(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131032
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報出力装置、情報出力方法および情報出力プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/04 20220101AFI20240920BHJP
H04H 20/12 20080101ALI20240920BHJP
H04H 60/82 20080101ALI20240920BHJP
H04N 21/24 20110101ALI20240920BHJP
【FI】
H04L43/04
H04H20/12
H04H60/82
H04N21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041048
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】竹川 諒子
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164SA41S
5C164SB41P
5C164YA21
5C164YA25
(57)【要約】
【課題】前段機器の障害が後段機器のアラーム出力に影響を与えるシステムにおいて、障害が発生している機器の特定を容易にすることを可能にする。
【解決手段】複数の機器についての情報を出力する情報出力装置が、機器で問題が発生したことを示すアラームを、複数の機器のうち問題が発生した機器から受信し、複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得し、アラームを受信した場合に、接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であってアラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与し、複数の機器の各々についてのスコアの合計値を算出し、合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器についての情報を出力する情報出力装置であって、
機器で問題が発生したことを示すアラームを、前記複数の機器のうち問題が発生した機器から受信する受信部と、
前記複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する取得部と、
前記アラームを前記受信部により受信した場合に、前記接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、前記アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、前記アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であって前記アラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与する付与部と、
前記複数の機器の各々についての前記スコアの合計値を算出する算出部と、
前記合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する出力部と、
を備える情報出力装置。
【請求項2】
前記複数の機器は、放送マスター送出システムに含まれる、
請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記放送マスター送出システムの少なくとも一部は、IP(Internet Protocol)ベースのシステムである、
請求項2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記接続状態情報は、前記複数の機器の間の物理的な接続状態を示す物理接続状態情報、および、前記複数の機器の間の論理的な接続状態を示す論理接続状態情報の少なくともいずれかを含む、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報出力装置。
【請求項5】
前記接続状態情報は、前記複数の機器の間の論理的な接続の状態を示す論理接続状態情報を含み、
前記取得部は、放送素材の入力元となり得る機器である入力元装置、および、放送素材の出力先となり得る機器である出力先装置から、論理的な接続状態に関する情報を取得することによって、前記論理接続状態情報を取得する、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報出力装置。
【請求項6】
前記合計値は、同一の機器に対して複数のスコアが付与され、かつ、スコアが付与された要因が同一である場合、当該複数のスコアのうち一つのスコアを含む、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報出力装置。
【請求項7】
複数の機器についての情報を出力する情報出力装置が、
機器で問題が発生したことを示すアラームを、前記複数の機器のうち問題が発生した機器から受信し、
前記複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得し、
前記アラームを受信した場合に、前記接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、前記アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、前記アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であって前記アラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与し、
前記複数の機器の各々についての前記スコアの合計値を算出し、
前記合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する、
情報出力方法。
【請求項8】
前記複数の機器は、放送マスター送出システムに含まれる、
請求項7に記載の情報出力方法。
【請求項9】
前記放送マスター送出システムの少なくとも一部は、IPベースのシステムである、
請求項8に記載の情報出力方法。
【請求項10】
複数の機器についての情報を出力する情報出力プログラムであって、
コンピュータに、
機器で問題が発生したことを示すアラームを、前記複数の機器のうち問題が発生した機器から受信する受信機能と、
前記複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する取得機能と、
前記アラームを受信した場合に、前記接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、前記アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、前記アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であって前記アラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与する付与機能と、
