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特開2024-130967車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130967
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040954
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】寺町 知峰
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL04
5H181LL09
5H181MC25
(57)【要約】
【課題】乗員に配慮した車両の制御を実現すること。
【解決手段】車両制御装置は、自車両の周辺の状況を認識する認識部と、前記周辺の状況に基づいて、前記自車両の操舵を制御して前記自車両を前記自車両が走行する第1車線から前記第1車線に隣接する第2車線へ車線変更させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記車線変更する予定のときに前記車線変更する方向であって前記第2車線に隣接する対象の路肩に車両が存在しない場合、前記車線変更を実行し、前記路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺の状況を認識する認識部と、
前記周辺の状況に基づいて、前記自車両の操舵を制御して前記自車両を前記自車両が走行する第1車線から前記第1車線に隣接する第2車線へ車線変更させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記車線変更する予定のときに前記車線変更する方向であって前記第2車線に隣接する対象の路肩に車両が存在しない場合、前記車線変更を実行し、
前記路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制する、
車両制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記対象の路肩に前記車両が停止している場合、前記車線変更を実行しない、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記対象の路肩を走行する車両が存在する場合、前記車線変更を実行しない、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
対象の路肩に前記車両が存在している場合、第1計画に基づく前記第2車線への車線変更を抑制し、
前記対象の路肩は、対象区間の前記第2車線に隣接する路肩の領域であり、
前記対象区間は、前記自車両が前記第1計画に基づいて車線変更を実行したと想定したとき前記車線変更中の第1時刻から前記車線変更が終了する第2時刻までの間に前記自車両が位置する前記自車両の進行方向に関する区間である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記路肩を走行する車両が存在し、
対象の路肩を対象の時間に走行する前記車両が存在すると想定される場合、第1計画に基づく前記第2車線への車線変更を抑制し、
前記対象の路肩は、対象区間の前記第2車線に隣接する路肩の領域であり、
前記対象区間は、前記自車両が前記第1計画に基づいて車線変更を実行したと想定したとき前記車線変更中の第1時刻から前記車線変更が終了する第2時刻までの対象の時間の間に前記自車両が位置する前記車両の進行方向に関する区間である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記路肩に車両が存在する場合、前記路肩の車両を通過した後、車線変更を実行する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記路肩の車両を通過する前に、通知装置を介して前記自車両の乗員に車線変更を行うことを通知する、
請求項6に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記路肩の車両を通過する前に、方向指示器に前記第2車線へ車線変更することを表示させる、
請求項6に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
通知装置を介して前記車線変更を行う旨の通知を前記自車両の乗員に行った後、前記車線変更を実行し、
対象区間の前記第2車線に隣接する路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制し、
前記対象区間は、前記通知を行う予定の第3時刻の前記自車両の位置から前記車線変更が完了する予定の第4時刻の前記自車両の位置までの前記自車両の進行方向に関する区間である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
方向指示器に前記第2車線へ車線変更することを表示させた後、前記車線変更を実行し、
対象区間の前記第2車線に隣接する路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制し、
前記対象区間は、前記方向指示器に前記第2車線へ車線変更することを表示させる予定の第5時刻の前記自車両の位置から前記車線変更が完了する予定の第6時刻の前記自車両の位置までの前記自車両の進行方向に関する区間である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記車線変更を実行する予定であり、
対象区間の前記第2車線に隣接する路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制し、
前記予定において前記自車両が前記第2車線の区画線に接する予定の第7時刻の前記自車両の位置から前記車線変更が完了する予定の第8時刻の前記自車両の位置までの前記自車両の進行方向に関する区間である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項12】
コンピュータが、
自車両の周辺の状況を認識する処理と、
前記周辺の状況に基づいて、前記自車両の操舵を制御して前記自車両を前記自車両が走行する第1車線から前記第1車線に隣接する第2車線へ車線変更させる処理と、
前記車線変更する予定のときに前記車線変更する方向であって前記第2車線に隣接する対象の路肩に車両が存在しない場合、前記車線変更を実行する処理と、
前記路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制する処理と、
を実行する車両制御方法。
【請求項13】
コンピュータに、
自車両の周辺の状況を認識する処理と、
前記周辺の状況に基づいて、前記自車両の操舵を制御して前記自車両を前記自車両が走行する第1車線から前記第1車線に隣接する第2車線へ車線変更させる処理と、
前記車線変更する予定のときに前記車線変更する方向であって前記第2車線に隣接する対象の路肩に車両が存在しない場合、前記車線変更を実行する処理と、
