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特開2024-131塗布システム、塗布支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000131
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】塗布システム、塗布支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231225BHJP
   A45D 29/00 20060101ALI20231225BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20231225BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20231225BHJP
   B05C 9/06 20060101ALI20231225BHJP
   B05C 9/12 20060101ALI20231225BHJP
   B05C 5/00 20060101ALN20231225BHJP
【FI】
B41J2/01 125
A45D29/00
B05C11/00
B05C11/10
B05C9/06
B05C9/12
B41J2/01 401
B05C5/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098708
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修一
【テーマコード(参考)】
2C056
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056EB13
2C056EB14
2C056EB36
2C056EB38
2C056EC07
2C056EC14
2C056EC26
2C056EC37
2C056FB09
2C056HA47
4F041AA16
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA38
4F042AA27
4F042BA08
4F042BA11
4F042CB12
4F042DB17
4F042DB26
4F042DH09
4F042ED02
(57)【要約】
【課題】液剤塗布後の爪を適切な時間で乾燥させることができる。
【解決手段】塗布システム100が、爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置6と、乾燥装置6によって乾燥された第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置1と、を備え、所定の表示である表示部23に表示される案内表示を、爪の表面上に塗布された第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待ってから、第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段としての制御部11を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムであって、
所定の表示手段に表示される案内表示を、前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待ってから、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段を備える、
ことを特徴とする塗布システム。
【請求項2】
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムであって、
前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待って前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布制御手段を備える、
ことを特徴とする塗布システム。
【請求項3】
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、
前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備え、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知する検知手段と、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントする時間管理手段と、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、所定の表示手段に表示される案内表示を、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段と、
を含んでいることを特徴とする塗布システム。
【請求項4】
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、
前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備え、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知する検知手段と、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントする時間管理手段と、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布制御手段と、
を含んでいることを特徴とする塗布システム。
【請求項5】
前記第2塗布材料の塗布動作の開始が許容された場合に、その旨を報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の塗布システム。
【請求項6】
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムが実行する塗布支援方法であって、
所定の表示手段に表示される案内表示を、前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待ってから、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御を含む、
ことを特徴とする塗布支援方法。
【請求項7】
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムが実行する塗布支援方法であって、
前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待って前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布動作制御を含む、
ことを特徴とする塗布支援方法。
【請求項8】
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムが実行する塗布支援方法であって、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知し、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントし、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、所定の表示手段に表示される案内表示を、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御を含む、
ことを特徴とする塗布支援方法。
【請求項9】
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムが実行する塗布支援方法であって、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知し、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントし、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布動作制御を含む、
ことを特徴とする塗布支援方法。
【請求項10】
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムのコンピュータを、
所定の表示手段に表示される案内表示を、前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待ってから、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムのコンピュータを、
前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待って前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムのコンピュータを、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知する検知手段と、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントする時間管理手段と、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、所定の表示手段に表示される案内表示を、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムのコンピュータを、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知する検知手段と、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントする時間管理手段と、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布システム、塗布支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の爪等にネイルプリントを施す塗布装置(印刷装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば指の爪にマニキュアを施す場合、マニキュア液を塗布したのち、これを乾燥させる工程が必要となる。塗布装置を用いてネイルプリントを施す場合でも、塗布後にインク等の液剤を乾燥させる必要がある。液剤の乾燥には、例えば乾燥装置(ネイルドライヤ等)が用いられる。
【0003】
