(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130932
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】映像表示システム、及び映像表示方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4063 20060101AFI20240920BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20240920BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240920BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G05B19/4063 Z
G05B19/18 W
B23Q17/00 D
B23Q17/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040902
(22)【出願日】2023-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】岩田 晃一
【テーマコード(参考)】
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C029EE01
3C029EE20
3C029FF05
3C269AB09
3C269BB07
3C269BB11
3C269JJ09
3C269KK11
3C269MN46
3C269PP02
3C269QB03
3C269QE02
3C269QE37
(57)【要約】
【課題】加工システムの状態を的確に視認することができる映像表示システムを提供する。
【解決手段】映像表示システムは、材料Wを加工する加工機10及び周辺装置20を含む加工システムを撮像する撮像装置と、撮像装置により得られる撮像映像を表示する表示装置72と、表示装置72に表示される撮像映像を制御する表示制御装置80と、を有している。表示制御装置80は、システム制御装置60から得られる情報に基づいて、加工システムの中で注目すべき注目部位を特定し、注目部位に合わせて撮像映像を選択し、選択した撮像映像を表示装置72に表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を加工する加工機及び前記加工機と協働して動作する周辺装置を含む加工システムを撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により得られる撮像映像を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示される前記撮像映像を制御する表示制御装置と、を有し、
前記表示制御装置は、
前記加工システムを制御するシステム制御装置から得られる情報に基づいて、前記加工システムの中で注目すべき注目部位を特定し、
前記注目部位に合わせて前記撮像映像を選択し、
選択した前記撮像映像を前記表示装置に表示する
映像表示システム。
【請求項2】
前記注目部位は、前記周辺装置及び前記周辺装置において動作する可動部を含む
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記加工システムを撮像した前記撮像映像をそれぞれ出力する複数のカメラを含み、
前記表示制御装置は、前記複数のカメラの中から、前記注目部位を撮像するカメラを選択することで、前記撮像映像の選択を行う
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項4】
前記表示制御装置は、選択された前記カメラにより得られる前記撮像映像の中から、前記注目部位に対応する領域を切り出すことで、前記撮像映像の選択を行う
請求項3記載の映像表示システム。
【請求項5】
前記周辺装置は、
前記加工機が加工する前記材料を積載場所から取り出す一枚取装置と、
前記一枚取装置が取り出した前記材料を前記加工機に搬入する、及び前記加工機が前記材料を加工することで作成される製品を、前記加工機から搬出する搬入搬出装置と、を含む
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項6】
前記表示制御装置は、前記加工システムにおいて異常が発生している場合に前記システム制御装置から得られるアラーム発生情報に基づいて、前記注目部位を特定する
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項7】
前記表示制御装置は、前記加工システムを利用者が手動操作している場合に前記システム制御装置から得られる前記手動操作の情報に基づいて、前記注目部位を特定する
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項8】
前記表示制御装置は、前記周辺装置において動作する可動部の情報に基づいて、前記注目部位を特定する
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項9】
コンピュータが、
材料を加工する加工機及び前記加工機と協働して動作する周辺装置を含む加工システムを撮像する撮像装置から、撮像映像を取得し、
前記加工システムを制御するシステム制御装置から得られる情報に基づいて、前記加工システムの中で注目すべき注目部位を特定し、
前記注目部位に合わせて前記撮像映像を選択し、
選択した前記撮像映像を表示装置に表示する
映像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示システム、及び映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料を加工する加工機及び周辺装置を備えた加工システムが知られている。この類の加工システムでは、加工システムの動作状況などを確認するためにカメラにより得られた撮像映像を、作業者が視認可能な表示装置に表示することが行われている。
【0003】
特許文献1には、工作機械を制御する数値制御装置が、Gコードにより、工作機械を撮像するビデオカメラを操作する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される手法は、加工プログラムに対して、ビデオカメラを操作するためのGコードを記述する必要があるが、加工プログラムに記述された内容でしかビデオカメラを制御することができない。そのため、加工システムの状態を的確に視認することができず、利用者にとって必ずしも使い勝手がいいものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、材料を加工する加工機及び加工機と協働して動作する周辺装置を含む加工システムを撮像する撮像装置と、撮像装置により得られる撮像映像を表示する表示装置と、表示装置に表示される撮像映像を制御する表示制御装置と、を有し、表示制御装置は、加工システムを制御するシステム制御装置から得られる情報に基づいて、周辺装置の中で注目すべき注目部位を特定し、注目部位に合わせて撮像映像を選択し、選択した撮像映像を表示装置に表示する、映像表示システムである。
【0007】