前記複数の機器の各々についての前記スコアの合計値を算出する算出機能と、
前記合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する出力機能と、
を実現させる情報出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報出力装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
放送マスター送出システムは、日時に基づく所定のタイミングで番組を送出するためのシステムである。放送マスター送出システムは、入力元装置から入力された放送素材を、出力先装置を介して、送信所などに向けて送出する。
【0003】
なお、放送素材とは、たとえば、映像や音声や補助データなどを含む放送用コンテンツに応じた情報である。また、入力元装置は、たとえば、素材バンクや編集装置や屋外で使用されるカメラなどから、放送素材を受信する装置である。また、出力先装置は、たとえば、送信所や素材バンクなどに向けて放送素材を送信する装置である。
【0004】
これまで、放送マスター送出システムでは、SDI(Serial Digital Interface)とよばれる放送独自の形式の信号で、放送素材が伝送されてきた。SDIベースで構築されたシステムにおけるアラーム表示では、系統図を簡易的に表示した運行状況表示(
図17)やラック表示(
図18)に、アラームが発生している機器を文字列で示すアラームメッセージが表示される。また、アラームメッセージに対応する機器を示すボックスが表示されている場合、当該ボックスが点灯される。
【0005】
一方、IP(Internet Protocol)技術の発展に伴い、放送局において、IPベースの通信ネットワークを用いたシステムの構築が促進されている。IPベースのネットワークアーキテクチャを採用すれば、たとえば、汎用のルータおよびスイッチなどのIPベースの通信機器を用いて、高速かつ大容量の通信ネットワークを低コストで構築することが可能となる。
【0006】
また、関連技術としては、特許文献1から特許文献3に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-195321号公報
【特許文献2】特開2000-322354号公報
【特許文献3】特開平04-031946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
SDIによるシステムでは、入力元装置と出力先装置が1対1で対応しているので、障害が発生している装置の特定が容易である。
【0009】
一方、IPによるシステムでは、入力元装置などの前段機器と、出力先装置などの後段機器との間のデータの流れが、番組編成などによって動的に変化する。また、後段機器のアラームは、前段機器の障害状態に影響される。すなわち、後段機器がアラーム状態であっても、後段機器ではなく前段機器に障害が発生している場合がある。また、障害が発生している機器によっては、複数の後段機器がアラーム状態となることがある。そのため、各機器のアラームが独立で監視され表示されている場合、アラームが発生していることを示す表示がされても、障害が実際に発生している装置の特定が難しい。
【0010】
放送マスター送出システムでは、各機器の障害が放送送出に影響するため、早急な障害検知や原因特定が必要とされている。
【0011】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、前段機器の障害が後段機器のアラーム出力に影響を与えるシステムにおいて、障害が発生している機器の特定を容易にすることを可能にする情報出力装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様において、情報出力装置は、複数の機器についての情報を出力する情報出力装置であって、機器で問題が発生したことを示すアラームを、前記複数の機器のうち問題が発生した機器から受信する受信部と、前記複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する取得部と、前記アラームを受信した場合に、前記接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、前記アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、前記アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であって前記アラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与する付与部と、前記複数の機器の各々についての前記スコアの合計値を算出する算出部と、前記合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する出力部と、を備える。
【0013】
また、本発明の他の態様において、情報出力方法は、複数の機器についての情報を出力する情報出力装置が、機器で問題が発生したことを示すアラームを、前記複数の機器のうち問題が発生した機器から受信し、前記複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得し、前記アラームを受信した場合に、前記接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、前記アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、前記アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であって前記アラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与し、前記複数の機器の各々についての前記スコアの合計値を算出し、前記合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する。
【0014】
また、本発明の他の態様において、情報出力プログラムは、複数の機器についての情報を出力する情報出力プログラムであって、コンピュータに、機器で問題が発生したことを示すアラームを、前記複数の機器のうち問題が発生した機器から受信する受信機能と、前記複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する取得機能と、前記アラームを受信した場合に、前記接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、前記アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、前記アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であって前記アラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与する付与機能と、前記複数の機器の各々についての前記スコアの合計値を算出する算出機能と、前記合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する出力機能と、を実現させる