前記路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の状況に配慮した持続可能な輸送システムを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて運転支援技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。従来、車両の周辺の状況に基づいて、車線変更の挙動を制御する制御装置が開示されている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-100534号公報
【特許文献2】特開2021-138243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の制御装置では、乗員への配慮が十分でない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、乗員に配慮した車両の制御を実現することができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。延いては乗員に配慮した持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両制御装置は、自車両の周辺の状況を認識する認識部と、前記周辺の状況に基づいて、前記自車両の操舵を制御して前記自車両を前記自車両が走行する第1車線から前記第1車線に隣接する第2車線へ車線変更させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記車線変更する予定のときに前記車線変更する方向であって前記第2車線に隣接する対象の路肩に車両が存在しない場合、前記車線変更を実行し、前記路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制する。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記対象の路肩に前記車両が停止している場合、前記車線変更を実行しない。
【0008】
(3):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記対象の路肩を走行する車両が存在する場合、前記車線変更を実行しない。
【0009】
(4):上記(1)の態様において、前記制御部は、対象の路肩に前記車両が存在している場合、第1計画に基づく前記第2車線への車線変更を抑制し、前記対象の路肩は、対象区間の前記第2車線に隣接する路肩の領域であり、前記対象区間は、前記自車両が前記第1計画に基づいて車線変更を実行したと想定したとき前記車線変更中の第1時刻から前記車線変更が終了する第2時刻までの間に前記自車両が位置する前記自車両の進行方向に関する区間である。
【0010】
(5):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記路肩を走行する車両が存在し、対象の路肩を対象の時間に走行する前記車両が存在すると想定される場合、第1計画に基づく前記第2車線への車線変更を抑制し、前記対象の路肩は、対象区間の前記第2車線に隣接する路肩の領域であり、前記対象区間は、前記自車両が前記第1計画に基づいて車線変更を実行したと想定したとき前記車線変更中の第1時刻から前記車線変更が終了する第2時刻までの対象の時間の間に前記自車両が位置する前記車両の進行方向に関する区間である。
【0011】
(6):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記路肩に車両が存在する場合、前記路肩の車両を通過した後、車線変更を実行する。
【0012】
(7):上記(6)のいずれかの態様において、前記制御部は、前記路肩の車両を通過する前に、通知装置を介して前記自車両の乗員に車線変更を行うことを通知する。
【0013】
(8):上記(6)の態様において、前記制御部は、前記路肩の車両を通過する前に、方向指示器に前記第2車線へ車線変更することを表示させる。
【0014】
(9):上記(8)の態様において、前記制御部は、通知装置を介して前記車線変更を行う旨の通知を前記自車両の乗員に行った後、前記車線変更を実行し、対象区間の前記第2車線に隣接する路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制し、前記対象区間は、前記通知を行う予定の第3時刻の前記自車両の位置から前記車線変更が完了する予定の第4時刻の前記自車両の位置までの前記自車両の進行方向に関する区間である。
【0015】
(10):上記(1)の態様において、前記制御部は、方向指示器に前記第2車線へ車線変更することを表示させた後、前記車線変更を実行し、対象区間の前記第2車線に隣接する路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制し、前記対象区間は、前記方向指示器に前記第2車線へ車線変更することを表示させる予定の第5時刻の前記自車両の位置から前記車線変更が完了する予定の第6時刻の前記自車両の位置までの前記自車両の進行方向に関する区間である。
【0016】
(11):上記(1)の態様において、前記制御部は、前記車線変更を実行する予定であり、対象区間の前記第2車線に隣接する路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制し、前記予定において前記自車両が前記第2車線の区画線に接する予定の第7時刻の前記自車両の位置から前記車線変更が完了する予定の第8時刻の前記自車両の位置までの前記自車両の進行方向に関する区間である。
【0017】
(12):本発明の他の態様に係る車両制御方法は、コンピュータが、自車両の周辺の状況を認識する処理と、前記周辺の状況に基づいて、前記自車両の操舵を制御して前記自車両を前記自車両が走行する第1車線から前記第1車線に隣接する第2車線へ車線変更させる処理と、前記車線変更する予定のときに前記車線変更する方向であって前記第2車線に隣接する対象の路肩に車両が存在しない場合、前記車線変更を実行する処理と、前記路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制する処理と、を実行する。
【0018】
(13):本発明の他の態様に係るプログラムは、自車両の周辺の状況を認識する処理と、前記周辺の状況に基づいて、前記自車両の操舵を制御して前記自車両を前記自車両が走行する第1車線から前記第1車線に隣接する第2車線へ車線変更させる処理と、前記車線変更する予定のときに前記車線変更する方向であって前記第2車線に隣接する対象の路肩に車両が存在しない場合、前記車線変更を実行する処理と、前記路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制する処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0019】
