(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131039
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ジョブショップ型の工程設計装置、工程設計方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240920BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041060
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100182718
【弁理士】
【氏名又は名称】木崎 誠司
(72)【発明者】
【氏名】桑野 義正
(72)【発明者】
【氏名】野田 啓介
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 知弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 健一
(72)【発明者】
【氏名】亀山 浩二
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA43
3C100AA70
3C100BB12
3C100BB13
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】多品種少量生産に対応し、生産効率を向上させた生産ラインの設計時間を抑制する。
【解決手段】ジョブショップ型の工程設計装置は、情報取得部と、少なくとも一部が共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する初期構成決定部と、初期ショップ構成の生産費用が低くなるように、各ショップに設備を割り当てる設備台数決定部と、初期ショップ構成のショップと工程との組み合わせを変更することで新たな再構築ショップ構成を決定する再構成決定部と、を備え、設備台数決定部は、再構築ショップ構成の生産費用が低くなるように、各ショップに設備を割り当て、再構成決定部は、再構築ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで、新たな再構築ショップ構成を決定し、設備台数決定部は、複数のショップ構成から、生産費用が小さいショップ構成を抽出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブショップ型の工程設計装置であって、
複数種類の製品を生産するために必要な複数の工程についての工程情報と、前記複数種類の製品のそれぞれの生産台数についての台数情報と、工程が実施される際に発生する負荷についての負荷情報と、工程を実施可能な設備の種類および設備の保有台数についての設備情報とを取得する情報取得部と、
前記工程情報を用いて、前記複数種類の製品を生産するための少なくとも一部の工程が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する初期構成決定部と、
前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記初期ショップ構成で前記複数種類の製品を生産する場合の生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当てる設備台数決定部と、
前記初期ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定する再構成決定部と、
を備え、
前記設備台数決定部は、前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記再構築ショップ構成の前記生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当て、
前記再構成決定部は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで、さらに新たな前記再構築ショップ構成を決定し、
前記設備台数決定部は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が相対的に低い前記ショップ構成を抽出する、工程設計装置。
【請求項2】
請求項1に記載の工程設計装置であって、
前記初期構成決定部は、連続して実施される2つの工程であるペア工程のうち、2つ以上の前記ペア工程を結合し、結合後の前記ペア工程と、結合されていない前記ペア工程とのそれぞれが1つのショップに属する前記ショップ構成のうち、結合された前記ペア工程で生産される製品が結合された前記ペア工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要としない前記ショップ構成を前記初期ショップ構成として決定する、工程設計装置。
【請求項3】
請求項2に記載の工程設計装置であって、
前記初期構成決定部は、
結合後の前記ペア工程と、結合されていない前記ペア工程とのそれぞれが1つのショップに属する前記ショップ構成を、前記ペア工程の結合の総当たりの組み合わせ数だけ作成し、
作成された全ての前記ショップ構成から、結合された前記ペア工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要としない前記ショップ構成を初期ショップ構成として抽出する、工程設計装置。
【請求項4】
請求項3に記載の工程設計装置であって、
前記初期構成決定部は、
前記ペア工程における先に実施される工程と、後に実施される工程とを対応付けたマトリックスを作成し、
製品ごとに作成された各マトリックスを合算した第1の累積マトリックスを用いて、前記ペア工程の結合の総当たりの組み合わせを作成する、工程設計装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の工程設計装置であって、
前記再構成決定部は、前記再構築ショップ構成に含まれる2つのショップを結合し、結合されたショップ間で、先に実施される先行ショップに属する工程のうちの最後に行われる最後工程と、後に実施される後行ショップに属する工程のうちの最初に行われる最初工程とが同じ種類の工程である場合で、かつ、前記先行ショップの前記最後工程と、前記後行ショップの前記最初工程とのいずれか一方しか行われないと共に、結合されたショップ間で他のショップに属する工程の実施を必要としない場合に、前記先行ショップの前記最後工程と、前記後行ショップの前記最初工程とを1つの工程に集約したショップとする新たな前記再構築ショップ構成を決定する、工程設計装置。
【請求項6】
請求項5に記載の工程設計装置であって、
前記再構成決定部は、前記再構築ショップ構成に2つ以上のショップが含まれている場合に、さらに、2つのショップを結合させた新たな前記再構築ショップ構成の決定を、前記再構築ショップ構成に含まれるショップの数が1つになるまで繰り返し、
前記設備台数決定部は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成および前記初期ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が相対的に低い前記ショップ構成を抽出する、工程設計装置。
【請求項7】
請求項6に記載の工程設計装置であって、
前記再構成決定部は、
前記初期ショップ構成または前記再構築ショップ構成に含まれる各ショップに属する工程と、各ショップに属する工程が実施される製品の種類数と、前の工程と直後に行われる後の工程との対応関係とを対応付けた第2の累積マトリックスを作成し、
前記第2の累積マトリックスから、製品ごとに分解して作成された分解マトリックスを用いて、2つのショップの結合時における前記先行ショップの前記最後工程と、前記後行ショップの前記最初工程とが同じ種類の工程であるか否かを判定する、工程設計装置。
【請求項8】
ジョブショップ型の工程設計方法であって、コンピュータが、
複数種類の製品を生産するために必要な複数の工程についての工程情報と、前記複数種類の製品のそれぞれの生産台数についての台数情報と、工程が実施される際に発生する負荷についての負荷情報と、工程を実施可能な設備の種類および設備の保有台数についての設備情報とを取得する情報取得工程と、
前記工程情報を用いて、前記複数種類の製品を生産するための少なくとも一部の工程が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する初期構成決定工程と、
前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記初期ショップ構成で前記複数種類の製品を生産する場合の生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当てる設備台数決定工程と、
前記初期ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定する再構成決定工程と、
を実行し、
前記設備台数決定工程は、前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記再構築ショップ構成の前記生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当て、
前記再構成決定工程は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで、さらに新たな前記再構築ショップ構成を決定し、
前記設備台数決定工程は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が相対的に低い前記ショップ構成を抽出する、工程設計方法。
【請求項9】
コンピュータプログラムであって、
複数種類の製品を生産するために必要な複数の工程についての工程情報と、前記複数種類の製品のそれぞれの生産台数についての台数情報と、工程が実施される際に発生する負荷についての負荷情報と、工程を実施可能な設備の種類および設備の保有台数についての設備情報とを取得する情報取得機能と、
前記工程情報を用いて、前記複数種類の製品を生産するための少なくとも一部の工程が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する初期構成決定機能と、
前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記初期ショップ構成で前記複数種類の製品を生産する場合の生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当てる設備台数決定機能と、
前記初期ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定する再構成決定機能と、
をコンピュータに実行させ、
前記設備台数決定機能は、前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記再構築ショップ構成の前記生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当て、
