(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131055
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】シート構造
(51)【国際特許分類】
B60R 22/00 20060101AFI20240920BHJP
B60R 22/26 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60R22/00 201
B60R22/26
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041081
(22)【出願日】2023-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】杉山 洋樹
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018CA03
3D018CB06
(57)【要約】
【課題】シート構造において、シートベルトの装着性を低下させづらくする。
【解決手段】シート構造Sは、座面部11を有する車両のシート1と、座面部11側方に設けられており、シートベルトの接続部が着脱可能に接続されるシートベルト固定部2と、を備えるシート構造Sであって、シート1は、シートベルト固定部2を座面部11の側面において保持するループを形成し、弾性を有するバンド13を有し、バンド13の一端13a及び他端13bは、シート1の前後方向において所定の間隔だけ離れた状態で、座面部11に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面部を有する車両のシートと、
前記座面部側方に設けられており、シートベルトの接続部が着脱可能に接続されるシートベルト固定部と、
を備えるシート構造であって、
前記シートは、前記シートベルト固定部を前記座面部の側面において保持するループを形成し、弾性を有するバンドを有し、
前記バンドの一端及び他端は、前記シートの前後方向において所定の間隔だけ離れた状態で、前記座面部に設けられている、
シート構造。
【請求項2】
前記一端及び前記他端は、前記座面部の上面と前記側面との境界部分に設けられている、
請求項1に記載のシート構造。
【請求項3】
前記バンドは、前記ループに、前記シートベルトの接続部が接続されていない前記シートベルト固定部が通された状態で、前記シートベルト固定部の先端側が前記側面の下端よりも上方となるように設けられている、
請求項1又は2に記載のシート構造。
【請求項4】
前記バンドは、前記ループに、前記シートベルトの接続部が接続されていない前記シートベルト固定部が通された状態で、前記ループの最下端が前記側面の下端よりも上方となるように設けられている、
請求項3に記載のシート構造。
【請求項5】
前記バンドの前記一端と前記他端の間に隙間が形成されている、
請求項1に記載のシート構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、シート構造が設けられている。特許文献1には、シートの側端後部にバックル側のシートベルトのウエビングが挿通されている可撓性を有する略環状の保持具が取付けられており、保持具の一方側の端部と他方側の端部が、車両前後方向において同じ位置に設けられている構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す保持具の場合、シートベルト装着時にシートベルトの接続部がシートベルト固定部から外されると、保持具の弾性力によってシートベルト固定部がシートから離れる方向に倒れ込んでしまう場合がある。この場合、シートベルトを装着する際に、装着しづらいという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、シートベルトの装着性が低下しづらいシート構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、座面部を有する車両のシートと、前記座面部側方に設けられており、シートベルトの接続部が着脱可能に接続されるシートベルト固定部と、を備えるシート構造であって、前記シートは、前記シートベルト固定部を前記座面部の側面において保持するループを形成し、弾性を有するバンドを有し、前記バンドの一端及び他端は、前記シートの前後方向において所定の間隔だけ離れた状態で、前記座面部に設けられている、シート構造を提供する。
【0007】
また、前記一端及び前記他端は、前記座面部の上面と前記側面との境界部分に設けられていてもよい。
【0008】
また、前記バンドは、前記ループに、前記シートベルトの接続部が接続されていない前記シートベルト固定部が通された状態で、前記シートベルト固定部の先端側が前記側面の下端よりも上方となるように設けられていてもよい。
【0009】
また、前記バンドは、前記ループに、前記シートベルトの接続部が接続されていない前記シートベルト固定部が通された状態で、前記ループの最下端が前記側面の下端よりも上方となるように設けられていてもよい。
【0010】
また、前記バンドの前記一端と前記他端の間に隙間が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シート構造において、シートベルトの装着性が低下しづらくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】シート構造におけるシートベルト未装着時及び装着時のバンドの状態を示す。
【
図3】比較例としてのシート構造におけるシートベルト未装着時及び装着時のバンドの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[シート構造Sの構造]
