(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130934
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】空調衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20240920BHJP
A41D 1/00 20180101ALI20240920BHJP
A41D 27/28 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D1/00 C
A41D27/28 B
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040907
(22)【出願日】2023-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】509343909
【氏名又は名称】株式会社金星
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 智直
(72)【発明者】
【氏名】丹井 涼太
(72)【発明者】
【氏名】石川 さとみ
(72)【発明者】
【氏名】石井 一史
【テーマコード(参考)】
3B030
3B035
3B211
【Fターム(参考)】
3B030AA03
3B030AB08
3B030AB12
3B035AA03
3B035AB03
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC02
3B211AC03
3B211AC11
3B211AC18
(57)【要約】
【課題】着用者が当該空調衣服を着用した状態で、通常のシャツとして使用する通常モードと、当該空調衣服内において着用者の背中との間に流れる気流の所望の気流通路を確保する空調モードと、をより簡単に切り替えることが可能な空調衣服を提供する。
【解決手段】空調衣服は、着用者に着用可能である衣服本体と、衣服本体の後部に設けられるとともに、衣服本体の内側面と外側面との間を貫通する空調穴を有する取付部であって、空調穴を介して外気を空調衣服の内側に取り込む温度調整装置を脱着可能な取付部と、衣服本体の上端に設けられ、着用者に着用された状態で着用者の首の後方の少なくとも一部を覆うカラー部であって、着用者の首の後方とカラー部の内側面との間の通気空間の大きさを調整する通気空間調整部を有する、カラー部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者に着用された状態において前記着用者との間に存在する内側の空間を空調するための空調衣服であって、
前記着用者に着用可能である衣服本体であって、前記着用者に着用された状態で、前記着用者の胸部及び腹部に対向するように前方に位置する前部及び前記着用者の背中に対向するように後方に位置する後部を備えた、衣服本体と、
前記衣服本体の前記後部に設けられるとともに、前記衣服本体の内側面と外側面との間を貫通する空調穴を有する取付部であって、前記空調穴を介して外気を前記空調衣服の内側に取り込む温度調整装置を脱着可能な取付部と、
前記衣服本体の上端に設けられ、前記着用者に着用された状態で前記着用者の首の後方の少なくとも一部を覆うカラー部であって、前記着用者の首の後方と前記カラー部の内側面との間の通気空間の大きさを調整する通気空間調整部を有する、カラー部と、
を備え、
前記空調衣服の空調時に、前記空調穴を介して前記衣服本体の内部に取り込まれた外気が、前記衣服本体の前記後部と前記着用者の背中との間に存在する後方空調空間を通過して、上方の前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間に向かって、流れる気流通路が形成されるようになっている
ことを特徴とする空調衣服。
【請求項2】
前記カラー部は、
前記衣服本体の上端に接続された下端を有し、前記着用者に着用された状態で前記着用者の首の後方の周囲を少なくとも一部を囲むように延在する第1部分と、
前記第1部分の上端に接続された接続部を有する第2部分と、を含み、
前記通気空間調整部は、前記第1部分に設けられており、
前記カラー部は、前記第1部分の上端を境として、前記カラー部の前記第2部分の外側面が前記カラー部の前記第1部分の外側面に重なるように折れ曲がった状態で、前記第1部分から外側に露出した前記通気空間調整部が、前記第2部分により覆われることで、前記空調衣服の外側から見えないようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の空調衣服。
【請求項3】
前記カラー部の前記通気空間調整部は、
前記カラー部を貫通する貫通穴に挿入されている調整紐であって、前記着用者の首に対向する前記カラー部の内側面の固定部に固定された第1端と、前記カラー部に形成された前記貫通穴を介して前記カラー部の外側面に露出し且つ調整用係止部が設けられた第2端と、を有する調整紐と、
前記貫通穴に隣接して前記カラー部の前記外側面に設けられ、前記調整用係止部と係合することで前記調整紐の前記第2端を前記カラー部の外側面に固定するための通常用係止部と、
前記カラー部の前記外側面において、前記通常用係止部よりも前記貫通穴から横方向に離れた位置に設けられ、前記調整用係止部と係合することで前記調整紐の前記第2端を前記カラー部の外側面に固定するための空調用係止部と、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の空調衣服。
