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特開2024-130994警告制御装置、警告制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130994
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】警告制御装置、警告制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240920BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240920BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240920BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W50/14
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040987
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】中村 徹郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 明俊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
【テーマコード(参考)】
3D241
3D344
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA59
3D241BA60
3D241DC22Z
3D241DC33Z
3D241DD07Z
3D344AA20
3D344AA30
3D344AB01
3D344AC25
3D344AC27
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】運転者が自車両の周辺状況に関する警告を確認していない場合でも、当該警告の確認を促し、運転者の周辺状況の認知を改善させる。
【解決手段】電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御する警告制御装置は、自車両の周辺情報を取得する取得部と、周辺情報から自車両に関する危険を検出する危険検出部と、運転者の視線を検出する視線検出部と、危険検出部および視線検出部の検出結果に基づいて、複数の報知装置にて危険に対する警告を発出させる警告制御部を有する。警告制御部は、危険を検出した際に電子インナーミラーによる第1の警告を発出させた後、視線検出部の検出結果に基づいて、運転者が前記第1の警告を確認していないと判定した場合、電子インナーミラーとは異なる報知装置にて危険に対する第2の警告を発出させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御する警告制御装置であって、
自車両の周辺情報を取得する取得部と、
前記周辺情報から、前記自車両に関する危険を検出する危険検出部と、
運転者の視線を検出する視線検出部と、
前記危険検出部および前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記複数の報知装置にて前記危険に対する警告を発出させる警告制御部と、
を有し、
前記警告制御部は、前記危険を検出した際に前記電子インナーミラーによる第1の警告を発出させた後、前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記運転者が前記第1の警告を確認していないと判定した場合、前記電子インナーミラーとは異なる報知装置にて前記危険に対する第2の警告を発出させる、
警告制御装置。
【請求項2】
前記警告制御部は、前記電子インナーミラーとは異なる報知装置にて警告の発出ができない場合、前記第1の警告よりも強調させた第3の警告を前記電子インナーミラーにより発出させる、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項3】
前記警告制御部は、前記電子インナーミラーとは異なる報知装置にて前記第2の警告を発出させた後、前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記運転者が前記第1の警告または前記第2の警告を確認していないと判定した場合、前記第1の警告よりも強調させた第3の警告を前記電子インナーミラーに発出させる、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項4】
前記警告制御部は、前記運転者が、前記複数の報知装置のうちいずれかにて発出されている前記危険に対する警告を確認したと判定するまで、前記複数の報知装置に前記危険に対する警告を繰り返し発出させる、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項5】
前記危険の検出は、前記自車両に接近する他車両、前記自車両を追い越す可能性がある他車両、および、前記自車両に高速で接近する他車両の少なくとも1つの検出を含む、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項6】
前記第1の警告は、前記電子インナーミラーのディスプレイ上へのメッセージの表示、または、前記ディスプレイ上に表示された前記危険へのマーキングを含む、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項7】
前記第3の警告は、前記電子インナーミラーに搭載される、LED(Light Emitting Diode)の点灯または点滅、前記LEDの発色光の変更、前記電子インナーミラーのディスプレイ上に表示されたメッセージの発色の変更の少なくとも1つを含む、
請求項2または3に記載の警告制御装置。
【請求項8】
前記複数の報知装置は、HUD(Head Up Display)、メータパネル、およびサイドミラーの少なくとも1つを含み、
前記第2の警告は、前記電子インナーミラーとは異なる報知装置に搭載される、LEDの点灯または点滅、ディスプレイ上へのメッセージの表示、前記LEDの発色光の変更、前記メッセージの発色の変更の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項9】
前記複数の報知装置は、前記自車両に搭載されるハンドルを含み、
前記第2の警告は、前記ハンドルの振動を含む、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項10】
前記複数の報知装置は、前記自車両に搭載されるスピーカを含み、
前記第2の警告は、前記スピーカが発出する音声メッセージ、またはブザー音を含む、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項11】
