IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

特開2024-130946画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム
<>
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図1
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図2
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図3
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図4
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図5
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図6
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図7
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図8
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図9
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図10
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図11
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図12
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図13
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130946
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240920BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20240920BHJP
   G06V 10/56 20220101ALI20240920BHJP
【FI】
G06T7/00 650Z
G06T7/90 D
G06V10/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040923
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西島 康崇
(72)【発明者】
【氏名】垣田 直士
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕生
(72)【発明者】
【氏名】木下 翔太
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA04
5L096FA16
5L096FA32
5L096FA64
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA28
5L096GA40
5L096GA51
5L096GA55
5L096HA04
5L096HA11
(57)【要約】
【課題】強い光があたる信号機の発光状態を判定すること。
【解決手段】本発明に係る画像処理装置は、カメラ画像から信号機の発光状態を判定するコントローラを備える。コントローラは、信号機の各灯火器の各色成分を予め決定された閾値に基づいて検出する検出フィルタによって、カメラ画像から発光領域と無発光領域とを抽出し、抽出した発光領域と、無発光領域との輝度および彩度の相対比較の結果に応じて信号機の発光状態を判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ画像から信号機の発光状態を判定するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記信号機の各灯火器の各色成分を予め決定された閾値に基づいて検出する検出フィルタによって、前記カメラ画像から発光領域と無発光領域とを抽出し、
抽出した前記発光領域と前記無発光領域との輝度および彩度の相対比較の結果に応じて前記信号機の発光状態を判定する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記信号機の各灯火器の各色成分にそれぞれ対応する前記検出フィルタを用い、
前記検出フィルタは、
