(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131045
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】販売システム及び電子決済装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/32 20120101AFI20240920BHJP
G07F 7/02 20060101ALI20240920BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20240920BHJP
G07F 9/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q20/32 330
G07F7/02 Z
G07F9/00 F
G07F9/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041067
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】508258596
【氏名又は名称】アイティアクセス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】弁理士法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 修一
(72)【発明者】
【氏名】江 天
【テーマコード(参考)】
3E044
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044BA10
3E044CA04
3E044CA06
3E044EA01
3E044EB01
3E044EB08
5L020AA64
5L055AA64
(57)【要約】
【課題】購入者が所望の種類の電子決済による購入をスムーズにかつ安全に行うことができる販売システム及び電子決済装置を提供する。
【解決手段】販売装置と電子決済装置と管理サーバと決済サーバとを備える販売システムであって、電子決済装置は、本体と、複数の決済インターフェイスと、商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて購入者の行動を誘導するための報知を行う報知装置とを備え、複数の決済インターフェイスは近距離無線通信用決済インターフェイスと図形コード用決済インターフェイスとを含み、販売装置は、電子決済の可否判定処理の結果に基づき、購入者に商品を提供する販売システム等による。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入者に商品を提供する販売装置と、前記販売装置に接続して設置され、前記商品の代金の決済において複数種類の電子決済が可能である電子決済装置と、前記電子決済装置と閉域網内で通信を行う管理サーバと、前記電子決済の可否判定処理を行い、前記管理サーバと通信を行う決済サーバとを備える販売システムであって、
前記電子決済装置は、本体と、前記購入者が有する決済媒体とのアクセス部であり、かつ、それぞれが複数種類の前記電子決済のいずれかの種類を実行するために用いられる複数の決済インターフェイスと、前記商品の提供の段階又は前記電子決済の段階に応じて前記購入者の行動を誘導するための報知を行う報知装置とを備え、
複数の前記決済インターフェイスは、それぞれ互いに隣接して設けられ、かつ、少なくとも前記決済媒体が近距離無線通信により情報を受信するための近距離無線通信用決済インターフェイスと、前記決済媒体が図形コードにより情報を受信するための図形コード用決済インターフェイスとを含み、
前記販売装置は、前記管理サーバを介して前記決済サーバから前記電子決済装置へ送信される前記電子決済の前記可否判定処理の結果に基づき、前記購入者に前記商品を提供する販売システム。
【請求項2】
前記販売装置は、自動販売機である請求項1に記載の販売システム。
【請求項3】
前記近距離無線通信用決済インターフェイスは、前記購入者が前記決済媒体を接近させる位置を示すNFC用表示を有し、かつ、前記購入者が前記決済媒体を前記NFC用表示に接近させた場合に前記近距離無線通信が可能な位置にNFCタグを有する請求項1に記載の販売システム。
【請求項4】
前記図形コード用決済インターフェイスは、QRコードが印刷されるQRコード表示を有する請求項1に記載の販売システム。
【請求項5】
前記販売装置は、前記購入者と対面する前面に広告用窓を備え、
前記電子決済装置は、前記広告用窓の内側に設置される請求項1に記載の販売システム。
【請求項6】
前記電子決済装置は、前記本体において、複数の前記決済インターフェイスを貼付して備え、かつ、前記報知装置を内蔵して備える請求項1に記載の販売システム。
【請求項7】
前記電子決済装置は、複数の前記決済インターフェイスを前記本体と分離して前記広告用窓に貼付して備え、かつ、前記報知装置を前記本体に内蔵して備える請求項5に記載の販売システム。
【請求項8】
前記報知装置は、光発生装置及び/又は音もしくは音声発生装置である請求項1に記載の販売システム。
【請求項9】
前記報知装置は、前記商品の販売又は前記電子決済の段階に応じて異なる報知を行う請求項1に記載の販売システム。
【請求項10】
前記報知装置は、発光ダイオード光源及び/又はスピーカーを含む請求項1に記載の販売システム。
【請求項11】
前記報知装置は、少なくとも、複数の前記決済インターフェイスを隣接して設けることにより形成される隣接部から報知を行う請求項1項に記載の販売システム。
【請求項12】
前記報知装置は、発光ダイオード光源及びスピーカーを含み、
前記発光ダイオード光源及びスピーカーは、複数の前記決済インターフェイスを隣接して設けることにより形成される隣接部にそれぞれ1つを設ける請求項1に記載の販売システム。
【請求項13】
前記報知装置は、前記商品の販売又は前記電子決済の段階が、前記購入者による前記商品の選択後である場合、前記音声の発生により、前記決済インターフェイスの位置を示すための前記報知を行う請求項8に記載の販売システム。
【請求項14】
前記決済媒体は、報知手段を備え、
前記報知手段は、前記決済媒体に備えられる電子決済用アプリケーションにより制御され、前記商品の提供の段階又は前記電子決済の段階に応じて前記購入者の行動を誘導するための報知を行う請求項1に記載の販売システム。
【請求項15】
前記報知装置は、前記商品の販売又は前記電子決済の段階が、前記購入者による前記商品の選択前である場合、前記発光ダイオード光源の点灯により、前記決済インターフェイスの位置を示すための前記報知を行う請求項10に記載の販売システム。
【請求項16】
前記閉域網は、LTE通信を用いたネットワークである請求項1に記載の販売システム。
【請求項17】
前記決済媒体は、スマートフォンである請求項1に記載の販売システム。
【請求項18】
購入者に商品を提供する販売装置と、前記販売装置に接続して設置され、前記商品の代金の決済において複数種類の電子決済が可能である電子決済装置と、前記電子決済装置と閉域網内で通信を行う管理サーバと、前記電子決済の可否判定処理を行い、前記管理サーバと通信を行う決済サーバとを備える販売システムに用いられる前記電子決済装置であって、
本体と、前記購入者が有する決済媒体とのアクセス部であり、かつ、それぞれが複数種類の前記電子決済のいずれかの種類を実行するために用いられる複数の決済インターフェイスと、前記商品の提供の段階又は前記電子決済の段階に応じて前記購入者の行動を誘導するための報知を行う報知装置とを備え、
複数の前記決済インターフェイスは、それぞれ互いに隣接して設けられ、かつ、少なくとも前記決済媒体が近距離無線通信により情報を受信するための近距離無線通信用決済インターフェイスと、前記決済媒体が図形コードにより情報を受信するための図形コード用決済インターフェイスとを含み、
前記電子決済の前記可否判定処理の結果に基づき前記購入者に前記商品を提供する前記販売装置に対し、前記管理サーバを介して前記決済サーバから送信される前記電子決済の前記可否判定処理の結果を送信する電子決済装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売システム及び電子決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャッシュレスで電子決済により商品を購入するシステムが実現されている。電子決済の種類も様々用意されており、例えば、購入者は自らが有するスマートフォンを用いて複数の種類の電子決済を行うことが可能となっている。
【0003】
購入者が有する携帯端末を用いてプリント式図形化コードを撮影することにより、プリント式図形化コードが有する情報を携帯端末が受け取り、商品販売者が不在な自動販売機であっても図形化コードを用いた決済等の処理を行うことができる自動販売機システムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子決済では、まず、購入者を識別し、識別した購入者に関してオーソリゼーション又はオーソリともいわれる電子決済の可否判定処理とが行われる。購入者の識別及びオーソリには、複数の方式を行う複数の電子決済事業者が存在する。
【0006】
販売者は購入者の利便性のために、購入者自身で決済を実行するセルフ決済を行う販売装置において、より多くの種類の電子決済を準備することが考えられる。しかしながら、購入者は使用する電子決済に応じて異なった決済行動を行わなければならない場合があり、電子決済の種類が多くなるほど、所望の種類の電子決済を行うためにどのように行動すればよいかすぐには理解できない場面が多くなると考えられる。したがって、販売装置において決済のための行動が異なる複数の電子決済を可能とする場合、購入者の利便性を改善する余地があった。