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、前段機器の障害が後段機器のアラーム出力に影響を与えるシステムにおいて、障害が発生している機器の特定を容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一の実施形態の情報出力装置の構成例を示す図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態の情報出力装置の動作フローの例を示す図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態の情報出力装置を含むシステムの構成例を示す図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態の情報出力装置の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の第二の実施形態の物理接続状態の例を示す図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態の論理接続状態の例を示す図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態の物理接続状態情報の例を示す図である。
【
図8】本発明の第二の実施形態の物理接続状態情報の例を示す図である。
【
図9】本発明の第二の実施形態の論理接続状態情報の例を示す図である。
【
図10】本発明の第二の実施形態の物理接続状態情報に基づくスコア付与の例を示す図である。
【
図11】本発明の第二の実施形態の物理接続状態情報に基づくスコア付与の例を示す図である。
【
図12】本発明の第二の実施形態の論理接続状態情報に基づくスコア付与の例を示す図である。
【
図13】本発明の第二の実施形態のスコア情報画像の例を示す図である。
【
図14】本発明の第二の実施形態の接続状態表示画像の例を示す図である。
【
図15】本発明の第二の実施形態の情報出力装置の動作フローの例を示す図である。
【
図16】本発明の各実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態について説明する。第一の実施形態における情報出力装置10の具体的な一例が、後述する第二の実施形態における情報出力装置20である。
【0018】
図1に本実施形態の情報出力装置10の構成例を示す。本実施形態の情報出力装置10は、受信部11、取得部12、付与部13、算出部14および出力部15を含む。付与部13は、受信部11および取得部12に接続する。算出部14は、付与部13に接続する。出力部15は、算出部14に接続する。
【0019】
情報出力装置10は、複数の機器についての情報を出力する。
【0020】
受信部11は、機器で問題が発生したことを示すアラームを、複数の機器のうち問題が発生した機器から受信する。
【0021】
取得部12は、複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する。
【0022】
付与部13は、アラームを受信した場合に、接続状態情報に基づいて、アラーム出力機器と前段接続機器とに対してスコアを付与する。スコアは、障害が発生している可能性がある機器に対して付与される。また、スコアは、障害発生の可能性の度合いを示す。アラーム出力機器は、アラームを出力した機器である。前段接続機器は、アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であってアラーム出力機器より前段に接続する。
【0023】
算出部14は、複数の機器の各々についてのスコアの合計値を算出する。
【0024】
出力部15は、合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する。
【0025】
次に、
図2に本実施形態の情報出力装置10の動作フローの例を示す。
【0026】
受信部11は、機器で問題が発生したことを示すアラームを受信する(ステップS101)。
【0027】
取得部12は、複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する(ステップS102)。
【0028】
付与部13は、アラームを受信した場合に、接続状態情報に基づいて、アラーム出力機器と前段接続機器とに対してスコアを付与する(ステップS103)。
【0029】
算出部14は、複数の機器の各々についてのスコアの合計値を算出する(ステップS104)。
【0030】
出力部15は、合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する(ステップS105)。
【0031】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、情報出力装置10は、受信部11、取得部12、付与部13、算出部14および出力部15を含む。情報出力装置10は、複数の機器についての情報を出力する。受信部11は、機器で問題が発生したことを示すアラームを、複数の機器のうち問題が発生した機器から受信する。取得部12は、複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する。付与部13は、アラームを受信した場合に、接続状態情報に基づいて、アラーム出力機器と前段接続機器とに対してスコアを付与する。スコアは、障害が発生している可能性がある機器に対して付与される。また、スコアは、障害発生の可能性の度合いを示す。アラーム出力機器は、アラームを出力した機器である。前段接続機器は、アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であってアラーム出力機器より前段に接続する。算出部14は、複数の機器の各々についてのスコアの合計値を算出する。出力部15は、合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する。
【0032】
これにより、アラーム出力機器と前段接続機器とに対してスコアが付与されるので、より多くのアラーム出力機器の前段に接続している機器についてのスコアの合計値が高くなる。前段機器の障害が後段機器のアラーム出力に影響を与えるシステムでは、より多くのアラーム出力装置の前段に接続している機器は、障害が発生している機器である可能性が高い。そのため、前段機器の障害が後段機器のアラーム出力に影響を与えるシステムにおいて、障害が発生している機器の特定を容易にすることが可能になる。
【0033】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。第一の実施形態における情報出力装置10の具体的な一例が、第二の実施形態における情報出力装置20である。
【0034】
まず、
図3に本実施形態の情報出力装置20を含むシステムの構成例を示す。情報出力装置20には、機器70-i(iは1以上N以下の整数、Nは2以上の整数)が接続される。また、情報出力装置20には、収集装置50が接続される。また、収集装置50には、機器70-iが接続される。
【0035】
