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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131017
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240920BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041020
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】石井 豪
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AB12
2H077AC04
2H077AD13
2H077DA18
2H077DA78
2H270LA26
2H270LA28
2H270LA80
2H270LA91
2H270LA93
2H270LB02
2H270MB27
2H270RA09
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】画像品位の低下を良好に抑止し得るようにする。
【解決手段】画像形成装置1は、印刷処理を行った際に、累積消費トナー量NAに応じて廃棄基準印刷デューティDSの値を設定し、該廃棄基準印刷デューティDSを用いて印刷基準ドットカウントCSを算出する。続いて画像形成装置1は、この印刷基準ドットカウントCSから印刷ドットカウントCIを減算して廃棄ドットカウントCLを算出し、該廃棄ドットカウントCLを累積加算した累積廃棄ドットカウントCAが値「0」よりも大きければトナーの廃棄処理を行う。これにより画像形成装置1は、累積消費トナー量NAに応じて適切な量のトナーを廃棄できるため、トナーの無駄な廃棄を抑えながら、汚れ、かすれやかぶり等の発生も防止でき、良好な品質の画像を用紙Pに印刷することができる。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持された潜像担持体と、
画像データに基づいた潜像を前記潜像担持体に形成する露光部と、
トナー収納部から供給されるトナーを用いて、前記潜像に基づいたトナー画像を現像する現像部と、
前記トナー収納部に収納されていた前記トナーの累積した消費量である累積消費トナー量を算出すると共に、前記トナー収納部から廃棄すべき前記トナーの量である廃棄トナー量に関し、前記累積消費トナー量が所定の閾値以上であった場合、当該累積消費トナー量が当該閾値未満であった場合よりも大きい値に算出する算出部と、
前記露光部及び前記現像部を制御し、前記トナー収納部から前記廃棄トナー量の前記トナーを廃棄させる廃棄処理を行わせる廃棄処理部と
を具えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記トナー画像の現像に伴う前記潜像担持体の回転数に応じた、前記トナーの消費すべき量に関する基準となる印刷基準トナー量と、前記トナー画像の形成に使用された前記トナーの量である印刷消費トナー量との差分を基に、前記廃棄トナー量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記算出部は、
前記印刷消費トナー量を算出すると共に、当該印刷消費トナー量を基に前記累積消費トナー量を算出する消費トナー量算出部と、
前記廃棄トナー量の算出に使用する廃棄基準印刷デューティに関し、前記累積消費トナー量が前記閾値以上であった場合の値を、当該累積消費トナー量が当該閾値未満であった場合の値よりも大きい値に設定する廃棄基準印刷デューティ設定部と、
前記トナー画像の形成時における前記潜像担持体の回転数と前記廃棄基準印刷デューティとを基に、前記印刷基準トナー量を算出する廃棄基準トナー量算出部と、
前記印刷基準トナー量から前記印刷消費トナー量を減算することにより、前記廃棄トナー量を算出する廃棄トナー量算出部と
をさらに具えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
温度を計測する温度センサと、
湿度を計測する湿度センサと
をさらに具え、
前記廃棄基準印刷デューティ設定部は、前記温度及び前記湿度を基に、前記廃棄基準印刷デューティを設定する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記潜像担持体の使用を開始した後における回転数である累積回転数を計数する回転数計数部
をさらに具え、
前記廃棄基準印刷デューティ設定部は、前記累積回転数と所定の基準回転数との比較結果を基に、前記廃棄基準印刷デューティを決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
過去所定時間以内に前記現像部により前記トナー画像が現像された前記画像データに関し、全ドット数に対する前記トナーが使用されたドット数の比率である印刷デューティの平均値である平均印刷デューティを算出する印刷デューティ算出部
をさらに具え、
前記廃棄基準印刷デューティ設定部は、前記平均印刷デューティと所定の基準印刷デューティとの比較結果を基に、前記廃棄基準印刷デューティを設定する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
筐体内の温度である内部温度を計測する内部温度センサと、
前記筐体外の温度である外部温度を計測する外部温度センサと
をさらに具え、
前記廃棄基準印刷デューティ設定部は、前記内部温度及び前記外部温度の差分である温度差と、所定の基準温度差との比較結果を基に、前記廃棄基準印刷デューティを設定する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記廃棄基準印刷デューティ設定部は、前記基準温度差を前記外部温度に応じた値とする
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記廃棄基準トナー量算出部は、前記潜像担持体における周方向に沿った長さと、前記潜像の露光時における単位面積当たりのドット数と、前記回転数と、前記廃棄基準印刷デューティとを基に、前記廃棄基準トナー量を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記廃棄処理部は、前記露光部及び前記現像部により前記廃棄トナー量の前記トナーを用いたトナー廃棄画像を現像させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
回転可能に支持された潜像担持体に対し、画像データに基づいた潜像を露光部により形成する露光ステップと、
現像部により、トナー収納部から供給されるトナーを用いて、前記潜像に基づいたトナー画像を現像する現像ステップと、
前記トナー収納部に収納されていた前記トナーの累積した消費量である累積消費トナー量を算出すると共に、前記トナー収納部から廃棄すべき前記トナーの量である廃棄トナー量に関し、前記累積消費トナー量が所定の閾値以上であった場合、当該累積消費トナー量が当該閾値未満であった場合よりも大きい値に算出する算出ステップと、
前記露光部及び前記現像部を制御し、前記トナー収納部から前記廃棄トナー量の前記トナーを廃棄させる廃棄処理を行わせる廃棄処理ステップと
を具えることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び画像形成方法に関し、例えば電子写真式の画像形成装置(いわゆるプリンタ)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、例えば露光処理等を行う画像形成ユニットによりトナー(現像剤とも呼ぶ)を用いてトナー画像を生成し、これを用紙に転写して定着させることにより、画像を印刷するものが広く普及している。
【0003】
この画像形成ユニットでは、回転可能な複数のローラやドラム等が互いの周側面を適宜当接させるように配置されると共に、各ローラ等に対して所定の高電圧が印加されている。またトナーは、帯電し得るように構成されている。このため画像形成ユニットでは、各ローラの表面やドラムの表面の間でトナーを適切に移動させ、また転写させることにより、適切なトナー画像を用紙に転写することができる。
【0004】
この画像形成装置では、温度や湿度等によりトナーにおける帯電の状態が変化するため、温度や湿度等の変化により、最終的に印刷された用紙において画像にかすれが発生し、或いは汚れが付着する等、画像品位が低下する恐れがあった。そこで、温度や湿度等に応じて画像形成ユニットにおける印加電圧を調整することにより、画像品位の向上を図った画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-199010号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでトナーを使用する画像形成装置では、比較的長い期間に渡って画像形成ユニット内にトナーが滞留していた場合、当該トナーの帯電性が低下する等、当該トナーが劣化するため、これにより画像品位の低下が生じる恐れがある。しかし上述した画像形成装置では、温度や湿度等に応じて画像形成ユニットにおける印加電圧を調整したとしても、劣化したトナーを適切に移動や転写させることはできず、画像品位の低下を解消できない、という問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、画像品位の低下を良好に抑止し得る画像形成装置及び画像形成方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、回転可能に支持された潜像担持体と、画像データに基づいた潜像を潜像担持体に形成する露光部と、トナー収納部から供給されるトナーを用いて、潜像に基づいたトナー画像を現像する現像部と、トナー収納部に収納されていたトナーの累積した消費量である累積消費トナー量を算出すると共に、トナー収納部から廃棄すべきトナーの量である廃棄トナー量に関し、累積消費トナー量が所定の閾値以上であった場合、当該累積消費トナー量が当該閾値未満であった場合よりも大きい値に算出する算出部と、露光部及び現像部を制御し、トナー収納部から廃棄トナー量のトナーを廃棄させる廃棄処理を行わせる廃棄処理部とを設けるようにした。
【0009】
また本発明の画像形成方法においては、回転可能に支持された潜像担持体に対し、画像データに基づいた潜像を露光部により形成する露光ステップと、現像部により、トナー収納部から供給されるトナーを用いて、潜像に基づいたトナー画像を現像する現像ステップと、トナー収納部に収納されていたトナーの累積した消費量である累積消費トナー量を算出すると共に、トナー収納部から廃棄すべきトナーの量である廃棄トナー量に関し、累積消費トナー量が所定の閾値以上であった場合、当該累積消費トナー量が当該閾値未満であった場合よりも大きい値に算出する算出ステップと、露光部及び現像部を制御し、トナー収納部から廃棄トナー量のトナーを廃棄させる廃棄処理を行わせる廃棄処理ステップとを有するようにした。