また、爪にネイルプリントを施す場合、例えば塗布装置(印刷装置)でデザインの形成(インク等の液剤の塗布)を行う前に、爪に白色等の下地を塗ってベースコートを施し、インクが定着しやすいようにインク受容層を形成するプレプリントコートを施し、さらにインク等の塗布によるデザインの形成後には表面を保護するための液剤を塗布してトップコートを施す等の工程を経ることで、より発色がよく、持ちのよいネイルプリントを実現できるため好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003-534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように複数の工程を経る場合、各工程で液剤(コート剤等)を塗布した後、塗布した液剤の乾燥がそれぞれ必要となる。そして各工程で塗布された液剤を乾燥させるのに適切な乾燥時間は液剤ごとに異なる。このため各工程での乾燥の管理をユーザに任せると乾燥が不十分な状態で次の工程に移行してしまう可能性がある。乾燥が不十分な場合、インク等の塗布により形成されたデザインが滲んだり崩れたりして、最終的に美しい仕上がりとならない。
他方で必要以上に乾燥時間を長くすると、ネイルプリントに要する時間が長くなり、ユーザの負担が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、液剤塗布後の爪を適切な時間で乾燥させることのできる塗布システム、塗布支援方法及びプログラムを提供することを利点の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記利点を得るために、本発明に係る塗布システムは、
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムであって、
所定の表示手段に表示される案内表示を、前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待ってから、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液剤塗布後の爪を適切な時間で乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における塗布装置の要部外観構成を示す斜視図である。
図2】本実施形態における乾燥装置の要部外観構成を示す斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る塗布システム及びこれを構成する塗布装置と乾燥装置の概略の制御構成を示す要部ブロック図である。
図4】乾燥時間対応付けテーブルの一例を示す図である。
図5】第1の実施形態における塗布装置と乾燥装置との間の処理を示すフローチャートである。
図6】第1の実施形態における塗布装置と乾燥装置との間の処理を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態における塗布装置と乾燥装置との間の処理を示すフローチャートである。
図8】(a)から(d)は、ベースコート形成工程において表示部に表示される表示画面例である。
図9】(a)から(d)は、プレプリントコート形成工程において表示部に表示される表示画面例である。
図10】(a)は、プレプリントコート形成工程後にデザイン形成工程への移行が許容されたことを知らせる表示画面であり、(b)から(d)は、デザイン形成工程において表示部に表示される表示画面例である。
図11】(a)から(c)は、デザイン形成工程において表示部に表示される表示画面例である。
図12】(a)から(c)は、トップコート形成工程において表示部に表示される表示画面例である。
図13】第2の実施形態における乾燥装置の概略の制御構成を示す要部ブロック図である。
図14】第2の実施形態における塗布装置と乾燥装置との処理を示すフローチャートである。
図15】第2の実施形態における塗布装置と乾燥装置との処理を示すフローチャートである。
図16】(a)から(c)は、第2の実施形態においてベースコート形成工程の際に表示部に表示される表示画面例である。
図17】本実施形態の一変形例に係る塗布システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しつつ、本発明に係る塗布システム、塗布支援方法及びプログラムの実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
例えば以下の実施形態では、塗布装置(印刷装置)が手の指の爪を対象としてこれにインクを塗布するネイルプリント装置である場合を例に説明するが、本発明における塗布装置の塗布対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪を塗布対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを塗布対象としてもよい。
【0011】
また、以下の実施形態では、複数の工程(形成工程)を経て爪にネイルプリントを施すネイル施術処理が完了する場合について説明する。
ここで「複数の形成工程」は、例えば白色等の液剤を爪に塗布して下地となるベース層を形成するベースコート形成工程、ベース層の上にネイルプリント装置である塗布装置(印刷装置)により塗布されるインクを定着させるインク受容層を形成するプレプリントコート形成工程、インク受容層の上に後述の塗布装置により色インクでデザインを形成(塗布)するデザイン形成工程、形成されたデザインの上からコーティング剤を塗布するトップコート形成工程である。各形成工程は、それぞれ液剤の塗布工程と、塗布された液剤を後述の乾燥装置(ネイルドライヤ)により乾燥させる乾燥工程とを含んでいる。またネイル施術処理を構成するこれら「複数の形成工程」の塗布工程は、液剤を手塗りする塗布動作と塗布装置1により自動で行われる塗布動作とを含んでいる。
なお「複数の形成工程」は、ここに例示したものに限定されず、他の工程を含んでいてもよい。また「複数の形成工程」は、ここに示したうちの一部の工程で構成されていてもよい。
なお、各形成工程の詳細については後述する。
【0012】
〈第1の実施形態〉
まず図1から図12を参照しつつ、本発明に係る塗布システム、塗布支援方法及びプログラムの第1の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、実施形態における塗布システム100を構成する塗布装置1の要部外観構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す塗布装置1とともに塗布システム100を構成する乾燥装置6の要部外観構成を示す斜視図である。また図3は、本実施形態の塗布システム100において連携して動作する塗布装置1と乾燥装置6の要部制御構成を示すブロック図である。
【0014】
[塗布装置の構成]
図1に示すように、本実施形態の塗布装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。なお、以下の実施形態において、塗布装置1におけるX方向、Y方向は、図1に示した方向をいうものとする。
【0015】
塗布装置1の筐体2の前面側(図1においてY方向の手前側)であって装置の左右方向(図1におけるX方向)のほぼ中央部には、開口部21が形成されている。開口部21は、塗布対象(対象物)となる爪に対応する指(いずれも図示せず)を装置内に挿入する指挿入口であり、指を出し入れ可能な程度の幅及び高さを有している。
本実施形態では、筐体2の内部であって開口部21の内側に、塗布対象となる爪に対応する指を配置する指配置部3が設けられている。図示はしないが、指配置部3は配置された指を固定するための構成を有し、指の高さ方向等を規制することが好ましい。
指配置部3の高さや幅、奥行き方向の長さは、指を安定して配置できる程度の高さや幅等であればよく、具体的にどの程度とするかは適宜設定される。
また開口部21は、一度に複数本の指(例えば片手の5本指)を受け入れることが可能な大きさ(幅や高さ)に形成されていてもよい。この場合には開口部21の内側に設けられる指配置部3も複数本の指を配置することのできる大きさのものが設けられる。
【0016】
筐体2の上面(天板)には操作部22が設置されている。
操作部22は、ユーザが各種入力を行うものである。
操作部22は、例えば、塗布装置1の電源をON/OFFする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、塗布開始を指示する塗布開始釦等、各種の入力を行うための操作釦で構成されている。
操作部22が操作されると操作に応じた操作信号が制御装置10の制御部11に出力され、制御部11が操作信号に従った制御を行い、塗布装置1の各部を動作させる。
【0017】
また筐体2の上面には、表示部23が配置されている。
表示部23は、例えば例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ、その他のディスプレイ(フラットディスプレイ)を含んでいる。表示部23は、後述の制御部11から入力される表示信号に基づいて、ディスプレイに各種画像や情報を表示させる。
本実施形態の表示部23のディスプレイは、タッチパネルと一体的に構成されていてもよく、この場合にはタッチパネルが、ユーザによるタッチ操作を受け付け、各種入力を行う操作部22としても機能する。
【0018】
さらに本実施形態の筐体2の上面には、ランプ24が配置されている。ランプ24は例えばLED等で構成され、制御部11による制御にしたがい、適宜色を変更させたり、点灯、点滅等を切り替えることができるようになっている。
例えば、塗布装置1が塗布動作を許容する状態となると緑色に常時点灯し、塗布動作を開始して塗布動作中は緑色に点滅する。また塗布動作が許容されない間は赤色に常時点灯し、装置の異常等で塗布動作ができなくなるとエラー表示として赤色に点滅する。
ランプ24は、本実施形態における対象物である爪への液剤塗布が、後述する工程管理手段としての制御部11によって許容された場合に、その旨を報知する報知手段として機能する。なお、報知手段はランプ24に限定されず、表示部23等が報知手段として機能してもよい。また、報知手段はランプ24や表示部23といった視覚的なものでなくてもよく、例えば音声等により報知するものであってもよい。
【0019】
また図3に示すように、塗布装置1は前述の操作部22、表示部23、ランプ24を備える他、塗布機構4、撮影部5、通信部25、及び制御装置10等を備えている。
【0020】
塗布機構4は、ヘッド41と、ヘッド41を移動させるヘッド移動機構49(図3参照)とを有している。