情報出力装置20は、機器70-1~機器70-Nの各々についてのスコアの合計値に関する情報であるスコア情報を出力する。スコアについては後述する。情報出力装置20は、たとえば、システム内の機器のアラームを監視するアラーム監視装置である。また、情報出力装置20は、たとえば、情報出力装置20からの情報に応じて画像を表示する表示手段(不図示)へスコア情報を出力してもよい。この場合、スコア情報は、画像情報である。なお、表示手段は、出力デバイスとしてのディスプレイ等を含んでいてもよいし、入出力デバイスとしてのタッチパネル等を含んでいてもよい。
【0036】
機器70-iは、情報出力装置20の監視対象の機器である。機器70-iは、本実施形態の場合、放送マスター送出システムに含まれる機器である。機器70-iは、たとえば、入力元装置や出力先装置であってもよい。入力元装置は、放送素材の入力元となり得る装置、たとえば、素材バンクや編集装置や屋外で使用されるカメラなどから、放送素材を受信する装置である。出力先装置は、放送素材の出力先となり得る装置、たとえば、送信所や素材バンクなどに向けて放送素材を送信する装置である。また、機器70-iは、入力元装置や出力先装置に接続する装置、たとえば、素材バンクや信号発生器などであってもよい。
【0037】
また、本実施形態では、放送マスター送出システムの少なくとも一部は、IPベースのシステムである。
【0038】
機器70-iは、機器70-iで何らかの問題が発生した場合に、アラームを情報出力装置20へ出力する。
【0039】
収集装置50は、機器70-iについての情報を収集する。
【0040】
SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)は、IP(Internet Protocol)を用いて放送用コンテンツを伝送する信号の規格であるST2110を規格化している。また、AMWA(Advanced Media Workflow Association)は、NMOS(Networked Media Open Specifications)規格の策定を進めている。NMOS規格は、SMPTE ST2110によって提供されているトランスポート層に加えて、IPベースでの制御や管理レイヤーを提供するための規格である。
【0041】
たとえば、NMOS IS-04には、NMOSネットワークに参加している装置の管理方法が規定されている。収集装置50は、この仕組みを利用して、IPベースのシステムに含まれる機器70-iに関する情報を収集することができる。
【0042】
次に、
図4を用いて、本実施形態の情報出力装置20について説明する。本実施形態の情報出力装置20は、受信部21と取得部22と付与部23と算出部24と出力部25とを含む。受信部21および取得部22は、付与部23に接続される。算出部24は、付与部23に接続される。出力部25は、算出部24に接続される。
【0043】
受信部21は、機器で問題が発生したことを示すアラームを受信する。受信部21は、機器70-1~機器70-Nの各々からアラームを受信する。
【0044】
取得部22は、接続状態情報を取得する。接続状態情報は、機器70-1~機器70-Nの間の接続状態を示す。
【0045】
接続状態情報は、物理接続状態情報および論理接続状態情報の少なくともいずれかを含む。物理接続状態情報は、機器70-1~機器70-Nの間の物理的な接続状態を示す。論理接続状態情報は、機器70-1~機器70-Nの間の論理的な接続状態を示す。論理的な接続状態は、言い換えると、データ(たとえば放送素材)の送信元と送信先の対応関係である。
【0046】
論理接続状態情報は、ほぼ固定の情報である。そのため、論理接続状態情報は、あらかじめ記憶手段(不図示)に記憶されている。取得部22は、論理接続状態情報を記憶手段から取得することができる。
【0047】
論理的な接続状態は、動的に変更される。取得部22は、機器70-1~機器70-Nの間の論理的な接続状態の情報を、機器70-1~機器70-Nから得ることができる。また、機器70-1~機器70-Nの間の論理的な接続状態を収集装置50が把握している場合には、取得部22は、機器70-1~機器70-Nの間の論理的な接続状態の情報を収集装置50から得てもよい。
【0048】
たとえば、放送マスター送出システムでは、転送装置(IPR(IP Router))が、入力元装置から出力先装置へ放送素材を転送する。転送装置は、放送スケジュールを把握している装置(不図示)などからの指示に応じて、出力先装置の各々に対して、指示によって指定された入力元装置が入力する放送素材を転送する。放送スケジュールを把握している装置は、たとえば、APS(Automatic Program control System:自動番組制御装置)である。このように、入力元装置などの前段機器と、出力先装置などの後段機器との間のデータの流れは、番組編成などによって動的に変化する。
【0049】
取得部22は、たとえば、NMOS IS-05のメッセージを用いて、機器70-1~機器70-Nから、論理的な接続状態に関する情報を取得することができる。
【0050】
より具体的には、取得部22は、入力元装置が入力する放送素材の宛先のマルチキャストアドレスを入力元装置から取得する。また、取得部22は、出力先装置が受信する放送素材の宛先のマルチキャストアドレスを出力先装置から取得する。出力先装置は、受信したい放送素材のマルチキャストアドレスが宛先として含まれるパケットを受信することによって、放送素材を受信する。そのため、取得部22は、マルチキャストアドレスをキーとして、どの入力元装置が入力した放送素材をどの出力先装置が受信しているか、すなわち、論理的な接続状態を把握することができる。
【0051】
なお、収集装置50は、論理的な接続状態の変化を検知することができる。そのため、取得部22は、収集装置50が論理的な接続状態の変化を検知したことによって、収集装置50から接続状態変更通知を受信した場合に、機器70-1~機器70-Nから、論理的な接続状態に関する情報を取得してもよい。また、取得部22は、機器70-1~機器70-Nから、論理的な接続状態に関する情報を定期的に取得してもよい。
【0052】
付与部23は、アラームを受信した場合に、接続状態情報に基づいて、アラーム出力機器と前段接続機器とに対してスコアを付与する。スコアは、障害が発生している可能性がある機器に対して付与される。また、スコアは、障害発生の可能性の度合いを示す。アラーム出力機器は、機器70-1~機器70-Nのうち、アラームを出力した機器である。前段接続機器は、機器70-1~機器70-Nのうち、アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器である。また、前段接続機器は、アラーム出力機器より前段に接続する機器である。「アラーム出力機器より前段に接続する」とは、アラーム出力機器に対してデータの送信元の関係にあることを指す。なお、スコアの付与の方法については、後述する。
【0053】
算出部は、機器70-1~機器70-Nの各々についてのスコアの合計値を算出する。なお、スコアの合計値の算出方法については、後述する。
【0054】
出力部25は、機器70-1~機器70-Nの各々についてのスコアの合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する。スコア情報は、たとえば、スコアが付与された機器の各々についてのスコアの合計値の情報である。スコア情報は、また、最もスコアが高い機器に関する情報であってもよい。また、スコア情報は、画像情報であってもよい。
