(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130962
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/20 20230101AFI20240920BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20240920BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240920BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H10B43/20
H01L27/00 301C
H01L27/00 301B
H10B43/27
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040945
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 晃平
(72)【発明者】
【氏名】森 伸二
(72)【発明者】
【氏名】春藤 健志
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP44
5F083ER02
5F083ER03
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA03
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA03
5F083KA05
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR28
5F101BA42
5F101BA44
5F101BA46
5F101BA47
5F101BB02
5F101BB08
5F101BC01
5F101BC02
5F101BC11
5F101BD16
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】半導体層間で不純物原子が拡散することを抑制可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置は、複数の電極層および複数の絶縁膜を交互に含む積層膜を備える。前記装置はさらに、前記積層膜内に設けられ、電荷蓄積層および第1半導体層を含む柱状部を備える。前記装置はさらに、前記積層膜上に設けられ、前記第1半導体層に接する第2半導体層を含む配線層を備える。前記第2半導体層内の結晶粒の粒径は、前記第1半導体層内の結晶粒の粒径よりも小さい。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極層および複数の絶縁膜を交互に含む積層膜と、
前記積層膜内に設けられ、電荷蓄積層および第1半導体層を含む柱状部と、
前記積層膜上に設けられ、前記第1半導体層に接する第2半導体層を含む配線層と、
を備え、
前記第2半導体層内の結晶粒の粒径は、前記第1半導体層内の結晶粒の粒径よりも小さい、半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体層と前記第2半導体層との界面は、前記複数の絶縁膜のうちの最上位の絶縁膜の上面よりも低い位置に設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体層と前記第2半導体層との界面は、前記複数の電極層のうちの最上位の電極層の上面よりも高い位置に設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1半導体層と前記第2半導体層との前記界面と、前記最上位の電極層の前記上面との距離は、20nm以上である、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記配線層は、ソース線であり、前記複数の電極層のうちの最上位の電極層は、ソース側選択線である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記配線層はさらに、前記第2半導体層上に設けられた金属層を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1および第2半導体層のうちの少なくとも前記第2半導体層は、不純物原子を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1および第2半導体層は、前記不純物原子の濃度が第1値である第1領域を、少なくとも前記第1半導体層内に含み、前記不純物原子の濃度が前記第1値よりも高い第2値である第2領域を、少なくとも前記第2半導体層内に含む、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1値は、1.0×1018atoms/cm3以下である、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2値は、1.0×1021atoms/cm3以上である、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2領域は、前記第1および第2半導体層に含まれる、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2領域の下端は、前記複数の絶縁膜のうちの最上位の絶縁膜の上面よりも低い位置に設けられている、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2領域の下端は、前記複数の電極層のうちの最上位の電極層の上面よりも高い位置に設けられている、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
複数の第1層および複数の絶縁膜を交互に含む積層膜を形成し、
前記積層膜内に、電荷蓄積層および第1半導体層を含む柱状部を形成し、