ヘッド41は、対象物である爪に対して液剤(本実施形態において、後述する第2塗付材料であるインク)の塗布(印刷)を行う塗布手段である。
本実施形態においてヘッド41は、図示しないインク貯留部を内蔵するとともに、インク貯留部内のインクを微細な液滴として吐出させ、塗布対象面である爪の表面にインクを塗布するインクジェット方式のインク吐出機構(図示せず)を一体的に備えているカートリッジ一体型の印刷ヘッドである。なお、ヘッド41の具体的な構成は特に限定されず、各種構成のものを適用可能である。
【0021】
本実施形態の塗布機構4に設けられているヘッド41は、例えばシアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)の色インクに対応するインク貯留部を有しており、デザイン(ネイルデザイン)を色インクで形成するデザイン用のヘッド41である。なお、ヘッド41によって塗布可能なインクはここに上げたものに限定されない。これ以外の色のインクを有し、吐出可能となっていてもよい。
【0022】
本実施形態ではヘッド41が装置の左右方向(X方向)及び前後方向(Y方向)に移動可能となっており、ヘッド移動機構49はヘッド41をX方向に移動させる図示しないX方向移動モータ及びヘッド41をY方向に移動させる図示しないY方向移動モータ等を備えている。X方向移動モータ及びY方向移動モータは、例えばステッピングモータであり、後述する塗布制御部として機能する制御部11によりその動作を制御される。
【0023】
撮影部5は、カメラ51と、光源52とを備えている。
カメラ51は、指配置部3やその周辺を撮影することで、載置部3に配置された対象物(爪)を撮影し、その画像を取得する。カメラ51によって取得された画像は、制御部11に送られる。
また、光源52は、例えば白色LED等の照明灯である。
撮影部5のカメラ51は、対象物として爪が載置部3に配置された場合には、爪や爪を含む指を撮影して図示しない爪画像を取得する。本実施形態では、後述する制御部11により、カメラ51で取得された爪画像から液剤の塗布領域である爪領域を画する爪輪郭が検出される。
【0024】
通信部25は、外部装置との間で通信する通信手段である。なお、本実施形態において「外部装置」とは、後述の乾燥装置6等である。
塗布装置1と乾燥装置6等との間での通信は、例えば無線LAN等により行われる。なお、塗布装置1と乾燥装置6等との間での通信はこれに限定されず、いかなる方式によるものでもよい。例えば、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。また、この通信は無線接続方式に限定されず、有線接続により両者間で各種指示信号やデータの送受信が可能な構成としてもよい。
【0025】
本実施形態の通信部25は、後述の制御部11とともに、乾燥装置6の検知手段(後述の指検知部75)により対象物である指(指の爪)が配置されたことが検知されると、乾燥装置6に対して乾燥機構73による乾燥動作を開始させる開始指示を送信する開始指示送信手段として機能する。開始指示は乾燥装置6(乾燥装置6の乾燥機構73)を直接ONする操作信号(ハード的なONスイッチ)であってもよいし、乾燥装置6(乾燥装置6の乾燥機構73)に対して動作を指示する指示信号であってもよい。
また通信部25は、後述する時間管理手段としての制御部11によってカウントされた経過時間が「所定の設定時間」を超えた場合に、乾燥装置6に対して乾燥機構73による乾燥動作を停止させる停止指示を送信する停止指示送信手段として機能する。停止指示は、乾燥装置6(乾燥装置6の乾燥機構73)を直接OFFする操作信号(ハード的なOFFスイッチ)であってもよいし、乾燥装置6(乾燥装置6の乾燥機構73)に対して動作を指示する指示信号であってもよい。また通信部25から出力される乾燥シグナルがHIGHの間は乾燥装置6(乾燥装置6の乾燥機構73)がON状態となり通信部25からの乾燥シグナルがLOWになったときに乾燥装置6(乾燥装置6の乾燥機構73)がOFF状態となってもよい。
【0026】
塗布装置1に搭載される制御装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を有する記憶部12とを備えるコンピュータである。
記憶部12のROM等には、塗布装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
ROM等に格納された各種プログラムを制御部11がRAMの作業領域に展開して実行することによって、塗布装置1の各部の動作を統括的に制御する。
すなわち、制御部11はプログラム(例えば塗布機構4による塗布動作を制御する塗布制御処理プログラム等)との協働により、塗布装置1が塗布処理等を行うための各種機能を実現する。
本実施形態において制御部11は、主として表示部23の動作を制御する表示制御手段、塗布機構4各部の動作を制御する塗布制御手段、撮影部5各部の動作を制御する撮影制御手段、通信部17の動作を制御する通信制御手段等として機能する他、乾燥装置6による乾燥時間を管理する時間管理手段等として機能する。
【0027】
表示制御手段としての制御部11は、表示部23のディスプレイに表示させる表示データを生成し、表示部23に出力する。例えば制御部11は、撮影部5により取得された爪画像を表示させるための画像データや、デザイン(ネイルデザイン)等を表示部に表示させるための表示データ、各種メッセージ画面、案内表示画面、エラー表示画面等を表示部23のディスプレイに表示させる表示データ等を生成する。
【0028】
塗布制御手段としての制御部11は、塗布機構4の動作を制御する。具体的には塗布データにしたがってヘッド41を制御し、適宜インクを吐出させる。また、塗布制御手段としての制御部11は、ヘッド移動機構48(具体的には、X方向移動モータ、Y方向移動モータ)を動作させて適宜ヘッド41をXY方向に移動させる。なお、塗布データは制御部11が生成してもよいし外部から取得してもよい。制御部11が塗布データを生成する場合は、例えば撮影部5により取得された画像(爪画像)等に基づいて爪領域を認識し爪領域にデザインを当てはめる等により生成する。
【0029】
撮影制御手段としての制御部11は、撮影部5のカメラ51及び光源52の動作を制御して、光源52によって爪やその周辺を照明させ、カメラ51によって爪画像等を取得させる。
【0030】
また制御部11は、通信制御手段として通信部25の動作を制御する。例えばデザイン(ネイルデザイン)の選択や、爪画像からの爪輪郭の検出、塗布データの生成等を図示しない端末装置等の外部装置で行った場合には、制御部11は、選択されたデザインのデータや、検出された爪輪郭、生成された塗布データ等を、外部装置から受信するように通信部25を制御する。
【0031】
さらに本実施形態の制御部11は、タイマ機能を備えており、検知手段である後述する乾燥装置6の指検知部75による検知結果を受けて、指検知後の所定の時点からの経過時間をカウントする時間管理手段として機能する。
「所定の時点」とは例えば指検知部75が指を検知したのち2,3秒後等である。時間管理手段としての制御部11がカウントする経過時間は、後述の工程管理手段において次の形成工程への移行を案内するか否かの判断材料となる。このため、カウントのスタートは確実に乾燥装置6による乾燥動作がスタートした時点であることが好ましい。
すなわち、乾燥装置6内に指が配置されたことが検知されると、ユーザによる爪への液剤の塗布が終了して乾燥装置6による乾燥動作が開始されることが想定される。しかし、指が配置されても直ちに乾燥装置6内での乾燥動作が開始されるとは限らない。このため検知されたタイミングから多少の時間をおいてカウントを開始させた方が確実に乾燥動作の経過時間を把握することができる。
【0032】
また制御部11は、前述のように通信部25の動作を制御することで、検知手段(後述の乾燥装置6の指検知部75)により乾燥対象である爪に対応する指が装置内に配置されたことが検知されると、乾燥装置6に対して乾燥機構73による乾燥動作を開始させる開始指示を送信する開始指示送信手段として機能する。また検知手段である乾燥装置6の指検知部75により指が検知された後の所定の時点からの経過時間が後述の「所定の設定時間」を超えると、乾燥装置6に対して乾燥機構73による乾燥動作を停止させる停止指示を送信する停止指示送信手段としても機能する。
【0033】
また制御部11は、タイマ機能によりカウントした経過時間が「所定の設定時間」を超えると、次の形成工程への移行を案内する等の工程管理を行う工程管理手段としても機能する。特に本実施形態では、タイマ機能によりカウントした経過時間が「所定の設定時間」を超えると、工程管理手段としての制御部11が、塗布装置1による塗布動作を許容するようになっており、塗布装置1による第2塗布材料である液剤(インク)の塗布動作の開始を許容する塗付制御手段としての機能を含んでいる。
次の形成工程への移行の案内は、例えば所定の表示手段である表示部23に表示される案内表示を、塗布装置1によるインク(第2塗布材料)の塗布を案内するための案内表示に切り替える等によって行われる。なお「案内」は表示によって行われる場合に限定されず、例えばスピーカ等を備える場合には音声案内によって行われてもよい。
【0034】
ここで「所定の設定時間」は、各形成工程の乾燥工程に応じて設定されている。設定の仕方は特に限定されないが、例えば図4に示すように、液剤(コート剤等)の種類と、当該液剤が乾燥するまでに必要な所要時間とが対応付けられたルックアップテーブル(LUT、以下「乾燥時間対応付けLUT」ともいう。)が記憶部12等に記憶されており、制御部11はこれを参照することにより、各形成工程で用いられる液剤が乾燥するのに必要な「所定の設定時間」を把握する。このように各形成工程における、乾燥に必要な時間は制御部11において把握されるため、指(爪)が乾燥装置6内に配置されたことが検知されると、乾燥装置6から乾燥終了の通知を受けなくても、制御部11は指の検知時点からの経過時間から乾燥完了の予定タイミングを導出することができる。なお、乾燥装置6から乾燥終了の通知を受けて、当該時点(乾燥完了タイミング)に基づいて次の形成工程への移行の案内を行ったり、塗布装置1による塗布動作の許容等の工程管理を行ってもよい。
【0035】
本実施形態では前述のように、ベースコート形成工程、プレプリント形成工程、デザイン形成工程、トップコート形成工程という4つの工程を経てネイルプリント(ネイル施術処理)が完了する。どのような順番でどの形成工程を行うか、各形成工程でどのような液剤を塗布するかは、一連の処理を開始する前にネイル施術処理の内容として制御部11が取得する。