【0010】
本発明は、累積消費トナー量が比較的少ない場合にはトナー廃棄量を比較的小さい値とし、該累積消費トナー量が比較的多い場合にはトナー廃棄量を比較的大きい値として、廃棄処理を実行する。これにより本発明では、通常時に少ないトナーを廃棄する一方、現像部においてトナーが劣化する可能性が高い場合に多くのトナーを廃棄するため、トナーの廃棄量を抑えながら、汚れやかすれ等の発生を良好に抑止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像品位の低下を良好に抑止し得る画像形成装置及び画像形成方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像形成装置の構成を示す略線図である。
図2】画像形成ユニットの構成を示す略線図である。
図3】第1の実施の形態による画像形成装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
図4】印刷時トナー廃棄処理手順を示すフローチャートである。
図5】環境分布特性を示す略線図である。
図6】第1の実施の形態による廃棄基準印刷デューティ設定処理手順を示すフローチャートである。
図7】トナー廃棄処理手順を示すフローチャートである。
図8】トナー廃棄用発光パターンを示す略線図である。
図9】第2の実施の形態による画像形成装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
図10】第2の実施の形態による廃棄基準印刷デューティ設定処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.画像形成装置の構成]
図1に模式的な側面図を示すように、第1の実施の形態による画像形成装置1は、電子写真方式のカラープリンタであり、用紙Pに対してモノクロ又はカラーの画像を形成すること、すなわち印刷することができる。因みに画像形成装置1は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、印刷機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
【0015】
画像形成装置1は、略箱型に形成された筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
【0016】
画像形成装置1は、印刷制御部3により全体を統括制御するようになっている。この印刷制御部3は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、各種プログラムを実行することにより種々の処理を行う。
【0017】
さらに印刷制御部3は、コンピュータ装置等の上位装置(図示せず)と無線又は有線により接続されている。印刷制御部3は、この上位装置から印刷対象の画像を含む印刷データが与えられると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0018】
筐体2の上面における前側には、表示操作部4が設けられている。表示操作部4は、例えば液晶パネルとタッチセンサとが組み合わされたタッチパネルとして構成されている。この表示操作部4は、印刷制御部3の制御に基づいて種々の情報を表示し、またユーザからの操作入力を受け付けて該印刷制御部3に通知する。
【0019】
筐体2内の最下部には、集積された用紙Pを収容する用紙カセット5が設けられている。用紙カセット5の前上方には、給紙部6が設けられている。給紙部6は、用紙を搬送すべき経路である搬送路Wに沿って、複数の回転する搬送ローラや、用紙Pを案内する搬送ガイド等が適宜配置された構成となっている。
【0020】
この給紙部6(図1)は、印刷制御部3の制御に基づいて各給紙ローラ等を適宜回転させることにより、用紙カセット5に収容されている用紙Pを1枚ずつ分離しながらピックアップする。続いて給紙部6は、この用紙Pを搬送ガイドにより案内しながら、搬送路Wに沿って前上方へ進行させ、やがて後方へ折り返して送り出す。
【0021】
給紙部6の後側には、概ね前後方向に沿って搬送路Wが形成されており、その下側に中搬送部10が配置されている。中搬送部10は、2個のベルトローラ11、4個の転写ローラ12、転写ベルト13、及びベルトクリーニング部14等により構成されている。
【0022】
各ベルトローラ11及び各転写ローラ12は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成され、回転可能に支持されている。2個のベルトローラ11は、中搬送部10の前端付近及び後端付近にそれぞれ配置されている。4個の転写ローラ12は、2個のベルトローラ11の間に、前後方向に所定間隔毎に離散するように配置されている。
【0023】
さらにベルトローラ11は、図示しない駆動モータから供給される駆動力により矢印R2方向へ回転する。また転写ローラ12は、図示しない転写モータから供給される駆動力により矢印R2方向へ回転する。これに加えて転写ローラ12は、後述する高電圧電源部48から所定のバイアス電圧が印加される。
【0024】
転写ベルト13は、柔軟性を有する無端ベルトであり、2個のベルトローラ11の周囲を周回するように張架されている。すなわち転写ベルト13の上側部分は、搬送路Wに沿って張架されている。この転写ベルト13は、ベルトローラ11の回転に伴い上側部分を後方向へ進行させるように走行する。このとき転写ベルト13は、給紙部6から用紙Pが引き渡された場合、当該用紙Pを上側に載せた状態で、搬送路Wに沿って後方向へ搬送する。
【0025】
ベルトクリーニング部14は、転写ベルト13の下側における前端近傍に位置しており、掻取部14A及び収容部14Bを有している。掻取部14Aは、左右方向に十分な長さを有する板状に形成されており、上側の辺を転写ベルト13の下面に当接させている。収容部14Bは、十分な容積を有する中空の直方体状に形成されており、上面の前端近傍であって掻取部14Aの下側となる箇所に、左右方向に十分な長さを有する孔部が形成されている。このベルトクリーニング部14は、転写ベルト13の走行に伴い、当該転写ベルト13の外周面に付着していた異物等を掻取部14Aにより掻き落とし、収容部14Bに収容させる。
【0026】
中搬送部10の上側には、4個の画像形成ユニット15(15K、15Y、15M及び15C)が前側から後側に向けて順次整列した状態で配置されている。各色の画像形成ユニット15は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。各画像形成ユニット15は、大きく分けて、トナーカートリッジ16、ID(イメージドラム)ユニット17、及び露光ヘッド18等が設けられている。
【0027】
現像剤収容器としてのトナーカートリッジ16は、IDユニット17に対し着脱可能に構成されており、現像剤としてのトナーが収納されている。このトナーカートリッジ16は、IDユニット17との接続部分に開閉可能なトナー供給口が形成されており、このトナー供給口を介してトナーを該IDユニット17に供給する。
【0028】
IDユニット17は、筐体2に対し着脱可能に構成されており、円筒状の感光体ドラム19や各種ローラ等を有している。また各IDユニット17は、それぞれの感光体ドラム19を各転写ローラ12の真上に位置させており、且つ該感光体ドラム19及び該転写ローラ12により転写ベルト13を挟持している。以下では、感光体ドラム19及び転写ローラ12により転写ベルト13を挟持している位置を転写位置とも呼ぶ。
【0029】
このIDユニット17は、図示しない上位装置から供給された印刷データに基づいた静電潜像を感光体ドラムの周側面に生成し、トナーカートリッジ16から供給されるトナーを用いて現像することにより、感光体ドラム19の周側面上にトナー画像を形成する(詳しくは後述する)。各転写ローラ12は、搬送路Wに沿って用紙Pが搬送されていた場合、各画像形成ユニット15(15K、15Y、15M及び15C)における各感光体ドラム19の周側面からトナー画像を該用紙Pにそれぞれ転写させる。
【0030】
中搬送部10の後端近傍には、定着部20が設けられている。定着部20は、搬送路Wを挟んで対向するように配置された加熱ローラ21及び加圧ローラ22を有している。加熱ローラ21は、中心軸を左右方向に向けた円筒状に形成されており、内部にヒータ(図示せず)が設けられている。加圧ローラ22は、加熱ローラ21と同様の円筒状に形成されており、上側の表面を加熱ローラ21における下側の表面に所定の押圧力で押し付けている。また定着部20には、温度を検知する温度センサ(図示せず)等も設けられている。
【0031】
この定着部20は、図3に示す定着制御部46の制御に基づき、図示しない定着モータから駆動力が供給されると、加熱ローラ21を加熱すると共に当該加熱ローラ21及び加圧ローラ22をそれぞれ所定方向へ回転させる。これにより定着部20は、中搬送部10から受け取った用紙P、すなわち各色のトナー画像が順次転写された用紙Pに対して熱及び圧力を加えてトナーを定着させ、さらに後方へ引き渡す。
【0032】
定着部20の後方には、排紙部25が配置されている。排紙部25は、給紙部6と同様、搬送路Wに沿って搬送ガイドや複数の搬送ローラ等が適宜配置された構成となっている。この排紙部25は、各搬送ローラを適宜回転させることにより、定着部20から引き渡される用紙Pを搬送ガイドに沿って後上方へ搬送してから前方へ向けて折り返し、筐体2の上面に形成された排出トレイ26へ排出する。
【0033】
[1-2.画像形成ユニットの構成]
次に、画像形成ユニット15(15K、15Y、15M及び15C)の構成について、模式的な側面図である図2を参照しながら説明する。上述したように、画像形成ユニット15は、トナーカートリッジ16、IDユニット17及び露光ヘッド18等を有している。
【0034】
トナーカートリッジ16は、外殻部分を形成するトナーカートリッジ筐体16Aの内部に、十分な大きさの空間である未使用トナー収容室16Bと、該未使用トナー収容室16Bよりも小さい空間である廃トナー収容室16Cとが形成されている。未使用トナー収容室16Bには、未使用のトナー(現像剤とも呼ばれる)が収納されており、供給口16Dを介して当該トナーがIDユニット17内へ供給される。因みに本実施の形態では、非磁性1成分負帯電性のトナーを使用している。廃トナー収容室16Cには、用紙P等に転写されずに回収された廃トナーが収納される。
【0035】