【0007】
本発明は、購入者が所望の種類の電子決済による購入をスムーズにかつ安全に行うことができる販売システム及び電子決済装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本明細書では、QRコード(登録商標)が登録商標であることの記載は省略する。
【0009】
本発明の販売システムは、購入者に商品を提供する販売装置と、販売装置に接続して設置され、商品の代金の決済において複数種類の電子決済が可能である電子決済装置と、電子決済装置と閉域網内で通信を行う管理サーバと、電子決済の可否判定処理を行い、管理サーバと通信を行う決済サーバとを備える販売システムであって、電子決済装置は、本体と、購入者が有する決済媒体とのアクセス部であり、かつ、それぞれが複数種類の電子決済のいずれかの種類を実行するために用いられる複数の決済インターフェイスと、商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて購入者の行動を誘導するための報知を行う報知装置とを備え、複数の決済インターフェイスは、それぞれ互いに隣接して設けられ、かつ、少なくとも決済媒体が近距離無線通信により情報を受信するための近距離無線通信用決済インターフェイスと、決済媒体が図形コードにより情報を受信するための図形コード用決済インターフェイスとを含み、販売装置は、管理サーバを介して決済サーバから電子決済装置へ送信される電子決済の可否判定処理の結果に基づき、購入者に商品を提供する。
【0010】
販売装置は、自動販売機であることが好ましい。
【0011】
近距離無線通信用決済インターフェイスは、購入者が決済媒体を接近させる位置を示すNFC用表示を有し、かつ、購入者が決済媒体をNFC用表示に接近させた場合に近距離無線通信が可能な位置にNFCタグを有することが好ましい。
【0012】
図形コード用決済インターフェイスは、QRコードが印刷されるQRコード表示を有することが好ましい。
【0013】
販売装置は、購入者と対面する前面に広告用窓を備え、電子決済装置は、広告用窓の内側に設置されることが好ましい。
【0014】
電子決済装置は、本体において、複数の決済インターフェイスを貼付して備え、かつ、報知装置を内蔵して備えることが好ましい。
【0015】
電子決済装置は、複数の決済インターフェイスを本体と分離して広告用窓に貼付して備え、かつ、報知装置を本体に内蔵して備えることが好ましい。
【0016】
報知装置は、光発生装置及び/又は音もしくは音声発生装置であることが好ましい。
【0017】
報知装置は、商品の販売又は電子決済の段階に応じて異なる報知を行うことが好ましい。
【0018】
報知装置は、発光ダイオード光源及び/又はスピーカーを含むことが好ましい。
【0019】
報知装置は、少なくとも、複数の決済インターフェイスを隣接して設けることにより形成される隣接部から報知を行うことが好ましい。
【0020】
報知装置は、発光ダイオード光源及びスピーカーを含み、発光ダイオード光源及びスピーカーは、複数の決済インターフェイスを隣接して設けることにより形成される隣接部にそれぞれ1つを設けることが好ましい。
【0021】
報知装置は、商品の販売又は電子決済の段階が、購入者による商品の選択後である場合、音声の発生により、決済インターフェイスの位置を示すための報知を行うことが好ましい。
【0022】
決済媒体は、報知手段を備え、報知手段は、決済媒体に備えられる電子決済用アプリケーションにより制御され、商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて購入者の行動を誘導するための報知を行うことが好ましい。
【0023】
報知装置は、商品の販売又は電子決済の段階が、購入者による商品の選択前である場合、発光ダイオード光源の点灯により、決済インターフェイスの位置を示すための報知を行うことが好ましい。
【0024】
閉域網は、LTE通信を用いたネットワークであることが好ましい。
【0025】
決済媒体は、スマートフォンであることが好ましい。
【0026】
本発明の電子決済装置は、購入者に商品を提供する販売装置と、販売装置に接続して設置され、商品の代金の決済において複数種類の電子決済が可能である電子決済装置と、電子決済装置と閉域網内で通信を行う管理サーバと、電子決済の可否判定処理を行い、管理サーバと通信を行う決済サーバとを備える販売システムに用いられる電子決済装置であって、本体と、購入者が有する決済媒体とのアクセス部であり、かつ、それぞれが複数種類の電子決済のいずれかの種類を実行するために用いられる複数の決済インターフェイスと、商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて購入者の行動を誘導するための報知を行う報知装置とを備え、複数の決済インターフェイスは、それぞれ互いに隣接して設けられ、かつ、少なくとも決済媒体が近距離無線通信により情報を受信するための近距離無線通信用決済インターフェイスと、決済媒体が図形コードにより情報を受信するための図形コード用決済インターフェイスとを含み、電子決済の可否判定処理の結果に基づき購入者に商品を提供する販売装置に対し、管理サーバを介して決済サーバから送信される電子決済の可否判定処理の結果を送信する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、購入者が所望の種類の電子決済による購入をスムーズにかつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】販売システムの構成を説明する説明図である。
【
図2】電子決済装置の構成について説明する説明図である。
【
図3】電子決済装置が、広告用窓の内部に設置されることを説明する説明図である。
【
図4】
図3のI-I線に沿って切断した要部断面図である。
【
図5】
図5(A)は、決済インターフェイスを説明する説明図であり、
図5(B)は、報知装置を備える本体を説明する説明図である。
【
図6】電子決済装置が、決済インターフェイスと報知装置とが分離して広告用窓の内部に設置されることを説明する説明図である。
【
図7】
図6のII-II線に沿って切断した要部断面図である。
【
図8】決済インターフェイスが本体に貼付される場合の隣接部からの報知を説明する説明図である。
【
図9】決済インターフェイスと報知装置とが分離している場合の隣接部からの報知を説明する説明図である。
【
図10】商品を先に選択してQR決済を行う場合の処理を説明するフローチャートである。
【
図11】販売システムを構成するものによる通信を説明する説明図である。
【
図12】決済サーバがマルチ決済のゲートウェイサービス機能を有することを説明する説明図である。
【
図13】最初に商品を選択してからQR決済を行う場合であって、QRコードに関する報知を行う場合の処理を説明するフローチャートである。
【
図14】最初に商品を選択してからNFC決済を行う場合の処理を説明するフローチャートである。
【
図15】最初にQRコードの読み取りを行ってから商品選択を行ってQR決済を行う場合の処理を説明するフローチャートである。
【
図16】最初にNFCによる通信を行ってから商品選択を行ってNFC決済を行う場合の処理を説明するフローチャートである。
【
図17】予め決済インターフェイスの位置を報知する場合の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の実施形態の一形態を得るに至った経緯を説明する。セルフ決済を行う自動販売機等の販売装置における決済手段として、複数種類の電子決済が実用化されている。これらの電子決済では、購入者に販売する商品を特定し、購入者を識別し、識別した購入者に対する商品代金の電子決済の可否判定処理等が行われる。なお、識別した購入者に対する商品代金の電子決済の可否判定処理は、オーソリゼーション又はオーソリと言われる場合がある。
【0030】
セルフ決済を行う販売装置では、複数種類の電子決済から購入者が所望の種類の電子決済を選択して商品を購入することができれば、購入者の利便性が高まるため好ましい。
【0031】
しかしながら、購入者が販売装置から商品を購入する場合には、購入者は電子決済の種類に応じて異なる行動をしなければならない場合がある。例えば、近距離無線通信(Near Field Communication、以下、NFCという)を用いる電子決済の場合、購入者は、商品を選択した後、スマートフォンを所定の位置にかざす必要があり、図形コードを用いる電子決済の場合、購入者は、商品を選択した後、スマートフォンのアプリケーション(以下、アプリという)を起動させてから図形コードの写真を取る必要がある、というように、商品の提供又は電子決済のはじめの段階から異なる決済行動を行うことが求められる場合がある。また、商品の選択をする前に、スマートフォンのアプリを起動させる必要がある場合もある。
【0032】
したがって、購入に際していずれの種類の電子決済を選択しても、購入者の行動を適切に誘導することができれば、購入者は迷うことなくスムーズに所望の種類の電子決済による購入を行うことができ、また、短時間での購入が可能となるため好ましい。
【0033】
また、例えば、複数の自動販売機が隣接して配置されており、自動販売機の区切りがわかりずらい場合は、購入者にとってどの自動販売機と自らが有するスマートフォンとが通信しているかが不明となる場合も考えられる。したがって、自らのスマートフォンが通信している自動販売機を他の自動販売機と識別して認識することができれば、購入者が迷うことなく短時間での購入等につながり、また、購入者が通信した自動販売機からの広告宣伝、ポイント還元を受ける等のサービスも考えられる。
【0034】