【請求項4】
前記調整用係止部と前記通常用係止部とが係合した前記空調衣服の通常モードにおいては、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間が通常の大きさになり、
前記調整用係止部と前記空調用係止部とが係合した前記空調衣服の空調モードにおいては、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間が前記通常の大きさよりも大きくなる
ことを特徴とする請求項3に記載の空調衣服。
【請求項5】
前記着用者に前記空調衣服が着用された状態において、
前記着用者が前記空調衣服の外側から前記カラー部の外側面の近傍において、前記カラー部の前記通気空間調整部の前記調整用係止部を前記着用者の手で操作することで、前記調整用係止部と前記通常用係止部とが係合した前記通常モードである状態と、前記調整用係止部と前記空調用係止部とが係合した前記空調モードである状態と、が切り替えられる
ことを特徴とする請求項4に記載の空調衣服。
【請求項6】
前記空調用係止部は、前記カラー部の前記外側面において、前記通常用係止部よりも前記貫通穴Mから横方向に離れた位置に、前記横方向に並んで設けられた第1空調用係止部と第2空調用係止部とを含み、
前記第2空調用係止部は、前記第1空調用係止部よりも、前記カラー部の前記外側面において、前記貫通穴から横方向に離れた位置に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の空調衣服。
【請求項7】
前記空調モードにおいて、
前記調整用係止部と前記第2空調用係止部とが係合することで、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間の大きさは、
前記調整用係止部と前記第1空調用係止部とが係合することで、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間の大きさよりも、大きい
ことを特徴とする請求項6に記載の空調衣服。
【請求項8】
前記衣服本体の前記後部には、前記後部の上端近傍において、前記カラー部の前記通気空間調整部に沿うように横方向Xに延在し、前記通気空間調整部により調整された通気空間の形状を保持するための補強部材が設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の空調衣服。
【請求項9】
前記補強部材は、補強布又は芯地であることを特徴とする請求項8に記載の空調衣服。
【請求項10】
前記補強部材の前記通気空間調整部に沿うよう前記横方向の幅は、前記固定部と前記貫通穴との間の距離以上である
ことを特徴とする請求項9に記載の空調衣服。
【請求項11】
前記空調衣服を上下方向に見た場合に、前記補強部材の前記通気空間調整部に沿う前記横方向の領域は、前記固定部と前記貫通穴との間の前記横方向の領域を含んでいる
ことを特徴とする請求項10に記載の空調衣服。
【請求項12】
前記通気空間は、前記空調モードにおいて前記カラー部の前記通気空間調整部の前記調整紐と前記衣服本体の前記後部の内側面で囲まれる領域を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の空調衣服。
【請求項13】
前記通常モードにおける、前記カラー部の前記第1部分の内側面上に露出している前記通気空間調整部の前記調整紐の長さは、前記空調モードにおける、前記カラー部の前記第1部分の内側面上に露出している前記通気空間調整部の前記調整紐の長さよりも、長い
ことを特徴とする請求項4に記載の空調衣服。
【請求項14】
前記取付部は、
前記衣服本体の前記後部に設けられるとともに、前記衣服本体の内側面と外側面との間を貫通する第1空調穴を有する第1取付部であって、前記第1空調穴を介して外気を前記空調衣服の内側に取り込む第1温度調整装置を脱着可能な第1取付部と、
前記衣服本体の前記後部に設けられるとともに、前記衣服本体の内側面と外側面との間を貫通する第2空調穴を有する第2取付部であって、前記第2空調穴を介して外気を前記空調衣服の内側に取り込む第2温度調整装置を脱着可能な第2取付部と、
を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の空調衣服。
【請求項15】
前記第1取付部に取り付けられた前記第1温度調整装置と、
前記第2取付部に取り付けられた前記第2温度調整装置と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項14に記載の空調衣服。
【請求項16】
前記第1取付部は、前記第1温度調整装置が外れている状態で、電源から供給される電力により発熱する第1発熱装置が脱着可能になっており、
前記第2取付部は、前記第2温度調整装置が外れている状態で、電源から供給される電力により発熱する第2発熱装置が脱着可能になっている
ことを特徴とする請求項15記載の空調衣服。
【請求項17】
前記空調衣服は、シャツであることを特徴とする請求項1に記載の空調衣服。
【請求項18】
前記第1温度調整装置は、第1ファンであり、前記第2温度調整装置は、第2ファンであることを特徴とする請求項14に記載の空調衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者に着用された状態において当該着用者との間に存在する内側の空間を空調するための空調衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度調整装置である電動のファンを備え、このファンの作動により外気を衣服本体の内側に取り込むことによって身体の冷却を図るように構成された、空調衣服と称する作業服が知られている(特許文献1)。このような空調衣服は、高温環境の室内外で作業を行う作業者(着用者)の体温上昇を抑制することができ、夏季の熱中症対策としても有効である。
