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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131038
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】梁鉄筋組立架台の架台本体
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E04G21/12 105D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041059
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】507060516
【氏名又は名称】ジャパン スチールス グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】與那原 一郎
(57)【要約】
【課題】容易に設置可能な、梁鉄筋組立架台の架台本体を提供する。
【解決手段】上側梁筋群を支持する第1の梁筋支持棒材36と、下側梁筋群を支持する第2の梁筋支持棒材41と、スターラップ筋を支持するスターラップ受け台31とが着脱自在に装着される架台本体21,22であって、架台本体は、支柱23と、該支柱の下端部に設けられ設置面に接する脚部24と、からなり、脚部は、第1脚(固定脚42)と、該第1脚に対して直角な第2脚(着脱脚47)と、からなり、架台本体は、第1脚と第2脚とに渡って取り付けられる渡し部材100と、渡し部材に支持されて回転可能な複数の車輪(第1車輪110,第2車輪120)と、からなる車輪機構130を備え、架台本体が設置面に対して傾斜した状態で、複数の車輪が設置面に接し、脚部が設置面から離間する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に平行に伸びる複数本の梁筋により構成される上側梁筋群と、相互に平行に伸びる複数本の梁筋により構成され前記上側梁筋群と平行に配置される下側梁筋群と、それぞれの前記梁筋に結束される複数の枠状のスターラップ筋と、からなる梁鉄筋を組み立てるための梁鉄筋組立架台において、前記上側梁筋群を支持する第1の梁筋支持棒材と、前記下側梁筋群を支持する第2の梁筋支持棒材と、前記スターラップ筋を支持するスターラップ受け台とが着脱自在に装着される架台本体であって、
前記架台本体は、支柱と、該支柱の下端部に設けられ設置面に接する脚部と、からなり、
前記脚部は、第1脚と、該第1脚に対して直角な第2脚と、からなり、
前記架台本体は、前記第1脚と前記第2脚とに渡って取り付けられる渡し部材と、前記渡し部材に支持されて回転可能な複数の車輪と、からなる車輪機構を備え、
前記架台本体が前記設置面に対して傾斜した状態で、複数の前記車輪が前記設置面に接し、前記脚部が前記設置面から離間することを特徴とする、梁鉄筋組立架台の架台本体。
【請求項2】
請求項1記載の梁鉄筋組立架台の架台本体において、
前記渡し部材は、前記第1脚および前記第2脚に対して45°の角度で配置されることを特徴とする、梁鉄筋組立架台の架台本体。
【請求項3】
請求項1または2記載の梁鉄筋組立架台の架台本体において、
前記車輪機構は、前記第1脚および前記第2脚から取り外し可能であることを特徴とする、梁鉄筋組立架台の架台本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁鉄筋組立架台の架台本体に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋を用いた建築物は、鉄筋コンクリート柱と、これに水平に設けられる鉄筋コンクリート梁と、を有している。鉄筋コンクリート梁は、梁鉄筋と、コンクリートと、からなる。梁鉄筋は、真っ直ぐな複数本の梁筋と、それぞれの梁筋にワイヤ等で結束される枠状の複数のスターラップ筋と、により形成されている。鉄筋コンクリート梁は、梁筋とスターラップ筋とにより梁鉄筋を組み立てた後に、組み立てられた梁鉄筋を取り囲むように型枠を形成し、コンクリートを型枠内に流し込むことにより製造されている。
【0003】
スターラップ筋には、一体型と、分割型と、がある。一体型は、四辺形の枠状に一体的に形成される。分割型は、上端部が開口されたほぼU字形状の本体部と、本体部の開口部側に配置される幅止め筋と、により全体的に四辺形に形成される。スターラップ筋の内部には、真っ直ぐに伸びるように、梁鉄筋が組み込まれている。梁鉄筋は、鉄筋コンクリート梁の上側の部分に配置される複数本の梁筋により構成される上側梁筋群と、鉄筋コンクリート梁の下側の部分に配置される複数本の梁筋により構成される下側梁筋群と、を通常有している。