【0055】
上述のように、付与部23は、アラーム出力機器と前段接続機器とに対してスコアを付与する。そのため、より多くのアラーム出力機器の前段に接続している機器についてのスコアの合計値が高くなる。前段機器の障害が後段機器のアラーム出力に影響を与えるシステムでは、より多くのアラーム出力装置の前段に接続している機器は、障害が発生している機器である可能性が高い。そのため、情報出力装置20を上述のように構成することで、前段機器の障害が後段機器のアラーム出力に影響を与えるシステムにおいて、障害が発生している機器の特定を容易にすることが可能になる。
【0056】
次に、スコア付与の方法およびスコアの合計値の算出方法について説明する。なお、ここでは、接続状態情報が、物理接続状態情報および論理接続状態情報を含み、付与部23が、物理接続状態情報および論理接続状態情報に基づいてスコア付与を行う場合について説明する。付与部23は、物理接続状態情報および論理接続状態情報のいずれか一方に基づいてスコア付与を行ってもよい。たとえば、受信部21が受信したアラームが物理的なアラーム(たとえばリンクダウンなど)を示す場合には、付与部23は、論理接続状態情報を使用せずに、物理接続状態情報に基づいてスコア付与を行ってもよい。
【0057】
付与部23は、物理接続状態情報に基づいて、アラーム出力機器と、物理接続状態における前段接続装置とに、物理スコアを付与する。物理スコアは、物理接続状態情報に基づいて付与されるスコアである。ここで付与される物理スコアの値は、機器70-1~機器70-Nで共通の値であってもよいし、機器ごとに異なる値であってもよい。また、物理スコアは、アラームの種別によって変更されてもよい。
【0058】
また、付与部23は、論理接続状態情報に基づいて、アラーム出力機器と、論理接続状態における前段接続機器とに、論理スコアを付与する。論理スコアは、論理接続状態に基づいて付与されるスコアである。ここで付与される論理スコアの値は、機器70-1~機器70-Nで共通の値であってもよいし、機器ごとに異なる値であってもよい。また、論理スコアは、アラームの種別によって変更されてもよい。
【0059】
そして、算出部24は、機器70-1~機器70-Nの各々について、物理スコアと論理スコアとに基づいて、スコアの合計値を算出する。このとき、算出部24は、同一の機器に対して複数のスコアが付与され、かつ、これら複数のスコアが付与された要因が同一である場合、これら複数のスコアのうち一つのスコアを、スコアの合計値に含める。
【0060】
スコア付与の要因には、(A)スコアが付与された機器がアラーム出力機器であること、(B)後段に物理接続する機器に物理スコアが付与されたこと、および、(C)後段に論理接続する機器に論理スコアが付与されたこと、の3種類がある。また、要因が(B)または(C)の場合、後段に接続する機器が同じ場合に、要因が同じとみなされる。
【0061】
次に、スコア付与の具体例について、機器の接続状態が
図5から
図6に示す状態である場合を例に挙げて説明する。
図5は、物理接続状態の例を示す図である。
図6は、論理接続状態の例を示す図である。
【0062】
図5および
図6において、実線による接続線は、SDIによる接続を示す。また、点線による接続線は、IPによる接続を示す。物理接続は、ほぼ固定されている。また、SDIによる接続は、ほぼ固定されている。IPによる論理接続は、動的に変更される。
【0063】
また、
図5および
図6において、機器70-1(Aサブ)および機器70-2(Bサブ)は、サブコントロールルームの機器である。機器70-3は、信号発生器である。機器70-4(IP-GW-1)~機器70-6(IP-GW-3)は、IP-GW(Gateway)である。機器70-7(IPR-1)および機器70-8(IPR-2)は、IPRである。機器70-9は、ANCINS(ancillary inserter)である。機器70-10(3X1SW)は、スイッチャーである。
【0064】
なお、図中、機器70-4(IP-GW-1)~機器70-6(IP-GW-3)が2つずつ記載されているが、同じ符号が付与されている機器は、同一の機器である。また、機器70-4(IP-GW-1)~機器70-6(IP-GW-3)は、各々、前述の入力元装置および出力先装置に相当する。
図5において、IPRの左側(前段側(上位))に記載されているIP-GWは、入力元装置としてのIP-GWである。また、IPRの右側(後段側(下位))に記載されているIP-GWは、出力先装置としてのIP-GWである。
【0065】
図7および
図8は、物理接続状態が
図5の状態である場合の、物理接続状態情報の例を示す図である。
図7は、IPRから上位の物理接続状態情報の例を示す。また、
図8は、IPRから下位の物理接続状態情報の例を示す。
図9は、論理接続状態が
図6の状態である場合の、論理接続状態情報の例を示す図である。
【0066】
ここで、受信部21が、ANCINS(機器70-9)とIP-GW-2(機器70-5)からアラームを受信したとする。
【0067】
この場合、ANCINSとIP-GW-2がアラーム出力機器なので、付与部23は、物理接続状態情報に基づいて、ANCINSとIP-GW-2に物理スコアを付与する。ここでは、付与部23は、物理スコアとして1を付与することとする。
【0068】
また、付与部23は、物理接続状態情報に基づいて、ANCINSの前段接続機器(IPR-1、IPR-2、IP-GW-1)に物理スコアを付与する。また、付与部23は、物理接続状態情報に基づいて、IP-GW-2の前段接続機器(Bサブ、信号発生器、IPR-1、IPR-2)に物理スコアを付与する。
【0069】
図10は、
図7の物理接続状態情報に基づくスコア付与の例を示す図である。
図11は、
図8の物理接続状態情報に基づくスコア付与の例を示す図である。
【0070】
算出部24は、機器70-1~機器70-10の各々について、物理スコアの合計値を算出してもよい。このとき、算出部24は、同一の機器に対して複数の物理スコアが付与され、かつ、これら複数の物理スコアが付与された要因が同一である場合、これら複数の物理スコアのうち一つの物理スコアを、物理スコアの合計値に含める。
【0071】
たとえば、
図10および
図11において、2か所のBサブに物理スコアが付与されている。これらのBサブに物理スコアが付与された要因は、いずれも、後段に物理接続するIP-GW-2に物理スコアが付与されたことであって、同一である。また、6か所のIP-GW-2に物理スコアが付与されている。これらのIP-GW-2に物理スコアが付与された要因は、いずれも、IP-GW-2がアラーム出力機器であることであって、同一である。また、2か所の信号発生器についても、物理スコアが付与された要因は、いずれも、後段に物理接続するIP-GW-2に物理スコアが付与されたことであって、同一である。また、2か所のANCINSについても、物理スコアが付与された要因は、ANCINSがアラーム出力機器であることであって、同一である。また、2か所のIP-GW-1についても、物理スコアが付与された要因は、いずれも、後段に物理接続するANCINSに物理スコアが付与されたことであって、同一である。そのため、これらの物理スコアについて、算出部24は、物理スコアの付与の要因が同じ物理スコアのうちの一つを、物理スコアの合計値に含める。したがって、
