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特開2024-130938輝度取得装置、輝度取得方法及び輝度取得プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130938
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】輝度取得装置、輝度取得方法及び輝度取得プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/087 20180101AFI20240920BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20240920BHJP
【FI】
G01N23/087
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040912
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】野中 裕道
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001AA10
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001FA06
2G001HA07
2G001HA13
2G001JA02
2G001KA05
(57)【要約】
【課題】部材の輝度を取得することが可能な輝度取得装置、輝度取得方法及び輝度取得プログラムを提供する。
【解決手段】輝度取得装置は、X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を取得する第1取得部と、第1取得部によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得部と、第2取得部によって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を取得する第1取得部と、
前記第1取得部によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得部と、
前記第2取得部によって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得部と、
を備える輝度取得装置。
【請求項2】
前記第3取得部は、
第1の透過X線画像の輝度分布として、当該第1の透過X線画像のうち所定基準点とは異なる他の点の輝度を取得し、
複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度xと、輝度分布としての他の点の輝度yとを輝度の座標値(x,y)と推定して、各第1の透過X線画像の輝度(x,y)に基づいて、1次関数、2次関数及び3次関数のうちのいずれか1つの関数で表される輝度の分布式を取得する
請求項1に記載の輝度取得装置。
【請求項3】
前記第1材質部材と、第1材質とは異なる第2材質を備える第2材質部材との積層体を透過させた第2の透過X線画像を取得する第4取得部と、
前記第4取得部によって取得した第2の透過X線画像の輝度と、第3取得部によって取得した第1材質部材の輝度の分布式とに基づいて、前記第2材質部材の輝度を取得する第5取得部と、
を備える請求項1又は2に記載の輝度取得装置。
【請求項4】
電磁波の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過画像を取得する第1取得部と、
前記第1取得部によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得部と、
前記第2取得部によって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得部と、
を備える輝度取得装置。
【請求項5】
コンピュータが、
X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップによって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップによって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得ステップと、
を実行する輝度取得方法。
【請求項6】
コンピュータに、
X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を取得する第1取得機能と、
前記第1取得機能によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得機能と、
前記第2取得機能によって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得機能と、