前記複数の第1層を複数の電極層に置換し、
前記積層膜上に、前記第1半導体層に接する第2半導体層を含む配線層を形成する、
ことを含み、
前記第1半導体層および前記第2半導体層は、前記第2半導体層内の結晶粒の粒径が、前記第1半導体層内の結晶粒の粒径よりも小さくなるよう形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1半導体層は、前記第1半導体層としてアモルファス層を形成し、前記アモルファス層内に金属原子を添加し、前記金属原子の添加後に前記アモルファス層を結晶化することで形成される、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2半導体層は、前記積層膜上に、前記第2半導体層の半導体材料として、不純物原子を含む半導体材料を形成することで形成されるか、または、前記積層膜上に前記第2半導体層の半導体材料を形成してから前記半導体材料に不純物原子を注入することで形成される、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1および第2半導体層のうちの少なくとも前記第2半導体層は、不純物原子を含むよう形成される、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1および第2半導体層は、前記不純物原子の濃度が第1値である第1領域を、少なくとも前記第1半導体層内に含み、前記不純物原子の濃度が前記第1値よりも高い第2値である第2領域を、少なくとも前記第2半導体層内に含むように形成される、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記配線層はさらに、前記第2半導体層上に設けられた金属層を含む、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記積層膜は、第1基板上に形成され、
前記第1基板は、前記積層膜を挟むように第2基板と貼り合わされ、前記第2基板と貼り合わされた後に除去され、
前記配線層は、前記第1基板が除去された後に、前記積層膜上に形成される、
請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チャネル半導体層がソース層内の半導体層と接している場合、ソース層内の不純物原子がチャネル半導体層に拡散することが問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開US2020/0168619号公報
【特許文献2】米国特許出願公開US2021/0043647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体層間で不純物原子が拡散することを抑制可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置は、複数の電極層および複数の絶縁膜を交互に含む積層膜を備える。前記装置はさらに、前記積層膜内に設けられ、電荷蓄積層および第1半導体層を含む柱状部を備える。前記装置はさらに、前記積層膜上に設けられ、前記第1半導体層に接する第2半導体層を含む配線層を備える。前記第2半導体層内の結晶粒の粒径は、前記第1半導体層内の結晶粒の粒径よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
【
図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/4)である。
【
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/4)である。
【
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/4)である。
【
図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/4)である。
【
図7】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図8】第1実施形態の半導体装置の構造を説明するための断面図とグラフである。
【
図9】第1実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
【
図10】第1実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
【
図11】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/6)である。
【
図12】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/6)である。
【
図13】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/6)である。
【
図14】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/6)である。
【
図15】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(5/6)である。
【
図16】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(6/6)である。
【
図17】第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を説明するための断面図とグラフである。
【
図18】第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図19】第2実施形態の半導体装置の構造を説明するための断面図とグラフである。
【
図20】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1~