抽出した前記発光領域の色成分に応じて位置が決定される領域を前記無発光領域として抽出する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記カメラ画像にYUV形式で色空間調整を行い、色空間調整後の前記発光領域と色空間調整後の前記無発光領域との平均輝度および平均彩度の相対比較の結果、それぞれに一定以上の差がある場合に、前記発光領域を発光中の灯火器として判定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記発光領域が予め固定された条件を満たす場合に、前記発光領域を発光中の灯火器として判定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記発光領域において前記検出フィルタに対応する前記色成分の画素数が予め固定された閾値を超える場合に、前記発光領域を発光中の灯火器として判定する、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記無発光領域が予め固定された条件を満たす場合に、前記無発光領域を消灯中の灯火器として判定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記無発光領域における色の平均値が予め固定された範囲内である場合に、前記無発光領域を消灯中の灯火器として判定する、
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記カメラ画像における複数のフレームの情報に基づいて前記発光状態を判定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータがカメラ画像から信号機の発光状態を判定する画像処理方法であって、
前記信号機の各灯火の各色成分を予め決定された閾値に基づいて検出する検出フィルタによって、前記カメラ画像から発光領域と、無発光領域とを抽出することと、
抽出した前記発光領域と、前記無発光領域との輝度および彩度の相対比較の結果に応じて前記信号機の発光状態を判定することと、
を含む、画像処理方法。
【請求項10】
前記発光領域が予め固定された条件を満たす場合に、前記発光領域を発光中の灯火器として判定すること
を含む、請求項9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記無発光領域が予め固定された条件を満たす場合に、前記無発光領域を消灯中の灯火器として判定すること
を含む、請求項9に記載の画像処理方法。
【請求項12】
カメラ画像から信号機の発光状態を判定する画像処理プログラムであって、
前記信号機の各灯火器に対応する各色成分を予め決定された閾値に基づいて検出する検出フィルタによって、前記カメラ画像から発光領域と、無発光領域とを抽出することと、
抽出した前記発光領域と、前記無発光領域との輝度および彩度の相対比較の結果に応じて前記信号機の発光状態を判定することと、
をコンピュータに実行させる、画像処理プログラム。
【請求項13】
前記発光領域が予め固定された条件を満たす場合に、前記発光領域を発光中の灯火器として判定すること
をコンピュータに実行させる、請求項12に記載の画像処理プログラム。
【請求項14】
前記無発光領域が予め固定された条件を満たす場合に、前記無発光領域を消灯中の灯火器として判定すること
をコンピュータに実行させる、請求項12に記載の画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ画像から信号機の発光状態を判定する画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、カメラ画像から信号機に関する注目領域を特定し、注目領域から点灯中の灯火器および消灯中の灯火器を検出し、信号機の発光状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-22134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、直射日光等の強い光があたる信号機の発光状態を判定できないおそれがある。具体的には、引用文献1に記載の技術では、注目領域において黒色領域を消灯中の灯火器として検出するが、強い光によって信号機が照らされると消灯中の灯火器が明るくなってしまい、消灯中の灯火器を黒色領域の検出条件では検出できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、強い光があたる信号機の発光状態を判定することができる画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、カメラ画像から信号機の発光状態を判定するコントローラを備え、前記コントローラは、前記信号機の各灯火器に対応する各色成分を予め決定された閾値に基づいて検出する検出フィルタによって、前記カメラ画像から発光領域と無発光領域を抽出し、抽出した前記発光領域と前記無発光領域との輝度および彩度の相対比較の結果に応じて前記信号機の発光状態を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、強い光があたる信号機の発光状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、画像処理方法の概要説明図である。
図2図2は、画像処理方法の処理フローを示す図である。
図3図3は、画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、仮想矩形領域生成処理の説明図(その1)である。
図5図5は、仮想矩形領域生成処理の説明図(その2)である。
図6図6は、仮想矩形領域生成処理の説明図(その3)である。
図7図7は、信号画像生成処理の説明図である。
図8図8は、色特徴量抽出処理の説明図(その1)である。
図9図9は、色特徴量抽出処理の説明図(その2)である。
図10図10は、検出フィルタの一例を示す図である。
