(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130957
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】サイドドアおよび移動体
(51)【国際特許分類】
B60J 5/04 20060101AFI20240920BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20240920BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60J5/04 P
B60J5/04 H
B60J5/04 R
B60J5/06 A
B60J5/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040937
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 学
(72)【発明者】
【氏名】染谷 紀樹
(57)【要約】
【課題】開閉を繰り返したときの樹脂製アウターパネルの変形を抑制できる移動体のサイドドア、および当該サイドドアを有する移動体を提供すること。
【解決手段】スライドドアを開閉するためのハンドルと、前記ハンドルを配置するための窪み部を有する樹脂製のアウターパネルと、前記アウターパネルの移動体内側に配置されたベルトラインリンフォースと、を有し、前記ベルトラインリンフォースは、前記窪み部の内側の全体または一部を被覆する、移動体のサイドドア。また、当該サイドドアを有する移動体。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドドアを開閉するためのハンドルと、
前記ハンドルを配置するための窪み部を有する樹脂製のアウターパネルと、
前記アウターパネルの移動体内側に配置されたベルトラインリンフォースと、を有し、
前記ベルトラインリンフォースは、前記窪み部の内側の全体または一部を被覆する、
移動体のサイドドア。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記アウターパネルおよび前記ベルトラインリンフォースを貫通して配置された、
請求項1に記載のサイドドア。
【請求項3】
スライドドアである、
請求項1に記載のサイドドア。
【請求項4】
前記アウターパネルは、熱可塑性樹脂製である、
請求項1に記載のサイドドア。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のサイドドアを有する、移動体。
【請求項6】
自動車である、請求項5に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドドアおよび移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの移動体のサイドドアが有する構成として、アウターパネルおよびインナーパネルを有し、サイドドアを開閉するためのハンドルを、アウターパネルを貫通して配置した構成が公知である。特許文献1には、ハンドルを構成する部材のうちアウターパネル内側に配置された部材であるハンドルベースを、アウターパネルの内側に移動体の前後方向に伸びて配置されたベルトラインリンフォースメントに、これらを移動体の上下方向に繋ぐブラケットにより結合させた構成が記載されている。特許文献1によれば、ハンドルベースとベルトラインリンフォースメントとを連結させることで、サイドドア側面方向からの他の移動体等の衝突によりハンドルに入力された荷重をベルトラインリンフォースメントに伝達させて逃がすことができる。このため、衝突時の、移動体内部へのハンドルの侵入を抑制することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車体を軽量化するため、サイドドアについても樹脂製のアウターパネルの採用が検討されている。一方で樹脂製のアウターパネルは、従来の金属製のアウターパネルと比較して剛性が低いため、変形が生じやすい。そして、本発明者らの新たな知見によると、樹脂製アウターパネルを有するサイドドアの開閉を繰り返すと、開閉時に親指などでアウターパネルを押す際の荷重や、開閉時のハンドルの揺動により、アウターパネルに変形が生じることがある。そして、これらにより変形したアウターパネルが車体から浮き上がってしまい、ハンドルによる開閉がスムーズに行えなかったり、あるいはアウターパネルがリンフォースメントから離れてますます剛性が低下してしまったりする、という問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、開閉を繰り返したときの樹脂製アウターパネルの変形を抑制できる移動体のサイドドア、および当該サイドドアを有する移動体を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、下記[1]~[4]のサイドドアに関する。
[1]サイドドアを開閉するためのハンドルと、
前記ハンドルを配置するための窪み部を有する樹脂製のアウターパネルと、
前記アウターパネルの移動体内側に配置されたベルトラインリンフォースと、を有し、
前記ベルトラインリンフォースは、前記窪み部の内側の全体または一部を被覆する、
移動体のサイドドア。
[2]前記ハンドルは、前記アウターパネルおよび前記ベルトラインリンフォースを貫通して配置された、
[1]に記載のサイドドア。