【0004】
特許文献1には、一対の架台組立体を構成する架台本体と、スターラップ筋を支持するスターラップ受け台と、上側梁筋群を構成する梁筋を支持する第1の梁筋支持棒材と、下側梁筋群を構成する梁筋を支持する第2の梁筋支持棒材と、を有する梁鉄筋組立架台が開示されている。
【0005】
この梁鉄筋組立架台では、上側梁筋群を構成する複数本の梁筋が第1の梁筋支持棒材の上に配置され、下側梁筋群を構成する複数本の梁筋が第2の梁筋支持棒材の上に配置されるので、スターラップ筋と梁筋とが干渉しない状態で、これらの結束を準備することができる。そして、スターラップ筋をその上側辺の部分で上側梁筋群に接触するように分散配置し、下側梁筋群を下降移動させてスターラップ筋の下側辺に接触させるようにしたので、短時間で安全にスターラップ筋と梁筋とを組み立てて梁鉄筋を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5118897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の梁鉄筋組立架台における架台本体は、かなりの重量物であるため、人力による場合には二人掛かりで移動させる必要があり、設置には多くの労力とコストを要していた。
【0008】
本発明の目的は、容易に設置可能な梁鉄筋組立架台の架台本体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る梁鉄筋組立架台の架台本体は、相互に平行に伸びる複数本の梁筋により構成される上側梁筋群と、相互に平行に伸びる複数本の梁筋により構成され前記上側梁筋群と平行に配置される下側梁筋群と、それぞれの前記梁筋に結束される複数の枠状のスターラップ筋と、からなる梁鉄筋を組み立てるための梁鉄筋組立架台において、前記上側梁筋群を支持する第1の梁筋支持棒材と、前記下側梁筋群を支持する第2の梁筋支持棒材と、前記スターラップ筋を支持するスターラップ受け台とが着脱自在に装着される架台本体であって、前記架台本体は、支柱と、該支柱の下端部に設けられ設置面に接する脚部と、からなり、前記脚部は、第1脚と、該第1脚に対して直角な第2脚と、からなり、前記架台本体は、前記第1脚と前記第2脚とに渡って取り付けられる渡し部材と、前記渡し部材に支持されて回転可能な複数の車輪と、からなる車輪機構を備え、 前記架台本体が前記設置面に対して傾斜した状態で、複数の前記車輪が前記設置面に接し、前記脚部が前記設置面から離間することを特徴とする、梁鉄筋組立架台の架台本体である。
【0010】
また、本発明に係る梁鉄筋組立架台の架台本体において、前記渡し部材は、前記第1脚および前記第2脚に対して45°の角度で配置されることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る梁鉄筋組立架台の架台本体において、前記車輪機構は、前記第1脚および前記第2脚から取り外し可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る梁鉄筋組立架台の架台本体によれば、架台本体が設置面に対して傾斜した状態で、複数の車輪が設置面に接し、脚部が設置面から離間するので、架台本体を人力により容易に移動させて設置可能である。
【0013】
複数の車輪を支持している渡し部材が、第1脚および第2脚に対して45°の角度で配置されることにより、架台本体が設置面に対して傾斜した状態で、複数の車輪が安定して設置面に接するので、架台本体を安定的に移動させることができる。
【0014】
車輪機構が、第1脚および第2脚から取り外し可能であることにより、設置済みの架台本体から車輪機構を取り外して、未設置の架台本体に取り付けることができるので、梁鉄筋組立架台の全体において車輪機構の数を減少させて、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施の形態である梁鉄筋組立架台を構成する一対の架台組立体を示す斜視図である。
図2】一対の架台組立体を構成する架台本体を示す分解斜視図である。
図3】梁鉄筋組立架台を用いた梁鉄筋の組立工程を示す正面図である。
図4】梁鉄筋組立架台を用いた梁鉄筋の組立工程を示す正面図である。
図5】梁鉄筋組立架台を用いた梁鉄筋の組立工程を示す正面図である。