(1)-(13)の態様によれば、乗員に配慮した車両の制御を実現することができる。例えば、車両制御装置は、路肩に存在する車両に向かって動くような挙動を自車両に行わせないため、乗員が不安を感じないように車線変更を行うことができる。
【0020】
(3)の態様によれば、車両制御装置は、路肩を並走する車両など路肩を走行する車両に対して向かって動くような挙動を自車両に行わせないため、乗員が不安を感じないように車線変更を行うことができる。
【0021】
(6)の態様によれば、車両制御装置は、路肩の車両を通過した後に自車両に車両変更を行わせるため、乗員が不安を感じないような車線変更を行うことができる。
【0022】
(7)の態様によれば、車両制御装置は、乗員に車線変更のタイミングを通知装置に通知または方向指示器に表示をさせるため、乗員の安心感が向上する。例えば、路肩を通過する前に車線変更の通知または方向指示器による表示がされ、その後(例えば路肩を通り過ぎるタイミングで)、車線変更が開始されることを乗員は容易に認識することができる。
【0023】
(8)-(10)のいずれかかの態様によれば、車両制御装置は、車線変更するときに乗員が不安を感じる可能性がある路肩の車両を精度よく判定することできる。これにより、車両制御装置は、より確実に乗員が不安を感じないように車線変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る車両制御システムを利用した車両システム1の構成図である。
図2】車両Mが車線変更しない場面の一例を示す図である。
図3】路肩領域について説明するための図(1)である。
図4】第1地点が方向指示器を点灯させるタイミングである場合の一例を示す図である。
図5】路肩領域について説明するための図(2)である。
図6】自車両Mが車線変更を延期する場面の一例を示す図(1)である。
図7】自車両Mが車線変更を延期する場面の一例を示す図(2)である。
図8】運転支援装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】移動開始後に車線変更を中止する場合の一例を示す図である。
図10】移動開始後に車線変更を継続する場合の一例を示す図である。
図11】運転支援装置100により実行される処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。
図12】車線変更を延期する場面の一例を示す図である。
図13】車線変更を延期しない場面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0026】
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御システムを利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0027】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU60と、ドライバモニタカメラ70と、運転操作子80と、運転支援装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。運転支援装置100は「車両制御装置」の一例である。
【0028】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0029】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0030】
LIDAR14は、自車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0031】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を運転支援装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま運転支援装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。
【0032】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0033】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。HMI30は表示装置を備える。表示装置(表示部)は、例えば、自車両Mのインストルメントパネルの中央部に設けられ、自車両Mの走行速度を表す速度計(スピードメータ)または自車両Mが備える内燃機関の回転数(回転速度)を表す回転速度計(タコメータ)など、自車両Mにおける種々の情報を表示させるディスプレイ装置、いわゆるマルチインフォメーションディスプレイである。HMI30または後述するナビHMI52は、通知装置の一例である。
【0034】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0035】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0036】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0037】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報、或いは車線の境界の情報等を含んでいる。第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0038】
ドライバモニタカメラ70は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。ドライバモニタカメラ70は、自車両Mの運転席に着座した乗員(以下、ドライバ)の頭部を正面から(顔面を撮像する向きで)撮像可能な位置および向きで、自車両Mにおける任意の箇所に取り付けられる。例えば、ドライバモニタカメラ70は、自車両Mのインストルメントパネルの中央部に設けられたディスプレイ装置の上部に取り付けられる。ドライバモニタカメラ70は、配置された位置から自車両Mの運転者を含む車室内を撮影した画像を、運転支援装置100に出力する。
【0039】
運転操作子80は、例えば、ステアリングホイール82の他、方向指示器の操作スイッチ、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、その他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量、或いは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、運転支援装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。ステアリングホイール82は、必ずしも環状である必要は無く、異形ステアリングホイールやジョイスティック、ボタンなどの形態であってもよい。ステアリングホイール82には、ステアリング把持センサ86が取り付けられている。