前記警告制御部は、前記運転者が、前記複数の報知装置のうちいずれかが発出している前記危険に対する警告を確認したと判定した場合、一定時間経過後に、前記危険に対する警告を発出している前記複数の報知装置に、前記危険に対する警告の発出を停止させる、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項12】
前記警告制御部は、前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記複数の報知装置の中で、前記運転者の視線の方向により近い位置に存在する報知装置に前記第2の警告を発出させる、
請求項1に記載の警告制御装置。
【請求項13】
電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御する警告制御方法であって、
自車両の周辺情報を取得するステップと、
前記周辺情報から、前記自車両に関する危険を検出するステップと、
運転者の視線を検出するステップと、
前記危険および前記視線の検出結果に基づいて、前記複数の報知装置にて前記危険に対する警告を発出させるステップと、
を含み、
前記警告を発出させるステップにおいて、前記危険を検出した際に前記電子インナーミラーによる第1の警告を発出させ、前記視線の検出結果に基づいて、前記運転者が前記第1の警告を確認していないと判定した場合、前記電子インナーミラーとは異なる報知装置にて前記危険に対する第2の警告を発出させる、
警告制御方法。
【請求項14】
電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御するコンピュータを、
自車両の周辺情報を取得する取得部、
前記周辺情報から、前記自車両に関する危険を検出する危険検出部、
運転者の視線を検出する視線検出部、
前記危険検出部および前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記複数の報知装置にて前記危険に対する警告を発出させる警告制御部、
として機能させ、
前記警告制御部は、前記危険を検出した際に前記電子インナーミラーによる第1の警告を発出させた後、前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記運転者が前記第1の警告を確認していないと判定した場合、前記電子インナーミラーとは異なる報知装置にて前記危険に対する第2の警告を発出させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、警告制御装置、警告制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、運転者に自車両の周辺状況に関する認知を促す様々な機能が搭載され、走行中などにおいて運転者に利用されている。例えば、特許文献1には、自車両に接近する対象物を検出し、点灯または点滅する表示部により、検出した対象物の存在する方向に対応するバックミラーまたはサイドミラーへ、運転者の視線を誘導する車両用警報表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-9320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、運転者が脇見などにより表示部の点灯または点滅による警報を確認していない場合、当該警報が継続されることが記載されている。しかし、運転者に当該警報の確認を促すことまでは考慮されていない。このため、運転者が警報を確認できず、対象物の認知が遅れる可能性がある。つまり、運転者に自車両の周辺状況を認知させるという点において、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、運転者が自車両の周辺状況に関する警告を確認していない場合でも、当該警告の確認を促し、運転者の周辺状況の認知を改善させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御する警告制御装置であって、自車両の周辺情報を取得する取得部と、前記周辺情報から、前記自車両に関する危険を検出する危険検出部と、運転者の視線を検出する視線検出部と、前記危険検出部および前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記複数の報知装置にて前記危険に対する警告を発出させる警告制御部と、を有し、前記警告制御部は、前記危険を検出した際に前記電子インナーミラーによる第1の警告を発出させた後、前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記運転者が前記第1の警告を確認していないと判定した場合、前記電子インナーミラーとは異なる報知装置にて前記危険に対する第2の警告を発出させる、警告制御装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御する警告制御方法であって、自車両の周辺情報を取得するステップと、前記周辺情報から、前記自車両に関する危険を検出するステップと、運転者の視線を検出するステップと、前記危険および前記視線の検出結果に基づいて、前記複数の報知装置にて前記危険に対する警告を発出させるステップと、を含み、前記警告を発出させるステップにおいて、前記危険を検出した際に前記電子インナーミラーによる第1の警告を発出させ、前記視線の検出結果に基づいて、前記運転者が前記第1の警告を確認していないと判定した場合、前記電子インナーミラーとは異なる報知装置にて前記危険に対する第2の警告を発出させる、警告制御方法を提供する。
【0008】
また、本開示は、電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御するコンピュータを、自車両の周辺情報を取得する取得部、前記周辺情報から、前記自車両に関する危険を検出する危険検出部、運転者の視線を検出する視線検出部、前記危険検出部および前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記複数の報知装置にて前記危険に対する警告を発出させる警告制御部、として機能させ、前記警告制御部は、前記危険を検出した際に前記電子インナーミラーによる第1の警告を発出させた後、前記視線検出部の検出結果に基づいて、前記運転者が前記第1の警告を確認していないと判定した場合、前記電子インナーミラーとは異なる報知装置にて前記危険に対する第2の警告を発出させる、プログラムを提供する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本開示の表現を方法、装置、システム、記憶媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、運転者が自車両の周辺状況に関する警告を確認していない場合でも、当該警告の確認を促すことにより、運転者の周辺状況の認知を改善させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施の形態に係る警告制御装置が搭載される車両の内部構成例を示すブロック図
図2】電子インナーミラーまたはサイドミラーにより視認可能な領域を示す概略図
