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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131060
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】自車位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01C21/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041087
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】二村 凌
(72)【発明者】
【氏名】二村 光宏
(72)【発明者】
【氏名】日与川 豊治
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB50
2F129BB56
2F129BB66
2F129EE02
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF18
2F129FF36
2F129GG17
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH22
(57)【要約】
【課題】地図情報と実際の道路との間にズレが生じている場合であっても自車が走行する道路を正確に検出することを可能にした自車位置検出装置を提供する。
【解決手段】地図情報と車両の現在位置とに基づいて車両の現在位置周辺に退出先の道路が2本以上接続された分岐点があると判定された場合に、地図情報に含まれる分岐点の位置と異なる位置に仮想分岐点を設定し、仮想分岐点において退出先となる道路の候補を生成し、車両周辺を撮像した撮像画像に基づいて、車両の走行する自車走行車線を特定するとともに特定された自車走行車線と車線情報とに基づいて、生成された候補の内から車両の走行する道路を特定するように構成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の車線数を特定する車線情報と分岐点に関する情報とを含む地図情報を取得する地図情報取得部手段と、
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記地図情報と車両の現在位置とに基づいて車両の現在位置周辺に退出先の道路が2本以上接続された分岐点があると判定された場合に、前記地図情報に含まれる前記分岐点の位置と異なる位置に仮想分岐点を設定する仮想分岐点設定手段と、
前記仮想分岐点において退出先となる道路の候補を生成する候補生成手段と、
前記車両周辺を撮像した撮像画像に基づいて、車両の走行する自車走行車線を特定する車線特定手段と、
前記車線特定手段により特定された自車走行車線と前記車線情報とに基づいて、前記候補生成手段により生成された候補の内から車両の走行する道路を特定する走行道路特定手段と、を有する自車位置検出装置。
【請求項2】
前記仮想分岐点設定手段は、車両の現在位置周辺に退出先の道路が2本以上接続され、且つ退出先の各道路の接続角が所定角度以下或いは前記分岐点の通過前後の車線の接続関係を特定する情報を前記地図情報に含む分岐点があると判定された場合に、前記仮想分岐点を設定する請求項1に記載の自車位置検出装置。
【請求項3】
前記仮想分岐点設定手段は、車両が前記地図情報に含まれる前記分岐点の位置に対して所定距離手前の地点を通過したタイミング、或いは車両が前記地図情報に含まれる前記分岐点の位置に対して所定距離だけ進行方向前方の地点を通過したタイミングで、該通過した地点に前記仮想分岐点を設定する請求項1又は請求項2に記載の自車位置検出装置。
【請求項4】
前記候補生成手段は、前記仮想分岐点に前記分岐点と同じ数且つ同じ方向に退出先の道路が接続されると仮定して、前記仮想分岐点において退出先となる道路の候補を生成する請求項1又は請求項2に記載の自車位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車の走行道路を特定する自車位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の乗員に対して地図画像上における車両の現在位置の表示、案内経路に従って走行を行わせる為の経路案内、運転操作の一部又は全てを車両側で実行することにより車両の運転を補助する自動運転支援等の各種走行支援が行われている。このような走行支援を正確に行う為には、車両が現在走行する道路を正確に特定することが重要である。しかしながら、例えば分岐点付近などの車両が走行する可能性のある道路の候補が複数存在する状況下では、車両が現在走行する道路を正確に特定することは困難である。
【0003】