すなわち、ユーザが爪に形成(塗布)したいデザイン(ネイルデザイン)を選択すると、選択されたデザインを最も高品位に仕上げることのできるデザイン施術処理の内容(具体的には、望ましい形成工程、液剤の種類等)が決定される。なお、上記例示した複数の形成工程のうち、本実施形態では、デザイン形成工程のみを塗布装置1で行い、他の形成工程(ベースコート形成工程等)についてはユーザが液剤(コート剤)を手塗りする場合について説明する。
【0036】
例えばベースコート形成工程で用いられる液剤(コート剤)の成分は、酢酸ブチル、ニトロセルロース、アクリル酸アルキルコポリマー、酸化チタン等であり、プレプリントコート形成工程で用いられる液剤(コート剤)の成分は、水、(VP/VA)コポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム等であり、トップコート形成工程で用いられる液剤(コート剤)の成分は、酢酸ブチル、ニトロセルロース、アクリル酸アルキルコポリマー等である。
このように各工程で用いられる液剤は含有する成分等が異なり、液剤を乾燥させるのに必要な時間にも差がある(例えば3分から5分程度)。なお、デザイン形成工程において塗布装置1により塗布される液剤(デザイン用インク)は通常水性インクであり、かつ機械によりむらなく塗布(印刷)されることが想定される。このため、ベースコート形成工程等においてユーザにより手塗りされる各種コート剤よりも乾燥に必要な時間は短い(例えば1分以下)。
【0037】
また、同じ形成工程でもユーザが選択したデザインによって複数種類の液剤(コート剤)が使い分けられる場合もある。例えばベースコート形成工程の場合、くっきりとした鮮やかなデザインを印刷する際には爪をできるだけ白く塗りつぶし地爪の色を完全に消した方が美しい仕上がりとなる。このため、ベースコートに用いる液剤も隠蔽性の高い白色の液剤等が選択される。また透明感のある仕上がりにしたいデザインが選択された場合には、ユーザの好みに応じて多少ピンクがかったりベージュがかった液剤をベースコートのコート剤に用いる場合もある。それぞれ液剤の種類によって含有する成分が異なり、液剤を乾燥させるのに必要な時間にも差がある。
【0038】
このため、工程管理手段としての制御部11は、ユーザによるデザインの選択に伴ってネイル施術処理の内容(ネイル施術処理を構成する形成工程の内容)が取得されると、各形成工程で用いられる液剤(コート剤)に対応する「所定の設定時間」を、乾燥時間対応付けLUT(図4参照)等を参照して取得する。
そして、カウントされた経過時間が「所定の設定時間」を超えると、液剤(コート剤)が十分に乾燥されたとしてユーザに次の形成工程に進むように案内する。本実施形態では例えば図8(d)、図9(a)のような案内表示(表示画面23d,23e等)を表示部23に表示させる。なお、具体的な案内の仕方は特に限定されない。例えば塗布装置1がスピーカ等を備えている場合には、スピーカからの音声によって次の形成工程を案内してもよい。
この点、本実施形態の塗布システム100では、カウントされた経過時間が「所定の設定時間」を超えると次の形成工程への移行を案内する。言い換えれば、経過時間が「所定の設定時間」を超えるまでは次の形成工程に進むような案内をしないことで、乾燥が不十分なまま、ユーザが自分の判断で次の形成工程に進んでしまうのを防止し、適切な乾燥時間を確保する。
【0039】
なお、本実施形態ではネイル施術処理の全ての形成工程において乾燥時間を確保するための時間管理、工程管理を行う場合を例示しているが、時間管理や工程管理は全ての形成工程で行われる場合に限定されない。例えばネイル施術処理の形成工程のうち、ベースコート形成工程とプレプリント形成工程のように塗布工程が手塗りである形成工程が連続する場合には時間管理、工程管理を行わないとしてもよい。
手塗りされる液剤(ベースコート形成工程やプレプリント形成工程で塗付されるコート剤)を「第1塗布材料」とし、塗布装置1で塗布される液剤(デザイン形成工程で塗付されるインク)を「第2塗布材料」とした場合に、特に「第1塗布材料」が十分に乾燥する前に「第2塗布材料」が塗布されると、液剤が溶け合う等によりデザインが崩れたり滲んだりしやすくなり、ネイルプリントの仕上がりに大きく影響する。
このため特に塗布工程が手塗りで行われるプレプリント形成工程から、塗布工程が塗布装置1で行われる次のデザイン形成工程への移行時において、「所定の設定時間」を超えるまでは確実に次の形成工程に移行させないようにすれば、高品位なネイルプリントを実現することができる。
【0040】
[乾燥装置の構成]
本実施形態の乾燥装置6は、図2に示すように、ほぼ箱形に形成された筐体7を有している。なお、以下の実施形態において、乾燥装置6におけるX方向、Y方向は、図2に示した方向をいうものとする。なお、乾燥装置6の形状等は図示例に限定されない。後述するファンやヒータといった乾燥機構を備えるものであれば、例えば送付機やヘアドライヤのような形状のものであってもよい。
【0041】
筐体7の前面側(図2においてY方向の手前側)には、装置の幅方向のほぼ全面に亘って開口部71が形成されている。開口部71は、対象物である爪に対応する指を含む手を装置内に挿入する挿入口であり、手を出し入れ可能な程度の幅及び高さを有している。なお、開口部71の大きさ等は図示例に限定されない。例えば両手が同時に挿入できるような幅を有していてもよいし、指を1本ずつ受け入れ可能な程度の大きさ(幅)の開口部であってもよい。
【0042】
筐体7の上面(天板)には操作部72が設置されている。
操作部72は、ユーザが各種入力を行うものである。
操作部72は、例えば、乾燥装置6の電源をON/OFFする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、乾燥動作の開始を指示する乾燥開始釦等、各種の入力を行うための操作釦で構成されている。
操作部72が操作されると操作に応じた操作信号が動作制御部60に出力され、動作制御部60が操作信号に従った制御を行い、乾燥装置6の各部を動作させる。
【0043】
本実施形態において、筐体7の内部は液剤(コート剤等)が塗布された爪を乾燥させる乾燥空間SPとなっている。乾燥空間SP内の上方には乾燥機構73が設けられている。
乾燥機構73は、例えば図示しないモータを含み、モータの駆動によって回転駆動するプロペラ(翼)を有する軸流ファンである。
ファンを動作させるモータは後述する動作制御部60によって制御され、例えばモータに印加する電圧の値(以下これを「印加電圧値」ともいう。)が高くなると、モータの回転数が上がり、これによってファンからの風量や風速が大きくなる。
なお乾燥機構73は、ファンによる送風で液剤を乾燥させるものに限定されない。例えばファンに代えて又はファンとともに乾燥空間SP内を加熱するヒータ等を備えていてもよい。液剤の種類によっては、風を当てるよりも加熱した方が効果的に乾燥を促進させることができるものもある。このため液剤の種類に応じて適宜ファンやヒータを使い分けて乾燥動作を行ってもよい。
【0044】
乾燥空間SP内であって乾燥機構73の下方には、乾燥の対象物である爪を含む指を載置する載置台74が設けられている。
載置台74は例えば樹脂等で形成されている。載置台74は乾燥機構73(ファン)からの風を効率よく逃がすことができるように、例えば図2示すように載置台74の上面や側面に通風用のスリット等が設けられていることが好ましい。なお、載置台74の形状・構成等は図示例に限定されない。
【0045】
また、載置台74の上面等には、載置台74に指が載置されたときにこれを検知する検知手段としての指検知部75が設けられている。
指検知部75は、乾燥の対象物である爪を含む指が乾燥空間SP内の所定の位置に配置されたこと(すなわち乾燥動作を開始できる状態であること)を検知できるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。指検知部75としては例えば接触センサや圧力センサ、指先で押すことで信号を発生させるボタンスイッチ等が適用可能である。また、載置台74の上面を撮影可能なカメラ等で画像を取得することで指が配置されたことを検知してもよい。また例えば指を筐体7内に入れるために蓋を開ける必要がある構造とした場合には、蓋が開被されるとセンサやスイッチが反応し、乾燥空間SP内に指が入ったことが検知されるようにしてもよい。
【0046】
図2及び図3に示すように、乾燥装置6は、操作部72、乾燥機構73等を備えるほか、通信部76、動作制御部60等を備えている。
【0047】
通信部76は、外部装置との間で通信する通信手段である。なお、本実施形態において「外部装置」とは、塗布装置1等である。通信部76は通信相手である塗布装置1の通信部25に対応する方式での通信が可能に構成されており、例えば無線LAN、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信、有線接続による通信、インターネット等のネットワーク回線を使った通信等が可能となっている。
指検知部75によって乾燥装置6に指が配置されたことが検知されると指を検知した旨の信号(指検知信号)が通信部76を介して塗布装置1に送信される。
また、塗布装置1の制御部11から通信部25を介して乾燥動作を開始する旨の指示(開始指示)や乾燥動作を停止する旨の指示(停止指示)が送信されると、通信部76によって当該指示が受信され、動作制御部60に送られる。
【0048】
また動作制御部60は乾燥装置6の各部を統括制御可能となっており、例えば塗布装置1からの開始指示や停止指示にしたがって、乾燥機構73の乾燥動作を開始させたり停止させたりする。
また指検知部75からの検知結果を受け取って、適宜塗布装置1に送信する。
【0049】
[塗布システムの動作及び塗布支援方法]
続いて、本実施形態における塗布システムの動作及び塗布支援方法について、図5から図12を参照しつつ説明する。
図5から図7は、本実施形態の塗布システムにおける塗布制御処理を示すフローチャートである。なお、図示は省略するが、本実施形態の塗布システム100における塗布制御処理では、塗布装置1と乾燥装置6とが互いに通信して連携可能となっており、以下の処理において塗布装置1が連携する乾燥装置6とペアリング(相互の登録、認証等)していることを前提とする。
例えば塗布装置1は乾燥装置6に対して自機と通信可能か否かを問合せ、レスポンスがあった乾燥装置6と連携が可能となる。
【0050】
図5に示すように、本実施形態ではまず塗布装置1がネイルプリントにおけるネイル施術処理の内容(ネイル施術処理を構成する形成工程の内容)を取得する(ステップS1)。ネイル施術処理の内容は、例えばユーザが爪に形成(塗布)したいデザインを選択すると、選択されたデザインを高品位で実現するために必要な工程が、制御部11において決定される。なお、決定された工程をユーザが自分の好み等で変更することができてもよい。ネイル施術処理の内容には、各形成工程で使用される液剤(第1塗布材料であるコート剤や第2塗布材料であるインク)の種類等も含まれてよい。各形成工程で適用可能な液剤(コート剤)が複数種類あるような場合には、ユーザに提示して選択を求めてもよい。