図20において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0009】
本実施形態の半導体装置は、例えば3次元半導体メモリを備えている。本実施形態の半導体装置は、後述するように、アレイチップ1を含むアレイウェハと、回路チップ2を含む回路ウェハとを貼り合わせることで製造される。
【0010】
アレイチップ1は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ11と、メモリセルアレイ11下の層間絶縁膜12とを備えている。層間絶縁膜12は例えば、SiO2膜(シリコン酸化膜)とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。
【0011】
回路チップ2は、アレイチップ1下に設けられている。
図1は、アレイチップ1と回路チップ2との貼合面Sを示している。回路チップ2は、層間絶縁膜12下の層間絶縁膜13と、層間絶縁膜13下の基板14とを備えている。層間絶縁膜13は例えば、SiO
2膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。基板14は例えば、Si(シリコン)基板などの半導体基板である。基板14は、第2基板の例である。
【0012】
図1は、基板14の表面に平行でかつ互いに垂直なX方向およびY方向と、基板14の表面に垂直なZ方向とを示している。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差している。本明細書においては、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向とは一致していなくてもよい。
【0013】
アレイチップ1は、メモリセルアレイ11内の複数の電極層として、複数のワード線WLと、ソース側選択線SGSと、ドレイン側選択線SGDとを備えている。ソース側選択線SGSは、これらのワード線WLの上方に配置され、ドレイン側選択線SGDは、これらのワード線WLの下方に配置されている。
図1は、メモリセルアレイ11内の階段構造部21と、階段構造部21内に設けられた複数の梁部22とを示している。各ワード線WLは、コンタクトプラグ23を介してワード配線層24と電気的に接続されている。前述した複数のワード線WL、ソース側選択線SGS、およびドレイン側選択線SGDを貫通する各柱状部CLは、ビアプラグ25を介してビット線BLと電気的に接続されており、かつ、ソース線SLと電気的に接続されている。ソース線SLは、ソース側選択線SGSの上方に設けられており、ビット線BLは、ドレイン側選択線SGDの下方に設けられている。なお、
図1に示す絶縁膜62については後述する。
【0014】
回路チップ2はさらに、複数のトランジスタ31と、複数のコンタクトプラグ32と、配線層33と、配線層34と、配線層35と、複数のビアプラグ36と、複数の金属パッド37とを備えている。
【0015】
各トランジスタ31は、基板14上に順に設けられたゲート絶縁膜31aおよびゲート電極31bと、基板14内に設けられた不図示のソース領域およびドレイン領域とを含んでいる。各コンタクトプラグ32は、対応するトランジスタ31のゲート電極31b、ソース領域、またはドレイン領域上に設けられている。配線層33は、コンタクトプラグ32上に設けられており、複数の配線を含んでいる。配線層34は、配線層33上に設けられており、複数の配線を含んでいる。配線層35は、配線層34上に設けられており、複数の配線を含んでいる。ビアプラグ36は、配線層35上に設けられている。金属パッド37は、ビアプラグ36上に設けられている。金属パッド37は例えば、Cu(銅)層を含む金属層である。回路チップ2は、アレイチップ1の動作を制御する回路として機能する。この回路は、トランジスタ31などにより構成されており、金属パッド37に電気的に接続されている。
【0016】
アレイチップ1はさらに、複数の金属パッド41と、複数のビアプラグ42と、配線層43と、配線層44と、複数のビアプラグ45と、複数のビアプラグ46と、金属パッド47と、パッシベーション絶縁膜48とを備えている。
【0017】
金属パッド41は、金属パッド37上に設けられている。金属パッド41は例えば、Cu層を含む金属層である。上記の回路は、金属パッド41、37などを介してメモリセルアレイ11に電気的に接続されており、金属パッド41、37などを介してメモリセルアレイ11の動作を制御する。ビアプラグ42は、金属パッド41上に設けられている。配線層43は、ビアプラグ42上に設けられており、複数の配線を含んでいる。配線層44は、配線層43上に設けられており、複数の配線を含んでいる。上記のビット線BLは、配線層44内に含まれている。ビアプラグ45は、配線層44上に設けられている。ビアプラグ46は、ビアプラグ45上に設けられている。
【0018】
金属パッド47は、ビアプラグ46および層間絶縁膜12上に設けられている。金属パッド47は例えば、Cu層を含む金属層であり、本実施形態の半導体装置の外部接続パッド(ボンディングパッド)として機能する。パッシベーション絶縁膜48は、金属パッド47および層間絶縁膜12上に設けられている。パッシベーション絶縁膜48は例えば、SiO2膜およびSiN膜(シリコン窒化膜)を含む積層膜であり、金属パッド46の上面を露出させる開口部Pを有している。金属パッド46は、開口部Pを介してボンディングワイヤ、はんだボール、金属バンプなどにより実装基板や他の装置に接続可能である。
【0019】
図2は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。具体的には、
図2は、
図1に示す領域R1を拡大して示している。
【0020】
図2は、
図1に示すメモリセルアレイ11を示している。メモリセルアレイ11は、Z方向に交互に積層された複数の電極層51aおよび複数の絶縁膜51bを含む積層膜51を備えている。各電極層51aは例えば、ワード線WL、ソース側選択線SGS、またはドレイン側選択線SGDとして機能する。