図3】本開示の一実施の形態に係る電子インナーミラーによる警告の一例を示す概略図
図4】本開示の一実施の形態に係る電子インナーミラーによる警告の変化の第1例を示す概略図
図5】本開示の一実施の形態に係る電子インナーミラーによる警告の変化の第2例を示す概略図
図6】本開示の一実施の形態に係る車内の報知装置の一例を示す概略図
図7】本開示の一実施の形態に係る警告制御装置の動作例を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る警告制御装置の構成要素および各構成要素の関係について、図1を参照して説明する。図1は、実施の形態1に係る警告制御装置が搭載される車両の内部構成例を示すブロック図である。車両1は、メモリM1と、センサ部10と、運転者撮像カメラ20と、車内撮像カメラ21と、警告制御装置30と、電子インナーミラー41と、Head Up Display(以下、「HUD」と称する)42と、メータパネル43と、サイドミラー44と、スピーカ45と、ハンドル46とを含む構成である。サイドミラー44は、電子サイドミラーであってもよい。以下、電子インナーミラー41、HUD42、メータパネル43、サイドミラー44、スピーカ45およびハンドル46を、報知装置と呼ぶことがある。本実施の形態において、報知装置として少なくとも電子インナーミラー41は必須であるが、そのほかの報知装置の構成は一例であり、これら以外の装置が含まれてもよいし、一部が省略されてもよい。また、図1に示す構成は一例であり、車両1の走行等に係る部位を更に含んでもよい。ここでは、本実施の形態に係る機能に着目して説明する。
【0014】
センサ部10は、複数のセンサ10-1,…,10-s(s:2以上の整数)を含んで構成され、車両1の周辺の状況に関する情報を検知し、この検知結果の情報を警告制御装置30に出力する。それぞれのセンサ10-1~10-sは、例えばカメラ、アラウンドビューカメラ、レーダ、ライダー(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging;LiDAR)、のうちのいずれかであってよい。また、センサとして、例えばジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ、傾斜センサ、気温センサ、気圧センサ、湿度センサ、照度センサ、舵角センサが含まれてもよい。
【0015】
センサの一例としてのカメラは、Charge Coupled Device(以下、「CCD」と称する)もしくはComplementary Metal Oxide Semiconductor(以下、「CMOS」と称する)等の撮像素子を有する。カメラは、例えば車両1の車体後部の中央に設置され、後方の所定の範囲を検知範囲として撮像する。具体的には、車体後部の中央に設置されたカメラは、車両1の後方に存在する、他車両、二輪車、自転車等の移動体を含む画像を取得可能に構成される。
【0016】
センサの一例としてのアラウンドビューカメラは、例えば車両1の車体前方と車体後方と車体側方とにそれぞれ設置される複数台のカメラを用いて構成される。アラウンドビューカメラは、車両1周辺の歩行者、白線、隣接する車線の他車両等を含む画像を取得可能に構成される。
【0017】
センサの一例としてのレーダは、例えば車両1の車体前方と車体後方とにそれぞれ設置される複数台のレーダを用いて構成される。レーダは、例えばミリ波レーダ、ソナーレーダを用いて構成される。レーダは、超音波もしくはミリ波等の電磁波を一定の角度範囲で走査しながら照射し、その反射波を受信して照射の開始時点と反射波の受信時点との時間差を測定することで、車両1と障害物との間の距離、更には、車両1から見た障害物の方向を検知する。
【0018】
センサの一例としてのライダーは、例えば車両1の車体前方右側、車体前方左側、車体側方右側、車体側方左側、車体後方右側、車体後方左側に設置される。ライダーは、それぞれ車両1の前方右側、前方左側、側方右側、側方左側、後方右側、後方左側に存在する障害物等を検知する。具体的には、ライダーは、それぞれレーザ光を一定の角度範囲で走査しながら照射し、その反射光を受光して照射の開始時点と反射光の受光時点との時間差を測定することで、車両1と障害物との間の距離、更には、車両1から見た障害物の方向を検知する。
【0019】
運転者撮像カメラ20は、車両1の運転者の顔を含む領域を撮像し、撮像により得られた画像情報を警告制御装置30に出力する。運転者撮像カメラ20は、CCDもしくはCMOS等の撮像素子を有する。運転者撮像カメラ20は、例えば車両1の運転席の前方に設置され、運転者の顔を正面から撮像する。
【0020】
車内撮像カメラ21は、車両1の車内を撮像し、撮像した画像情報を警告制御装置30に出力する。車内撮像カメラ21は、CCDもしくはCMOS等の撮像素子を有する。車内撮像カメラ21は、例えば車両1の天井の中央に設置され、車内の前方を撮像する。ここで、車両1の車内の前方とは、車両1の運転者の視線の方向を含む領域であってもよい。
【0021】
警告制御装置30は、取得部31、危険検出部32、視線検出部33および警告制御部34を含む構成である。取得部31、危険検出部32、視線検出部33および警告制御部34は、例えば、車両1に搭載される電子制御ユニット(Electronic Control Unit;ECU)を用いて構成される。つまり、取得部31、危険検出部32、視線検出部33および警告制御部34は、上述した電子制御ユニットがメモリM1と協働して、電子制御ユニットがメモリM1に格納されたプログラムおよびデータを参照して実行することにより、機能的かつ具体的に実現可能となる。なお、警告制御装置30の構成は一例である。したがって、本実施の形態に係る取得部31、危険検出部32、視線検出部33および警告制御部34は複数に分割されて構成されてもよいし、1つにまとめられて構成されてもよい。
【0022】
また、警告制御装置30は、車両1の運転者を含むユーザ等の指示に基づき、警告を制御するか否かを切り替え可能に構成される。以下、警告制御装置30が警告を制御するモードを、警告制御モードと呼ぶことがある。
【0023】
取得部31は、センサ部10の検知結果の情報を入力として取得する。取得部31は、取得した情報を危険検出部32へ出力する。また、取得部31は、センサ部10から取得した情報のうち、後段の処理部にて利用可能な形式に変換したり、抽出したりするような構成であってもよい。
【0024】
危険検出部32は、入力された情報に基づいて、車両1に関連する危険を検出する。本実施の形態において危険とは、車両1周辺の状況に基づいて、運転者に通知すべき事象またはその事象を引き起こす主体を含む。例えば、車両1の後方からの他車両の急接近や、他車両の存在などが挙げられる。図2に、電子インナーミラーまたはサイドミラーにより視認可能な領域を示す概略図を示す。車両1の運転者は、電子インナーミラーにより、車両1の後部に設置されたカメラにて取得される情報に基づいて、視認可能領域101を確認することができる。また、車両1の運転者は、サイドミラーにより、視認可能領域102を確認することができる。運転者に通知すべき事象またはその事象を引き起こす主体は、視認可能領域101および視認可能領域102の領域外の事象またはその事象を引き起こす主体が更に含まれてもよい。例えば、車両1の後方かつ視認可能領域101および視認可能領域102の領域外から、車両1に高速で接近する他車両などが挙げられる。