前記再構成決定機能は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成に含まれるショップと工程の組み合わせとを変更することで、さらに新たな前記再構築ショップ構成を決定し、
前記設備台数決定機能は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が相対的に低い前記ショップ構成を抽出する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブショップ型の工程設計装置、工程設計方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の生産ラインとして、工程の分岐・結合をなくし、設備を工程順に並べて製品を生産するフローライン型の生産ラインが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された生産ラインの設計方法では、半導体の生産ラインを対象として、複数の製品を1つのバッチにまとめて、工程を構成するモジュール式の生産におけるサイクルタイムを揃えることにより、生産効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製品を効率良く生産するためには、製品に要する処理(加工等)や、製品の種類・生産数に適したライン構成(設備種類、設備台数、製品のロット数等)を生産に適するように決定する必要がある。ライン構成は、多数のパラメータで構成されるため、全ての条件から最適解を得ることが難しい。特許文献1に記載された技術では、複数の製品を集めたバッチ処理を対象としているため、多品種少量生産に対応するためには、工程の前に仕掛品バッファを設ける必要がある。バッファを設けると、バッファで待機する中間在庫が生じて生産効率が低下するおそれがある。また、生産ラインの設計シミュレーションでは、1パターンの計算だけでも多数の要素を考慮して生産ラインを組み立てるため、長い計算時間を要する。そのため、仮に遺伝的アルゴリズムを用いて最適化の計算回数を減らしても、適正解を得るために長い計算時間を要したり、適正解に収束しないおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、多品種少量生産に対応し、生産効率を向上させた生産ラインの設計時間を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、ジョブショップ型の工程設計装置が提供される。この工程設計装置は、複数種類の製品を生産するために必要な複数の工程についての工程情報と、前記複数種類の製品のそれぞれの生産台数についての台数情報と、工程が実施される際に発生する負荷についての負荷情報と、工程を実施可能な設備の種類および設備の保有台数についての設備情報とを取得する情報取得部と、前記工程情報を用いて、前記複数種類の製品を生産するための少なくとも一部の工程が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する初期構成決定部と、前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記初期ショップ構成で前記複数種類の製品を生産する場合の生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当てる設備台数決定部と、前記初期ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定する再構成決定部と、を備え、前記設備台数決定部は、前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記再構築ショップ構成の前記生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当て、前記再構成決定部は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで、さらに新たな前記再構築ショップ構成を決定し、前記設備台数決定部は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が相対的に低い前記ショップ構成を抽出する。
【0008】
この構成によれば、フローライン型ではなく、ジョブショップ型の工程設計により生産ラインが構成される。本構成では、設備台数が割り当てられる初期ショップ構成として、ショップ構成のうち、異なる種類の製品を生産する際に共通する少なくとも一部の工程がグループ化された初期ショップ構成に限定する。そのため、共通する工程をグループ化することにより、ショップと、ショップに属する工程との組み合わせ数が多いショップ構成を少なくできる。共通する工程がグループ化されたショップ構成は、グループ化されていないショップ構成よりも生産費用が相対的に低くなる。そのため、本構成では、生産費用が相対的に低いショップ構成を、より短時間で設計可能になる。また、初期ショップ構成を元にして、ショップと工程との組み合わせを変更した新たな再構築ショップ構成が決定される。再構築ショップ構成が初期ショップ構成と同じように、ショップ構成に属する工程に生産費用が相対的に低くなるように設備が割り当てられる。これにより、再構築ショップ構成を含む複数のショップ構成から、生産費用が相対的に低いショップ構成を設計できる。この結果、本構成では、多品種少量生産に対応し、生産効率を向上させた生産ラインの設計時間を抑制できる。
【0009】
(2)上記態様の工程設計装置において、前記初期構成決定部は、連続して実施される2つの工程であるペア工程のうち、2つ以上の前記ペア工程を結合し、結合後の前記ペア工程と、結合されていない前記ペア工程とのそれぞれが1つのショップに属する前記ショップ構成のうち、結合された前記ペア工程で生産される製品が結合された前記ペア工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要としない前記ショップ構成を前記初期ショップ構成として決定してもよい。
この構成によれば、複数種類の製品間で共通する工程をグループ化するために、結合ペア間で他のショップに属する工程が実施されないショップ構成のみが初期ショップ構成として決定される。結合ペア間の途中で他のショップに属する工程が実施されるショップ構成では、他のショップに輸送する輸送費等を要するため、当該ショップ構成は生産費用が高くなる傾向がある。本構成では、このような生産費用が高くなる傾向のショップ構成を除いた初期ショップ構成を元に、再構築ショップ構成が決定される。すなわち、生産費用を最適化するための評価対象のショップ構成の数を、生産費用が高くなるショップ構成から優先的に排除できるため、より短時間で設備台数が適正化されたショップ構成を設計できる。
【0010】
(3)上記態様の工程設計装置において、前記初期構成決定部は、結合後の前記ペア工程と、結合されていない前記ペア工程とのそれぞれが1つのショップに属する前記ショップ構成を、前記ペア工程の結合の総当たりの組み合わせ数だけ作成し、作成された全ての前記ショップ構成から、結合された前記ペア工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要としない前記ショップ構成を初期ショップ構成として抽出してもよい。
この構成によれば、ペア工程の結合の組み合わせに応じた数のショップ構成が作成される。その後、作成されたショップ構成から、結合されたペ工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要としないショップ構成が初期ショップ構成として抽出される。すなわち、本構成では、ペア工程を結合した1つ1つのショップ構成に対して、他のショップに属する工程の実施有無をその都度判定するのではなく、組み合わせ数に応じたショップ構成の作成と、条件に基づく初期ショップ構成の抽出との2つの処理によって、初期ショップ構成が決定される。そのため、2つの処理を自動化した簡便な方法によって初期ショップを抽出できる。
【0011】
(4)上記態様の工程設計装置において、前記初期構成決定部は、前記ペア工程における先に実施される工程と、後に実施される工程とを対応付けたマトリックスを作成し、製品ごとに作成された各マトリックスを合算した第1の累積マトリックスを用いて、前記ペア工程の結合の総当たりの組み合わせを作成してもよい。
この構成によれば、製品ごとの生産時の工程順序で先に実施される工程と、後に実施される工程とを対応付けたマトリックスが作成される。そのため、マトリックスからペア工程を簡単に特定できる。さらに、第1の累積マトリックスによりペア工程が実施される製品の種類数が表として作成されるため、組み合わせ数に応じた全ペア工程を簡単に抽出できる。
【0012】
(5)上記態様の工程設計装置において、前記再構成決定部は、前記再構築ショップ構成に含まれる2つのショップを結合し、結合されたショップ間で、先に実施される先行ショップに属する工程のうちの最後に行われる最後工程と、後に実施される後行ショップに属する工程のうちの最初に行われる最初工程とが同じ種類の工程である場合で、かつ、前記先行ショップの前記最後工程と、前記後行ショップの前記最初工程とのいずれか一方しか行われないと共に、結合されたショップ間で他のショップに属する工程の実施を必要としない場合に、前記先行ショップの前記最後工程と、前記後行ショップの前記最初工程とを1つの工程に集約したショップとする新たな前記再構築ショップ構成を決定してもよい。
この構成によれば、結合されたショップ間で、先行ショップの最終工程と、後行ショップの最初工程とが同じ種類の工程の場合に、この2つの工程が1つの工程に集約されるため、実施されない重複した工程を省略できる。これにより、生産費用を抑制して、設備台数が適正化されたショップ構成を設計できる。
【0013】
(6)上記態様の工程設計装置において、前記再構成決定部は、前記再構築ショップ構成に2つ以上のショップが含まれている場合に、さらに、2つのショップを結合させた新たな前記再構築ショップ構成の決定を、前記再構築ショップ構成に含まれるショップの数が1つになるまで繰り返し、前記設備台数決定部は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成および前記初期ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が相対的に低い前記ショップ構成を抽出してもよい。
この構成によれば、初期構成決定部により決定されてた初期ショップ構成を元として、全てのショップが1つのショップとして構成されるまで決定される再構築ショップ構成のそれぞれに対して設備が割り当てられる。すなわち、全ての組み合わせのショップ構成から初期ショップ構成へと好ましいショップ構成に構成数が限定された後、限定された初期ショップ構成および再構築ショップ構成のそれぞれに対して設備が割り当てられる。その後、設備が割り当てられた全てのショップ構成から、生産費用が相対的に低いショップ構成が抽出される。そのため、本構成では、より短時間で設備台数が適正化されたショップ構成を設計できる。
【0014】