図6】梁鉄筋組立架台を用いた梁鉄筋の組立工程を示す正面図である。
図7】梁鉄筋組立架台を用いた梁鉄筋の組立工程を示す正面図である。
図8図5における矢印8-8線方向の拡大側面図である。
図9図6における矢印9-9線方向の拡大側面図である。
図10図7における矢印10-10線方向の拡大側面図である。
図11】他の実施の形態である梁鉄筋組立架台を示す側面図である。
図12】他の実施の形態である梁鉄筋組立架台を示す側面図である。
図13】一実施の形態である梁鉄筋組立架台を構成する架台本体の正面図である。
図14】一実施の形態である梁鉄筋組立架台を構成する架台本体を設置面に対して傾斜させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は一実施の形態である梁鉄筋組立架台を構成する一対の架台組立体を示す斜視図であり、図2は一対の架台組立体を構成する架台本体を示す分解斜視図であり、図3図7は梁鉄筋組立架台を用いた梁鉄筋の組立工程を示す正面図であり、図8図5における矢印8-8線方向の拡大側面図であり、図9図6における矢印9-9線方向の拡大側面図であり、図10図7における矢印10-10線方向の拡大側面図であり、図13は架台本体の正面図であり、図14は架台本体を設置面に対して傾斜させた状態を示す斜視図である。
【0017】
梁鉄筋組立架台は、図7および図10に示すように、梁鉄筋10を組み立てるために使用される。梁鉄筋10は、相互に平行となって真っ直ぐに伸びる複数本の梁筋11により構成される上側梁筋群11aと、相互に平行に伸びる複数本の梁筋12により構成されて上側梁筋群11aに平行となる下側梁筋群12aとを有しており、複数の四辺形の枠状のスターラップ筋13が上側梁筋群11aと下側梁筋群12aとを囲むように所定の間隔毎に配置される。スターラップ筋13とそれぞれの梁筋11,12とは相互に、図示しないワイヤにより結束されて、梁鉄筋10の組立が完了する。
【0018】
図1に示すように、一対の架台組立体20は、第1の架台本体21と第2の架台本体22とにより構成されており、それぞれの架台本体21,22は、同一の構造となっている。それぞれの架台本体21,22は、横断面形状が四角形となった中空の角パイプからなる支柱23を有し、支柱23の下端部には脚部24が取り付けられており、支柱23は脚部24の部分で基盤面(設置面)の上に垂直に設置されるようになっている。なお、支柱23の上端部には係合孔23aが形成されており、支柱23を図示しない昇降機により吊り下げる際に、昇降機のフックが係合孔23aに係合するようになっている。
【0019】
支柱23の上端部の側面には、角パイプからなる受け台支持部材25が支柱23と平行となって着脱自在に装着されるようになっている。図2に示すように、受け台支持部材25の下端部には、支柱23の3面を覆うコの字形状のブラケット26が固定され、上端部には、上方が開口されたU字形状のフック27が固定されている。ブラケット26の対向する2面には、貫通孔28が形成され、支柱23には長手方向の所定間隔毎に、複数の貫通孔29が形成されている。貫通孔28を貫通するボルト30をいずれかの貫通孔29に貫通させてブラケット26を支柱23に固定することによって、受け台支持部材25は支柱23に着脱自在に装着される。ボルト30を貫通させる貫通孔29の位置を変えることによって、受け台支持部材25の上端部の高さを複数段階に変化させることができる。
【0020】
受け台支持部材25の上端部には、図1に示すように、スターラップ受け台31が着脱自在に装着されるようになっている。スターラップ受け台31は、両端部で受け台支持部材25のフック27に支持される角パイプからなる支持棒材32と、この支持棒材32にその幅方向両側に突出してクランプ材33により固定される複数本の受け棒材34とにより構成されており、図4に示すように、スターラップ受け台31は、スターラップ筋13をその上側辺内側の部分で垂直に支持するようになっている。
【0021】
支柱23の上端部には、図1に示すように、上方に向けて開口した係合溝35が形成されており、この係合溝35には、丸棒からなる第1の梁筋支持棒材36が着脱自在に装着されるようになっている。第1の架台本体21と第2の架台本体22とを、図1に示すように対をなして配置することにより、一対の架台組立体20が形成される。架台組立体20に装着される第1の梁筋支持棒材36の上には、上側梁筋群11aを構成するそれぞれの梁筋11が、図5に示すように、相互に平行となって水平に支持される。