IDユニット17は、外殻部分を構成するIDユニット筐体30の内部に、トナーを収容するトナー収容空間31が設けられると共に、その下方乃至後方に、供給ローラ32、現像ローラ33、現像ブレード34、感光体ドラム19、帯電ローラ35、帯電クリーニングローラ36、クリーニング部材37及び除電光部38等が適宜配置されている。
【0036】
トナー収納部としてのトナー収容空間31は、IDユニット筐体30の上側にトナーカートリッジ16が装着されると、当該トナーカートリッジ16から供給される未使用のトナーを内部に収容する。このトナー収容空間31には、図示しないトナー撹拌部が設けられており、収容されているトナーを適宜撹拌することにより、該トナーの凝集を防止すると共に、該トナーを供給ローラ32等へ円滑に供給する。
【0037】
供給ローラ32、現像ローラ33、感光体ドラム19、帯電ローラ35及び帯電クリーニングローラ36は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状若しくは円筒状に構成されており、且つ回転可能に支持されている。これらのローラやドラム等は、図示しないモータから供給される駆動力により回転する。
【0038】
供給ローラ32は、トナー収容空間31内の下方に配置されている。現像ローラ33は、供給ローラ32の後ろ斜め上側において、該供給ローラ32及び感光体ドラム19とそれぞれ当接する位置に設けられている。供給ローラ32及び現像ローラ33は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成され、それぞれの中心軸を中心として回転可能に支持されている。現像ブレード34は、薄板状に形成されており、一端側がIDユニット筐体30に固定されると共に他端側が現像ローラ33の周側面に当接され、さらに該現像ローラ33に対し弾性力を作用させている。
【0039】
現像剤担持体としての感光体ドラム19は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、中心軸を中心に回転可能に支持されている。また感光体ドラム19は、その周側面に薄膜状の電荷発生層及び電荷輸送層が順次形成され、帯電し得るようになっている。帯電ローラ35は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成され、回転可能に支持されると共に、感光体ドラム19の後上側に当接するように設けられている。帯電クリーニングローラ36は、帯電ローラ35の上側に該帯電ローラ35と当接するように配置されている。この帯電クリーニングローラ36は、該帯電ローラ35の回転に伴って従動し、若しくは周速差をつけて回転する。
【0040】
露光ヘッド18は、露光部等とも呼ばれており、左右方向に沿った細長い棒状に形成され、感光体ドラム19の上側に位置している。この露光ヘッド18には、発光素子であるLED(Light Emitting Diode)素子が主走査方向(すなわち左右方向)に沿って複数配列されると共に、ロッドレンズアレイ等を有している。この露光ヘッド18は、印刷制御部3(図1)の制御に基づいて各LED素子を適宜発光させると、下方向へ向けてそれぞれ光を収束させながら照射し、感光体ドラム19の周側面における上端近傍に結像させ、これにより感光体ドラム19の表面を露光し、静電潜像を形成する。
【0041】
クリーニング部材37は、感光体ドラム19の後側に設けられており、柔軟性を有する樹脂材料により薄板状に構成されている。このクリーニング部材37は、後端側がIDユニット筐体30に固定されると共に前端近傍が感光体ドラム19の周側面に当接している。除電光部38は、例えばLED等の発光素子を有しており、感光体ドラム19の後上側に位置している。この除電光部38は、後述する除電光部用電源47から電力が供給されると発光し、光を感光体ドラム19の周側面に照射することにより、当該周側面を除電する。
【0042】
かかる構成において、各画像形成ユニット15(15K、15Y、15M及び15C)は、印刷処理を行う場合、印刷制御部3及び後述するモータ制御部49の制御に基づき、図示しない駆動モータからから駆動力がそれぞれ供給される。これにより各画像形成ユニット15は、IDユニット17の現像ローラ33、帯電ローラ35及び転写ローラ12をそれぞれ矢印R2方向へ回転させると共に、感光体ドラム19及び供給ローラ32を矢印R1方向へ回転させる。
【0043】
これと共に画像形成ユニット15は、印刷制御部3(図1)の制御に基づき、高電圧電源部48から供給ローラ32、現像ローラ33、現像ブレード34、帯電ローラ35及び転写ローラ12にそれぞれ所定のバイアス電圧が供給される。また画像形成ユニット15は、印刷制御部3の制御に基づき、除電光部用電源47から供給される電力により除電光部38を発光させる。
【0044】
供給ローラ32は、帯電によりトナー収容空間31内のトナーを周側面に付着させ、回転によりこのトナーを現像ローラ33の周側面に付着させる。現像ローラ33は、現像ブレード34によって周側面から余分なトナーが除去され該トナーの薄層が形成された後、このトナーの薄層を感光体ドラム19の周側面に当接させる。説明の都合上、以下では供給ローラ32、現像ローラ33及び現像ブレード34をまとめて現像部とも呼ぶ。
【0045】
一方、帯電ローラ35は、帯電した状態で感光体ドラム19と当接することにより、当該感光体ドラム19の周側面を均一に帯電させる。このとき帯電クリーニングローラ36は、該帯電ローラ35に付着するトナーや該トナーの外添剤等を掻き取る。露光ヘッド18は、印刷制御部3(図1)からヘッド駆動制御部45を介して供給される印刷データに基づいた発光パターンで発光し、感光体ドラム19を露光する。これにより感光体ドラム19は、その上端近傍において周側面に静電潜像が形成される。
【0046】
続いて感光体ドラム19は、矢印R1方向へ回転することにより、この静電潜像を形成した箇所を現像ローラ33と当接させる。これにより感光体ドラム19の周側面には、静電潜像に基づいてトナーが付着し、画像データに基づいたトナー画像が現像される。現像されたトナー画像は、感光体ドラム19の回転により、転写ローラ12との挟持箇所、すなわち搬送路W上の転写位置に到達する。このとき画像形成ユニット15は、搬送路Wに沿って用紙Pが搬送されていた場合、このトナー画像を感光体ドラム19の周側面から当該用紙Pに転写する。このようにして画像形成ユニット15は、印刷データに基づいたトナー画像を形成し、搬送路Wに沿って前方から搬送されて来る用紙Pに当該トナー画像を転写することができる。
【0047】
因みに画像形成ユニット15は、用紙Pが転写位置に到達していなかった場合、感光体ドラム19から中搬送部10の転写ベルト13にトナー画像を転写させる。その後、中搬送部10は、転写ベルト13を走行させた後、ベルトクリーニング部14においてこのトナー画像を掻き落とし、当該転写ベルト13をクリーニングする。
【0048】
また画像形成ユニット15は、転写箇所を通過した感光体ドラム19の周側面にトナーが残っていた場合、クリーニング部材37により当該トナーを掻き落とす。ここで掻き落とされたトナーは廃トナーと呼ばれ、図示しない廃トナー搬送機構によりトナーカートリッジ16の廃トナー収容室16Cへ搬送され、収容される。
【0049】
さらに画像形成ユニット15は、感光体ドラム19の周側面がクリーニング部材37との当接箇所を通過した後、除電光部38により除電し、周側面を一様に帯電されていない状態に戻す。
【0050】
[1-3.画像形成装置の回路構成]
次に、図3を参照しながら、画像形成装置1の回路構成について説明する。印刷制御部3は、画像形成装置1を統括的に制御する部分であり、上述したように図示しないCPU、ROM及びRAM等を有しており、また記憶部41及び通信部42が接続されている。この記憶部41は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。印刷制御部3は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部41等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0051】
通信部42は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3u/ab/an/ae等の規格に準拠した有線LAN(Local Area Network)、又はIEEE802.11a/b/g/n/ac/ax等の規格に準拠した無線LANのインタフェースである。この通信部42は、図示しないネットワークを介して、図示しないコンピュータ装置やサーバ装置等との間で種々の情報を送受信することができる。
【0052】
また印刷制御部3には、記憶部41及び通信部42の他に、表示操作部4、環境情報取得部43、ヘッド駆動制御部45、定着制御部46、除電光部用電源47、高電圧電源部48、及びモータ制御部49等が接続されている。
【0053】
環境情報取得部43には、内部温度センサ51、外部温度センサ52及び湿度センサ53といった、筐体2の内部又は外部における温度や湿度等を検知する複数のセンサが接続されている。内部温度センサ51は、筐体2の内部における温度を検知する。外部温度センサ52は、筐体2の外部の温度を検知する。湿度センサ53は、筐体2内部の湿度を検知する。環境情報取得部43は、各センサを介して温度や湿度等(以下これを環境情報と呼ぶ)を所定の周期(例えば5分間)ごとに取得し、印刷制御部3へ供給する。
【0054】
ヘッド駆動制御部45は、印刷制御部3から供給される発光データに応じて露光ヘッド18を制御することにより該露光ヘッド18を発光させ、感光体ドラム19を露光させる。定着制御部46は、定着部20の加熱ローラ21及び加圧ローラ22の回転を制御すると共に、該定着部20に設けられた温度センサ(図示せず)により検知される温度を基に、加熱ローラ21に組み込まれたヒータ(図示せず)による発熱を制御する。
【0055】
除電光部用電源47は、除電光部38に電力を供給することにより、該除電光部38を発光させる。高電圧電源部48は、供給ローラ32、現像ローラ33、現像ブレード34、帯電ローラ35及び転写ローラ12にそれぞれ所定のバイアス電圧を供給する。モータ制御部49は、各給紙部6、中搬送部10及び排紙部25の各ローラ等に駆動力を供給するモータ(図示せず)を制御する。
【0056】
さらに印刷制御部3は、記憶部41から所定のプログラムを読み出して実行することにより、その内部に複数の機能ブロックを形成する。具体的に印刷制御部3は、画像データ変換部61、ドラム回転数計数部62、ドット数計数部63、算出部64及び廃棄処理部65を形成する。また算出部64には、その内部にトナー量算出部71及び廃棄基準印刷デューティ設定部72が形成される。各機能ブロックの詳細については後述する。また説明の都合上、算出部64を消費トナー量算出部、廃棄基準トナー量算出部又は廃棄トナー量算出部とも呼ぶ。