(7)上記態様の工程設計装置において、前記再構成決定部は、前記初期ショップ構成または前記再構築ショップ構成に含まれる各ショップに属する工程と、各ショップに属する工程が実施される製品の種類数と、前の工程と直後に行われる後の工程との対応関係とを対応付けた第2の累積マトリックスを作成し、前記第2の累積マトリックスから、製品ごとに分解して作成された分解マトリックスを用いて、2つのショップの結合時における前記先行ショップの前記最後工程と、前記後行ショップの前記最初工程とが同じ種類の工程であるか否かを判定してもよい。
この構成によれば、第2の累積マトリックスから、初期ショップ構成または再構築ショップ構成でショップに属する工程の前後関係と、実施される工程ごとの製品の種類数とがマトリックスで表される。第2の累積マトリックスを製品ごとに分解された分解マトリックスを用いることにより、製品ごとに実施されていない工程を抽出できる。抽出された工程に対して、先行ショップの最後工程と後行ショップの最初工程との集約を判定すればよいため、簡単に集約する工程を判定できる。これにより、短時間で設備台数が適正化されたショップ構成を設計できる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、工程設計装置、工程編成装置、生産ライン製造装置、工程設計方法、工程編成方法、生産ライン製造方法、およびこれらの装置を備える又は方法を実現するシステム、これら装置または方法を実行するためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、コンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態としての工程設計システムの概略ブロック図である。
【
図6】製品01の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図7】製品02の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図8】製品01~05の各マトリックスから作成された累積マトリックスを表す図である。
【
図9】並び替え後の累積マトリックスを表す図である。
【
図10】
図9のマトリックスからペア工程の抽出時の説明図である。
【
図11】決定される初期ショップ構成の説明図である。
【
図12】製品01の工程順序とペア工程との関係をマトリックスとして表す図である。
【
図13】製品02の工程順序とペア工程との関係をマトリックスとして表す図である。
【
図14】製品03の工程順序とペア工程との関係をマトリックスとして表す図である。
【
図15】製品04の工程順序とペア工程との関係をマトリックスとして表す図である。
【
図16】結合されたペア工程で各工程が実施される製品01~04の流れを表す概略図である。
【
図17】製品01の工程順序とペア工程との関係をマトリックスとして表す図である。
【
図18】製品03の工程順序とペア工程との関係をマトリックスとして表す図である。
【
図19】製品04の工程順序とペア工程との関係をマトリックスとして表す図である。
【
図20】結合されたペア工程で各工程が実施される製品01,03,04の流れを表す概略図である。
【
図21】初期ショップ構成SH11における生産中の製品01~05の流れの概略図である。
【
図22】初期ショップ構成SH1の工程順序を累積マトリックスとして表す図である。
【
図23】累積マトリックスから分解されて製品01の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図24】累積マトリックスから分解されて製品02の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図25】累積マトリックスから分解されて製品03の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図26】累積マトリックスから分解されて製品04の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図27】累積マトリックスから分解された製品05の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図28】重複工程が集約された製品01の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図29】重複工程が集約された製品02の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図30】重複工程が集約された製品03の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図31】重複工程が集約された製品04の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図32】重複工程が集約された製品05の工程順序がマトリックスで表された図である。
【
図33】再構築ショップ構成SH111の生産中の製品01~05の流れの概略図である。
【
図34】再構築ショップ構成SH112の生産中の製品03の流れの概略図である。
【
図35】本実施形態の工程設計方法のフローチャートである。
【
図36】初期構成決定工程のサブフローチャートである。
【
図37】設備台数決定工程のサブフローチャートである。
【
図38】再構成決定工程のサブフローチャートである。
【
図39】工程設計システムにより算出された解の候補の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態としての工程設計システム(工程設計装置)100の概略ブロック図である。本実施形態の工程設計システム100は、ジョブショップ型の生産ラインを設計する。工程設計システム100は、複数種類の製品を生産するために必要な複数の工程をショップに振り分け、各ショップに属する工程を実施するための設備を割り当てる。工程設計システム100は、複数種類の製品を生産するための少なくとも一部の工程が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する。本実施形態では、共通する工程がグループ化されて初期ショップ構成の数が抑制されているため、生産費用を抑制した生産ラインの設計時間を抑制できる。
【0018】
工程設計システム100は、いわゆるパーソナルコンコンピュータ(Personal Computer)で構成されている。
図1に示されるように、工程設計システム100は、制御部10と、工程情報データベース(工程情報DB)21と、負荷情報データベース(負荷情報DB)22と、設備情報データベース(設備情報DB)23と、台数情報データベース(台数情報DB)24と、制約情報データベース(制約情報DB)25とを備えている。
【0019】
各種DB21~25は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などで構成されている。工程情報DB21には、製品を生産するために必要な複数の工程についての工程情報が記憶されている。
図2は、工程情報の一例を表す図である。
図2には、5つの製品01~05のそれぞれを生産するために実施が必要な工程が実施される順番に沿って一覧で示されている。例えば、製品01が生産されるためには、工程A,工程B,工程C,工程D,工程Eが順番に実施される必要がある。
【0020】
図1に示される負荷情報DB22には、工程が実施される際に発生する負荷についての負荷情報が記憶されている。
図3は、負荷情報の一例を表す図である。
図3では、製品1個を生産するための各工程の負荷が数値で一覧として示されている。例えば、製品01を1個生産するためには、工程Aでの負荷「50」と、工程Bでの負荷「50」と、工程Cでの負荷「50」と、工程Dでの負荷「100」と、工程Eでの負荷「50」とが必要である。なお、本実施形態では、負荷情報DB22には、
図3に示される負荷情報に加えて、生産途中の各製品が後述するショップ間を移動するために必要な搬送費が記憶されている。本実施形態では、搬送費は、100(円/個)である。
【0021】
図1に示される設備情報DB23には、各工程を実施可能な設備の種類および設備の保有台数についての設備情報が記憶されている。
図4は、設備情報の一例を表す図である。
図4には、設備α1,α2,β1,γ1,θ1,δ1,τ1,ξ1が実施可能な工程と、ショップに割り当て可能な保有台数と、設備1台当たりの数値化された能力と、単位時間当たりの償却費(円/秒)とが一覧で示されている。例えば、設備α1は、工程Aを実施可能である。設備α1の保有台数は2台である。設備α1の1台当たりの能力は「50」である。設備α1の1秒当たりの償却費は100円である。
【0022】
図1に示される台数情報DB24には、複数の製品のそれぞれの生産台数についての台数情報が記憶されている。
図5は、台数情報の一例を表す図である。
図5に示されるように、台数情報には、5つの各製品01~05の生産数量が一覧として示されている。
図5に示される例では、製品01~05のいずれも100台生産される。
【0023】
図1に示される制約情報DB25には、ショップに属する工程の制約条件を表す制約情報が記憶されている。制約情報としては、例えば、ショップ構成を構成するショップの数の上限や特定の2つの工程が同一のショップに属することができない等の情報である。
【0024】
図1に示される制御部10は、いわゆるCPU(Central Processing Unit)である。制御部10は、ROM(Read Only Memory)に格納されているコンピュータプログラムをRAM(Random Access Memory)に展開して実行することにより工程設計システム100の各部を制御する。また、制御部10は、情報取得部11と、初期構成決定部12と、設備台数決定部13と、再構成決定部14として機能する。
【0025】
情報取得部11は、各種DB21~25に記憶されている各種情報を取得する。具体的には、情報取得部11は、工程情報と、負荷情報と、設備情報と、台数情報と、制約情報とを取得する。
【0026】
初期構成決定部12は、情報取得部11により取得された工程情報を用いて、複数種類の製品を生産する少なくとも一部の工程が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成である初期ショップ構成を決定する。初期構成決定部12は、
図2に示される工程情報を用いて、製品の生産時に連続して実施される2つの工程であるペア工程における先に実施される工程と、後に実施される工程とを対応付けたマトリックスを、製品ごとに作成する。
図2の工程情報に示される例では、5つの製品01~05に対応する5つのマトリックスが作成される。
【0027】
図6は、製品01の工程順序がマトリックスで表された図である。初期構成決定部12は、
図6に示されるマトリックスを作成するために、初めに、製品01~05の生産のために実施される全ての工程である7つの工程A~Gを行および列とするマトリックスを作成する。その後、初期構成決定部12は、製品01の生産のために実施される5つの工程A~Eが行および列として対応するセル、すなわち