[3]スライドドアである、
[1]または[2]に記載のサイドドア。
[4]前記アウターパネルは、熱可塑性樹脂製である、
[1]~[3]のいずれかに記載のサイドドア。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の他の態様は、下記[5]~[6]の移動体に関する。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のサイドドアを有する、移動体。
[6]自動車である、[5]に記載の移動体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開閉を繰り返したときの樹脂製アウターパネルの変形を抑制できる移動体のサイドドア、および当該サイドドアを有する移動体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に関する移動体の外観を示す模式図である。
【
図2】
図2は、従来のアウターパネルを移動体内部側からみたときの概略構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図2の一点鎖線3-3における、従来のアウターパネルおよびハンドルの概略構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に関するアウターパネルを移動体内部側からみたときの概略構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、
図4の一点鎖線5-5における、本実施形態に関するアウターパネルおよびハンドルの概略構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図4の一点鎖線6-6における、本実施形態に関するアウターパネルおよびハンドルの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に関する移動体の外観を示す模式図である。移動体100は、スライドドアであるサイドドア110を有する自動車である。サイドドア110は、移動体外側に配置された樹脂製のアウターパネルと、移動体内側に配置された樹脂製のインナーパネル(不図示)とを有する。アウターパネルには、サイドドアを開閉させるためのハンドル300が配置されている。ハンドル300は、アウターパネルとインナーパネルとの間に配置されたラッチ機構(不図示)に接続されており、ハンドル300に接して配置されたキーシリンダ302からのキー操作により、ラッチ機構を介してロックおよびアンロックされる。
【0011】
なお、これ以降の説明および図面中、移動体100の前方方向をX方向、移動体100の左右方向かつ移動体100の内部に向かう方向をY方向、移動体100の上方方向をZ方向とする。
【0012】
図2は、従来のアウターパネル200を移動体内部側からみたときの概略構成を示す模式図である。
図3は、
図2の一点鎖線3-3における、従来のアウターパネル200およびハンドル300の概略構成を示す断面図である。
【0013】
アウターパネル200には、いずれも移動体100の前後方向(X方向)に沿って配置された、側方から衝突に対する強度を高める補強部材であるベルトラインリンフォースメント210およびインパクトバー220と、アウターパネル200の張り剛性を高めるためのスティフナ230と、が組み付けられている。ベルトラインリンフォースメント210は、凸部212とその両側に配置された一対のフランジ部214aおよびフランジ部214bとを有する、断面がハット形状の補強部材であり、凸部212の突出方向が移動体100の内部方向(Y方向)となるように配置されている。また、ウインドウ240のZ方向上部に設けられた上枠には、サイドドア110を移動体100のボディにスライド可能に取り付けるためのナットプレート250が組み付けられている。
【0014】
また、アウターパネル200は、ハンドル300を組み付ける部位が、移動体100の内部側に凹んだ窪み部260となっている。この窪み部260には、移動体100後方側に挿入孔260aが形成されている。そして、ハンドル300は、ハンドルノブが、挿入孔260aにおいてねじ330により締結されて窪み部260の移動体100外側に配置されている。そして、ハンドルベース320は、移動体100の内部側に配置されたブラケット(不図示)により、ねじ340を介してベルトラインリンフォースメント210に結合されている。ハンドルノブ310は、移動体100前方では締結されず、締結された部位を中心に
図3中矢印方向に揺動可能とされている。
【0015】
図4は、本実施形態に関するアウターパネル400を移動体内部側からみたときの概略構成を示す模式図である。
図5は、
図4の一点鎖線5-5における、本実施形態に関するアウターパネル400およびハンドル300の概略構成を示す断面図である。
図6は、
図4の一点鎖線6-6における、本実施形態に関するアウターパネル400およびハンドル300の概略構成を示す断面図である。なお、
図2および
図3により説明した従来のアウターパネル200と共通する構成については、同一の符号を伏して重複する説明は省略する。
【0016】