本発明の一態様において、表示制御装置は、システム制御装置から得られる情報を用いることで、加工システムの動作状況を把握することができるので、加工システムにおいて注目すべき注目部位を自律的に判断することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、加工システムの注目部位が自動的に表示されるので、利用者は加工システムの注目部位を適切に視認することができる。これにより、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る映像表示システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、映像表示システムが適用される加工システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、カメラによって撮像可能な撮像領域及び表示装置に表示される切出領域を説明する図である。
【
図4】
図4は、映像表示システムによる動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、アラーム動作処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、一枚取アラーム動作処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、材料搬入アラーム動作処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、製品搬出アラーム動作処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、手動操作動作処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、搬入搬出装置動作処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、搬入搬出装置の座標位置と、カメラ及び視点との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本実施形態に係る映像表示システムについて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る映像表示システムを示すブロック図である。本実施形態に係る映像表示システムは、材料を加工する加工機10及び加工機10と協働して動作する周辺装置20を含む加工システムを撮像する撮像装置と、撮像装置により得られる撮像映像を表示する表示装置72と、表示装置72に表示される撮像映像を制御する表示制御装置80と、を有し、表示制御装置80は、加工システムを制御するシステム制御装置60から得られる情報に基づいて、加工システムの中で注目すべき注目部位を特定し、注目部位に合わせて撮像映像を選択し、選択した撮像映像を表示装置72に表示する。
【0012】
以下、本実施形態に係る映像表示システムについて詳細に説明する。この映像表示システムは、加工システムに適用されている。まず、
図2を参照し、加工システムについて説明する。
図2は、映像表示システムが適用される加工システムの構成を示す図である。加工システムの構成を説明するにあたり、方向の定義として、左右方向、前後方向(図示せず(紙面に対して垂直方向))、及び上下方向を用いる。左右方向及び前後方向は水平方向において直交する2つの方向に対応し、上下方向は鉛直方向に対応する。ただし、これらの方向は、本実施形態に係る加工システムを説明するために、便宜的に定義されているに過ぎない。
【0013】
加工システムは、加工機10と、周辺装置20とを備えている。
【0014】
加工機10は、板金などの板状の材料Wを加工する機械である。加工機10は、例えば、パンチプレス加工の機能とレーザ切断加工の機能とを備えた複合機である。ただし、加工機10は、パンチプレス加工の機能のみを備えたパンチプレス、又はレーザ切断加工の機能のみを備えたレーザ切断加工機であってもよい。加工機10は、材料Wを加工することで、製品Pを作成する。
【0015】
周辺装置20は、加工機10と協働して動作する装置であり、加工機10の周囲に配置されている。本実施形態において、周辺装置20は、加工機10の左側に隣接して配置されている。周辺装置20は、収納棚25と、一枚取装置30と、搬入搬出装置40とで構成されている。
【0016】
収納棚25は、各種のパレット31、41を収納している。材料パレット31は、材料Wを積載するためのパレットである。製品パレット41は、加工機10によって加工された製品Pを集積するためのパレットである。
【0017】
一枚取装置30は、周辺装置20の中で最も左側、すなわち加工機10から最も離れた位置に配置されている。一枚取装置30は、パレット31に積載された複数枚の材料Wの中から一番上にある材料Wを取り出し、搬入搬出装置40が取り出し可能な受渡テーブル(図示せず)まで材料Wを搬送する装置である。
【0018】
一枚取装置30は、収納棚25に配置されており、上下方向に移動自在に構成されている。一枚取装置30は、材料Wを保持するための吸着手段を備えている。
【0019】
搬入搬出装置40は、一枚取装置30と加工機10との間に配置されている。搬入搬出装置40は、一枚取装置30によって受渡テーブルに載置された材料Wを、加工機10内に設けられた加工テーブル(図示せず)に搬入する。また、搬入搬出装置40は、加工機10によって加工された製品Pを加工機10から搬出し、製品Pを製品パレット41に集積する。
【0020】
搬入搬出装置40は、収納棚25に配置されており、左右方向に移動自在に構成されている。
図2に示す例では、搬入搬出装置40が材料Wを加工機10に搬入する場合、搬入搬出装置40は、左から右に向かって前進する。これに対して、搬入搬出装置40が製品Pを加工機10から搬出する場合、搬入搬出装置40は、左側に向かって後退する。搬入搬出装置40は、材料W及び製品Pを保持するための吸着手段を備えている。
【0021】
図1に示すように、加工システムは、加工機10及び周辺装置20を制御するシステム制御装置60をさらに備えている。システム制御装置60は、コンピュータによって実現されている。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、システム制御装置60が備える種々の機能が実現される。
【0022】
本実施形態では、1つの制御装置(システム制御装置60)が加工機10及び周辺装置20を制御している。しかしながら、加工機10及び周辺装置20がそれぞれ専用の制御装置を備え、個々の制御装置が加工機10及び周辺装置20をそれぞれ制御してもよい。
【0023】
システム制御装置60には、各種のセンサ11、33、43により得られるセンサ情報が入力されている。センサ11は、加工機10の状態を検出するセンサを含んでいる。
【0024】
センサ33は、一枚取装置30の状態を検出する複数のセンサを含んでいる。具体的には、センサ33は、一枚取装置30の動作範囲のうち、最も上昇した上昇端に一枚取装置30がいることを検出する上昇端センサ、一枚取装置30の動作範囲のうち、最も下降した下降端に一枚取装置30がいることを検出する下降端センサを含む。さらにセンサ33は、一枚取装置30が材料Wを吸着したことを検出する吸着センサ、一枚取装置30が複数の材料Wを吸着したことを検出する複数枚センサを含む。