図11図11は、発光領域および無発光領域の相対比較の説明図(その1)である。
図12図12は、発光領域および無発光領域の相対比較の説明図(その2)である。
図13図13は、画像処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図14図14は、発光状態判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
また、以下では、実施形態に係る画像処理装置10が、図4等に示す車両Vに搭載される車載装置であるものとする。画像処理装置10は、信号無視判定装置やドライブレコーダ等、車両Vに搭載されたカメラ3のカメラ画像に基づいて、画像中の対象物を検知可能な装置である。本実施形態では、かかる対象物が、信号機300であるものとする。
【0011】
なお、画像処理装置10は、車載装置に限定されるものではなく、スマートフォンやパソコン等の可搬性の端末装置であってもよく、ネットワークを通じて各カメラで撮影されたカメラ画像を取得するサーバ装置であってもよい。また、カメラ3は、ドライブレコーダに限定されるものではなく、スマートフォン等のカメラや、防犯カメラなどといった各種カメラを含むようにしてもよい。また、画像処理装置10は、AR(Augment Reality)ゴーグル等の各種ウェラブルデバイスであってもよい。
【0012】
まず、実施形態に係る画像処理方法の概要について、図1および図2を用いて説明する。図1は、画像処理方法の概要説明図である。図2は、画像処理方法の処理フローを示す図である。なお、図1の上図では、信号機に直射日光があたらない場合の処理例を示し、図1の下図には、信号機に直射日光があたる場合の処理例を示している。
【0013】
既に述べた通り、カメラ3のカメラ画像を用いて信号機300の発光状態を判定する場合、画像中の信号機300そのものを検知することが必要となる。かかる場合、たとえば深層学習等の機械学習のアルゴリズムを用いて、検知対象となる信号機300をバウンディングボックスと呼ばれる矩形領域として抽出する。
【0014】
抽出された矩形領域内について、画像解析によって信号機300の発光状態が判定される。この際、矩形領域から各色成分を閾値に基づいて抽出した色抽出マップに基づいて信号機300の発光状態が判定される。なお、各色成分は、青、黄、赤、黒の各色を含む。
【0015】
この際、黒の色成分は、色抽出マップにおいて消灯中の灯火器を特定するために用いられる。図1の上図に示すように、信号機300が青色の灯火器が発光している状態(青信号)では、黄色の灯火器と赤色の灯火器はそれぞれ発光していない。
【0016】
そのため、信号機300が青信号である場合(青色の灯火器が発光、黄色および赤色の灯火器が消灯している場合)の色抽出マップは、左から「青色」、「黒色」、「黒色」の配列となる。そして、色抽出マップにおける各色の配列と、信号機の灯火器の配置パターンとを比較し、双方が一致する場合、信号機300を青信号として検知することができる。
【0017】
これに対し、図1の下図に示すように、信号機300に直射日光があたる場合、消灯中の灯火器が明るくなってしまい、矩形領域BBから消灯中の灯火器が「黒色」として抽出されず、青色のみが抽出されるおそれがある。その結果、本来、信号機300が青信号であっても、配置パターンの不一致によって青信号として検知できずに、信号機300の発光状態を判定することができない。このように、色抽出マップを生成する際に、カメラ画像から黒色を予め固定された閾値に基づいて抽出する場合、光の強さによって黒色を抽出することができない場合がある。
【0018】
このような課題に対し、実施形態に係る画像処理方法は、強い光があたる信号機300の発光状態を判定する技術である。具体的には、実施形態に係る画像処理方法は、カメラ画像から発光領域と無発光領域を抽出し、抽出した発光領域と無発光領域との輝度および彩度の相対比較の結果に応じて信号機の発光状態を判定する。
【0019】
まず、実施形態に係る画像処理方法の詳細な説明に先立って、実施形態に係る画像処理方法を実行する画像処理装置10の制御部12がカメラ画像に対して行う各種処理の流れについて図2を用いて説明する。
【0020】
図2に示すように、制御部12は、カメラ3の撮像したカメラ画像を入力とし、矩形領域の抽出(ステップS1)、色判定(ステップS2)、動き推定(ステップS3)および信号無視判定(ステップS4)を行い、信号無視判定の判定結果を出力する。
【0021】
ステップS1では、制御部12は、機械学習のアルゴリズムを用いて学習されたDNN(Deep Neural Network)モデル等を使用して、画像中の信号機300を矩形領域BBとして抽出する。
【0022】
ステップS2では、制御部12は、色抽出マップの作成、発光領域および無発光領域の抽出、発光領域および無発光領域に対する各種処理を実行し、信号機300の発光状態を判定する。なお、ステップS2の色判定に関する処理が実施形態に係る画像処理方法の主となる処理に対応する。
【0023】
また、制御部12は、ステップS3では、画像認識された信号機300の軌跡に基づいて、車両Vの動きを推定する。また、制御部12は、ステップS3では、ステップS2の色判定の結果およびステップS3の動き推定の結果から車両Vが信号無視を行ったか否かを判定する。
【0024】