図6のハッチングで示されている5箇所のセルに「1」を埋める。その後、5つの工程のそれぞれに対して、前工程の直後に実施される後工程を、後工程の行に対応し、かつ、前工程の列に対応するセルに「1」を埋める。例えば、
図2に示される製品01の生産では、初めに実施される工程は工程Aである。その後に実施される工程は工程Bである。この場合には、後工程Bは、前工程が工程Aであるため、初期構成決定部12は、行が工程B、列が工程Aのセルに「1」を埋める。同じようにして、工程Bの後工程である工程Cとして、行が後工程である工程C、列が前工程である工程Bであるセルに「1」が埋められる。5番目の工程Eは、製品01を生産する際に最後に実施される工程である。そのため、
図6に示されるマトリックスでは、列が「E」に対応している各行において、ハッチングが施された「E」の行に対応するセルのみに「1」が埋められている。このようにして、製品01の工程順序が
図6のマトリックスとして表される。
【0028】
図7は、製品02の工程順序がマトリックスで表された図である。
図7に示されるマトリックスでは、
図2に示されるように、例えば、製品02を生産するために実施される4番目の工程は工程Eである。そして、5番目に実施される工程が工程Dである。この場合に、前工程が工程E、後工程が工程Dであるため、
図7に示されるように、行が「D」であり、列が「E」であるセルに「1」が埋められる。
【0029】
初期構成決定部12は、製品ごとに作成された各マトリックスを合算した累積マトリックス(第1の累積マトリックス)を用いて、ペア工程の結合の総当たりの組み合わせを作成する。
図8は、製品01~05の各マトリックスのセルに埋められた「1」を合算した累積マトリックスを表す図である。なお、
図2に示される製品03~05に対応して作成される各マトリックスの図を省略している。
図8の累積マトリックスから、例えば、行および列が「A」のハッチングされたセルの数字が「3」であるため、製品01~05の生産では、工程Aが3回実施されていることがわかる。そして、行が「B」、かつ、列が「A」のセルの数字が「3」であるため、前工程が工程Aであると共に後工程が工程Bである工程順序が3つあることがわかる。なお、本実施形態では、連続して実施される2つの工程をペア工程とも呼ぶ。
【0030】
また、
図8の累積マトリックスから、例えば、行および列が「D」のセルの数字が「5」であるため、製品01~05の生産では、工程Dが5回実施されることがわかる。そして、行が「E」、かつ、列が「D」のセルの数字が「3」であるため、前工程が工程Dであると主に後工程が工程Eであるペア工程が3つである。さらに、列が「D」で行が「E」以外の行に数字が埋められていないため、工程Dが生産時の最後の工程である製品が2つあることがわかる。
【0031】
初期構成決定部12は、
図8に示される累積マトリックスの行および列を、マトリックスの右上側に数値が埋められているセルの数がなるべく少なくなるように並び替えた累積マトリックスを作成する。
図9は、並び替え後の累積マトリックスを表す図である。
図9の累積マトリックスでは、行と列との工程の並び方が同じになるように、すなわち、行および列がA,B,G,F,C,D,Eの順番になるように並び替えられている。
図8の累積マトリックスを
図9の累積マトリックスのように並べ替えることで、マトリックスの右上側に数値が埋められているセルは、行が「D」で列が「E」の「1」のみである。
図8で右上側に数値が埋められているセル数が5個であったのに対し、
図9では、セル数が1個に減少している。
【0032】
初期構成決定部12は、
図9の累積マトリックスを使って、ペア工程が実施される製品の種類数が多い順にペア工程を抽出する。
図10は、
図9のマトリックスからペア工程の抽出の説明図である。
図10では、ハッチングされていないセルの数値が「3」、すなわち3種類の製品で共通するペア工程の数値が丸で囲まれている。同じように、2種類の製品で共通するペア工程の数値が四角で囲まれている。また、1種類の製品のみのペア工程が三角で囲まれている。
【0033】
初期構成決定部12は、ペア工程のうちの2つ以上のペア工程を結合し、結合後のペア工程と、結合されていないペア工程とのそれぞれを1つのショップとして構成されるショップ構成を決定する。初期構成決定部12は、ペア工程の結合の総当たりの組み合わせの数と同数のショップ構成を作成する。
【0034】
図11は、決定される初期ショップ構成の説明図である。
図11に示されるように、初期構成決定部12は、ペア工程に含まれる工程が実施可能な製品の種類が多いペア工程から順番にペア工程番号を付与する。初期構成決定部12は、少なくとも2組のペア工程を結合して、ペア工程の結合の総当たりの組み合わせのショップ構成を作成する。
図11に示されるように、2つのペア工程を結合する例では、ショップ構成SH1として、先工程がA工程で後工程がB工程であるペア工程番号1と、先工程がC工程で後工程がD工程であるペア工程番号2とを結合した工程がショップに割り当てられる。さらに、他のペア工程を結合していないペア工程(ペア工程番号3~11)ごとに1つのショップが割り当てられる。結果として、初期構成決定部12は、10個のショップが含まれる1つのショップ構成SH1を決定する。このように、本実施形態の初期構成決定部12は、
図11に示されるように、ペア工程の結合のバリエーションに応じた数のショップ構成を作成する。
【0035】
初期構成決定部12は、決定した複数のショップ構成のそれぞれに対して、結合後のペア工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要とする製品が存在しないショップ構成を、設備の割り当て対象の初期ショップ構成として決定する。
【0036】
図12から
図16までの各図は、ショップ構成SH1が結合後のペア工程間で他のショップで実施される工程を必要とするか否かの判定の説明図である。
図12~15には、ショップ構成SH1における製品01~04のそれぞれの工程順序がマトリックスで表されている。
図12~15の各マトリックスでは、結合された2つのペア工程で先に実施されるペア工程(工程A,B)の4つのセルが太い実線で囲われ、後に実施されるペア工程(工程C,D)の4つのセルが細い二重線によって囲われている。なお、製品05については、結合された2つのペア工程のいずれのペア工程も実施されないため、マトリックスの説明を省略している。
【0037】
図12,15に示される製品01,04のマトリックスでは、結合された2つのペア工程の両方が存在する。一方で、
図13に示される製品02のマトリックスでは、2つのペア工程のうちの先に実施されるペア工程(工程A,B)のみが存在する。同じように、
図14に示される製品03のマトリックスでは、2つのペア工程のうちの後に実施されるペア工程(工程C,D)のみが存在する。これは、例えば、製品02の場合には、
図2,13に示される工程情報のように、生産に必要な工程として工程C,Dが不要であるためである。
【0038】
図16には、ショップ構成SH1において、結合されたペア工程で各工程が実施される生産中の製品01~04の流れが示されている。
図16に示されるように、太い実線で流れが表されている製品01と、細い破線で流れが示されている製品04とは、先に実施されるペア工程(工程A,B)が実施された後、他のショップの工程が実施されずに、そのまま後に実施されるペア工程(工程C,D)が実施される。一方で、太い破線で流れが表されている製品02は、先に実施されるペア工程(工程A,B)実施された後、他のショップへと搬送される。また、細い実線で流れが表されている製品03は、他のショップの工程が実施された後、結合後のペ工程の先のペア工程(工程A,B)が実施されずに、後のペア工程(工程C,D)が実施される。すなわち、ショップ構成SH1では、結合後のペア工程の間で製品02,03が他のショップで実施される工程を必要としている。そのため、初期構成決定部12は、ショップ構成SH1を初期ショップ構成として抽出しない。
【0039】
次に、
図11に示されるショップ構成SH2について検討する。ショップ構成SH2は、ペア工程(工程C,D)が先工程であり、ペア工程(工程D,E)が後工程となるように結合されたペア工程を含んでいる。
【0040】
図17から
図20までの各図は、ショップ構成SH2が結合後のペア工程間で他のショップで実施される工程を必要とするか否かの判定の説明図である。
図17~19には、ショップ構成SH1における製品01,03,04のそれぞれの工程順序がマトリックスで表されている。
図17~19の各マトリックスでは、結合された2つのペア工程で先に実施されるペア工程(工程C,D)の4つのセルが細い二重線によって囲われ、後に実施されるペア工程(工程D,E)の4つのセルが太い破線によって囲われている。なお、製品02,05については、結合された2つのペア工程のいずれのペア工程も実施されないため、マトリックスの説明を省略している。
図17~19に示されるように、3種類の製品01,03,04のいずれも、結合された2つのペア工程のうちの先に実施されるペア工程(工程C,D)と、後に実施されるペア工程(工程D,E)との両方が実施される。
【0041】
図20には、ショップ構成SH2において、結合されたペア工程で各工程が実施される生産中の製品01、03,04の流れが示されている。
図20に示されるように、製品01と、製品03と、製品04とは、先に実施されるペア工程(工程C,D)が実施された後、他のショップの工程が実施されずに、そのまま後に実施されるペア工程(工程D,E)が実施される。すなわち、ショップ構成SH2では、結合後のペア工程の間で他のショップで実施される工程を必要とする製品が存在していない。そのため、初期構成決定部12は、ショップ構成SH2を初期ショップ構成として抽出する。このようにして、初期構成決定部12は、作成されたペア工程の結合の総当たり数と同数のショップ構成から、初期ショップ構成の全てを抽出する。
【0042】
図1に示される設備台数決定部13は、工程情報と、台数情報と、負荷情報と、設備情報と、制約情報とを用いて、決定された初期ショップ構成で複数種類の製品を生産する場合の生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当てる。なお、設備台数決定部13は、後述する再構成決定部14により初期ショップ構成を元に新たに決定された再構築ショップ構成に対しても、初期ショップ構成と同じように、生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当てる。設備台数決定部13は、設備が割り当てられた再構築ショップ構成を含む複数のショップ構成から、生産費用が相対的に低いショップ構成を、最適化されたショップ構成として抽出する。
【0043】
本実施形態の設備台数決定部13は、
図2~5に示される各種情報を用いて、初期ショップ構成と再構築ショップ構成とのそれぞれの総生産費用(KPI:Key Performance Indicator)を算出する。設備台数決定部13は、算出された各ショップ構成のKPIが最小となるショップ構成に基づいて、各ショップに割り当てられる設備の種類および設備の台数を決定する。本実施形態で算出されるKPIは、下記式(1)のように表される。
KPI=全設備の償却費+ショップ間の搬送費・・・(1)