【0025】
以下、危険を検出する処理を、危険検出処理と呼ぶことがある。危険に相当する事象の検出の手法は特に限定するものではなく、任意の手法が用いられてよい。危険検出処理の具体的な手法として、例えば、特開2000-285245号公報に開示されている方法が用いられてよい。例えば、危険検出部32は、車両1の後方の画像情報から、車両1を追い越そうとしている追い越し車両を危険として検出してよい。また、危険として検出した対象(例えば、周辺車両)に対応する画像内の領域検出を行ってもよい。また、危険検出部32は、追い越し車両が車両1に追いつく時間を演算してよい。危険検出部32は、車両1が車線変更しようとした時に、当該演算結果を用いて、車両1と追い越し車両の衝突の可能性を危険として検出してよい。危険検出部32は、危険を検出した場合、検出した危険の情報を警告制御部34へ出力する。
【0026】
視線検出部33は、運転者撮像カメラ20および車内撮像カメラ21が撮像した画像情報を入力として取得する。視線検出部33は、入力された情報に基づいて、車両1の運転者の視線の方向を検出する処理を実行する。以下、運転者の視線の方向を検出する処理を、視線検出処理と呼ぶことがある。視線検出の手法は特に限定するものではなく、任意の手法が用いられてよい。視線検出処理の具体的な手法として、例えば、特開2009-251744号公報に開示されている方法が用いられてよい。視線検出部33は、視線検出処理の結果を警告制御部34に出力する。
【0027】
警告制御部34は、危険検出部32から出力された危険の情報を入力として取得した場合、報知装置に警告の発出を命令する信号を出力する。警告は、危険検出部32が検出した危険に対する、車両1の運転者の認知を促すために発出される。具体的な警告の例は、後述する。以下、報知装置への警告の発出を命令する信号を、警告発出信号と呼ぶことがある。また、警告制御部34は、警告を発出している報知装置に警告の停止を命令する信号を出力することができる。以下、報知装置への警告の停止を命令する信号を、警告停止信号と呼ぶことがある。また、警告制御部34は、警告を発出している報知装置に警告の変化を命令する信号を出力することができる。以下、報知装置への警告の変化を命令する信号を、警告変化信号と呼ぶことがある。警告制御部34の具体的な動作については、後述する。なお、警告発出信号や警告変化信号に含まれる情報は、用いる報知装置の種類や構成に応じて異なっていてよい。
【0028】
メモリM1は、例えばRandom Access Memory(以下、「RAM」と称する)やRead Only Memory(以下、「ROM」と称する)などの揮発性/不揮発性の記憶装置を用いて構成され、警告制御装置30の動作の実行に必要なプログラム、データ、更には、動作中に生成されたデータ又は情報を一時的に保持する。RAMは、例えば警告制御装置30の動作時に使用されるワークメモリである。ROMは、例えば警告制御装置30を制御するためのプログラム及びデータを予め記憶して保持する。
【0029】
電子インナーミラー41は、警告制御装置30から警告発出信号を受信した場合、警告を発出する。電子インナーミラー41が発する警告は、例えば、電子インナーミラー41のディスプレイ51上へのメッセージの表示、ベゼル部50に搭載されたLight Emitting Diode(以下、「LED」と称する)56の点灯または点滅が含まれる。
【0030】
電子インナーミラー41は、警告制御装置30から警告変化信号を受信した場合、発出している警告を変化させる。電子インナーミラー41の警告の変化は、例えば、ディスプレイ51上に表示しているメッセージの発色の変更、ベゼル部50に搭載されたLED56の発色の変更が含まれる。また、例えば、電子インナーミラー41が、警告変化信号を受信した時に発出している警告が、ディスプレイ51上へのメッセージの表示である場合、警告の変化として、LED56を点灯または点滅させてもよい。すなわち、電子インナーミラー41は、警告変化信号を受信した場合、発出している警告と異なる警告を発出することができる。他の報知装置についても同様に、警告変化信号に基づいて、現在発出している警告の態様を変化させてよい。
【0031】
HUD42は、警告制御装置30から警告発出信号を受信した場合、警告を発出する。HUD42が発する警告は、例えば、HUD42のディスプレイ(不図示)上へのメッセージの表示が含まれる。
【0032】
HUD42は、警告制御装置30から警告変化信号を受信した場合、発出している警告を変化させる。HUD42の警告の変化は、例えば、ディスプレイ上に表示しているメッセージの発色の変更が含まれる。
【0033】
メータパネル43は、警告制御装置30から警告発出信号を受信した場合、警告を発出する。メータパネル43が発出する警告は、例えば、メータパネル43のパネル(不図示)上へのメッセージの表示が含まれる。
【0034】
メータパネル43は、警告制御装置30から警告変化信号を受信した場合、発出している警告を変化させる。メータパネル43の警告の変化は、例えば、パネル上に表示しているメッセージの発色の変更が含まれる。
【0035】
サイドミラー44は、警告制御装置30から警告発出信号を受信した場合、警告を発出する。ここで、サイドミラー44は電子サイドミラーであるとして説明する。サイドミラー44が発する警告は、例えば、サイドミラー44のディスプレイ(不図示)上へのメッセージの表示、ベゼル部(不図示)に搭載されたLED(不図示)の点灯または点滅が含まれる。
【0036】
サイドミラー44は、警告制御装置30から警告変化信号を受信した場合、発出している警告を変化させる。サイドミラー44の警告の変化は、例えば、ディスプレイ上に表示しているメッセージの発色の変更、ベゼル部に搭載されたLEDの発色の変更が含まれる。
【0037】
スピーカ45は、警告制御装置30から警告発出信号を受信した場合、警告を発出する。スピーカ45が発出する警告は、例えば、音声メッセージまたはブザー音が含まれる。音声メッセージは、車両1の運転者に電子インナーミラー41やサイドミラー44の確認を促す内容であってもよいし、車両1の運転者に車両1周辺の状況について直接伝える内容であってもよい。
【0038】
スピーカ45は、警告制御装置30から警告変化信号を受信した場合、発出している警告を変化させる。スピーカ45の警告の変化は、例えば、発出している音声メッセージの内容の変化、発出しているブザー音の周波数の変化が含まれる。
【0039】
ハンドル46は、警告制御装置30から警告発出信号を受信した場合、警告を発出する。ハンドル46が発する警告は、例えば、ハンドル46の振動が含まれる。
【0040】
ハンドル46は、警告制御装置30から警告変化信号を受信した場合、発出している警告を変化させる。ハンドル46の警告の変化は、例えば、発出している振動の周波数の変化が含まれる。