【0051】
ネイル施術処理の内容が取得されると、制御部11はベースコートの塗布及び乾燥を行うようにユーザに促す案内を表示部23に表示させる(ステップS2)。この場合に表示部23に表示される表示画面23aの一例を図8(a)に示す。ベースコート形成工程で適用可能な液剤(ベースコート剤)が複数ある場合には、図8(a)に示すように、「塗布するベースコート剤は○○です。」等の案内を表示画面23a上に表示させることが好ましい。なお具体的なレイアウト等は図示例に限定されない。また、ネイル施術工程の全体像(すなわち、ベースコート形成工程→プレプリントコート形成工程→デザイン形成工程→トップコート形成工程という全体の流れ)が分かる説明図等を表示部23に表示させてもよい。この場合、終了した工程については色を変える等により、現在どの工程を行っているのかを視覚的に示してもよい。
【0052】
乾燥装置6の側では、動作制御部60が指検知部75からの検知結果をモニタリングし、指検知部75が乾燥装置6内に指が配置されているのを検知したか否かを判断する(ステップS3)。そして指検知部75によって指が配置されたと検知されるまでモニタリングを繰り返し、指検知部75が指を検知すると(ステップS3;YES)、指を検知した旨の指検知信号を、動作制御部60が通信部76を介して塗布装置1に送信する(ステップS4)。
【0053】
塗布装置1側では、乾燥装置6からの指検知信号を受信したか否かを制御部11が判断しており(ステップS5)、指検知信号を受信すると(ステップS5;YES)、制御部11は乾燥装置6に対して乾燥動作を開始するよう指示する開始指示を送信する(ステップS6)。なお、前述のように塗布装置1側から送信される乾燥動作の開始指示は、乾燥装置6の乾燥機構73のスイッチを直接ONするスイッチ信号等でもよいし、動作制御部60に乾燥機構73をONするように求めるものでもよい。
開始指示を送信したときには、例えば図8(b)に示す表示画面23bを表示部23に表示させることが好ましい。表示画面23bには、乾燥を開始する旨や乾燥に要する時間を表示させるとユーザにとって分かりやすい。
【0054】
また制御部11は、開始指示を送信すると、時間管理手段として、乾燥動作の経過時間をカウントするタイマ(乾燥タイマ)をスタートさせる(ステップS7)。なお、検知手段である指検知部75が指を検知しても、それが塗布装置1に通知されて塗布装置1から乾燥装置6に開始指示が送られるまで多少の時差が生じる。また開始指示が送られてもすぐに乾燥機構73がONとなるとは限らない。実際に乾燥動作が行われた時間がタイマによってカウントされた経過時間よりも短いと実際には必要な時間よりも短いのに必要な乾燥時間が経過したと判断されるおそれがある。このため、乾燥時間不足となるのを防ぐために、経過時間をカウントするタイマは、指検知部75により指が検知され指検知信号が送信された後、「所定の時点」(例えば2,3秒後の時点)からカウントを開始することが好ましい。
更に図8(b)や図8(c)に示すように乾燥時間のカウントに伴って残り時間の表示が変化していくような表示画面23b,23cを表示させた場合には、どのくらいの時間、乾燥を続けるのかがユーザにとって視覚的に分かりやすく、好ましい。
【0055】
乾燥装置6の側では、塗布装置1から開始指示を受けると乾燥機構73をONとして乾燥動作を開始させる(ステップS8)。
一方塗布装置1の制御部11はタイマによりカウントされた経過時間が「所定の設定時間」を超えたか否かを判断し(ステップS9)、経過時間が「所定の設定時間」を超えると(ステップS9;YES)、乾燥装置6に対して乾燥機構73による乾燥動作を停止するよう指示する停止指示を送信する(ステップS10)。
乾燥装置6側では、塗布装置1から停止指示を受けると乾燥機構73をOFFとして乾燥動作を停止させる(ステップS11)。乾燥装置6に対して停止指示を送信したときは、制御部11は表示部23に例えば、図8(d)に示すような表示画面23dを表示させてベースコートの乾燥が完了したことをユーザに知らせることが好ましい。
なお本実施形態では、図5のステップS2からステップS11が「ベースコート形成工程」となる。
【0056】
また図5に示すようにステップS12からステップS21は「プレプリントコート形成工程」の流れを示すものであり、具体的な内容は、ステップS2からステップS11の「ベースコート形成工程」とほぼ同様である。
図9(a)から図9(d)は「プレプリントコート形成工程」において適宜塗布装置1の表示部23に表示される表示画面23e~表示画面23hである。表示される内容は「ベースコート形成工程」において表示部23に表示される表示画面23aから表示画面23dとほぼ同様である。
【0057】
ステップS21までが終了すると、「ベースコート形成工程」(すなわち、ベースコート剤の塗布及びその乾燥)、「プレプリントコート形成工程」(すなわち、プレプリントコート剤の塗布及びその乾燥)が完了する。ここまでは塗布装置1を用いた(装置による)塗布前の手塗りにより行われる工程である。
本実施形態では、この塗布前の工程についてカウントした経過時間が「所定の設定時間」(すなわち、液剤(第1塗布材料であるコート剤)の乾燥に必要な時間)を超えるまでは工程管理手段としての制御部11が塗布装置1による対象物(本実施形態では爪)への塗布を許容しないようになっており、「プレプリントコート形成工程」の乾燥時間が「所定の設定時間」を超えるとはじめて塗布装置1によるデザイン形成工程への移行が許容される。
【0058】
このため、「プレプリントコート形成工程」の乾燥動作が停止すると、図6に示すように、塗布装置1の制御部11が、塗布装置1が塗布許容状態であること、及び塗布装置1に指をセットするように促す案内を表示部23に表示させる(ステップS22)。なお、塗布装置1の開口部21にシャッタ等を設けておき、塗布装置1が塗布許容状態となるまでは(すなわち「プレプリントコート形成工程」の乾燥時間が乾燥に必要な時間を経過するまでは)、開口部21のシャッタが開かず、物理的に装置内に指を入れることのできない状態としてもよい。
【0059】
図10(a)は、デザイン形成工程への移行が許容されたことをユーザに知らせる表示画面23iの一例である。また塗布装置1が塗布許容状態となるまではランプ24が赤色に点灯し、塗布許容状態となるとランプ24の色が緑色等に変化してもよい。この場合表示部23やランプ24は、対象物である爪への塗布が許容された場合に、その旨を報知する報知手段として機能する。
また図10(b)は、デザイン形成工程において塗布装置1内に指を配置するようにユーザに知らせる表示画面23jの一例である。
図6に示すように、塗布装置1の制御部11は、装置に指がセットされたか否かを検知する(ステップS23)。なおこの検知手法はどのようなものでもよく、例えば撮影部5のカメラ51で指配置部3やその周辺を撮影して画像を取得し、画像解析等の手法により指が配置されたか否かを確認してもよいし、指配置部3に検知センサ等を設けて検知信号が出力されたか否かを見てもよい。
【0060】
そして装置に指がセットされたことを検知すると(ステップS23;YES)、制御部11は、塗布機構4を動作させて、爪へのネイルデザインの形成(第2塗布材料であるインクの塗布)を行わせる(ステップS24)。なお、ここでは塗布データの生成等、塗布動作の一般的な内容については説明を省略する。図10(c)は、塗布装置1に指がセットされたことが検知された場合に表示部23に表示される表示画面23kの一例である。この場合図10(c)に示すように塗布動作を開始する旨や、塗布動作中指を動かさないように求めるメッセージを表示させることで指を治具等により物理的に固定しなくても指位置のずれやぶれを防ぐことができる。なお、一旦指が検知されてもその後に指が動く場合もあるため、塗布動作は指が検知されてから2,3秒後等に開始させることが好ましい。
【0061】
制御部11は塗布動作が終了したか否かを判断し(ステップS25)塗布動作が終了すると(ステップS25;YES)、塗布動作が完了した旨及び乾燥の案内を表示部23に表示させる(ステップS26)。
図10(d)は、この場合に表示部23に表示される表示画面23lの一例である。
一方、乾燥装置6側では「ベースコート形成工程」や「プレプリントコート形成工程」の場合と同様に、動作制御部60が指検知部75からの検知結果をモニタリングし、指検知部75が乾燥装置6内に指が配置されているのを検知したか否かを判断する(ステップS27)。そして指検知部75によって指が配置されたと検知されるまでモニタリングを繰り返し、指検知部75が指を検知すると(ステップS27;YES)、指を検知した旨の指検知信号を、動作制御部60が通信部76を介して塗布装置1に送信する(ステップS28)。
【0062】
塗布装置1の制御部11は、乾燥装置6からの指検知信号を受信したか否かを制御部11が判断しており(ステップS29)、指検知信号を受信すると(ステップS29;YES)、制御部11は乾燥装置6に対して乾燥動作を開始するよう指示する開始指示を送信する(ステップS30)。
開始指示を送信したときには、例えば図11(a)に示す表示画面23mを表示部23に表示させることが好ましい。表示画面23mには、乾燥を開始する旨や乾燥に要する時間を表示させるとユーザにとって分かりやすい。
【0063】
また制御部11は、開始指示を送信すると、時間管理手段として、乾燥動作の経過時間をカウントするタイマ(乾燥タイマ)をスタートさせる(ステップS31)。
乾燥装置6の側では、塗布装置1から開始指示を受けると乾燥機構73をONとして乾燥動作を開始させる(ステップS32)。
図11(b)は、乾燥動作中に表示部23に表示される表示画面23nの一例である。表示画面23nのように、時間経過とともに乾燥動作の残り時間が減っていく様子を目視で確認できるようにするとユーザにとって分かりやすく、好ましい。
【0064】
一方塗布装置1の制御部11はタイマによりカウントされた経過時間が「所定の設定時間」を超えたか否かを判断し(ステップS33)、経過時間が「所定の設定時間」を超えると(ステップS33;YES)、乾燥装置6に対して乾燥機構73による乾燥動作を停止するよう指示する停止指示を送信する(ステップS34)。
乾燥装置6側では、塗布装置1から停止指示を受けると乾燥機構73をOFFとして乾燥動作を停止させる(ステップS35)。乾燥装置6に対して停止指示を送信したときは、制御部11は表示部23に例えば、図11(c)に示すような表示画面23oを表示させてデザインを形成するためのインクの乾燥が完了したことをユーザに知らせることが好ましい。