【0025】
センサ43は、搬入搬出装置40の状態を検出するセンサである。具体的には、センサ43は、搬入搬出装置40が材料Wを吸着したことを検出する吸着センサ、材料Wを左右方向及び前後方向の原点位置にセットするためのセンサ、搬入搬出装置40の左右方向における座標位置を検出するためのセンサを含んでいる。
【0026】
操作盤70は、加工機10の利用者が使用する機器である。操作盤70は、加工機10の近傍に配置されている。操作盤70は、利用者が情報を入力するための入力装置71、及び利用者が視認可能な表示装置72を備えている。入力装置71を介して入力された情報は、システム制御装置60へと出力される。表示装置72は、システム制御装置60から出力された各種の情報を表示する。
【0027】
つぎに、映像表示システムについて説明する。加工システムは、加工機10及び周辺装置20を含む大型の機械である。また、加工機10及び周辺装置20にはフレームなどが多用されているほか、安全上の観点から機械の周囲がパーティションで覆われている。利用者は、通常、操作盤70の周囲にいることが多いが、このような構造上の理由から周辺装置20の全部を直接視認することができない。周辺装置20の動作状況を確認したり、メンテナンスを行ったりする場合、利用者は、周辺装置20の近くまで移動し、周辺装置20を目視する必要がある。よって、操作盤70と周辺装置20との間を行き来する頻度が多く、作業効率の低下も懸念される。
【0028】
この映像表示システムは、利用者が注目したい部位の撮像映像を適切に表示することで、利用者の動線を効率化、作業効率の向上を図るものである。映像表示システムは、撮像装置と、表示装置72と、表示制御装置80とを含んでいる。
【0029】
撮像装置は、加工システム、特に周辺装置20を撮像する装置である。本実施形態において、撮像装置は、加工システムを撮像した撮像映像をそれぞれ出力する複数のカメラ50を含んでいる。
図1に示す例では、撮像装置は、5つのカメラ50から構成されており、各カメラ50は、周辺装置20を側方から撮像するように配置されている。また、カメラ50は、周辺装置20の動作状況を撮像できるように、機械の内部に配置されている。ただし、カメラ50は、周辺装置20の動作状況を撮像できるように配置されていればよく、その配置形態はこれに限定されない。
【0030】
5つのカメラ50は、異なる位置に配置されており、それぞれのカメラ50は、異なる撮像映像を出力する。5つのカメラ50の撮像範囲は、周辺装置20において動作する可動部の動作範囲、すなわち、一枚取装置30の上下方向の動作範囲、及び搬入搬出装置40の左右方向の動作範囲をカバーしている。以下の説明では、第1から第5までの称呼を付して、5つのカメラ50を区別する。
【0031】
第1カメラ50は、左右方向における一枚取装置30の正面、且つ、一枚取装置30の上昇端から一定距離だけ下がった位置に配置されている。第2から第5カメラ50は、搬入搬出装置40と同程度の高さに配置されており、それぞれ左右方向の位置が相違している。第2カメラ50は、一枚取装置30よりも左側に配置され、第3カメラ50は、一枚取装置30よりも右側に配置されている。第4カメラ50は、加工機10の近傍に配置され、第5カメラ50は、加工機10の加工テーブル近傍に配置されている。
【0032】
個々のカメラ50は、PTZ(Panoramic Tilt Zoom)カメラである。カメラ50は、カメラ50の視点を左右方向に移動させるパン機能、カメラ50の視点を上下方向に移動させるチルト機能を有している。また、カメラ50は、被写体を拡大又は縮小するズーム機能を有している。
図3は、カメラによって撮像可能な撮像領域及び表示装置に表示される切出領域を説明する図である。
【0033】
撮像領域100は、カメラ50によって撮像される最大の映像領域をいう。カメラ50は、この撮像領域100の中から一部の領域を切出領域110として切り出し、切出領域110に対応する撮像映像のみを出力する。カメラ50は、撮像領域100の中で切出領域110を切り換えることで、パン機能、チルト機能を実現することができる。また、カメラ50は、切出領域110の中から一部の領域を切り出すことで、ズーム機能を実現することができる。
【0034】
本実施形態において、撮像領域100は、3×3の行列、具体的には、左右方向に並ぶ、AからCまでの列と、上下方向に並ぶ、1から3までの行とからなる行列に分割可能である。カメラ50は、分割された領域の1つを、切出領域110として選択することができる。以下、撮像領域100から1つの切出領域110を選択することを、カメラ50の視点選択ともいう。
【0035】
なお、カメラ50は、カメラ50の向きを水平方向に移動させる駆動機構、カメラ50の向きを垂直方向に移動させる駆動機構により、パン機能及びチルト機能を実現してもよい。また、カメラ50は、カメラ50に搭載されたフォーカスレンズ及びズームレンズなどの光学系の駆動機構により、ズーム機能を実現してもよい。
【0036】
表示装置72は、表示制御装置80の制御のもと、5つのカメラ50により得られる撮像映像を表示する。本実施形態では、操作盤70が備える表示装置72が、映像表示システムの表示装置として利用されている。しかしながら、映像表示システムの表示装置は、操作盤70から独立した表示装置でもよく、利用者が所持する携帯端末の表示装置などでもよい。
【0037】
表示制御装置80は、コンピュータによって実現されている。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、表示制御装置80が備える種々の機能が実現される。
【0038】
表示制御装置80は、システム制御装置60との間で情報の授受を行うことができる。すなわち、表示制御装置80は、システム制御装置60が加工機10及び周辺装置20に対して出力した制御の情報(例えば、搬入搬出装置40に対する移動指令など)、システム制御装置60が加工機10、周辺装置20、及び入力装置71から取得した情報(例えば、各センサ11、33、43から出力されるセンサ情報など)、システム制御装置60が処理した情報(例えば、アラーム発生などの情報)を取得することができる。
【0039】
表示制御装置80は、システム制御装置60とは異なるハードウェアで構成してもよいが、共通のハードウェアによって構成してもよい。
【0040】
本実施形態において、表示制御装置80は、表示装置72に表示される撮像映像を制御する。具体的には、表示制御装置80は、加工システムを制御するシステム制御装置60から得られる情報に基づいて、加工システムの中で注目すべき注目部位を特定する。そして、表示制御装置80は、注目部位に合わせて撮像映像を選択し、選択した撮像映像を表示装置72に表示する。
【0041】
注目部位は、周辺装置20及び周辺装置20において動作する可動部を含む。可動部は、1枚取装置30及び搬入搬出装置40を含む。
【0042】
表示制御装置80による撮像映像の選択は、以下の通り行われる。まず、表示制御装置80は、5つのカメラ50の中から、注目部位を撮像するカメラ50を選択することで、撮像映像の選択を行う。加えて、表示制御装置80は、選択されたカメラ50により得られる撮像映像の中から、注目部位に対応する領域を切り出すことで、撮像映像の選択を行う。