また、例えば、自動販売機には、電子決済が可能となる装置が備えられていない場合がある。このような自動販売機において、できるだけ容易に複数種類の電子決済が可能となる装置を後付けにより設置することができれば、自動販売機の設置者にとって好ましい。
【0035】
本発明の販売システム及び電子決済装置では、それぞれ特定の販売装置、電子決済装置、管理サーバ、及び決済サーバを備える等の構成としたことにより、複数種類の電子決済が可能であるにもかかわらず、購入者が所望の種類の電子決済による購入をスムーズにかつ安全に行うことができる。また、既存の販売装置に対し、複数の電子決済が可能な装置を容易に設置することができる。したがって、本発明の販売システム及び電子決済装置は、上記したような問題を解決することができる。
【0036】
本発明の販売システムは、販売装置、電子決済装置、管理サーバ、及び決済サーバを備える。販売装置は、購入者に対し、電子決済によるセルフ決済により商品を提供可能である。販売装置は、例えば、自動販売機の他、オフィスコンビニ等の無人店舗において商品を提供する装置等とすることができる。
【0037】
電子決済装置は、販売装置に接続して設置される。販売装置と電子決済装置とは、通信が可能なように接続されていれば、物理的に接していても接していなくても良い。なお、本明細書において通信とは、情報の一方向の伝達、及び、情報の双方向の伝達の両者を含むものとし、また、有線であるか無線であるかを問わないものとする。
【0038】
電子決済装置は、商品の代金の決済において複数種類の電子決済が可能である。そして、販売システムでは複数種類の電子決済のいずれの種類においても、電子決済装置により電子決済が成功した場合、販売装置が購入者に商品を提供するように構成される。
【0039】
管理サーバは、電子決済装置と閉域網内で通信を行う。決済サーバは、管理サーバと通信し、電子決済の可否判定処理(以下、オーソリという)を行う。決済サーバは、オーソリ結果を管理サーバに送信し、管理サーバは、電子決済装置にオーソリ結果を送信する。電子決済装置は、販売装置に接続するため、販売装置は、管理サーバを介して決済サーバから電子決済装置へ送信されるオーソリ結果に基づき、購入者への商品の提供を制御することができる。
【0040】
電子決済装置は、本体と、複数の決済インターフェイスと、報知装置とを備える。本体は、電子決済を実行するための通信機能、処理機能等の各種機能を発揮するよう構成される。したがって、本体は、各種デバイスを接続する接続端子又はスロット、アンテナ、電源、本体を販売装置に固定して設置するためのネジ穴等の機構等を備える。複数の決済インターフェイスは、購入者が有する決済媒体とのアクセス部であり、かつ、複数の決済インターフェイスのそれぞれが、複数種類の電子決済のいずれかの種類を実行するために用いられる。決済インターフェイスにより、購入者が有する決済媒体と電子決済装置とが通信する。通信の形態は、決済媒体の種類等による。
【0041】
報知装置は、少なくとも、購入者の行動を誘導するための報知を行う。購入者の行動とは、販売装置により購入者が電子決済により商品を購入する際の行動である。報知装置は、商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて、購入者の行動を誘導するための報知を行う。したがって、例えば、電子決済の種類により、購入者が異なった行動をすることが必要な場合であっても、購入者は商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて行われる報知に従えば良いから、異なる行動が求められる複数の種類の電子決済であっても、購入者が電子決済を行う際に、迷いなくスムーズに行動することができる。
【0042】
また、こういった販売システムは、電子決済の種類に応じて的確に購入者の行動をガイドすることができるため、電子決済に不慣れな者であってもスムーズに所望の種類の電子決済を行うことができる。なお、報知装置は、その他の報知を行ってもよく、例えば、購入者に電子決済が完了した旨の報知を行ってもよい。
【0043】
また、複数の決済インターフェイスは、それぞれ互いに隣接して設けられる。隣接するとは、それぞれの決済インターフェイスにおいて少なくともその外縁の一部が別の決済インターフェイスと隣接していればよい。これにより、複数の決済インターフェイスは、一つの箇所に集まって配置される。これにより、購入者は、販売装置において、複数の決済インターフェイスが集合している領域を容易に認識することができ、また、自らが所望する種類の電子決済のための決済インターフェイスを容易に認識することができる。また、購入者に決済インターフェイスの位置を示すための報知をする場合、例えば1つ等の少ない報知装置により報知が可能となるため、電子決済装置等を簡易にすることができる。
【0044】
複数の決済インターフェイスは、すくなくとも、近距離無線通信用決済インターフェイスと、図形コード用決済インターフェイスとを含む。近距離無線通信用決済インターフェイスは、決済媒体がNFCにより情報を受信するためのインターフェイスである。より具体的には、近距離無線通信用決済インターフェイスは、決済媒体が情報を受信するためのターゲットであり、近距離無線通信用決済インターフェイスの付近には、NFC通信による情報の送信が可能なNFCタグが備えられる。これにより、NFCモジュールを備える決済媒体を近距離無線通信用決済インターフェイスに近づけることにより、決済媒体がNFCタグが含む情報を受信することができる。なお、本明細書では、NFCタグはNFCリーダーの機能を備えず、NFCモジュールはNFCリーダーの機能を備えるものとする。
【0045】
図形コード用決済インターフェイスは、決済媒体が図形コードから情報を受信するためのインターフェイスである。より具体的には、図形コード用決済インターフェイスは、決済媒体が情報を受信するためのターゲットであり、近距離無線通信用決済インターフェイスには、符号化された情報が図形化されたもの、例えば、印刷されたQRコードが、その表面に添付されて備えられる。これにより、カメラ及びアプリ等の図形コードを認識する機能を備える決済媒体が、図形コード用決済インターフェイスが備える図形コードを撮影及び認識することにより、決済媒体が図形コードが含む情報を受信することができる。
【0046】
決済媒体は、電子決済装置が有する決済インターフェイスにより、電子決済装置又は販売装置が有する情報を取得することができる。そして、決済媒体は、決済媒体が有する通信機能等により決済媒体と決済サーバとが通信し、商品に関する電子決済の可否判定処理が始められる。決済サーバが、この電子決済の可否判定処理を行い、その結果が管理サーバに送信される。そして、上記したように、可否判定処理の結果に基づき、購入者への商品提供の処理が進められ、可否判定処理の結果が可である場合は、販売装置により購入者へ商品が提供されるよう処理が進められる。なお、可否判定処理の結果が否である場合は、購入者に対し、電子決済の可否判定処理の結果が否であること等、商品が提供されないことを報知してもよい。
【0047】
以上のように、本発明の販売システム等によれば、複数種類の電子決済が可能であるにもかかわらず、購入者が所望の種類の電子決済による購入をスムーズにかつ安全に行うことができる。
【0048】
次に、本発明の販売システム等の実施形態の一例について説明する。
図1に示すように、販売システム10は、販売装置である自動販売機11と、電子決済装置12と、管理サーバ13と、決済サーバ14とを備える。販売システム10は、セルフ決済にて商品の販売を行う販売システムであり、複数種類の電子決済による決済が可能である。
【0049】
自動販売機11は、電子決済により購入者に商品を提供する装置であり、電子決済装置12が商品の提供を決定した場合に購入者に商品を提供するよう構成される。なお、販売装置は、購入者に商品を提供できれば良く、例えば、自動販売機11の他、オフィスコンビニ等の無人店舗において商品を提供する装置等とすることができる。
【0050】
購入者は、購入者が有する決済媒体であるスマートフォン15を用いて電子決済を行う。自動販売機11とスマートフォン15、管理サーバ13、又は決済サーバとは通信可能であり、スマートフォン15と決済サーバ14とは通信可能である。決済媒体は、決済インターフェイスを介して電子決済装置12から情報を受信できる機能を有するものであればよく、スマートフォン、ICカード、タブレット、ICチップ付きクレジットカードその他を含む。スマートフォンは、一般的に、各種のアプリの搭載が可能であり、カメラ、NFCモジュール等を備えるため、スマートフォン15もこれらを備える。また、アプリには、ブラウザを含む。また、本明細書において購入者とは、これから商品を購入しようとする者とすでに商品を購入した者との両者を含むものとする。
【0051】
電子決済装置12は、自動販売機11が購入者に提供する商品の代金の電子決済に用いられ、複数種類の電子決済が可能である。また、電子決済装置12は、自動販売機11に接続して設置され、電子決済装置12と自動販売機11とは双方向で通信が可能である。電子決済装置12は、自動販売機11に接するように電子決済装置12を配置しても良いし、電子決済装置12を自動販売機11と離して設置するのでも良い。すなわち、自動販売機11と電子決済装置12とは、通信が可能なように接続されていれば、物理的に接していても接していなくても良い。
【0052】
図2に示すように、電子決済装置12は、本体17と、複数の決済インターフェイスと、報知装置18とを備える。複数の決済インターフェイスは、購入者が有するスマートフォン15への情報の送信に用いられ、かつ、それぞれの決済インターフェイスは複数種類の電子決済のいずれかの種類を実行するために用いられる。報知装置18は、商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて購入者の行動を誘導するための報知を行う。