全設備の償却費:Σ(各設備の時間単価×稼働時間)
ショップ間の搬送費:Σ(ショップ間の搬送数)×搬送単価
【0044】
本実施形態の設備台数決定部13は、初期ショップ構成および再構築ショップ構成のそれぞれに対して、制約条件としてのショップの数および各ショップに属する工程種類および設備台数を満たすように、ショップに割り当てられる設備を仮決定してKPIを算出する。設備台数決定部13は、同じショップ構成において、各ショップに割り当てた設備を変更して、再度KPIを算出する。設備台数決定部13は、再度算出したKPIと、直前に算出したKPIとを比較して、小さい方のKPIと、当該KPIの場合のショップに割り当てた設備とを対応付けて記憶する。設備台数決定部13は、同様の再度KPIを算出する処理を、予め設定された規定回数Np回繰り返す。Np回繰り返されたKPI算出において、KPIの最小値が更新された場合には、設備台数決定部13は、算出の総繰り返し回数を初期化して(1回に戻して)、再度Np回KPIの算出を繰り返す。Np回のKPIの算出でもKPIの最小値が更新されなかった場合、設備台数決定部13は、この場合に記憶していた最小値としてのKPIと、当該最小値のショップへの設備の割り当て台数とを、計算対象のショップ構成における最適値として記憶する。なお、他の実施形態では、設備台数の最適化に遺伝的アルゴリズム(GA:genetic algorithm)や線形最適化等の最適化手法が用いられてもよい。
【0045】
図1に示される再構成決定部14は、初期ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで、新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定する。決定された再構築ショップ構成のそれぞれは、設備台数決定部13により設備が割り当てられて、KPIが算出される。
【0046】
再構成決定部14は、初めに、初期構成決定部12により決定された初期ショップ構成を取得する。再構成決定部14は、初期ショップ構成における各ショップに属する工程と、各ショップに属する工程が実施される製品の種類数と、前工程と後工程との対応関係とを対応付けた累積マトリックス(第2の累積マトリックス)を作成する。
【0047】
図21は、初期ショップ構成SH11における生産中の製品01~05の流れの概略図である。本実施形態では、一例として、
図21に示される初期ショップ構成SH11の場合について説明する。初期ショップ構成SH11には、5つのショップナンバーがSP1~SP5であるショップが含まれている。
図21に示されるように、太い実線で囲まれたショップSP1には、工程A,Bが属している。破線で囲まれたショップSP2には、工程B,Gが属している。細い実線で囲まれたショップSP3には、工程C,D,Eが属している。細い二重線で囲まれたショップSP4には、工程F,E,Dが属している。一点鎖線で囲まれたショップSP5には、工程F,Dが属している。
【0048】
図22は、初期ショップ構成SH11の工程順序を累積マトリックスとして表す図である。再構成決定部14は、ショップSP1~SP5で実施される工程を、ショップナンバーに沿って行および列に並べた累積マトリックスを作成する。再構成決定部14は、作成した累積マトリックスのうち、行と列とが同じセルに、行および列で表されている工程で実施される製品の種類数を埋める。また、再構成決定部14は、初期構成決定部12と同じように、工程のそれぞれに対して、前工程の直後に実施される後工程を、後工程の行に対応すると共に前工程の列に対応するセルに、当該後工程が行われる製品の種類数を埋める。例えば、ショップSP1の工程Bが行われる製品は、
図21に示されるように、製品01,02,04である。そのため、製品の種類数は「3」である。よって、
図22の累積マトリックスにおいて行および列が2番目の「B」のセルには、「3」が埋められている。また、当該工程Bが実施された3種類の製品のうち、
図21に示されるように、2種類の製品01,04は、次にショップSP3の工程Cが実施され、1種類の製品02は、次にショップSP4の工程Fが実施される。そのため、再構成決定部14は、
図22の累積マトリックスに対して、行が後工程のショップSP3の工程Cに対応し、かつ、列が前工程のショップSP1の工程Bに対応するセルに「2」を埋める。また、再構成決定部14は、行が後工程のショップSP4の工程Fに対応し、かつ、列が前工程のショップSP1の工程Bに対応するセルに「1」を埋める。なお、
図22の累積マトリックスでは、各ショップに属する工程のうち、最初の工程に対応する行および列のセルと、最後の工程に対応する行および列のセルと対角線とする矩形状のセルが、
図21で各ショップに対応する線種で囲まれている。なお、
図22の累積マトリックスは、
図8の累積マトリックスを
図9の累積マトリックスへと変換したように、マトリックスの右上側に数値が埋められているセルの数がなるべく少なくなるように並び替えたマトリックスである。すなわち、
図22の累積マトリックスは、各ショップに属する工程が実施される順序が逆向きにならないように並び替えられたマトリックスである。
図22の並べ替え後の累積マトリックスが作成された後に、初期ショップ構成SH11の製品01~05の流れが
図21のように表される。
【0049】
再構成決定部14は、前記第2の累積マトリックスの製品の種類数から、製品ごとに分解して分解マトリックスを作成する。具体的には、再構成決定部14は、
図22に示される累積マトリックスを用いて、5つのショップSP1~SP5から結合する2つのショップを選択する組み合わせのバリエーションを作成する。再構成決定部14は、作成したバリエーションから、2つのショップの総当たりの組み合わせの結合のバリエーションを作成する。再構成決定部14は、作成した総当たりの組み合わせから、1組の結合するショップ組み合わせを選択する。選択後に、再構成決定部14は、ショップ構成SH11のマトリックスを、各製品のマトリックスに分解する。
【0050】
図23から
図27までの各図は、ショップ構成SH11のマトリックスが製品01~05ごとに分解されてマトリックスで表された図である。
図23~27の各図には、製品01~05の5つの商品のそれぞれがマトリックスで示されている。ここで、結合された1組のショップがショップSP1(工程A,B)とショップSP2(工程B,G)との例について説明する。
図23,24,26に示されるように、製品01,02,04には、結合前のショップSP1の工程A,Bが実施され、結合前のショップSP2の工程B,Gが実施されない。換言すると、ショップSP1とショップSP2とが結合された新たなショップでは、製品01,02,04に対して、ショップSP2の工程が実施されないスルー工程となる。一方で、
図25,27に示されるように、製品03,05には、ショップSP1の工程A,Bが実施されず、ショップSP2の工程B,Gが実施される。換言すると、結合後のショップでは、製品03,05に対して、ショップSP1の工程がスルー工程となる。すなわち、5つの全ての製品01~05では、ショップSP1の工程またはショップSP2の工程がスルー工程となっている。本実施形態の再構成決定部14は、以上のように、作成したバリエーションの結合後のショップにおけるスルー工程を抽出する。
【0051】
また、結合後のショップでは、先に工程が実施される先行ショップであるショップSP1に属する工程A,Bのうちの最後に実施される最後工程である工程Bと、後に工程が実施される後行ショップであるショップSP2に属する工程B,Gのうちの最初に実施される最初工程である工程Bとが同じ種類の工程である。この場合に、本実施形態の再構成決定部14は、工程Bを重複工程とみなして抽出する。本実施形態の再構成決定部14は、以上のように、2つのショップの結合時における先行ショップの最後工程と、後行ショップの最初工程とが同じであるか否かを判定する。
【0052】
再構成決定部14は、抽出したスルー工程と重複工程とが同じ場合に、重複している工程を1つの工程に集約した新たな再構築ショップ構成を決定する。再構成決定部14は、
図23~27に示される製品01~05ごとのマトリックスから、結合後のショップにおける重複工程である工程Bを集約したマトリックスを作成する。
図28から
図32までの各図は、重複工程が集約された製品01~05の工程順序がマトリックスで表された図である。
【0053】
再構成決定部14は、重複工程を集約した結合後のショップSP12に属する各工程A,B,Gが製品01~05に順番に実施される際に、他のショップで実施される工程を必要とするか否かを判定する。ここで、再構成決定部14は、ショップSP1とショップSP2とを結合して新たなショップSP12を1つのショップとして構成された再構築ショップ構成SH111を決定する。
【0054】
図33は、再構築ショップ構成SH111の生産中の製品01~05の流れの概略図である。
図33に示されるように、再構築ショップ構成SH111では、結合前のショップSP1と、ショップSP2との間で、製品01~05のいずれの製品も他のショップに属する工程の実施が不要である。そのため、再構成決定部14は、再構築ショップ構成SH111を、設備台数決定部13により再度KPIを算出するショップ構成の候補として保存する。
【0055】
一方で、再構成決定部14は、結合後のショップが含まれる新たなショップ構成において、結合後のショップの各工程が実施される途中で他のショップに属する工程の実施を必要する場合には、当該ショップ構成を再度KPIの算出候補として保存しない。
【0056】
図34は、結合後のショップの各工程が実施される途中で他のショップの工程を必要するショップ構成の一例の説明図である。
図34には、
図21に示される初期ショップ構成SH11に対して、ショップSP2と、ショップSP4とを結合した場合に、生産中の製品03の流れが示されている。なお、
図34では、製品01,02,04,05の流れの図示が省略されている。
図2に示されるように、製品03の工程順序は、工程B,G,C,D,Eである。
図34に示されるように、ショップSP2とショップSP4とを結合すると、製品03に対して、ショップSP4に属する工程F,E,Dは、スルー工程になる。しかしながら、生産中の製品03は、ショップSP4に搬入される前に、結合されたショップSP2,SP4とは異なるショップSP3に属する工程の実施が必要になる。このような場合に、再構成決定部14は、ショップSP2とショップSP4とを結合したショップ構成を再構築ショップ構成として保存しない。なお、
図34に示される製品03の工程順序において、ショップSP2とショップSP4との間にショップSP3の工程を必要とすることは、
図25に示される製品03の工程順序がマトリックスで表された図でも確認できる。上述したように、
図25の製品03のマトリックスは、
図22の並べ替え後の累積マトリックスを分解して得られたマトリックスである。
図22の累積マトリックスは、各ショップに属する工程が実施される順序が逆向きにならないように並び替えられている。
図25の製品03の分解マトリックスにおいて、工程B,Gを実施するショップSP2と、工程F,E,Dを実施するショップSP4との間には、工程C,D,Eを実施するショップSP3が存在している。この場合に、ショップSP2とショップSP4とを結合すると、間に存在するショップSP3が、ショップSP2とショップSP4とを分断する分断ショップとなってしまう。そのため、