図2は、ワード線WLとして機能する6つの電極層51aを例示している。各電極層51aは例えば、W(タングステン)層を含む金属層である。各絶縁膜51bは、例えばSiO
2膜である。なお、
図2に示す絶縁膜62については後述する。
【0021】
図2はさらに、
図1に示す複数の柱状部CLのうちの1つを示している。各柱状部CLは、積層膜51内に設けられている。各柱状部CLは、積層膜51の側面に順に設けられたブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53、トンネル絶縁膜54、チャネル半導体層55、およびコア絶縁膜56を含んでいる。各柱状部CLは、ワード線WLと共にセルトランジスタ(メモリセル)を構成し、ソース側選択線SGSと共にソース側選択トランジスタを構成し、ドレイン側選択線SGDと共にドレイン側選択トランジスタを構成している。
【0022】
ブロック絶縁膜52は例えば、SiO2膜である。電荷蓄積層53は、3次元半導体メモリの信号電荷を蓄積することが可能である。電荷蓄積層53は例えば、SiN膜などの絶縁膜である。電荷蓄積層53は、ポリシリコン層などの半導体層でもよい。トンネル絶縁膜54は例えば、SiO2膜またはSiON膜(シリコン酸窒化膜)である。チャネル半導体層55は、3次元半導体メモリのチャネルとして機能する。チャネル半導体層55は例えば、ポリシリコン層である。チャネル半導体層55は、第1半導体層の例である。コア絶縁膜56は例えば、SiO2膜である。
【0023】
図3~
図6は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0024】
図3は、複数のアレイチップ1を含むアレイウェハW1と、複数の回路チップ2を含む回路ウェハW2とを示している。
図3のアレイウェハW1の向きは、
図1のアレイチップ1の向きとは逆になっている。本実施形態では、アレイウェハW1と回路ウェハW2とを貼り合わせることで半導体装置を製造する。
図3は、貼合のために向きを反転される前のアレイウェハW1を示しており、
図1は、貼合のために向きを反転されて貼合およびダイシングされた後のアレイチップ1を示している。
【0025】
図3はさらに、アレイウェハW1の上面S1と、回路ウェハW2の上面S2とを示している。アレイウェハW1は、メモリセルアレイ11の下方に設けられた基板15を備えている。基板15は例えば、Si基板などの半導体基板である。基板15は、第1基板の例である。
【0026】
本実施形態ではまず、
図3に示すように、アレイウェハW1の基板15の上方にメモリセルアレイ11、層間絶縁膜12a(=層間絶縁膜12の一部)、階段構造部21、金属パッド41、ビアプラグ45などを形成する。また、回路ウェハW2の基板14の上方に層間絶縁膜13、トランジスタ31、金属パッド37などを形成する。次に、
図4に示すように、上面S1と上面S2とが対向するように、アレイウェハW1と回路ウェハW2とを機械的圧力により貼り合わせる。これにより、層間絶縁膜12aと層間絶縁膜13とが接着される。次に、アレイウェハW1および回路ウェハW2をアニールする。これにより、金属パッド41と金属パッド37とが接合される。このようにして、基板15と基板14とが、層間絶縁膜12a、13を介して貼り合わされる。
【0027】
次に、基板15をCMP(Chemical Mechanical Polishing)またはウェットエッチングにより除去し、基板14をCMPまたはウェットエッチングにより薄化する(
図5)。これにより、層間絶縁膜12a、柱状部CL、梁部22、ビアプラグ45などが露出する。
【0028】
次に、層間絶縁膜12a、柱状部CL、および梁部22上にソース線SLを形成し、層間絶縁膜12a上にソース線SLを介して層間絶縁膜12b(=層間絶縁膜12の残部)を形成する(
図6)。次に、層間絶縁膜12a内のビアプラグ45上にビアプラグ46を形成し、層間絶縁膜12bおよびビアプラグ46上に金属パッド47を形成する(
図6)。次に、層間絶縁膜12bおよび金属パッド47上にパッシベーション絶縁膜48を形成し、パッシベーション絶縁膜48内に開口部Pを形成する(
図6)。
【0029】
その後、アレイウェハW1および回路ウェハW2を複数のチップに切断する。このようにして、
図1に示す半導体装置が製造される。
【0030】
なお、
図1は、層間絶縁膜12と層間絶縁膜13との境界面や、金属パッド41と金属パッド37との境界面を示しているが、上記のアニール後はこれらの境界面が観察されなくなることが一般的である。しかしながら、これらの境界面のあった位置は、例えば金属パッド41の側面や金属パッド37の側面の傾きや、金属パッド41の側面と金属パッド37の側面との位置ずれを検出することで推定することができる。
【0031】
図7は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。具体的には、
図7は、
図1に示す領域R2を拡大して示している。
【0032】
図7は、
図2と同様に、積層膜51内に設けられた柱状部CLを示している。
図7では、最上位の電極層51aがソース側選択線SGSとなっており、その他の電極層51aがワード線WLとなっている。
図7はさらに、配線層61と、絶縁膜62とを示している。
【0033】
配線層61は、積層膜51および柱状部CL上に形成されており、複数の配線を含んでいる。
図7は、これらの配線のうちの1つであるソース線SLを示している。配線層61は、ソース層とも呼ばれる。
図7では、配線層61が、積層膜51および柱状部CL上に形成された半導体層61aと、半導体層61a上に形成された金属層61bとを含んでいる。半導体層61aは、第2半導体層の例である。
【0034】