【0053】
決済インターフェイスは、上記したように、スマートフォン15と電子決済装置12とが通信するためのアクセス部である。決済インターフェイスの種類は決済媒体の種類により区別される。決済媒体がNFCモジュールを搭載するスマートフォン15である場合、決済インターフェイスは、スマートフォン15が、電子決済装置12が有するNFCタグから適切に情報を取得するためのアクセス部である。
【0054】
同様に、決済媒体がICカードである場合、決済インターフェイスは、ICカードが備えるNFCタグが、電子決済装置12が有するNFCモジュールと通信するためのアクセス部であり、済媒体が図形コードを読み取る機能を有する場合、決済インターフェイスは、図形コードである。
【0055】
複数の決済インターフェイスのそれぞれは、複数種類の電子決済のうちのいずれかの種類の電子決済に対応する。そして、複数の決済インターフェイスは、決済媒体がNFCにより情報の取得を行うための近距離無線通信用決済インターフェイス(以下、NFCインターフェイスという)19と、決済媒体が図形コードにより情報の取得を行うための図形コード用決済インターフェイス(以下、図形インターフェイスという)20とを少なくとも含む。
【0056】
NFCインターフェイス19は、購入者がスマートフォン15を接近させる位置を示すNFC用表示21を有し、かつ、購入者がスマートフォン15をNFC用表示21に接近させた場合に、NFCが可能な位置にNFCタグを有する。スマートフォン15は、NFCインターフェイス19の付近において、NFCインターフェイス19が有するNFCタグ(図示せず)と通信し、NFCタグが有する情報を受け取る通信を行う。なお、購入者がスマートフォン15をNFC用表示21に接近させることを、スマートフォン15をNFC用表示21にかざすとも言われる。
【0057】
NFC用表示21は、購入者が、NFCを行うためにスマートフォン15を接近させる場所であるということが認識できるような表示であればよく、円の中に「NFC」と記載したもの、NFCを用いる決済ブランド名を記載したもの、NFC等の通信を想起させるアイコンを記載したもの等とすることができる。この表示は、自動販売機11の前面に向くように配置される。したがって、購入者はNFCによる通信が可能なスマートフォン15を用いる場合、この表示により、表示の領域にスマートフォン15を接近させる行動をとれば良いことが容易に理解できる。
【0058】
NFCインターフェイス19が有する近距離無線通信装置は、NFCタグ又はNFCモジュールとすることができる。NFCインターフェイス19は、NFC用表示21の裏にNFCタグを有する構成としてもよい。なお、NFC用表示21の裏とは、スマートフォン15をNFC用表示21付近にかざした場合に、NFCによる通信が可能な位置であればよい。
【0059】
図形インターフェイス20は、符号化情報を読み取ることが可能な図形コードであるQRコード22を備える。図形コードは、符号化情報が読み取ることが可能な図形コードであればよく、バーコード、画像等であってもよい。スマートフォン15は、スマートフォン15のカメラ及び図形コード認識機能を用いることにより情報を受け取る通信を行う。図形コード認識機能は、スマートフォン15が搭載するアプリ等により実現される。
【0060】
QRコード22は、印刷された図形コードであることが好ましい。したがって、図形インターフェイス20は、スマートフォン15が備えるカメラが撮影する対象の表示としてQRコード22を備え、QRコード22は、広告用窓16を介して自動販売機11の前面に向くように配置される。したがって、購入者はQRコード22による通信が可能なスマートフォン15が有するカメラにより、このQRコード22を撮影すれば良いことが容易に理解できる。
【0061】
図3に示すように、自動販売機11は、購入者に商品を提供するにあたり、購入者と対面する前面に広告用窓16を備えることが好ましい。なお、
図3においては、電子決済装置12及び広告用窓16の一部を拡大したものも記載している。自動販売機11には、購入者と対面する前面に矩形の窪みからなる空間23(
図4参照)を形成し、空間23に商品の広告等を交換可能に設置する場合がある。この空間23を覆うように透明なプラスチック等による広告用窓16が設けられる。電子決済装置12は、空間23内に、すなわち、広告用窓16の内側に設置することが好ましい。
【0062】
広告用窓16は、プラスチック等の透明な材料により空間23を覆うように備えられており、広告用窓16を通して空間23内を見ることができるように構成される。空間23内には、自動販売機11が販売する商品の広告が添付される場合があり、購入者は、自動販売機11と対面した際に、広告用窓16を通して広告を見ることができる。
【0063】
電子決済装置12を広告用窓16の内側に設置する場合、広告用窓16には小さな穴が開けられていても良い。これにより、電子決済装置12の報知装置が発する報知である音、音声等を、購入者が聞き取りやすい。また、広告用窓16は、適度に透明であることが好ましい。広告用窓16は、電子決済装置12が有する図形コードをスマートフォン15が正しく認識できる程度、かつ、電子決済装置12の報知装置が発する光を通す程度の透明度が必要だからである。
【0064】
電子決済装置12は、電子決済装置12の本体17において、複数の決済インターフェースを貼付して備え、かつ、報知装置を内蔵して備えてもよい。この場合、電子決済装置12の本体17の表面において、少なくとも、NFCインターフェイス19と、図形インターフェイス20とを隣接して備える。
【0065】
図4に示すように、電子決済装置12の本体17の表面に、NFCインターフェイス19及び図形インターフェイス20(図示せず)を貼付し、これらの複数の決済インターフェイスが自動販売機11の前面に向くように、電子決済装置12を広告用窓16の裏側に貼り付けてもよい。NFCインターフェイス19の本体17と対面する面19aに、NFCタグ(図示せず)が添付される。NFCタグは、NFCインターフェイス19に購入者がスマートフォン15を接近させた場合に通信が可能な場所であれば、この位置に限らず設置することができる。したがって、電子決済装置12のNFC決済インターフェイスが貼付される部分は、広告用窓16側から自動販売機11の裏側へ、水平方向に、NFCインターフェイス19、NFCタグ、本体17、自動販売機11の構造体24の順に配置される。また、図形インターフェイス20は、図形が記載された面と広告用窓16とを接するようにして、広告用窓16に貼付する。
【0066】
また、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、電子決済装置12は、複数の決済インターフェイスを本体17と分離して広告用窓16に貼付して備え、報知装置18を本体17に内蔵して備えても良い。複数の決済インターフェイスと、報知装置18を内蔵した本体17とを合わせたものが、電子決済装置12である。複数の決済インターフェイスは、決済インターフェース毎に分割していても良いが、複数のインターフェイスがそれぞれ互いに隣接している限り、まとまった形態で貼付されても良い。また、複数の決済インターフェイスが3つ以上である場合も上記と同様である。
【0067】
図6に示すように、この場合、電子決済装置12が含む複数の決済インターフェイスと報知装置18を内蔵する本体17とは、物理的に分離してもよい。複数の決済インターフェイスは、それぞれ広告用窓16に貼付される。したがって、自動販売機11の前面から見た場合に、NFCインターフェイス19及び図形インターフェイス20が隣接して配置される。したがって、購入者がスマートフォン15でQRコードによる電子決済の種類を実行したい場合にどこを撮影すればよいのか、また、購入者がスマートフォン15でNFCによる電子決済の種類を実行したい場合にどこに接近させればよいのか、ひと目で容易に認識することができる。
【0068】
図7に示すように、広告用窓16の裏側に、NFCインターフェイス19を貼付する。貼り付ける際は、これらの複数の決済インターフェイスが自動販売機11の前面に向くように複数の決済インターフェイスをそれぞれ貼り付ける。NFCインターフェイス19の、広告用窓16と接する面と反対の面にNFCタグ25を貼付する。NFCタグ25は、NFCインターフェイス19に購入者がスマートフォン15を接近させた場合に通信が可能な場所であれば、これに限らない。
【0069】
本体17は、広告が貼り付けられる空間23内の自動販売機11の構造体24に固定して配置する。複数の決済インターフェースと本体17とは、物理的のみならず電気的にも接続していないが、場合によっては電気的に接続し、通信等を行っても良い。
【0070】
上記したように、いずれの種類の電子決済であっても、購入者の識別と購入者のオーソリとを行うが、購入者のオーソリには、販売する商品の特定が必要である。電子決済装置12は、電子決済の種類に応じた決済インターフェースを備え、少なくともNFCインターフェイス19と、図形インターフェイス20との2つの決済インターフェイスを備える。したがって、複数種類の電子決済において、複数の決済インターフェースのいずれかにより、購入者が商品を購入しようとする自動販売機11の特定、購入者が選択した種類の電子決済等のために、購入者が有するスマートフォン15に自動販売機11又は電子決済装置12に関する情報を送信することができる。
【0071】
なお、自動販売機11又は電子決済装置12に関する情報には、自動販売機11が備える商品、価格、自動販売機11の識別情報、電子決済装置12の識別情報等が含まれる。これにより、スマートフォン15は、購入する商品及びその価格、自動販売機11の識別情報等、販売に関する情報を取得する。スマートフォン15は、これらの販売に関する情報を取得した後、スマートフォン15が備えるアプリ、通信機能等により電子決済を進める。