【0057】
[1-4.印刷デューティ並びにトナーの劣化及び廃棄]
ここで、画像形成装置1における印刷デューティ並びにトナーの劣化及び廃棄について順次説明する。まず印刷デューティとは、用紙Pの画像を形成可能な領域にベタ画像を印刷する場合の面積を100[%]とした場合における、印刷データに基づいた印刷画像においてトナーが使用された面積の比率である。ここでいうベタ画像とは、全面露光した場合に生成される画像であり、全てのドットにおいてトナーを使用する画像である。
【0058】
これを換言すれば、印刷デューティは、用紙Pの画像を形成可能な領域を構成する全ドット数に対し、印刷データに基づいた実際のトナー画像において使用されたドット数の割合であり、印字率と呼ばれることもある。
【0059】
例えば印刷制御部3は、ある用紙Pに対し印刷データに基づいた画像を印刷したときに、当該印刷データに基づいた画像データのドットカウントをC1とし、当該用紙Pに対し全面露光をした場合のドットカウントをC0として、次の(1)式により印刷デューティDを算出する。尚、この(1)式は一例であり、印刷制御部3は、他の計算式により印刷デューティDを算出することもできる。
【0060】
D=(C1/C0)×100[%] ……(1)
【0061】
印刷制御部3は、印刷データに基づいた印刷処理行う際に、ページ単位で印刷デューティDを算出することができる。また印刷制御部3は、各ページの印刷デューティDを適宜集計することにより、ジョブ単位の平均値や、所定の期間における平均値を算出することもできる。
【0062】
また印刷データを基に算出された印刷デューティDが比較的大きい値である場合、このことは印刷処理においてトナーが比較的多く使用されるため、トナー収容空間31に収容されていたトナーが比較的多く消費されることになる。一方、当該印刷デューティDが比較的小さい値である場合、このことは印刷処理においてトナーが比較的少なく使用されるため、トナー収容空間31に収容されていたトナーが比較的少なく消費されることになる。
【0063】
次に、トナーの劣化及び廃棄について説明する。画像形成装置1の画像形成ユニット15では、印刷デューティDが比較的小さい印刷データの印刷処理が続いた場合、トナー収容空間31内においてトナー撹拌部(図示せず)によりトナーが継続的に撹拌される。また画像形成ユニット15では、供給ローラ32、現像ブレード34及び感光体ドラム19により、現像ローラ33の周側面に付着しているトナーが継続的に擦られる。
【0064】
これにより、現像ローラ33に付着しているトナーは、摩擦帯電によって電位が高くなる傾向がある。これに伴い画像形成ユニット15は、現像ローラ33に付着しているトナーを、感光体ドラム19における露光されていない箇所に転写させる恐れがある。この結果、画像形成装置1では、用紙Pにおけるトナーを付着すべきで無い箇所にトナーが転写されるため、汚れが発生することになる。
【0065】
またトナーは、継続的に擦られることにより物理的に損傷し、含有される外添剤がトナー粒子の表面から乖離される恐れがある。このとき画像形成ユニット15は、当該トナーを正常に帯電させることができず、感光体ドラム19に形成された静電潜像に対し、適切にトナーを付着させることができない。この結果、画像形成装置1では、用紙Pに印刷された画像において、汚れ、かぶりやかすれ等を発生させ、画像の品位を低下させる(画質を悪化させる)ことになる。
【0066】
そこで画像形成装置1では、このようにトナーが劣化した場合、この劣化したトナー(以下これを劣化トナーと呼ぶ)をトナー収容空間31内に残したままとせずに、できるだけ該トナー収容空間31の外部へ排出することが望ましい。
【0067】
ただし、このような劣化トナーは、外添剤が表面から乖離しているため、正常に帯電させることができない。このため画像形成ユニット15では、印刷処理が行われる際に、正常に帯電する正常なトナーから消費されていき、トナー収容空間31内や現像ローラ33の表面には、正常に帯電できない劣化トナーが残ってしまう。このように残された劣化トナーは、撹拌や摩擦等によりさらに損傷を受けるため、劣化の度合いが促進されてしまう。
【0068】
従って画像形成装置1では、トナー収容空間31内におけるトナーの残量が少なくなるに連れて、劣化トナーの割合が増加し、また印刷された用紙Pにおいて汚れ、かぶりやかすれ等が発生しやすく、すなわち画像の品位が低下しやすくなる。そこで画像形成装置1では、トナー残量が少なくなるほど、劣化トナーを廃棄する必要性が高まることになる。
【0069】
次に、廃棄基準印刷デューティDSを用いたトナー廃棄量の決定について説明する。この廃棄基準印刷デューティDSは、印刷処理が行われた際に、トナー収容空間31内に収容されているトナーを廃棄するか否か、及び廃棄するトナーの量(以下これを廃棄トナー量と呼ぶ)を決めるための基準値である。本実施の形態では、この廃棄基準印刷デューティDSの初期値が1.5[%]に設定されている。
【0070】
すなわち、基本的な考え方として、画像形成装置1では、印刷データに含まれる画像データの印刷デューティDが廃棄基準印刷デューティDSよりも大きければ、トナーの消費量が比較的多いため、劣化トナーの割合が少なく、トナーの廃棄処理を行う必要性が低くなる。一方、画像形成装置1では、印刷データに含まれる画像データの印刷デューティDが廃棄基準印刷デューティDSよりも小さければ、トナーの消費量が比較的少ないため、劣化トナーの割合が増加しており、トナーの廃棄処理を行う必要性が高くなる。
【0071】
さらに画像形成装置1は、トナーカートリッジ16におけるトナーの残量が比較的少なくなった場合に、廃棄基準印刷デューティDSの値をより大きい値に変更するようになっている。これにより画像形成装置1は、トナーの残量が比較的少ない場合には、トナーの廃棄量を増加させることができるので、劣化しやすいトナーを積極的に廃棄することができる。
【0072】
[1-5.印刷時トナー廃棄処理手順]
次に、画像形成装置1において印刷処理及びトナー廃棄処理を行う印刷時トナー廃棄処理について説明する。画像形成装置1の印刷制御部3は、図示しない上位装置から通信部42を介して印刷データを受信すると、記憶部41から所定の印刷処理プログラムを読み出して実行する。これにより印刷制御部3は、図3に示した各機能ブロックを内部に形成すると共に、図4に示す印刷時トナー廃棄処理手順RT1を開始し、最初のステップSP1に移る。
【0073】
なお以下では、何れか1色に関する処理等を中心に説明するが、印刷制御部3は、この印刷時トナー廃棄処理手順RT1において、各色の画像形成ユニット15についてそれぞれ同様の処理等を並行して、若しくは順次行うようになっている。
【0074】
またドラム回転数計数部62は、感光体ドラム19が設けられたIDユニット17が最後に交換され、該感光体ドラム19の使用を開始した時点からの、該感光体ドラム19の累積した回転数をドラムカウントR(以下これを累積回転数とも呼ぶ)として計数している。またドラム回転数計数部62は、最新のドラムカウントRを記憶部41に記憶させ、逐次更新している。
【0075】
ドット数計数部63は、トナーカートリッジ16が最後に交換され、該トナーカートリッジ16に収容されているトナーを使用したトナー画像の形成を開始した時点からの、当該トナー画像においてトナーを使用したドット数をドットカウントCとして計数している。具体的にドット数計数部63は、露光ヘッド18に供給される発光データにおいて発光を指示するパルス信号が出現した回数を、ドットカウントCとして計数する。またドット数計数部63は、最新のドットカウントCを記憶部41に記憶させ、逐次更新している。
【0076】
ステップSP1において印刷制御部3は、画像データ変換部61(図3)により、上位装置(図示せず)から通信部42を介して受信した印刷データから画像データを抽出し、さらに該画像データを各色に分けると共に各色の発光データに変換して、次のステップSP2に移る。
【0077】
ステップSP2において印刷制御部3は、記憶部41から累積廃棄ドットカウントCA及び累積消費トナー量NAの値をそれぞれ読み出し、次のステップSP3に移る。このうち累積廃棄ドットカウントCAは、各色の画像形成ユニット15においてトナーの廃棄処理を行うべきか否か、及び廃棄すべきトナーの量を表す指標値であり、直前の印刷処理において更新された値が記憶部41に記憶されている。この累積廃棄ドットカウントCAの詳細については後述する。
【0078】
また累積消費トナー量NAは、トナーカートリッジ16が最後に交換され、該トナーカートリッジ16に収容されているトナーを使用したトナー画像の形成を開始した時点からの、印刷処理において消費されたトナーの量の累積値であり、直前の印刷処理において更新された値が記憶部41に記憶されている。
【0079】
ステップSP3において印刷制御部3は、ドラム回転数計数部62(図3)により計測しているドラムカウントRの値を開始ドラムカウントRBとして記憶部41に記憶させると共に、ドット数計数部63(図3)により計測しているドットカウントCの値を開始ドットカウントCBとして記憶部41に記憶させ、次のステップSP4に移る。
【0080】
ステップSP4において印刷制御部3は、印刷処理、すなわち印刷データに基づいたトナー画像を形成し、用紙Pに転写して定着させる一連の処理を開始し、次のステップSP5に移る。
【0081】
ステップSP5において印刷制御部3は、印刷処理が終了したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、印刷制御部3はこのステップSP5を繰り返すことにより、当該印刷処理が終了するのを待ち受ける。一方、ステップSP5において肯定結果が得られると、印刷制御部3は次のステップSP6に移る。
【0082】
ステップSP6において印刷制御部3は、印刷処理が終了した時点におけるドラムカウントRの値を終了ドラムカウントREとして記憶部41に記憶させると共に、この時点におけるドットカウントCの値を終了ドットカウントCEとして記憶部41に記憶させ、次のステップSP7に移る。
【0083】
ステップSP7において印刷制御部3は、算出部64のトナー量算出部71(図3)により、今回の印刷処理において消費されたトナーの量である印刷消費トナー量NIを算出し、次のステップSP8に移る。
【0084】
具体的にトナー量算出部71は、まず(2)式に従って終了ドットカウントCEから開始ドットカウントCBを減算することにより、今回の印刷処理におけるドット数を表す印刷ドットカウントCIを算出する。
【0085】
CI=CE-CB ……(2)
【0086】
続いてトナー量算出部71は、(3)式に従って終了ドラムカウントREから開始ドラムカウントRBを減算することにより、今回の印刷処理における感光体ドラム19の回転数である印刷ドラムカウントRIを算出する。