なお本実施形態では、図6のステップS22からステップS35が「デザイン形成工程」となる。
【0065】
塗布装置1によるデザインの形成及び塗布された液剤(デザイン用のインク)の乾燥が完了すると、次にトップコート形成工程に移行する。
図7に示すようにステップS36からステップS45は「トップコート形成工程」の流れを示すものであり、具体的な内容は、ステップS2からステップS11の「ベースコート形成工程」、ステップS12からステップS21の「プレプリントコート形成工程」とほぼ同様である。
図12(a)及び図12(b)は「トップコート形成工程」において適宜塗布装置1の表示部23に表示される表示画面23p及び表示画面23qである。表示される内容は「ベースコート形成工程」において表示部23に表示される表示画面23a、表示画面23b、「プレプリントコート形成工程」において表示部23に表示される表示画面23e、表示画面23fとほぼ同様である。
【0066】
図7に示すように、「ベースコート形成工程」から「トップコート形成工程」までの予定されたネイル施術処理の全ての形成工程が終了すると、制御部11はその旨の表示を表示部23の表示画面に表示させて(ステップS46)、処理を終了する。
図12(c)は、ネイル施術処理の全工程が終了した際に表示部23に表示される表示画面23rの一例である。この場合、トップコート形成工程までが終了した旨を表示させる。また本実施形態のように指1本ずつについて爪に施術を行う場合には、他にもネイルデザインを形成したい爪があるか否かを確認する画面を表示させることが好ましい。そして、ユーザが他にもネイルデザインを形成したい爪がある場合(図12(c)で「YES」を選択した場合)には、当該指について、図5のステップS1に戻って処理を繰り返す。
【0067】
このように本実施形態では、各形成工程で塗布された液剤(第1塗布材料であるコート剤や第2塗布材料であるインク)の乾燥が必要十分な時間行われた後でなければ次の工程の案内がされないため、液剤が十分乾燥する前にユーザが先走って工程を先に進めてしまうのを防止することができる。
なお、片手5本や両手10本の指の爪に対して共通の施術を行う場合には、ユーザによって選択されたデザインやネイル施術処理の内容等の情報を記憶部12等に記憶させておき、図7のステップS46まで終了した後、2本目の施術からは図4のステップS2から処理を繰り返すとしてもよい。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、塗布システム100は、爪の表面上に塗布された第1塗布材料(ベースコート剤やプレプリントコート剤)を乾燥させる乾燥装置6と、乾燥装置6によって乾燥された第1塗布材料を介して爪の表面上に第2塗布材料(塗布装置1により塗布されるデザイン用のインク等)を塗布する塗布装置1と、を備えており、所定の表示手段である表示部23に表示される案内表示を、爪の表面上に塗布された第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待ってから、第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段としての制御部11を備えている。
第1塗布材料(コート剤やインクといった液剤)の乾燥が不十分なまま次の工程の液剤(第2塗布材料)が塗布されてしまうと塗布された液剤が混ざり合ってしまったり、形成(塗布)されたデザインがきちんと定着せずに流れたり崩れたりしてしまう。
このことは、複数の層の形成工程がある場合に、特に塗布装置1による塗布(第2塗布材料の塗布)を行う段階においてその前の工程で塗布された液剤が十分に乾燥していること(十分に乾燥した層の上に塗布を行うこと)が重要となる。
この点、第1塗布材料(本実施形態ではユーザにより手塗りされるコート剤)が乾燥してから塗布装置1による第2塗布材料(塗布装置1により塗付されるインク)の塗布動作が案内されるとすることで、乾燥が不十分なままユーザが塗布装置1による塗布動作を始めてしまうのを防止することができる。これにより、塗布装置1によって塗布される第2塗布材料が先に塗布されている液剤(第1塗布材料)に溶け出して塗布装置1によって形成されたデザインが崩れる等を防ぐことができ、高品位の仕上がりのネイルプリントを実現することができる。
【0069】
また本実施形態では、爪の表面上に塗布された第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待って第2塗布材料の塗布動作の開始が許容される。
このように第1塗布材料が塗布されてから乾燥完了(又は完了予定)のタイミングがくるまでは塗布装置1による塗布動作を許容しないとすることで、必要な乾燥時間を確実に確保することができる。このため美しい仕上がりのネイルプリントを実現できる。
【0070】
また本実施形態では、表面上に第1塗布材料が塗布された爪が乾燥装置6内に配置されたことを検知して、この検知されたタイミングに基づいて乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントし、経過時間が所定の設定時間を超えると、表示部23の表示を第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える。
このように爪が乾燥装置6にセットされてからの経過時間をカウントして次の工程への移行を案内することで、より確実に乾燥時間を確保することができ、美しい仕上がりのネイルプリントを実現することができる。
【0071】
また本実施形態では、乾燥動作の経過時間が所定の設定時間を超えると、第2塗布材料の塗布動作の開始が許容されるようになっている。
このため、第1塗布材料の乾燥に必要な時間を確実に確保することができ、高品位の仕上がりのネイルプリントを実現することができる。
【0072】
また第2塗布材料の塗布動作の開始が許容された場合に、その旨をユーザに報知する手段は、表示部23に表示される案内表示を切り替えることに限定されない。例えば音声等によって報知してもよく、この場合には、音の聞こえる範囲であればユーザが表示画面の前に待機していなくても次工程に移行できることを知ることができる。
【0073】
ベースコート形成工程等の各工程において必要な乾燥時間(「所定の設定時間」)は、塗布材料(コート剤やインク等の液剤)の種類(含有される成分等)によって異なり、ユーザが塗布材料(コート剤やインク等の液剤)ごとの必要な乾燥時間を把握して適切な時間で乾燥動作を行うことは困難である。
この点本実施形態では、乾燥に必要な時間は工程(又は液剤ごと)ごとに設定されており(例えば図4に示す乾燥時間対応付けテーブル)、これに基づいて制御部11により管理される。このため、各工程において適切に液剤(コート剤やインク)を乾燥させることができる。
【0074】
〈第2の実施形態〉
まず図13から図16を参照しつつ、本発明に係る塗布システム、塗布支援方法及びプログラムの第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、乾燥装置6が塗布装置1側と通信を行わないものである点が第1の実施形態と異なる。以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0075】
図13は、実施形態における塗布システムを構成する乾燥装置の要部制御構成を示すブロック図である。
図13に示すように、乾燥装置6は第1の実施形態と同様に、ファンやヒータ等を含んで構成される乾燥機構73を備えている。
また乾燥装置6は装置全体を統括制御する動作制御部60を備えている。
なお、本実施形態の乾燥装置6は塗布装置1等の外部装置との間で通信する通信手段を有していない。乾燥装置6の中に乾燥の対象となる爪に対応する指が配置されたかどうかを塗布装置1等に通知することができないため、指が配置されたか否かを検知する指検知部を備えていない。
【0076】
また塗布装置1等の外部装置との間で通信しないため、乾燥機構73のON/OFFについて塗布装置1等から指示信号(すなわち開始指示、停止指示等の信号)を受けることができない。
このため、塗布装置1側の制御部11は取得手段として、対象物(爪やこれに対応する指)が乾燥装置6内に配置されたことを示す情報をユーザによる入力操作により取得する。
また、制御部11は乾燥装置6内に指(爪)が配置されたことを示す情報を取得すると、開始指示提示手段として乾燥装置6による乾燥動作を開始させるように促す開始指示情報を提示する。具体的には乾燥動作を開始するよう求めるメッセージ等を表示部23に表示させる。
また、制御部11は第1の実施形態と同様に乾燥開始からの経過時間をカウントし、経過時間が「所定の設定時間」を超えると、停止指示提示手段として、乾燥装置6による乾燥動作を停止させるように促す停止指示情報を提示する。
乾燥装置6は、乾燥機構73のON/OFFをユーザが切り替えるボタン等を図示しない筐体上面等に有している。
塗布装置1の表示部23等に表示される開始指示情報にしたがってユーザが乾燥開始ボタン81を操作すると、操作信号が動作制御部60に送られて乾燥機構73がONとなり乾燥動作が開始される。また、停止指示情報にしたがってユーザが乾燥停止ボタン82を操作すると、操作信号が動作制御部60に送られて乾燥機構73がOFFとなり乾燥動作が停止される。
【0077】
なお、その他塗布装置1側の構成等は、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0078】
[塗布システムの動作及び塗布支援方法]
続いて、本実施形態における塗布システムの動作及び塗布支援方法について、図14から図16を参照しつつ説明する。
図14及び図15は、本実施形態の塗布システムにおける塗布制御処理を示すフローチャートである。
【0079】
図14に示すように、本実施形態ではまず第1の実施形態の場合と同様に、塗布装置1がネイルプリントにおけるネイル施術処理の内容(ネイル施術処理を構成する各形成工程の内容)を取得する(ステップS51)。そして、塗布装置1の制御部11は、ベースコートを塗布し、塗布が完了したら指を乾燥装置6にセットして乾燥を行うように案内する表示画面(図16(a)の表示画面23s)を表示部23に表示させる(ステップS52)。