【0072】
具体的には、購入者が有するスマートフォン15が有するNFCモジュール、カメラ、決済サーバ等との通信等の機能と、場合によりスマートフォン15が備えるアプリとにより、商品等の特定、購入者の識別、及び購入者のオーソリが行われ、電子決済を実行する。電子決済装置12は、少なくともNFCインターフェイス19と、図形インターフェイス20との2つの決済インターフェイスを備えるため、NFCを利用する電子決済ブランドの電子決済と、図形コードを利用する電子決済ブランドの電子決済との、少なくとも2種類の電子決済を行うことができる。したがって、複数の決済インターフェイスは本体17と物理的及び/又は電気的に接続していなくてもよい。
【0073】
電子決済装置12は、複数の決済インターフェイスを本体17と分離して広告用窓16に貼付して備え、報知装置18を本体17に内蔵して備えることにより、複数の決済インターフェイスと本体17とを簡便に設置することができる。また、決済インターフェイス及び本体17のそれぞれについて、修理、変更等を行いやすいため好ましい。
【0074】
電子決済装置12が広告用窓16の内側に設置されることにより、印刷された図形コードを用いたMPM(Merchant-Presented Mode)であっても、図形コードが改ざんされるリスクを少なくすることができる。また、広告用窓16は、既存の自動販売機11に備えられることが多いため、電子決済装置12を有さない自動販売機11に新たに電子決済装置12を追加して設置することが容易である。また、広告用窓16はもとより透明であるため、購入者に確実に音又は光による報知を行うことができる。また、電子決済装置12が風雨にさらされないため、電子決済装置12の構造を簡易なものとすることができる。また、NFCの特性上、広告用窓16があってもNFCによる通信を支障がないものとすることができる。また、広告用窓16内に複数の決済インターフェイスが設置されることにより、電子決済装置12が購入者の注目を引きやすく、また、電子決済に伴って広告の視認度が高くなることも考えられる。
【0075】
報知装置18は、自動販売機11による商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて、購入者の行動を誘導するための報知を行う。商品の提供の段階又は電子決済の段階とは、商品の提供又は電子決済における購入者の行動に基づいて、商品提供又は電子決済の流れをいくつかの段階に分けたものである。
【0076】
商品の提供の段階又は電子決済の段階は、電子決済を成功させた場合は、購入者が自動販売機11から商品を購入しようと考えた当初から、自動販売機11から商品が提供される際までの各段階とすることができ、電子決済を失敗した場合は、購入者が自動販売機11から商品を購入しようと考えた当初から、購入者に対する誘導、通知等までの各段階とすることができる。電子決済の段階も同様であり、購入者が電子決済をしようと考えた当初から、電子決済が成功するまでの各段階とすることができ、電子決済が失敗した際は、購入者が電子決済をしようと考えた当初から、電子決済が失敗し、その後の購入者に対する誘導までの各段階とすることができる。
【0077】
自動販売機11による商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じた報知では、上記のような段階のそれぞれに対応して、報知装置18が、購入者に対して行動を誘導するように、例えば光、音、又は音声等を発する。報知は、上記のような段階のそれぞれに対応して同じ内容の報知を行っても良いし、上記のような段階のそれぞれに対応して異なる内容の報知を行っても良い。
【0078】
報知装置18は、電子決済装置12に備えられて、購入者の視覚、聴覚等に働きかけ、行動を誘導することができる装置であれば良い。例えば、報知装置18は、光発生装置及び/又は音発生装置とすることができる。光発生装置である報知装置18は、光により、購入者の注意を引くことができる。音発生装置である報知装置18は、音又はアナウンス等の音声により、購入者の注意を引いたり、購入者の行動を誘導することができる。また、報知装置18は、テキスト、テキスト及び画像等を表示するディスプレイであってもよい。
【0079】
報知装置18は、商品の販売又は電子決済の段階に応じて異なる報知を行っても良い。異なる報知とは、異なる光、異なる音、異なる音声等のうち、少なくともいずれか1つを発生することを意味する。異なる光、異なる音、及び異なる音声とは、報知装置18が発生する光、音、音声等が商品の販売又は電子決済の段階に応じて異なっていれば良く、異なる色、異なる強さ、異なる発光パターン等での報知が挙げられる。これにより、報知装置18は、より的確に、購入者にとってわかりやすい態様で、購入者に対して商品の販売又は電子決済に段階に応じた報知を行うことができる。
【0080】
報知装置18は、商品の販売又は電子決済の段階に応じて異なる報知を行う場合、異なる色の光、異なる音、及び異なる音声のうち、いずれか1つを発生してもよいし、これらから選ばれる2つ又は3つともを発生してもよい。また、光のみならず、光と音、光と音声、音と音声、光と音と音声等、これらを組み合わせた発生としてもよい。どのような報知とするかは、自動販売機11が置かれる環境、時刻等により、選択することができ、騒音が多い箇所であれば光と音声とを両方発生させ、騒音が少ない箇所又は深夜であれば、弱い光のみで誘導する等と調整してもよい。
【0081】
報知装置18は、発光ダイオード光源及び/又はスピーカーであることが好ましい。発光ダイオード光源は、LED(Light Emitting Diode)を用いた光源であり、購入者が視聴可能に光を発生するものであれば、1つを用いても、複数を用いて白色又は様々な色を発光させても良い。スピーカーは、購入者が視聴可能に音又は音声を発生することが好ましく、特に、購入者が音声による音声案内を聞き分けることができるものであることが好ましい。
【0082】
また、報知装置18は、少なくとも複数の決済インターフェイスを隣接して設けることにより形成される隣接部から報知を行うことが好ましい。なお、隣接部は、複数の決済インターフェイスが隣接する付近の領域であればよく、厳密に領域を限定するものではない。また、報知装置18は、購入者への報知を効果的に行うために、さらに、隣接部以外であって、報知が効果的に行える場所にも設けてもよい。
【0083】
図8に示すように、電子決済装置12の本体17にNFCインターフェイス19と図形インターフェイス20とを貼付する場合、NFCインターフェイス19と図形インターフェイス20とを隣接して設けることにより、隣接部30が形成される。隣接部30に、発光ダイオード光源27とスピーカー28とが設置される。電子決済装置12内に設置された音源による音を発生するスピーカーが本体17の音源部分に穴が開けられることにより、音又は音声が発生される。発光ダイオード光源27とスピーカー28とは、電子決済装置12のコストが抑えられ、また、購入者が認識しやすいことから、隣接部30にそれぞれ1つを設けることが好ましい。発光ダイオード光源27とスピーカー28とは、隣接部30に配置されることが好ましいが、それぞれ配置、個数等は限らない。
【0084】
図9に示すように、NFCインターフェイス19と図形インターフェイス20とを本体17と分離して広告用窓16に貼付して備え、かつ、発光ダイオード光源27とスピーカー28とを本体に内蔵して備える場合(
図7参照)、本体に内蔵した発光ダイオード光源27とスピーカー28とは、NFCインターフェイス19と図形インターフェイス20とを隣接して設けることにより形成される隣接部30から報知を行うことが好ましい。したがって、NFCインターフェイス19と図形インターフェイス20とが添付される広告用窓16から離れて、空間23内の広告が添付される構造体24に設置された本体17は、自動販売機11の前面に向く側に発光ダイオード光源27とスピーカー28とが設けられ(図示せず)、自動販売機11の前面に位置する購入者が、隣接部30から、本体17に設けられた発光ダイオード光源27の光が見え、また、スピーカー28からの音又音声を報知として受け取ることが可能な位置に配置することが好ましい。
【0085】
隣接部30から報知が行われることにより、隣接部30といった一定の領域から報知が発生されるため、購入者は、報知がどこから発生しているかに気が付きやすく、効果的に購入者に対する報知を行うことができる。また、報知装置18及びこれを含む電子決済装置12を簡易で小型の装置とすることができる。
【0086】
報知装置18は、発光ダイオード光源27及びスピーカー28であり、発光ダイオード光源27及びスピーカー28は、隣接部30にそれぞれ1つを設けることが好ましい。これにより、例えば、発光ダイオード光源27の1つを点灯させることで、複数の決済インターフェイスのすべてを照明することができ、また、スピーカー28を1つから音又は音声を発生させることで、コストの抑制、購入者が気が付きやすいといった利点につながり、効率よく、効果的に、購入者に報知を行うことができる。
【0087】
発光ダイオード光源27及びスピーカー28は、隣接部30において、複数の決済インターフェイスのそれぞれからほぼ等距離にある部分に設けることが好ましい。これにより、購入者に複数の決済インターフェイスのそれぞれについて注意を向けることができる。
【0088】
ここで、販売システム10が購入者に商品を提供する際の販売システム10における処理等の流れについて説明する。第1に、最初に購入者が自動販売機11により商品を選択する場合、第2に、最初に購入者が有するスマートフォン15と電子決済装置12が備える通信インターフェイスとが通信する場合の2つの例について説明する。