【0043】
表示制御装置80には、利用者が入力装置71を介して入力した情報も入力される。このため、表示制御装置80は、利用者が操作盤70の入力装置71を操作して撮像映像を選択することにより、選択された撮像映像を表示装置72に表示することもできる。
【0044】
以下、
図4を参照し、本実施形態に係る映像表示方法について説明する。
図4は、映像表示システムによる動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、映像表示システムの表示制御装置80によって実行される。表示制御装置80は、システム制御装置60から得られる情報に基づいて、フローチャートに示す処理を行う。
【0045】
まず、ステップS1において、表示制御装置80は、加工システムの自動運転中にアラームが発生したか否かを判断する。アラームが発生した場合(ステップS1:YES)、表示制御装置80は、アラーム動作処理を行う(ステップS2(詳細は後述する))。アラームが発生していない場合(ステップS1:NO)、表示制御装置80は、ステップS3の処理に進む。
【0046】
ステップS3において、表示制御装置80は、手動操作を行っているか否かを判断する。手動操作は、利用者が入力装置71を用いて手動で加工システムを操作することをいう。この手動操作では、一枚取装置30、搬入搬出装置40などのようにユニットを指定し、そのユニットを手動で操作することができる。
【0047】
手動操作を行っている場合(ステップS3:YES)、表示制御装置80は、手動操作動作処理を行う(ステップS4(詳細は後述する))。手動操作を行っていない場合(ステップS3:NO)、表示制御装置80は、ステップS5の処理に進む。
【0048】
ステップS5において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40が動作中であるか否かを判断する。搬入搬出装置40が動作中である場合(ステップS5:YES)、表示制御装置80は、搬入搬出装置動作処理を行う(ステップS6(詳細は後述する))。搬入搬出装置40が動作中でない場合(ステップS5:NO)、表示制御装置80は、ステップS7の処理に進む(詳細は後述する)。
【0049】
図5は、アラーム動作処理を示すフローチャートである。このアラーム動作処理は、表示制御装置80が、加工システムにおいて異常が発生している場合にシステム制御装置60から得られるアラーム発生情報に基づいて、注目部位を特定する処理である。
【0050】
ステップS10において、表示制御装置80は、一枚取装置30の動作中(一枚取中)にアラームが発生したか否かを判断する。一枚取中にアラームが発生した場合(ステップS10:YES)、表示制御装置80は、ステップS11において一枚取アラーム動作処理を行う(詳細は後述する)。一枚取中にアラームが発生していない場合(ステップS10:NO)、表示制御装置80は、ステップS12の処理に進む。
【0051】
ステップS12において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の材料搬入中にアラームが発生したか否かを判断する。材料搬入中にアラームが発生した場合(ステップS12:YES)、表示制御装置80は、ステップS13において材料搬入アラーム動作処理を行う(詳細は後述する)。材料搬入中にアラームが発生していない場合(ステップS12:NO)、表示制御装置80は、ステップS14の処理に進む。
【0052】
ステップS14において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の製品搬出中にアラームが発生したか否かを判断する。製品搬出中にアラームが発生した場合(ステップS14:YES)、表示制御装置80は、ステップS15において製品搬出アラーム動作処理を行う(詳細は後述する)。製品搬出中にアラームが発生していない場合(ステップS14:NO)、本ルーチンを終了する。
【0053】
図6は、一枚取アラーム動作処理を示すフローチャートである。この処理では、一枚取中に発生したアラームの部位を注目部位として特定し、注目部位に合わせて撮像映像を選択する。
【0054】
具体的には、ステップS110において、表示制御装置80は、システム制御装置60による下降指令を受けた一枚取装置30が所定時間内に下降を完了していないか否かを判断する。一枚取装置30の下降が完了していない場合(ステップS110:YES)、表示制御装置80は、上昇端センサがオンであるか否かを判断する(ステップS111)。
【0055】
上昇端センサがオンである場合(ステップS111:YES)、表示制御装置80は、上昇端に位置する一枚取装置30を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、一枚取装置30の動作範囲のうち上側範囲をカバーする第1カメラ50を選択する。一枚取装置30の上昇端は第1カメラ50からみて左右方向の中央、且つ上側に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でB1領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS112)。
【0056】
上昇端センサがオフである場合(ステップS111:NO)、表示制御装置80は、下降端センサもオフであるか否かを判断する(ステップS113)。下降端センサもオフである場合(ステップS113:YES)、表示制御装置80は、上昇端と下降端との間に位置する一枚取装置30を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、一枚取装置30の動作範囲のうち下側範囲をカバーする第2カメラ50を選択する。一枚取装置30は第2カメラ50からみて右上に存在する可能性が高いので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でC1領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS114)。なお、表示制御装置80は、第2カメラ50の撮像領域100の中でC2領域(
図3参照)を切出領域110として選択してもよいし、第2カメラ50に変えて第1カメラ50を選択してもよい。
【0057】
ステップS115において、表示制御装置80は、一枚取装置30の吸着センサの情報を参照し、一枚取装置30による材料Wの吸着が失敗したか否かを判断する。吸着失敗は、材料パレット31に材料Wが無い場合、吸着した材料Wが脱落した場合などに発生する。
【0058】
吸着が失敗した場合(ステップS115:YES)、表示制御装置80は、材料パレット31を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、材料パレット31をカバーする第2カメラ50を選択する。材料パレット31は、第2カメラ50からみて右下に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でC3領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS116)。
【0059】