【0087】
RI=RE-RB ……(3)
【0088】
ここで図5は、温度及び湿度をそれぞれ軸とする2次元座標平面を、複数の環境領域E1、E2及びE3に分割した環境分布特性である。この環境分布特性は、温度及び湿度が定まると、何れか1個の環境領域Eを一義的に決定するものであり、所定のテーブルや関数の形として、記憶部41に予め記憶されている。
【0089】
そこでトナー量算出部71は、内部温度センサ51及び湿度センサ53(図3)からそれぞれ取得される温度及び湿度と、環境分布特性(図5)とを基に、この時点の環境状態(温度及び湿度)が属する環境領域E(E1、E2又はE3)を決定する。
【0090】
さらにトナー量算出部71は、この環境領域Eを基に、次に示す表1及び表2を参照して、ドットカウント係数FC及びドラムカウント係数FRをそれぞれ決定する。このうち表1は、環境領域E及びトナーの色(K、Y、M又はC)に応じたドットカウント係数FCの値を表している。また表2は、環境領域E及びトナーの色(K、Y、M又はC)に応じたドラムカウント係数FRの値を表している。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
このように、ドットカウント係数FC及びドラムカウント係数FRは、環境領域E及びトナーの色に応じて、それぞれ適切な値が設定される。これは、画像形成装置1において温度や湿度に応じて、トナー画像の1ドットにより消費されるトナーの量や、「かぶり」として消費されるトナーの量が変化することに対応したものである。
【0094】
次にトナー量算出部71は、次の(4)式に示すように、印刷ドットカウントCIにドットカウント係数FCを乗じた値と、印刷ドラムカウントRIにドラムカウント係数FRを乗じた値とを加算することにより、今回の印刷処理において消費されたトナーの量である印刷消費トナー量NIを算出する。
【0095】
NI=FC×CI+FR×RI ……(4)
【0096】
この(4)式における前半の「FC×CI」の部分は、用紙Pに転写されるトナー画像を構成する際に消費されるトナーの量に相当する。また(4)式における後半の「FR×RI」の部分は、トナー画像に用いられること無く、最終的に回収若しくは廃棄されるトナー、すなわちいわゆる「かぶり」として消費されるトナーの量に相当する。
【0097】
ステップSP8において印刷制御部3は、算出部64により、ステップSP2において記憶部41から読み出した累積消費トナー量NAに対し、ステップSP7において算出した印刷消費トナー量NIを加算することにより、新たな累積消費トナー量NAを算出する。続いて印刷制御部3は、この新たな累積消費トナー量NAを記憶部41に記憶させ、すなわち該累積消費トナー量NAの値を更新して、次のステップSP9に移る。
【0098】
ステップSP9において印刷制御部3は、廃棄基準印刷デューティ設定処理をサブルーチンとして実行することにより、以降の計算処理において使用する廃棄基準印刷デューティDSの値を設定し、次のステップSP10に移る。
【0099】
具体的に印刷制御部3は、このステップSP9において、図6に示す廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT2をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP21に移る。
【0100】
ステップSP21において印刷制御部3は、累積消費トナー量NAが所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。ここで閾値は、累積消費トナー量と比較するために予め設定された値であり、例えばトナーカートリッジ16の使用を開始した時点で収納されていた未使用のトナーの総量の約80[%]に相当する値として、予め記憶部41に記憶されている。
【0101】
このステップSP21において否定結果が得られると、このことはトナーカートリッジ16やトナー収容空間31の内部に十分な量のトナーが残っているため、撹拌や摩擦によりトナーが過剰に劣化する可能性が低いこと、すなわちトナーの廃棄量を決めるための基準値として、標準的な値を用いるべきであることを表している。このとき印刷制御部3は、次のステップSP22に移り、廃棄基準印刷デューティ設定部72(図3)により、廃棄基準印刷デューティDSの値を標準的な値である1.5[%]に設定し、次のステップSP24に移る。
【0102】
一方、ステップSP21において肯定結果が得られると、このことはトナーカートリッジ16やトナー収容空間31の内部に比較的少ない量のトナーが残っているため、撹拌や摩擦によりトナーが過剰に劣化する可能性が高いこと、すなわちトナーの廃棄量を決めるための基準値として、標準よりも高い値を用いるべきであることを表している。このとき印刷制御部3は、次のステップSP23に移り、廃棄基準印刷デューティ設定部72(図3)により、廃棄基準印刷デューティDSの値を標準よりも高い値である3.0[%]に設定し、次のステップSP24に移る。
【0103】
ステップSP24において印刷制御部3は、サブルーチンとしての廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT2を終了し、元の印刷時トナー廃棄処理手順RT1(図4)のステップSP9に戻り、その次のステップSP10に移る。
【0104】
ステップSP10において印刷制御部3は、算出部64により、今回の印刷処理における廃棄ドットカウントCLを算出し、次のステップSP11に移る。
【0105】
ところで感光体ドラム19については、その直径及び外周の長さが予め判明しているため、当該感光体ドラム19が1回転することにより形成されるトナー画像の周方向に沿った長さも予め判明している。また感光体ドラム19に関しては、印刷データを基に印刷時の解像度(単位長さあたりの画素数[dpi])も判別できる。このため印刷制御部3は、これらを組み合わせることにより、該感光体ドラム19が1回転する際に形成されるトナー画像のドット数(以下これをドラム周回ドット数CRと呼ぶ)を得ることができる。記憶部41には、解像度ごとに、このようにして算出されるドラム周回ドット数CRが予め記憶されている。
【0106】
ここで、今回の印刷処理において印刷が可能であった最大のドット数を印刷最大ドット数とすると、この最大ドット数は、ステップSP7において(3)式により算出した印刷ドラムカウントRIと、ドラム周回ドット数CRとを乗じた値となる。また、この最大ドット数に対し、ステップSP9において設定した廃棄基準印刷デューティDSを乗じた値は、今回の印刷処理において、劣化トナーを過剰に発生させること無く、適切な量のトナーを消費したと見なし得る、基準となるようなドット数を表すと考えられる。
【0107】
そこで算出部64は、次の(5)式に示すように、この廃棄基準印刷デューティDS、印刷ドラムカウントRI及びドラム周回ドット数CRを乗じることにより、印刷基準ドットカウントCSを算出する。この印刷基準ドットカウントCSは、印刷処理において消費すべき基準となるトナーの量(以下これを印刷基準トナー量とも呼ぶ)を表す値と見なすこともできる。
【0108】
CS=DS×RI×CR/100 ……(5)
【0109】
次に算出部64は、次の(6)式に示すように、この印刷基準ドットカウントCSから、ステップSP7において(2)式により算出した印刷ドットカウントCIを減算することにより、廃棄ドットカウントCLを算出する。
【0110】
CL=CS-CI ……(6)
【0111】
この廃棄ドットカウントCLは、印刷処理において消費すべき基準となるトナーの量(以下これを廃棄基準トナー量とも呼ぶ)から、実際に消費されたトナーの量(以下これを印刷消費トナー量とも呼ぶ)を減算した値に相当している。すなわちこの廃棄ドットカウントCLは、劣化トナーの過剰な発生を抑止するために、追加的に廃棄すべきトナーの量(以下これを廃棄トナー量とも呼ぶ)を表している。
【0112】
また(6)式から分かるように、印刷ドットカウントCIが比較的大きい値である場合、廃棄ドットカウントCLは比較的小さい値、若しくは負の値となる。このことは、追加的に廃棄すべきトナーの量が比較的少ないこと、若しくは追加的にトナーを廃棄する必要が無いことを表している。
【0113】
一方、印刷ドットカウントCIが比較的小さい値である場合、廃棄ドットカウントCLは比較的大きい値となる。このことは、追加的に廃棄すべきトナーの量が比較的多いことを表している。
【0114】
ステップSP11において印刷制御部3は、算出部64により、ステップSP2において読み出した累積廃棄ドットカウントCAに対し、ステップSP10において算出した廃棄ドットカウントCLを加算することにより、新たな累積廃棄ドットカウントCAを算出し(すなわち更新し)、次のステップSP12に移る。
【0115】
ステップSP12において印刷制御部3は、更新された累積廃棄ドットカウントCAが値「0」よりも大きいか否か、すなわち正の値であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはこれまでの印刷処理において十分な量のトナーが消費又は廃棄されていないために、追加的なトナーの廃棄処理が必要であることを表している。このとき印刷制御部3は、次のステップSP13に移る。
【0116】
ステップSP13において印刷制御部3は、トナー廃棄処理をサブルーチンとして実行することにより、トナー収容空間31(図2)内に収容されているトナーの一部を廃棄し、次のステップSP14に移る。
【0117】
具体的に印刷制御部3は、このステップSP13において、図7に示すトナー廃棄処理手順RT3をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP31に移る。ステップSP31において印刷制御部3は、廃棄処理部65(図3)により、トナー廃棄用発光パターンLPTの発光データを1ライン分のみ生成して露光ヘッド18へ供給し、次のステップSP32に移る。
【0118】
ここでトナー廃棄用発光パターンLPTは、図8に信号波形を示すように、2ドット分を1周期とするような矩形波であり、印刷デューティが50[%]のトナー画像を表している。これにより画像形成装置1では、画像形成ユニット15において、トナー収容空間31に収容されていたトナーの一部を使用して感光体ドラム19の周側面にトナー廃棄画像が形成され、該トナー廃棄画像の大部分が中搬送部10の転写ベルト13(図1)に転写される。
【0119】
このとき中搬送部10は、転写ベルト13を走行させることにより、該トナー廃棄画像を形成するトナーをベルトクリーニング部14の掻取部14Aによって掻き取り、掻き取られたトナーを収容部14Bに収容する。また画像形成ユニット15では、感光体ドラム19の周側面において一部のトナーが転写ベルト13に転写されずに残った場合、クリーニング部材37(図2)により当該トナーが掻き落とされる。このようにして画像形成装置1では、トナー収容空間31に収容されていたトナーの一部を廃棄することができる。