半導体層61aは、チャネル半導体層55と接しており、チャネル半導体層55と電気的に接続されている。半導体層61aは、例えばポリシリコン層である。半導体層61aは、p型不純物原子またはn型不純物原子を含んでいる。半導体層61aは、半導体層61aは例えば、P(リン)原子を含むn型半導体層である。P原子は、半導体層61aだけでなく、チャネル半導体層55にも含まれていてもよい。本実施形態では、チャネル半導体層55が大粒径の結晶粒を含み、半導体層61aが小粒径の結晶粒を含み、半導体層61a内の結晶粒の粒径が、チャネル半導体層55内の結晶粒の粒径より小さくなっている。粒径のさらなる詳細については、後述する。
【0035】
金属層61bは、半導体層61aと接しており、半導体層61aと電気的に接続されている。金属層61bは、例えばAl(アルミニウム)層である。金属層61bと半導体層61aとの間に、バリア層(例:Ti(チタン)層やTiN膜)が形成されてもよい。
【0036】
絶縁膜62は、積層膜51内に形成されたスリットST(後述)内に形成されている。絶縁膜62は、例えばSiO2膜である。本実施形態の半導体装置はさらに、絶縁膜61内に形成された配線層(例えばゲート層)を備えていてもよい。
【0037】
図7では、積層膜51内の複数の電極層51aのうちの最上位の電極層51aが、ソース側選択線SGSとなっている。また、積層膜51内の複数の絶縁膜51bのうちの最上位の絶縁膜51bの膜厚が、他の絶縁膜51bの膜厚よりも厚くなっている。
図7では、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面が、最上位の絶縁膜51bの上面よりも低い位置に設けられており、より詳細には、最上位の電極層51aの上面とほぼ同じ高さに設けられている。後述するように、この界面は、
図7に示す高さとは異なる高さに設けられていてもよく、例えば、最上位の電極層51aの上面よりも高い位置に設けられていてもよい。
【0038】
図8は、第1実施形態の半導体装置の構造を説明するための断面図とグラフである。
【0039】
図8に示す左のグラフは、チャネル半導体層55および半導体層61a内の個々の部分のZ座標と粒径との関係を示している。
図8に示す右のグラフは、チャネル半導体層55および半導体層61a内の個々の部分のZ座標とP濃度(P原子の濃度)の関係を示している。
図8はさらに、
図7と同様に、積層膜51内に設けられた柱状部CLのXZ断面を示している。
【0040】
図8では、符号D1が、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より下方における粒径の値を示し、符号D2が、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より上方における粒径の値を示している。
図8では、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より下方における粒径の値D1が大きい値となっており、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より上方における粒径の値D2が小さい値となっている(D1>D2)。よって、半導体層61a内の結晶粒の粒径(D2)が、チャネル半導体層55内の結晶粒の粒径(D1)より小さくなっている。
【0041】
また、
図8では、符号P1が、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より下方におけるP濃度の値を示し、符号P2が、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より上方におけるP濃度の値を示している。
図8では、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より下方におけるP濃度の値P1が小さい値となっており、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より上方におけるP濃度の値P2が大きい値となっている(P1<P2)。よって、半導体層61a内のP濃度(P2)が、チャネル半導体層55内のP濃度(P1)より高くなっている。値P1は、例えば1.0×10
18atoms/cm
3以下である。値P1は、第1値の例である。値P2は、例えば1.0×10
21atoms/cm
3以上である。値P2は、第2値の例である。なお、チャネル半導体層55は、P原子を含んでいても含んでいなくてもよく、値P1は、ゼロでも正の値でもよい。
【0042】
図8のチャネル半導体層55および半導体層61aは、P濃度が値P1であるP1領域をチャネル半導体層55内に含んでおり、P濃度が値P2であるP2領域を半導体層61a内に含んでいる。後述するように、P2領域は、半導体層61aだけでなく、チャネル半導体層55の一部にまで拡がっていてもよい。逆に、P1領域は、チャネル半導体層55だけでなく、半導体層61aの一部にまで拡がっていてもよい。P1領域は、第1領域の例である。P2領域は、第2領域の例である。
【0043】
一般に、多結晶半導体層内の不純物原子は、多結晶半導体層内の粒界に沿って拡散しやすい。そのため、半導体層内の粒界の密度が高くなると、半導体層内で不純物原子が拡散しやすくなる。一方、半導体層内の結晶粒の粒径が大きくなるほど、半導体層内の粒界の密度は低くなる。よって、不純物原子は、結晶粒の粒径が小さい半導体層内では拡散しやすく、結晶粒の粒径が大きい半導体層内では拡散しにくい。そこで、本実施形態では、半導体層61a内の結晶粒の粒径を、チャネル半導体層55内の結晶粒の粒径よりも小さくする。これにより、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55に拡散することを抑制することが可能となる。
【0044】
図9は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
【0045】
図9は、チャネル半導体層55内の複数の結晶粒A1と、半導体層61a内の複数の結晶粒A2とを模式的に示している。