【0022】
支柱23には、その3面を覆うコの字形状のブラケット37が装着されるようになっており、ブラケット37には、フック38が取り付けられている。図2に示すように、ブラケット37の相互に対向する2面には、貫通孔39が形成されており、貫通孔39には、アイボルト40が貫通して装着されるようになっている。したがって、ブラケット37を支柱23に装着してアイボルト40を締め付けると、ブラケット37にアイボルト40から支柱23に加えられる締付力により、ブラケット37は支柱23に締結される。アイボルト40を緩めると、ブラケット37を上下方向に位置調整することができる。このように、ブラケット37をアイボルト40により締結することによって、梁鉄筋の組立現場においてスパナを用いることなく、棒状の部材を用いてアイボルト40の締結と締結解除とを行うことができる。なお、受け台支持部材25についても、ブラケット26の対向する2面の部分の長さを長くして、ボルトの締結力により受け台支持部材25を支柱23に取り付けるようにしても良く、その場合には、受け台支持部材25を、段階的ではなく任意の高さ位置に調整することができる。
【0023】
ブラケット37に取り付けられたフック38には、丸棒からなる第2の梁筋支持棒材41が、図1に示すように着脱自在に装着されるようになっている。一対の架台組立体20に装着される第2の梁筋支持棒材41の上には、図5に示すように、下側梁筋群12aを構成するそれぞれの梁筋12が相互に平行となって水平に支持される。したがって、下側梁筋群12aを構成するそれぞれの梁筋12を支持した状態のもとでブラケット37を下方にずらし移動させると、梁筋12は下方にずらされることになる。つまり、スターラップ受け台31に支持されたスターラップ筋13を、図6および図9に示すように、上側梁筋群11aの上に所定間隔毎に配置した後に、下側梁筋群12aを構成するそれぞれの梁筋12を第2の梁筋支持棒材41により支持した状態のもとで、図7および図10に示すように、第2の梁筋支持棒材41をブラケット37により下方にずらし移動して梁筋12の支持を解除すると、下側梁筋群12aを構成するそれぞれの梁筋12はスターラップ筋13の下側片内側に接触することになる。第2の梁筋支持棒材41による梁筋12の支持を解除するには、ブラケット37を下方にずらすようにしても良く、第2の梁筋支持棒材41を抜き取るようにしてもよい。
【0024】
このようにして、スターラップ筋13の上側辺の内側には、上側梁筋群11aの梁筋11が接触し、スターラップ筋13の下側片の内側には、下側梁筋群12aの梁筋12が接触することになる。この状態のもとで、スターラップ筋13とそれぞれの梁筋11,12とをワイヤにより結束すると、梁鉄筋の組立が完了することになる。
【0025】
図1および図2に示すように、支柱23の下端部に固定される脚部24は、支柱23の下面に固定されて支柱23に対して直角方向に両側に突出する2つの固定脚42を有している。固定脚42および着脱脚47は、金属により構成され、チャンネル型の断面である。
【0026】
図2に示すように、それぞれの固定脚42は連結板43により隙間44を介して相互に連結されており、支柱23に固定された取付部材45を、ボルト46により固定脚42にねじ止めすることで、固定脚42は支柱23に取り付けられている。隙間44には、着脱脚47が、固定脚42に対して直角方向に組み付けられるようになっている。図2に示すように、着脱脚47は、その長手方向の中央部に形成された貫通孔48を貫通し、支柱23の下端部に設けられた図示しないナットにねじ結合されるボルト49により、着脱自在に支柱23に取り付けられるようになっている。
【0027】
したがって、図2において二点鎖線で示すように、着脱脚47を固定脚42に重ねるようにして畳むことができる。畳んだ状態で、ボルト49により着脱脚47を固定脚42に締め付けると、架台本体21,22を運搬したり保管したりするとき、つまり使用されないときには、占有面積を小さくすることができる。しかも、受け台支持部材25およびブラケット37は、支柱23に対して着脱自在となっているので、これらを支柱23から取り外すことにより、架台本体21,22の運搬や保管時の占有面積を小さくすることができる。なお、ボルト49に代えてアイボルトを用いるようにしてもよい。
【0028】
図1に示すように、第1脚の一例である固定脚42と、第2脚の一例である着脱脚47には、渡し部材100,第1車輪110,および第2車輪120を備える車輪機構130が取り付けられる。