【0089】
図10に示すように、最初に購入者が自動販売機11により商品を選択する第1の場合において、販売システム10を用いて購入者が商品を提供する際の処理の流れについて説明する。この場合、購入者が備えるスマートフォン15はQRコードを用いた決済(以下、QR決済という)のアプリを備える。購入者は複数種類の電子決済のうちの1つである、このQR決済のアプリにより電子決済を完了する。自動販売機11においては、一般的に使用される複数種類の電子決済はいずれであっても使用可能であるが、使用可能である電子決済が何であるかを自動販売機11の購入者が対面する面のいずれかに掲示がされていても良い。
【0090】
報知装置18は、商品の販売又は電子決済の段階が、購入者による商品の選択後である場合、音声の発生により、決済インターフェイスの位置を示すための報知を行っても良い。購入者は、飲料の自動販売機である自動販売機11(
図1参照)に対面して、購入しようとする商品を自動販売機11が備える商品選択ボタンを押下することにより選択する(ステップST010)。購入者が商品選択ボタンを押下した段階で、電子決済装置12の発光ダイオード光源27が予め設定された一定の間隔で点滅し、スピーカー28から音声案内29が発生する。なお、図において、発光ダイオード光源27については、異なる網掛けは異なる態様の点灯であることを示す。また、自動販売機11は、商品選択ボタンが押下された際に、端末装置(図示せず)又は電子決済装置12により管理サーバ13と通信し、管理サーバ13は、特定の自動販売機11において商品選択ボタンが押下され、商品販売の初期の段階であることを一定時間記憶する。
【0091】
また、購入者が商品選択ボタンを押下した際に、電子決済装置12又は端末装置(図示せず)が、特定の自動販売機が商品購入の受付を完了したことに関する情報を通信Cにより決済サーバ14に通知してもよい(
図11参照)。この場合、決済サーバ14は、受付を完了したことを通信Cにより電子決済装置12又は端末装置(図示せず)に送信してもよい。これにより、決済サーバ14が、スマートフォン15がアプリ経由で行う今回の電子決済と、電子決済装置12又は端末装置から送られる情報とを照合できるため、より安全な電子決済を可能にする。
【0092】
商品の購入又は電子決済のこの段階での音声案内29は、「スマホ決済操作の後、音が鳴るまでお待ちください」とのアナウンス等である。購入者は、これらの報知により、電子決済装置12を認識し、スマホ決済操作の実行、及び音が鳴るまでの待機、といった行動をするよう誘導される。
【0093】
また、音声案内29と発光ダイオード光源27による発光とが連動してもよい。例えば、音声案内29が流れる間は、発光ダイオード光源27による発光パターンが、予め設定された一定の間隔で点滅するものから、別の発光パターンに変化させてもよい。
【0094】
購入者は、音声案内29に従って、スマートフォンが備える複数種類の電子決済用のアプリの一つであるQR決済のためのアプリを立ち上げる(ステップST020)。その後、購入者は、電子決済装置12が図形インターフェイス20を有することを認識しているため、迷うことなく、アプリによりQRコードを読み取る(ステップST030)。
【0095】
購入者のスマートフォンが備えるQR決済アプリは、図形インターフェイス20を読み取ることにより、自動販売機11を識別し、自動販売機11と購入者とが紐付けられる。
図11に示すように、これは、電子決済装置12とスマートフォン15との通信Dによる通信である。そして、自動販売機11が商品を販売する購入者が、自動販売機11とともに識別され、次に、QR決済アプリの機能により、これらの識別情報を決済サーバ14に送信するために、スマートフォン15と決済サーバ14とが通信Eにより通信する(ステップST040)。
【0096】
この通信Eにより、スマートフォン15には電子決済を実行するための報知用文字32が示される。報知用文字32は、決済の段階により各種のものを示してもよい。例えば、「お支払い金額/150/支払い(ボタン)」との報知用文字32とすることにより、購入者は、スマートフォン15の画面に表示された支払いボタンをクリックすることにより、電子決済を実行することができる。なお、通信Eはインターネット、携帯電話回線等が用いられる。このようにして、スマートフォン15により電子決済が実行される(ステップST050)。
【0097】
上記のようなスマートフォン15による電子決済の実行開始とともに、電子決済装置12は通信A経由の通信B又は通信Cにより決済サーバ14と通信し、電子決済装置12からは価格及び決済依頼に関する送信が行われる。
【0098】
決済サーバ14は、自動販売機11が購入者に商品を提供する際の複数種類の電子決済において、特定の自動販売機11が、特定の購入者に特定の商品を提供するにあたって、電子決済装置12又は端末装置を介した自動販売機11の情報と、スマートフォン15からの情報とにより、電子決済の可否判定処理(オーソリゼーション、以下、オーソリという)を行う。決済サーバ14は単独でオーソリを行ってもよいが、他のサーバと接続し、複数のサーバでオーソリを行う、マルチ決済のゲートウェイサービス機能を有する決済サーバ14であることが好ましい。
【0099】
マルチ決済のゲートウェイサービス機能を有する決済サーバ14は、複数種類の電子決済においてそれぞれの電子決済に関するオーソリを行う決済事業社各社の各サーバと通信することによって、複数種類の電子決済のオーソリを行う。決済サーバ14がマルチ決済のゲートウェイサービス機能を有するものであることにより、より多種類の電子決済を可能とすることができる。
【0100】
図12に示すように、本実施形態では、決済サーバ14は、マルチ決済のゲートウェイサービス機能を有する決済サーバ14であって、複数種類の電子決済のうちの一つである電子決済Aのオーソリを行う決済事業者サーバ31a、複数種類の電子決済のうちの一つである電子決済Bのオーソリを行う決済事業者サーバ31b、及び、複数種類の電子決済のうちの一つである電子決済Cのオーソリを行う決済事業者サーバ31cと接続する。そして、決済サーバ14がこれらと通信することにより、それぞれ電子決済の種類が異なる電子決済A、電子決済B及び電子決済Cのオーソリ結果を受領して、オーソリを行う。
【0101】
購入者が今回の決済において選択したアプリに関連する決済事業者サーバが決済事業者サーバ31bである場合、決済事業者サーバ31bからのオーソリ結果が、決済サーバ14を介して管理サーバ13に送られる(
図11参照)。したがって、QRコード決済の決済事業者等が異なっていても、こういった電子決済の種類を問わず、決済サーバ14は電子決済の可否判定処理の結果であるオーソリ結果を通信Bにより管理サーバ13に送ることができる。
【0102】
管理サーバ13は、オーソリ結果を通信Aにより電子決済装置12又は端末装置に送信する。オーソリ結果が、電子決済可である場合、電子決済装置12又は端末装置は、電子決済を完了とし、購入者に商品を排出して提供する(
図10参照、ステップST060)。購入者は、排出された商品を受け取る(ステップST070)。以上により、電子決済を用いた一回の販売が終了する。
【0103】
電子決済を完了とした場合、電子決済装置12は、管理サーバに決済完了通知を送信する。管理サーバ13は、電子決済装置12から送られた決済完了通知を決済サーバ14に通信Bにより送信する。決済サーバ14は、スマートフォンに電子決済完了の通知を行う。スマートフォンのQR決済のアプリにおいて、電子決済の完了の情報が表示される。
【0104】
電子決済が成功して完了した場合、電子決済装置12の発光ダイオード光源27は、点滅から点灯に切り替わる。スピーカー28又はスマートフォン15からは「Pi」、「チャリン」等の、電子決済の種類に応じた音による音声案内29等が発生される。これにより、購入者は、電子決済が成功して完了したことを認識できる。その後、電子決済装置12の発光ダイオード光源27は消灯し、スピーカー28からも音又は音声の発生は行わない。これにより、購入者は、一回の電子決済が終了したことを認識できる。
【0105】
なお、電子決済が失敗して完了した場合、電子決済装置12の発光ダイオード光源27、スピーカー28、又はスマートフォン15は、成功して完了した場合と異なる態様での発光及び異なる音の発生を行っても良い。これにより、購入者は、電子決済が失敗して完了したことを認識できる。成功した場合と同様に、その後、電子決済装置12の発光ダイオード光源27は消灯し、スピーカー28からも音又は音声の発生は行わず、購入者は、一回の電子決済が終了したことを認識できる。
【0106】
上記販売においては、特定の自動販売機11において商品選択ボタンが押下されたとの情報が管理サーバ13に送られ、管理サーバ13がオーソリ結果も受け取る。したがって、管理サーバ13が特定の自動販売機11における商品の選択の情報と、オーソリ結果とを受け取るため、これらが同一の販売におけるものであるか否かを判定することにより、MPM方式のQRコードを用いた場合であっても、偽のQRコードの場合は、例えば自動販売機11の照合ができないとの判定となるため、MPM方式のQRコードを用いた場合であってもセキュリティが保たれる。
【0107】
図13に示すように、上記と同様の販売システム10が購入者に商品を提供する際の販売システム10における処理等の流れにおいて、商品を選択したとの販売の段階(ステップST010)において、音声による報知として先に「QRコードは広告窓内のものをご使用下さい。」といった音声案内29を発生してもよい。その後、続けて、「スマホ決済操作の後、音が鳴るまでお待ち下さい」といった音声案内29を発生させる。その後の処理は、上記したステップST020以降の流れと同様である。これにより、広告用窓16に偽のQRコードが貼付されたとしても、購入者は音声案内29の報知により、偽のQRコードを読み取るおそれが抑えられる。