【0120】
ステップSP32において印刷制御部3は、廃棄処理部65によって、トナー廃棄用発光パターンLPTにおけるパルスの数を計数することにより、トナー廃棄画像におけるドット数を表す廃棄済ドットカウントCMを算出し、次のステップSP33に移る。ステップSP33において印刷制御部3は、累積廃棄ドットカウントCAから廃棄済ドットカウントCMを減算することにより、当該累積廃棄ドットカウントCAの値を更新し、次のステップSP34に移る。
【0121】
ステップSP34において印刷制御部3は、ステップSP33において更新された累積廃棄ドットカウントCAが値「0」以下であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは累積廃棄ドットカウントCAが値「0」よりも大きい正の値であるため、トナー収容空間31に収容されているトナーの一部を再び廃棄する必要があることを表している。このとき印刷制御部3は、再度ステップSP31に戻ることにより、一連の処理を繰り返す。
【0122】
一方、ステップSP34において肯定結果が得られると、このことはトナー収容空間31から適切な量のトナーを廃棄し終えたことを表している。このとき印刷制御部3は、次のステップSP35に移る。すなわち印刷制御部3は、トナー廃棄処理手順RT3を開始した時点の累積廃棄ドットカウントCAに応じた量のトナーを廃棄することができる。換言すれば、このときの累積廃棄ドットカウントCAは、トナーを廃棄すべき量(すなわち廃棄トナー量)を表す値と見なすこともできる。
【0123】
ステップSP35において印刷制御部3は、サブルーチンとしてのトナー廃棄処理手順RT3を終了し、元の印刷時トナー廃棄処理手順RT1(図4)のステップSP13に戻り、その次のステップSP14に移る。
【0124】
一方、ステップSP12において否定結果が得られると、このことはこれまでの印刷処理において十分な量のトナーが消費又は廃棄されているため、追加的なトナーの廃棄処理が不要であることを表している。このとき印刷制御部3は、次のステップSP14に移る。
【0125】
ステップSP14において印刷制御部3は、更新された累積廃棄ドットカウントCA及び累積消費トナー量NAの値をそれぞれ記憶部41に記憶させた後、次のステップSP15に移って印刷時トナー廃棄処理手順RT1を終了する。
【0126】
[1-6.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による画像形成装置1は、印刷処理を行った際に、廃棄基準印刷デューティDS及び印刷ドラムカウントRI等を基に算出した印刷基準ドットカウントCSから印刷ドットカウントCIを減算して廃棄ドットカウントCLを算出する。続いて画像形成装置1は、該廃棄ドットカウントCLを累積加算した累積廃棄ドットカウントCAが値「0」よりも大きければトナーの廃棄処理を行う。
【0127】
このため画像形成装置1は、印刷デューティが比較的低い印刷処理が行われトナーの消費量が比較的少なかった場合に、当該少なかった分に相当する量のトナーを追加的に廃棄でき、これによりトナー収容空間31内等におけるトナーの過剰な劣化を抑えることができる。
【0128】
これに加えて画像形成装置1は、廃棄基準印刷デューティDSの値に関し、累積消費トナー量NAが所定の閾値よりも小さい場合には比較的低い値である1.5[%]に設定する一方、累積消費トナー量NAが所定の閾値よりも大きい場合には比較的大きい値である3.0[%]に設定する。
【0129】
このため画像形成装置1は、累積消費トナー量NAが比較的小さくトナー収容空間31内に収容されているトナーの量が比較的多い場合、トナーの劣化が生じにくいことに合わせて、廃棄ドットカウントCLの値を比較的小さくし、トナーの廃棄処理の実行頻度を低減させることができる。その一方で画像形成装置1は、累積消費トナー量NAが比較的大きくトナー収容空間31内に収容されているトナーの量が比較的少ない場合、トナーの劣化が生じやすいことに合わせて、廃棄ドットカウントCLの値を比較的大きくし、トナーの廃棄処理の実行頻度を増加させる。
【0130】
このように画像形成装置1は、累積消費トナー量NAに応じて廃棄基準印刷デューティDSの値を変化させることにより、トナーの劣化が発生しやすい場合にのみ、トナーの廃棄量を増加させることができる。これにより画像形成装置1は、適切な量のトナーを廃棄できるため、トナーの無駄な廃棄を抑えながら、汚れ、かすれやかぶり等の発生も防止でき、良好な品質の画像を用紙Pに印刷することができる。
【0131】
ところで画像形成装置1は、トナー廃棄処理(図7)において、累積廃棄ドットカウントCAが値「0」以下となるまでトナー廃棄画像の形成を繰り返すため、最終的に該累積廃棄ドットカウントCAが負の値となる可能性、すなわちトナーをやや過剰に廃棄する可能性が高い。そうすると画像形成装置1は、このトナー廃棄処理を繰り返し実行した場合、常に適正な値よりも多くのトナーを無駄に廃棄する恐れがある。
【0132】
そこで画像形成装置1は、1回の印刷処理において算出される廃棄ドットカウントCLではなく、該廃棄ドットカウントCLを累積加算した累積廃棄ドットカウントCAを基に、トナーの廃棄処理を行うか否か、及び廃棄するトナーの量を決定するようにした(図4、ステップSP11~SP13)。このため画像形成装置1は、過去のトナー廃棄処理によりトナーが過剰に廃棄されていた場合、印刷処理の開始時点において累積廃棄ドットカウントCAが負の値とすることができる。このとき画像形成装置1は、新たな廃棄ドットカウントCLを加算した累積廃棄ドットカウントCAの値が、当該廃棄ドットカウントCLの値よりも小さくなるため、トナー廃棄処理においてトナーを過剰に廃棄することを回避できる。
【0133】
また画像形成装置1は、印刷消費トナー量NIを算出する際に、温度及び湿度に基づき決定される環境領域E(図5)及びトナーの色に応じたドットカウント係数FC及びドラムカウント係数FRを用いるようにした(図4、ステップSP7)。このため画像形成装置1は、該印刷消費トナー量NIを精度良く算出でき、該印刷消費トナー量NIを累積加算した累積消費トナー量NAの精度も高めることができる。この結果、画像形成装置1は、廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT2(図6)において、廃棄基準印刷デューティDSの値を、トナー収容空間31等におけるトナーの量に応じた適切な値に設定することができる。
【0134】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による画像形成装置1は、印刷処理を行った際に、累積消費トナー量NAに応じて廃棄基準印刷デューティDSの値を設定し、該廃棄基準印刷デューティDSを用いて印刷基準ドットカウントCSを算出する。続いて画像形成装置1は、この印刷基準ドットカウントCSから印刷ドットカウントCIを減算して廃棄ドットカウントCLを算出し、該廃棄ドットカウントCLを累積加算した累積廃棄ドットカウントCAが値「0」よりも大きければトナーの廃棄処理を行う。これにより画像形成装置1は、累積消費トナー量NAに応じて適切な量のトナーを廃棄できるため、トナーの無駄な廃棄を抑えながら、汚れ、かすれやかぶり等の発生も防止でき、良好な品質の画像を用紙Pに印刷することができる。
【0135】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による画像形成装置201は、第1の実施の形態による画像形成装置1(図1)と比較して、印刷制御部3に代わる印刷制御部203を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。また画像形成装置201は、図3と対応する図9に示すように、印刷制御部203に対し記憶部41に代わる記憶部241が接続されると共に、第1の実施の形態と同様に各部が接続されている。
【0136】
印刷制御部203は、第1の実施の形態による印刷制御部3と同様、図示しないCPU、ROM及びRAM等を有しており、各種プログラムを実行することにより種々の処理を行う。記憶部241は、第1の実施の形態による記憶部41と同様、例えばSSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。ただし記憶部241は、第1の実施の形態と一部異なるプログラムや情報等を記憶している。
【0137】
また印刷制御部203は、記憶部241から所定のプログラムを読み出して実行することにより、その内部に複数の機能ブロックを形成する。このとき印刷制御部203は、第1の実施の形態と同様の画像データ変換部61、ドラム回転数計数部62、ドット数計数部63、算出部64及び廃棄処理部65に加えて、印刷デューティ算出部266が設けられている。
【0138】
印刷デューティ算出部266は、印刷処理における印刷ドットカウントCI、印刷ドラムカウントRI及びドラム周回ドット数CRを用い、次の(7)式に示す演算処理を行うことにより、当該印刷処理における印刷デューティDIを算出する。
【0139】
DI=100×CI/(RI×CR) ……(7)
【0140】
この第2の実施の形態では、画像形成装置201において印刷処理及びトナー廃棄処理を行う場合、印刷制御部203により、第1の実施の形態と同様に印刷時トナー廃棄処理手順RT(図4)を実行する。ただし印刷制御部203は、ステップSP9において、サブルーチンとして、図6と対応する図10に示す廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT22を実行するようになっている。
【0141】
具体的に印刷制御部203は、最初のステップSP221において、ステップSP21(図6)と同様に、累積消費トナー量NAが所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、印刷制御部203は次のステップSP226に移る。一方、このステップSP221において肯定結果が得られると、印刷制御部203は次のステップSP222に移る。
【0142】
ステップSP222において印刷制御部203は、環境情報取得部43(図9)を介して内部温度センサ51及び湿度センサ53から得られる温度及び湿度を基に、この時点の環境状態が環境分布特性(図5)における環境領域E3に属するか否かを判定する。
【0143】
このステップSP222において否定結果が得られると、印刷制御部203は次のステップSP226に移る。一方、このステップSP222において肯定結果が得られると、このことは温度及び湿度が何れも比較的低いために、トナーの電位が高くなり汚れが発生しやすくなることを表している。このとき印刷制御部203は、次のステップSP223に移る。
