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特開2024-131056カード識別装置およびカード識別プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131056
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】カード識別装置およびカード識別プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041082
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】517334654
【氏名又は名称】株式会社KOIKOI
(71)【出願人】
【識別番号】522463026
【氏名又は名称】株式会社未来技研
(74)【代理人】
【識別番号】100187104
【弁理士】
【氏名又は名称】乾 智彦
(72)【発明者】
【氏名】森本 猛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC18
5L050CC18
(57)【要約】
【課題】カードの識別を短時間で確実に行うことができるカード識別装置を提供する。
【解決手段】カード識別装置20は、カメラ21で撮影された実際のカード40のカード撮影画像41を取得する画像取得部52と、カード撮影画像41の文字認識を行い、カード名称43を取得する文字取得部53と、カード情報データベース31に記憶された種々のカードに関する情報に基づき、取得したカード名称と類似度の高いカード名称をもつ複数の候補カードを抽出する候補抽出部54と、複数の候補カードに関する情報をカード識別装置20のディスプレイ22に表示する候補表示部55と、実際のカード40を、複数の候補カードの中から選択されたカードとして識別する識別部57とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと、
ディスプレイと、
前記カメラで撮影された実際のカードのカード撮影画像を取得する画像取得部と、
前記カード撮影画像の文字認識を行い、カード名称を取得する文字取得部と、
データベースに記憶された種々のカードに関する情報に基づき、前記取得したカード名称と類似度の高いカード名称をもつ複数の候補カードを抽出する候補抽出部と、
複数の前記候補カードに関する情報を前記ディスプレイに表示する候補表示部と、
前記実際のカードを、複数の前記候補カードの中から選択されたカードとして識別する識別部と、
を備えるカード識別装置。
【請求項2】
前記文字取得部は、前記カード撮影画像の傾きを補正し、白黒画像に変換してから文字認識を行う、請求項1に記載のカード識別装置。
【請求項3】
前記実際のカードに表示される絵、マークまたは文字であって、複数のカードに共通して表示され、当該複数のカードにおいてカード名称との位置関係が同じであるものを位置目印と定義すると、
前記文字取得部は、
前記カード撮影画像の画像認識または文字認識を行なって、前記位置目印を見つける目印検出部と、
前記位置目印に基づき認識範囲を限定した上で前記カード撮影画像の文字認識を行って、カード名称を見つける名称検出部と、
を含む、請求項1に記載のカード識別装置。
【請求項4】
前記候補抽出部は、
前記取得したカード名称と前記カード情報のカード名称との類似度判定を行い、類似度が比較的高い複数のカードを準候補カードとして抽出する第1絞り込み部と、
前記カード撮影画像と前記準候補カードのカード見本画像との類似度判定を行い、類似度が比較的高い複数の準候補カードを前記候補カードとして抽出する第2絞り込み部と、
を含む、請求項1に記載のカード識別装置。
【請求項5】
前記カード識別装置は、前記識別部により識別されたカードに関する情報をコレクションデータベースのコレクションカードリストに記録するコレクション情報記録部と、前記コレクションカードリストの情報を前記ディスプレイに表示するコレクション情報表示部と、をさらに備え、
前記コレクション情報記録部が記録する情報には、対応するカードの現在の取引相場が含まれ、
前記コレクション情報表示部は、前記コレクションカードリストに記録されたカード全体の総合的な価値を表す総資産を前記ディスプレイに表示する、請求項1に記載のカード識別装置。
【請求項6】
情報機器に、
前記情報機器のカメラで撮影された実際のカードのカード撮影画像を取得する画像取得機能と、
前記カード撮影画像の文字認識を行い、カード名称を取得する文字取得機能と、
データベースに記憶された種々のカードに関する情報に基づき、前記取得したカード名称と類似度の高いカード名称をもつ複数の候補カードを抽出する候補抽出機能と、
複数の前記候補カードに関する情報を前記情報機器のディスプレイに表示する候補表示機能と、
前記実際のカードを、複数の前記候補カードの中から選択されたカードとして識別する識別機能と、