【0108】
広告用窓16の内側に図形インターフェイス20を配置すること、管理サーバ13において決済に関する判定を行うことができること、さらに、報知により顧客が貼付されたQRコードを使用しないよう注意ができる、といった複数の対策により、販売システム10では、MPM方式のQR決済において、安全性をより高めることができる。
【0109】
次に、最初に購入者が自動販売機11により商品を選択する第1の場合において、NFCを用いた決済について説明する。なお、上記にて説明した、第1の場合においてQRコードを用いた決済の場合と異なる点について主に説明する。
【0110】
図14に示すように、NFCを用いた決済では、購入者が備えるスマートフォン15はNFCモジュール及びNFCを用いた決済(以下、NFC決済という)のアプリを備える。購入者は自動販売機11において商品を選択する(ステップST110)。商品を選択後、自動販売機11では、発光ダイオード光源27の点滅及びスピーカー28からの音声案内29による報知が行われる。
【0111】
商品の購入又は電子決済のこの段階での音声案内29は、「スマホ決済操作の後、音が鳴るまでお待ちください」とのアナウンス等である。購入者は、これらの報知により電子決済装置12を認識し、スマホ決済操作の実行、及び音が鳴るまでの待機、といった行動をするよう誘導される。
【0112】
購入者は自らが有するスマートフォン15をNFCタグにかざすことにより(ステップST120)、スマートフォン15の案内に従って、ブラウザのコンテンツ又はアプリを立ち上げる(ステップST130)。スマートフォン15の画面の案内に従って操作を行い複数の電子決済のうち電子決済Aのブランドによる決済を選択し、決済を行う。ブラウザ又はNFC決済アプリを立ち上げた場合、商品の購入又は電子決済のこの段階での購入者の行動を誘導するものとして、スマートフォン15の画面において、「自動販売機で音が鳴るまでお待ち下さい」との報知用文字32が表示される。購入者は決済操作として一般的に行われるのと同様、スマートフォン15の画面で決済金額と決済手段とを選択して購入を完了させる操作を行う。
【0113】
すなわち、決済媒体であるスマートフォン15は、ディスプレイ等の報知手段を備え、報知手段は、スマートフォン15に備えられる電子決済用アプリケーション又はブラウザコンテンツにより制御され、商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて、購入者の行動を誘導するための報知を行っても良い。
【0114】
購入者はこの報知により決済の段階を案内される。電子決済装置12、スマートフォン15の案内により、NFCインターフェイス19がその裏面に有するNFCタグ25の情報が、スマートフォン15のNFCモジュールにより読み取られ、NFCタグ25の情報がNFCアプリに送られ、決済サーバ14との通信A経由の通信B又は通信D(
図11参照)が行われる(ステップST140)。
【0115】
なお、購入者は、自らが有するスマートフォン15をNFCタグにかざす前に、NFC決済アプリを立ち上げても良い。NFC決済アプリを先に立ち上げた場合、スマートフォン15により、スマートフォン15をNFCタグにかざすよう、音声又は画面上の報知用文字32(図示せず)により報知することにより、購入者の行動を誘導してもよい。なお、NFC決済アプリの代わりに、一般的に用いられるブラウザが開き、特定のサイトとの通信によりその後の処理を進めても良い。
【0116】
決済サーバ14は、管理サーバ13経由で自動販売機11から今回の決済に関する情報を通信A及び通信Bにより受け取っているため、オーソリを行う。スマートフォン15での決済操作を進め、オーソリを行うために、今回の決済に関する情報である、商品名、値段等の情報を通信E(
図11参照)によりスマートフォン15に送信する。
【0117】
スマートフォン15では、購入者が代金の支払いの確定を行う(ステップST150)。その後、決済サーバ14がオーソリを行い、オーソリ結果は電子決済装置12に送られる。以降の流れはQR決済の場合と同様である(ステップST160、ステップST170)。
【0118】
以上のように、販売システム10によれば、複数の電子決済のうち、購入者がNFC決済を選択した場合であっても、購入者は迷うことなく決済行動を行うことが可能である。
【0119】
次に、第2の場合として、最初に購入者が有するスマートフォン15と電子決済装置12が備える通信インターフェイスとが通信する場合について説明する。すなわち、自動販売機11では、商品選択の前に、購入者がスマートフォン15により複数種類の電子決済のうち、購入者が選択した電子決済の種類による電子決済の実行を始めても良い。
【0120】
図15に示すように、自動販売機11において購入者が商品を購入しようとして、購入者は最初に自らが有するスマートフォン15が有するQR決済アプリを立ち上げる(ステップST210)。QR決済アプリにより、購入者はQRコードをカメラで撮影するよう促される。購入者が、図形インターフェイス20におけるQRコード22をスマートフォン15のカメラで撮影することにより、スマートフォン15がQRコード22を読み取る(ステップST220)。
【0121】
QR決済アプリは、QRコード22からの情報を受け取ることにより、決済サーバ14への通信Eと、管理サーバ13を介した電子決済装置12への通信B及び通信A(
図11参照)により、自動販売機11には、購入者が商品を購入しようとしていることが通知される(ステップST230)。ここで、商品の販売の段階として、自動販売機11(電子決済装置12)は、スピーカー28からの音声案内29による報知を行う。
【0122】
商品の購入又は電子決済のこの段階での音声案内29は、「自動販売機で商品を選択してください」との音声アナウンス等である。購入者は、この報知により自動販売機11における商品選択を実行するといった行動をするよう誘導される。なお、ここで、音声案内29による報知とともに、自動販売機11において、商品選択ボタンの点灯、点滅等による、購入者に対する商品選択の行動を促す報知を行っても良い。
【0123】
購入者は、報知に促されて商品選択を行う(ステップST240)。その後の流れは、第1の場合と同様であり、スマートフォン操作により電子決済が実行され(ステップST250)、オーソリに基づき自動販売機11から商品が排出されて、電子決済が完了し(ステップST260)、購入者は自動販売機11から商品を受け取ることができる(ステップST270)。以上により、一回の決済又は販売が完了する。
【0124】
NFC決済の場合は、
図16に示すように、自動販売機11において購入者が商品を購入しようとして、NFCタグにかざすことにより(ステップST310)、スマートフォン15の案内に従って、ブラウザのコンテンツ又はNFC決済アプリを立ち上げる(ステップST320)。ブラウザ又はNFC決済アプリを立ち上げ、購入操作を開始することにより、NFCタグ25(図示せず)からの情報を受けとる通信Dを行う。
【0125】
NFC決済アプリは、NFCタグ25からの情報を受け取ることにより、決済サーバ14への通信Eと、管理サーバ13を介した電子決済装置12への通信B及び通信A(
図11参照)により、自動販売機11には、購入者が商品を購入しようとしていることが通知される(ステップST330)。以降は、上記したQR決済の場合と同様であり、購入者は、報知に促されて商品選択を行い(ステップST340)、スマートフォン操作により電子決済が実行され(ステップST350)、オーソリに基づき自動販売機11から商品が排出されて、電子決済が完了し(ステップST360)、購入者は自動販売機11から商品を受け取ることができる(ステップST370)。以上により、一回の決済又は販売が完了する。
【0126】
以上のように、先に商品を選択する第1の場合であっても、先に電子決済のアプリを立ち上げる第2の場合であっても、購入者がどちらの行動を選択しても行動を妨げられることなく、また、その後の電子決済の処理も、商品の購入又は電子決済の段階に応じた報知により、迷うことなく電子決済及び購入を完了することができる。
【0127】
なお、先に電子決済のアプリを立ち上げる第2の場合において、購入者が通信インターフェイスの場所をひと目で認識できるように、予め通信インターフェイスの場所を報知しておいてもよい。
【0128】
すなわち、報知装置18(
図5(B)参照)は、商品の販売又は電子決済の段階が、購入者による商品の選択前である場合、発光ダイオード光源27の点灯により、決済インターフェイスの位置を示すための報知を行っても良い。
図17に示すように、購入者は、飲料の自動販売機である自動販売機11(
図1参照)に対面して、報知装置18により報知されている決済インターフェイスの位置を認識する(ステップST300)。本実施形態では、発光ダイオード光源27の点灯により、発光ダイオード光源27に隣接するNFCインターフェイス19と、図形インターフェイス20が照明されており、自動販売機11が待機状態となっている。待機状態の自動販売機11を見て、購入者は、NFC決済及びQRコード決済が可能であることを認識する。
【0129】
購入者による商品の選択前の発光ダイオード光源27の点灯は、電子決済の際の点灯と、態様を異ならせても良い。点灯の態様は、例えば、光量、点灯パターン、色等により異ならせることができる。商品選択前の点灯は、常時点灯することとなるため、電子決済の際の点灯よりも少ない光量でゆっくりと点滅する、5秒に1度点滅する等の一定間隔での点滅等とすることができる。
【0130】