次に、図3を用いて、実施形態に係る画像処理方法を適用した画像処理装置10の構成例について、より具体的に説明する。図3は、実施形態に係る画像処理装置10の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、画像処理装置10は、記憶部11と、制御部12とを備える。また、画像処理装置10は、カメラ3と、出力部5とが接続される。
【0025】
カメラ3は、車両Vに搭載され、車両Vの前方を撮像可能に設けられる。なお、カメラ3は、たとえば車両Vの全周囲を撮像可能な360度カメラであってもよい。
【0026】
出力部5は、データを出力するための出力デバイスである。出力部5は、ディスプレイやスピーカ等によって実現される。なお、出力部5は、画像処理装置10が出力するデータに基づく情報処理を実行する外部装置であってもよい。
【0027】
カメラ3および出力部5は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介して画像処理装置10と接続される。なお、カメラ3および出力部5は、Bluetooth(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等を介して無線により画像処理装置10と接続されてもよい。
【0028】
画像処理装置10は、車両Vに搭載されるコンピュータであり、たとえば信号無視判定装置である。画像処理装置10は、図2を用いて説明したステップS1~S4を実行する。
【0029】
記憶部11は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の記憶デバイスによって実現される。記憶部11は、画像認識AI、処理パラメータ情報等を記憶する。
【0030】
画像認識AIは、画像認識用のAI(Artificial Intelligence)モデルであり、機械学習のアルゴリズムを用いて学習されたDNNモデル等である。画像認識AIは、カメラ3のカメラ画像が入力された場合に、かかるカメラ画像に含まれる各種の信号機300を検知する。
【0031】
処理パラメータ情報は、信号機300の発光状態を判定する際に利用される各種のパラメータに関する情報である。なお、処理パラメータ情報の具体例については、図8等を用いて後述する。
【0032】
制御部12は、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部11に記憶されている実施形態に係る画像処理プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0033】
制御部12は、カメラ3によって撮影されたカメラ画像から信号機300の発光状態を判定するための各種処理を実行する。制御部12は、カメラ3によって撮像されたカメラ画像を取得し、カメラ画像を読み込んだ画像認識AIへ入力し、画像認識AIから出力される画像認識結果を取得する。画像認識結果は、矩形領域BBとして抽出された信号機300を含む。
【0034】
つづいて、制御部12は、画像認識結果に基づいて、矩形生成処理を実行する。ここで、制御部12が実行する仮想矩形領域生成処理について、図4図6を用いてより具体的に説明する。図4は、仮想矩形領域生成処理の説明図(その1)である。また、図5は、仮想矩形領域生成処理の説明図(その2)である。また、図6は、仮想矩形領域生成処理の説明図(その3)である。
【0035】
制御部12は、矩形領域BBの中心座標をワールド座標に変換し、ワールド座標を実空間上の信号機300の中心点と捉え、かかる中心点から実空間上の上下方向と左右方向に決まった幅を持った矩形を仮想矩形領域として生成する。
【0036】
制御部12は、まず図4に示すように、信号機300の高さはある程度同じであると仮定したうえで、矩形領域BBの中心を示すカメラ座標を、カメラパラメータを用い、信号機300の高さを想定した仮想的な平面(以下、「仮想平面」という)上のワールド座標へ変換する。
【0037】
具体的には、制御部12は、車両Vのカメラ3から撮像した画像201における信号機300の位置を示す矩形領域BBを基に、時系列空間における同じ高さの仮想平面に車両Vの位置を投影した位置を示す仮想車両位置を算出する。
【0038】
そして、制御部12は、鉛直方向の軸を含む互いに直交する3つの軸で表される座標系において、鉛直方向の軸の座標値を固定することで得られる仮想平面における信号機300の座標を、ワールド座標として算出する。
【0039】
図4に示すように、実空間における位置は、X軸、Y軸、Z軸の座標値によって表される。X軸、Y軸、Z軸は互いに直交する。Z軸は、鉛直方向の軸である。Y軸は、図4における車両Vの進行方向と平行である。X軸は、Z軸およびY軸と直交する。
【0040】
ここで、矩形領域BBの中心を中心点221とする。制御部12は、カメラパラメータを用いて画像201における中心点221の2次元座標(カメラ座標)を、3次元のワールド座標に変換する。そして、かかるワールド座標における中心点221までの距離を、車両Vから信号機300までの距離(Dist)として算出する。
【0041】
カメラパラメータには、カメラ3の内部パラメータおよび外部パラメータが含まれる。内部パラメータには、ドットピッチ、焦点距離、ディストーション(仰角像高TBL)等が含まれる。外部パラメータには、カメラ3の撮影位置のX軸、Y軸、Z軸の座標値、および、カメラ3の姿勢を表す値(PAN,ROLL,TILT)が含まれる。