を実現させるためのカード識別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードを識別するためのカード識別装置およびカード識別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実際のカード(すなわち現実世界に存在する有体物としてのカード)を画像認識により特定する技術が知られている。特許文献1には、ユーザ端末でカードを撮影し、撮影画像の画像認識を行うことによって、その撮影画像に写っているカードのカード情報を特定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-037199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばトレーディングカードなど、種類が多いカードの場合、カード名称が類似していたり同じであったりしても、絵柄や文字などのデザインが少し違うことで価値が異なるカードが存在する。そのため知識がないとカードの識別が難しい。またWebで検索して識別のための情報を得ることも可能だが、時間がかかるという問題がある。
【0005】
特許文献1のようにカードを画像認識によりある一種に識別する技術の場合、その識別が間違っていたとしても見逃してしまう可能性があり、識別の確実性に欠けるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、カードの識別を短時間で確実に行うことができるカード識別装置およびカード識別プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかるカード識別装置は、カメラと、ディスプレイと、画像取得部と、文字取得部と、候補抽出部と、候補表示部と、識別部とを備える。画像取得部は、カメラで撮影された実際のカードのカード撮影画像を取得する。文字取得部は、カード撮影画像の文字認識を行い、カード名称を取得する。候補抽出部は、データベースに記憶された種々のカードに関する情報に基づき、取得したカード名称と類似度の高いカード名称をもつ複数の候補カードを抽出する。候補表示部は、複数の候補カードに関する情報をディスプレイに表示する。識別部は、実際のカードを、複数の候補カードの中から選択されたカードとして識別する。
【0008】
また本発明にかかるカード識別プログラムは、情報機器に画像取得機能と、文字取得機能と、候補抽出機能と、候補表示機能と、識別機能とを実現させるためのプログラムである。画像取得機能は、情報機器のカメラで撮影された実際のカードのカード撮影画像を取得する機能である。文字取得機能は、カード撮影画像の文字認識を行い、カード名称を取得する機能である。候補抽出機能は、データベースに記憶された種々のカードに関する情報に基づき、取得したカード名称と類似度の高いカード名称をもつ複数の候補カードを抽出する機能である。候補表示機能は、複数の候補カードに関する情報を情報機器のディスプレイに表示する機能である。識別機能は、実際のカードを、複数の候補カードの中から選択されたカードとして識別する機能である。
【0009】
このように本発明では、カード識別装置の操作者は、複数に絞り込まれた候補カードの中から絵柄や文字などを基に正しいカードを選択すればよい。候補カードの数は例えば3つなど、適宜設定可能である。また表示する情報は、例えばカード名称およびカード見本画像などである。そのため本発明によれば、カードの識別を短時間で確実に行うことができる。
【0010】
本発明をカード売買店舗のユーザが利用する場合、知識がなくてもカードの買い取りが可能になるため、教育コストや採用コスト削減につながる。また識別時間を短縮し、サービス向上や機会損失を抑えることができる。また、本発明をカードコレクタのユーザが利用する場合、カード管理の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るカード情報システムの全体構成を示す図である。
図2】第1実施形態に係るカード識別装置のカメラで撮影されたカード撮影画像を例示する図である。
図3】第1実施形態に係るカード識別装置の機能ブロック図である。
図4】第1実施形態に係る画像補正部が生成した切り取りカード画像を例示する図である。
図5】第1実施形態に係る候補カード情報が表示されたカード識別装置の画面表示を例示する図である。
図6】第1実施形態に係るカード識別装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係るカード識別装置の機能ブロック図である。
図8】第3実施形態に係るカード識別装置の機能ブロック図である。
図9】第4実施形態に係るカード識別装置の機能ブロック図である。
図10】第4実施形態に係る候補カード情報が表示されたカード識別装置の画面表示を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。複数の実施形態において同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態にかかるカード情報システムの全体構成について図1を参照して説明する。