を実現させる輝度取得プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輝度取得装置、輝度取得方法及び輝度取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線を利用して、物体(被検査物)中の異物を検出する装置がある。その装置は、物体(被検査物)に対してエネルギの異なるX線(高エネルギX線及び低エネルギX線)をそれぞれ照射して、透過X線画像(高エネルギ画像及び低エネルギ画像)を取得する。装置は、高エネルギ画像の輝度と、低エネルギ画像の輝度とに基づいて除算を行うことにより、被検査物の消し込みを行う。被検査物の消し込みを行った後の画像には異物が現れる。このため、装置は、消し込み後の画像を利用して、異物を検出する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-176893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、物体の内部の状況を知るために、X線が利用される。ところで、物体は複数の部材を積層した積層体の場合があり、その積層体を構成する1つの部材の内部の状況を知りたいこともある。この場合、積層体の他の部材の影響を取り除き、1つの部材のみに注目する必要がある。すなわち、積層体にX線を照射して、透過X線画像を取得する場合、他の部材についての輝度を取り除き、1つの部材についての輝度を取得する必要がある。
積層体を構成する1つの部材の内部状況を検査するのに先立って、その積層体を構成する他の部材の輝度を取得することが求められる。
【0005】
本開示は、部材の輝度を取得することが可能な輝度取得装置、輝度取得方法及び輝度取得プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の輝度取得装置は、X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を取得する第1取得部と、第1取得部によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得部と、第2取得部によって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、部材の輝度を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る輝度取得装置について説明するための図である。
図2】一実施形態に係る輝度取得装置(処理部)ついて説明するためのブロック図である。
図3】第1の透過X線画像の輝度分布の一例について説明するための図である。(A)は高エネルギを照射した場合の第1の透過X線画像の輝度分布、(B)は中エネルギを照射した場合の第1の透過X線画像の輝度分布、(C)は小エネルギを照射した場合の第1の透過X線画像の輝度分布を示す。
図4】参照画像(算出画像)の一例について説明するための図である。
図5】第2の透過X線画像及び鮮明化した第2材質部材の一例について説明するための図である。(A)は積層体が写る第2の透過X線画像の概要を示し、(B)は鮮明化した第2材質部材の概要を示す。
図6】一実施形態に係る輝度取得方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[輝度取得装置1の概要]
まず、一実施形態に係る輝度取得装置1の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る輝度取得装置1について説明するための図である。
【0011】
輝度取得装置1は、例えば、X線源2、X線検出部(検出部)3及び処理部10を備える。
【0012】
X線源2は、対象20に対して照射するX線を発生させるX線発生装置である。X線源2は、例えば、固定陽極X線管を備える。X線管の陽極には、例えば、ターゲットとして、タングステン、モリブデン等の金属が使用される。
X線源2は、例えば、後述する処理部10の制御に基づいて、発生させるX線量(エネルギ量)を設定する。X線源2は、X線を照射する際の管電圧、管電流及び照射時間のうち少なくとも1つを変更可能であり、管電圧、管電流及び照射時間のうち少なくとも1つが変更されることにより、照射X線の強度又は照射時間(エネルギ量)を変更する。
X線源2には、例えば、公知のX線用の照射装置が使用されてもよい。
対象20は、例えば、金属部材を始めとする種々の材質からなる部材等であってもよい。
【0013】
検出部3は、例えば、X線源2から照射された後、対象20を透過したX線を検出する。検出部3は、例えば、対象20を透過した透過X線の強度を検出する。検出部3には、例えば、公知のX線用の検出装置が使用されてもよい。
なお、検出部3は、例えば、X線を利用した撮像が可能な撮像素子等であってもよい。この場合、検出部3(撮像素子)は、撮像を行うと画像情報(X線画像情報)を生成してもよい。X線源2と検出部3との間に対象20が存在する場合、検出部3は、対象20を透過したX線の画像(透過X線画像情報)を生成してもよい。
【0014】
処理部10は、例えば、X線源2及びX線検出部3それぞれとの間で情報の送受信を行ってもよい。処理部10は、例えば、サーバ、デスクトップ及びラップトップ等のコンピュータ(情報処理装置)等であってもよい。
【0015】
処理部10は、X線源2を制御することにより、対象20の一例としての第1材質部材にX線を照射させる。この場合、処理部10は、同一の第1材質部材に対して、エネルギ量を変更して、複数回X線を照射するようX線源2を制御してもよい。
さらに、処理部10は、第1材質部材を透過したX線(透過X線)を検出部3によって検出した場合、検出部3から透過X線画像情報(第1の透過X線画像)を取得する。すなわち、処理部10は、X線の照射エネルギ(エネルギ量)を変更しつつ第1材質部材に照射した際の、複数の第1の透過X線画像を取得する。
【0016】
処理部10は、複数の第1の透過X線画像それぞれで共通する(同一又は略同一の)点(例えば、ピクセル等)(所定基準点)を設定し、複数の異なる所定基準点(複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点)の輝度を取得する。
【0017】