そこで例えば特開2018-151822号公報には、レーン数とレーンの増減に関するレーン変化情報を含む地図情報を取得するとともに、カメラで撮像した撮像画像に基づいて自車が走行する道路の区画線を検出し、それらを組み合わせて用いることで自車の走行する道路並びにレーンを特定する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-151822号公報(段落0024-0042)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1では地図情報に道路のレーン数とレーンの増減に関するレーン変化情報を含んでいるが、その情報は実際の道路との間にズレが生じている場合もある。例えば、図13に示すように地図情報において4車線のリンクAから3車線のリンクBに車線が減少するとともにリンクCが分かれる分岐点の境界(車線数の増減地点)と実際の道路の分岐点の境界とが完全に一致しない場合がある。その場合において、車両がズレの生じる区間を走行中に例えばカメラで撮像した撮像画像に基づいて左から2番目の車線を走行していると特定できた場合には、装置側ではリンクBの中央の車線を走行していると判定されることになる。従って、仮に左側への車線変更を検出したとしてもリンクB内で中央の車線から左側の車線へと移動したと推定され、リンクBを走行していると判定される。しかしながら、実際には車両が分岐前のリンクAの左から2番目の車線を走行しているので、仮に左側への車線変更を検出したとすれば車両はリンクBではなくリンクCに進むこととなる。即ち、上記特許文献1では自車の走行する道路を誤判定する可能性があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、上記のように地図情報と実際の道路との間にズレが生じている場合であっても自車が走行する道路を正確に検出することを可能にした自車位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る自車位置検出装置は、道路の車線数を特定する車線情報と分岐点に関する情報とを含む地図情報を取得する地図情報取得手段と、車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、前記地図情報と車両の現在位置とに基づいて車両の現在位置周辺に退出先の道路が2本以上接続された分岐点があると判定された場合に、前記地図情報に含まれる前記分岐点の位置と異なる位置に仮想分岐点を設定する仮想分岐点設定手段と、前記仮想分岐点において退出先となる道路の候補を生成する候補生成手段と、前記車両周辺を撮像した撮像画像に基づいて、車両の走行する自車走行車線を特定する車線特定手段と、前記車線特定手段により特定された自車走行車線と前記車線情報とに基づいて、前記候補生成手段により生成された候補の内から車両の走行する道路を特定する走行道路特定手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る自車位置検出装置によれば、車両の現在位置周辺に退出先の道路が2本以上接続された分岐点がある場合に、該分岐点の地図情報の位置と異なる位置に仮想分岐点を設定し、地図情報上での分岐点の位置ではなく仮想分岐点の位置に実際の分岐点がある可能性も考慮することで、地図情報と実際の道路との間にズレが生じている場合であっても、自車が走行する道路を正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
図2】リンクデータに付加されるレーン増減情報を示した図である。
図3】レーン接続リストを示した図である。
図4】本実施形態に係る走行支援処理プログラムのフローチャートである。
図5】本実施形態に係る走行支援処理プログラムのフローチャートである。
図6】生成される仮想分岐点と候補リンクについて説明した図である。
図7】レーン接続リストがある場合の初期コストの算出例を説明した図である。
図8】レーン接続リストがない場合の初期コストの算出例を説明した図である。
図9】レーンコストの算出例を説明した図である。
図10】退出先の候補となる道路に対するレーンコストの算出例を説明した図である。
図11】退出先の候補となる道路に対するコストの評価条件を満たす場合について説明した図である。
図12】退出先の候補となる道路毎の最小レーンコストの算出方法について説明した図である。
図13】従来技術の問題点について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る自車位置検出装置をナビゲーション装置に具体化した実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0011】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や地図上における自車の現在位置等を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、を有する。また、ナビゲーション装置1はCAN等の車載ネットワークを介して、ナビゲーション装置1の搭載された車両に対して設置されたフロントカメラ19や各種センサが接続されている。
【0012】