図10および
図11において、グレーのセルの物理スコアは、物理スコアの合計値に含まれない。
【0072】
算出部24が上述のように物理スコアの合計値を算出すると、物理スコアの合計値は、Bサブ:1、IP-GW-2:1、信号発生器:1、IPR-1:2、IPR-2:2、IP-GW-1:1、ANCINS:1となる。
【0073】
また、付与部23は、ANCINSとIP-GW-2がアラーム出力機器なので、論理接続状態情報に基づいて、ANCINSとIP-GW-2に論理スコアを付与する。ここでは、付与部23は、論理スコアとして1を付与することとする。
【0074】
また、付与部23は、論理接続状態情報に基づいて、ANCINSの前段接続機器(IP-GW-1、IP-GW-2、信号発生器)に論理スコアを付与する。また、付与部23は、論理接続状態情報に基づいて、IP-GW-2の前段接続機器(Aサブ、IP-GW-1、Bサブ)に論理スコアを付与する。
【0075】
図12は、
図9の論理接続状態情報に基づくスコア付与の例を示す図である。
【0076】
算出部24は、機器70-1~機器70-10の各々について、論理スコアの合計値を算出してもよい。このとき、算出部24は、同一の機器に対して複数の論理スコアが付与され、かつ、これら複数の論理スコアが付与された要因が同一である場合、これら複数の論理スコアのうち一つの論理スコアを、論理スコアの合計値に含める。
【0077】
たとえば、
図12において、4か所のIP-GW-2に論理スコアが付与されている。このうち3か所のIP-GW-2については、論理スコアが付与された要因は、IP-GW-2がアラーム出力機器であることであって、同一である。残り1か所(最下行)のIP-GW-2については、論理スコアが付与された要因に、IP-GW-2がアラーム出力機器であることに加えて、後段に論理接続するIP-GW-1に論理スコアが付与されたことがある。そのため、算出部24は、前者の3か所のIP-GW-2の論理スコアについては、これらの論理スコアのうちの一つを論理スコアの合計値に含める。したがって、
図12において、グレーのセルの論理スコアは、論理スコアの合計値に含まれない。
【0078】
算出部24が上述のように論理スコアの合計値を算出すると、論理スコアの合計値は、Aサブ:1、Bサブ:1、信号発生器:1、IP-GW-1:2、IP-GW-2:2、ANCINS:1となる。
【0079】
また、算出部24は、機器70-1~機器70-10の各々について、物理スコアと論理スコアの両方に基づいて、スコアの合計値を算出する。この場合、スコアは、物理スコアと論理スコアとを含む。このとき、算出部24は、同一の機器に対して複数のスコアが付与され、かつ、これら複数のスコアが付与された要因が同一である場合、これら複数のスコアのうち一つのスコアを、スコアの合計値に含める。
【0080】
たとえば、
図12の最上行のIP-GW-2について、スコアが付与された要因は、IP-GW-2がアラーム出力機器であることであって、
図10のIP-GW-2にスコアが付与された要因と同一である。また、
図12のANCINSについて、スコアが付与された要因は、ANCINSがアラーム出力機器であることであって、
図11のANCINSにスコアが付与された要因と同一である。そのため、算出部24は、
図12のANCINSと
図12の最上行のIP-GW-2に付与されたスコアを、スコアの合計値に含めない。したがって、
図12において、括弧が付与されたスコアは、スコアの合計値に含まれない。(括弧が付与された論理スコアは、論理スコアの合計値には含まれる。)
算出部24が上述のようにスコアの合計値を算出すると、スコアの合計値は、Aサブ:1、Bサブ:2、信号発生器:2、IP-GW-1:3、IP-GW-2:2、IPR-1:2、IPR-2:2、ANCINS:1となる。このように、IP-GW-1のスコアの合計値が最も高くなるので、IP-GW-1に障害が発生した可能性が最も高いと考えることができる。
【0081】
このように、
図10から
図12の例の場合、物理接続状態のみが考慮されると、IPR-1とIPR-2の物理スコアが高くなる。しかし、IPR-1とIPR-2は、多くの機器の前段に位置しているので、物理スコアが高くなる傾向にある。本実施形態では、物理接続状態に加えて論理接続状態が考慮されることで、障害が発生している可能性が高い機器と低い機器との間のスコアの差が大きくなる。また、アラーム出力機器に物理的にだけでなく論理的にも接続している機器のスコアが高くなる。そのため、物理接続状態に加えて論理接続状態がスコア付与に考慮されることで、障害が発生している機器の特定がより容易になる。
【0082】
また、現状の放送マスター送出システムでは、IPによる部分とSDIによる部分が混在している。そのため、一般的なIPネットワークの故障検知手法を使用しても、障害が実際に発生している機器の特定が難しい。本実施形態の情報出力装置20は、物理接続状態情報と論理接続状態情報の両方を使用することで、IPによる部分とSDIによる部分が混在するシステムにおいても、障害が発生している機器の特定を容易にすることができる。
【0083】
次に、出力部25がスコア情報として画像情報を出力し、表示手段が画像を表示する場合の例について説明する。
【0084】
図13に、スコア情報画像31の例を示す。スコア情報画像31は、スコア情報を示す画像である。スコア情報画像31は、機器を示す画面アイテムを含む。
図13の例では、スコア付与の対象の機器についての物理接続が図示されている。また、スコア付与の対象ではない機器についても、スコア情報画像31に図示されていてもよい。
【0085】
また、スコア情報画像31では、スコア付与の対象の機器の各々を示す画面アイテムに、当該機器に付与されたスコアの合計値が図示されている。
図13の例では、論理スコアと物理スコアを含むスコアの合計値が図示されているが、論理スコアと物理スコアを含むスコアの合計値、論理スコアの合計値および物理スコアの合計値のいずれか一つ以上が図示されていてもよい。
【0086】
また、スコア情報画像31では、スコアが高い機器の画面アイテムが、スコアが低い機器の画面アイテムとは異なる表示形態(たとえば、文字色、背景色など)で表示されていてもよい。
【0087】
また、スコア情報画像31には、スコアが付与された機器の情報である被疑箇所一覧が含まれていてもよい。たとえば、被疑箇所一覧は、スコアの高い機器の順に表示されてもよい。また、被疑箇所一覧には、当該機器に対してスコアが付与される要因となったアラーム出力機器について、受信部21が受信したアラームに付与されているアラーム番号が表示されてもよい。
【0088】
また、スコア情報画像31には、
図13の例には含まれていないが、受信部21が受信したアラームの情報を示すアラーム一覧が含まれていてもよい。
【0089】
また、スコア情報画像31では、アラーム出力機器を示す画面アイテムが、他の機器の画面アイテムとは異なる表示形態で表示されてもよい。
【0090】
また、出力部25は、論理接続を示す画像を含む画像情報を出力してもよい。出力部25は、論理接続を示す画像を含む画像情報を、スコア情報として出力してもよい。たとえば、出力部25は、