【0003】
このような従来の空調衣服は、例えば、当該空調衣服内に気流を流すために、通気性が低い生地を使用しているため、一般的な普通のシャツとしては使用できない。
【0004】
また、当該空調衣服を普通のシャツとして使用する為に通気性が高い生地を適用すると、着用者が当該空調衣服を着用した状態で反射ベストをその上から着用した際に、着用者の首の後ろの通気部分が潰れて気流が流れにくくなる。
【0005】
また、着用者が空調衣服を着用した状態で、通常のシャツとして使用する通常モードと空調用のシャツとして使用する空調モードを、簡単に切り替えられるようなものは無い。
【0006】
以上のように、上記従来技術の空調衣服では、着用者が空調衣服を着用した状態で、通常のシャツとして使用する通常モードと、当該空調衣服内において着用者の背中との間に流れる気流の所望の気流通路を確保する空調モードと、をより簡単に切り替えることができない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る実施形態に従った空調衣服は、
着用者に着用された状態において前記着用者との間に存在する内側の空間を空調するための空調衣服であって、
前記着用者に着用可能である衣服本体であって、前記着用者に着用された状態で、前記着用者の胸部及び腹部に対向するように前方に位置する前部及び前記着用者の背中に対向するように後方に位置する後部を備えた、衣服本体と、
前記衣服本体の前記後部に設けられるとともに、前記衣服本体の内側面と外側面との間を貫通する空調穴を有する取付部であって、前記空調穴を介して外気を前記空調衣服の内側に取り込む温度調整装置を脱着可能な取付部と、
前記衣服本体の上端に設けられ、前記着用者に着用された状態で前記着用者の首の後方の少なくとも一部を覆うカラー部であって、前記着用者の首の後方と前記カラー部の内側面との間の通気空間の大きさを調整する通気空間調整部を有する、カラー部と、
を備え、
前記空調衣服の空調時に、前記空調穴を介して前記衣服本体の内部に取り込まれた外気が、前記衣服本体の前記後部と前記着用者の背中との間に存在する後方空調空間を通過して、上方の前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間に向かって、流れる気流通路が形成されるようになっている
ことを特徴とする。
【0009】
前記空調衣服において、
前記カラー部は、
前記衣服本体の上端に接続された下端を有し、前記着用者に着用された状態で前記着用者の首の後方の周囲を少なくとも一部を囲むように延在する第1部分と、
前記第1部分の上端に接続された接続部を有する第2部分と、を含み、
前記通気空間調整部は、前記第1部分に設けられており、
前記カラー部は、前記第1部分の上端を境として、前記カラー部の前記第2部分の外側面が前記カラー部の前記第1部分の外側面に重なるように折れ曲がった状態で、前記第1部分から外側に露出した前記通気空間調整部が、前記第2部分により覆われることで、前記空調衣服の外側から見えないようになっている
ことを特徴とする。
【0010】
前記空調衣服において、
前記カラー部の前記通気空間調整部は、
前記カラー部を貫通する貫通穴に挿入されている調整紐であって、前記着用者の首に対向する前記カラー部の内側面の固定部に固定された第1端と、前記カラー部に形成された前記貫通穴を介して前記カラー部の外側面に露出し且つ調整用係止部が設けられた第2端と、を有する調整紐と、
前記貫通穴に隣接して前記カラー部の前記外側面に設けられ、前記調整用係止部と係合することで前記調整紐の前記第2端を前記カラー部の外側面に固定するための通常用係止部と、
前記カラー部の前記外側面において、前記通常用係止部よりも前記貫通穴から横方向に離れた位置に設けられ、前記調整用係止部と係合することで前記調整紐の前記第2端を前記カラー部の外側面に固定するための空調用係止部と、を含む、
ことを特徴とする。
【0011】
前記空調衣服において、
前記調整用係止部と前記通常用係止部とが係合した前記空調衣服の通常モードにおいては、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間が通常の大きさになり、
前記調整用係止部と前記空調用係止部とが係合した前記空調衣服の空調モードにおいては、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間が前記通常の大きさよりも大きくなる
ことを特徴とする。
【0012】
前記空調衣服において、
前記着用者に前記空調衣服が着用された状態において、
前記着用者が前記空調衣服の外側から前記カラー部の外側面の近傍において、前記カラー部の前記通気空間調整部の前記調整用係止部を前記着用者の手で操作することで、前記調整用係止部と前記通常用係止部とが係合した前記通常モードである状態と、前記調整用係止部と前記空調用係止部とが係合した前記空調モードである状態と、が切り替えられる
ことを特徴とする。
【0013】
前記空調衣服において、
前記空調用係止部は、前記カラー部の前記外側面において、前記通常用係止部よりも前記貫通穴Mから横方向に離れた位置に、前記横方向に並んで設けられた第1空調用係止部と第2空調用係止部とを含み、