以下に、ナビゲーション装置1が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0013】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。また、地図情報DB31は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置1が通信により取得する構成としても良い。
【0014】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ32、ノード点に関するノードデータ33、分岐点に関する分岐点データ34、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0015】
また、リンクデータ32としては、道路ネットワークを構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線毎の進行方向の通行区分、対向車線の有無(対面通行区間か否か)、中央分離帯の有無、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、高速道路と一般道(国道、県道、細街路等)を表すデータがそれぞれ記録される。
【0016】
また、本実施形態においてリンクデータ32には、リンク毎の車線数に加えて、接続するリンク間で車線数が増減する場合について、進行方向に対して増減する車線が位置する方向(例えば右又は左)と増減数を特定する情報(以下、レーン増減情報という)が、リンクデータに付加されている。例えば図2に示すように例えば分岐点や合流点などの車線数が増減する地点が存在する場合については基本的に車線数が増減する地点でリンクが区分され、区分された各リンクに対して車線数が対応付けられている。例えば図2に示す例では進行方向に対して上流側にあるリンクAとリンクAから下流側に分岐するリンクBとリンクCに区分され、リンクデータ32にはリンクAの車線数として『4』が格納され、リンクBの車線数として『3』が格納され、リンクCの車線数として『1』が格納される。そして、本実施形態ではリンクデータ32には、レーン増減情報としてリンクBについては進行方向(上流側にあるリンクA)に対して左側の車線が1減少していることを示す『左増減数:-1、右増減数:0』の情報が、リンクBのリンクデータ32に付加されている。また、リンクCについては進行方向(上流側にあるリンクA)に対して右側の車線が3減少していることを示す『左増減数:0、右増減数:-3』の情報が、リンクCのリンクデータ32に付加されている。尚、レーン増減情報はリンクデータ32ではなくノードデータ33や分岐点データ34に付加しても良い。
【0017】
また、ノードデータ33としては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)や各道路に曲率半径等に応じて所定の距離毎に設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0018】
また、分岐点データ34としては、分岐点の交差点名称、分岐点を形成するノードを特定する該当ノード情報、分岐点に接続されるリンクを特定する接続リンク情報、分岐点に接続されるリンクに対応する方面名称、接続される各リンクの接続角、分岐点の形状を特定する情報等が記憶される。
【0019】
更に、分岐点データ34としては一部の分岐点を対象にして、分岐点に接続する各道路について分岐点へと進入する道路と退出する道路の組み合わせごとに、車線の接続関係(対応関係)を示すレーン接続リストが格納されている。特に車線毎に退出可能な道路が限定される分岐点(レーン数の増減を伴う分岐点)を対象としてレーン接続リストが格納されている。例えば図3には、リンクAからリンクB又はリンクCに退出可能な分岐点に対して格納されたレーン接続リストを示す。図3に示す例ではリンクAに含まれる車線の内、レーンフラグが“1”に設定された最も右側の車線と、分岐点の通過後のリンクB及びリンクCに含まれる車線の内、レーンフラグが“1”に設定された車線、即ちリンクBの最も右側とが対応する、即ち分岐点の通過前後で移動可能な車線(但し、車線変更をしないと仮定した場合、以下同じ)であることを示している。また、リンクAに含まれる車線の内、レーンフラグが“2”に設定された右側から2番目の車線と、分岐点の通過後のリンクB及びリンクCに含まれる車線の内、レーンフラグが“2”に設定された車線、即ちリンクBの中央の車線とが対応する、即ち分岐点の通過前後で移動可能な車線であることを示している。また、リンクAに含まれる車線の内、レーンフラグが“3”に設定された左側から2番目の車線と、分岐点の通過後のリンクB及びリンクCに含まれる車線の内、レーンフラグが“3”に設定された車線、即ちリンクBの最も左側の車線とが対応する、即ち分岐点の通過前後で移動可能な車線であることを示している。また、リンクAに含まれる車線の内、レーンフラグが“4”に設定された最も左側の車線と、分岐点の通過後のリンクB及びリンクCに含まれる車線の内、レーンフラグが“4”に設定された車線、即ちリンクCの1の車線とが対応する、即ち分岐点の通過前後で移動可能な車線であることを示している。尚、レーン接続リストは分岐点データ34はなくリンクデータ32やノードデータ33に付加しても良い。