図9はさらに、チャネル半導体層55内の結晶粒A1間の粒界B1と、半導体層61a内の結晶粒A2間の粒界B2とを模式的に示している。
【0046】
図10は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
【0047】
図10(a)は、チャネル半導体層55のXZ断面における正方形領域と、正方形領域の一辺の長さLとを示している。長さLは、例えば50nmである。本実施形態では、チャネル半導体層55内の結晶粒A1の粒径を、正方形領域を用いて規定する。具体的には、チャネル半導体層55内の粒界B1の密度は、正方形領域内の粒界B1の長さの合計で表され、チャネル半導体層55内の結晶粒A1の粒径は、チャネル半導体層55内の粒界B1の密度で表されると考える。これにより、粒界B1の長さを用いて、結晶粒A1の粒径を算出することが可能となる。
【0048】
図10(b)は、半導体層61aのXZ断面における正方形領域を示している。この正方形領域の一辺の長さもLである。本実施形態では、半導体層61a内の結晶粒A2の粒径も、チャネル半導体層55内の結晶粒A1の粒径と同様に規定される。よって、結晶粒A2の粒径も、粒界B2の長さを用いて算出することができる。
【0049】
【0050】
まず、アレイウェハW1の基板15の上方に、複数の犠牲層51cおよび複数の絶縁膜51bをZ方向に交互に含む積層膜51を形成する(
図11(a))。積層膜51は、基板15の上方に、複数の犠牲層51cおよび複数の絶縁膜51bを交互に積層することで形成される。各犠牲層51cは、例えばSiN膜である。各犠牲層51cは、第1層の例である。なお、基板15と積層膜51との間の層間絶縁膜12aの図示は省略する。
【0051】
次に、リソグラフィおよびRIE(Reactive Ion Etching)により、積層膜51および基板15内に、複数のメモリホールMHを形成する(
図11(b))。
図11(b)は、これらのメモリホールMHのうちの1つを示している。これらのメモリホールMHは、Z方向に延びる柱状の形状を有するように形成され、かつ、積層膜51をZ方向に貫通するように形成される。
【0052】
次に、基板15の全面に、ブロック絶縁膜52と、電荷蓄積層53と、トンネル絶縁膜54と、チャネル半導体層55とを順に形成する(
図12(a))。その結果、各メモリホールMHの側面および底面に、ブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53、トンネル絶縁膜54、およびチャネル半導体層55が順に形成される。
図12(a)に示す工程では、チャネル半導体層55として、例えばアモルファスシリコン層が形成される。アモルファスシリコン層は、アモルファス層の例である。
【0053】
次に、チャネル半導体層55内に金属原子Mを添加し、金属原子Mの添加後にチャネル半導体層55をアニールする(
図12(b))。その結果、チャネル半導体層55が結晶化され、アモルファスシリコン層からポリシリコン層に変化する。金属原子Mは、例えばNi(ニッケル)原子である。本実施形態によれば、金属原子Mの添加後にチャネル半導体層55をアニールすることで、アモルファスシリコン層から形成されるポリシリコン層内の結晶粒の粒径を大きくすることが可能となる。本実施形態では、チャネル半導体層55の結晶化後に、チャネル半導体層55から金属原子Mを除去する処理を行ってもよい。
【0054】
次に、基板15の全面にコア絶縁膜56を形成する(
図13(a))。その結果、各メモリホールMH内にコア絶縁膜56が形成される。次に、CMPにより、メモリホールMH外のブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53、トンネル絶縁膜54、チャネル半導体層55、およびコア絶縁膜56を除去する(
図13(a))。その結果、各メモリホールMH内に柱状部CLが形成される。
【0055】
次に、ウェットエッチングにより、積層膜51および基板15内に、複数のスリットSTを形成する(
図13(b))。
図13(b)は、これらのスリットSTのうちの1つを示している。これらのスリットSTは、Z方向およびY方向に延びる板状の形状を有するように形成され、かつ、積層膜51をZ方向に貫通するように形成される。次に、これらのスリットSTからのウェットエッチングにより、積層膜51から犠牲層51cを除去する(
図13(b))。その結果、積層膜51内に複数の凹部Cが形成される。
【0056】
次に、これらのスリットSTを用いて、各凹部C内にブロック絶縁膜71、バリアメタル層72、および電極材層73を順に形成する(
図14(a))。その結果、バリアメタル層72および電極材層73を含む各電極層51aが、対応する凹部C内に形成される。このようにして、積層膜51内の複数の犠牲層51cが複数の電極層51aに置換される(リプレイス工程)。ブロック絶縁膜71は、例えばAlO
x膜(アルミニウム酸化膜)である。バリアメタル層72は、例えばTiN膜(チタン窒化膜)である。電極材層73は、例えばW層である。
【0057】
次に、各スリットST内に絶縁膜62を形成する(
図14(b))。
図14(a)に示す工程では、各スリットST内に絶縁膜62および配線層を順に形成してもよい。
【0058】
図14(b)は、回路ウェハW2と貼り合わされる前のアレイウェハW1を示しているのに対し、
図15(a)は、回路ウェハW2と貼り合わされた後のアレイウェハW1を示している。
【0059】
次に、ウェットエッチングにより、基板15を除去する(
図15(b))。その結果、各柱状部CLのブロック絶縁膜52が露出する。
【0060】
次に、エッチバックにより、各柱状部CLのブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53、トンネル絶縁膜54、およびチャネル半導体層55の一部を除去する(
図16(a))。その結果、各柱状部CLが
図16(a)に示す形状に加工され、各柱状部CLのチャネル半導体層55が露出する。