【0042】
また、カメラパラメータとは別のパラメータとして、制御部12は、予め定められた信号機300の路面からの高さを参照する。信号機300の高さは、たとえば5.0m~5.5mの範囲において定められる。
【0043】
このように、ワールド座標への変換を行うことによって、単眼カメラで安価に信号機300までの距離を算出できるという利点がある。
【0044】
そして、制御部12は、ワールド座標を実空間上の信号機300の中心点と捉え、かかる中心点から実空間上の上下方向と左右方向に決まった幅を持った矩形を仮想矩形領域VBとして生成する。
【0045】
これにより、図5に示すように、矩形領域BBの場合、近い信号機300の矩形領域BB1は大きく、遠い信号機300の矩形領域BB2は小さくなるが、仮想矩形領域VBの場合、信号機300の遠近に関わらず仮想矩形領域VB1,VB2のサイズは同じとなる。
【0046】
制御部12は、実空間上の標準的な信号機300のサイズ(1250mm×450mmなど)を基準として仮想矩形領域VBのサイズを決定する。本実施形態では、制御部12は、横型信号機と縦型信号機の両方を判定対象とするため、図6に示すように、実空間上の信号機300の長辺(つまり1250mmなど)を1辺とした正方形を基準形として仮想矩形領域VBを生成する。また、同図に示すように、制御部12は、入力される矩形領域BBのサイズや位置のバラつきに対応するため、上述の基準形を予め決められた拡張率(たとえば、1.1倍など)で拡張したものを使用する。
【0047】
つづいて、制御部12は、信号画像を生成する。図7は、信号画像生成処理の説明図である。制御部12は、仮想矩形領域VBに対応する信号画像を生成する。既に述べた通り、制御部12は、仮想矩形領域VBを常に同じサイズの画像(25×25ピクセルなど)としてサンプリングし、各サンプリング点に対応するカメラ画像上の画素を参照することで、信号画像を生成する。
【0048】
カメラ画像上の画素の参照は、上記したカメラ座標からワールド座標への変換の逆変換を実施する。サンプリング方向については、図7に示すように、横型信号機は左上から右下に走査し、縦型信号機は左下から右上に走査する。すなわち、制御部12は、カメラ画像中の信号機300の長手方向に沿ってカメラ画像の画素が順次走査されるサンプリング方向でサンプリングすることによって信号画像を生成する。これにより、サンプリング後の信号画像は、横型信号機であっても縦型信号機であっても、画像内のスケール感、向きなどを含め、同じ見え方となる。
【0049】
したがって、判定対象とする信号機300について、カメラ画像中でのサイズや位置、縦横方向に関わらず、常に同じサイズ感の画像情報として取り扱うことができ、処理コストの抑制に資することができる。
【0050】
さらに、信号画像のサイズを小さく(すなわち、実空間上のサンプリング間隔を大きく)することで、後段の各処理における処理コストを下げることができる。
【0051】
つづいて、制御部12が実行する色調整処理について説明する。制御部12は、後段の色特徴量抽出処理に合わせて、生成された信号画像を予め決められた色空間に調整する。本実施形態では、制御部12は、YUV形式による色空間調整を行う。
【0052】
制御部12は、YUV形式の他、HSV形式による色空間調整を行うことができる。なお、YUV形式は、色表現がUとVの直交座標系であり、矩形表現のため色の分離が難しいケースがあるが、処理コストは低いという特性がある。一方、HSV形式は、色表現がHとSの極座標系であり、扇形表現のためYUV形式に比べて色の分離は易しいが、処理コストは高いという特性がある。
【0053】
本実施形態では、処理コストを重視し、YUV形式を採用するが、画像処理装置10の演算リソースが許容可能であるなど、処理コストに応じて、適宜HSV形式やその他の形式を選択することは可能である。
【0054】
つづいて、制御部12が実行する色抽出マップの生成処理について説明する。図8は、色特徴量抽出処理の説明図(その1)である。また、図9は、色特徴量抽出処理の説明図(その2)である。
【0055】
制御部12は、色空間調整後の信号画像を入力とし、予め決められたYUV閾値が示す信号機300の各色成分の該当条件を満たす画素に、各色成分に対応する色フラグを立てて色抽出マップを生成する。
【0056】
具体的には、処理パラメータ情報には、図8に示すように、信号機300の青、黄、赤、矢印、黒の各色成分についての該当条件が、予め決められたY,U,Vの下限および上限によって規定されている。
【0057】
制御部12は、色空間調整後の信号画像において、信号機300の各色成分につき、かかる該当条件を満たす画素を抽出する。そして、制御部12は、抽出した画素につき、該当する色成分に対応する色フラグを立てる。
【0058】
すると、図9に示すように、青信号であれば信号画像においては少なくとも、青成分の該当条件を満たす各画素が抽出され、青信号色フラグが立てられる。また、黄信号であれば信号画像においては少なくとも、黄成分の該当条件を満たす各画素が抽出され、黄信号色フラグが立てられる。また、赤信号であれば信号画像においては少なくとも、赤成分の該当条件を満たす各画素が抽出され、赤信号色フラグが立てられる。また、矢印信号であれば信号画像においては少なくとも、矢印信号色フラグが立てられることとなる。また、すべての灯火が消灯中の無発光信号であれば、黒成分の該当条件を満たす各画素が抽出され、無発光色フラグが立てられる。