【0040】
ステアリング把持センサ86は、例えば、静電容量センサや圧電素子などにより実現される。ステアリング把持センサ86は、運転者がステアリングホイール82を把持している状態か否かを検知する。把持とは、運転者がステアリングホイールを握っている状態や、手がステアリングホイ-ルに接触し且つ所定度合以上の力がステアリングホイールに加えられている状態等である。
【0041】
ステアリング把持センサ86は、カメラにより撮像された画像に基づいて把持を検知したり、レーダ装置などの光学手法を用いて把持を検知したりするもの(センサとの接触を要しない手法)であってもよい。
【0042】
運転支援装置100は、例えば、認識部110と、ドライバ認識部120と、判定処理部130と、速度制御部140と、車線維持制御部150と、車線変更制御部160と、計画部170と、情報提供部180と、記憶部190とを備える。これらの機能部の一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。少なくとも判定処理部130と車線変更制御部160とを合わせた機能構成は、「制御部」の一例である。
【0043】
記憶部190は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。記憶部190には、例えば、物体情報192が記憶されている。物体情報192は、例えば、認識部110が認識した物体の識別情報に対して、当該物体の位置や、物体の属性、物体の認識の信頼度などが対応付けられた情報である。運転支援装置100は、物体情報192を参照して、物体の特性を認識することができる。運転支援装置100は、例えば、物体が道路の路肩領域に存在することや、物体の属性が車両であること、物体の認識の信頼度が閾値以上であることを認識することができる。物体の認識の信頼度とは、認識部110が予め定められた所定のアルゴリズムやモデルなどに基づいて導出した信頼度のスコアが閾値以上であることである。
【0044】
認識部110は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、或いは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0045】
認識部110は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部110は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。認識部110は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。認識部110は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
【0046】
認識部110は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部110は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部110は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0047】
ドライバ認識部120は、ドライバモニタカメラ70により撮像された画像に基づいて、運転者が所定の状態であるか否かを検知する。所定の状態とは、後述するハンズオフ車線維持制御を実行可能な状態である。ハンズオフとは運転者がステアリングホイールを把持していない状態であり、ハンズオンとは運転者がステアリングホイールを把持している状態である。ハンズオフ車線維持制御が実行可能な状態とは、運転者が前方(または自車両Mの周辺)を監視している状態である。前方を監視とは、例えば、車両システム1による自車両Mの制御から運転者による自車両Mの操作に運転者が迅速に引き継ぐことができるように運転者が前方を監視していることである。前方を監視とは、例えば、運転者の視線が前方を向いていることである。
【0048】
判定処理部130は、後述する路肩に車両が存在するか否かを判定し、路肩に車両が存在すると判定した場合、車線変更制御部160に車線変更を抑制させる。抑制とは、車線変更の中止や、車線変更の延期などである。この処理の詳細については後述する。
【0049】
速度制御部140は、運転者の操作に依らずに自動で走行駆動力出力装置200およびブレーキ装置210を制御して、自車両Mの速度を自動で制御する。速度制御部140は、いわゆるACC(Adaptive Cruise Control)を実行する。
【0050】
速度制御部140は、例えば、自車両Mの前方であって自車両Mから所定距離以内に他車両が存在しない場合、運転者によって設定された速度や法定速度、道路に応じて予め設定された速度で自車両Mが移動するように、運転者の操作に依らずに自動で走行駆動力出力装置200およびブレーキ装置210を制御する。
【0051】
速度制御部140は、例えば、自車両Mの前方であって自車両Mから所定距離以内に他車両が存在する場合、他車両に追従するように、運転者の操作に依らずに自動で走行駆動力出力装置200およびブレーキ装置210を制御する。追従とは、自車両Mが、他車両の後方であって他車両から所定距離の位置を維持しながら走行することである。
【0052】
車線維持制御部150は、自車両Mが走行車線から逸脱しないようにステアリング装置220を制御する。例えば、車線維持制御部150は、認識部110が認識した走行車線の中央または中央付近を自車両Mが走行するようにステアリング装置220を制御する。以下、この制御を「車線維持制御」と称することがある。車線維持制御部150は、ハンズオン車線維持制御と、ハンズオフ車線維持制御とを実行する。
【0053】
ハンズオン車線維持制御は、運転者がステアリングホイールを把持している状態(ステアリング把持センサ86がステアリングホイールの把持を検出している状態)で実行される制御である。ハンズオン車線維持制御が実行可能な条件は、ハンズオフ車線維持制御が実行可能な条件よりも緩い。例えば、ハンズオン車線維持制御は、自車両Mの速度が所定速度以上であり、且つ運転者が前方を監視していることを条件に実行される。
【0054】
ハンズオフ車線維持制御は、運転者がステアリングホイールを把持していない状態(ステアリング把持センサ86がステアリングホイールの把持を検出していない状態)で実行される制御である。ハンズオフ車線維持制は、例えば、以下の条件を満たした場合に実行可能である。自車両Mの速度が所定速度以上であること、所定の道路(例えば予めハンズオフ車線維持制が実行可能であると設定された道路または道路の種別)を自車両Mが走行していること、および運転者が前方を監視していることである。運転者が前方を監視している場合にハンズオフ車線維持制御が実行され、運転者が前方を監視していない場合はハンズオフ車線維持制御が実行されない、または停止する。
【0055】