材料Wの吸着が成功した場合、一枚取装置30は、下降端から受渡テーブルに向けて所定距離だけ上昇する。このとき、一番上の材料Wとともに、その次にある材料Wも取り上げられてしまうことがある。そこで、ステップS117において、表示制御装置80は、一枚取装置30の複数枚センサの情報を参照し、材料Wが二枚以上吸着されたか否かを判断する。
【0060】
二枚以上の材料が吸着された場合(ステップS117:YES)、表示制御装置80は、材料Wを吸着した一枚取装置30を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、一枚取装置30の動作範囲のうち下側範囲をカバーする第2カメラ50を選択する。材料Wの吸着後、上昇した一枚取装置30は、第2カメラ50からみて右側、且つ上下方向の中央に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でC2領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS118)。
【0061】
ステップS119において、表示制御装置80は、システム制御装置60による上昇指令を受けた一枚取装置30が所定時間内に上昇を完了していないか否かを判断する。一枚取装置30の上昇が完了していない場合(ステップS119:YES)、表示制御装置80は、下降端センサがオンであるか否かを判断する(ステップS120)。
【0062】
下降端センサがオンである場合(ステップS120:YES)、表示制御装置80は、下降端に位置する一枚取装置30を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、一枚取装置30の動作範囲のうち下側範囲をカバーする第2カメラ50を選択する。下降端に位置する一枚取装置30は第2カメラ50からみて右側、且つ上下方向の中央に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でC2領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS121)。
【0063】
下降端センサがオフである場合(ステップS120:NO)、表示制御装置80は、上昇端センサもオフであるか否かを判断する(ステップS122)。上昇端センサもオフである場合(ステップS122:YES)、表示制御装置80は、上昇端と下降端との間に位置する一枚取装置30を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、一枚取装置30の動作範囲のうち上側範囲をカバーする第1カメラ50を選択する。一枚取装置30は第1カメラ50からみて左右方向の中央、且つ下側に存在する可能性が高いので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でB3領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS123)。なお、表示制御装置80は、第1カメラ50に変えて第2カメラ50を選択してもよい。
【0064】
一枚取装置30の上昇が完了した場合(ステップS119:NO)、又は下降端センサがオンである場合(ステップS122:NO)、本ルーチンを終了する。
【0065】
図7は、材料搬入アラーム動作処理を示すフローチャートである。搬入搬出装置40は、一枚取装置30によって受渡テーブルに置かれた材料Wを吸着し、加工機10へと搬入する。この処理では、材料搬入中に発生したアラームの部位を注目部位として特定し、注目部位に合わせて撮像映像を選択する。
【0066】
まず、ステップS130において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の吸着センサの情報を参照し、搬入搬出装置40による材料Wの吸着が失敗したか否かを判断する。
【0067】
吸着が失敗した場合(ステップS130:YES)、表示制御装置80は、材料Wの受渡テーブルを注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、受渡テーブルをカバーする第3カメラ50を選択する。受渡テーブルは、第3カメラ50からみて左側、且つ上下方向の中央に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でA2領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS131)。
【0068】
つぎに、ステップS132において、表示制御装置80は、システム制御装置60による右方向への前進指令を受けた搬入搬出装置40が所定時間内に前進を完了していないか否かを判断する。搬入搬出装置40の前進が完了していない場合は(ステップS132:YES)、表示制御装置80は、後述する搬入搬出装置動作処理を行う(ステップS133)。
【0069】
ステップS134において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40による材料Wの原点セットが未完了であるか否かを判断する。加工テーブルに対する材料Wの原点セットが未完了である場合は(ステップS134:YES)、表示制御装置80は、加工テーブルにおける材料Wの原点位置を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、加工テーブルにおける材料Wの原点位置をカバーする第5カメラ50を選択する。材料の原点位置は、第5カメラ50からみて中央に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でB2領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS135)。
【0070】
図8は、製品搬出アラーム動作処理を示すフローチャートである。搬入搬出装置40は、加工機10により作製された製品Pを加工機10から搬出し、この製品Pを製品パレット41に集積する。この処理では製品搬出中に発生したアラームの部位を注目部位として特定し、注目部位に合わせて撮像映像を選択する。
【0071】
まず、ステップS150において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の吸着センサの情報を参照し、搬入搬出装置40による製品Pの吸着が失敗したか否かを判断する。
【0072】
吸着が失敗した場合(ステップS150:YES)、表示制御装置80は、加工機10の加工テーブルを注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、加工機10の加工テーブルをカバーする第5カメラ50を選択する。加工機10の加工テーブルは、第5カメラ50からみて中央に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でB2領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS151)。
【0073】
つぎに、ステップS152において、表示制御装置80は、システム制御装置60による左方向への後退指令を受けた搬入搬出装置40が所定時間内に後退を完了していないか否かを判断する。搬入搬出装置40の後退が完了していない場合は(ステップS152:YES)、後述する搬入搬出動作処理を行う(ステップS153)。