図1は、本実施形態に係るシート構造Sの構造を示す図である。なお、
図1は、シート構造Sにおけるシート1のバンド13付近をシート1の側方から見た状態を示す図である。
【0014】
シート構造Sは、シート1及びシートベルト固定部2を有する。シート1は、車両に設けられている。シート1は、車両の乗員が座る席である。シート1は、座面部11及び背もたれ部12を有する。座面部11は、車両の乗員が座る部位である。座面部11は、略水平に設けられている。
【0015】
背もたれ部12は、車両の乗員が座面部11に座った状態で、車両の乗員の背中が接する部位である。背もたれ部12は、座面部11に対して回動可能に設けられている。シート1の詳細は後述する。
【0016】
シートベルト固定部2は、シートベルトの接続部(不図示)が着脱可能に接続される。具体的には、シートベルト固定部2の先端に、シートベルトの接続部が着脱可能に接続される。シートベルト固定部2は、座面部11側方に設けられている。シートベルト固定部2は、
図1の例では、先端側が上方となり基端側が下方となり、水平方向に対して傾斜するような向きで設けられている。
【0017】
[シート1の構造]
シート1は、バンド13を有する。バンド13は、シートベルト固定部2を座面部11に保持させるための部材である。バンド13は、シートベルト固定部2を座面部11の側面において保持するループを形成している。ここで、「ループ」は、シートベルト固定部2を保持できる環状の形状であればよく、完全に閉じた環がバンド13によって形成される必要はない。
【0018】
バンド13のループには、シートベルト固定部2が通された状態で固定されている。バンド13は、弾性を有する、伸縮可能な部材である。バンド13の一端13a及び他端13bは、シート1の前後方向において所定の間隔だけ離れた状態で、座面部11に設けられている。
【0019】
図2は、シート構造Sにおけるシートベルト未装着時及び装着時のバンド13の状態を示す図である。なお、
図2(a)は、シートベルト固定部2を保持していないバンド13の状態を模式的に示す図である。
図2(b)は、シートベルト装着時のバンド13の状態を模式的に示す図である。なお、
図2では、バンド13の両端が
図1よりも互いに離れた構成が例示されている。
【0020】
図2(a)に示すように、バンド13がシートベルト固定部2を保持していない状態では、バンド13のループの最下端は、例えば座面部11の側面の下端よりも上方に位置する。このとき、バンド13は自然長であり、伸び量はゼロである。
【0021】
図2(b)に示すように、シートベルト装着時には、シートベルト固定部2の先端側が、バンド13の一端13a及び他端13bの位置から離れる方向に引っ張られているため、バンド13は伸びている状態となる。
【0022】
図3は、比較例としてのシート構造Tにおけるシートベルト未装着時及び装着時のバンド61の状態を示す図である。なお、
図3(a)は、シートベルト固定部2を保持していないバンド61の状態を模式的に示す図である。
図3(b)は、シートベルト装着時のバンド61の状態を模式的に示す図である。
【0023】
従来のシート構造Tは、シート構造Sと比べて、バンド61の一端及び他端が、シート6の前後方向における同じ位置で、座面部11に設けられているバンド61を有する点で異なる。
【0024】
シート構造Tは、シート6及びシートベルト固定部2を有する。シート6は、シート1と同様に、車両に設けられている。シート6は、座面部11、背もたれ部12、及びバンド61を有する。バンド61は、バンド13と同様に、シートベルト固定部2を座面部11の側面において保持するループを形成している。バンド61は、バンド13と同様に、弾性を有する。
【0025】
バンド61の一端及び他端は、シート6の前後方向における同じ位置で、座面部11に設けられている。
【0026】
図3(a)に示すように、バンド61がシートベルト固定部2を保持していない状態では、バンド61の下端は、例えば、座面部11の側面の下端よりも下方に位置している。
図3(a)に示すように、バンド61の一端及び他端が、シート6の前後方向における同じ位置で、座面部11に設けられている場合、シートベルトの装着性の低下を防ぐためにバンド61のループの最下端の位置が低くなり過ぎないようにするためには、バンド61の長さが短くなってしまう。
【0027】
図3(b)に示すように、シートベルト装着時には、シートベルト固定部2の先端側が、バンド61の一端及び他端の位置から離れる方向に引っ張られているため、バンド61は伸びている状態となる。このとき、バンド61の長さが短いため、バンド61の伸び量が大きくなってしまう。
【0028】
その結果、シートベルト装着時にシートベルトの接続部をシートベルト固定部2から外すと、バンド61の弾性力によってシートベルト固定部2がシート6から離れる方向に倒れ込んでしまう。したがって、シート構造Tにおいては、シートベルトの装着性が低下してしまう。
【0029】
これに対して、本実施形態のシート構造Sにおいては、前述したように、バンド13の一端13a及び他端13bは、シート1の前後方向において所定の間隔だけ離れた状態で、座面部11に設けられている。
【0030】
その結果、シート構造Sにおいては、バンド13のループの最下端の位置が低くならないようにしつつ、バンド13の長さを長くすることができるため、シートベルト装着時のバンド13の伸び量を小さくすることができる。したがって、シートベルト固定部2が受けるバンド13の弾性力を小さくすることができるため、シートベルト装着時にシートベルトの接続部をシートベルト固定部2から外した時に、シートベルト固定部2のシート1から離れる方向の傾斜角を小さくすることができる。よって、シート構造Sにおいては、シートベルトの装着性が低下しづらくなる。また、シート構造Sにおいては、シートベルト未装着時の見栄えも低下しづらくなる。