図22の並べ替え後の累積マトリックスを分解して作成された各製品の分解マトリックスを用いて、結合すると分断ショップが存在するショップの組み合わせを確認できる。
【0057】
再構成決定部14により保存された再構築ショップ構成のそれぞれは、設備台数決定部13によりKPIが算出される。設備台数決定部13は、初期ショップ構成に対して行った設備台数の割り当てと同様の処理を再構築ショップ構成にも行う。全ての再構築ショップ構成の設備の割り当ての評価が終了すると、再構成決定部14は、評価後の再構築ショップ構成に2つ以上のショップが含まれている場合に、さらに、2つのショップを結合させた新たな再構築ショップ構成を決定する。再構成決定部14は、再構築ショップ構成を繰り返しの決定を、結合される前の再構築ショップ構成に含まれるショップの数が1つになるまで繰り返す。結果として、制約情報における制約条件を満たした上で、最も少ないショップ数の再構築ショップ構成が決定されるまで、設備台数決定部13による評価が決定された再構築ショップ構成ごとに行われる。
【0058】
図35は、本実施形態の工程設計方法のフローチャートである。
図35に示される工程設計フローでは、初めに、情報取得部11が、工程情報と、負荷情報と、設備情報と、台数情報とを取得する情報取得工程を行う(ステップS1)。初期構成決定部12は、取得された工程情報を用いて、初期ショップ構成を決定する初期構成決定工程を行う(ステップS2)。
【0059】
図36は、初期構成決定工程のサブフローチャートである。
図36に示されるように、初期構成決定部12は、
図6,7に示されるように、生産する全製品のそれぞれについて、先に実施される工程と、後に実施される工程とを対応付けたマトリックスを作成する(ステップS21)。初期構成決定部12は、製品ごとに作成した各マトリックスを合算した累積マトリックス(
図8)を作成する(ステップS22)。初期構成決定部12は、
図8の累積マトリックスの行および列を、マトリックスの右上側に数値が埋められているセルの数がなるべく少なくなるように並び替える(ステップS23)。並べ替えにより、
図9に示される累積マトリックスが作成される。
【0060】
初期構成決定部12は、
図9の累積マトリックスを使って、
図10,11に示されるように、ペア工程が実施される製品の種類数が多い順にペア工程を抽出する(ステップS24)。初期構成決定部12は、
図11に示されるように、ペア工程の結合の総当たりの組み合わせの数と同数のショップ構成(SH1,SH2等)を作成する(ステップS25)。初期構成決定部12は、作成された総当たりの組み合わせの数のショップ構成から、1つのショップ構成(例えば、SH1)を選択する(ステップS26)。
【0061】
初期構成決定部12は、選択した1つのショップ構成において、結合後のペア工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要とする製品が存在しないか否かを判定する(ステップS27)。例えば、
図16に示されるショップ構成SH1では、他のショップに属する工程の実施が必要な製品02,03が存在する。一方で、
図17に示されるショップ構成SH2では、製品01.03,04のいずれでも他のショップに属する工程の実施が不要である。この場合に、初期構成決定部12は、ショップ構成SH1では、ペア工程間で他のショップに属する工程の実施が必要と判定し、ショップ構成SH2では、ペア工程間で他のショップに属する工程が不要と判定する。
【0062】
ペア工程間で他のショップに属する工程の実施が必要と判定された場合には(ステップS27:NO)、ステップS29の処理が行われる。ペア工程間で他のショップに属する工程の実施が不要と判定された場合には(ステップS27:YES)、初期構成決定部12は、選択したショップ構成を初期ショップ構成として抽出する(ステップS28)。その後、初期構成決定部12は、総当たりで作成された全ショップ構成に対してステップS27が判定済かを判定する(ステップS29)。まだステップS27の判定が行われていないショップ構成がある場合には(ステップS29:NO)、初期構成決定部12は、判定が行われていない1つのショップ構成を選択する(ステップS26)。全てのショップ構成に対してステップS27の判定が行われている場合には(ステップS29:YES)、初期構成決定処理が終了して、
図35のステップS3の設備台数決定処理が行われる。
【0063】
図37は、設備台数決定工程のサブフローチャートである。
図37に示される設備台数決定処理は、抽出された初期ショップ構成のそれぞれに対して行われる。
図37に示されるように、設備台数決定部13は、情報取得部11を介して、1つの初期ショップ構成と、工程情報と、台数情報と、負荷情報と、設備情報と、制約情報とを取得する(ステップS31)。設備台数決定部13は、KPIを算出する計算回数を初期化する(ステップS32)。設備台数決定部13は、制約条件を満たすように、ショップに割り当てられる設備を決定する(ステップS33)。
【0064】
設備台数決定部13は、初期ショップ構成を構成する各ショップに割り当てた設備に基づき、総生産費用を表すKPIを算出する(ステップS34)。設備台数決定部13は、算出したKPIが既に保存されているKPIよりも小さい最小値か否かを判定する(ステップS35)。算出されたKPIが最小値ではないと判定された場合には(ステップS35:NO)、ステップS37の処理が行われる。算出されたKPIが最小値であると判定された場合には(ステップS35:YES)、最小のKPIが算出されたKPIに更新される(ステップS36)。
【0065】
設備台数決定部13は、KPIを算出する現時点での計算回数が予め設定された規定回数Np以下か否かを判定する(ステップS37)。計算回数が規定回数Np以下と判定された場合には(ステップS37:YES)、設備台数決定部13は、計算回数を1回加えて更新して(ステップS37A)、ステップS33以降の処理を行う。計算回数が規定回数Npを超える場合には(ステップS37:NO)、規定回数Npの計算の中でKPIの最小値が更新されたか否かを判定する(ステップS38)。規定回数Npの計算内でKPIの最小値が更新されたと判定された場合には(ステップS38:YES)、設備台数決定部13は、計算回数を初期化して(ステップS32)、ステップS33以降の処理を行う。規定回数Npの計算内でKPIの最小値が更新されなかったと判定された場合には(ステップS38:NO)、設備台数決定部13は、現時点のKPIの最小値を、評価対象の初期ショップ構成のKPIの最小値として保存し(ステップS39)、設備台数決定処理が終了する。
【0066】
図35のステップS3の処理が全ての初期ショップ構成に対して行われると、再構成決定部14は、KPIを算出済の初期ショップ構成を元に再構築ショップ構成の決定が可能か否かを判定する(ステップS4)。再構成決定部14は、初期ショップ構成が2つ以上のショップが含まれる場合に、2つのショップを結合した新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定可能と判定する。再構成決定部14は、再構築ショップ構成を決定できると判定した場合には(ステップS4:YES)、再構成決定工程を行う(ステップS5)。
【0067】
図38は、再構成決定工程のサブフローチャートである。
図38に示されるように、再構成決定部14は、複数のショップ構成として初期ショップ構成を取得する(ステップS41)。再構成決定部14は、
図22に示されるようなショップ構成の累積マトリックスと、累積マトリックスを分解した
図23~27に示されるような製品ごとのマトリックスとを作成する(ステップS42)。再構成決定部14は、作成した累積マトリックス(
図22)を用いて、2つのショップの総当たりの組み合わせの結合のバリエーションを作成する(ステップS43)。再構成決定部14は、作成した結合のバリエーションの組み合わせから、1組の結合するショップ組み合わせを選択する(ステップS44)。再構成決定部14は、選択した1組のショップを結合した再構築ショップ構成を決定する(ステップS45)。
【0068】
再構成決定部14は、再構築ショップ構成における結合されたショップ間から、スルー工程および重複工程の抽出・集約を行う(ステップS46)。再構成決定部14は、
図28~32に示される分解された製品ごとのマトリックスを用いて、スルー工程および重複工程を抽出し、集約する。再構成決定部14は、結合された1組のショップ間で製品を生産するために他のショップに属する工程の実施が不要か否かを判定する(ステップS47)。再構成決定部14は、
図33に示される再構築ショップ構成SH111のように、結合されたショップSP1とショップSP2との間で他のショップに属する工程の実施を必要としない場合に実施不要と判定する。一方で、再構成決定部14は、
図34に示される再構築ショップ構成SH112のように、結合されたショップSP2とショップSP4との間で、製品03のように他のショップSP3に属する工程の実施を必要とする場合に、実施要と判定する。
【0069】
ステップS47の処理において、結合された1組のショップ間で製品を生産するために他のショップに属する工程の実施が必要と判定された場合には(ステップS47:NO)、ステップS49の処理が行われる。結合された1組のショップ間で製品を生産するために他のショップに属する工程の実施が不要と判定された場合には(ステップS47:YES)、判定された再構築ショップ構成が保存される(ステップS48)。再構成決定部14は、作成した結合のバリエーションの組み合わせから、全てのショップの組み合わせを選択したか否かを判定する(ステップS49)。全ての組み合わせが選択されていないと判定された場合には(ステップS49:NO)、再構成決定部14は、まだ選択されていない1組のショップの組み合わせを選択して(ステップS44)、ステップS45以降の処理を行う。全ての組み合わせが選択されていると判定された場合には(ステップS49:YES)、再構成決定工程が終了する。
【0070】
図35のステップS5の処理が行われると、設備台数決定部13は、決定された再構築ショップ構成の全てに対して設備台数決定工程を行う(ステップS3)。ステップS4,5の処理は、判定対象のショップ構成を構成するショップ数が結合できなくなる、すなわち、1つのショップで構成されるまで繰り返される。ステップS4の処理において、再構築ショップ構成を決定できないと判定された場合には(ステップS4:NO)、工程設計フローが終了する。
【0071】
図39は、工程設計システム100により算出された解の候補の一例の説明図である。
図39には、
図2~5に示される各種情報の一例において、工程設計システム100により算出された全ての134パターンの解のうちの一部が一覧表で示されている。
図39における0回目の「CASE0」が初期ショップ構成である。1~4回目の各「CASE」が再構築ショップ構成に相当する。本実施形態では、設備台数決定部13は、134パターンのショップ構成のそれぞれについてKPIの最小値を算出した。
【0072】