【0020】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の走行支援処理プログラム(図4図5)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、地図情報取得手段は、道路の車線数を特定する車線情報と分岐点に関する情報とを含む地図情報を取得する。現在位置取得手段は、車両の現在位置を取得する。仮想分岐点設定手段は、地図情報と車両の現在位置とに基づいて車両の現在位置周辺に退出先の道路が2本以上接続された分岐点があると判定された場合に、前記地図情報に含まれる前記分岐点の位置と異なる位置に仮想分岐点を設定する。候補生成手段は、仮想分岐点において退出先となる道路の候補を生成する。車線特定手段は、車両周辺を撮像した撮像画像に基づいて、車両の走行する自車走行車線を特定する。走行道路特定手段は、車線特定手段により特定された自車走行車線と車線情報とに基づいて、候補生成手段により生成された候補の内から車両の走行する道路を特定する。
【0021】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルを有する構成としても良い。また、マイクと音声認識装置を有する構成としても良い。
【0022】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0023】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0024】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0025】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0026】
また、フロントカメラ19は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラを有する撮像装置であり、例えばルームミラーの裏側やフロントバンパに対して光軸方向を車両の進行方向前方に向けて設置される。そして、フロントカメラ19により撮像された撮像画像は後述の様に車両が走行する道路の区画線を検出したり、車両が走行する道路のトータルの車線数や車両が現在走行する車線を特定する際にも用いられる。
【0027】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する走行支援処理プログラムについて図3に基づき説明する。図3は本実施形態に係る走行支援処理プログラムのフローチャートである。ここで、走行支援処理プログラムは車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、自車が走行する道路を特定するとともに、特定した道路に基づく各種走行支援を行うプログラムである。尚、以下の図4及び図5にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0028】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU41は、車両の現在位置を現在位置検出部11の検出結果や地図情報に基づいて特定する。尚、車両の現在位置を特定する際には、車両の現在位置を地図情報にマッチングさせるマップマッチング処理についても行う。
【0029】
次に、S2においてCPU41は、地図情報DB31に格納された地図情報と前記S1で取得された車両の現在位置とに基づいて、車両の現在位置の周辺に分岐点があるか否かを判定する。特にS2では車両の進行方向に対して退出先の道路が2本以上接続された分岐点(即ち、通過によって車両の現在位置候補となる道路が複数生じる分岐点)があるか否かを判定する。従って合流地点などはS2の分岐点の対象から除かれる。また、現在位置の周辺とは、例えば車両が現在走行する道路において車両の現在位置の前後所定距離以内(例えば200m以内)とする。尚、地図情報DB31には分岐点の形状や位置を特定する分岐点データ34が含まれている。
【0030】
そして、車両の現在位置の周辺に退出先の道路が2本以上接続された分岐点があると判定された場合(S2:YES)、即ち車両が走行する道路の候補が複数存在する場合にはS3へと移行する。それに対して、車両の現在位置の周辺に退出先の道路が2本以上接続された分岐点がないと判定された場合(S2:NO)、即ち車両が走行する道路の候補が複数存在しない場合には、前記S1で取得された車両の現在位置に基づいて車両の走行する道路が一に特定できるので、S3以降の処理を行うことなく終了する。尚、その後は特定された車両の現在位置に基づいて地図画像上における車両の現在位置の表示、案内経路に従って走行を行わせる為の経路案内、運転操作の一部又は全てを車両側で実行することにより車両の運転を補助する自動運転支援等の各種走行支援が行われる。
【0031】