上述したハンズオン車線維持制御およびハンズオフ車線維持制御が実行可能な条件は、一例であり、他の条件(例えば、自車両Mが前走車両に追従していること)を含んだり、一部の条件が省略されたりしてもよい。ハンズオン車線維持制御が実行可能な条件は、ハンズオフ車線維持が実行可能な条件よりも緩ければよい(ハンズオフ車線維持制御が実行可能な条件は、ハンズオン車線維持が実行可能な条件よりも厳しければよい)。
【0056】
車線変更制御部160は、自車両Mを自動で車線変更させる。車線変更制御部160は、例えば、車線変更のための目標軌道を生成し、生成した軌道に沿って自車両Mが走行するように自車両Mを車線変更させる。目標軌道は、自車両Mが将来走行する軌道である。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいてもよい。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0057】
車線変更制御部160は、乗員に設定された目的地や、計画部170に生成された経路、MPU60に出力された推奨車線に基づいて、自車両Mを車線変更(ALC;オートレーンチェンジ)させる。例えば、車線変更制御部160は、目的地に向かうために車線変更が必要な場合、車線変更を行う。例えば、運転者が予めオートレーンチェンジを利用することを設定している場合(オートレーンチェンジ使用中である場合)に、このオートレーンチェンジが実行される。
【0058】
車線変更制御部160は、運転者によって車線変更の指示がされた場合、自動で自車両Mを車線変更させてもよい。車線変更の指示とは、方向指示器の操作スイッチのレバー部の操作である。例えば、運転者が、自車両Mを車線変更させたい方向にレバー部が操作すると、操作に応じた方向に自車両Mが車線変更する。車線変更の指示は、方向指示器の操作スイッチのレバー部の操作とは異なる操作であってもよい。例えば、所定の操作ボタンが押された場合、車線変更が行われてもよい。
【0059】
車線変更制御部160は、例えば、以下の条件を満たした場合に、車線変更を実行する。条件は、例えば、車線変更先の車線に障害物が存在しないことや、車線変更を行う場合に周辺の他車両に干渉しないこと、車線変更の禁止区間でないこと(車線変更の禁止の道路標示や標識がないこと)、車線変更先の車線が認識されていること(実在していること)、車両センサ40により検出されたヨーレートが閾値未満であること、走行中の道路の曲率半径が所定値以上であることなどである。車線変更を実行する条件は、他の条件を含んでもよいし、一部の条件は省略されてもよい。
【0060】
車線変更制御部160は、例えば、運転者がステアリングホイールを把持していること(ステアリング把持センサ86がステアリングホイールの把持を検出していること)を条件に車線変更を実行してもよい。
【0061】
計画部170は、自車両Mが乗員により設定された目的地に向かう経路に基づいて、自車両Mを走行させる計画を生成する。計画部170は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自車両Mが自動的に(運転者の操作に依らずに)将来走行する経路や走行車線、目標軌道を生成する。
【0062】
計画部170は、例えば、速度制御部140、車線維持制御部150、および車線変更制御部160と連携して目標軌道を自車両Mに走行させる。この制御を、「運転支援制御」と称することがある。
【0063】
例えば、計画部170は、自車両Mの運転者が自車両Mの周辺を監視している状態において、速度制御部140が自車両Mの速度を制御し、車線維持制御部150または車線変更制御部160が操舵を制御して、自動で自車両Mに第1車線を走行させたり、自動で自車両Mを第1車線から第2車線へ車線変更させたりする。計画部170は、必要に応じて運転者が速度を制御、ステアリングホイールを把持、またはステアリングホイールを操作して目的地に到達するように自車両Mの行動の計画を生成する。例えば、計画部170は、第1区間では運転者の操作で自車両Mを走行させ、第2区間では運転支援装置100による制御で自車両Mを走行させる計画を生成し、計画に応じて運転者、判定処理部130、速度制御部140、車線維持制御部150、および車線変更制御部160と連携して自車両Mを走行させる。
【0064】
情報提供部180は、HMI30に自車両Mの状態や、運転支援に関する各種情報を音声または画像で出力させる。例えば、情報提供部180は、自車両Mが車線変更を実行する予定であり、且つ車線変更を開始する前に車線変更する旨の通知を行う。
【0065】
走行駆動力出力装置200は、自車両Mが走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、速度制御部140から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0066】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、速度制御部140から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。
【0067】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、車線維持制御部150または車線変更制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0068】
[車線変更に関する処理(1)]
運転支援装置100は、自車両Mが第1車線から第2車線へ車線変更する予定(計画)のときに車線変更する方向であって第2車線に隣接する対象の路肩に車両が存在しない場合、車線変更を実行し、対象の路肩に車両が存在する場合、車線変更を抑制する。運転支援装置100は、対象の路肩に車両が停止している場合、自車両Mに車線変更を実行させない。車線変更する方向とは、例えば、自車両Mから自車両Mの前方数十メートルまでの領域の路肩や、自車両Mの前方第1所定距離から自車両Mの前方第2距離(第1距離よりも長い距離)までの領域の路肩である。
【0069】
車線変更する方向であって第2車線に隣接する対象の路肩とは、例えば、自車両Mが車線変更を開始する位置(例えば横移動を開始するタイミングの位置や、乗員に車線変更を通知するタイミングの位置、方向指示器を点灯させるタイミングの位置)から車線変更または横移動を終了する位置までの区間に対応する路肩の領域である。終了とは、例えば自車両Mが車線変更先の車線の中央に位置したときや、中央から所定距離走行したとき、中央に近づいたときなど任意のタイミングである。終了とは、例えば、ハンズオンで車線変更を実行したときにハンズオフ車線維持制御で制御可能となったとき(制御が切り替わるタイミング)であってもよい。
【0070】
運転支援装置100の判定処理部130は、路肩領域を設定し、設定した路肩領域(対象の路肩)に他車両が存在している場合、車線変更を延期する。運転支援装置100は、例えば、路肩領域に他車両が存在している場合、第1計画に基づく第2車線への車線変更を抑制する。第1計画とは、例えば、車線変更の計画であって自車両Mが車線変更を開始してから終了するまでの軌道に基づく将来の自車両Mの挙動である。