図40は、KPIの一例の説明図である。
図40には、
図39においてハッチングが施されている「CASE03」、「CASE031」、「CASE0310」、「CASE03100」の場合のKPIの最小値が、ショップ構成と共に示されている。
図40に示される例では、1回目の「CASE03」のKPIの最小値が、最も小さく、3.3×105であった。なお、「CASE03」のKPIの最小値は、134パターン全てのKPIの最小値の中で最も小さかった。
【0073】
図41は、実施例の効果の説明図である。
図42は、比較例のショップ構成の概略図である。
図40における「CASE03」のKPIの最小値を実施例として、熟練の工程編成者により編成されたショップ構成のKPIの最小値を比較例とした場合に、それぞれのKPIの最小値は、
図41に示されるようになった。
図41に示されるように、実施例の方が10%ほど総生産費用を抑制できた。なお、比較例のショップ構成は、
図42に示されるように、実施例の「CASE03」のショップと工程とが同じであったが、工程C,D,Eを実施するショップにおいて、工程C,Eに割り当てられる設備台数が、実施例では1台であったが、比較例では2台であった。すなわち、実施例では、工程C,Eに割り当てられる設備が少なかったため、総生産費用を比較例よりも抑制できた。
【0074】
以上のように、本実施形態の工程設計システム100では、初期構成決定部12は、情報取得部11により取得された工程情報を用いて、異なる種類の製品を生産するための工程の少なくとも一部が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する。設備台数決定部13は、各種情報を用いて、決定された初期ショップ構成で複数種類の製品を生産する場合の総生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当てる。再構成決定部14は、初期ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで、新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定する。設備台数決定部13は、後述する再構成決定部14により初期ショップ構成を元に新たに決定された再構築ショップ構成に対しても、初期ショップ構成と同じように、総生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当てる。本実施形態の工程設計システム100は、フローライン型ではなく、ジョブショップ型の工程設計により生産ラインを構成する。本実施形態では、設備が割り当てられる初期ショップ構成として、ショップ構成のうち、異なる種類の製品を生産する際に共通する少なくとも一部の工程がグループ化された初期ショップ構成に限定する。そのため、共通する工程をグループ化することにより、ショップと、ショップに属する工程との組み合わせ数が多いショップ構成を少なくできる。共通する工程がグループ化されたショップ構成は、グループ化されていないショップ構成よりも生産費用が相対的に低くなる。そのため、本実施形態では、生産費用が相対的に低いショップ構成を、より短時間で設計可能になる。また、初期ショップ構成を元にして、ショップと工程との組み合わせを変更した新たな再構築ショップ構成が決定される。再構築ショップ構成が初期ショップ構成と同じように、設備が割り当てられる。これにより、再構築ショップ構成を含む複数のショップ構成から、生産費用が相対的に低いショップ構成を設計できる。この結果、本実施形態では、多品種少量生産に対応し、生産効率を向上させた生産ラインの設計時間を抑制できる。
【0075】
また、本実施形態の初期構成決定部12は、決定された複数のショップ構成のそれぞれに対して、結合後のペア工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要とする製品が存在しないショップ構成を、設備の割り当て対象の初期ショップ構成として決定する。本実施形態では、複数種類の製品間で共通する少なくとも一部の工程をグループ化するために、結合ペア間で他のショップに属する工程が実施されないショップ構成のみが初期ショップ構成として決定される。結合ペア間の途中で他のショップに属する工程が実施されるショップ構成では、他のショップに輸送する輸送費等を要するため、当該ショップ構成は生産費用が高くなる傾向がある。本実施形態では、このような生産費用が高くなる傾向のショップ構成を除いた初期ショップ構成を元に、再構築ショップ構成が決定される。すなわち、生産費用を最適化するための評価対象のショップ構成の数を、生産費用が高くなるショップ構成から優先的に排除できるため、より短時間で設備台数が適正化されたショップ構成を設計できる。
【0076】
また、初期構成決定部12は、ペア工程のうちの2つ以上のペア工程を結合し、結合後のペア工程と、結合されていないペア工程とのそれぞれを1つのショップとして構成されるショップ構成を作成する。初期構成決定部12は、ペア工程の結合の総当たりの組み合わせの数と同数のショップ構成を作成する。初期構成決定部12は、作成された総当たりのく合わせ数のショップ構成から、初期ショップ構成を抽出する。この構成によれば、ペア工程の結合の組み合わせに応じた数のショップ構成が作成される。その後、作成されたショップ構成から、結合されたペ工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要としないショップ構成が初期ショップ構成として抽出される。すなわち、本実施形態では、ペア工程を結合した1つ1つのショップ構成に対して、他のショップに属する工程の実施有無をその都度判定するのではなく、組み合わせ数に応じたショップ構成の作成と、条件に基づく初期ショップ構成の抽出との2つの処理によって、初期ショップ構成が決定される。そのため、2つの処理を自動化した簡便な方法によって初期ショップを抽出できる。
【0077】
また、初期構成決定部12は、
図2に示される工程情報を用いて、製品の生産時に連続して実施される2つの工程であるペア工程における先に実施される工程と、後に実施される工程とを対応付けたマトリックスを、製品ごとに作成する。初期構成決定部12は、製品ごとに作成された各マトリックスを合算した累積マトリックス(第1の累積マトリックス)を用いて、ペア工程の結合の総当たりの組み合わせを作成する。そのため、マトリックスからペア工程を簡単に特定できる。さらに、第1の累積マトリックスによりペア工程が実施される製品の種類数が表として作成されるため、組み合わせ数に応じた全ペア工程を簡単に抽出できる。
【0078】
また、本実施形態では、
図23~27に示されるように、ショップSP1とショップSP2とが結合された新たなショップSP12では、製品01,02,04に対して、ショップSP2の工程が実施されないスルー工程となる。本実施形態の再構成決定部14は、作成したバリエーションの結合後のショップにおけるスルー工程を抽出する。また、結合後のショップSP12では、先行ショップであるショップSP1に属する工程A,Bのうちの最後工程である工程Bと、後行ショップであるショップSP2に属する工程B,Gのうちの最初工程である工程Bとが同じ種類の工程である。この場合に、本実施形態の再構成決定部14は、工程Bを重複工程とみなして抽出する。そのため、本実施形態では、結合されたショップ間で、先行ショップの最終工程と、後行ショップの最初工程とが同じ種類の工程の場合に、この2つの工程が1つの工程に集約されるため、実施されない重複した工程を省略できる。これにより、総生産費用を抑制して、設備台数が適正化されたショップ構成を設計できる。
【0079】
また、本実施形態の再構成決定部14は、評価後の再構築ショップ構成に2つ以上のショップが含まれている場合に、さらに、2つのショップを結合させた新たな再構築ショップ構成を決定する。再構成決定部14は、再構築ショップ構成を繰り返しの決定を、結合される前の再構築ショップ構成に含まれるショップの数が1つになるまで繰り返す。そのため、初期構成決定部により決定されてた初期ショップ構成を元として、全てのショップが1つのショップとして構成されるまで決定される再構築ショップ構成のそれぞれに対して設備が割り当てられる。すなわち、全ての組み合わせのショップ構成から初期ショップ構成へと好ましいショップ構成に構成数が限定された後、限定された初期ショップ構成および再構築ショップ構成のそれぞれに対して設備が割り当てられる。その後、設備が割り当てられた全てのショップ構成から、生産費用が相対的に低いショップ構成が抽出される。そのため、本実施形態では、より短時間で設備台数が適正化されたショップ構成を設計できる。
【0080】
また、本実施形態の再構成決定部14は、初期ショップ構成および再構築ショップ構成に含まれる各ショップに属する工程と、各ショップに属する工程が実施される製品の種類数と、前工程と後工程との対応関係とを対応付けた累積マトリックス(第2の累積マトリックス)を作成する。再構成決定部14は、前記第2の累積マトリックスの製品の種類数から、製品ごとに分解して分解マトリックスを作成する。すなわち、第2の累積マトリックスから、初期ショップ構成または再構築ショップ構成でショップに属する工程の前後関係と、実施される工程ごとの製品の種類数とがマトリックスで表される。第2の累積マトリックスを製品ごとに分解された分解マトリックスを用いることにより、製品ごとに実施されていない工程を抽出できる。抽出された工程に対して、先行ショップの最後工程と後行ショップの最初工程との集約を判定すればよいため、簡単に集約する工程を判定できる。これにより、短時間で設備台数が適正化されたショップ構成を設計できる。
【0081】
<実施形態の変形例>
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。また、上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0082】
上記実施形態の工程設計システム100は、一例であって、初期構成決定部12が共通する少なくとも一部の工程をグループ化した初期ショップ構成を決定し、再構成決定部14が2つのショップを結合する再構築ショップ構成を決定する範囲で変形可能である。例えば、工程設計システム100は、各種DB21~25を備えていなくてもよく、他の装置等から各種情報を取得してもよい。工程設計システム100は、モニタなどの出力部を備えており、
図40に示されるKPIの算出結果などを出力部に出力させてもよい。
【0083】
上記実施形態では、再構成決定部14は、初期ショップ構成に含まれる2つ以上のショップを結合することにより再構築ショップ構成を決定したが、初期ショップ構成から再構築ショップ構成を決定する方法は変形可能である。再構成決定部14は、初期ショップ構成に含まれるショップと工程の組み合わせとを変更して再構築ショップ構成を決定すればよく、例えば、初期ショップ構成において、あるショップに属する工程が別のショップに属するように変更した再構築ショップ構成を決定してもよい。また、再構成決定部14は、あるショップに属する工程と、別のショップに属する工程とを入れ替えて再構築ショップ構成を決定してもよい。上記実施形態では、設備台数決定部13が、決定された全ての初期ショップ構成および再構築ショップ構成から総生産費用が相対的に低いショップ構成を抽出した。一方で、設備台数決定部13は、再構築ショップ構成を含むと共に初期ショップ構成を含まない複数のショップ構成から総生産費用が相対的に低いショップ構成を抽出してもよい。設備台数決定部13は、複数のショップ構成から、総生産費用が相対的に低い順に複数のショップ構成を抽出してもよい。上実施形態では、制約情報DB25に記憶された制約情報を用いてショップ構成が限定されたが、ショップ構成の限定時に制約条件が用いられなくてもよい。