続いて、S3においてCPU41は、地図情報DB31に格納された地図情報に基づいて、車両の現在位置の周辺にあると判定された分岐点(以下、DB分岐点という)が“狭角分岐点”であるか否かを判定する。ここで、本実施形態では“狭角分岐点”は車両の進行方向に対して退出先の道路が2本以上接続された分岐点であって、且つ退出先の各道路の接続角が所定角度(例えば15度)以下或いはレーン接続リストを有する分岐点とする。尚、レーン接続リストは前述したように分岐点の通過前後の車線の接続関係を特定する情報であり(図3参照)、即ちレーン接続リストを有する分岐点は図3に示すように車線毎に退出可能な道路が限定される分岐点(レーン数の増減を伴う分岐点)が該当する。
【0032】
そして、DB分岐点が“狭角分岐点”であると判定された場合(S3:YES)にはS4へと移行する。それに対して、DB分岐点が“狭角分岐点”でないと判定された場合(S3:NO)にはS6へと移行する。
【0033】
S4においてCPU41は、DB分岐点の位置と前記S1で取得された車両の現在位置とに基づいて、地図情報において特定されているDB分岐点の位置に対して、(a)200m手前の地点、(b)100m手前の地点、(c)0mの地点(地図情報の狭角分岐点の位置)、(d)100m進行方向前方の地点、(e)200m進行方向前方の地点のいずれかを車両が通過したか否かを判定する。
【0034】
そして、上記(a)~(e)のいずれかを車両が通過したと判定された場合(S4:YES)には、地図情報上の通過したと判定された地点に対して分岐点があると仮定して仮想分岐点を設定する(S5)。但し、(c)を通過した場合については対応する位置にDB分岐点が既に存在するので仮想分岐点の設定は行わない。また、仮想分岐点を設定した場合には、DB分岐点と同じ数且つ同じ方向に退出先の道路が接続されると仮定して、設定した仮想分岐点において退出先となる道路の候補を生成する。更に、(c)を通過した場合には、DB分岐点において退出先となる道路の候補を生成する。
【0035】
例えば、図6に示すように地図情報のDB分岐点50の位置Xよりも200m手前の地点を車両が通過したタイミングで該地点に仮想分岐点51が設定される。また、仮想分岐点51において退出先となる道路の候補として候補リンクB1と候補リンクC1を生成する。尚、候補リンクB1は地図情報において存在するリンクの一部である一方、候補リンクC1はそこに道路があると仮定して生成される仮想のリンクとなる。
また、その後に地図情報のDB分岐点50の位置Xよりも100m手前の地点を車両が通過したタイミングで該地点に仮想分岐点52が設定される。また、仮想分岐点52において退出先となる道路の候補として候補リンクB2と候補リンクC2を生成する。尚、候補リンクB2は地図情報において存在するリンクの一部である一方、候補リンクC2はそこに道路があると仮定して生成される仮想のリンクとなる。
また、その後に地図情報のDB分岐点50の位置Xを車両が通過したタイミングで、DB分岐点50において退出先となる道路の候補として候補リンクB3と候補リンクC3を生成する。尚、候補リンクB3及び候補リンクC3はいずれも地図情報において存在するリンクの一部である。
また、その後に地図情報のDB分岐点50の位置Xよりも100mだけ進行方向前方の地点を車両が通過したタイミングで該地点に仮想分岐点53が設定される。また、仮想分岐点53において退出先となる道路の候補として候補リンクB4と候補リンクC4を生成する。尚、候補リンクB4は地図情報において存在するリンクの一部である一方、候補リンクC4はそこに道路があると仮定して生成される仮想のリンクとなる。
また、その後に地図情報のDB分岐点50の位置Xよりも200mだけ進行方向前方の地点を車両が通過したタイミングで該地点に仮想分岐点54が設定される。また、仮想分岐点54において退出先となる道路の候補として候補リンクB5と候補リンクC5を生成する。尚、候補リンクB5は地図情報において存在するリンクの一部である一方、候補リンクC5はそこに道路があると仮定して生成される仮想のリンクとなる。
【0036】
但し、例えばDB分岐点50の手前側の100m以内に他の分岐点があるような場合については仮想分岐点51や仮想分岐点52は設定されない。また、前記S5で一旦生成された仮想分岐点や候補リンクについては、その後の車両の位置に関わらず後述のように退出先が確定する(S27:YES)まで削除されることなく保持される。例えば車両が仮想分岐点51を生成し、更にその後に地図情報上に新たに仮想分岐点52や仮想分岐点53が生成されたとしても既存の仮想分岐点51や候補リンクB1、C1は削除することなく保持される。尚、退出先が確定するとは候補リンクC1~C5及び候補リンクB5のいずれかに車両が位置すると判定された場合である。候補リンクB1~B4に位置すると判定される場合には、その後に候補リンクC2~C5に位置すると判定される場合があるため、退出先は確定していないとみなす。但し、候補リンクについては削除されなくとも車両が位置する候補から除外されたり、他のリンクとマージ(併合)される場合はある(S20、S22)。その後、S8へと移行する。
【0037】
一方、S6においてCPU41は、DB分岐点の位置と前記S1で取得された車両の現在位置とに基づいて、地図情報において特定されているDB分岐点の位置を車両が通過したか否かを判定する。