前記第2空調用係止部は、前記第1空調用係止部よりも、前記カラー部の前記外側面において、前記貫通穴から横方向に離れた位置に設けられている
ことを特徴とする。
【0014】
前記空調衣服において、
前記空調モードにおいて、
前記調整用係止部と前記第2空調用係止部とが係合することで、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間の大きさは、
前記調整用係止部と前記第1空調用係止部とが係合することで、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間の大きさよりも、大きい
ことを特徴とする。
【0015】
前記空調衣服において、
前記衣服本体の前記後部には、前記後部の上端近傍において、前記カラー部の前記通気空間調整部に沿うように横方向Xに延在し、前記通気空間調整部により調整された通気空間の形状を保持するための補強部材が設けられている
ことを特徴とする。
【0016】
前記空調衣服において、
前記補強部材は、補強布又は芯地であることを特徴とする。
【0017】
前記空調衣服において、
前記補強部材の前記通気空間調整部に沿うよう前記横方向の幅は、前記固定部と前記貫通穴との間の距離以上である
ことを特徴とする。
【0018】
前記空調衣服において、
前記空調衣服を上下方向に見た場合に、前記補強部材の前記通気空間調整部に沿う前記横方向の領域は、前記固定部と前記貫通穴との間の前記横方向の領域を含んでいる
ことを特徴とする。
【0019】
前記空調衣服において、
前記通気空間は、前記空調モードにおいて前記カラー部の前記通気空間調整部の前記調整紐と前記衣服本体の前記後部の内側面で囲まれる領域を含む
ことを特徴とする。
【0020】
前記空調衣服において、
前記通常モードにおける、前記カラー部の前記第1部分の内側面上に露出している前記通気空間調整部の前記調整紐の長さは、前記空調モードにおける、前記カラー部の前記第1部分の内側面上に露出している前記通気空間調整部の前記調整紐の長さよりも、長い
ことを特徴とする。
【0021】
前記空調衣服において、
前記取付部は、
前記衣服本体の前記後部に設けられるとともに、前記衣服本体の内側面と外側面との間を貫通する第1空調穴を有する第1取付部であって、前記第1空調穴を介して外気を前記空調衣服の内側に取り込む第1温度調整装置を脱着可能な第1取付部と、
前記衣服本体の前記後部に設けられるとともに、前記衣服本体の内側面と外側面との間を貫通する第2空調穴を有する第2取付部であって、前記第2空調穴を介して外気を前記空調衣服の内側に取り込む第2温度調整装置を脱着可能な第2取付部と、
を含む、ことを特徴とする。
【0022】
前記空調衣服において、
前記第1取付部に取り付けられた前記第1温度調整装置と、
前記第2取付部に取り付けられた前記第2温度調整装置と、をさらに備える
ことを特徴とする。
【0023】
前記空調衣服において、
前記第1取付部は、前記第1温度調整装置が外れている状態で、電源から供給される電力により発熱する第1発熱装置が脱着可能になっており、
前記第2取付部は、前記第2温度調整装置が外れている状態で、電源から供給される電力により発熱する第2発熱装置が脱着可能になっている
ことを特徴とする。
【0024】
前記空調衣服において、
前記空調衣服は、シャツである。
【0025】
前記空調衣服において、
前記第1温度調整装置は、第1ファンであり、前記第2温度調整装置は、第2ファンである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様に係る空調衣服によれば、着用者が当該空調衣服を着用した状態で、通常のシャツとして使用する通常モードと、当該空調衣服内において着用者の背中との間に流れる気流の所望の気流通路を確保する空調モードと、をより簡単に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】
図1Aは、本発明の実施例に係る空調衣服100の前方から見た外観の一例を示す模式図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の実施例に係る空調衣服100の後方から見た外観の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、空調衣服100の衣服本体10の後部10Yの内側面10Yinおよびカラー部20を内側から見た構成の一例を示す模式図である。
【
図3A】
図3Aは、
図1Bに示す空調衣服100のカラー部を上方に展開した(カラー部を立てて折り曲げていない)状態の一例を示す模式図である。
【
図3B】
図3Bは、
図2に示す空調衣服100のカラー部を上方に展開した(カラー部を立てて折り曲げていない)状態の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1、第2温度調整装置FC1、FC2を取り付けた状態の空調衣服100を後方から見た外観の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1、第2温度調整装置FC1、FC2を取り付けた状態の空調衣服100の衣服本体10の後部10Yの内側面10Yinおよびカラー部20を内側から見た構成の一例を示す模式図である。
【
図6A】
図6Aは、着用者が空調衣服を着用した状態で、通常のシャツとして使用する通常モードの状態の着用者の首の後ろの領域に注目して上方から見た一例を示す模式図である。
【
図6B】