前述のように本実施形態では乾燥装置6と塗布装置1とが通信しないため、乾燥を開始するタイミングを塗布装置1側で受信することができない。このため、表示画面23sには、例えばベースコートの塗布後に指を乾燥装置6内に配置したら乾燥開始ボタン81を操作するよう促すメッセージを表示部23に表示させ、乾燥を開始したらその旨を知らせる操作をするよう指示してもよい。また乾燥開始ボタン81を押したら塗布装置1側で経過時間のカウントを開始するための「カウント開始ボタン」等を操作するよう求めるメッセージ等も適宜表示部23に表示される。この場合、制御部は乾燥開始ボタン81が操作された旨が連絡されたか否かを判断し(ステップS53)、さらに塗布装置1側において経過時間のカウントを開始するための「カウント開始ボタン」等が操作されたか否かを判断する(ステップS54)。なお「カウント開始ボタン」は図16(a)に示すように表示画面23sに表示されたタッチパネル上のボタンであってもよいし、操作部22と同様に筐体2の上面等に設けられたボタン等であってもよい。なお、乾燥開始ボタン81がユーザによって操作されたか否かは塗布装置1側に連絡されなくてもよく、この場合制御部11は「カウント開始ボタン」が操作されたか否かを判断して(ステップS54)、操作された場合(ステップS54;YES)には、乾燥装置6の乾燥開始ボタン81も操作されたものとみなす。
【0080】
表示部23の表示にしたがってユーザが乾燥装置6の乾燥開始ボタン81を操作すると操作信号が動作制御部60に受け付けられ(ステップS55)、乾燥機構73による乾燥動作が開始される(ステップS56)。
また塗布装置1の制御部11は、ユーザによりカウント開始ボタンが操作されたか否かを判断し(ステップS54)、カウント開始ボタンが操作されると(ステップS54;YES)、制御部11は乾燥タイマをスタートさせる(ステップS57)。図16(b)は、「カウント開始ボタン」が操作されたことが検知されたときに表示部23に表示される表示画面例(表示画面23t)である。
なお、乾燥動作の開始より前にカウント開始ボタンが操作されると乾燥に必要な時間が経過していないのに「所定の設定時間」が経過したと誤った判断がされるおそれがある。このため、乾燥開始ボタン81の操作と「カウント開始ボタン」の操作の先後を守るように表示画面23sにおいてユーザに注意を促してもよい。
【0081】
制御部11は、タイマによりカウントされた経過時間が「所定の設定時間」を経過したか否かを判断し(ステップS58)、タイマによりカウントされた時間が「所定の設定時間」を経過すると(ステップS58;YES)、乾燥停止ボタン82を操作するように促す画面を表示部23に表示させる(ステップS59)。
表示部23の表示にしたがってユーザが乾燥装置6の乾燥停止ボタン82を操作すると操作信号が動作制御部60に受け付けられ(ステップS60)、乾燥機構73による乾燥動作が停止される(ステップS61)。
【0082】
なお本実施形態では、図14のステップS52からステップS61が「ベースコート形成工程」の処理であり、「ベースコート形成工程」が終了すると、「プレプリントコート形成工程」を行う。図14のステップS62からステップS71が「プレプリントコート形成工程」の処理を示すものであり、具体的な内容は、ステップS52からステップS61の「ベースコート形成工程」とほぼ同様である。
図14のステップS71までが終了すると、「ベースコート形成工程」(すなわち、ベースコート剤の塗布及びその乾燥)、「プレプリントコート形成工程」(すなわち、プレプリントコート剤の塗布及びその乾燥)が完了する。ここまでは塗布装置1を用いた(装置による)塗布前の手塗りにより行われる工程である。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、この塗布前の工程についてカウントした経過時間が「所定の設定時間」(すなわち、液剤(コート剤)の乾燥に必要な時間)を超えるまでは工程管理手段としての制御部11が塗布装置1による対象物(本実施形態では爪)への塗布を許容しないようになっており、「プレプリントコート形成工程」の乾燥時間が「所定の設定時間」を超えるとはじめて塗布装置1によるデザイン形成工程への移行が許容される。
【0083】
このため、「プレプリントコート形成工程」の乾燥動作が停止すると(図14のステップS71)、図15に示すように、塗布装置1の制御部11が、塗布装置1が塗布許容状態であること、及び塗布装置1に指をセットするように促す案内を表示部23に表示させる(ステップS72)。
図16(c)はこの場合に、デザイン形成工程への移行が許容されたことをユーザに知らせる表示部23の表示画面23uの一例である。
表示画面23uは、塗布装置1の塗布手段(塗布機構4)による対象物(爪)への塗布が許容された場合に、その旨を報知する報知手段として機能する。そして、塗布装置1においてデザイン形成処理(形成工程のうち、液剤(インク)の塗布工程)が行われる(ステップS73)。インクの塗布が完了すると、次に乾燥工程に移行する。なお、図15のステップS74からステップS81は、「ベースコート形成工程」についてのステップS52からステップS59、「プレプリントコート形成工程」についてのステップS60からステップS69と同様であるため、その説明を省略する。
デザイン形成工程が終了すると、トップコートの塗布及び乾燥処理(トップコート形成工程)が行われる(ステップS84,S85)。
なお、第1の実施形態と同様に、他の爪にもネイルプリントを行いたい場合には、図14のステップS51又はステップS52に戻って処理を繰り返す。
【0084】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0085】
本実施形態のように、乾燥装置6が塗布装置1等の外部装置と通信上未接続で、指示信号等のやり取りができない場合でも、塗布装置1の表示部23に適宜指示や案内メッセージ等を表示させてユーザに提示することで、タイマ機能等が付いていない乾燥装置6を用いてネイルプリント処理を行う場合に、塗布装置1側のタイマや、各工程における必要な乾燥時間のデータ等を活用して、適切な乾燥時間で液剤(コート剤等)を乾燥させることができる。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、複数の形成工程を経て液剤(第1塗布材料及び第2塗布材料)の塗布処理(ネイル施術処理)が完了する場合に、対象物である爪に対応する指が乾燥装置6内に配置されたことを示す情報を取得する取得手段、この情報を取得すると乾燥装置6による乾燥動作を開始させるように促す開始指示情報を提示する開始指示提示手段、情報を取得後の所定の時点からの経過時間をカウントする時間管理手段、経過時間が所定の設定時間を超えると、次の形成工程への移行を案内する工程管理手段として機能する制御部11と、を備え、工程管理手段としての制御部11は、塗布装置1の塗布機構4を用いた塗布前の形成工程についてカウントした経過時間が「所定の設定時間」を超えると、塗布機構4による爪への塗布を許容する。
これにより、乾燥装置6が塗布装置1等の外部装置と通信上接続されておらず、指示信号等のやり取りができない場合でも、塗布装置1の表示部23に適宜指示や案内メッセージ等を表示させてユーザに提示することで、塗布装置1側のタイマ機能を利用し、塗布装置1側が有する各形成工程における乾燥時間のデータ等を活用して、適切な乾燥時間で液剤(コート剤等)を乾燥させることができる。
各形成工程で塗布される液剤(第1塗布材料であるコート剤や第2塗布材料であるインク等)に応じた乾燥時間で乾燥を行い、乾燥に必要な「所定の設定時間」が経過するまでは次の形成工程が案内されないようにすることで、ユーザが先走って乾燥が不十分な状態のまま次の形成工程に進んでしまうことを防止することができる。これにより、高品位なネイルプリントを実現することができる。
また、このような各形成工程の時間管理を塗布装置1等と通信できない乾燥装置6を用いて実現することができるため、例えばネイルプリント専用の乾燥装置(ネイルドライヤ)を有していないユーザでも、簡易な構成のドライヤをネイルドライヤの代用として用いることができ、この場合でも塗布装置1に表示される案内にしたがって操作するだけで、各形成工程における乾燥動作を過不足の少ない適切な乾燥時間で行うことができる。
【0087】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0088】
例えば、本実施形態では、図1から図3に示すように、塗布装置1の制御部11が各種の処理を行い、乾燥装置6と通信可能な場合にも、制御部11が乾燥装置6とやり取りする場合を例示したが、乾燥装置6とやり取りする制御部は塗布装置1の制御部11に限定されない。
例えば、図17に示すように、塗布システム200が塗布装置1や乾燥装置6と連携する端末装置8を備えていてもよい。
この場合の端末装置8は、例えば、ユーザ等のスマートフォン、タブレット型の端末装置(以下「タブレットPC(Personal Computer)」、携帯電話機等の携帯型の端末装置である。なお、端末装置8はこうした携帯型の端末装置に限定されず、例えば塗布装置1が設置された店舗等に置かれたノートPC、デスクトップ型のPC等であってもよい。また塗布装置1と別体のものに限定されず塗布装置1と一体的に取り扱われる操作端末等であってもよい。
【0089】
また本実施形態では、塗布装置1の制御部11が、乾燥装置6による乾燥動作の経過時間をカウントする時間管理手段、経過時間が「所定の設定時間」を超えた場合に次工程への移行を案内する工程管理手段、表示部23の表示画面を適宜第2塗布材料(インク等の液剤)の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段、塗布装置1による第2塗布材料(インク等の液剤)の塗布動作の開始を許容する塗付制御手段等として機能する場合を例示したが、制御部11がこれらの機能を果たす場合に限定されない。例えば、塗布システム200が図17のように端末装置8を含むものである場合、これらの機能の一部または全部を端末装置8の図示しない制御部が果たしてもよい。また、乾燥装置6の動作制御部60がこれらの機能を果たしてもよい。
さらに、第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示を行う表示画面は表示部23の表示画面に限定されず、例えば端末装置8に表示部(図17の表示部81)を設けてその表示画面に表示させてもよい。
また、図17に示すような端末装置8の表示部81の表示画面に第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示を行ってもよい。
【0090】
また本実施形態では、塗布装置1の制御部11がタイマ機能を有し、乾燥装置6に指検知部75を備えて、指検知部75によって指が検知されたことを塗布装置1の制御部11が受け取ると乾燥装置6に対して乾燥動作の開始指示を行ったり、乾燥動作の経過時間のカウントを開始したりしたが、タイマ機能を有するのは塗布装置1の制御部に限定されない。例えば乾燥装置6の動作制御部60がタイマ機能を有し、指検知部75によって指が検知されると乾燥装置6側で乾燥動作を開始させ、乾燥動作の開始時点からの経過時間をカウントしてもよい。そしてこの場合には、経過時間が「所定の設定時間」を超えると乾燥機構73の乾燥動作を停止させて「所定の設定時間」を超えた旨を塗布装置1等に連絡してもよい。乾燥時間が「所定の設定時間」を超えたとの通知を受けると、塗布装置1の制御部11は、塗布装置1による塗布動作が許容される状態になったことを表示部23に表示させたり、塗布装置1の塗布機構4を塗布動作許容状態に遷移させる。