【0059】
また、信号機300のいずれの発光状態においても、黒成分の該当条件を満たす各画素が抽出されて、無発光信号色フラグが立てられる場合もある。なお、上述の通り、直射日光があたる信号機300では、黒色分が検出されず、無発光信号色フラグが立たない場合もある。そのため、制御部12は、色抽出マップの生成段階で黒成分を抽出しないようにしてもよい。
【0060】
次に、制御部12が実行する発光領域および無発光領域の抽出処理について説明する。制御部12は、信号機300の各灯火器の各色成分にそれぞれ対応する検出フィルタを用いて、生成した色抽出マップから発光領域および無発光領域を抽出する。図10は、検出フィルタの一例を示す図である。
【0061】
図10に示すように、検出フィルタは、発光領域の色成分に応じて位置が決定される領域を無発光領域として抽出するフィルタであり、信号機300の各灯火器の配列を表している。各検出フィルタにおいて、発光領域および無発光領域は、それぞれ3×3ピクセルであり、各領域は一定の距離(例えば3ピクセル)離れている。
【0062】
図10に示すように、青信号の検出フィルタは、左から青色の発光領域、無発光領域、無発光領域の順で発光領域と無発光領域の位置関係を規定している。また、黄信号の検出フィルタは、左から無発光領域、黄色の発光領域、無発光領域の順で発光領域と無発光領域の位置関係を規定している。また、赤信号の検出フィルタは、左から無発光領域、無発光領域、赤色の発光領域の順で発光領域と無発光領域の位置関係を規定している。また、矢印信号の検出フィルタは、赤信号の検出フィルタと同様に発光領域および無発光領域を規定しつつ、赤色の発光領域の下側にさらに矢印色の発光領域を規定している。
【0063】
このように、制御部12は、信号機300の各発光状態にそれぞれ対応する検出フィルタを用いることで、色抽出マップを生成する際に抽出可能な点灯中の灯火器を基準として消灯中の灯火器に関する探索エリアを無発光領域として抽出することができる。
【0064】
これにより、制御部12は、信号機300に強い光があたる場合に、色抽出マップにおいて抽出されない消灯中の灯火器が写る領域を推測することができる。
【0065】
制御部12は、各色成分の検出フィルタをそれぞれ用いたフィルタリングによって信号画像から発光領域および無発光領域を抽出する。そして、制御部12は、抽出した発光領域および無発光領域が下記(1)~(4)の条件を満たす場合に、判定対象となるピクセル(以下、判定対象ピクセルと記載)がフラグの色で発光する発光面として検出する。
(1)発光領域および無発光領域で平均輝度を比較し、一定以上の差があること。
(2)発光領域および無発光領域で平均彩度を比較し、一定以上の差があること。
(3)発光領域において色成分の画素数が予め固定された閾値を超えること。
(4)無発光領域の色の平均値が予め固定された範囲に収まること。
【0066】
条件(1)および条件(2)は、発光領域および無発光領域の相対評価に関する条件であり、条件(3)および条件(4)は、発光領域および無発光領域の絶対評価に関する条件である。
【0067】
制御部12は、相対評価および絶対評価を組み合わせることによって、信号機300の発光状態を精度よく判定することができる。まず、条件(1)~(4)のうち、条件(1)および条件(2)について説明する。
【0068】
図11および図12は、発光領域および無発光領域の相対比較の具体例を示す図である。図11に示すように、制御部12は、発光領域および無発光領域の平均輝度を比較する。制御部12は、発光領域および無発光領域のうち、下側に位置する対象領域TAの平均輝度を比較する。
【0069】
制御部12は、発光領域の平均輝度に対して、各無発光領域の平均輝度が一定数以上であるか否かを判定する。制御部12は、発光領域の平均輝度と、各無発光領域の平均輝度の差分dl1、dl2がそれぞれ閾値を超えているか否かを判定する。
【0070】
さらに、条件(2)について、制御部12は、図12に示すように、発光領域および無発光領域の平均彩度を比較する。制御部12は、発光領域の平均彩度に対して、各無発光領域の平均彩度が一定数以上であるか否かを判定する。制御部12は、発光領域の平均彩度と、各無発光領域の平均彩度の差分ds1、ds2がそれぞれ閾値を超えているか否かを判定する。
【0071】
制御部12は、これら相対比較の結果、発光領域の平均輝度に対して各無発光領域の平均輝度が一定数以上であり、かつ、発光領域の平均彩度に対して各無発光領域の平均彩度が一定数以上であることを条件に、発光領域の判定対象ピクセルを発光面として検出する。
【0072】
また、制御部12は、これら相対比較の結果、平均輝度および平均彩度のいずれかの条件を満たさない場合には、発光領域の判定対象ピクセルを発光面として検出しない。
【0073】
ここで、信号機300にあたる光の強さによって発光領域の平均輝度が上昇すれば、無発光領域の平均輝度も相対的に上昇する。そのため、制御部12は、発光領域および無発光領域の平均輝度を比較することで、無発光信号色フラグ(図9参照)として検知できない信号機300の消灯中の灯火器を検出することができる。
【0074】