【0074】
ステップS154において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40による製品Pの集積が未完了であるか否かを判断する。製品Pの集積が未完了である場合は(ステップS154:YES)、表示制御装置80は、製品集積位置にある搬入搬出装置40を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、製品集積位置にある搬入搬出装置40をカバーする第4カメラ50を選択する。製品集積位置にある搬入搬出装置40は、第4カメラ50からみて中央に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でB2領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS155)。
【0075】
図9は、手動操作動作処理を示すフローチャートである。加工システムにおいて手動操作が選択された場合、利用者は、操作盤70の入力装置71の操作を通じて、一枚取装置30及び搬入搬出装置40を手動で操作することができる。表示制御装置80は、加工システムを利用者が手動操作している場合にシステム制御装置60から得られる手動操作の情報に基づいて、注目部位を特定する。
【0076】
ステップS400において、表示制御装置80は、一枚取装置30が操作されているか否かを判断する。一枚取装置30が操作されている場合は(ステップS400:YES)、表示制御装置80は、上昇端センサを参照し、一枚取装置30が上昇端に到達したか否かを判断する(ステップS401)。
【0077】
一枚取装置30が上昇端に到達した場合(ステップS401:YES)、表示制御装置80は、上昇端に位置する一枚取装置30を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、一枚取装置30の動作範囲のうち上側範囲をカバーする第1カメラ50を選択する。一枚取装置30の上昇端は第1カメラ50からみて左右方向の中央、且つ上側に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でB1領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS402)。
【0078】
一枚取装置30が上昇端に到達していない場合(ステップS401:NO)、表示制御装置80は、下降端センサを参照し、一枚取装置30が下降端に到達したか否かを判断する(ステップS403)。
【0079】
一枚取装置30が下降端に到達した場合(ステップS403:YES)、表示制御装置80は、下降端に位置する一枚取装置30を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、一枚取装置30の動作範囲のうち下側範囲をカバーする第2カメラ50を選択する。一枚取装置30の下降端は第2カメラ50からみて右下に存在するので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でC3領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS404)。
【0080】
一枚取装置30が下降端に到達していない場合(ステップS403:NO)、表示制御装置80は、上昇端と下降端との間に位置する一枚取装置30を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、一枚取装置30の動作範囲のうち下側範囲をカバーする第2カメラ50を選択する。一枚取装置30は第2カメラ50からみて右側、且つ上下方向の中央に存在する可能性があるので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でC2領域(
図3参照)を切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS405)。なお、表示制御装置80は、第2カメラ50の撮像領域100の中でC1領域(
図3参照)を切出領域110として選択してもよいし、第2カメラ50に変えて第1カメラ50を選択してもよい。
【0081】
ステップS406において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の移動操作であるか否かを判断する。搬入搬出装置40の移動操作である場合は(ステップS406:YES)、表示制御装置80は、後述する搬入搬出装置動作処理を行う(ステップS407)。
【0082】
ステップS408において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の吸着操作であるか否かを判断する。搬入搬出装置40の吸着操作である場合、表示制御装置80は、材料Wの受渡テーブルから材料Wを吸着する搬入搬出装置40を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、材料Wの受渡テーブルをカバーする第3カメラ50を選択する。材料Wの受渡テーブルは第3カメラ50からみて左側、且つ上下方向の中央にあるので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でA2領域(
図3参照)、且つ、A2領域の中央をズームした領域を、切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS114)。
【0083】
図10は、搬入搬出装置動作処理を示すフローチャートである。この搬入搬出装置動作処理は、表示制御装置80が、搬入搬出装置40が動作している場合にシステム制御装置から得られる搬入搬出装置40の座標位置情報に基づいて、注目部位を特定する処理である。
【0084】
まず、ステップS600において、表示制御装置80は、システム制御装置60から、搬入搬出装置40の座標位置を取得する。
【0085】
図11は、搬入搬出装置の座標位置と、カメラ及び視点との関係を説明する図である。カメラ50とその視点は、搬入搬出装置40の座標位置に応じて予め決定されている。ステップS601において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の座標位置に基づいて、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。すなわち、表示制御装置80は、搬入搬出装置40を画角に含むカメラ50、及びこのカメラ50の撮像領域100の中で、搬入搬出装置40が映し出された切出領域110を選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS602)。
【0086】
ステップS603において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の動作が停止したか否かを判断する。搬入搬出装置40が動作している場合は(ステップS603:NO)、ステップS600の処理に戻る。搬入搬出装置40の動作が停止した場合は(ステップS603:YES)、本ルーチンを終了する。
【0087】
再び