処理部10は、複数の輝度(所定基準点の輝度)それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する。
処理部10は、例えば、輝度分布として、所定基準点の輝度を取得した複数の第1の透過X線画像それぞれのうち、所定基準点とは異なる他の点(例えば、ピクセル等)(複数の第1の透過X線画像それぞれで共通する(同一又は略同一の)他の点)を設定し、複数の異なる他の点(複数の第1の透過X線画像それぞれの他の点)の輝度を取得してもよい。
処理部10は、複数の所定基準点の輝度と、複数の他の点の輝度とに基づいて、輝度の分布式を取得してもよい。この場合、処理部10は、例えば、所定基準点の輝度をxとし、他の点の輝度をyとすると、同一の第1の透過X線画像の輝度x,yを座標値(x,y)と推定して、複数の第1の透過X線画像から取得される複数の座標値(x,y)(輝度)を通る近似式を取得してもよい。処理部10は、その近似式を輝度の分布式としてもよい。
【0018】
[輝度取得装置1の詳細]
次に、一実施形態に係る輝度装置について詳細に説明する。ここでは特に、処理部10について詳細に説明する。
図2は、一実施形態に係る輝度取得装置1(処理部10)ついて説明するためのブロック図である。
【0019】
輝度取得装置1(処理部10)は、例えば、通信部121、記憶部122、表示部123及び制御部111等を備える。通信部121、記憶部122及び表示部123は、出力部の一実施形態であってもよい。制御部111は、例えば、X線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、第4取得部116、第5取得部117及び出力制御部118等を備える。制御部111は、例えば、処理部(情報処理装置)の演算処理装置等によって構成されてもよい。制御部111(例えば、演算処理装置等)は、例えば、記憶部122等に記憶される各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、各部(例えば、X線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、第4取得部116、第5取得部117及び出力制御部118等)の機能を実現してもよい。
【0020】
通信部121は、例えば、処理部(情報処理装置)の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能な通信インターフェースである。通信部121は、例えば、X線源2及び検出部3と通信を行ってもよい。また、通信部121は、例えば、サーバ及びユーザ端末(図示せず)等と通信を行ってもよい。ユーザ端末は、例えば、輝度取得装置1のユーザが使用する端末であってもよく、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等であってもよい。
【0021】
記憶部122は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部122の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。なお、記憶部122は、例えば、クラウド上にある記憶領域及びサーバ等であってもよい。
【0022】
表示部123は、例えば、種々の文字、記号及び画像等を表示することが可能なディスプレイである。
【0023】
X線源制御部112は、例えば、通信部121を介して、X線源2を制御する。
X線源制御部112は、例えば、輝度取得装置1の入力部(図示せず)等を介して入力された情報に基づいて、X線を照射する際の管電圧、管電流及び照射時間のうち少なくとも1つを変更(X線のエネルギ量を変更)するようX線源2を制御してもよい。入力部は、例えば、キーボード及びマウス等であってもよい。X線源制御部112は、例えば、X線の照射エネルギ(エネルギ量)を変更しつつ、複数回、対象20としての第1材質部材にX線を照射するようX線源2を制御する。
また、X線源制御部112は、例えば、一定(所定)の照射エネルギのX線を照射するようX線源2を制御してもよい。X線源制御部112は、例えば、第1材質部材及び第2材質部材を積層した積層体(対象20)にX線を照射するようX線源2を制御する。
X線源2は、例えば、X線源制御部112の制御に基づいて、対象20に向けてX線を照射する。
【0024】
検出部3は、例えば、対象20を透過したX線(透過X線)を検出して、画像情報(透過X線画像)を生成する。
この場合、検出部3は、例えば、X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を生成する。
また、検出部3は、例えば、一定(所定)の照射エネルギのX線を積層体に照射した際の第2の透過X線画像を生成する。
【0025】
図3は、第1の透過X線画像の輝度分布の一例について説明するための図である。図3(A)は高エネルギを照射した場合の第1の透過X線画像211の輝度分布、図3(B)は中エネルギを照射した場合の第1の透過X線画像211の輝度分布、図3(C)は小エネルギを照射した場合の第1の透過X線画像211の輝度分布を示す。
図4は、参照画像(算出画像)の一例について説明するための図である。
【0026】
第1取得部113は、X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像211を取得する。第1取得部113は、第1材質部材に異なる照射エネルギのX線を照射した際の、その照射エネルギが異なる複数の第1の透過X線画像211を取得する。すなわち、第1取得部113は、例えば、通信部121を介して、第1の透過X線画像211を検出部3から取得してもよい。又は、第1取得部113は、例えば、第1の透過X線画像211が記憶された外部メモリ(図示せず)が処理部10のインターフェース(図示せず)に接続された場合、その外部メモリから第1の透過X線画像211を取得してもよい。