【0041】
(実施の形態1に係る警告の例)
続いて、実施の形態1に係る警告の例について説明する。実施の形態1において、電子インナーミラー41は報知装置として必須の構成要素であり、ここでは、電子インナーミラー41が発出する警告の例について説明する。
【0042】
図3は、電子インナーミラー41による警告の一例を示す概略図である。電子インナーミラー41は、ベゼル部50とディスプレイ51とを有している。ベゼル部50には、LED56が搭載される。ディスプレイ51には、車両1の後方を撮像するカメラから出力された映像が映し出されている。図3の例では、他車両52と二輪車53とが車両1の後方に存在し、二輪車53が車両1に急接近している状態を示している。
【0043】
危険検出部32が、急接近している二輪車53を危険として検出した場合、電子インナーミラー41が、警告制御部34から二輪車53に関する警告発出信号を受信する。この場合、電子インナーミラー41は、ディスプレイ51上に二輪車53を囲む枠54を表示する。電子インナーミラー41に対する警告発出情報には、画像内において危険であると判定した際に特定した対象(本例では、二輪車53)の領域検出の結果を含めてもよい。また、警告発出情報には、画像内において危険であると特定した対象の領域を示すために、予め規定された座標系における位置情報を含めてもよい。また、電子インナーミラー41は、受信した警告発出信号に基づいて、ディスプレイ51上にメッセージ表示部55を表示する。メッセージ表示部55の位置は、図3に示した位置に限定されず、ディスプレイ51上を変動可能に構成されてよい。例えば、警告発出情報に含まれる画像内の位置情報に基づいて、枠54やメッセージ表示部55の位置が調整されてよい。メッセージ表示部55は、電子インナーミラー41の視認性を悪化させないように、ディスプレイ51の端部に表示されることが好ましい。メッセージ表示部55の形状は、図3に示した形状に限定されず、例えば横に長い長方形であってもよいし、円形や三角形であってもよい。メッセージ表示部55には、例えば、「バイク接近注意」等のメッセージが表示される。なお、表示されるメッセージの内容は、検出した危険の内容に応じて切り替えられてよい。メッセージの表示形式はユーザが指定可能であってもよい。
【0044】
図4は、電子インナーミラー41による警告の変化の第1例を示す概略図である。図4を参照して、電子インナーミラー41が図3に示す警告を発出している間に、警告制御部34から警告変化信号を受信した場合を説明する。この場合、電子インナーミラー41は、枠54またはメッセージ表示部55の発色を変更する。例えば、電子インナーミラー41は、運転者の確認を促すように、枠54とメッセージ表示部55の発色を黄色から赤色に変更してよい。なお、発色の変更は、枠54のみでもよいし、メッセージ表示部55のみでもよい。また、電子インナーミラー41は、メッセージ表示部55を点滅させることが可能なように構成されてよい。更に、電子インナーミラー41は、メッセージ表示部55に表示されるメッセージの発色、文字のフォントおよび大きさも変更可能なように構成されてよい。
【0045】
図5は、電子インナーミラー41による警告の変化の第2例を示す概略図である。図5を参照して、図4と同様、電子インナーミラー41が図3に示す警告を発出している間に、警告制御部34から警告変化信号を受信した場合について説明する。この場合、電子インナーミラー41は、運転者の確認を促すように、すなわち、運転者の視線が電子インナーミラー41の方向を向くように、ベゼル部50に搭載されるLED56を点灯または点滅させる。
【0046】
図3図4および図5には示していないが、電子インナーミラー41に表示されている画像以外にて特定された危険に関する警告は、例えば、枠54を表示させずに、ディスプレイ51上へのメッセージの表示のみで行われてもよい。例えば、図2の視認可能領域101には含まれておらず、視認可能領域102に含まれる他車両による急接近が挙げられる。車両1と車両1の側方右側に存在する他車両との間の距離が急速に縮まっている場合、電子インナーミラー41は、ディスプレイ51上に「右側衝突注意」等のメッセージを表示するように構成されてよい。
【0047】
図6は、実施の形態1に係る車両1が備える報知装置の車内での配置例を示す概略図である。本実施の形態に係る車両1は、図1に示したように、報知装置として、電子インナーミラー41、HUD42、メータパネル43、サイドミラー44、スピーカ45、ハンドル46を備える。また、報知装置の配置、形状、寸法などは一例であり、車両1の構成に応じて適宜調整されてよい。
【0048】
(実施の形態1に係る警告制御装置の動作例)
図7は、実施の形態1に係る警告制御装置30を含む車両1の動作例を説明するフローチャートである。本処理フローは、例えば、車両1が備えるECU(不図示)がメモリM1に格納された各種プログラムやデータを読み出して実行することで、警告制御装置30として機能し、各種部位と連携することで実現される。以下、図7において、ユーザの操作または車両1側の制御により、警告制御装置30における警告制御モードがONに設定されている(ステップS200;YES)ものとして説明する。したがって、ユーザの操作または車両1側の制御により警告制御モードがOFFに設定された場合(ステップS200;NO)、本処理フローは終了する。
【0049】
警告制御装置30の取得部31は、センサ部10から、車両1の周辺情報を取得する(ステップS201)。ここで取得される周辺情報には、例えば、カメラによる周辺画像や、距離センサによる周辺に位置する物標との距離情報などが含まれる。取得部31は、取得した情報を危険検出部32に出力する。危険検出部32は、取得部31から取得した情報を用いて、危険の検出処理を実行する(ステップS202)。上述したように、危険の検出手法は公知の手法を用いてよい。また、危険として検出すべき事象に応じて、利用するセンサの種類や複数の検出手法を組み合わせて用いてもよい。また、警告すべき内容に応じて、危険の検出手法の結果として出力する情報は変更されてよい。
【0050】
危険検出部32は、ステップS202の危険検出処理の結果、危険を検出したか否かを判定する(ステップS203)。危険検出部32は、車両1の周辺情報に危険を検出した場合(ステップS203;YES)、警告制御部34へ検出した危険の情報を出力し、ステップS204へ進む。危険検出部32が危険を検出していない場合(ステップS203;NO)、警告制御装置30の処理はステップS201へ戻り、処理を繰り返す。このとき、警告制御装置30は、電子インナーミラー41に対して、車両1の後方に設置されたカメラにて撮影された周辺画像を表示するように制御してよい。
【0051】
警告制御部34は、危険検出部32から危険の情報を取得した場合、電子インナーミラー41に警告発出信号を出力する。電子インナーミラー41は、警告発出信号を受信した場合、警告を発出する(ステップS204)。例えば、電子インナーミラー41は、後方から急接近する二輪車53に起因した危険の情報を取得したことに応じて、図3に示すように、ディスプレイ51上において、車両1に急接近する他車両を黄色の枠54で囲み、黄色のメッセージ表示部55を表示する。また、電子インナーミラー41は、メッセージ表示部55に、「車両接近注意」と黒色でメッセージを表示する。