【0029】
渡し部材100は、金属により構成され、アングル型の断面である。渡し部材100は、固定脚42と着脱脚47とに渡って取り付けられる。図2に示すように、渡し部材100の、固定脚42に取り付けられる箇所には、挿通孔100aが形成されており、着脱脚47に取り付けられる箇所には、挿通孔100bが形成されている。固定脚42の、渡し部材100が取り付けられる箇所には、ボルト孔42a,42bが形成されており、着脱脚47の、渡し部材100が取り付けられる箇所には、ボルト孔47a,47bが形成されている。
【0030】
渡し部材100は、ボルト101が挿通孔100aに挿通されてボルト孔42aに螺合され、ボルト102が挿通孔100bに挿通されてボルト孔47aに螺合されることにより、固定脚42および着脱脚47に取り付けられる。なお、渡し部材100が取り付けられるのは、図示しないが、ボルト孔42aおよびボルト孔47bでもよく、ボルト孔47bおよびボルト孔42bでもよく、ボルト孔42bおよびボルト孔47aでもよい。逆に、渡し部材100は、ボルト101,102を取り外すことにより、固定脚42および着脱脚47から取り外し可能である。
【0031】
渡し部材100は、固定脚42および着脱脚47に対して45°の角度で配置されている。すなわち、渡し部材100と固定脚42とが成す角度αは45°であり、また渡し部材100と着脱脚47とが成す角度βも45°である。
【0032】
渡し部材100には、複数の車輪が回転可能に支持されている。本実施形態における複数の車輪は、第1車輪110と第2車輪120の2つである。第1車輪110は、支持枠111に設けられている支持軸に対して回転可能である。そして、支持枠111が渡し部材100に取り付けられている。同様に、第2車輪120は、支持枠121に設けられている支持軸に対して回転可能である。そして、支持枠121が渡し部材100に取り付けられている。
【0033】
図13に示すように、第1の架台本体21が設置面Gに設置されている、すなわち第1の架台本体21が設置面Gに対して直立している状態では、第1車輪110および第2車輪120は、設置面Gから間隔Dだけ離間している。この図13に示す状態では、重量物である第1の架台本体21は、人力では容易に移動することができない。
【0034】
この状態から、固定脚42の端部42cおよび着脱脚47の端部47cを支点として、第1の架台本体21を手前側に倒すことにより、第1の架台本体21を設置面Gに対して傾斜させると、間隔Dが狭まって、図14に示すように、第1車輪110および第2車輪120が設置面Gに接する一方、固定脚42および着脱脚47が設置面Gから離間する。この図14に示す状態では、第1車輪110および第2車輪120が回転することにより、第1の架台本体21を人力で容易に移動させることができる。なお、第2の架台本体22も、架台本体21と同じものである。
【0035】
図2に示すように、支柱23の上端部には、延長支柱51が着脱自在に装着されるようになっている。延長支柱51は、支柱23と同一のサイズの角パイプからなる突出部51aと、これの下端部に取り付けられて支柱23の内部に嵌合される嵌合部51bとを有しており、嵌合部51bには、貫通孔52が複数個形成されている。したがって、支柱23の貫通孔29のいずれかと貫通孔52のいずれかとに図示しないボルトを貫通させることにより、延長支柱51を支柱23の上方に突出させて取り付けることができるとともに、突出長さを複数段階に設定することができる。
【0036】
延長支柱51の上端部には、支柱23の上端部と同様に、係合溝35が形成されており、係合溝35には第1の梁筋支持棒材36を配置することができるようになっている。したがって、延長支柱51を支柱23に装着することによって、第1の梁筋支持棒材36の高さを複数段階に設定することができる。なお、支柱23および延長支柱51は、角パイプにより形成されているが、丸パイプとしてもよい。また、第1の梁筋支持棒材36および第2の梁筋支持棒材41は、丸パイプにより形成されているが、角パイプとしてもよい。
【0037】
次に、梁鉄筋組立架台を用いた梁鉄筋の組立工程について、図3図10を参照して説明する。なお、図3図10では、車輪機構130の記載を省略している。
【0038】