【0071】
対象の路肩は、対象区間の第2車線に隣接する路肩である。対象区間は、自車両Mが第1計画に基づいて車線変更を実行したと想定したとき車線変更中の第1時刻から車線変更を終了する第2時刻までの間に自車両Mが位置する自車両Mの進行方向に関する区間である。
【0072】
図2は、自車両Mが車線変更しない場面の一例を示す図である。自車両Mは、車線L1を走行している。自車両Mは、車線L1(第1車線)から車線L2(第2車線)に車線変更して目的地に向かう予定である。運転支援装置100は、例えば、予め計画されたタイミングで車線変更するために、車線変更する際の軌道(将来の軌道)を生成する。運転支援装置100は、将来の軌道に基づいて路肩Sに路肩領域ARを設定し、路肩領域ARに他車両が存在している場合、車線変更を実行しない。
【0073】
路肩領域ARに他車両が存在とは、他車両の一部が路肩領域ARに存在していることであってもよいし、他車両の全部が路肩領域ARに存在していることであってもよい。例えば、路肩領域ARの幅方向については、他車両の一部が路肩領域ARに存在していることであってもよいし、他車両の全部が路肩領域ARに存在していることであってもよい。路肩領域ARの長さ方向についても同様である。
【0074】
[路肩領域を設定する処理(1)]
図3は、路肩領域について説明するための図(1)である。判定処理部130は、路肩の幅Wが閾値Th1以上である場合、路肩と、路肩に所定距離α1(例えば0.5m)を車線L2側に延在させた幅の領域とを包含するように路肩領域ARを設定する。判定処理部130は、将来の軌道のうち第1地点P1から第2地点P2までの区間(自車両Mの進行方向に関する長さ方向の区間)を路肩領域ARの長さに設定する。
【0075】
第1地点P1は、例えば、自車両Mが車線変更において車線L2の車線L1側の道路区画線に接する推定される時刻(第1時刻または第7時刻)の位置であり、第2地点P2は、例えば、自車両Mが車線変更を完了(または終了)すると推定される時刻(第2時刻または第8時刻)の位置である。車線変更の完了とは、自車両M(自車両Mの基準位置)が車線L2の中央または中央付近に到達したことや、自車両Mが車線L2の中央または中央付近に到達し且つ自車両Mが車線L2の中央を走行するように制御が開始されたこと、車線変更の制御から他の制御に切り替わったことなどである。第1地点から第2地点までの区間は、対象区間の一例である。対象区間は任意に設定されてもよい。
【0076】
[路肩領域を設定する処理(2)]
第1地点P1および第2地点P2は、例えば、車線変更に関連する自車両Mの挙動に基づくタイミングに対応する位置であればよい。第1地点P1は、例えば、運転支援装置100が乗員に車線変更を行うことを通知する時刻の自車両Mの位置や、方向指示器を点灯させる時刻の自車両Mの位置など任意の位置であってもよい。第2地点P2は、自車両Mが車線L2に到達したタイミングの位置や、自車両Mの車体が所定度合以上(所定割合以上)車線L2に進入したタイミングの位置、自車両Mが車線L2に進入した後所定距離走行したタイミングの位置などであってもよい。
【0077】
図4は、第1地点が方向指示器を点灯させるタイミングである場合の一例を示す図である。運転支援装置100は、方向指示器に車線L2へ車線変更することを表示させた後、車線変更を実行する。運転支援装置100は、対象区間の車線L2に隣接する路肩領域ARに自車両Mが存在する場合、車線変更を抑制する。対象区間は、運転支援装置100が方向指示器に車線L2へ車線変更することを表示させる予定の第5時刻の自車両Mの位置(第1地点P1)から車線変更が完了する予定の第6時刻の自車両Mの位置(第2地点P2)までの自車両Mの進行方向に関する区間である。
【0078】
上記のように、運転支援装置100は、方向指示器を点灯させるタイミングの位置に基づいて路肩領域を設定することで、自車両Mが路肩領域の他車両に向かっていくような不安を低減することができる。
【0079】
図示は省略するが、上述したように第1地点P1は、HMI30が車線変更を行う旨の通知を自車両Mの乗員に行うタイミングの位置であってもよい。運転支援装置100は、HMI30を介して車線変更を行う旨の通知を自車両Mの乗員に行った後、車線変更を実行する。運転支援装置100は、対象区間の車線L2に隣接する路肩領域ARに他車両が存在する場合、車線変更を抑制する。対象区間は、運転支援装置100が通知を行う予定の第3時刻の自車両Mの位置(第1地点)から車線変更が完了する予定の第4時刻の自車両Mの位置までの自車両Mの進行方向に関する区間である。
【0080】
上記のように、運転支援装置100は、車線変更の通知を行うタイミングの位置に基づいて路肩領域を設定することで、自車両Mが路肩領域の他車両に向かっていくような不安を低減することができる。
【0081】
上記の例では、方向指示器の点灯タイミングや、車線変更の通知タイミングなどに基づいて、特定領域ARの基準地点が特定されるものとして説明したが、基準地点は固定され、方向指示器の点灯タイミングや、車線変更の通知タイミングなどに基づいて、路肩に存在する車両を認識する処理が行われる領域が設定されてもよい。例えば、運転支援装置100は、方向指示器を点灯させるタイミングまたは通知が開始されるタイミングの自車両Mの位置から第2地点までの領域に他車両が存在するか否かを判定し、この領域に他車両が存在する場合に、当該他車両が路肩領域ARに位置する否かを判定してもよい。これにより、運転支援装置100は、より精度よく路肩領域ARに位置する他車両を認識することができる。
【0082】
[路肩領域を設定する処理(3)]
図5は、路肩領域について説明するための図(2)である。判定処理部130は、路肩の幅Wが閾値Th1未満である場合、路肩の端部から所定距離α2(例えば2.5m)を車線L2側に延在させた幅の領域を包含するように路肩領域ARを設定する。路肩領域ARの長さの設定手法については図3の説明と同様である。
【0083】
上記のように、運転支援装置100は、自車両Mの車線変更の計画および路肩の幅に基づいて路肩領域ARを適切な領域に設定することができる。
【0084】
[路肩領域に他車両が存在する場合の車線変更(1)]
運転支援装置100は、上記のように設定した路肩領域ARに他車両が存在している場合、車線変更を実行しない。例えば、運転支援装置100は、車線変更を延期する。運転支援装置100は、例えば、路肩領域ARの他車両を通過した後、車線変更を実行する。運転支援装置100は、例えば、路肩領域ARの他車両を通過した後、方向指示器を点灯させて車線変更を実行する。
【0085】
図6は、自車両Mが車線変更を延期する場面の一例を示す図(1)である。図示するように、時刻Tにおいて、自車両Mが将来の軌道で車線変更を実行すると、路肩領域ARに他車両が存在する場合、自車両Mは、時刻Tにおける将来の軌道での車線変更を取り止めて、新たに将来の軌道を生成する。時刻T+1は、新たな将来の軌道の一例である。時刻T+1に示すように、自車両Mは、他車両を通り過ぎた後、車線変更を実行する将来の軌道を生成し、生成した軌道に基づいて車線変更を実行する。図6の時刻T+1の将来の軌道は、自車両Mが他車両を通り過ぎた後に方向指示器を点灯させて車線変更を実行する軌道である。