【0061】
次に、積層膜51上に配線層61を形成する(
図16(b))。その結果、各柱状部CL上に配線層61が形成され、各柱状部CLのチャネル半導体層55に配線層61が電気的に接続される。配線層61は、積層膜51上に半導体層61aおよび金属層61bを順に形成し、半導体層61aおよび金属層61bをエッチング加工することで形成される。半導体層61aは、各柱状部CLのチャネル半導体層55に接するように形成される。金属層61bは、半導体層61aに接するように形成される。
【0062】
本実施形態の半導体層61aは、P原子を含むよう形成される。例えば、半導体層61aは、積層膜51上に、半導体層61aの半導体材料として、P原子を含むアモルファスシリコン層を形成し、その後に当該アモルファスシリコン層を結晶化することで形成されてもよい。また、半導体層61aは、積層膜51上にアモルファスシリコン層を形成し、その後に当該アモルファスシリコン層内にP原子を注入し、その後に当該アモルファスシリコン層を結晶化することで形成されてもよい。これらの結晶化は、例えばアニールにより行われる。本実施形態によれば、P原子を含むよう半導体層61aを形成することで、半導体層61aの抵抗率を低減することが可能となる。
【0063】
本実施形態のチャネル半導体層55は、金属原子Mの添加という手法により、粒径の大きい結晶粒を含むように形成される。一方、本実施形態の半導体層61aは、このような手法を用いずに形成される。よって、本実施形態によれば、半導体層61a内の結晶粒の粒径を、チャネル半導体層55内の結晶粒の粒径よりも小さくすることが可能となる。これにより、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55に拡散することを抑制することが可能となり、
図8に示すP濃度の分布を実現することが可能となる。なお、半導体層61a内のP原子は、チャネル半導体層55内のP濃度が高くなり過ぎなければ、チャネル半導体層55内に拡散してもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、半導体層61aの抵抗率は、P濃度を高くすることで低減可能であるが、チャネル半導体層55の抵抗率は、結晶粒の粒径を大きくすることで低減可能である。
【0065】
図17は、第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を説明するための断面図とグラフである。
【0066】
図17は、
図8と同様に、チャネル半導体層55内の粒径の値D1と、半導体層61a内の粒径の値D2とを示している。ただし、本比較例では、値D2が値D1よりも大きくなっており(D1<D2)、半導体層61a内の結晶粒の粒径(D2)が、チャネル半導体層55内の結晶粒の粒径(D1)よりも大きくなっている。よって、本比較例では、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55に拡散しやすい。
図17の断面図に示す矢印は、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55に拡散する様子を、模式的に示している。
【0067】
図17は、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55に拡散しなかった場合のP濃度の例を点線で示し、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55に拡散した場合のP濃度の例を実線で示している。チャネル半導体層55および半導体層61a内のP濃度は、最上位の電極層51aの上面の下方で低濃度となることが望ましい。理由は、各電極層51aの付近でリーク電流が生じるのを抑制するためである。また、チャネル半導体層55および半導体層61a内のP濃度は、最上位の電極層51aの上面の上方で高濃度となることが望ましい。理由は、この領域ではリーク電流があまり問題とならず、むしろ、この領域の抵抗率を下げることが望ましいからである。しかしながら、本比較例のようにP原子が拡散すると、実線で示すP濃度が、最上位の電極層51aの上面の下方で、点線で示すP濃度より低くなり、最上位の電極層51aの上面の上方で、点線で示すP濃度より高くなってしてしまう。一方、本実施形態によれば、このような問題を抑制することが可能となる。
【0068】
以上のように、本実施形態では、半導体層61a内の結晶粒の粒径を、チャネル半導体層55内の結晶粒の粒径より小さくする。よって、本実施形態によれば、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55に拡散することを抑制することが可能となる。
【0069】
(第2実施形態)
図18は、第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0070】
本実施形態の半導体装置(
図18)は、第1実施形態の半導体装置(
図7など)と同様の構成要素を備えている。また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面が、最上位の絶縁膜51bの上面よりも低い位置に設けられている。しかしながら、本実施形態では、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面が、最上位の電極層51aの上面よりも高い位置に設けられている。チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面と、最上位の電極層51aの上面との距離は、例えば20nm以上である。すなわち、当該界面は、最上位の電極層51aの上面よりも、例えば20nm以上高い位置に位置している。本実施形態では、第1実施形態と同様に、半導体層61a内の結晶粒の粒径が、チャネル半導体層55内の結晶粒の粒径よりも小さくなっている。
【0071】