まず図13で説明したようにして、架台本体21,22を所望の箇所に移動させる。ここで複数の車輪(第1車輪110,第2車輪120)を支持している渡し部材110が、固定脚42および着脱脚47に対して45°の角度で配置されることにより、架台本体21,22が設置面Gに対して傾斜した状態で、複数の車輪が安定して設置面Gに接するので、架台本体21,22を安定的に移動させることができる。また、移動させた架台本体21,22からは、車輪機構130を取り外すことができ、該取り外した車輪機構130を別の架台本体21,22に取り付けることにより、梁鉄筋組立架台の全体において車輪機構130の数を減少させて、コストを低減することができる。
【0039】
図1に示すように、それぞれの架台組立体20は、2つの架台本体21,22を、間隔を隔てて配置することにより形成される。2つの架台本体21,22の係合溝35に両端部を係合させて第1の梁筋支持棒材36がそれぞれの架台組立体20に装着されるとともに、フック38に両端部を係合させて第2の梁筋支持棒材41がそれぞれの架台組立体20に装着される。
【0040】
このようにして2つの架台本体21,22により対となってそれぞれ形成される複数対の架台組立体20を、図3に示すように、梁鉄筋10を形成する梁筋11,12の長さに対応させて所定の間隔を隔てて一直線状に配置する。図3に示す場合には、梁筋11,12の長さに対応させて5対の架台組立体20が基盤上に配置されており、一対の架台組立体20を隔てて合計2対の架台組立体20の受け台支持部材25には、両端部をフック27に係合させてスターラップ受け台31が装着されている。梁鉄筋10を組み立てるために使用される架台組立体20の数は、梁筋11,12の長さに応じて任意に台数とすることができる。
【0041】
所定台数の架台組立体20が配置された状態のもとで、図4に示すように、枠状つまりループ状の複数のスターラップ筋13をスターラップ受け台31の受け棒材34に吊り下げる。これにより、複数のスターラップ筋13はその上側辺内側の部分でスターラップ受け台31に垂直に支持される。ただし、全ての架台組立体20にスターラップ受け台31を装着し、それぞれのスターラップ受け台31にスターラップ筋13を吊り下げるようにしてもよい。
【0042】
このようにしてスターラップ筋13がその上側辺の内側でスターラップ受け台31の支持棒材32により支持された状態のもとで、図5および図8に示すように、第1の梁筋支持棒材36の上に複数本の梁筋11を載置する。これにより、上側梁筋群11aを構成する全ての梁筋11は、スターラップ筋13と干渉することなく、その内部を貫通して第1の梁筋支持棒材36の上に水平となって支持される。同様に、第2の梁筋支持棒材41の上に複数本の梁筋12を載置する。これにより、下側梁筋群12aを構成する全ての梁筋12は、スターラップ筋13と干渉することなく、その内部を貫通して第2の梁筋支持棒材41の上に水平となって支持され、図8に示すように、下側梁筋群12aと上側梁筋群11aは相互に平行となる。
【0043】
この状態のもとで、図6および図9に示すように、スターラップ筋13をスターラップ受け台31から取り外して、上側梁筋群11aに所定の間隔毎に配置する。この取り外し操作と配置操作は、スターラップ筋13が梁筋11,12に干渉することなく、容易に行うことができ、図6および図9に示すように、上側梁筋群11aを構成する梁筋11は、スターラップ筋13の上側辺に接触した状態となる。
【0044】
次いで、それぞれの架台組立体20におけるブラケット37を締結しているアイボルト40を緩めて、ブラケット37を下方にずらし移動して、第2の梁筋支持棒材41により梁筋12の支持を解除する。これにより、第2の梁筋支持棒材41は、下方にずらし移動され、下側梁筋群12aを構成する梁筋12は、スターラップ筋13の下側辺の内側に接触することになる。ただし、ブラケット37を下方にずらし移動することなく、第2の梁筋支持棒材41を抜き取ることによって、梁筋12の支持を解除するようにしてもよい。図7および図10は、このようにして下側梁筋群12aの梁筋12がスターラップ筋13に接触した状態を示している。
【0045】
上側梁筋群11aの梁筋11と下側梁筋群12aの梁筋12とがそれぞれスターラップ筋13に接触した状態のもとで、スターラップ筋13と梁筋11,12は図示しないワイヤにより結束されて、梁鉄筋10の組立が完了する。組立完了後の梁鉄筋10は、図示しないクレーンにより上方に僅かに持ち上げた状態のもとで架台組立体20を撤去した後に、クレーンにより型枠内に搬送されてコンクリートの内部に埋め込まれてコンクリート梁の製造が完了する。なお、架台本体21,22に車輪機構130を取り付ける(あるいは取り付けたままにしておく)ことにより、該架台本体21,22を人力で容易に撤去することができる。