【0038】
そして、地図情報において特定されているDB分岐点の位置を車両が通過したと判定された場合(S6:YES)には、DB分岐点において退出先となる道路の候補を生成する(S7)。例えば図6に示す例では候補リンクB3と候補リンクC3のみが生成されることとなる。生成される候補リンクB3、C3はいずれも地図情報において存在するリンクの一部である。また、前記S7では他に仮想分岐点や候補リンクが生成されないのでS7以降は候補リンクB3と候補リンクC3のいずれに車両が位置するかのみが特定され、特定された時点で退出先が確定することとなる。
【0039】
一方、前記S4において上記(a)~(e)のいずれも車両が通過していないと判定された場合(S4:NO)及び前記S6において地図情報のDB分岐点の位置を車両が通過していないと判定された場合(S6:NO)には、S8へと移行する。
【0040】
S8においてCPU41は、前記S5又は前記S7において退出先となる道路の候補(候補リンクB1と候補リンクC1、候補リンクB2と候補リンクC2、候補リンクB3と候補リンクC3、候補リンクB4と候補リンクC4、候補リンクB5と候補リンクC5のいずれかの組み合わせ)が少なくとも一以上生成されたか否かを判定する。
【0041】
そして、退出先となる道路の候補が生成されたと判定された場合(S8:YES)には、S9へ移行する。S9以降では生成された各候補に対するコスト算出や評価を行い、いずれの候補上に車両が位置するかを特定する。それに対して、退出先となる道路の候補が生成されないと判定された場合(S8:NO)にはS1へと戻り、退出先となる道路の候補が生成されるまで上記処理を繰り返し実行する。
【0042】
尚、以下のS9~S14の処理は前記S5又は前記S7において生成された退出先となる道路の候補(候補リンク)毎に実行する。そして、前記S5又は前記S7において生成された全ての候補に対してS9~S14の処理を実行した後にS15へと移行する。
【0043】
先ず、S9においてCPU41は、処理対象となる候補の親候補について“狭角分岐の親候補フラグがON”されているか否かを判定する。ここで、親候補とはその候補を生み出している道路の候補(上流側に位置する道路の候補)である。例えば図6に示す例では候補リンクB2や候補リンクC2の親候補は候補リンクB1となる。また、狭角分岐の親候補フラグについては例えば前記S5又は前記S7で生成された候補と紐づけてフラッシュメモリ44等に格納され、初期状態はOFFであり後述のS14において一定条件を満たした候補に対してONされる。
【0044】
そして、処理対象となる候補の親候補について“狭角分岐の親候補フラグがON”されていると判定された場合(S9:YES)、即ち所定対象の候補が狭角分岐点の退出先となる道路の候補である場合には、S10へと移行する。それに対して、処理対象となる候補の親候補について“狭角分岐の親候補フラグがOFF”されていると判定された場合(S9:NO)、即ち所定対象の候補が狭角分岐点の退出先となる道路の候補でない場合には、S11へと移行する。
【0045】
S10においてCPU41は、親候補のレーンコストから処理対象の候補の初期コストを設定する。特に処理対象の候補の道路が複数車線を含む道路である場合には、車線毎に初期コストを設定する。初期コストは後述のように前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補の内から車両が走行する道路を判定する為のコストを算出する(S19)際にコスト算出のベースとなる値である。具体的には、処理対象の候補と親候補との間にレーン接続リストがあるか否かによって以下のように初期コストの設定方法が異なる。ここで、レーン接続リストは図3に示すように分岐点に接続する各道路について分岐点へと進入する道路と退出する道路の組み合わせごとに、車線の接続関係(対応関係)を示す情報である。
【0046】
[レーン接続リストがある場合]
例えば図7に示す例において処理対象の候補がリンクB及びリンクCである場合において、親候補はリンクAとなる。図7に示す例ではリンクAに含まれる3つの車線の内、レーンフラグが“1”に設定された右側の車線とリンクBの1の車線とが対応し、レーンフラグが“2”に設定されたリンクAの中央の車線とリンクCの右側の車線とが対応し、レーンフラグが“3”に設定されたリンクAの左側の車線とリンクCの左側の車線とが対応することを示している。また、親候補であるリンクAのレーンコストについては、後述のように車両がリンクAを走行する際に5m間隔で車線毎に算出されている(S15~S17)。詳細については後述するが例えば車両が走行している車線(自車走行車線)に「0」を算出し、車両が走行していない車線(自車走行車線以外の車線)に「1」を算出する。
【0047】