第1材質部材は、例えば、厚さが一定(均一)(略一定)の金属部材(例えば、板材及び鋼材)等であってもよい。
X線の照射エネルギは、例えば、相対的に高エネルギ、高エネルギよも小さい相対的に中エネルギ、及び、中エネルギよりも小さい相対的に低エネルギ等であってもよい。
第1の透過X線画像211のうちX線源2に対向する中心部214(検出部3の中心部)では、照射X線の強度が周辺部215に比べて強いため、輝度がより高く(周辺部215に比べて高く)なる(図3参照)。
【0027】
第2取得部114は、第1取得部113によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像211それぞれの所定基準点212(図3参照)の輝度を取得する。第2取得部114は、1つの第1の透過X線画像211のうち任意の点(所定基準点212)を設定してもよい。第2取得部114は、所定基準点212として、複数の第1の透過X線画像それぞれで共通する(同一又は略同一の)点を設定してもよい。第2取得部114は、複数の第1の透過X線画像211それぞれの所定基準点212の輝度を取得する。
【0028】
所定基準点212は、第1の透過X線画像211を構成するピクセルに基づいて設定されてもよい。すなわち、第2取得部114は、第1の透過X線画像211のうち、1つのピクセル又は隣接する複数のピクセルの輝度を取得してもよい。第2取得部114は、例えば、複数のピクセルの輝度を取得する場合、ピクセルそれぞれの輝度に基づいて所定の演算を行い、複数のピクセルで1つの輝度を取得してもよい。所定の演算は、例えば、相加平均を求める演算、相乗平均を求める演算、重心を求める演算、及び、中心値を求める演算のうちいずれか1つの演算等であってもよい。所定基準点212は、例えば、第1の透過X線画像211のうち中心部214にある点であってもよい。中心部214には、例えば、中心の位置、略中心の位置、及び、相対的に中心に近い位置等の概念を含んでもよい。
【0029】
また、第2取得部114は、第1取得部113によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像211それぞれの他の点(所定基準点212とは異なる他の点)(分布点213(図3参照))の輝度を取得する。すなわち、第2取得部114は、所定基準点212の輝度を取得した複数の第1の透過X線画像211を利用して、各第1の透過X線画像211内で分布点213を設定する。第2取得部114は、分布点213として、複数の第1の透過X線画像それぞれで共通する(同一又は略同一の)点を設定してもよい。第2取得部114は、分布点213の輝度を取得してもよい。
【0030】
分布点213は、第1の透過X線画像211を構成するピクセルに基づいて設定されてもよい。すなわち、第2取得部114は、上述した所定基準点212の輝度を取得する場合と同様に、分布点213の輝度についても、第1の透過X線画像211のうち、1つのピクセル又は隣接する複数のピクセルの輝度を取得してもよい。第2取得部114は、例えば、複数のピクセルの輝度を取得する場合、ピクセルそれぞれの輝度に基づいて所定の演算を行い、複数のピクセルで1つの輝度を取得してもよい。所定の演算は、例えば、相加平均を求める演算、相乗平均を求める演算、重心を求める演算、及び、中心値を求める演算のうちいずれか1つの演算等であってもよい。分布点213は、例えば、第1の透過X線画像211のうち周辺部215の位置にある点であってもよい。周辺部215の位置には、例えば、周辺の位置、略周辺の位置、相対的に周辺に近い位置、及び、中心と周辺との中間(略中間)の位置等の概念を含んでもよい。
【0031】
なお、第2取得部114は、例えば、複数の第1の透過X線画像211それぞれから、1つの所定基準点212の輝度と1つ(又は、1つ以上)の分布点213の輝度とを取得してもよい。
【0032】
第3取得部115は、第2取得部114によって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する。
第3取得部115は、例えば、上述した「複数の輝度」として、第2取得部114で取得した所定基準点の輝度を取得してもよい。
また、第3取得部115は、第1の透過X線画像の輝度分布として、その第1の透過X線画像のうち所定基準点とは異なる他の点(分布点)の輝度を取得してもよい。すなわち、第3取得部115は、例えば、上述した「輝度分布」として、第2取得部114で取得した他の点(分布点)の輝度を取得してもよい。
【0033】
第3取得部115は、第2取得部114で取得した所定基準点の輝度(複数の輝度)と、第2取得部114で取得した他の点(分布点)の輝度(輝度分布)とに基づいて、輝度の分布式を取得する。この場合、第3取得部115は、同一の第1の透過X線画像から取得した所定基準点の輝度と他の点(分布点)の輝度とを対応付け、複数の第1の透過X線画像に基づく複数の対応付けた輝度(所定基準点の輝度と他の点(分布点)の輝度と)から輝度の分布式を取得してもよい。
【0034】
具体的な一例として、第3取得部115は、複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度xと、輝度分布としての他の点(分布点)の輝度yとを輝度の座標値(x,y)と推定して、各第1の透過X線画像の輝度(x,y)に基づいて、1次関数、2次関数、3次関数、指数関数及び対数関数のうちのいずれか1つの関数で表される輝度の分布式を取得してもよい。