カード情報システム10は、カード識別装置20およびデータベースサーバ30を備えている。
【0014】
カード識別装置20は、例えばスマートフォン、タブレットPC、ラップトップPC、デスクトップPC、携帯用ゲーム機または家庭用ゲーム機などの情報機器であり、通信網15を介してデータベースサーバ30と通信可能に接続されている。通信網15は、例えばインターネット等の通信網であり、無線LAN等の通信ネットワークや近距離通信網を含む。カード識別装置20は、カメラ21およびディスプレイ22を備えている。カメラ21は、実際のカード40を撮影してカード撮影画像を生成することができる。「実際のカード」とは、現実世界に存在する有体物としてのカードのことである。
【0015】
図2には、カード撮影画像の一例として、トレーディングカードのカード撮影画像41を示す。カード面42には、カード名称43と、キャラクターやアイテム等を示すイラスト44と、カード説明文45と、複数のカードに共通して表示されるマーク46等が表示されている。他の実施形態では、カード面のデザインは、例えばイラストに変えて写真が表示されたり、カード説明文が無かったりなど、適宜自由に変更され得る。
【0016】
データベースサーバ30は、種々のカードに関する情報であるカード情報が記憶されたカード情報データベース31を有している。カード情報は、カードの種類ごとに少なくともカード名称とカード面の画像とを互いに関連付けた情報である。カード面の画像については、データの保存場所情報(すなわち保存パス)がカード情報データベース31に記憶され、実際のデータが別の場所に記憶されてもよい。
【0017】
以下において、実際のカードを撮影して生成された「カード撮影画像」と、カード情報に含まれる「カード面の画像」とを明確に区別するために、カード情報に含まれるカード面の画像のことを「カード見本画像」と記載する。
【0018】
(機能)
次に、カード識別装置20が備える機能部について図3を参照して説明する。
カード識別装置20は、主な機能部として、記憶部51、画像取得部52、文字取得部53、候補抽出部54、候補表示部55、カード選択部56および識別部57を備える。
【0019】
記憶部51は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置から構成されている。記憶部51は、カード識別装置20に処理を実行させるためのプログラム、および処理に必要な情報を記憶している。記憶部51は、物理的に分かれた複数の記憶装置から構成されてもよい。
【0020】
画像取得部52は、カメラ21から画像データを取得する。画像データとは、図2に例示するようなカード撮影画像41を表すデータのことである。
文字取得部53は、カード撮影画像41の文字を認識し、カード名称43を表す文字データを取得する。第1実施形態では、文字取得部53は、画像補正部61、目印検出部62、および名称検出部63を含む。
【0021】
画像補正部61は、文字認識に先立ち、図2に示すカード撮影画像41の傾きを補正し、カード面42の領域だけを切り取り、白黒画像に変換して図4に示すような切り取りカード画像47を生成する。白黒画像に変換することにより、カード撮影画像41に写る反射光など、文字認識時にノイズとなるものをできるだけ除去することができる。「カード撮影画像の傾きを補正する」とは、図2に示す矩形状であるカード面42の縁の長辺がカード撮影画像41の上下方向に一致するように修正することである。第1実施形態では、例えばカード面42の対角線を用いて傾きを補正する。
【0022】
目印検出部62は、切り取りカード画像47の画像認識を行なって、例えば図4に示すマーク46のような位置目印を見つける。位置目印とは、「実際のカードに表示された絵、マークまたは文字」であって、複数のカードに共通して表示され、それら複数のカードの全てにおいてカード名称43との位置関係が同じであるものを指す。第1実施形態では、カード名称43のすぐ上であって、カード面42の左上の角部付近にマーク46が表示されている。他の実施形態では、マーク46に代えて絵または文字が表示されてもよいし、マーク46とカード名称43との位置関係が離れていてもよい。位置目印は、同一シリーズに含まれる全てのカードに共通するものであってもよい。また、同一シリーズ内に例えば属性などのグループが設定されている場合、位置目印は、同一グループに含まれる全てのカードに共通するものでありつつ、グループ間で異なるものであってもよい。
【0023】
名称検出部63は、マーク46などの位置目印に基づき認識範囲を限定した上で切り取りカード画像47の文字認識を行い、カード名称43を見つける。つまり、名称検出部63は、図4に示すカード面42全体の文字を認識するのではなく、カード面42の一部の範囲であるカード名称範囲48だけに狙いを定めて文字を認識する。カード名称範囲48は、カード名称43が表示されていると想定される範囲であって、マーク46を目印に設定される。マーク46と、それに対応するカード名称範囲48との関係は、予め記憶部51などに記憶されている。