そして、親候補の分岐点直近20m分のレーンコストの合計を、処理対象の候補の対応する車線の初期コストとする。例えば、図7の上図に示す例では親候補であるリンクAの左車線の直近20m分のレーンコストの合計は0であるので、対応するリンクCの左車線の初期コストは『0』となる。また、親候補であるリンクAの中央車線の直近20m分のレーンコストの合計は4であるので、対応するリンクCの右車線の初期コストは『4』となる。また、親候補であるリンクAの右車線の直近20m分のレーンコストの合計は4であるので、対応するリンクBの車線の初期コストは『4』となる。
【0048】
[レーン接続リストがない場合]
基本的にはレーンコストがある場合と同様であるが、車線の接続関係(対応関係)をレーン接続リストではなく親候補と処理対象の候補の各道路の車線数やレーン増減情報(図2参照)、位置関係(接続角度)等を用いて推定する。例えば、図8に示す例ではリンクAとリンクCが同じ車線数で直進方向に近い方向で接続されているので、リンクAとリンクCは道なりの関係にある本線道路であり、1車線であるリンクBが本線から退出する取付道路(ランプ)であると推定できる。従って、リンクAに含まれる2つの車線の内、右側の車線についてはそのまま直進すると仮定した場合のリンクCの右車線と、右方向に退出したと仮定した場合のリンクBの車線に夫々対応する。また、リンクAの左側の車線についてはそのまま直進すると仮定した場合のリンクCの左車線に対応する。
【0049】
そして、親候補の分岐点直近20m分のレーンコストの合計を、処理対象の候補の対応する車線の初期コストとする。例えば、図8に示す例では親候補であるリンクAの左車線の直近20m分のレーンコストの合計は0であるので、対応するリンクCの左車線の初期コストは『0』となる。また、親候補であるリンクAの右車線の直近20m分のレーンコストの合計は4であるので、対応するリンクCの右車線の初期コストとリンクBの車線の初期コストは夫々『4』となる。
【0050】
また、前記S10において初期コストを設定する際に用いる親候補のレーンコストは上述したように車両が親候補となる道路のどの車線を走行したかによって決定される。ここで、CPU41は自車走行車線の特定についてフロントカメラ19で撮像した画像に対して画像処理を施すことにより行う。具体的には以下の処理により自車走行車線を特定する。
【0051】
先ず、CPU41はフロントカメラ19で撮像した画像に対して画像処理を施すことにより、車両の周辺に位置する地物を認識(検出)する。具体的には路面(自車両の走行する車線の路面に加えて、自車両の走行する車線以外の車線の路面も含む)に描かれた区画線と、道路端(具体的には車道の端であり歩道がある場合には車道と歩道との境界となる)を認識(検出)対象とする。その後、道路端から自車両が走行する車線までに存在する車線の数を区画線の検出結果に基づいて特定し、自車走行車線を特定する。例えば、自車が走行する車線と左側の道路端との間に1車線存在すれば、自車走行車線は左から2番目の車線となる。或いは自車が走行する車線と左側の道路端との間に車線が存在しなければ、自車走行車線は最も左の車線となる。尚、区画線以外に例えば他車両などを検出することで道路端から自車両が走行する車線までに存在する車線の数を特定することも可能である。
【0052】
一方、前記S9において処理対象となる候補の親候補について“狭角分岐の親候補フラグがOFF”されていると判定された場合(S9:NO)には、処理対象の候補が狭角分岐の退出路に該当しないことから初期コストは設定せず、S11へと移行する。
【0053】
S11においてCPU41は、処理対象の候補の下流側に分岐があって、退出先の道路が2本以上接続されているか否かを判定する。
【0054】
そして、処理対象の候補の道路の下流側に分岐があって、退出先の道路が2本以上接続されていると判定された場合(S11:YES)には、更に下流側にある分岐点の通過前後の車線の接続関係を特定するレーン接続リストを有しているか否か(S12)、或いは2本以上あると判定された退出先の各道路の接続角が所定角度(例えば15度)以下であるか否か(S13)を判定する。
【0055】
そして、下流側にある分岐点の通過前後の車線の接続関係を特定するレーン接続リストを有している(S12:YES)、或いは退出先の各道路の接続角が所定角度以下である(S13:YES)と判定された場合には、処理対象の候補について“狭角分岐の親候補フラグをON”に設定する。
【0056】
それに対して、処理対象の候補に退出先の道路が2本以上接続されていると判定された場合(S11:NO)、或いは2本以上接続されていたとしても下流側にある分岐点の通過前後の車線の接続関係を特定するレーン接続リストを有しておらず(S12:NO)、且つ退出先の各道路の接続角が所定角度以下でもない(S13:NO)と判定された場合には、処理対象の候補について“狭角分岐の親候補フラグはOFF”に設定したままで終了する。
【0057】
尚、本実施形態では処理対象となる候補の親候補について“狭角分岐の親候補フラグがON”されていると判定された場合には、当該候補について“狭角分岐の親候補フラグがON”されることはないが、前記S11~S13の条件を満たした場合には当該候補についても“狭角分岐の親候補フラグをON”するようにしても良い。即ち、S10の処理の後にS11へと移行しても良い。
【0058】