すなわち、第3取得部115は、例えば、同一の第1の透過X線画像内で対応付けた輝度として、所定基準点の輝度をxとし、他の点(分布点)の輝度をyとすると、輝度xと輝度yを座標値(x,y)(輝度(x,y))と仮定する。第3取得部115は、複数の第1の透過X線画像それぞれの輝度に基づく複数の座標値(x,y)(輝度(x,y))に基づいて、複数の座標値(x,y)(輝度(x,y))を通る近似式を取得する。第3取得部115は、その近似式を輝度の分布式として取得する。輝度の分布式は、例えば、所定基準点の輝度を基準にした画像全体の輝度の分布式であってもよい。この場合、複数の座標値(x,y)(輝度(x,y))を通る近似式は種々のものであってよく、例えば、1次関数、2次関数及び3次関数のうちのいずれか1つの関数で表される式であってもよい。輝度の分布式(近似式)の一例は、後述する式(4)等であってもよい
【0035】
より具体的な一例として、第1の透過X線画像として画像A、画像B及び画像Cがあり、それぞれ画像で対応付けた座標値(x,y)(輝度(x,y))が以下のようであったとする。
・A画像:(A,A
・B画像:(B,B
・C画像:(C,C
【0036】
この場合の一例として、第3取得部115は、(A,A)及び(B、B)の2点を通る2次関数は下式(1)となるため、式(1)から下式(2)を得る。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】
上式(2)で(C,C)を通過するときは、下式(3)が得られる。
【0040】
【数3】
【0041】
上記(3)をαについて解き、そのαを式(2)に代入すると、3点を通過する2次関数は下式(4)のようになる。
【0042】
【数4】
【0043】
第3取得部115は、式(4)を利用して、実際に対象20(検出部3)に照射される3種類のエネルギ違いの画像から任意のピクセル位置の輝度を算出することが可能になる。
なお、エネルギ違いの画像(第1の透過X線画像)の数は、3つに限定されることはなく、2つ又は4つ以上であってもよい。
近似式は2次関数に限定されることはなく、1次関数又は3次関数以上の関数等であってもよい。
また、近似式を求める方法は、上述した一例に限らず、最小二乗法等を始めとした種々の方法を用いてもよい。
【0044】
そして一例として、第3取得部115は、各輝度について以下に記載のものとして画像全体をY値として扱う。
:A画像のX点(所定基準点)の輝度値
:A画像そのもの
:B画像のX点(所定基準点)の輝度値
:B画像そのもの
:C画像のX点(所定基準点)の輝度値
:C画像そのもの
これにより、第3取得部115は、後述するように第1材質部材と第2材質部材とを積層させた積層体のうち第2材質部材の輝度を求めるのに先立って、第1材質部材のX位置(所定基準点212)の輝度を基準にして、第1材質部材が全体に渡って画像(検出部3の前面)に配置されたと仮定した場合の輝度(第1材質部材の全体輝度)を示す画像(参照画像(算出画像)221)(図4参照)を作成することができる。すなわち、第3取得部115は、輝度の分布式に基づいて、第1材質部材の輝度についての参照画像(算出画像)221を得ることが可能になる。
【0045】
次に、積層体200を構成する一部の部材(第2材質部材202)の輝度を取得する際の構成について説明する。
図5は、第2の透過X線画像及び鮮明化した第2材質部材202の一例について説明するための図である。図5(A)は積層体200が写る第2の透過X線画像231の概要を示し、図5(B)は鮮明化した第2材質部材202の概要を示す。
【0046】
輝度取得装置1は、処理部10の制御に基づいて、第1材質部材201と第2材質部材202とを積層した積層体200(対象20)にX線源2からX線を照射して検出部3で検出した際の、その積層体200の透過X線画像(第2の透過X線画像231)を取得する。ここで、第4取得部116は、第1材質部材201と、第1材質とは異なる第2材質を備える第2材質部材202との積層体200を透過させた第2の透過X線画像231を取得する(図5(A)参照)。すなわち、第4取得部116は、例えば、通信部121を介して、第2の透過X線画像231を検出部3から取得してもよい。又は、第4取得部116は、例えば、第2の透過X線画像が記憶された外部メモリ(図示せず)が処理部10のインターフェース(図示せず)に接続された場合、その外部メモリから第2の透過X線画像231を取得してもよい。
【0047】
積層体200の第1材質部材201は、厚さが一定(均一)(略一定)であってもよく、厚さが一定(均一)でなくともよい。また、積層体200の第1材質部材201の厚さは、第1の透過X線画像を取得した際の第1材質部材201の厚さと同じ(略同じ)であってもよく又は異なっていてもよい。
積層体200の第1材質部材201は、例えば、第1の透過X線画像を取得した際の第1材質部材201と同じ材質(金属)であってもよい。
積層体200の第2材質部材202は、第1材質とは異なる金属の部材であってもよい。
【0048】
第5取得部117は、第4取得部116によって取得した第2の透過X線画像の輝度と、第3取得部115によって取得した第1材質部材201の輝度の分布式とに基づいて、第2材質部材202の輝度を取得する。一例として、第5取得部117は、積層体200の第2の透過X線画像231(図5(A)参照)と、第3取得部115で取得した第1材質部材201の参照画像(算出画像)221(図4参照)とに基づいて、積層体200を構成する第2材質部材202の輝度(図5(B)参照)を取得する。すなわち、第5取得部117は、例えば、第2の透過X線画像231(輝度)から参照画像(算出画像)221(輝度)を減算することにより、第2材質部材202の輝度を取得する。