図6Bは、着用者が空調衣服を着用した状態で、当該空調衣服内において着用者の背中との間に流れる気流の所望の気流通路を確保する状態の着用者の首の後ろの領域に注目して上方から見た一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態について図面に基づいて説明する。
【実施例0029】
まず、図を参照して、実施例に係る空調衣服について説明する。ここで、
図1Aは、本発明の実施例に係る空調衣服100の前方から見た外観の一例を示す模式図である。また、
図1Bは、本発明の実施例に係る空調衣服100の後方から見た外観の一例を示す模式図である。また、
図2は、空調衣服100の衣服本体10の後部10Yの内側面10Yinおよびカラー部20を内側から見た構成の一例を示す模式図である。また、
図3Aは、
図1Bに示す空調衣服100のカラー部を上方に展開した(カラー部を立てて折り曲げていない)状態の一例を示す模式図である。また、
図3Bは、
図2に示す空調衣服100のカラー部を上方に展開した(カラー部を立てて折り曲げていない)状態の一例を示す模式図である。また、
図4は、第1、第2温度調整装置FC1、FC2を取り付けた状態の空調衣服100を後方から見た外観の一例を示す模式図である。また、
図5は、第1、第2温度調整装置FC1、FC2を取り付けた状態の空調衣服100の衣服本体10の後部10Yの内側面10Yinおよびカラー部20を内側から見た構成の一例を示す模式図である。また、
図6Aは、着用者が空調衣服を着用した状態で、通常のシャツとして使用する通常モードの状態の着用者の首の後ろの領域に注目して上方から見た一例を示す模式図である。また、
図6Bは、着用者が空調衣服を着用した状態で、当該空調衣服内において着用者の背中との間に流れる気流の所望の気流通路を確保する状態の着用者の首の後ろの領域に注目して上方から見た一例を示す模式図である。
【0030】
[空調衣服]
図1A及び
図1Bに示す実施例に係る空調衣服100は、例えば、着用者(図示せず)に着用された状態において当該着用者との間に存在する内側の空間を空調するための作業着である。
【0031】
この空調衣服100は、例えば、
図1A、
図1Bに示すように、袖が無い作業着(ベスト)である。しかしながら、この空調衣服100は、長袖や半袖等の作業着(シャツ)であってもよい。
【0032】
そして、この空調衣服100は、例えば、
図1Aないし
図5に示すように、衣服本体10と、第1取付部T1と、第2取付部T2と、電源用収納部P2と、収納部P1と、通気空間調整部Hと、カラー部20と、を備える。
【0033】
なお、
図2ないし
図5においては、簡単のため、
図1A及び
図1Bに示される空調衣服100の構成の一部が省略されて表示されている場合がある。
【0034】
以下、空調衣服100の各構成要素について詳細に説明する。
【0035】
[衣服本体]
衣服本体10は、当該着用者に着用可能になっている。特に、この衣服本体10は、着用者の上半身に着用可能である。
【0036】
この衣服本体10は、空調衣服100の前方に位置し、着用者に着用された状態で、当該着用者の少なくとも胸部近傍を被覆する(着用者の胸部及び腹部に対向するように前方に位置する)前部10X(
図1A)と、空調衣服100の後方に位置して着用者の少なくとも背中近傍を被覆する(着用者の背中に対向するように後方に位置する)後部10Y(
図1B)と、を備える。
【0037】
また、この衣服本体10の後部Yには、当該後部Yの上端10YE近傍において、カラー部20の通気空間調整部30に沿うように横方向Xに延在し、通気空間調整部30により調整された通気空間300の形状を保持するための補強部材Kが設けられている。この補強部材Kは、例えば、補強布又は芯地である。
【0038】
また、この衣服本体10は、ファスナーGを閉じることにより、衣服本体10の前部10Xが閉じられるようになっている(
図1A)。なお、このファスナー部Gに代えて、ボタン等の部材によって、衣服本体10の前部10Xを閉じるようにしてもよい。
【0039】
また、この衣服本体10は、着用者の肩周り、胴周り、及び首周りにそれぞれ対応する開口部10L、10R、10U、10Dを備える。
【0040】
また、この衣服本体10の前部10Xには、例えばポケットである、収納部(電源用収納部)P2及び収納部P1が設けられている。
【0041】
[第1及び第2取付部]
第1取付部T1は、例えば、
図1B~
図3Bに示すように、衣服本体10の後部10Yに設けられるとともに、衣服本体10の後部10Yの内側面10Yinと外側面10Youtとの間を貫通する第1空調穴T1Aを有する。
【0042】
この第1取付部T1は、第1空調穴T1Aを介して外気を空調衣服100の内側に取り込む第1温度調整装置である第1ファンを脱着可能である。なお、当該第1ファンは例えば電源が内蔵された電動ファンである。
【0043】
なお、
図4及び
図5に示すように、空調衣服100は、第1取付部T1に取り付けられた当該第1温度調整装置(第1ファン)FC1をさらに備えるようにしてもよい。
【0044】
一方、例えば、第1取付部T1は、第1温度調整装置FC1が外れている状態で、電源から供給される電力により発熱する第1発熱装置(図示せず)が脱着可能になっているようにしてもよい。
【0045】
また、第2取付部T2は、例えば、
図1B~
図3Bに示すように、衣服本体10の後部10Yに設けられるとともに、衣服本体10の後部10Yの内側面10Yinと外側面10Youtとの間を貫通する第2空調穴T2Aを有する。
【0046】