【0046】
このように、複数のスターラップ筋13をスターラップ受け台31に集めて吊り下げた状態のもとで、スターラップ筋13の内側に入り込ませるように複数本の梁筋11を第1の梁筋支持棒材36の上に配置し、複数本の梁筋12を第2の梁筋支持棒材41の上に配置するようにしたので、スターラップ筋13とそれぞれの梁筋11,12とを干渉させることなく、スターラップ筋13と梁筋11,12とを容易にセットすることができる。この状態のもとで、スターラップ筋13を、まずその上側辺内側に上側梁筋群11aが接触するように分散配置した後に、下側梁筋群12aの第2の梁筋支持棒材41による支持を解除することによって、下側梁筋群12aをスターラップ筋13の下側辺内側に配置することができる。
【0047】
図11および図12は本発明の他の実施の形態である梁鉄筋組立架台を示す側面図であり、これらの図においては、上述した梁鉄筋組立架台と共通する部材には同一の符号が付されている。
【0048】
図11は、幅寸法が長い大型のスターラップ筋13aと、これよりも幅寸法が短い小型のスターラップ筋13bとを混在させて梁筋11,12に取り付けるようにしたタイプの梁鉄筋10を組み立てた状態を示している。このように、それぞれ一体型であって、サイズが相違する複数のスターラップ筋13a,13bを用いた梁鉄筋10を組み立てる場合にも、この梁鉄筋組立架台を使用することができる。
【0049】
図12は、分割型のスターラップ筋13cを用いた梁鉄筋10を組み立てた状態を示している。このスターラップ筋13cは、それぞれ上端部が開口されたほぼU字形状の本体部14と、この本体部14の開口部側に配置される幅止め筋15とにより、全体的に四辺形に形成されている。スターラップ筋13cの本体部14の開口部側には引っ掛け部16が形成されており、本体部14はスターラップ受け台31の受け棒材34に引っ掛け部16の部分で吊り下げられ、本体部14を上側梁筋群11aの外側に位置する梁筋11に引っ掛けた後に、幅止め筋15を上側梁筋群11aに取り付けるようにしてもよいが、分割型のスターラップ筋13cについては、スターラップ受け台31を使用しないで第1の梁筋支持棒材36に梁筋11を支持した状態のもとで本体部14を梁筋11に取り付けるようにしてもよい。
【0050】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0051】
例えば、図示する梁鉄筋10は上側梁筋群11aと下側梁筋群12aとがスターラップ筋13内に組み込まれているが、それら2列の梁筋群に加えて、中間の梁筋群を一列ないし複数列設けるようにしてもよい。その場合には中間の梁筋群における梁筋はS字形状の引っ掛け金具により上段側の梁筋に連結されることになる。
【0052】
図1等に示すように、複数の車輪が2つ(第1車輪110及び第2車輪120)である例について説明したが、車輪は3つ以上であってもよい。
【0053】
図2に示すように、車輪機構130が固定脚42および着脱脚47から取り外し可能である例について説明したが、取り外し不能に固定されているものであってもよい。
【0054】
図13に示すように、架台本体21が設置面Gに設置されている状態で、第1車輪110および第2車輪120が設置面Gから間隔Dだけ離間している例について説明したが、この間隔Dは0であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 梁鉄筋
11 梁筋
11a 上側梁筋群
12 梁筋
12a 下側梁筋群
13 スターラップ筋
13a~13c スターラップ筋
20 架台組立体
21,22 架台本体
23 支柱
24 脚部
25 受け台支持部材
26 ブラケット
27 フック
31 スターラップ受け台
32 支持棒材
34 受け棒材
35 係合溝
36 第1の梁筋支持棒材
37 ブラケット
38 フック
41 第2の梁筋支持棒材
42 固定脚
42a,42b ボルト孔
42c 端部
43 連結板
47 着脱脚
47a,47b ボルト孔
47c 端部
51 延長支柱
100 渡し部材
100a 挿通孔
100b 挿通孔
101 ボルト
102 ボルト
110 第1車輪
111 支持枠
120 第2車輪
121 支持枠
130 車輪機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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