【0024】
以下において、カード名称に関し、文字取得部53が取得したカード名称であることを明示する場合には「取得カード名称」と記載する。
【0025】
候補抽出部54は、カード情報データベース31に記憶されたカード情報に基づき、取得カード名称と類似度の高いカード名称をもつ複数の候補カードを抽出する。つまり、候補抽出部54は、先ず取得カード名称とカード情報のカード名称との間で類似度を計算し、続いて類似度の高い上位いくつかのカードを候補カードとする。第1実施形態では、3つの候補カードが抽出される。他の実施形態では、例えば類似度が所定の閾値を超えるものを候補カードとしてもよい。
【0026】
候補表示部55は、図5に示すように複数の候補カードに関する情報である候補カード情報71をディスプレイ22に表示する。候補カード情報71は、例えば候補カードのカード名称およびカード見本画像である。第1実施形態では、ディスプレイ22には、候補カード情報71が表示されるときに、類似度が最も高かったカードに関する情報が選択カード情報72として表示される。
【0027】
カード選択部56は、候補カード情報71のうち1つを選択する操作がなされた場合、選択カード情報72を当該選択された候補カードに関する情報に変更する。
【0028】
識別部57は、実際のカード40を、複数の候補カードの中から選択されたカードとして識別する。「複数の候補カードの中から選択されたカード」は、候補カードを決定する操作がなされたとき、すなわち図5に示す「このカードを追加する」との表示の操作がなされたときに選択カード情報72に示されているカードのことである。
【0029】
以上の各機能部は、第1実施形態ではカード識別装置20に備えられている。カード識別装置20は、図示しないCPU、RAM、ROMおよび入出力インタフェース等を備えたコンピュータを含むように構成されている。記憶部51は上記ROMに含まれる。画像取得部52、文字取得部53、候補抽出部54、候補表示部55、カード選択部56および識別部57の機能は、カード識別装置20のCPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたカード識別プログラムを実行することによるソフトウェア処理により実現される。つまりカード識別プログラムは、カード識別装置20に画像取得部52、文字取得部53、候補抽出部54、候補表示部55、カード選択部56および識別部57の機能を実現させるためのプログラムである。
【0030】
カード識別プログラムは、カード識別装置20にインストールされるアプリケーションに含まれている。このアプリケーションは、インターネット等の通信網15を介したダウンロードにより提供されてもよいし、カード識別装置20が記録媒体を読み取ることにより提供されてもよい。
【0031】
(処理の手順)
次に、カード識別装置20が実行する処理の手順について図3および図6を参照して説明する。カード識別装置20は、カード識別プログラムを含むアプリケーションの実行中にカメラ21が撮影を行った場合、図6に示す処理を開始する。なお、カメラ21による撮影に先立ち、これから識別を行おうとしている実際のカード40のシリーズを選択する操作が行われているものとする。カード識別装置20は、選択されたシリーズに応じたカード情報を用いて処理を行う。
【0032】
画像取得部52は、カメラ21で撮影された実際のカード40のカード撮影画像41を取得する(ステップ100)。以下において、ステップを「S」と記載する。
画像補正部61は、取得したカード撮影画像41の傾きを補正し、カード面42の領域だけを切り取り、白黒画像に変換して図4に示すような切り取りカード画像47を生成する(S110)。
【0033】
目印検出部62は、切り取りカード画像47の画像認識を行なって、例えば図4に示すマーク46のような位置目印を見つける(S120)。
名称検出部63は、マーク46などの位置目印に基づき認識範囲を限定した上で切り取りカード画像47の文字認識を行い、カード名称43を見つける(S130)。
【0034】
候補抽出部54は、カード情報データベース31に記憶されたカード情報に基づき、取得カード名称と類似度の高いカード名称をもつ3つの候補カードを抽出する(S140)。
【0035】
候補表示部55は、図5に示すように3つの候補カードに関する情報である候補カード情報71(すなわちカード名称およびカード見本画像)をディスプレイ22に表示する(S150)。このときディスプレイ22には、候補カード情報71と合わせて、類似度が最も高かったカードに関する情報が選択カード情報72として表示される。
【0036】
カード選択部56は、候補カード情報71のうち1つを選択する操作がなされたか否かを判定する(S160)。候補カード情報71のうち1つを選択する操作がなされた場合(S160:YES)、選択カード情報72を当該選択された候補カードに関する情報に変更する(S170)。一方、候補カード情報71のうち1つを選択する操作がなされていない場合(S160:NO)、処理はS180に進む。