この第2取付部T2は、第2空調穴T2Aを介して外気を空調衣服100の内側に取り込む第2温度調整装置である第2ファンを脱着可能である。なお、当該第2ファンは例えば電源が内蔵された電動ファンである。
【0047】
なお、
図4及び
図5に示すように、空調衣服100は、第2取付部T2に取り付けられた当該第2温度調整装置(第2ファン)FC2をさらに備えるようにしてもよい。
【0048】
一方、第2取付部T2は、第2温度調整装置FC2が外れている状態で、電源から供給される電力により発熱する第2発熱装置(図示せず)が脱着可能になっているようにしてもよい。
【0049】
なお、
図1B~
図3Bの例では、第1取付部T1及び第2取付部T2は、空調衣服100が着用者に着用された状態において着用者の胴部の背中側に対面する衣服本体10の後部10Yの胴部領域に配置されている。しかしながら、第1取付部T1及び第2取付部T2は、衣服本体10の他の領域に配置されているようにしてもよい。
【0050】
[カラー部]
カラー部20は、例えば、
図1Aないし
図5に示すように、衣服本体10の上端10XE、10YEに設けられ(接続され)、着用者に着用された状態で着用者の首の後方の少なくとも一部を覆う台襟である。
【0051】
より詳しくは、このカラー部20は、例えば、
図1Aないし
図5示すように、衣服本体10の後部10Yの上端10YEから衣服本体10の前部10Xの上端10XEに至るように連続的に設けられている。
【0052】
ここで、カラー部20は、例えば、
図3A、3Bに示すように、第1部分20aと、第2部分20bと、を含む。
【0053】
そして、第1部分20aは、衣服本体10の上端10YEに接続された下端20adを有する。
【0054】
この第1部分20aは、着用者200に空調衣服100が着用された状態で着用者200の首200aの後方の周囲を少なくとも一部を囲むように延在する(
図6A、
図6B)。
【0055】
このカラー部20は、着用者200の首の後方とカラー部20の第1部分20aの内側面20ainとの間の通気空間300の大きさを調整する通気空間調整部30を有する。すなわち、通気空間調整部30は、この第1部分20aに設けられている。
【0056】
また、第2部分20bは、第1部分20aの上端20auに接続された接続部20bsを有する。
【0057】
そして、このカラー部20は、例えば、
図2、
図4、
図5に示すように、第1部分20aの上端20au(第2部分20bの接続部20bs)を境として、カラー部20の第2部分20bの外側面20boutがカラー部20の第1部分20aの外側面20aoutに重なるよう外側に折れ曲がった状態で、第1部分20aから外側に露出した通気空間調整部30(図の例では調整紐H、通常用係止部Ba、第1、第2空調用係止部Bb、Bc)が、第2部分20bにより覆われることで、空調衣服100の外側から見えないようになっている(
図2、
図5)。
【0058】
これにより、例えば、空調衣服100を通常のシャツとして使用する場合の美観を損ねないようにすることができる。
【0059】
そして、空調衣服100の空調時に、空調穴T1A、T2Aを介して衣服本体10の内部に取り込まれた外気が、衣服本体10の後部10Yと着用者200の背中との間に存在する後方空調空間Nを通過して、上方のカラー部20の第1部分20aの内側面20ainと着用者200の首200aとの間の通気空間300に向かって、流れる気流通路Qが形成されるようになっている(
図5、
図6A、
図6B)。
【0060】
[カラー部の通気空間調整部]
ここで、既述のカラー部20の通気空間調整部30は、例えば、
図2、
図3A、
図3Bに示すように、調整紐Hと、通常用係止部Baと、空調用係止部Bb、Bcと、を含む。なお、
図2、
図3A、
図3Bに示す例では、調整用係止部40と通常用係止部Baとが係合した空調衣服100の通常モードの状態を示しているが、調整用係止部40と空調用係止部Bb、Bcのうちの何れかと係合した空調衣服100の空調モードの状態も同様に説明される。
【0061】
例えば、
図2、
図3A、
図3Bに示すように、調整紐Hは、カラー部20の第1部分20aを貫通する貫通穴Mに挿入されている。
【0062】
この調整紐Hは、着用者の首に対向するカラー部20の第1部分20aの内側面20ainに設けられた固定部Sに固定された第1端H1と、カラー部20に形成された貫通穴Mを介してカラー部20の第1部分20aの外側面20に露出し且つ調整用係止部40が設けられた第2端H2と、を有する。
【0063】
なお、調整紐Hの第1端H1は、例えば、固定部Sに縫い合わされることで当該固定部Sに固定されている。
【0064】
また、通常用係止部Baは、貫通穴Mに隣接してカラー部20の第1部分20aの外側面20aoutに設けられ、調整用係止部40と係合することで調整紐Hの第2端H2をカラー部20の第1部分20aの外側面20aoutに固定するための係止具である。
【0065】
また、空調用係止部Bb、Bcは、カラー部20の第1部分20aの外側面20aoutにおいて、通常用係止部Baよりも貫通穴Mから横方向に離れた位置に設けられ、調整用係止部40と係合することで調整紐Hの第2端H2をカラー部20の第1部分20aの外側面20aoutに固定するための係止具である。
【0066】
なお、
図2、
図3A、
図3Bに示す例では、カラー部20の通気空間調整部30を含む構成が、貫通穴M、固定部S、調整紐H、通常用係止部Ba、及び空調用係止部Bb、Bcを含む組が1つの場合(すなわち、調整紐が1本の場合)について示しているが、調整紐H、通常用係止部Ba、空調用係止部Bb、Bcと、貫通穴M、固定部S、調整紐H、通常用係止部Ba、及び空調用係止部Bb、Bcを含む組が2つの場合(すなわち、調整紐が2本の場合)であってもよい。この調整紐が2本の場合は、これらの2つの組がカラー部20の横方向Xに隣接するように配置される。