【0049】
出力制御部118は、第3取得部115で取得した輝度の分布式(参照画像(算出画像))、及び、第5取得部117で取得した輝度のうち少なくとも一方を出力するよう出力部を制御してもよい。出力部は、例えば、通信部121、記憶部122及び表示部123等であってもよい。
すなわち、出力制御部118は、例えば、輝度の分布式(参照画像(算出画像))及び輝度のうち少なくとも一方の情報を外部装置に送信するよう通信部121を制御してもよい。ここで、外部装置は、サーバ及びユーザ端末(図示せず)等であってもよい。
出力制御部118は、例えば、輝度の分布式(参照画像(算出画像))及び輝度のうち少なくとも一方の情報を記憶するよう記憶部122を制御してもよい。
出力制御部118は、例えば、輝度の分布式(参照画像(算出画像))及び輝度のうち少なくとも一方を表示するよう表示部123を制御してもよい。
【0050】
なお、上述した実施形態では、第1材質部材の輝度の分布式を求めた後、第1材質部材と第2材質部材とを積層させた積層体のうち第2材質部材の輝度を求める例について説明した。
本実施形態では、3つ以上の材質部材を積層させた積層体のうち1つの材質部材の輝度を求める場合にも、上記と同様に求めることが可能である。
一例として、第1材質部材、第2材質部材及び第3材質部材を積層させた積層体のうち第2材質部材の輝度を求める場合、輝度取得装置1は、第1材質部材及び第3材質部材にX線を照射して取得した第1の透過X線画像に基づいて、第1材質部材及び第3材質部材の輝度の分布式(参照画像(算出画像))を取得する。次に、輝度取得装置1は、積層体にX線を照射することに基づいて取得した第2の透過X線画像と、第1材質部材及び第3材質部材の輝度の分布式(参照画像(算出画像))とに基づいて、積層体のうち第2材質部材の輝度を取得する。
【0051】
[輝度取得方法]
次に、一実施形態に係る輝度取得方法について説明する。
図6は、一実施形態に係る輝度取得方法について説明するためのフローチャートである。
【0052】
ステップST101において、第1取得部113は、X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を取得する。
【0053】
ステップST102において、第2取得部114は、ステップST101で取得した照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する。
また、第2取得部114は、ステップST101で取得した照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの他の点(所定基準点とは異なる他の点)(分布点)の輝度を取得する。
【0054】
ステップST103において、第3取得部115は、ステップST102で取得した、複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する。第3取得部115は、第1の透過X線画像の輝度分布として、その第1の透過X線画像のうち所定基準点とは異なる他の点(分布点)の輝度を取得してもよい。
一例として、第3取得部115は、複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度xと、輝度分布としての他の点(分布点)の輝度yとを輝度の座標値(x,y)と推定して、各第1の透過X線画像の輝度(x,y)に基づいて、1次関数、2次関数及び3次関数のうちのいずれか1つの関数で表される輝度(所定基準点の輝度を基準にした画像全体の輝度)の分布式を取得してもよい。
第3取得部115は、輝度の分布式に基づいて、第1材質部材の輝度についての参照画像(算出画像)を取得してもよい。
【0055】
次に、第1材質部材及び第2材質部材を積層した積層体のうち、第2材質部材の輝度を取得する際の処理をステップST104以降で説明する。
【0056】
ステップST104において、第4取得部116は、第1材質部材と第2材質部材との積層体を透過させたX線画像(第2の透過X線画像)を取得する
【0057】
ステップST105において、第5取得部117は、ステップST104で取得した第2の透過X線画像の輝度と、ステップST103で取得した第1材質部材の輝度の分布式とに基づいて、第2材質部材の輝度を取得する。
一例として、第5取得部117は、積層体の第2の透過X線画像(輝度)から、第1材質部材の参照画像(算出画像)(輝度)を減算することにより、第2材質部材の輝度を取得する。
【0058】
[実施例]
次に、一実施例について説明する。本実施例では、輝度の分布式(参照画像(算出画像))を取得する際の実施例について説明する。
【0059】
部材Aと部材Bとが積層された積層体にX線を照射して、部材BのX線の輝度を鮮明化したい場合、まず、輝度を除外したい部材Aをフィルタのように検出部3におけるX線入射側の全面(撮影画面全体)に均一厚みで設置する。
処理部10は、照射エネルギを変更しつつX線を部材Aに照射し、X線エネルギ違いの第1の透過X線画像を取得する。処理部10は、複数の第1の透過X線画像それぞれで共通するピクセル位置(所定基準点)と、各第1の透過X線画像の輝度分布(他の点(分布点)の輝度)とに基づいて、所定基準点の輝度における全体輝度(所定基準点の輝度を基準にした画像全体の輝度)の分布式を算出する。
処理部10は、その所定基準点の輝度と、全体輝度の分布式とに基づいて、任意の点の輝度を予測することが可能である。