【0086】
この場合、運転支援装置100は、方向指示器を点灯させる前であって他車両を通り過ぎる前にHMI30を介して乗員に車線変更を実行することを通知してもよいし、他車両を通り過ぎた後にHMI30を介して乗員に車線変更を実行することを通知した後に方向指示器を点灯させてもよい。
【0087】
上記のように運転支援装置100は、乗員が不安を感じないようなタイミングで通知や、方向指示器の点灯、車線変更などを実行するため、乗員に配慮した車両の制御を実現することができる。
【0088】
[路肩領域に他車両が存在する場合の車線変更(2)]
運転支援装置100は、例えば、路肩領域ARの他車両を通過する前に、HMI30を介して自車両Mの乗員に車線変更を行うことを通知する。運転支援装置100は、路肩領域ARの他車両を通過する前に、方向指示器に車線L2へ車線変更することを表示させる。
【0089】
図7は、自車両Mが車線変更を延期する場面の一例を示す図(2)である。図6との相違点を中心に説明する。時刻T+1は、車線変更を延期する場合の新たな将来の軌道の他の一例である。時刻T+1に示すように、自車両Mは、他車両を通り過ぎる前に、車線変更を実行する旨の通知を乗員に行って方向指示器を点灯させる。自車両Mは、他車両を通り過ぎた後、車線L2に向かって横移動を開始して車線変更を実行する。例えば、運転支援装置100は、他車両を通り過ぎるタイミングから所定数秒前のタイミングで方向指示器を点灯させる。これにより、自車両Mは、方向指示器を所定秒点灯させて、他車両を通り過ぎた直後または通り過ぎてから所定時間後のタイミングで車線変更(例えば横方向へ移動すること)を開始することができる。
【0090】
上記のように、運転支援装置100は、乗員が不安を感じないようなタイミングで通知や、方向指示器の点灯、車線変更などを実行するため、乗員に配慮した車両の制御を実現することができる。
【0091】
[フローチャート(その1)]
図8は、運転支援装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、運転支援装置100は、運転者がALC使用中であるか否かを判定する(ステップS100)。運転者がALC使用中である場合(ALCを利用して目的地に向かうための車線変更を実行することが設定されている場合)、運転支援装置100は、所定時間以内に車線変更予定であるか否かを判定する(ステップS102)。所定時間以内に車線変更予定でない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0092】
所定時間以内に車線変更予定である場合、運転支援装置100は、車線変更のための軌道を生成する(ステップS104)。次に、運転支援装置100は、路肩領域ARを設定し(ステップS106)、路肩領域ARの物体を認識する(ステップS108)。
【0093】
次に、運転支援装置100は、条件を満たす物体が存在するか否かを判定する(ステップS110)。条件を満たす物体とは、例えば、物体が路肩領域AR内に存在すること、物体の属性が車両であること、および物体の認識の信頼度が閾値以上であることである。
【0094】
条件を満たす物体が存在しない場合、運転支援装置100は、ステップS104で生成した軌道に基づいて車線変更を実行する(ステップS112)。条件を満たす物体が存在する場合、運転支援装置100は、車線変更を中断する(ステップS114)。次に、運転支援装置100は、路肩領域ARの他車両を通過した後に車線変更を実行する新たな軌道を生成して、生成した新たな軌道に基づいて新たな路肩領域ARを設定する(ステップS116)。
【0095】
次に、運転支援装置100は、新たな路肩領域ARに条件を満たす物体が存在するか否かを判定する(ステップS118)。新たな路肩領域ARに条件を満たす物体が存在する場合、ステップS116の処理に戻り、運転支援装置100は、再度、軌道を生成し、路肩領域ARを設定する(ステップS116)。新たな路肩領域ARに条件を満たす物体が存在する場合、運転支援装置100は、新たな軌道に基づいて車線変更を実行する(ステップS120)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0096】
上記のように、運転支援装置100は、路肩領域に他車両が存在する場合に車線変更を延期することにより、乗員に配慮した自車両Mの制御を実現することができる。
【0097】
なお、本処理では、路肩領域に関する処理について説明したが、この処理と並列に運転支援装置100は、車線変更先の車線の状況などに基づいて車線変更を実行するための条件を満たすか否を判定する処理を実行する。運転支援装置100は、路肩領域に他車両が存在せず且つ車線変更の条件を満たす場合に車線変更を実行する。
【0098】
[車線変更の移動開始後に車両変更を中止または継続する処理]
運転支援装置100は、車線変更を開始する前に路肩領域ARに他車両が存在することが認識できず、車線変更を開始した後(例えば横移動を開始した後や車線変更を行う通知がされた後、方向指示器が点灯した後)、路肩領域ARに他車両が存在することを認識した場合、自車両Mの状態に基づいて、車線変更を継続するか、中断するかを決定する。
【0099】
図9は、移動開始後に車線変更を中止する場合の一例を示す図である。時刻Tにおいて、運転支援装置100は、車線L2の他車両によって路肩領域ARの他車両が認識できなかったものとする。時刻T+1において、車線L2の他車両が進行した後、運転支援装置100が、路肩領域ARに他車両を認識した場合、自車両Mが条件を満たしていない場合、車両変更を中断する。
【0100】
条件とは、例えば、自車両Mが車線L1と車線L2とを区画する区画線に接触していることである。中断とは、例えば、自車両Mが車線L2に進入しないように自車両Mが行動することである。中断した場合、自車両Mは、例えば、所定時間車線L1を走行する。
【0101】
上記の条件は、方向指示器を点灯させていることや、乗員に車線変更を通知していること、自車両Mが横移動を開始していることであってもよい。また、上記の条件は、自車両Mの車線L2方向への横移動が閾値以上であることや、自車両Mの車線L2方向への横移動速度が閾値以上であること、自車両Mの車線L2方向のヨーレートに関する指標が閾値以上であることなどであってもよいし、これらの組み合わせが基準を満たすことであってもよい。更に、上記の条件は、自車両Mの車体が所定割合以上、車線L2に進入したことであってもよい。
【0102】
時刻T+2において、運転支援装置100は、時刻T+1の後に生成した新たな将来の軌道に基づいて、自車両Mを車線L1から車線L2に車線変更させる。新たな将来の軌道は、図6または図7で説明したように、自車両Mが他車両を通過した後に車線L2に移動を開始する軌道である。
【0103】
[車線変更の移動開始後に車両変更を中止する処理]