【0052】
電子インナーミラー41が警告を発出した後、視線検出部33は、車両1の運転者の視線の方向を検出する(ステップS205)。視線検出部33は、検出の結果を警告制御部34に出力する。警告制御部34は、車両1の運転者の視線の方向が、電子インナーミラー41が存在する方向であるか否かを判定する。すなわち、警告制御部34は、車両1の運転者の視線の方向に基づいて、運転者が電子インナーミラー41の警告を確認したか否かを判定する(ステップS206)。警告制御部34が、車両1の運転者が電子インナーミラー41の警告を確認したと判定した場合(ステップS206;YES)、警告制御部34の処理はステップS216へ進む。一方、警告制御部34は、車両1の運転者が電子インナーミラー41の警告を確認していないと判定した場合(ステップS206;NO)、警告制御部34の処理はステップS207へ進む。
【0053】
警告制御部34は、電子インナーミラー41以外の報知装置で警告を発出できるか否かを判定する(ステップS207)。電子インナーミラー41以外の報知装置で警告を発出できない場合とは、例えば、車両1の運転者を含むユーザ等が、報知装置として利用可能な機器として、電子インナーミラー41のみを設定している場合等である。または、車両1側で予め報知装置として利用可能な機器が設定されていてもよい。警告制御部34が、電子インナーミラー41以外の報知装置で警告を発出できないと判定した場合(ステップS207;NO)、警告制御部34の処理はステップS213へ進む。警告制御部34が、電子インナーミラー41以外の報知装置で警告を発出できると判定した場合(ステップS207;YES)、警告制御部34の処理はステップS208へ進む。
【0054】
視線検出部33は、車両1の運転者の視線の方向を検出する(ステップS208)。視線検出部33は、検出の結果を警告制御部34に出力する。警告制御部34は、警告を発出させる報知装置として、視線検出部33から検出の結果を取得した時点における、車両1の運転者の視線の方向により近い報知装置を選定することができる。警告制御部34は、視線検出部33から取得した検出の結果と、報知装置として利用可能な装置とに基づいて、警告を発出させる報知装置を選定する(ステップS209)。なお、この時に警告制御部34が選定する報知装置は、電子インナーミラー41とは異なる。警告制御部34は、選定した報知装置に、警告発出信号を出力し、警告を発出させる(ステップS210)。以下、発出している警告の区別のために、電子インナーミラー41が発出した警告を「第1の警告」と呼び、電子インナーミラー41とは異なる報知装置が発出した警告を「第2の警告」と呼ぶことがある。
【0055】
例えば、ステップS209にて選定した報知装置がHUD42であり、HUD42が第2の警告を発出する場合、例えば、HUD42のディスプレイ上に「車両接近注意」とメッセージを表示してよい。または、HUD42は、HUD42のディスプレイ上に、「電子インナーミラー確認」とメッセージを表示してよい。また、ステップS209にて選定した報知装置がメータパネル43であり、メータパネル43が第2の警告を発出する場合、例えば、メータパネル43のパネル上に「車両接近注意」とメッセージを表示してよい。または、メータパネル43は、メータパネル43のパネル上に、「電子インナーミラー確認」とメッセージを表示してよい。また、ステップS209にて選定した報知装置がサイドミラー44であり、サイドミラー44が第2の警告を発出する場合、例えば、サイドミラー44のディスプレイ上に「電子インナーミラー確認」とメッセージを表示してよい。または、サイドミラー44は、サイドミラー44のベゼル部に搭載されたLED(不図示)を点滅させてよい。また、ステップS209にて選定した報知装置がスピーカ45であり、スピーカ45が第2の警告を発出する場合、例えば、スピーカ45は「車両接近注意」という音声メッセージを発出してよい。または、スピーカ45は、「電子インナーミラー確認」という音声メッセージを発出してよい。音声メッセージは、繰り返し発出されてもよい。また、ステップS209にて選定した報知装置がハンドル46であり、ハンドル46が第2の警告を発出する場合、例えば、ハンドル46は短い間隔で数回振動してよい。振動のパターンは、危険の内容によって異なってもよいし、ユーザによって設定可能であってもよい。
【0056】
電子インナーミラー41とは異なる報知装置が第2の警告を発出した後、視線検出部33は、車両1の運転者の視線の方向を検出する(ステップS211)。視線検出部33は、検出の結果を警告制御部34に出力する。警告制御部34は、車両1の運転者が電子インナーミラー41の第1の警告または電子インナーミラー41とは異なる報知装置の第2の警告を確認したか否かを判定する(ステップS212)。なお、警告制御部34は、第2の警告をスピーカ45またはハンドル46により発出させた場合、車両1の運転者が電子インナーミラー41の第1の警告を確認したか否かを判定してもよい。警告制御部34が、車両1の運転者が電子インナーミラー41の第1の警告または電子インナーミラー41とは異なる報知装置の第2の警告を確認したと判定した場合(ステップS212;YES)、警告制御部34の処理はステップS216へ進む。警告制御部34が、車両1の運転者が電子インナーミラー41の第1の警告および電子インナーミラー41とは異なる報知装置の第2の警告のどちらも確認していないと判定した場合(ステップS212;NO)、警告制御部34の処理はステップS213へ進む。
【0057】
警告制御部34は、電子インナーミラー41に警告変化信号を出力し、第1の警告を変化させる(ステップS213)。
【0058】
電子インナーミラー41は、警告変化信号を受信した場合、例えば、枠54およびメッセージ表示部55の発色を黄色から赤色に変化させてよい。また、電子インナーミラー41は、「車両接近注意」というメッセージの黒色を白色に変化させてよい。更に、電子インナーミラー41は、ベゼル部50に搭載されたLED56を点滅させてよい。ここでの変化後の警告は、変化前と比べてより強調した警告とする。つまり、変化前の警告に比べ、運転者の注意をより引くような構成とする。したがって、変化後の警告の内容については特に限定するものではなく、より運転者が認識しやすい態様であればよい。以下、電子インナーミラー41が第1の警告を変化させた後の警告を、「第3の警告」と呼ぶことがある。
【0059】
電子インナーミラー41が第3の警告を発出した後、視線検出部33は、車両1の運転者の視線の方向を検出する(ステップS214)。視線検出部33は、検出の結果を警告制御部34に出力する。警告制御部34は、車両1の運転者が電子インナーミラー41の第3の警告または電子インナーミラー41とは異なる報知装置の第2の警告を確認したか否かを判定する(ステップS215)。警告制御部34が、車両1の運転者が電子インナーミラー41の第3の警告または電子インナーミラー41とは異なる報知装置の第2の警告を確認したと判定した場合(ステップS215;YES)、警告制御部34の処理はステップS216へ進む。警告制御部34が、車両1の運転者が電子インナーミラー41の第3の警告または電子インナーミラー41とは異なる報知装置の第2の警告のどちらも確認していないと判定した場合(ステップS215;NO)、警告制御部34の処理はステップS207へ戻り、処理を繰り返す。