図1を参照するに、ステップS7において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の停止位置(左右方向における座標位置)に基づいて、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。すなわち、表示制御装置80は、搬入搬出装置40を画角に含むカメラ50、及びこのカメラ50の撮像領域100の中で、搬入搬出装置40が映し出された切出領域110を切り出す。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する。
【0088】
加工システムでは、搬入搬出装置40の動作が大部分を占める。そこで、アラームが発生していない状況、手動操作を行っていない状況、及び搬入搬出装置40が動作していない状況では、搬入搬出装置40を注目部位とする。これにより、表示装置72には搬入搬出装置40が表示される。利用者は、表示装置72を介して、搬入搬出装置40の状態を視認することができる。搬入搬出装置40が止まっていれば、利用者は、加工システムが停止していることを理解することができる。
【0089】
このように本実施形態によれば、システム制御装置60から得られる情報を参酌することで、表示制御装置80は、加工システムにおいて注目すべき注目部位を自律的に判断することができる。これにより、表示制御装置80は、加工システムの動作状態から判断される注目部位に応じて、表示装置72に表示すべき撮像映像を切り替えることができる。その結果、表示装置72には、注目部位の撮像映像が自動的に表示されるので、利用者は加工システムの注目部位を適切に視認することができる。これにより、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0090】
また、加工機10及び周辺装置20にはフレームが多用されているほか、安全上の観点から装置の周囲がパーティションで覆われている。利用者は、通常、操作盤70の周囲にいることが多いが、このような構造上の理由から周辺装置20の全部を直接視認することができない。利用者は、周辺装置20の動作状況を確認したり、メンテナンスを行ったりする場合には、周辺装置20の近くまで移動し、周辺装置20を視認する必要がある。
【0091】
この点、本実施形態の映像表示システムによれば、表示装置72に表示される撮像映像から周辺装置20を含む加工システムの状況を視認することができる。そのため、利用者の無駄な動きが抑制され、作業効率の向上を図ることができる。
【0092】
上述した実施形態において、表示制御装置80は、システム制御装置60から得られる搬入搬出装置40の座標位置に基づいて注目部位を特定している。しかしながら、注目部位を特定する方法はこれに限らない。表示制御装置80は、搬入搬出装置40を左右方向に移動させるためのアクチュエータ(例えば、駆動モータ)に対する制御指令に基づいて、注目部位を特定してもよい。また、搬入搬出装置40の座標位置を検出するセンサ以外の他のセンサによっても、搬入搬出装置40の位置を特定することができる場合には、表示制御装置80は、他のセンサの情報に基づいて、注目部位を特定してもよい。すなわち、表示制御装置80は、システム制御装置60から得られる搬入搬出装置40の情報に基づいて注目部位を特定すればよい。
【0093】
また、上述した実施形態では、搬入搬出装置40を例に挙げて、その動作に起因する注目部位の特定方法について説明した(搬入搬出装置動作処理)。しかしながら、この方法は、一枚取装置30に対して適用してもよい。すなわち、表示制御装置80は、システム制御装置60から得られる、一枚取装置30の情報に基づいて、注目部位を特定してもよい。表示制御装置80は、一枚取装置30を昇降させるためのアクチュエータ(例えば、流体シリンダ)に対する制御指令に基づいて、注目部位を特定してもよい。また、表示制御装置80は、上昇端センサ及び下降端センサを含むセンサ33から得られる情報に基づいて、注目部位を特定してもよい。また、一枚取装置30の座標位置を直接検出することができる場合には、表示制御装置80は、座標位置情報に基づいて注目部位を特定してもよい。
【0094】
このように、本実施形態において、表示制御装置80は、周辺装置20において動作する可動部の情報に基づいて、注目部位を特定してもよい。
【0095】
なお、本実施形態に示す映像表示方法によれば、コンピュータが、材料を加工する加工機10及び加工機10と協働して動作する周辺装置20を含む加工システムを撮像する撮像装置から、撮像映像を取得し、加工システムを制御するシステム制御装置60から得られる情報に基づいて、加工システムの中で注目すべき注目部位を特定し、注目部位に合わせて撮像映像を選択し、選択した撮像映像を表示装置に表示している。
【0096】
この方法によれば、映像表示システムと同様、加工システムの動作状態から判断される注目部位に応じて、表示装置72に表示すべき撮像映像を切り替えることができる。その結果、表示装置72には、注目部位の撮像映像が自動的に表示されるので、利用者は加工システムの注目部位を適切に視認することができる。これにより、利用者の利便性の向上を図ることができる。また、周辺装置20の近くまで移動する必要がないので、利用者の無駄な動きが抑制され、作業効率の向上を図ることができる。
【0097】
上記のように、本実施形態を記載したが、この実施形態の一部をなす論述及び図面はこの実施形態を限定するものであると理解すべきではない。この実施形態から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0098】
例えば、カメラ50及びその視点の選択は、カメラ50のレイアウト、及び加工システムの装置構成に応じて変更することができる。
【符号の説明】
【0099】
10 加工機
11 センサ
20 周辺装置
25 収納棚
30 一枚取装置
31 材料パレット
33 センサ
40 搬入搬出装置
41 製品パレット
43 センサ
50 カメラ
60 システム制御装置
70 操作盤
71 入力装置
72 表示装置
80 表示制御装置
100 撮像領域
110 切出領域
P 製品
W 材料
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を加工する加工機及び前記加工機と協働して動作する周辺装置を含む加工システムを撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により得られる撮像映像を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示される前記撮像映像を制御する表示制御装置と、を有し、
前記表示制御装置は、
前記加工システムを制御するシステム制御装置から得られる情報に基づいて、前記加工システムの中で注目すべき注目部位を特定し、
前記注目部位に合わせて前記撮像映像を選択し、
選択した前記撮像映像を前記表示装置に表示する
映像表示システム。
【請求項2】
前記注目部位は、前記周辺装置及び前記周辺装置において動作する可動部を含む
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記加工システムを撮像した前記撮像映像をそれぞれ出力する複数のカメラを含み、