【0037】
識別部57は、候補カードを決定する操作、すなわち図5に示す「このカードを追加する」との表示の操作がなされたか否かを判定する(S180)。候補カードを決定する操作がなされた場合(S180:YES)、実際のカード40を「複数の候補カードの中から選択されたカード」として識別し(S190)、一連の処理を終了する。一方、候補カードを決定する操作がなされていない場合(S180:NO)、処理はS160に戻る。
【0038】
(効果)
以上説明したように、第1実施形態にかかるカード識別装置20は、カメラ21と、ディスプレイ22と、画像取得部52と、文字取得部53と、候補抽出部54と、候補表示部55と、識別部57とを備える。
画像取得部52は、カメラ21で撮影された実際のカード40のカード撮影画像41を取得する。
文字取得部53は、カード撮影画像41の文字認識を行い、カード名称43を取得する。
候補抽出部54は、カード情報データベース31に記憶された種々のカードに関する情報に基づき、取得したカード名称43と類似度の高いカード名称をもつ複数の候補カードを抽出する。
候補表示部55は、複数の候補カードに関する情報をディスプレイ22に表示する。
識別部57は、実際のカード40を、複数の候補カードの中から選択されたカードとして識別する。
【0039】
また第1実施形態にかかるカード識別プログラムは、カード識別装置20に画像取得機能と、文字取得機能と、候補抽出機能と、候補表示機能と、識別機能とを実現させる。
画像取得機能は、カード識別装置20のカメラ21で撮影された実際のカード40のカード撮影画像41を取得する機能である。
文字取得機能は、カード撮影画像41の文字認識を行い、カード名称43を取得する機能である。
候補抽出機能は、カード情報データベース31に記憶された種々のカードに関する情報に基づき、取得したカード名称43と類似度の高いカード名称をもつ複数の候補カードを抽出する機能である。
候補表示機能は、複数の候補カードに関する情報をカード識別装置20のディスプレイ22に表示する機能である。
識別機能は、実際のカード40を、複数の候補カードの中から選択されたカードとして識別する機能である。
【0040】
このように第1実施形態では、カード識別装置20の操作者は、複数に絞り込まれた候補カードの中から絵柄や文字などを基に正しいカードを選択すればよい。候補カードの数は例えば3つであり、表示する情報はカード名称およびカード見本画像である。そのため第1実施形態によれば、カードの識別を短時間で確実に行うことができる。
【0041】
また第1実施形態では、文字取得機能は、カード撮影画像41の傾きを補正し、白黒画像に変換してから文字認識を行う。これにより文字認識の精度を高めることができる。
【0042】
また第1実施形態では、文字取得機能は、カード撮影画像41の画像認識または文字認識を行なって位置目印を見つける目印検出機能と、位置目印に基づき認識範囲を限定した上でカード撮影画像41の文字認識を行ってカード名称43を見つける名称検出機能と、を含む。位置目印は、実際のカード40に表示される絵、マークまたは文字であって、複数のカードに共通して表示され、それら複数のカードにおいてカード名称43との位置関係が同じものである。第1実施形態では、位置目印としてマーク46が用いられる。これによりカード面42全体の文字を認識する場合と比べると、短時間で確実に文字認識を行うことができる。
【0043】
[第2実施形態]
第2実施形態では、図7に示すように、候補抽出部81は第1絞り込み部82および第2絞り込み部83を含む。
【0044】
第1絞り込み部82は、取得カード名称とカード情報データベース31のカード情報のカード名称との類似度判定を行い、類似度が比較的高い複数のカードを準候補カードとして抽出する。つまり第1絞り込み部82は、第1実施形態における候補抽出部54と同じような機能をもつが、候補抽出部54が抽出する候補カード枚数よりも多い枚数のカードを準候補カードとして抽出する。第2実施形態では、例えば6枚のカードが準候補カードとして抽出される。
【0045】
第2絞り込み部83は、カード撮影画像41と準候補カードのカード見本画像との類似度判定を行い、類似度が比較的高い複数の準候補カードを候補カードとして抽出する。第2実施形態では、例えば3枚のカードが候補カードとして抽出される。
【0046】
このように第2実施形態では、文字認識による第1絞り込みの後に、画像認識による第2絞り込みが行われるため、カードの識別をより確実に行うことができる。
【0047】
[第3実施形態]
第3実施形態では、カード情報システム10は、カードを集めるユーザにより利用される。図8に示すように、カード識別装置20はコレクションデータベース25を有する。他の実施形態では、コレクションデータベース25がデータベースサーバ30や他のサーバ等に設けられてもよい。コレクションデータベース25は、ユーザが保有するカードを記録したコレクションカードリスト26を含む。
【0048】