【0144】
ステップSP223において印刷制御部203は、ドラムカウントR(すなわち累積回転数)の値が所定の閾値(基準回転数とも呼ぶ)以上であるか否かを判定する。ここで閾値は、例えば感光体ドラム19の設計寿命の約80~90[%]程度の値に設定されている。具体的には、例えば感光体ドラム19の設計寿命が3万カウントであった場合に、閾値が2万5千カウントに設定されている。
【0145】
このステップSP223において否定結果が得られると、印刷制御部203は次のステップSP226に移る。一方、ステップSP223において肯定結果が得られると、このことは感光体ドラム19が長期間の使用により帯電性が低下しており、かすれ等が発生しやすくなっていることを表している。このとき印刷制御部203は、次のステップSP224に移る。
【0146】
ステップSP224において印刷制御部203は、印刷デューティ算出部266(図9)により、直前の所定期間(例えば30分間)に実行された印刷処理におけるそれぞれの印刷デューティDを算出すると共にその平均値である平均印刷デューティDVを算出する。その上で印刷制御部203は、この平均印刷デューティDVが所定の閾値(基準印刷デューティとも呼ぶ)以下であるか否かを判定する。ここで閾値は、例えば1[%]に設定されている。
【0147】
このステップSP224において否定結果が得られると、印刷制御部203は次のステップSP226に移る。一方、ステップSP224において肯定結果が得られると、このことは直近に印刷デューティDが比較的低い印刷処理が続いているため、トナーが劣化しやすくなっており、汚れ、かすれやかぶり等が発生しやすい状況であることを表している。このとき印刷制御部203は、次のステップSP225に移る。
【0148】
ステップSP225において印刷制御部203は、環境情報取得部43(図9)を介して内部温度センサ51及び外部温度センサ52から得られる内部温度T1及び外部温度T2を基に、この時点の内外温度差ΔTを算出する。続いて印刷制御部203は、この内外温度差ΔTが所定の閾値以上であるか否かを判定する。ここで閾値(基準温度差とも呼ぶ)は、次の表3に示すように、外部温度T2に応じて異なる値に設定される。
【0149】
【表3】
【0150】
このステップSP225において否定結果が得られると、印刷制御部203は次のステップSP226に移る。ステップSP226において印刷制御部203は、ステップSP22(図6)と同様に、廃棄基準印刷デューティ設定部72(図9)により、廃棄基準印刷デューティDSの値を標準的な値である1.5[%]に設定し、次のステップSP228に移る。
【0151】
一方、ステップSP225において肯定結果が得られると、このことは筐体2の内部及び外部の間における温度差が比較的大きいことから、印刷処理が連続的に行われて内部温度T1が比較的高まっていると想定されることを表している。このため画像形成装置201では、トナーの温度も上昇するために当該トナーの劣化が生じやすく、最終的に印刷される画像において画質が低下する可能性がある。このとき印刷制御部203は、次のステップSP227に移る。
【0152】
ステップSP227において印刷制御部203は、ステップSP23(図6)と同様に、廃棄基準印刷デューティ設定部72(図9)により、廃棄基準印刷デューティDSの値を標準よりも高い値である3.0[%]に設定し、次のステップSP228に移る。
【0153】
ステップSP228において印刷制御部203は、サブルーチンとしての廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT22を終了し、元の印刷時トナー廃棄処理手順RT1(図4)のステップSP9に戻り、以降の処理を行う。
【0154】
以上の構成において、第2の実施の形態による画像形成装置201は、第1の実施の形態と同様、印刷処理を行った際に、廃棄基準印刷デューティDS及び印刷ドラムカウントRI等を基に算出した印刷基準ドットカウントCSから印刷ドットカウントCIを減算して廃棄ドットカウントCLを算出する。続いて画像形成装置1は、該廃棄ドットカウントCLを累積加算した累積廃棄ドットカウントCAが値「0」よりも大きければトナーの廃棄処理を行う。
【0155】
これにより画像形成装置201は、第1の実施の形態と同様、印刷デューティが比較的低い印刷処理が行われトナーの消費量が比較的少なかった場合に、当該少なかった分のトナーを追加的に廃棄でき、これによりトナー収容空間31内等におけるトナーの劣化を抑えることができる。
【0156】
これに加えて画像形成装置201は、累積消費トナー量NA、環境状態(温度及び湿度)、印刷ドラムカウントRI、平均印刷デューティDV、及び内外温度差ΔTに関し、全ての条件を満たした場合にのみ、廃棄基準印刷デューティDSを比較的大きい3.0[%]に設定し、これ以外の場合に標準的な1.5[%]に設定する。
【0157】
このため画像形成装置201は、第1の実施の形態と比較して、廃棄基準印刷デューティDSを3.0[%]に設定する頻度を低下させる一方、標準的な1.5[%]に設定する頻度を高めることができる。
【0158】
これにより画像形成装置201では、複数の条件を全て満たすことによりトナー収容空間31に収容されているトナーが劣化する可能性が極めて高い場合にのみ、廃棄基準印刷デューティDSの値を増加させ、累積廃棄ドットカウントCAの値を増加させること、すなわちトナー廃棄処理により廃棄するトナーの量を増加させることができる。
【0159】
これを換言すれば、画像形成装置201では、トナー廃棄処理により廃棄されるトナーの量をできるだけ抑え、当該トナーをできるだけトナー画像の形成に用いること、すなわち当該トナーに関する運用コストの増加を抑えることができる。
【0160】
その他の点においても、画像形成装置201は、第1の実施の形態による画像形成装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0161】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT2(図6)のステップSP21において、累積消費トナー量NAと比較する閾値を、トナーカートリッジ16の使用を開始した時点で収納されていた未使用のトナーの総量の約80[%]に相当する値とする形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば約70[%]や約90[%]等、他の種々の値に設定しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0162】
また上述した第1の実施の形態においては、廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT2(図6)において、累積消費トナー量NAの値に応じて、廃棄基準印刷デューティDSの値を1.5[%]又は3.0[%]に切り替える形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば廃棄基準印刷デューティDSの値を1.0[%]又は2.0[%]に切り替える等、種々の値に切り替えるようにしても良い。また、累積消費トナー量NAの値に応じて廃棄基準印刷デューティDSの値を3段階以上に切り替えても良く、或いは累積消費トナー量NAの値を用いた所定の関数等により廃棄基準印刷デューティDSの値を算出する等、該廃棄基準印刷デューティDSの値を無段階に変化させても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0163】
さらに上述した第2の実施の形態においては、廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT22(図10)において、廃棄基準印刷デューティDSの値を設定するための条件として、累積消費トナー量NA、環境状態(温度及び湿度)、印刷ドラムカウントRI、平均印刷デューティDV、及び内外温度差ΔTを使用する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、廃棄基準印刷デューティDSの値を設定するための条件として、これらの条件のうち少なくとも1個を省略しても良く、また他の条件と変更しても良く、さらには他の条件を追加しても良い。この場合、他の条件としては、例えばトナーカートリッジ16を最後に交換して使用を開始してからの経過時間等、トナーの劣化と何らかの関係を有する物理量や事象等を用いることができる。
【0164】
さらに上述した第1の実施の形態においては、ドット数計数部63によりトナーカートリッジ16が最後に交換された時点からのドットカウントCを計数すると共に逐次更新する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷時トナー廃棄処理手順RT1(図4)のステップSP3においてドットカウントCの値を「0」に初期化し、すなわち開始ドットカウントCBの値を「0」として、ステップSP6において終了ドットカウントCEの値をそのまま印刷ドットカウントCIとしても良い。ドラムカウントRについても同様であり、また第2の実施の形態におけるドットカウントCについても同様である。
【0165】
さらに上述した第1の実施の形態においては、印刷時トナー廃棄処理手順RT1(図4)のステップSP7において印刷消費トナー量NIを算出する際に、表1及び表2に従い、ドットカウント係数FC及びドラムカウント係数FRの値を環境領域E及びトナーの色に応じてそれぞれ設定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばドットカウント係数FC及びドラムカウント係数FRの少なくとも一方を、環境領域E又はトナーの色のうち何れか一方のみに応じて設定しても良く、或いは、環境領域Eやトナーの色に関わらず固定された値としても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0166】
さらに上述した第1の実施の形態においては、環境分布特性(図5)において、温度及び湿度に応じて3個の環境領域E(E1、E2及びE3)に分ける形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば環境分布特性において2個又は4個以上の環境領域Eに分けても良い。また、温度及び湿度の双方を用いる形態に限らず、例えば温度又は湿度の何れか一方のみを基に、複数の環境領域Eに分けても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0167】