【0067】
ここで、例えば、
図2、
図3A、
図3Bに示すように、空調用係止部Bb、Bcは、カラー部20の第1部分20aの外側面20aoutにおいて、通常用係止部Baよりも貫通穴Mから横方向Xに離れた位置に、横方向Xに並んで設けられた第1空調用係止部Bbと第2空調用係止部Bcとを含む。
【0068】
すなわち、第1空調用係止部Bbは、横方向Xにおいて、貫通穴Mに対して第2空調用係止部Bcよりも近い位置に配置されている。言い換えれば、第2空調用係止部Bcは、第1空調用係止部Bbよりも、カラー部20の第1部分20aの外側面20aoutにおいて、貫通穴Mから横方向に離れた位置に設けられている。
【0069】
なお、本実施例では、空調用係止部Bb、Bcが2個(複数個)の例を示しているが、空調用係止部が3個以上設けられていてもよく、空調用係止部が1個設けられるようにしてもよい。
【0070】
なお、通常用係止部Ba、及び、第1、第2空調用係止部Bb、Bcは、例えば、それぞれが係止(係合)可能なボタンであるが、その他の係止具であってもよい。
【0071】
ここで、例えば、調整用係止部40と通常用係止部Baとが係合する空調衣服100の通常モード通常モードにおける、カラー部20の第1部分20aの内側面上に露出している(固定部Sと貫通穴Mと間の)通気空間調整部30の調整紐Hの長さ(
図6A)は、調整用係止部40と空調用係止部Bb、Bcとが係合する空調衣服100の空調モードにおける、カラー部20の第1部分20aの内側面上に露出している(固定部Sと貫通穴Mと間の)通気空間調整部30の調整紐Hの長さ(
図6B)よりも、長くなるように設定されている。
【0072】
これにより、例えば、調整用係止部40と通常用係止部Baとが係合する空調衣服100の通常モードにおいては、カラー部20の第1部分20aの内側面20ainと着用者200の首200aとの間の通気空間300が通常の大きさ(基準サイズ)になる(
図6A)。
【0073】
一方、調整用係止部40と空調用係止部Bb、Bcとが係合する空調衣服100の空調モードにおいては、カラー部20の第1部分20aの内側面20ainと着用者200の首200aとの間の通気空間300の大きさが通常の大きさ(基準サイズ)よりも大きくなる(
図6B)。
【0074】
特に、空調衣服100の当該空調モードにおいて、調整用係止部40と第1空調用係止部Bbとが係合することで、カラー部20の第1部分20aの内側面20ainと着用者200の首との間の通気空間300の大きさ(第1サイズ)が通常モードにおける通気空間300の通常の大きさ(基準サイズ)よりも、大きくなる(
図6A、
図6B)。
【0075】
さらに、空調衣服100の当該空調モードにおいて、調整用係止部40と第2空調用係止部Bcとが係合することで、カラー部の第1部分20aの内側面20ainと着用者200の首との間の通気空間300の大きさ(第2サイズ)は、調整用係止部40と第1空調用係止部Bbとが係合することで、カラー部20の第1部分20aの内側面20ainと着用者200の首との間の通気空間300の大きさ(第1サイズ)、大きくなる。
【0076】
なお、この通気空間300は、空調衣服100の空調モードにおいてカラー部20の通気空間調整部30の調整紐Hと衣服本体10の後部10Yの内側面10Yinで囲まれる領域を含む(
図6B)。
【0077】
ここで、例えば、着用者に空調衣服100が着用された状態において、着用者が空調衣服100の外側からカラー部20の第1部分20aの外側面20aoutの近傍において、カラー部20の通気空間調整部30の調整用係止部40を着用者の手で操作する(例えば、着用者が空調衣服100の外側から手で、調整紐Hの第2端H2を引っ張って、当該第2端にある調整用係止部40を、カラー部20の第1部分20aの外側面20aoutに設けられた通常用係止部Ba又は空調用係止部Bb、Bcの何れかに係止する)。
【0078】
これにより、着用者が空調衣服100を着用した状態で、調整用係止部40と通常用係止部Baとが係合した通常モードである状態と、調整用係止部40と空調用係止部Bb、Bcとが係合した空調モードである状態と、が容易に切り替えられるようになっている。
【0079】
すなわち、空調衣服100によれば、着用者が当該空調衣服を着用した状態で、通常のシャツとして使用する通常モードと、当該空調衣服内において着用者の背中との間に流れる気流の所望の気流通路を確保する空調モードと、をより簡単に切り替えることができる。
【0080】
また、既述のように、衣服本体10の後部Yには、当該後部Yの上端10YE近傍において、カラー部20の通気空間調整部30に沿うように横方向Xに延在し、通気空間調整部30により調整された通気空間300の形状を保持するための補強部材Kが設けられている。
【0081】
そして、例えば、
図2、
図3Bに示すように、補強部材Kの通気空間調整部30に沿うよう横方向Xの幅W1は、固定部Sと貫通穴Mとの間の距離W2以上である。
【0082】
特に、空調衣服100を上下方向Yに見た場合に、補強部材Kの通気空間調整部30に沿う横方向Xの領域は、固定部Sと貫通穴Mとの間の横方向Xの領域を含んでいる。
【0083】
このように、カラー部20の下の衣服本体10の後部Yには、当該後部Yの上端10YE近傍に補強部材Kが設けられることで、反射ベストや上に着用するものによる多少の外圧では、通気空間300が潰れにくいようになっている。