【0060】
警告制御部34は、車両1の運転者が発出している警告を確認したと判定するまで、ステップS207からステップS215の処理を繰り返す。なお、ステップS213では、電子インナーミラー41に加え、すでに警告を発出している電子インナーミラーとは異なる報知装置でも強調するように警告を変化されてもよい。また、電子インナーミラー41とは異なる報知装置において既に警告を発出している場合、当該報知装置の警告を強調するように変化させてもよいし、別の報知装置にて新たに警告を発出させてもよい。
【0061】
HUD42が警告変化信号を受信した場合、例えば、HUD42のディスプレイ上に表示している「車両接近注意」というメッセージを点滅させ、同時にメッセージの発色も変化させてよい。メータパネル43が警告変化信号を受信した場合、例えば、メータパネル43のパネル上に表示している「車両接近注意」というメッセージを点滅させ、同時にメッセージの発色も変化させてよい。サイドミラー44が警告変化信号を受信した場合、例えば、サイドミラー44のベゼル部に搭載されたLEDの点滅の速度を上げ、同時に発色も変化させてよい。スピーカ45が警告変化信号を受信した場合、例えば、スピーカ45は「車両接近注意」という音声メッセージを、これまでに発出した音声メッセージよりも高い周波数で発出させてよい。ハンドル46が警告変化信号を受信した場合、例えば、ハンドル46はこれまでに振動した際のパターンとは異なるパターンで振動する。
【0062】
図7には示していないが、警告制御部34は、ステップS207からステップS215の処理を所定の回数繰り返した場合、車両1の運転者が警告を確認したか否かに関わらず、警告を停止させてもよい。所定の回数は、ユーザによって設定可能であってもよい。
【0063】
警告制御部34は、警告を即時停止するか否かを判定する(ステップS216)。運転者が警告を確認した際に即時停止するか否かは、ユーザが任意に設定可能であってもよいし、警告制御部34側で所定の設定に基づいて判定してもよい。警告制御部34は、発出している警告を即時停止すると判定した場合(ステップS216;YES)、警告制御部34の処理はステップS218へ進む。一方、警告制御部34は、発出している警告を即時停止しないと判定した場合(ステップS216;NO)、警告制御部34の処理はステップS217へ進む。
【0064】
警告制御部34は、計時部(不図示)により経過時間を計測し、一定時間が経過するまで待機する(ステップS217)。この時間はユーザによって設定可能であってもよいし、警告制御部34にて所定の値が設定されていてもよい。一定時間経過後、警告制御部34の処理はステップS218へ進む。
【0065】
警告制御部34は、警告を発出している報知装置に警告停止信号を発出し、警告を停止させる(ステップS218)。複数の報知装置にて警告を発出している場合、すべての報知装置に対して警告の停止を同時に行わせてもよいし、段階的に停止させてもよい。警告を停止させた後、警告制御部34の処理はステップS201へ戻り、処理を繰り返す。
【0066】
警告制御装置30は、以上の一連のフローを同時並行に実行するように構成されてもよい。例えば、警告制御装置30は、電子インナーミラー41が警告を発出している間に、新たに危険を検出した場合、電子インナーミラー41に当該危険に関する警告を更に発出させるように構成されてもよい。
【0067】
また、危険を検出したことに応じて、当該危険に対する警告を発出可能な報知装置の上限数が予め規定されていてもよい。例えば、後方からの他車両の接近に起因する警告に関し、電子インナーミラー41を含めて最大3種類の報知装置まで同時に警告が可能なように制御されてよい。
【0068】
また、各報知装置において、警告を強調するように変化させる場合に複数段階の強調の態様が設定されてよい。このとき、検出した危険の種類やレベルによっては、最初の警告の時点で一定程度の強調を行うような構成であってもよい。
【0069】
なお、本明細書の説明において、「第1」、「第2」といった表現は、他の要素と区別するために用いているに過ぎず、限定的に解釈することを意図するものではない。よって、これらの表現は、構成要素等に応じて、適宜読み替えられるものとする。
【0070】
(本開示のまとめ)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0071】
<技術1>
電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御する警告制御装置は、自車両の周辺情報を取得する取得部と、周辺情報から、自車両に関する危険を検出する危険検出部と、運転者の視線を検出する視線検出部と、危険検出部および視線検出部の検出結果に基づいて、複数の報知装置にて危険に対する警告を発出させる警告制御部と、を有し、警告制御部は、危険を検出した際に電子インナーミラーによる第1の警告を発出させた後、視線検出部の検出結果に基づいて、運転者が第1の警告を確認していないと判定した場合、電子インナーミラーとは異なる報知装置にて危険に対する第2の警告を発出させる。
これにより、運転者が自車両に関する危険に対する第1の警告を確認していない場合でも、当該危険に対する第2の警告が発出されるので、運転者に当該危険に対する警告の確認を促すことができる。
【0072】
<技術2>
上記技術に記載の警告制御装置において、警告制御部は、電子インナーミラーとは異なる報知装置にて警告の発出ができない場合、第1の警告よりも強調させた第3の警告を電子インナーミラーにより発出させてよい。
これにより、運転者が自車両に関する危険に対する第1の警告を確認していない場合でも、当該危険に対する第3の警告が発出されるので、運転者に当該危険に対する警告の確認を促すことができる。
【0073】
<技術3>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、警告制御部は、電子インナーミラーとは異なる報知装置にて第2の警告を発出させた後、視線検出部の検出結果に基づいて、運転者が第1の警告または第2の警告を確認していないと判定した場合、第1の警告よりも強調させた第3の警告を電子インナーミラーに発出させてよい。
これにより、運転者が自車両に関する危険に対する第1の警告または第2の警告を確認していない場合でも、当該危険に対する第3の警告が発出されるので、運転者に当該危険に対する警告の確認を促すことができる。
【0074】
<技術4>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、警告制御部は、運転者が、複数の報知装置のうちいずれかにて発出されている危険に対する警告を確認したと判定するまで、複数の報知装置に危険に対する警告を繰り返し発出させてよい。