図4に示すように、本実施形態では、ベルトラインリンフォースメント410が窪み部260の一部を被覆する形状および配置となっている。より具体的にいうと、ベルトラインリンフォースメント410は、窪み部260の上側(ウインドウ240とハンドル300との間)を通るように、ウインドウ240の下枠線に沿って移動体100の前後方向(X方向)に伸びて配置された補強部材である。本実施形態でも、ベルトラインリンフォースメント410は、凸部412とその両側に配置された一対のフランジ部414aおよびフランジ部414bとを有する、断面がハット形状の補強部材であり、凸部412の突出方向が移動体100の内部方向(Y方向)となるように配置されている。そして、本実施形態では、凸部412よりも下方側のフランジ部414aの一部が、窪み部260の一部を被覆するように湾曲されつつ移動体100の下方に延出された、延出部414cとなっている。
【0017】
本実施形態において、フランジ部414aは、移動体100の後方側から前方に向けて、ほぼ一定の幅を保ったまま伸びており、延出部414cにおいて、移動体100の下方側に幅を広げた形状となっている。そして、延出部414cは、窪み部260を被覆する部位において、窪み部260の被覆される部位と同一の形状、あるいは窪み部260の被覆される部位に対応する形状の、移動体100の内部側に湾曲した表面を有する。延出部414cは、窪み部260を被覆する幅を保ったまま、さらに移動体100の前方まで延びている。そして、延出部414cは、ハンドルベース320が配置される位置に、ハンドルベース320をブラケットに固定するための開口部416を有する。
【0018】
図5および
図6に示すように、本実施形態では、ハンドル300は、ハンドルノブ310が、アウターパネル400の挿入孔260aにおいてねじ330により締結されて、窪み部260の移動体100外側に配置されている。そして、ハンドルベース320は、移動体100の内部側に配置されたブラケット(不図示)により、ベルトラインリンフォースメント210に結合されている。一方で、ハンドルノブ310は、移動体100前方では締結されず、締結された部位を中心にハンドルノブ310が
図5中矢印方向に揺動可能とされている。なお、挿入孔260aの周辺はベルトラインリンフォースメント410の延出部414cには被覆されていない。
【0019】
なお、
図5および
図6に示すように、延出部414cは、アウターパネル400の窪み部260を被覆する湾曲した第1部位414caと、アウターパネル400の窪み部260以外を被覆する平板状または屈折した平板状の第2部位414cbと、を有する形状である。そして、第1部位414caは、アウターパネル400の窪み部260には接触するが、第2部位414cbはアウターパネル400とは接触しない部分を有し、アウターパネル400と延出部414cとの間に空隙418が形成される形状である。この空隙414dにより、アウターパネル400と延出部414cとの接触による異音の発生を抑止し、かつアウターパネル400への延出部414cの組み付け精度を高めることができる。
【0020】
上述したように、従来の樹脂製のアウターパネル200は、サイドドア110の開閉を繰り返したときに、窪み部260またはその上部(ウインドウ240とハンドル300との間)を親指で繰り返し押すことによる変形や、ハンドルノブ310の開閉による荷重により、変形しやすかった。
【0021】
これに対し、本実施形態では、アウターパネル400の窪み部260を移動体100の内側からベルトラインリンフォースメント410の延出部414cによって被覆する。これにより、窪み部260およびその上部のアウターパネル400の剛性を高め、サイドドア110の開閉を繰り返したときのアウターパネル400の変形や、これによるアウターパネル400の浮き上がりを抑制することができる。
【0022】
また、本実施形態では、ハンドル300を、アウターパネル400およびベルトラインリンフォースメント410を貫通して配置してこれらに組み付けている。これにより、ハンドル300およびアウターパネル400を、ベルトラインリンフォースメント410により強固に固定し、アウターパネルを押す際の荷重や、ハンドルの揺動による荷重を、より効果的にベルトラインリンフォースメント410に負担させることができる。そのため、アウターパネル400の変形や、これによるアウターパネル400の浮き上がりが、さらに効果的に抑制される。
【0023】
さらには、ハンドル300を、アウターパネル400およびベルトラインリンフォースメント410を貫通して配置してこれらに組み付けることにより、ハンドル300とアウターパネル400とをより強固に固定することができる。これにより、アウターパネルをさらに車体から浮き上がりにくくされ、ハンドルによる開閉の不良がより生じにくくなる。
【0024】
さらには、ハンドル300を、アウターパネル400およびベルトラインリンフォースメント410を貫通して配置してこれらに組み付けることにより、ハンドル300とベルトラインリンフォースメント410とを結合するためのブラケットが不要となる。そのため、サイドドアのさらなる軽量化が可能となる。
【0025】
(材料)
アウターパネル400は、熱可塑性樹脂製であってもよいし、熱硬化性樹脂製であってもよい。これらのうち、アウターパネル400が熱可塑性樹脂製であるとき、上述した変形が生じやすいため、本実施形態による変形抑制の効果は顕著である。
【0026】