前記表示制御装置は、前記複数のカメラの中から、前記注目部位を撮像するカメラを選択することで、前記撮像映像の選択を行う
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項4】
前記表示制御装置は、選択された前記カメラにより得られる前記撮像映像の中から、前記注目部位に対応する領域を切り出すことで、前記撮像映像の選択を行う
請求項3記載の映像表示システム。
【請求項5】
前記周辺装置は、
前記加工機が加工する前記材料を積載場所から取り出す一枚取装置と、
前記一枚取装置が取り出した前記材料を前記加工機に搬入する、及び前記加工機が前記材料を加工することで作製される製品を、前記加工機から搬出する搬入搬出装置と、を含む
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項6】
前記表示制御装置は、前記加工システムにおいて異常が発生している場合に前記システム制御装置から得られるアラーム発生情報に基づいて、前記注目部位を特定する
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項7】
前記表示制御装置は、前記加工システムを利用者が手動操作している場合に前記システム制御装置から得られる前記手動操作の情報に基づいて、前記注目部位を特定する
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項8】
前記表示制御装置は、前記周辺装置において動作する可動部の情報に基づいて、前記注目部位を特定する
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項9】
コンピュータが、
材料を加工する加工機及び前記加工機と協働して動作する周辺装置を含む加工システムを撮像する撮像装置から、撮像映像を取得し、
前記加工システムを制御するシステム制御装置から得られる情報に基づいて、前記加工システムの中で注目すべき注目部位を特定し、
前記注目部位に合わせて前記撮像映像を選択し、
選択した前記撮像映像を表示装置に表示する
映像表示方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
加工機10は、板金などの板状の材料Wを加工する機械である。加工機10は、例えば、パンチプレス加工の機能とレーザ切断加工の機能とを備えた複合機である。ただし、加工機10は、パンチプレス加工の機能のみを備えたパンチプレス、又はレーザ切断加工の機能のみを備えたレーザ切断加工機であってもよい。加工機10は、材料Wを加工することで、製品Pを作製する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
ステップS408において、表示制御装置80は、搬入搬出装置40の吸着操作であるか否かを判断する。搬入搬出装置40の吸着操作である場合、表示制御装置80は、材料Wの受渡テーブルから材料Wを吸着する搬入搬出装置40を注目部位として、カメラ50及びカメラ50の視点を選択する。具体的には、表示制御装置80は、材料Wの受渡テーブルをカバーする第3カメラ50を選択する。材料Wの受渡テーブルは第3カメラ50からみて左側、且つ上下方向の中央にあるので、表示制御装置80は、撮像領域100の中でA2領域(
図3参照)、且つ、A2領域の中央をズームした領域を、切出領域110として選択する。表示制御装置80は、切出領域110に対応する撮像映像を表示装置72に表示する(ステップS
409)。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を加工する加工機及び前記加工機と協働して動作する周辺装置を含む加工システムを撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により得られる撮像映像を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示される前記撮像映像を制御する表示制御装置と、を有し、
前記表示制御装置は、
前記加工システムを制御するシステム制御装置から得られる情報に基づいて、前記加工システムの中で注目すべき注目部位を特定し、
前記注目部位に合わせて前記撮像映像を選択し、
選択した前記撮像映像を前記表示装置に表示し、
前記周辺装置は、
前記加工機が加工する前記材料を積載場所から取り出す一枚取装置と、
前記一枚取装置が取り出した前記材料を前記加工機に搬入する、及び前記加工機が前記材料を加工することで作成される製品を、前記加工機から搬出する搬入搬出装置と、を含み、
前記表示制御装置は、
前記加工システムにおいて異常が発生していないとき、前記加工システムを利用者が手動操作していないとき、及び前記搬入搬出装置が動作を停止しているときは、前記搬入搬出装置を前記注目部位とする
映像表示システム。
【請求項2】
前記注目部位は、前記周辺装置及び前記周辺装置において動作する可動部を含む
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記加工システムを撮像した前記撮像映像をそれぞれ出力する複数のカメラを含み、
前記表示制御装置は、前記複数のカメラの中から、前記注目部位を撮像するカメラを選択することで、前記撮像映像の選択を行う
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項4】
前記表示制御装置は、選択された前記カメラにより得られる前記撮像映像の中から、前記注目部位に対応する領域を切り出すことで、前記撮像映像の選択を行う
請求項3記載の映像表示システム。
【請求項5】
前記表示制御装置は、前記加工システムにおいて異常が発生している場合に前記システム制御装置から得られるアラーム発生情報に基づいて、前記注目部位を特定する
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項6】
前記表示制御装置は、前記加工システムを利用者が手動操作している場合に前記システム制御装置から得られる前記手動操作の情報に基づいて、前記注目部位を特定する
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項7】
前記表示制御装置は、前記周辺装置において動作する可動部の情報に基づいて、前記注目部位を特定する
請求項1記載の映像表示システム。
【請求項8】
コンピュータが、
材料を加工する加工機及び前記加工機と協働して動作する周辺装置を含む加工システムを撮像する撮像装置から、撮像映像を取得し、
前記加工システムを制御するシステム制御装置から得られる情報に基づいて、前記加工システムの中で注目すべき注目部位を特定し、
前記注目部位に合わせて前記撮像映像を選択し、
選択した前記撮像映像を表示装置に表示し、
前記周辺装置は、
前記加工機が加工する前記材料を積載場所から取り出す一枚取装置と、
前記一枚取装置が取り出した前記材料を前記加工機に搬入する、及び前記加工機が前記材料を加工することで作成される製品を、前記加工機から搬出する搬入搬出装置と、を含み、
前記コンピュータは、
前記加工システムにおいて異常が発生していないとき、前記加工システムを利用者が手動操作していないとき、及び前記搬入搬出装置が動作を停止しているときは、前記搬入搬出装置を前記注目部位とする
映像表示方法。