また、条件(2)において、制御部12は、発光領域および無発光領域の平均彩度を比較する。これは、発光中の灯火器の方が自ら発光しているため、信号機300に強い光があたった状態であっても消灯中の灯火器に比べてより鮮やかに見えるためである。
【0075】
制御部12は、発光領域および無発光領域の平均輝度に加え、平均彩度を比較することで、平均輝度だけでは捕捉できない点灯中の灯火器と消灯中の灯火器の特徴の差を捉えることができる。
【0076】
このように、制御部12は、発光領域および無発光領域を相対比較することで、無発光領域を消灯中の灯火器として検知するための閾値を動的に変化させる。より詳しくは、発光領域の平均輝度が高くなるにつれて、無発光領域に対する平均輝度の閾値が高くなり、発光領域の平均彩度が高くなるにつれて、無発光領域に対する平均彩度の閾値が高くなる。
【0077】
このように、制御部12は、発光領域および無発光領域を相対比較することによって、無発光信号色フラグとして検知できない消灯中の灯火器を精度よく検知することができる。
【0078】
つづいて、条件(3)および条件(4)について説明する。制御部12は、条件(3)および条件(4)については発光領域および無発光領域それぞれについて予め固定された条件を満たすか否かを判定する。
【0079】
条件(3)において、発光領域に対して固定された条件は、発光領域において検出された色成分の画素数が閾値を超えるか否かであり、条件(4)において、無発光領域に対して固定された条件は、無発光領域における色の平均値が予め固定された範囲内である。
【0080】
制御部12は、発光領域から判定対象ピクセルと同じ色の画素数をカウントし、閾値を超えていれば、条件(3)を満たすと判定し、閾値を超えていなければ、条件(3)を満たしてないと判定する。
【0081】
また、制御部12は、無発光領域における色の平均値が予め固定された範囲内であるか否かを判定し、平均値が範囲内であれば、条件(4)を満たすと判定し、範囲外であれば、条件(4)を満たしてないと判定する。制御部12は、無発光領域に含まれる各画素のYUVに関する各パラメータの平均値を算出し、算出した平均値が範囲内か範囲外かを判定する。
【0082】
条件(3)において、制御部12は、発光領域について判定対象ピクセルと同じ色の画素数をカウントすることで、ノイズである判定対象ピクセルを排除することができる。また、条件(4)において、制御部12は、無発光領域における色の平均値を見ることによって、消灯中の灯火器ではない領域を消灯中の灯火器とする誤検知を抑制することができる。
【0083】
つまり、制御部12は、発光領域および無発光領域に対してそれぞれ絶対評価を行うことで、信号機300を精度よく検出することができる。
【0084】
制御部12は、色抽出マップに対して条件(1)~(4)の判定を行い、すべての条件を満たした場合に、判定対象ピクセルが対応するフラグの色で発光している発光面として検知する。すなわち、制御部12は、発光領域が発光中の灯火器に関する条件を満たし、無発光領域が消灯中の灯火器に関する条件を満たす場合、判定対象ピクセルを発光面として検知する。
【0085】
そして、制御部12は、すべての判定対象ピクセルに対して判定処理を終えた後に、発光面として検知された最も多い色成分の灯火器が発光していると判定する。これにより、制御部12は、たまたま条件を満たした判定対象ピクセルをノイズとして排除することができるので、信号機300の発光状態に関する誤判定を抑制することができる。
【0086】
この際、制御部12は、複数のフレームの情報に基づいて信号機300の発光状態を判定するようにしてもよい。たとえば、制御部12は、複数のフレームで連続して同一の発光状態であると判定した場合に、発光状態を確定させる。
【0087】
また、制御部12は、複数のフレームにおける発光状態の推移から発光状態の判定を行うようにしてもよい。通常、信号機は、青信号から黄信号など規則性をもって発光状態が変化する。制御部12は、信号機の規則性にあわせて判定した発光状態が推移しているか否かに応じて発光状態の判定を確定させる。
【0088】
このように、制御部12は、複数のフレームの情報を用い、発光状態を判定することによって、発光状態の判定を精度よく行うことが可能となる。
【0089】
つづいて、図2に示したステップS3の動き判定およびステップS4の信号無視判定に関する処理について説明する。動き判定において、制御部12は、画像認識された各物体の軌跡に基づいて車両Vの挙動を推定する。
【0090】
信号無視判定において、まず、制御部12は、画像認識された信号機300、および、信号機300までの距離に基づいて、車両Vに対する相対的な信号機300の軌跡を推定する。また、制御部12は、推定された車両Vの挙動、信号機300の軌跡、ならびに、信号機300の発光状態に基づいて、車両Vが信号無視をしたか否かを判定する。
【0091】
制御部12は、車両Vの進行方向における通行の優先権の有無を提示する信号機300が赤信号であるにも関わらず、車両Vが予め定められた時間以上および速度以上で通行を続けた場合、車両Vが信号無視をしたと判定する。そして、制御部12は、判定した判定結果を出力部5へ出力する。
【0092】
なお、画像処理装置10がドライブレコーダの機能の一部を構成する場合、制御部12は、車両Vが信号無視をしたとの判定結果をイベントとして通知し、ドライブレコーダにイベント録画を行わせてもよい。
【0093】