処理部10は、積層体を構成する部材Aのうち1点の輝度がわかれば、分布式から、部材Bと重なっている箇所を含めて、部材Aの参照画像(算出画像)を作成することが可能である。
【0060】
[機能及び回路について]
次に、上述した情報処理装置の機能及び回路について説明する。
情報処理装置の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置のX線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、第4取得部116、第5取得部117及び出力制御部118等(制御部111)は、コンピュータの演算処理装置等によるX線源制御機能、第1取得機能、第2取得機能、第3取得機能、第4取得機能、第5取得機能及び出力制御機能等(制御機能)としてそれぞれ実現されてもよい。
情報処理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。情報処理プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体等に記録されていてもよい。記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体と言い換えてもよい。
また、上述したように、情報処理装置の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、情報処理装置の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置のX線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、第4取得部116、第5取得部117及び出力制御部118等(制御部111)は、コンピュータの演算処理装置等を構成するX線源制御回路、第1取得回路、第2取得回路、第3取得回路、第4取得回路、第5取得回路及び出力制御回路等(制御回路)として実現されてもよい。
また、情報処理装置の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能(出力機能)として実現されもよい。また、情報処理装置の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路(出力回路)として実現されてもよい。また、情報処理装置の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置(出力装置)として構成されてもよい。
【0061】
情報処理装置は、上述した複数の各部のうち1又は任意の複数を組み合わせることが可能である。
本開示では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0062】
[変形例]
上述した実施形態では、X線を利用した装置について説明した。しかしながら、本開示の輝度取得装置等では、X線を利用するばかりでなく、種々の波長(波長域)の光及び放射線(電磁波)を利用してもよい。この場合、輝度取得装置等は、例えば、赤外光、可視光及び紫外光等の光及び放射線(電磁波)を利用して透過画像を取得し、分布式(参照画像(算出画像))及び明確化をしたい部材の輝度(輝度等)を取得してもよい。種々の波長(波長域)の電磁波を利用して透過画像を取得し、また輝度等を取得する際の部材の一例は、金属、半導体、半導体作製基板用材質及びガラス等を始めとする種々の材質からなる部材であってもよい。
【0063】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、以下に記載する各態様は出願時の一例であり、本実施形態は以下に記載する態様に限定されることはない。すなわち、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、下位の態様は、それよりも上位の態様のいずれでも引用できる場合がある。
また、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。また、各態様は、例えば、以下に記載する少なくとも1つの効果を奏してもよい。
【0064】
(態様1)
一態様の輝度取得装置は、X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を取得する第1取得部と、第1取得部によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得部と、第2取得部によって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得部と、を備える。
輝度取得装置は、第1材質部材の輝度(輝度の分布式)を取得することができる。輝度取得装置は、輝度の分布式により、第1材質部材の所定基準点の輝度を基準にした第1材質部材全体(第1の透過X線画像(検出部の入射側)全体)の輝度(全体輝度)を取得することができる。したがって、輝度取得装置は、輝度の分布式に基づいて、第1材質部材の全体輝度を示す参照画像(算出画像)を取得することができる。
輝度取得装置は、例えば、第1材質部材が板状であればあらゆる任意の平面形状に対応できるので、第1材質部材の平面形状に応じて(全体輝度)を取得する際の演算等を再度繰り返すことを回避することができる。すなわち、輝度取得装置は、第1材質部材の全体輝度を取得する際の手間と時間を軽減することができる。
【0065】