これにより、運転者が自車両に関する危険に対する警告を確認していない場合でも、当該危険に対する警告が繰り返し発出されるので、運転者に当該危険に対する警告の確認を促すことができる。
【0075】
<技術5>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、危険の検出は、自車両に接近する他車両、自車両を追い越す可能性がある他車両、および、自車両に高速で接近する他車両の少なくとも1つの検出を含んでよい。
これにより、例えば、自車両に高速で接近する他車両を運転者に認知させるための警告を、報知装置に発出させることができる。
【0076】
<技術6>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、第1の警告は、電子インナーミラーのディスプレイ上へのメッセージの表示、または、ディスプレイ上に表示された危険へのマーキングを含んでよい。
これにより、第1の警告は、検出した危険を明確にすることができる。
【0077】
<技術7>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、第3の警告は、電子インナーミラーに搭載される、LEDの点灯または点滅、LEDの発色光の変更、電子インナーミラーのディスプレイ上に表示されたメッセージの発色の変更の少なくとも1つを含んでよい。
これにより、第3の警告は、第1の警告よりも運転者の注意を引くものとなり、運転者に警告の確認を促すことができる。
【0078】
<技術8>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、複数の報知装置は、HUD、メータパネル、およびサイドミラーの少なくとも1つを含み、第2の警告は、電子インナーミラーとは異なる報知装置に搭載される、LEDの点灯または点滅、ディスプレイ上へのメッセージの表示、LEDの発色光の変更、メッセージの発色の変更の少なくとも1つを含んでよい。
これにより、運転者が自車両に関する危険に対する第1の警告を確認していない場合でも、例えば、HUD、メータパネルまたはサイドミラーにより発出される当該危険に対する第2の警告により、運転者に当該危険に対する警告の確認を促すことができる。
【0079】
<技術9>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、複数の報知装置は、自車両に搭載されるハンドルを含み、第2の警告は、ハンドルの振動を含んでよい。
これにより、運転者が自車両に関する危険に対する第1の警告を確認していない場合でも、ハンドルにより発出される当該危険に対する第2の警告により、運転者に当該危険に対する警告の確認を促すことができる。
【0080】
<技術10>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、複数の報知装置は、自車両に搭載されるスピーカを含み、第2の警告は、スピーカが発出する音声メッセージ、またはブザー音を含んでよい。
これにより、運転者が自車両に関する危険に対する第1の警告を確認していない場合でも、スピーカにより発出される当該危険に対する第2の警告により、運転者に当該危険に対する警告の確認を促すことができる。
【0081】
<技術11>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、警告制御部は、運転者が、複数の報知装置のうちいずれかが発出している危険に対する警告を確認したと判定した場合、一定時間経過後に、危険に対する警告を発出している複数の報知装置に、危険に対する警告の発出を停止させてよい。
これにより、自車両に関する危険について、運転者により強く注意を喚起することができる。
【0082】
<技術12>
上記技術の少なくとも1つに記載の警告制御装置において、警告制御部は、視線検出部の検出結果に基づいて、複数の報知装置の中で、運転者の視線の方向により近い位置に存在する報知装置に第2の警告を発出させてよい。
これにより、自車両に関する危険に対する第2の警告は、運転者の視線の方向により近い位置に存在する報知装置から発出されるので、運転者に当該危険に対する警告の確認をより強く促すことができる。
【0083】
<技術13>
電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御する警告制御方法は、自車両の周辺情報を取得するステップと、周辺情報から、自車両に関する危険を検出するステップと、運転者の視線を検出するステップと、危険および視線の検出結果に基づいて、複数の報知装置にて危険に対する警告を発出させるステップと、を含み、警告を発出させるステップにおいて、危険を検出した際に電子インナーミラーによる第1の警告を発出させ、視線の検出結果に基づいて、運転者が第1の警告を確認していないと判定した場合、電子インナーミラーとは異なる報知装置にて危険に対する第2の警告を発出させる。
これにより、運転者が自車両に関する危険に対する第1の警告を確認していない場合でも、当該危険に対する第2の警告が発出されるので、運転者に当該危険に対する警告の確認を促すことができる。
【0084】
<技術14>
電子インナーミラーを含む複数の報知装置による警告を制御するプログラムは、コンピュータを、自車両の周辺情報を取得する取得部、周辺情報から、自車両に関する危険を検出する危険検出部、運転者の視線を検出する視線検出部、危険検出部および視線検出部の検出結果に基づいて、複数の報知装置にて危険に対する警告を発出させる警告制御部、として機能させ、警告制御部は、危険を検出した際に電子インナーミラーによる第1の警告を発出させた後、視線検出部の検出結果に基づいて、運転者が第1の警告を確認していないと判定した場合、電子インナーミラーとは異なる報知装置にて危険に対する第2の警告を発出させる。
これにより、運転者が自車両に関する危険に対する第1の警告を確認していない場合でも、当該危険に対する第2の警告が発出されるので、運転者に当該危険に対する警告の確認を促すことができる。
【0085】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示は、警告制御装置、警告制御方法およびプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 車両
10 センサ部
10-1、10-s センサ
20 運転者撮像カメラ
21 車内撮像カメラ
30 警告制御装置
31 取得部
32 危険検出部
33 視線検出部
34 警告制御部
41 電子インナーミラー
42 HUD
43 メータパネル
44 サイドミラー
45 スピーカ
46 ハンドル
50 ベゼル部
51 ディスプレイ
52 他車両
53 二輪車
54 枠
55 メッセージ表示部
56 LED
101 電子インナーミラーによる視認可能領域
102 サイドミラーによる視認可能領域
M1 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7