次に、実施形態に係る画像処理装置10が実行する処理手順について、図13および図14を用いて説明する。図13は、画像処理装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図13に示す処理手順は、車両Vが起動中の間、制御部12によって繰り返される。
【0094】
図13に示すように、画像処理装置10の制御部12は、カメラ3からカメラ画像を取得する(ステップS101)。そして、制御部12は、取得したカメラ画像に対する画像認識によって信号機300の矩形領域BBを抽出する(ステップS102)。
【0095】
そして、制御部12は、矩形領域BBに基づいて仮想矩形領域VBを生成し(ステップS103)、仮想矩形領域VBに基づいて信号画像を生成する(ステップS104)。
【0096】
そして、制御部12は、生成された信号画像を予め決められた色空間に調整し(ステップS105)、色空間調整後の信号画像から色抽出マップを生成する(ステップS106)。色抽出マップの生成は、信号機300の青、黄、赤、矢印、黒の各色成分についての該当条件を満たすピクセルに対して各色成分のフラグを立てることで行われる。
【0097】
制御部12は、生成した色抽出マップに基づいて信号機300の発光状態の判定処理を実行する(ステップS107)。なお、発光状態の判定処理の処理手順については、図14を用いて説明する。その後、制御部12は、判定結果を出力し(ステップS108)、処理を終了する。
【0098】
次に、図14を用いて、画像処理装置10が実行する発光状態の判定処理に関する処理手順について説明する。図14は、発光状態判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0099】
図14に示すように、まず、制御部12は、色抽出マップから発光領域および無発光領域を抽出する(ステップS111)。発光領域および無発光領域の抽出は、各検出フィルタ(図10参照)で色抽出マップ上を走査することで行われる。
【0100】
つづいて、制御部12は、上記条件(1)、条件(2)に基づき、発光領域と無発光領域の輝度、彩度の相対評価を行う(ステップS112)。相対評価は、発光領域および無発光領域の平均輝度の差が一定数以上であるか否か、および、発光領域および無発光領域の平均彩度の差が一定数以上であるか否かを判定することで行われる。
【0101】
つづいて、制御部12は、上記条件(3)、条件(4)に基づき、発光領域、無発光領域に対してそれぞれ絶対評価を行う(ステップS113)。絶対評価は、発光領域の色成分の画素数をカウントし、閾値を超えているか否か、および、無発光領域の色の平均値が範囲内か否かを判定することで行われる。
【0102】
ステップS113までの処理結果に基づいて、制御部12は、上記条件(1)~(4)のすべての条件を満たしたか否かを判定する(ステップS114)。制御部12は、すべての条件を満たすと判定した場合(ステップS114;Yes)、判定対象ピクセルを発光面として判定する(ステップS115)。
【0103】
また、制御部12は、いずれかの条件を満たさないと判定した場合(ステップS114;No)、ステップS116の処理へ移行する。つづいて、制御部12は、すべての判定対象ピクセルに対する評価が終了したか否かを判定する(ステップS116)。
【0104】
制御部12は、すべての判定対象ピクセルに対する評価が終了した場合(ステップS116;Yes)、ステップS117の処理へ進み、すべての判定対象ピクセルに対して評価が終了していない場合(ステップS116;No)、ステップS111の処理へ移行する。なお、この際、制御部12は、ステップS111では、評価が終わっていない判定対象ピクセルに対して処理を開始する。
【0105】
つづいて、制御部12は、色成分ごとに発光面数をカウントし(ステップS117)、最も発光面数が多い色成分で信号機300が発光中と判定する(ステップS118)。そして、制御部12は、処理を終了する。
【0106】
上述してきたように、実施形態に係る画像処理装置10は、カメラ画像から信号機の発光状態を判定するコントローラを備え、コントローラは、信号機の各灯火器の各色成分を予め決定された閾値に基づいて検出する検出フィルタによって、カメラ画像から信号機の発光領域と無発光領域とを抽出し、抽出した発光領域と、無発光領域との輝度および彩度の相対比較の結果に応じて信号機の発光状態を判定する。
【0107】
このように、実施形態に係る画像処理装置10は、発光領域および無発光領域の相対比較を行うことによって、カメラ画像から消灯中の灯火器を検知することができるので、強い光があたる信号機の発光状態を判定することができる。
【0108】
なお、上述した実施形態では、画像認識に基づいて信号機300の発光状態および信号無視を判定することとしたが、車両Vに搭載された各種センサのセンサデータを適宜組み合わせてもよい。車両Vの挙動は、ステアリングセンサや加速度センサのセンサ値を利用して推定してもよいし、自車速度は、速度センサのセンサ値を利用して取得してもよい。
【0109】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
3 カメラ
5 出力部
10 画像処理装置
11 記憶部
12 制御部
300 信号機
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14