【0084】
特に、空調衣服100の空調モードにおいては、カラー部20が半円状にロールされることになるため(
図6A)、当該補強部材Kも半円状にロールされることになり、通常モード時より強度が高くなるものと考えられる。
【0085】
これにより、空調衣服100の襟であるカラー部20近傍の領域の保形性を高めて、気流通路Qが潰れないようにすることができるようになっている。
【0086】
[空調衣服の機能]
ここで、以上のような構成を有する本実施例の空調衣服100の機能の例について説明する。
【0087】
空調衣服100は、既述のように、着用者に空調衣服100が着用された状態において、着用者が空調衣服100の外側からカラー部20の第1部分20aの外側面20aoutの近傍において、カラー部20の通気空間調整部30の調整用係止部40を着用者の手で操作する(例えば、着用者が空調衣服100の外側から手で、調整紐Hの第2端H2を引っ張って、当該第2端にある調整用係止部40を、カラー部20の第1部分20aの外側面20aoutに設けられた通常用係止部Ba又は空調用係止部Bb、Bcの何れかに係止する)。
【0088】
これにより、着用者が空調衣服100を着用した状態で、調整用係止部40と通常用係止部Baとが係合した通常モードである状態と、調整用係止部40と空調用係止部Bb、Bcとが係合した空調モードである状態と、が容易に切り替えられる。
【0089】
このようにして、特に、空調衣服100が空調モードである場合には、空調衣服100の後方空調空間から着用者200の首の後方とカラー部20の第1部分20aの内側面20ainとの間の通気空間300に向けて連続的な気流通路Qが形成されることとなり、空調時において、カラー部20の形状を維持して、着用者の背中から当該着用者の後頭部の上に気流をより確実に誘導するものである。
以上のように、本実施例の空調衣服は、着用者に着用された状態において前記着用者との間に存在する内側の空間を空調するための空調衣服であって、前記着用者に着用可能である衣服本体であって、前記着用者に着用された状態で、前記着用者の胸部及び腹部に対向するように前方に位置する前部及び前記着用者の背中に対向するように後方に位置する後部を備えた、衣服本体と、前記衣服本体の前記後部に設けられるとともに、前記衣服本体の内側面と外側面との間を貫通する空調穴を有する取付部であって、前記空調穴を介して外気を前記空調衣服の内側に取り込む温度調整装置を脱着可能な取付部と、前記衣服本体の上端に設けられ、前記着用者に着用された状態で前記着用者の首の後方の少なくとも一部を覆うカラー部であって、前記着用者の首の後方と前記カラー部の内側面との間の通気空間の大きさを調整する通気空間調整部を有する、カラー部と、を備え、前記空調衣服の空調時に、前記空調穴を介して前記衣服本体の内部に取り込まれた外気が、前記衣服本体の前記後部と前記着用者の背中との間に存在する後方空調空間を通過して、上方の前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間に向かって、流れる気流通路が形成されるようになっている。
【0090】
これにより、着用者が当該空調衣服を着用した状態で、通常のシャツとして使用する通常モードと、当該空調衣服内において着用者の背中との間に流れる気流の所望の気流通路を確保する空調モードと、をより簡単に切り替えることができる。
【0091】
また、既述のように、実施形態においては、当該温度調整装置が、ファンである場合について説明しているが、当該温度調整装置は、発熱する発熱装置やその他の温度を調整することが可能な装置であってもよい。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を実行することができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
前記調整用係止部と前記通常用係止部とが係合した前記空調衣服の通常モードにおいては、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間が通常の大きさになり、
前記調整用係止部と前記空調用係止部とが係合した前記空調衣服の空調モードにおいては、前記カラー部の内側面と前記着用者の首との間の前記通気空間が前記通常の大きさよりも大きくなる
ことを特徴とする請求項1に記載の空調衣服。
前記空調用係止部は、前記カラー部の前記外側面において、前記通常用係止部よりも前記貫通穴Mから横方向に離れた位置に、前記横方向に並んで設けられた第1空調用係止部と第2空調用係止部とを含み、
前記第2空調用係止部は、前記第1空調用係止部よりも、前記カラー部の前記外側面において、前記貫通穴から横方向に離れた位置に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の空調衣服。
前記衣服本体の前記後部には、前記後部の上端近傍において、前記カラー部の前記通気空間調整部に沿うように横方向Xに延在し、前記通気空間調整部により調整された通気空間の形状を保持するための補強部材が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の空調衣服。
前記通常モードにおける、前記カラー部の前記第1部分の内側面上に露出している前記通気空間調整部の前記調整紐の長さは、前記空調モードにおける、前記カラー部の前記第1部分の内側面上に露出している前記通気空間調整部の前記調整紐の長さよりも、長い
ことを特徴とする請求項2に記載の空調衣服。