【0031】
バンド13の一端13a及び他端13bは、座面部11の上面と側面との境界部分に設けられている。シート構造Sにおいては、このようにバンド13の一端13a及び他端13bが座面部11に設けられていることで、バンド13の位置が座面部11の上面に対して低くなり過ぎない。その結果、シート構造Sにおいては、バンド13に保持されるシートベルト固定部2の位置が座面部11の上面に対して低くなり過ぎない。したがって、シート構造Sにおいては、シートベルトの装着性が低下しづらくなる。
【0032】
バンド13の長さは適宜設定可能であるが、本実施形態では、
図1に示すように、バンド13は、バンド13のループに、シートベルトの接続部が接続されていないシートベルト固定部2が通された状態で、シートベルト固定部2の先端側が座面部11の側面の下端よりも上方となるように設けられている。
【0033】
シート構造Sにおいては、このような長さにバンド13が設けられていることで、シートベルト固定部2の先端側を座面部11の側面における比較的高い位置に位置させることができる。その結果、シート構造Sにおいては、シートベルトの装着性が低下しづらくなる。
【0034】
また、バンド13は、バンド13のループに、シートベルトの接続部が接続されていないシートベルト固定部2が通された状態で、バンド13のループの最下端が座面部11の側面の下端よりも上方となるように設けられていてもよい。
【0035】
シート構造Sにおいては、このようにバンド13が設けられていることで、バンド13のループの最下端が座面部11の側面の下端よりも上方となる。その結果、シート構造Sにおいては、バンド13に保持されるシートベルト固定部2の位置が低くなり過ぎないようにすることができる。したがって、シート構造Sにおいては、シートベルトの装着性が低下しづらくなる。
【0036】
図1に示すように、バンド13の一端13aと他端13bの間に隙間が形成されている。このように、バンド13の一端13aと他端13bとが離れるようにループが形成される構成によれば、バンド13のループにシートベルト固定部2を通し易くすることができる。また、バンド13のループの最下端の位置が低くならないようにしつつ、バンド13の長さを確保することができる。
【0037】
バンド13の一端13aと他端13bとの間隔は、
図1の模式図のようにバンド13の幅の長さ以下であってもよいし、バンド13の幅の長さと同程度であってもよいし、又は、例えば、バンド13の幅の長さの3倍以上であってもよい。バンド13の一端13aと他端13bとの間隔がバンド13の幅の長さの3倍以上の場合、シート構造Sを製造する際にシートベルト固定部2をバンド13に通し易いという利点がある。
【0038】
[本実施形態に係るシート構造Sによる効果]
本実施形態に係るシート構造Sは、シートベルト固定部2を座面部11の側面において保持するループを形成し、弾性を有するバンド13を有するシート1を備える。そして、バンド13の一端13a及び他端13bは、シート1の前後方向において所定の間隔だけ離れた状態で、座面部11に設けられている。
【0039】
その結果、シート構造Sにおいては、バンド13のループの最下端の位置が低くならないようにしつつ、バンド13の長さを確保することができるため、シートベルト装着時のバンド13の伸び量を小さくすることができる。したがって、シートベルト固定部2が受けるバンド13の弾性力を小さくすることができるため、シートベルト装着時にシートベルトの接続部をシートベルト固定部2から外した時に、シートベルト固定部2のシート1から離れる方向の倒れ込み量を小さくすることができる。よって、シート構造Sにおいては、シートベルトの装着性が低下しづらくなる。また、シート構造Sにおいては、シートベルト未装着時の見栄えも低下しづらくなる。
【0040】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0041】
S・・・シート構造
1・・・シート
11・・・座面部
12・・・背もたれ部
13・・・バンド
13a・・・一端
13b・・・他端
2・・・シートベルト固定部
T・・・従来のシート構造
6・・・シート
61・・・バンド
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面部を有する車両のシートと、
前記座面部側方に設けられており、シートベルトの接続部が着脱可能に接続されるシートベルト固定部と、
を備えるシート構造であって、
前記シートは、前記シートベルト固定部を前記座面部の側面において保持するループを形成し、弾性を有し、前記シートベルト固定部の位置を前記シートに対して変更可能にする伸縮可能なバンドを有し、
前記バンドの一端及び他端は、前記シートの前後方向において所定の間隔だけ離れた状態で、前記座面部に設けられている、
シート構造。
【請求項2】
前記一端及び前記他端は、前記座面部の上面と前記側面との境界部分に設けられている、
請求項1に記載のシート構造。
【請求項3】
前記バンドは、前記ループに、前記シートベルトの接続部が接続されていない前記シートベルト固定部が通された状態で、前記シートベルト固定部の先端側が前記側面の下端よりも上方となるように設けられている、
請求項1又は2に記載のシート構造。
【請求項4】
前記バンドは、前記ループに、前記シートベルトの接続部が接続されていない前記シートベルト固定部が通された状態で、前記ループの最下端が前記側面の下端よりも上方となるように設けられている、
請求項3に記載のシート構造。