図10は、移動開始後に車線変更を継続する場合の一例を示す図である。図9と同様の説明は省略する。時刻T+1において、車線L2の他車両が進行した後、運転支援装置100が、路肩領域ARに他車両を認識した場合、自車両Mが条件を満たしていない場合(自車両Mが車線L1と車線L2とを区画する区画線に接触している場合)、車両変更を継続する。時刻T+2において、運転支援装置100は、自車両Mに車両変更を継続させて、自車両Mが車線L2に移動した後に車線変更を完了させる。
【0104】
[フローチャート(その2)]
図11は、運転支援装置100により実行される処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。まず、運転支援装置100は、自車両Mが車線変更を実行中であるか否かを判定する(ステップS200)。車線変更を実行中である場合、運転支援装置100は、路肩領域ARに条件を満たす物体が存在するか否か判定する(ステップS202)。路肩領域ARに条件を満たす物体が存在しない場合、ステップS200の処理に戻る。
【0105】
路肩領域ARに条件を満たす物体が存在する場合、運転支援装置100は、自車両Mが車線L1と車線L2とを区画する区画線に接触したか否かを判定する(ステップS204)。車両Mが車線L1と車線L2とを区画する区画線に接触した場合、運転支援装置100は、車線変更を継続する(ステップS206)。車両Mが車線L1と車線L2とを区画する区画線に接触していない場合、運転支援装置100は、車線変更を中止して(ステップS208)、前述した図8のステップS116-S120の処理を実行する(ステップS210)。この処理において、運転支援装置100は、生成した車両変更を実行するための軌道における路肩領域ARに条件を満たす他車両が存在しない場合、車線変更を実行する。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0106】
上記のように、運転支援装置100は、路肩領域の視認性が良くない場合であっても、上記の処理により、乗員に配慮した自車両Mの制御を実現することができる。
【0107】
以上説明した第1実施形態によれば、運転支援装置100は、路肩領域の車両の有無に基づいて自車両Mの車線変更を制御することにより、乗員に配慮した自車両Mの制御を実現することができる。
【0108】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、停車している他車両を対象にしたが、第2実施形態では、移動している他車両を対象にしている。第1実施形態との相違点を中止に説明する。
【0109】
運転支援装置100は、路肩を走行する他車両が存在する場合、自車両Mの周辺の路肩(数十メートル以内の路肩)または自車両Mが車線変更する方向の路肩に他車両が存在する場合、車線変更を実行せずに延期してもよいし、後述するように対象の時間において路肩領域ARに他車両が存在する場合に車線変更を実行せずに延期してもよい。
【0110】
運転支援装置100は、第1時刻から第2時刻の間のいずれかの時間において路肩領域ARに移動する他車両が存在すると想定できる場合、車線変更を延期する。運転支援装置100は、路肩を走行する他車両が存在し、対象の時間且つ対象の路肩領域ARに走行する他車両が存在すると想定される場合、第1計画に基づく車線L2への車線変更を抑制する。対象の路肩領域ARは、対象区間の車線L2に隣接する路肩の領域である。対象区間は、自車両Mが第1計画に基づいて車線変更を実行したと想定したとき車線変更中の第1時刻から前記車線変更が終了する第2時刻までの対象の時間の間に自車両Mが位置する自車両Mの進行方向に関する区間である。
【0111】
図12は、車線変更を延期する場面の一例を示す図である。自車両Mが車線L1から車線L2に車線変更しようとしているとき、他車両が自車両Mと同じ方向に路肩を走行している。運転支援装置100は、将来の他車両の位置を推定する。運転支援装置100は、例えば、将来、他車両が第1地点P1に到達してから第2地点P2を超えて路肩領域を退出する時刻を推定する。運転支援装置100は、上記のように他車両が路肩領域に存在している始期および終期を推定する。
【0112】
運転支援装置100は、上記の終期、終期、または始期から終期の間の時刻が、第1時刻から第2時刻までの時間に合致または含まれる場合、路肩を走行している他車両を車線変更に干渉する他車両と推定する。第1時刻は、自車両Mが車線変更のための軌道に基づいて移動した場合に第1地点P1に到達する時刻である。第2時刻は、自車両Mが車線変更のための軌道に基づいて移動した場合に第2地点P2に到達する時刻である。
【0113】
図12の上図に示すように、運転支援装置100は、自車両Mが車線変更するときに将来の他車両の位置および将来の他車両の位置を推定する。図12の下図に示すように、運転支援装置100は、将来、自車両Mが第1地点P1から第2地点P2までの区間またはその周辺に位置するときに、将来、他車両が第1地点P1から第2地点までの区間またはその周辺に位置すると予測した場合、車両変更を延期する。
【0114】
図13は、車線変更を延期しない場面の一例を示す図である。図13の上図に示すように、運転支援装置100は、自車両Mが車線変更するときに将来の他車両の位置および将来の他車両の位置を推定する。図13の下図に示すように、運転支援装置100は、将来、自車両Mが第1地点P1から第2地点P2までの区間またはその周辺に位置するときに、将来、他車両が第1地点P1から第2地点までの区間またはその周辺を通過していると予測した場合、車両変更を延期せずに生成した軌道に基づいて車線変更を実行する。
【0115】
以上説明した第2実施形態によれば、運転支援装置100は、路肩を移動している他車両の将来の位置に基づいて、自車両Mの車線変更を制御することにより、より乗員に配慮した自車両Mの制御を実現することができる。
【0116】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
自車両の周辺の状況を認識する処理と、
前記周辺の状況に基づいて、前記自車両の操舵を制御して前記自車両を前記自車両が走行する第1車線から前記第1車線に隣接する第2車線へ車線変更させる処理と、
前記車線変更する予定のときに前記車線変更する方向であって前記第2車線に隣接する対象の路肩に車両が存在しない場合、前記車線変更を実行する処理と、
前記路肩に車両が存在する場合、前記車線変更を抑制する処理と、を実行する、
ように構成されている、制御装置。
【0117】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0118】
1 車両システム
100 運転支援装置
110 認識部
130 判定処理部
140 速度制御部
150 車線維持制御部
160 車線変更制御部
170 計画部
180 情報提供部
192 物体情報
図1
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図13