なお、従来では、複数の部材C,Dが積層された対象物をX線で撮像して、部材Dの輝度を取得する場合、部材Cと同等の部材Eを用意して、部材Eを撮像する(別画像を用意する)必要があった。すなわち、従来は、部材C,Dの積層体の画像と、部材Eの画像と用意し、2つの画像に基づいて画像処理を行うことにより、部材Dの明確化を行っていた。部材Eの撮像は測定の都度行われており、相対的に長い時間がかかるものとなっていた。また、部材Cと部材Eとを完全に同じ物を用意できない場合、同一の材質で別部材(別部品)を用いるため、個体差によるバラツキが発生していた。換言すると、積層体を構成する部材のうち第2材質部材の輝度を取得する際に、第1材質部材の輝度の取得を測定毎に行う場合があった。
ここで、X線を利用した積層体の透過画像は、複数の部材が重なった積層体の構成を視覚的に確認することができるため様々な分野で活用されており、より効率化及びより高精度化が求められていた。
この点、本実施形態では、第1材質部材の輝度を測定毎に取得することを回避でき、部材の準備及び撮影の時間短縮を図ることができる。また、本実施形態では、積層体を構成する第1材質部材を利用した第1の透過X線画像から、画像(検出部の入射側)全体の第1材質部材の輝度(全体輝度)を示す分布式(参照画像(算出画像))を取得することができるため、従来のような上述した部材Eを利用する必要がない。すなわち、本実施形態は、第1材質部材の全体輝度の分布式(参照画像(算出画像))を取得できるので、類似部材(例えば、部材E)を利用する場合に比べて、高精度化を図ることができる。
【0066】
(態様2)
一態様の輝度取得装置では、第3取得部は、第1の透過X線画像の輝度分布として、その第1の透過X線画像のうち所定基準点とは異なる他の点の輝度を取得し、複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度xと、輝度分布としての他の点の輝度yとを輝度の座標値(x,y)と推定して、各第1の透過X線画像の輝度(x,y)に基づいて、1次関数、2次関数及び3次関数のうちのいずれか1つの関数で表される輝度の分布式を取得することとしてもよい。
これにより、輝度取得装置は、複数の輝度(x,y)を通過する近似式により、輝度の分布式を取得することができる。
【0067】
(態様3)
一態様の輝度取得装置は、第1材質部材と、第1材質とは異なる第2材質を備える第2材質部材との積層体を透過させた第2の透過X線画像を取得する第4取得部と、第4取得部によって取得した第2の透過X線画像の輝度と、第3取得部によって取得した第1材質部材の輝度の分布式とに基づいて、第2材質部材の輝度を取得する第5取得部と、を備える。
輝度取得装置は、積層体の透過X線画像(輝度)から、第1材質部材の輝度の分布式に基づく第1材質部材の全体輝度(参照画像(算出画像))を減算することで、積層体を構成する第2材質部材の輝度を取得することができる。したがって、輝度取得装置は、2つの画像(輝度)の減算により、輝度の鮮明化を希望する第2材質部材の輝度を得るため、第1材質部材に類似する部材の輝度を使用する従来に比べて、輝度の誤差(精度誤差)を解消することができる。
【0068】
(態様4)
一態様の輝度取得装置は、電磁波の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過画像を取得する第1取得部と、第1取得部によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得部と、第2取得部によって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得部と、を備える。
これにより、輝度取得装置は、上述した一態様と同様の効果を奏することができる。
【0069】
(態様5)
一態様の輝度取得方法では、コンピュータが、X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を取得する第1取得ステップと、第1取得ステップによって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得ステップと、第2取得ステップによって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得ステップと、を実行する。
これにより、輝度取得方法は、上述した一態様の輝度取得装置と同様の効果を奏することができる。
【0070】
(態様6)
一態様の輝度取得プログラムは、コンピュータに、X線の照射エネルギを変更しつつ第1材質部材に照射した際の第1の透過X線画像を取得する第1取得機能と、第1取得機能によって取得した、照射エネルギの異なる複数の第1の透過X線画像それぞれの所定基準点の輝度を取得する第2取得機能と、第2取得機能によって取得した複数の輝度それぞれと、各輝度を取得した際の第1の透過X線画像の輝度分布とに基づいて、輝度の分布式を取得する第3取得機能と、を実現させる。
これにより、輝度取得プログラムは、上述した一態様の輝度取得装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 輝度取得装置
2 X線源
3 X線検出部(検出部)
10 処理部
111 制御部
112 X線源制御部
113 第1取得部
114 第2取得部
115 第3取得部
116 第4取得部
117 第5取得部
118 出力制御部
121 通信部
122 記憶部
123 表示部
20 対象
200 積層体
201 第1材質部材
202 第2材質部材
211 第1の透過X線画像
212 所定基準点
213 分布点
221 参照画像(算出画像)
231 第2の透過X線画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6