【0084】
上記実施形態の初期構成決定部12は、ペア工程の結合の総当たりの組み合わせ数のショップ構成を作成した後、初期ショップ構成を抽出したが、総当たりのショップ構成を作成せずに直接初期ショップ構成を決定してもよい。初期構成決定部12は、製品ごとの工程順序を表すマトリックス(例えば、
図6,7)や累積マトリックス(例えば、
図8)を用いて、ペア工程やペア工程における先と後の工程を判定したが、マトリックス以外の周知の方法を用いて、ペア工程を判定してもよい。
【0085】
上記実施形態の再構成決定部14は、重複工程とスルー工程とを集約した再構築ショップ構成を決定したが、重複工程とスルー工程とを集約せずにショップ数だけ変化させた再構築ショップ構成のKPIの最小値により、設備台数が最適化されてもよい。なお、上記実施形態では、「2つの結合」とは、2つ以上の結合の意味も含む。例えば、2つのペア工程の結合とは、
図11に示されるように、ペア番号1,2,3の3つのペア工程の結合も含んでいる。
【0086】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【0087】
本発明は、以下の形態としても実現することが可能である。
[適用例1]
ジョブショップ型の工程設計装置であって、
複数種類の製品を生産するために必要な複数の工程についての工程情報と、前記複数種類の製品のそれぞれの生産台数についての台数情報と、工程が実施される際に発生する負荷についての負荷情報と、工程を実施可能な設備の種類および設備の保有台数についての設備情報とを取得する情報取得部と、
前記工程情報を用いて、前記複数種類の製品を生産するための少なくとも一部の工程が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する初期構成決定部と、
前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記初期ショップ構成で前記複数種類の製品を生産する場合の生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当てる設備台数決定部と、
前記初期ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定する再構成決定部と、
を備え、
前記設備台数決定部は、前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記再構築ショップ構成の前記生産費用が相対的に低くなるように、各ショップに設備を割り当て、
前記再構成決定部は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成に含まれるショップと工程との組み合わせを変更することで、さらに新たな前記再構築ショップ構成を決定し、
前記設備台数決定部は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が相対的に低い前記ショップ構成を抽出する、工程設計装置。
[適用例2]
適用例1に記載の工程設計装置であって、
前記初期構成決定部は、連続して実施される2つの工程であるペア工程のうち、2つ以上の前記ペア工程を結合し、結合後の前記ペア工程と、結合されていない前記ペア工程とのそれぞれが1つのショップに属する前記ショップ構成のうち、結合された前記ペア工程で生産される製品が結合された前記ペア工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要としない前記ショップ構成を前記初期ショップ構成として決定する、工程設計装置。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の工程設計装置であって、
前記初期構成決定部は、
結合後の前記ペア工程と、結合されていない前記ペア工程とのそれぞれが1つのショップに属する前記ショップ構成を、前記ペア工程の結合の総当たりの組み合わせ数だけ作成し、
作成された全ての前記ショップ構成から、結合された前記ペア工程の間で他のショップに属する工程の実施を必要としない前記ショップ構成を初期ショップ構成として抽出する、工程設計装置。
[適用例4]
適用例1から適用例3までのいずれか一項に記載の工程設計装置であって、
前記初期構成決定部は、
前記ペア工程における先に実施される工程と、後に実施される工程とを対応付けたマトリックスを作成し、
製品ごとに作成された各マトリックスを合算した第1の累積マトリックスを用いて、前記ペア工程の結合の総当たりの組み合わせを作成する、工程設計装置。
[適用例5]
適用例1から適用例4までのいずれか一項に記載の工程設計装置であって、
前記再構成決定部は、前記再構築ショップ構成に含まれる2つのショップを結合し、結合されたショップ間で、先に実施される先行ショップに属する工程のうちの最後に行われる最後工程と、後に実施される後行ショップに属する工程のうちの最初に行われる最初工程とが同じ種類の工程である場合で、かつ、前記先行ショップの前記最後工程と、前記後行ショップの前記最初工程とのいずれか一方しか行われないと共に、結合されたショップ間で他のショップに属する工程の実施を必要としない場合に、前記先行ショップの前記最後工程と、前記後行ショップの前記最初工程とを1つの工程に集約したショップとする新たな前記再構築ショップ構成を決定する、工程設計装置。
[適用例6]
適用例1から適用例5までのいずれか一項に記載の工程設計装置であって、
前記再構成決定部は、前記再構築ショップ構成に2つ以上のショップが含まれている場合に、さらに、2つのショップを結合させた新たな前記再構築ショップ構成の決定を、前記再構築ショップ構成に含まれるショップの数が1つになるまで繰り返し、
前記設備台数決定部は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成および前記初期ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が相対的に低い前記ショップ構成を抽出する、工程設計装置。
[適用例7]
適用例1から適用例6までのいずれか一項に記載の工程設計装置であって、
前記再構成決定部は、
前記初期ショップ構成または前記再構築ショップ構成に含まれる各ショップに属する工程と、各ショップに属する工程が実施される製品の種類数と、前の工程と直後に行われる後の工程との対応関係とを対応付けた第2の累積マトリックスを作成し、
前記第2の累積マトリックスから、製品ごとに分解して作成された分解マトリックスを用いて、2つのショップの結合時における前記先行ショップの前記最後工程と、前記後行ショップの前記最初工程とが同じ種類の工程であるか否かを判定する、工程設計装置。
[適用例8]
ジョブショップ型の工程設計方法であって、コンピュータが、
複数種類の製品を生産するために必要な複数の工程についての工程情報と、前記複数種類の製品のそれぞれの生産台数についての台数情報と、工程が実施される際に発生する負荷についての負荷情報と、工程を実施可能な設備の種類および設備の保有台数についての設備情報とを取得する情報取得工程と、
前記工程情報を用いて、前記複数種類の製品を生産するための工程が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する初期構成決定工程と、
前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記初期ショップ構成で前記複数種類の製品を生産する場合の生産費用を小さくするように、各ショップに設備を割り当てる設備台数決定工程と、
前記初期ショップ構成に含まれるショップに属する工程を変更することで新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定する再構成決定工程と、
を実行し、
前記設備台数決定工程は、前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記再構築ショップ構成の前記生産費用を小さくするように、各ショップに設備を割り当て、
前記再構成決定工程は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成に属する工程を変更することで、さらに新たな前記再構築ショップ構成を決定し、
前記設備台数決定工程は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が小さい前記ショップ構成を抽出する、工程設計方法。
[適用例9]
コンピュータプログラムであって、
複数種類の製品を生産するために必要な複数の工程についての工程情報と、前記複数種類の製品のそれぞれの生産台数についての台数情報と、工程が実施される際に発生する負荷についての負荷情報と、工程を実施可能な設備の種類および設備の保有台数についての設備情報とを取得する情報取得機能と、
前記工程情報を用いて、前記複数種類の製品を生産するための工程が共通する場合に、共通する工程をグループ化したショップ構成を初期ショップ構成として決定する初期構成決定機能と、
前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記初期ショップ構成で前記複数種類の製品を生産する場合の生産費用を小さくするように、各ショップに設備を割り当てる設備台数決定機能と、
前記初期ショップ構成に含まれるショップに属する工程を変更することで新たなショップ構成である再構築ショップ構成を決定する再構成決定機能と、
をコンピュータに実行させ、
前記設備台数決定機能は、前記台数情報と、前記負荷情報と、前記設備情報とを用いて、前記再構築ショップ構成の前記生産費用を小さくするように、各ショップに設備を割り当て、
前記再構成決定機能は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成に属する工程を変更することで、さらに新たな前記再構築ショップ構成を決定し、
前記設備台数決定機能は、設備が割り当てられた前記再構築ショップ構成を含む複数の前記ショップ構成から、前記生産費用が小さい前記ショップ構成を抽出する、コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0088】
21…工程情報DB
22…負荷情報DB
23…設備情報DB
24…台数情報DB
25…制約情報DB
SH111,SH112…再構築ショップ構成
SH11,SH12…初期ショップ構成
SP1,SP2,SP3,SP4,SP5,SP11,SP12…ショップ
10…制御部
11…情報取得部
12…初期構成決定部
13…設備台数決定部
14…再構成決定部
100…工程設計システム