上記熱可塑性樹脂の例には、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートなどを含む熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)などを含むスチレン系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどを含むポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、およびポリメタクリレートなどが含まれる。これらのうち、比重が小さく、大面積であるこれらの部材に使用したときに移動体の重量を小さくできること、加工性が良好であること、および表面の光沢性が良好であり意匠性を高めやすいことから、ポリオレフィンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
【0027】
ベルトラインリンフォースメント410は、アルミニウムおよびその合金、ならびにステンレス等の鉄またはその合金などの、金属製とすることができる。なお、ベルトラインリンフォースのアウターパネル側、特にはフランジ部、より好ましくは延出部のアウターパネル側は、一方向に配向して配列した強化繊維に樹脂が含浸してなる繊維強化樹脂シートにより補強されていてもよい。このとき、繊維強化樹脂シートを繊維の配向方向が移動体100の上下方向または前後方向となるようにベルトラインリンフォースに貼り付ければよい。このとき、繊維の配向方向を、アウターパネルが変形しやすい方向に一致させることが好ましい。また、繊維の配向方向が異なる複数枚の繊維強化樹脂シートを貼り付けてもよい。
【0028】
ウインドウ240には、石英ガラスや樹脂ガラスなどの、移動体に従来使用されている光透過性材料を使用することができる。
【0029】
上記樹脂ガラスの例には、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)などを含むスチレン系樹脂、ポリアルキルメタクリレート、およびポリメタクリルメタクリレートなどを含むアクリル系樹脂、ポリフェニルエーテル、ポリカーボネート、非晶性ポリアルキレンテレフタレートポリエステル、非晶性ポリアミド、ポリ-4-メチルペンテン-1および環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、およびポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどを含む熱可塑性エラストマーなどが含まれる。これらのうち、耐衝撃性および耐熱性が高いことから、ポリカーボネート、特には芳香族含有ポリカーボネートが好ましい。なお、ウインドウ240は、樹脂ガラス製であり、アウターパネル400と一体的に多色成型されていてもよい。
【0030】
[その他の実施形態]
なお、上述した各実施形態は、あくまで本発明の例示的な実施形態であり、本発明は、本明細書に開示された技術思想の範囲内において、様々に変更された実施形態をとり得ることはいうまでもない。
【0031】
たとえば、上述の実施形態ではベルトラインリンフォースの延出部がアウターパネルの窪み部の一部のみを被覆するものとしたが、延出部はアウターパネルの窪み部の全部を被覆してもよい。
【0032】
また、上述の実施形態では、延出部はアウターパネルのハンドルが組み付けられる挿入孔も被覆し、アウターパネルの挿入孔と、対応する延出部の部位に形成された挿入孔を貫通して、ハンドルが組み付けられるとした。しかし、延出部はアウターパネルのハンドルが組み付けられる挿入孔までは延出しなくてもよい。
【0033】
また、ベルトラインリンフォースの延出部のうち、アウターパネルの窪み部を被覆する第1部位は、窪み部にウレタン系等の公知の接着剤で接着されていてもよい。あるいは、ベルトラインリンフォースの延出部は、アウターパネルの窪み部を被覆する限りにおいて、窪み部とは接触せず、これらの間にわずかに空隙を形成していてもよい。そして、上記空隙に、シーラーや緩衝材を配置してもよい。
【0034】
また、ベルトラインリンフォースの延出部のうち、アウターパネルの窪み部以外を被覆する第2部位は、アウターパネルに接触せず空隙を形成するとしたが、部分的に接触していてもよいし、移動体の移動を顕著に阻害しないのであれば、全体がアウターパネルに接触することを妨げない。
【0035】
また、上述の実施形態ではインナーパネルも樹脂製としていたが、インナーパネルは金属製であってもよい。
【0036】
また、上述の実施形態ではスライド式のサイドドアを例示して説明をしたが、スライド式以外の、ヒンジ型のサイドドアに上述の構成を採用してもよい。
【0037】
また、自動車のみならず、空飛ぶ自動車、バス、トラック、電車、飛行機、ヘリコプター、船舶などのあらゆる移動体に上述したサイドドアの構造を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に関するサイドドアは、アウターパネルが樹脂製であるため軽量であり、なおかつ開閉を繰り返したときのアウターパネルの変形が生じにくい。
【符号の説明】
【0039】
100 移動体
110 サイドドア
200 アウターパネル
210 ベルトラインリンフォースメント
212 凸部
214a、214b フランジ部
220 インパクトバー
230 スティフナ
240 ウインドウ
250 ナットプレート
260 窪み部
260a 挿入孔
300 ハンドル
302 キーシリンダ
310 ハンドルノブ
320 ハンドルベース
330、340 ねじ
400 アウターパネル
410 ベルトラインリンフォースメント
412 凸部
414a、414b フランジ部
414c 延出部
414ca 第1部位
414cb 第2部位
416 開口部
418 空隙