図19は、第2実施形態の半導体装置の構造を説明するための断面図とグラフである。
【0072】
図19では、
図8と同様に、符号D1が、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より下方における粒径の値を示し、符号D2が、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より上方における粒径の値を示している。
図19でも、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より下方における粒径の値D1が大きい値となっており、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より上方における粒径の値D2が小さい値となっている(D1>D2)。よって、半導体層61a内の結晶粒の粒径(D2)が、チャネル半導体層55内の結晶粒の粒径(D1)より小さくなっている。ただし、
図19では、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面が、最上位の電極層51aの上面よりも高い位置に設けられている。
【0073】
また、
図19では、符号P1が、チャネル半導体層55および半導体層61a内の下部におけるP濃度の値を示し、符号P2が、チャネル半導体層55および半導体層61a内の上部におけるP濃度の値を示している。具体的には、
図19のチャネル半導体層55および半導体層61aは、P濃度が値P1であるP1領域をチャネル半導体層55内に含んでおり、P濃度が値P2であるP2領域をチャネル半導体層55および半導体層61a内に含んでいる。すなわち、P2領域が、半導体層61aだけでなく、チャネル半導体層55の一部にまで拡がっている。よって、本実施形態のP2領域の下端は、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面より下方に設けられている。また、本実施形態のP2領域の下端は、最上位の絶縁膜51bの上面よりも低い位置に設けられており、かつ、最上位の電極層51aの上面よりも高い位置に設けられている。
【0074】
本実施形態のP濃度の分布は、例えば、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55内に少量だけ拡散することで実現される。本実施形態では、このような拡散が生じることを想定して、チャネル半導体層55と半導体層61aとの界面が、最上位の電極層51aの上面よりも高い位置に設けられている。よって、本実施形態によれば、このような拡散が生じても、P2領域の下端を、最上位の電極層51aの上面よりも高い位置に設けることが可能となる。これにより、第1実施形態と同様に、各電極層51aの付近でリーク電流が生じるのを抑制することが可能となる。なお、
図19に示す粒径の分布やP濃度の分布は、上述の理由とは異なる理由で設定されてもよい。
【0075】
本実施形態でも、値P1は、例えば1.0×1018atoms/cm3以下であり、値P2は、例えば1.0×1021atoms/cm3以上である。さらに、P1領域は、P原子を含んでいても含んでいなくてもよく、値P1は、ゼロでも正の値でもよい。
【0076】
図20は、第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0077】
まず、
図11(a)~
図15(b)に示す工程を行う。次に、エッチバックにより、各柱状部CLのブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53、トンネル絶縁膜54、およびチャネル半導体層55の一部を除去する(
図20(a))。その結果、各柱状部CLが
図20(a)に示す形状に加工され、各柱状部CLのチャネル半導体層55が露出する。チャネル半導体層55の上面は、
図16(a)では最上位の電極層51aの上面とほぼ同じ高さになっているが、
図20(a)では最上位の電極層51aの上面よりも高くなっている。
【0078】
次に、積層膜51上に配線層61を形成する(
図20(b))。
図20(b)に示す工程は、
図16(b)に示す工程と同様に行われる。ただし、
図20(b)に示す工程では、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55内に少量だけ拡散する。これにより、前述したP濃度の分布が実現される。
【0079】
以上のように、本実施形態では、半導体層61a内の結晶粒の粒径を、チャネル半導体層55内の結晶粒の粒径より小さくする。よって、本実施形態によれば、半導体層61a内のP原子がチャネル半導体層55に拡散することを抑制することが可能となる。半導体層61aからチャネル半導体層55へのP原子の拡散は、完全に抑制されてもよいし、少量に抑制されてもよい。
【0080】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0081】
1:アレイチップ、2:回路チップ、
11:メモリセルアレイ、12:層間絶縁膜、12a:層間絶縁膜、
12b:層間絶縁膜、13:層間絶縁膜、14:基板、15:基板、
21:階段構造部、22:梁部、23:コンタクトプラグ、
24:ワード配線層、25:ビアプラグ、
31:トランジスタ、31a:ゲート絶縁膜、31b:ゲート電極、
32:コンタクトプラグ、33:配線層、34:配線層、
35:配線層、36:ビアプラグ、37:金属パッド、
41:金属パッド、42:ビアプラグ、43:配線層、
44:配線層、45:ビアプラグ、46:ビアプラグ、
47:金属パッド、48:パッシベーション絶縁膜、
51:積層膜、51a:電極層、51b:絶縁膜、51c:犠牲層、
52:ブロック絶縁膜、53:電荷蓄積層、54:トンネル絶縁膜、
55:チャネル半導体層、56:コア絶縁膜、
61:配線層、61a:半導体層、61b:金属層、62:絶縁膜、
71:ブロック絶縁膜、72:バリアメタル層、73:電極材層