図14に示す接続状態表示画像の画像情報を、スコア情報として出力してもよい。また、出力部25は、利用者の操作に応じて、スコア情報画像31と接続状態表示画像32とを切り替えて、または同時に、表示手段に表示させてもよい。
【0091】
図14に、接続状態表示画像32の例を示す。この接続状態表示画像32では、上段に、前段機器(Sender)を示す画面アイテムが複数表示されている。また、下段に、後段機器(Receiver)を示す画面アイテムが複数表示されている。また、接続状態表示画像32では、機器を示す画面アイテムに、当該機器に付与されたスコアの合計値が図示されている。
【0092】
本実施形態では、IP-GWの間の論理接続が、番組編成などに応じて変更される。そのため、この例では、機器のうち、IP-GWの論理接続状態が表示されている。また、前段機器を示す画面アイテムと後段機器を示す画面アイテムとの間に、前段機器と後段機器の論理接続状態を示す線が図示されている。ここで示されている接続状態は、各々の後段機器がどの前段機器から入力されているデータを受信しているかを示す。
【0093】
次に、
図15を用いて、本実施形態の情報出力装置20の動作フローの例について説明する。
図15は、本実施形態の情報出力装置20の動作フローの例を示す図である。
【0094】
受信部21は、アラームを受信する(ステップS201)。
【0095】
取得部22は、接続状態情報を取得する(ステップS202)。なお、接続状態情報は、アラームを受信するより前(ステップS201より前)に取得されていてもよい。たとえば、取得部22は、収集装置50から接続状態変更通知を受信する都度、論理接続状態情報を取得していてもよい。また、取得部22は、情報出力装置20の動作開始時に、記憶手段から物理接続状態情報を取得していてもよい。
【0096】
付与部23は、接続状態情報に基づいて、アラーム出力機器とアラーム出力機器の前段接続機器とにスコアを付与する(ステップS203)。
【0097】
算出部24は、機器70-1~機器70-Nの各々についてのスコアの合計値を算出する(ステップS204)。
【0098】
出力部25は、機器70-1~機器70-Nの各々についてのスコア情報を出力する(ステップS205)。出力部25は、たとえば、利用者による操作に応じて、画像情報をスコア情報として表示手段に出力してもよい。
【0099】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、情報出力装置20は、受信部21、取得部22、付与部23、算出部24および出力部25を含む。情報出力装置20は、複数の機器についての情報を出力する。受信部21は、機器で問題が発生したことを示すアラームを、複数の機器のうち問題が発生した機器から受信する。取得部22は、複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する。付与部23は、アラームを受信した場合に、接続状態情報に基づいて、アラーム出力機器と前段接続機器とに対してスコアを付与する。スコアは、障害が発生している可能性がある機器に対して付与される。また、スコアは、障害発生の可能性の度合いを示す。アラーム出力機器は、アラームを出力した機器である。前段接続機器は、アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であってアラーム出力機器より前段に接続する。算出部24は、複数の機器の各々についてのスコアの合計値を算出する。出力部25は、合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する。
【0100】
これにより、アラーム出力機器と前段接続機器とに対してスコアが付与されるので、より多くのアラーム出力機器の前段に接続している機器についてのスコアの合計値が高くなる。前段機器の障害が後段機器のアラーム出力に影響を与えるシステムでは、より多くのアラーム出力装置の前段に接続している機器は、障害が発生している機器である可能性が高い。そのため、前段機器の障害が後段機器のアラーム出力に影響を与えるシステムにおいて、障害が発生している機器の特定を容易にすることが可能になる。
【0101】
また、本実施形態では、複数の機器は、放送マスター送出システムに含まれる。この場合、放送マスター送出システムにおいて、障害が発生している機器の特定を容易にすることができる。
【0102】
また、本実施形態では、放送マスター送出システムの少なくとも一部は、IPベースのシステムである。IPベースのシステムでは、論理的な接続状態が動的に変化するが、本実施形態では、接続状態情報を取得し、取得した接続状態に基づいてスコアの付与を行うので、IPベースのシステムを含む場合でも、障害が発生している機器の特定を容易にすることができる。
【0103】
また、接続状態情報は、複数の機器の間の物理的な接続状態を示す物理接続状態情報、および、複数の機器の間の論理的な接続状態を示す論理接続状態情報の少なくともいずれかを含む。これにより、障害が発生している可能性が高い機器と低い機器との間のスコアの差が大きくなる。また、アラーム出力機器に物理的および論理的に接続している機器のスコアが高くなる。そのため、障害が発生している機器の特定がより容易になる。
【0104】
また、接続状態情報は、複数の機器の間の論理的な接続の状態を示す論理接続状態情報を含む、また、取得部22は、放送素材の入力元となり得る機器である入力元装置、および、放送素材の出力先となり得る機器である出力先装置から、論理的な接続状態に関する情報を取得することによって、論理接続状態情報を取得する。これによって、論理接続状態の取得を実現することができる。
【0105】
また、合計値は、同一の機器に対して複数のスコアが付与され、かつ、スコアが付与された要因が同一である場合、当該複数のスコアのうち一つのスコアを含む。これによって、同一の要因で同一の機器に対して重複して付与されたスコアが重複して合計値に含まれることを避けることができる。
【0106】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における情報出力装置(10、20)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、情報出力装置は、物理的または機能的に少なくとも二つ以上の複数の情報処理装置が用いられて実現されてもよい。また、情報出力装置は、専用の装置として実現されてもよいし、汎用の装置が用いられてもよい。また、情報出力装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現してもよい。
【0107】
図16は、本発明の各実施形態の情報出力装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を含む。
【0108】
たとえば、
図1の受信部11、取得部12および出力部15は、通信インタフェース91と演算装置93とで実現することが可能である。また、付与部13および算出部14は、演算装置93で実現することが可能である。
【0109】
通信インタフェース91は、各実施形態の情報出力装置が、有線および無線のうち少なくとも一方で外部装置と通信するための通信手段である。なお、情報出力装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続してもよい。