さらに、検知手段は乾燥装置6の指検知部75に限定されず、指検知部75によって指が検知されたことが通信によって塗布装置1側に送られると、この通知を受けたことをもって塗布装置1側の制御部11が乾燥装置6内に指がセットされたことを検知したとしてもよい。この場合には指が検知されたことを受け付けた制御部11が検知手段となる。
【0091】
また例えば、乾燥装置が第2の実施形態で示したような通信機能を有さないものである場合に、塗布装置1と連携する端末装置のカメラ機能等を利用して乾燥装置内に指が配置されたことを把握できるようにしてもよい。
この場合には、ユーザには乾燥装置側のON/OFFの切り替えについてだけボタン操作してもらえばよく、塗布装置側での経過時間のカウントの開始タイミングは端末装置による指の認識結果等に基づいて行うことができる。
【0092】
また乾燥装置が塗布装置と通信を行うことができる場合でも、塗布装置1と連携する端末装置のカメラ機能等を利用して乾燥装置内に指が配置されたことを把握できるようにしてもよい。
この場合には、乾燥装置に指検知部等の検知手段を設ける必要がない。また、端末装置が塗布装置の制御も行う操作端末である場合には、乾燥装置内に指が配置されたことをカメラで取得した画像等から把握した場合、それを塗布装置側に通知しなくても、端末装置側で経過時間のカウント等の処理を行ってもよい。
【0093】
また塗布装置1の塗布機構4の構成は、上記実施形態のようにデザイン塗布用のヘッド41のみを備えているものに限定されない。
例えば塗布機構がデザイン塗布用のヘッド41に加えて、デザイン塗布前に爪の上に白色等(白色若しくはこれに近いピンクやブルー等)の下地を形成するベースコート塗布用のヘッドや、インク受容層を形成するプレプリントコート塗布用のヘッドや、保護層を形成するトップコート塗布用のヘッド等を備えて、ベースコート、プレプリントコート、トップコート等も塗布装置1の塗布機構4によって塗布する構成としてもよい。ベースコート形成工程、プレプリントコート形成工程、トップコート形成工程を塗布装置1で行うことで、手塗りの工程が不要となり、均一で美しい仕上がりのネイルプリントを実現することができる。
なおこの場合、塗布装置1で塗布を行う工程については、上記実施形態で説明したデザイン形成工程と同様の処理を行うものとする。
【0094】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムであって、
所定の表示手段に表示される案内表示を、前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待ってから、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段を備える、
ことを特徴とする塗布システム。
<請求項2>
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムであって、
前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待って前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布制御手段を備える、
ことを特徴とする塗布システム。
<請求項3>
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、
前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備え、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知する検知手段と、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントする時間管理手段と、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、所定の表示手段に表示される案内表示を、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段と、
を含んでいることを特徴とする塗布システム。
<請求項4>
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、
前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備え、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知する検知手段と、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントする時間管理手段と、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布制御手段と、
を含んでいることを特徴とする塗布システム。
<請求項5>
前記第2塗布材料の塗布動作の開始が許容された場合に、その旨を報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の塗布システム。
<請求項6>
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムが実行する塗布支援方法であって、
所定の表示手段に表示される案内表示を、前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待ってから、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御を含む、
ことを特徴とする塗布支援方法。
<請求項7>
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムが実行する塗布支援方法であって、
前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待って前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布動作制御を含む、
ことを特徴とする塗布支援方法。
<請求項8>
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムが実行する塗布支援方法であって、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知し、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントし、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、所定の表示手段に表示される案内表示を、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御を含む、
ことを特徴とする塗布支援方法。
<請求項9>
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムが実行する塗布支援方法であって、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知し、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントし、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布動作制御を含む、
ことを特徴とする塗布支援方法。
<請求項10>
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムのコンピュータを、
所定の表示手段に表示される案内表示を、前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待ってから、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
<請求項11>
爪の表面上に塗布された第1塗布材料を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムのコンピュータを、
前記爪の表面上に塗布された前記第1塗布材料の乾燥完了タイミング又は乾燥完了の予定タイミングを待って前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
<請求項12>
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムのコンピュータを、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知する検知手段と、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントする時間管理手段と、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、所定の表示手段に表示される案内表示を、前記第2塗布材料の塗布を案内するための案内表示に切り替える表示制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
<請求項13>
表面上に第1塗布材料が塗布されて装置内に配置された爪の乾燥動作を行う乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥された前記第1塗布材料を介して前記爪の表面上に第2塗布材料を塗布する塗布装置と、を備えた塗布システムのコンピュータを、
前記乾燥装置内に前記爪が配置されたことを検知する検知手段と、
前記爪が配置されたことが検知されたタイミングに基づいて前記乾燥装置で開始される乾燥動作の経過時間をカウントする時間管理手段と、
前記経過時間が所定の設定時間を超えると、前記第2塗布材料の塗布動作の開始を許容する塗布制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0095】
1 印刷装置
11 制御部
12 記憶部
22 操作部
23 表示部
25 通信部
6 乾燥装置
72 操作部
73 乾燥機構
75 指検知部
76 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17