示装置14の表示領域が狭い、あるいは表示画面を備えていない場合でも、発報履歴情報151を含む二次元コードが火災受信機1から出力されることで、端末装置20で発報履歴情報151を確認できる。このように、火災受信機1による監視状態を維持しながら、端末装置20で火災受信機1の情報を取得できる。
【0052】
また、本実施の形態では、火災受信機1から端末装置20への情報の伝達に、二次元コードを用いている。端末装置20と通信接続された他の端末との間で、端末装置20が火災受信機1から取得した二次元コードを共有することで、当該他の端末においても火災受信機1の情報を取得できる。これにより、火災受信機1の遠隔地にて当該他の端末を使用する第三者も、火災受信機1の情報を確認することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、二次元コードを生成する対象を含む二次元コード生成指示に応じて、コード生成部16で二次元コードを生成するものとした。これにより、故障時など、発生したトラブルへの対応に必要な情報のみを格納した二次元コードを生成してユーザへ提供することができる。したがって、例えば、マニュアルのデータを一括して格納する二次元コードを予め表示する方法に比べ、ユーザの利便性を向上させることができる。また、本実施の形態によれば、発報履歴情報151及び連動データベース情報152といった建物の管理者のみで共有したい情報について、読み取り制限をかけた固有の二次元コードを生成することができる。このため、端末装置20にて制限なく読み取ることのできる二次元コードと、読み取り制限のある二次元コードとを、対象となる情報に応じて作成することもできる。したがって、火災受信機が読み取り制限のない単一の二次元コードを有するものに比べ、本実施の形態は、情報の機密性を守ることができる。
【0054】
実施の形態2.
実施の形態1では、火災受信機1が二次元コードを出力する態様を説明した。本実施の形態では、端末装置20Aが出力した二次元コードを火災受信機1Aが読み取る態様を説明する。本実施の形態では、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0055】
図3は、実施の形態2に係る防災システム100の構成を説明する図である。火災受信機1Aは、カメラ18と、コード読取部19とを備える。端末装置20Aは、コード生成部27を備える。
【0056】
カメラ18は、例えば、CCDイメージセンサ、又はCMOSイメージセンサ等を含み、撮像素子を用いて撮像する装置である。本実施の形態では、カメラ18は、端末装置20Aにより出力された後述する二次元コードを撮影する。カメラ18で撮影された二次元コードの画像は、コード読取部19に入力される。カメラ18は、火災受信機1Aに内蔵されていてもよいし、火災受信機1Aとは別の装置として設けられて火災受信機1Aに通信接続されてもよい。
【0057】
コード読取部19は、カメラ18で取得された二次元コードから、情報を読み取る。読み取られた情報は、記憶部15に記憶される。コード読取部19は、専用回路又はCPUで構成されてもよいし、制御部10の機能部として構成されてもよい。
【0058】
端末装置20Aは、連動データベースの作成及び編集に使用される。端末装置20Aで作成又は編集された連動データベース(図示せず)は、記憶部23に記憶されている。コード生成部27は、記憶部23に記憶された連動データベース(図示せず)から、二次元コードを生成する。生成された二次元コードは、表示装置25又はプリンタ(図示せず)によって出力される。
【0059】
このような火災受信機1A及び端末装置20Aを備えた本実施の形態の防災システム100では、端末装置20Aが出力した二次元コードを、火災受信機1Aのカメラ18で撮影する。カメラ18で撮影された二次元コードから、コード読取部19によって連動データベースの情報が読み取られる。コード読取部19によって読み取られた連動データベースの情報は、記憶部15に連動データベース情報152として記憶され、火災受信機1Aの連動制御に用いられる。
【0060】
以上のように本実施の形態の火災受信機1Aは、二次元コードを読み取るカメラ18と、カメラ18が読み取った二次元コードから、火災感知器3と連動機器との連動に関する対応関係が登録された連動データベースを読み取るコード読取部19とを備えた。このため、火災受信機1Aを用いて連動データベースを作成又は編集する場合と比べて、作業負荷を軽減できる。すなわち、火災受信機1Aの操作装置13及び表示装置14を用いて連動データベース情報152を作成又は編集する場合、操作装置13の機能及び表示装置14の表示領域に制限があるため、作業が困難である。本実施の形態によれば、ノートパソコン等の端末装置20Aで作成又は編集した連動データベースを火災受信機1Aで利用できるので、連動データベースの編集のために火災受信機1Aを操作しなくてもよく、作業負荷が軽減される。また、端末装置20Aから火災受信機1Aに対し、二次元コードを用いて連動データベースの情報が入力されるため、火災受信機1Aが連動データベースを取得するにあたって火災受信機1Aの再起動が必要ない。したがって、火災受信機1Aによる監視を中断させることがない。
【0061】
(変形例)
実施の形態1、2では、火災受信機と端末装置の一方が二次元コードを出力する機能を有し、他方が二次元コードを読み取る機能を有する防災システムを説明した。しかし、火災受信機と端末装置の両方が、連動データベース情報を含む情報を記憶する記憶部と、二次元コード生成部と、二次元コードを出力する出力部と、コード読取部とを備えていてもよい。この防災システムにおいては、必要に応じて、火災受信機と端末装置の一方が二次元コードを生成し、他方が二次元コードの読み取り動作を行うことができる。火災受信機と端末装置の役割を互いに交換できるので、利便性の高い防災システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 火災受信機、1A 火災受信機、2 感知器回線、3 火災感知器、4 発信機、5 地区音響装置、6 移報回線、7 防排煙装置、10 制御部、11 伝送回路、12 移報回路、13 操作装置、14 表示装置、15 記憶部、16 コード生成部、17 プリンタ、18 カメラ、19 コード読取部、20 端末装置、20A 端末装置、21 制御部、22 カメラ、23 記憶部、24 入力装置、25 表示装置、26 コード読取部、27 コード生成部、100 防災システム、151 発報履歴情報、152 連動データベース情報、200 火災報知システム。