カード識別装置20は、コレクション情報記録部84およびコレクション情報表示部85を備える。コレクション情報記録部84は、コレクションカードリスト26にカードを追加するための操作がなされた場合、すなわち図5に示す「このカードを追加する」との表示の操作がなされた場合、選択カード情報72に示されているカードに関する情報をコレクションカードリスト26に記録する。つまりコレクション情報記録部84は、識別部57により識別されたカードに関する情報をコレクションカードリスト26に記録する。第3実施形態では、カード情報データベース31には各種カードの現在の取引相場が記憶されている。コレクションカードリスト26に記録される情報には、カード情報データベース31に記憶されたカード情報、および、カード識別の過程で生成した切り取りカード画像47が含まれる。カード情報データベース31に記憶された各種カードの現在の取引相場が更新されると、それに対応するコレクションカードリスト26に記憶された情報も適宜更新される。
【0049】
コレクション情報表示部85は、ユーザからの要求に応じて、コレクションカードリスト26に記録されたカード(すなわち保有カード)の情報をカード識別装置20のディスプレイ22に表示する。ユーザが確認できる内容は、例えば、保有カードの一覧や、保有カードの個々の取引相場、保有カード全体の総合的な価値を表す総資産などである。総資産は、保有カードの個々の取引相場から計算される。これによりユーザによるカード管理の利便性を向上することができる。また、カードを登録すればするほど資産表示が増えるので、カード登録に対するユーザのモチベーションを向上させることができる。
【0050】
カード識別装置20は、ネット販売出品部86をさらに備える。ネット販売出品部86は、ネット販売を行うためのWebサイトやネットオークションなどのECサイトに、ユーザが保有するカードを出品するための機能部である。ネット販売出品部86は、カード情報の他、切り取りカード画像47を用いて出品手続きを行うため、ユーザが情報を入力する手間を省くことができる。
【0051】
[第4実施形態]
第4実施形態では、カード情報システム10は、カードを売買する店舗のユーザにより利用される。図9に示すように、データベースサーバ30は販売情報データベース35を有する。他の実施形態では、販売情報データベース35がカード識別装置20や他のサーバ等に設けられてもよい。販売情報データベース35は、店舗が保有するカードを記録した在庫カードリスト36と、店舗が顧客からカードを買い取るときの価格を記録した買い取り価格リスト37とを含む。
【0052】
カード情報システム10は、在庫情報記録部87、在庫情報表示部88および買い取り情報表示部89を備える。在庫情報記録部87は、図10に示す「このカードを追加する」との表示の操作がなされた場合、選択カード情報72に示されているカードに関する情報を在庫カードリスト36に記録する。第4実施形態では、上記記録される情報には、カード情報データベース31に記憶されたカード情報、および、カード識別の過程で生成した切り取りカード画像47が含まれる。
【0053】
在庫情報表示部88は、ユーザからの要求に応じて、在庫カードリスト36の内容をカード識別装置20のディスプレイ22に表示する。ユーザが確認できる内容は、例えば保有するカードの一覧などである。これによりユーザによるカード管理の利便性を向上することができる。
【0054】
買い取り情報表示部89は、図10に示す「このカードの買い取り価格を表示する」との表示の操作がなされた場合、選択カード情報72に示されているカードに関する買い取り情報を買い取り価格リスト37から取得してディスプレイ22に表示する。第4実施形態では、通常の買い取り価格に加えて、同種のカードの在庫数を基に計算した特別買い取り価格が表示される。例えば在庫数が多いほど買い取り価格を下げることが考えられる。これにより、知識がなくてもカードの買い取りが可能になるため、教育コストや採用コスト削減につながる。また識別時間を短縮し、サービス向上や機会損失を抑えることができる。
【0055】
[他の実施形態]
他の実施形態では、カード識別装置としての情報機器の機能部の一部または全部を他の機器が備えていてもよい。すなわち、複数の機器によりカード識別装置を構成してもよい。
他の実施形態では、カード識別装置の機能部がもつ機能は、専用の電子回路によるハードウェア処理により実現してもよいし、ソフトウェア処理とハードウェア処理との組み合わせにより実現してもよい。
【0056】
以上既に述べた以外にも、上記実施形態による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0057】
10 カード情報システム
20 カード識別装置
21 カメラ
22 ディスプレイ
30 データベースサーバ
31 カード情報データベース
40 実際のカード
52 画像取得部
53 文字取得部
54 候補抽出部
55 候補表示部
57 識別部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10