ここで、購入者は、QR決済の例のように、商品選択よりも先にNFC決済のスマートフォンアプリを立ち上げる場合がある。この場合、スマートフォンをNFCインターフェイス19にかざしNFCの通信を行う(ステップST310)と、以降はサーバとの通信(ステップST320)へ進み、操作の仕方によっては、このような流れになる場合もある。その後の処理は、上記したステップST330以降の流れと同様である。
【0131】
購入者による商品の選択前に、発光ダイオード光源27の点灯により、決済インターフェイスの位置を示すための報知が行われる場合、購入者はスマートフォンをどこにかざせばよいのか一目で理解することができる。
【0132】
以上の通り、販売システム10を、自動販売機11と、電子決済装置12と、管理サーバ13と、決済サーバ14とを備えるものとし、それぞれを以上のように構成したことにより、複数種類の電子決済が可能であるにもかかわらず、購入者が所望の種類の電子決済による購入をスムーズにかつ安全に行うことができる。すなわち、複数種類の電子決済は、電子決済装置12が複数種類の電子決済に対応する特定の複数の決済インターフェイスを備えることにより、さらには、決済サーバ14がマルチ決済のゲートウェイサービス機能を有する決済サーバ14であることにより、販売システム10の各装置が協働して実現される。
【0133】
また、複数種類の電子決済が可能であるにも関わらず、購入者は所望の種類の電子決済による購入をスムーズにかつ安全に行うことができる。販売システム10では、電子決済装置12が、商品の提供の段階又は電子決済の段階に応じて、購入者の行動を誘導するための報知を行う特定の報知装置18を備え、購入者が有する決済媒体と自動販売機11、及び、自動販売機11からの報知と購入者とが、商品の提供の段階又は電子決済の段階毎にやり取りを行うことにより、スムーズにかつ安全な電子決済を行うことができる。また、電子決済装置12と管理サーバ13とが、閉域網内で通信するため、例えば、管理サーバ13からの指示の改ざんを外部から試みても誤った電子決済を実行することがないことからも、安全な電子決済を行うことができる。
【0134】
また、広告用窓16の内側にQRコード22が配置される場合は、QRコード22の改ざんは、広告用窓16の外部からしか行えず、広告用窓16の外部からQRコード22の改ざんが行われたとしても、販売システム10は、報知により購入者に注意を喚起することができるため、QRコード22改ざんによる被害のリスクを抑えることができる。したがって、商品の販売又は電子決済の段階に応じた報知を行うことと、特定の電子決済装置12を有することとにより、販売システム10は、複数種類の電子決済が可能であるにもかかわらず、購入者が所望の種類の電子決済による購入をスムーズにかつ安全に行うことができる。
【0135】
なお、閉域網は、LTE(Long Term Evolution)通信を用いたネットワークであることが好ましい。LTE通信は通信規格の一種であるが、無線通信規格で広く採用されており、高速データ転送、低遅延、広いカバレッジエリアを実現する等の特徴を有することから、電子決済装置12と管理サーバ13との通信に好適である。
【0136】
また、購入者が有する決済媒体として、上記の実施形態ではスマートフォン15を有する場合について説明したが、決済媒体は、NFCモジュール及び電子決済のためのアプリを有するものが好ましく、スマートフォン15以外に、タブレット、スマートウオッチ等であってもよい。
【0137】
上記実施形態において、自動販売機11と、電子決済装置12と、管理サーバ13と、決済サーバ14等は、コンピュータを用いて実現することができる。これらのコンピュータはプロセッサ(processor)とこれらを制御する制御部を有する。したがって、上記した各装置等のハードウェア的な構造は、各種のプロセッサである。各種のプロセッサには、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種の手段として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、各種の処理を実行するために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。プロセッサは組み合わせて用いることにより、各手段を実現してもよい。
【0138】
上記記載から、以下の付記項に記載の販売システム及び電子決済装置を把握することができる。
【0139】
[付記項1]
購入者に商品を提供する販売装置と、前記販売装置に接続して設置され、前記商品の代金の決済において複数種類の電子決済が可能である電子決済装置と、前記電子決済装置と閉域網内で通信を行う管理サーバと、前記電子決済の可否判定処理を行い、前記管理サーバと通信を行う決済サーバとを備える販売システムであって、
前記電子決済装置は、本体と、前記購入者が有する決済媒体とのアクセス部であり、かつ、それぞれが複数種類の前記電子決済のいずれかの種類を実行するために用いられる複数の決済インターフェイスと、前記商品の提供の段階又は前記電子決済の段階に応じて前記購入者の行動を誘導するための報知を行う報知装置とを備え、
複数の前記決済インターフェイスは、それぞれ互いに隣接して設けられ、かつ、少なくとも前記決済媒体が近距離無線通信により情報を受信するための近距離無線通信用決済インターフェイスと、前記決済媒体が図形コードにより情報を受信するための図形コード用決済インターフェイスとを含み、
前記販売装置は、前記管理サーバを介して前記決済サーバから前記電子決済装置へ送信される前記電子決済の前記可否判定処理の結果に基づき、前記購入者に前記商品を提供する販売システム。
【0140】
[付記項2]
前記販売装置は、自動販売機である付記項1に記載の販売システム。
【0141】
[付記項3]
前記近距離無線通信用決済インターフェイスは、前記購入者が前記決済媒体を接近させる位置を示すNFC用表示を有し、かつ、前記購入者が前記決済媒体を前記NFC用表示に接近させた場合に前記近距離無線通信が可能な位置にNFCタグを有する付記項1または2に記載の販売システム。
【0142】
[付記項4]
前記図形コード用決済インターフェイスは、QRコードが印刷されるQRコード表示を有する付記項1ないし3のいずれか1項に記載の販売システム。
【0143】
[付記項5]
前記販売装置は、前記購入者と対面する前面に広告用窓を備え、
前記電子決済装置は、前記広告用窓の内側に設置される付記項1ないし4のいずれか1項に記載の販売システム。
【0144】
[付記項6]
前記電子決済装置は、前記本体において、複数の前記決済インターフェイスを貼付して備え、かつ、前記報知装置を内蔵して備える付記項1ないし5のいずれか1項に記載の販売システム。
【0145】
[付記項7]
前記電子決済装置は、複数の前記決済インターフェイスを前記本体と分離して前記広告用窓に貼付して備え、かつ、前記報知装置を前記本体に内蔵して備える付記項5に記載の販売システム。
【0146】
[付記項8]
前記報知装置は、光発生装置及び/又は音もしくは音声発生装置である付記項1ないし7のいずれか1項に記載の販売システム。
【0147】
[付記項9]
前記報知装置は、前記商品の販売又は前記電子決済の段階に応じて異なる報知を行う付記項1ないし8のいずれか1項に記載の販売システム。
【0148】
[付記項10]
前記報知装置は、発光ダイオード光源及び/又はスピーカーを含む付記項1ないし9のいずれか1項に記載の販売システム。
【0149】
[付記項11]
前記報知装置は、少なくとも、複数の前記決済インターフェイスを隣接して設けることにより形成される隣接部から報知を行う付記項1ないし10のいずれか1項に記載の販売システム。
【0150】
[付記項12]
前記報知装置は、発光ダイオード光源及びスピーカーを含み、
前記発光ダイオード光源及びスピーカーは、複数の前記決済インターフェイスを隣接して設けることにより形成される隣接部にそれぞれ1つを設ける付記項1ないし11のいずれか1項に記載の販売システム。
【0151】
[付記項13]
前記報知装置は、前記商品の販売又は前記電子決済の段階が、前記購入者による前記商品の選択後である場合、前記音声の発生により、前記決済インターフェイスの位置を示すための前記報知を行う付記項1ないし12のいずれか1項に記載の販売システム。
【0152】
[付記項14]
前記決済媒体は、報知手段を備え、
前記報知手段は、前記決済媒体に備えられる電子決済用アプリケーションにより制御され、前記商品の提供の段階又は前記電子決済の段階に応じて前記購入者の行動を誘導するための報知を行う付記項1ないし13のいずれか1項に記載の販売システム。
【0153】
[付記項15]
前記報知装置は、前記商品の販売又は前記電子決済の段階が、前記購入者による前記商品の選択前である場合、前記発光ダイオード光源の点灯により、前記決済インターフェイスの位置を示すための前記報知を行う付記項1ないし14のいずれか1項に記載の販売システム。
【0154】
[付記項16]
前記閉域網は、LTE通信を用いたネットワークである付記項1ないし15のいずれか1項に記載の販売システム。
【0155】
[付記項17]
前記決済媒体は、スマートフォンである付記項1ないし16のいずれか1項に記載の販売システム。
【符号の説明】
【0156】
10 販売システム
11 自動販売機
12 電子決済装置
13 管理サーバ
14 決済サーバ
15 スマートフォン
16 広告用窓
17 本体
18 報知装置
19 NFCインターフェイス
19a 面
20 図形インターフェイス
21 NFC用表示
22 QRコード
23 空間
24 構造体
25 NFCタグ
27 発光ダイオード光源
28 スピーカー
29 音声案内
30 隣接部
31a、31b、31c 決済事業者サーバ
32 報知用文字
ST010~ST370 ステップ