【0110】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0111】
演算装置93は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0112】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0113】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0114】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に記録されているデータの読み込みやデータの書き込みを処理する装置である。
【0115】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0116】
本発明の各実施形態は、たとえば、
図16に例示した情報処理装置90により情報出力装置を構成し、この情報出力装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0117】
この場合、情報出力装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、情報出力装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0118】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、情報出力装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して情報出力装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0119】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0120】
(付記1)
複数の機器についての情報を出力する情報出力装置であって、
機器で問題が発生したことを示すアラームを、前記複数の機器のうち問題が発生した機器から受信する受信部と、
前記複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する取得部と、
前記アラームを受信した場合に、前記接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、前記アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、前記アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であって前記アラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与する付与部と、
前記複数の機器の各々についての前記スコアの合計値を算出する算出部と、
前記合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する出力部と、
を備える情報出力装置。
【0121】
(付記2)
前記複数の機器は、放送マスター送出システムに含まれる、
付記1に記載の情報出力装置。
【0122】
(付記3)
前記放送マスター送出システムの少なくとも一部は、IP(Internet Protocol)ベースのシステムである、
付記2に記載の情報出力装置。
【0123】
(付記4)
前記接続状態情報は、前記複数の機器の間の物理的な接続状態を示す物理接続状態情報、および、前記複数の機器の間の論理的な接続状態を示す論理接続状態情報の少なくともいずれかを含む、
付記1から付記3のいずれかに記載の情報出力装置。
【0124】
(付記5)
前記接続状態情報は、前記複数の機器の間の論理的な接続の状態を示す論理接続状態情報を含み、
前記取得部は、放送素材の入力元となり得る機器である入力元装置、および、放送素材の出力先となり得る機器である出力先装置から、論理的な接続状態に関する情報を取得することによって、前記論理接続状態情報を取得する、
付記1から付記3のいずれかに記載の情報出力装置。
【0125】
(付記6)
前記合計値は、同一の機器に対して複数のスコアが付与され、かつ、スコアが付与された要因が同一である場合、当該複数のスコアのうち一つのスコアを含む、
付記1から付記5のいずれかに記載の情報出力装置。
【0126】
(付記7)
複数の機器についての情報を出力する情報出力装置が、
機器で問題が発生したことを示すアラームを、前記複数の機器のうち問題が発生した機器から受信し、
前記複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得し、
前記アラームを受信した場合に、前記接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、前記アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、前記アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であって前記アラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与し、
前記複数の機器の各々についての前記スコアの合計値を算出し、
前記合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する、
情報出力方法。
【0127】
(付記8)
前記複数の機器は、放送マスター送出システムに含まれる、
付記7に記載の情報出力方法。
【0128】
(付記9)
前記放送マスター送出システムの少なくとも一部は、IPベースのシステムである、
付記8に記載の情報出力方法。
【0129】
(付記10)
複数の機器についての情報を出力する情報出力プログラムであって、
コンピュータに、
機器で問題が発生したことを示すアラームを、前記複数の機器のうち問題が発生した機器から受信する受信機能と、
前記複数の機器の間の接続状態を示す接続状態情報を取得する取得機能と、
前記アラームを受信した場合に、前記接続状態情報に基づいて、障害が発生している可能性がある機器に対して付与され、かつ、障害発生の可能性の度合いを示すスコアを、前記アラームを出力した機器であるアラーム出力機器と、前記アラーム出力機器に直接または間接的に接続する機器であって前記アラーム出力機器より前段に接続する前段接続機器とに対して付与する付与機能と、
前記複数の機器の各々についての前記スコアの合計値を算出する算出機能と、
前記合計値に関する情報であるスコア情報を生成して出力する出力機能と、
を実現させる情報出力プログラム。
【0130】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0131】
10、20 情報出力装置
11、21 受信部
12、22 取得部
13、23 付与部
14、24 算出部
15、25 出力部
50 収集装置
70-i 機器
31 スコア情報画像
32 接続状態表示画像
90 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体