さらに上述した第1の実施の形態においては、印刷時トナー廃棄処理手順RT1(図4)のステップSP10において、印刷時の解像度に応じたドラム周回ドット数CRを用いて、(5)式に従い印刷基準ドットカウントCSを算出する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷時の解像度が固定されている場合に、予め固定されたドラム周回ドット数CRを用いて印刷基準ドットカウントCSを算出しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0168】
さらに上述した第1の実施の形態においては、印刷時トナー廃棄処理手順RT1(図4)のステップSP10において、印刷処理における印刷ドラムカウントRIを用いて、(5)式に従って印刷基準ドットカウントCSを算出する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷された用紙Pの枚数やサイズ等を基に、印刷基準ドットカウントCSを算出しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0169】
さらに上述した第1の実施の形態においては、トナー廃棄処理手順RT3(図7)において、累積廃棄ドットカウントCAが正の値である間、1ライン分ずつトナー廃棄画像を形成することによりトナーを廃棄する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば累積廃棄ドットカウントCAの値に応じたドット数のトナー廃棄画像を1回のみ形成してトナーを廃棄する等、種々の手順によりトナーを廃棄しても良い。要は、少なくとも累積廃棄ドットカウントCAに相当する量のトナーを廃棄できれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0170】
さらに上述した第1の実施の形態においては、トナー廃棄処理手順RT3(図7)において、トナー廃棄画像を印刷デューティが50[%]のトナー画像とする形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、トナー廃棄画像における印刷デューティを、25[%]や100[%]等、他の種々の値としても良い。またトナー廃棄用発光パターンLPTについては、オン及びオフが1ドット単位で切り替わるような矩形波に限らず、例えば所定ドット数ごとにオン及びオフが切り替わる矩形波としても良く、さらには印刷デューティに応じてオンのドット数とオフのドット数とを相違させても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0171】
さらに上述した第2の実施の形態においては、廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT22(図10)のステップSP222において、環境状態(温度及び湿度)が環境領域E3であるか否かに応じて、廃棄基準印刷デューティDSの値を設定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば温度及び湿度の何れか一方について所定の閾値を超えるか否かを判定する等、環境状態を利用した種々の値とこれに対応する閾値とを比較し、得られた比較結果に応じて廃棄基準印刷デューティDSの値を設定しても良い。
【0172】
さらに上述した第2の実施の形態においては、廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT22(図10)のステップSP223において、ドラムカウントRと閾値との比較結果に応じて、廃棄基準印刷デューティDSの値を設定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばドットカウントCの値と所定の閾値との比較結果等、印刷処理を繰り返すことにより累積された種々の値とこれに対応する閾値とを比較し、得られた比較結果に応じて廃棄基準印刷デューティDSの値を設定しても良い。
【0173】
さらに上述した第2の実施の形態においては、廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT22(図10)のステップSP224において、直前の30分間における平均印刷デューティDVと閾値との大小関係に応じて、廃棄基準印刷デューティDSの値を設定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば直前の1時間や直前の10分間等、他の種々の時間を対象とした平均印刷デューティDVを閾値と比較し、得られた比較結果に応じて廃棄基準印刷デューティDSの値を設定しても良い。また閾値については、1[%]に限らず、他の種々の値としても良く、さらにはトナーの色ごとに異なる値とし、若しくは温度や湿度等に応じて異なる値としても良い。
【0174】
さらに上述した第2の実施の形態においては、廃棄基準印刷デューティ設定処理手順RT22(図10)のステップSP225において、内外温度差ΔTと比較する閾値を、表3として示したように、外部温度T2に応じて異なる値に変更する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば閾値を内部温度T1や湿度等、他の値に応じて変更しても良く、或いは当該閾値を外部温度T2等に関わらず固定された値としても良い。
【0175】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置1に4色分の画像形成ユニット15を設け、用紙Pに対しカラー又はモノクロの画像を印刷する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば画像形成装置1に3色以下又は5色以上の画像形成ユニット15を設けても良い。この場合、各色について廃棄基準印刷デューティDSの設定や累積廃棄ドットカウントCAの更新、及びトナー廃棄処理の実行をすれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0176】
さらに上述した第1の実施の形態においては、1成分方式のトナーを用いてトナー画像を形成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば2成分方式のトナーを用いるようにしても良い。この場合、印刷時トナー廃棄処理手順RT1(図4)のステップSP7において印刷消費トナー量NIを算出する際に、印刷ドットカウントCIに代えて、キャリアに対するトナー濃度を計測し、当該トナー濃度を用いて当該印刷消費トナー量NIを算出しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0177】
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像形成装置1を単機能のSFPとして構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば当該画像形成装置1を、複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置としても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0178】
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像形成装置1の印刷制御部3において所定のプログラムを実行し、図3に示した各機能ブロックをソフトウェアにより形成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば各機能ブロックの少なくとも一部をハードウェアにより構成しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0179】
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像形成装置1の記憶部41(図3)に各種プログラムを予め記憶しておく形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば所定のサーバ装置(図示せず)に各プログラムを保存しておき、通信部42により所定のネットワーク(図示せず)を介して当該サーバ装置から当該プログラムをダウンロードして実行するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0180】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。
【0181】
さらに上述した実施の形態においては、潜像担持体としての感光体ドラム19と、露光部としての露光ヘッド18と、現像部としての供給ローラ32、現像ローラ33及び現像ブレード34と、算出部としての算出部64と、廃棄処理部としての廃棄処理部65とによって画像形成装置としての画像形成装置1を構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる潜像担持体と、露光部と、現像部と、算出部と、廃棄処理部とによって画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明は、例えばトナーを使用して画像を形成する画像形成装置で利用できる。
【符号の説明】
【0183】
1、201……画像形成装置、3、203……印刷制御部、15……画像形成ユニット、16……トナーカートリッジ、17……IDユニット、18……露光ヘッド、19……感光体ドラム、31……トナー収容空間、32……供給ローラ、33……現像ローラ、34……現像ブレード、35……帯電ローラ、41、241……記憶部、42……通信部、43……環境情報取得部、51……内部温度センサ、52……外部温度センサ、53……湿度センサ、62……ドラム回転数計数部、63……ドット数計数部、64……算出部、65……廃棄処理部、71……トナー量算出部、72……廃棄基準印刷デューティ設定部、266……印刷デューティ算出部、C……ドットカウント、CA……累積廃棄ドットカウント、CI……印刷ドットカウント、CL……廃棄ドットカウント、CM……廃棄済ドットカウント、CR……ドラム周回ドット数、CS……印刷基準ドットカウント、DI……印刷デューティ、DS……廃棄基準印刷デューティ、DV……平均印刷デューティ、E、E1、E2、E3……環境領域、FC……ドットカウント係数、FR……ドラムカウント係数、LPT……トナー廃棄用発光パターン、NA……累積消費トナー量、NI……印刷消費トナー量、P……用紙、R……ドラムカウント、RI……印刷ドラムカウント、T1……内部温度、T2……外部温度、ΔT……内外温度差。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10