そして、前記S5又は前記S7において生成された退出先となる全ての道路の候補(候補リンク)に対してS9~S14の処理を実行した後に、S15へと移行する。
【0059】
S15においてCPU41は、前回S16でのサンプリングが行われてから5m以上走行したか否かを判定する。
【0060】
そして、前回のサンプリングから5m以上走行したと判定された場合(S15:YES)には、前回のサンプリングの終点から現時点までに車両が走行した可能性のある道路(候補が複数ある場合には複数の道路)に5m間隔でサンプリング(座標点の設定)を行う(S16)。尚、サンプリングの対象となる道路に複数の車線を含む場合には、更に車線毎に座標点の設定を行う。それに対して、前回のサンプリングから5m以上走行していないと判定された場合(S15:NO)には、S18へと移行する。
【0061】
続いて、S17においてCPU41は、前記S16でサンプリングされた各座標点に対してレーンコストを算出する。尚、車両が走行した道路が複数の車線を含む場合には車線毎にレーンコストが算出される。ここで、レーンコストについては基本的に車両が走行している車線(自車走行車線)に「0」を算出し、車両が走行していない車線(自車走行車線以外の車線)に「1」を算出する。尚、自車走行車線については前述したようにフロントカメラ19による画像認識結果により検出される。その後、更にフロントカメラ19による画像認識結果と地図情報の整合性を判定し、整合していないと判定された区間についてはその区間の全ての車線のレーンコストについて「+1」或いは「+2」加算する。尚、画像認識結果と地図情報が整合しないと判定される場合としては、例えば地図情報の車線数とフロントカメラ19で撮像した画像に対する画像認識結果で検出した車線数が一致しない場合、画像認識結果で検出した自車走行車線が地図情報と矛盾が生じる場合(例えば地図情報では2車線の道路であるにもかかわらず左或いは右から3番目の車線と検出されるなど)がある。
【0062】
例えば図9に示す例は地図情報では4車線であるリンクAを車両が走行する場合に、画像認識結果でリンクAの車線が3車線と認識された場合にリンクAに対して算出されるレーンコストを示した図である。図9に示すようにフロントカメラ19による画像認識結果と地図情報が整合していない場合については、全ての車線に対するレーンコストについて夫々「+1」加算される。
【0063】
一方で、図10に示すように狭角分岐点から退出先となるリンクBやリンクCに対して算出されるレーンコストについては、前記S10において初期コストとして親候補(リンクBやリンクCに対して親候補はリンクA)の直近20m分のコストが別途算出されている。また、図10に示す例ではフロントカメラ19による画像認識結果で最も左側の車線を走行していると特定されているが、リンクBとリンクCのいずれかを走行しているかが特定できないので、リンクBとリンクCの最も左側の車線について車両が走行している車線(自車走行車線)として「0(図10に示す例では画像認識結果と地図情報が整合していないとして+1加算されて『1』となっている)」を算出し、それ以外の車線について車両が走行していない車線(自車走行車線以外の車線)として「1(図10に示す例では画像認識結果と地図情報が整合していないとして+1加算されて『2』となっている)」を算出する。
【0064】
また、レーン接続リストが存在する場合には車両が走行する車線と対応関係にない車線については、レーンコストに上記初期コストとは別にペナルティコスト(例えば『+6』)を更に加算しても良い。例えば、図10に示す例では車両がリンクAにおいて最も左側の車線を走行していると認識されているので、リンクAの最も左側の車線と対応しないリンクBの各車線にペナルティコストを加算する。また、レーン接続リストが存在しない場合には、車両が走行する車線と対応関係にない車線について、進入リンク・退出リンクの各レーン数と退出先リンクの位置関係を基に、レーン初期コストの設定に類する手法にてペナルティコストを加算しても良い。
【0065】
その後、S18においてCPU41は、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補について、候補の内から車両が走行する道路を特定する為のコストの評価条件を満たしたか否か判定する。具体的には、候補となる各道路に含まれる各車線の内、前記S17で算出されたレーンコストが0となる車線があって、且つその0の状態が所定距離(例えば20m)以上継続した時点、即ち車両が走行する道路を特定できる可能性が高い状況で、コストの評価条件を満たしたと判定する。図11に示す例では退出先の候補であるリンクBの左側の車線についてレーンコストが0の状態が20m以上継続している(レーンコストは5m間隔で算出)ので、コストの評価条件を満たしたと判定される。
【0066】
尚、前記S18において所定距離をどのような長さに設定するかについては状況によって適宜変更しても良く、例えば退出先の候補(図11ではリンクB及びリンクC)と親候補(図11ではリンクA)の道路のレーン数が同じ場合と異なる場合とで変えても良い。例えば、退出先の候補と親候補の道路のレーン数が異なる場合は20mとし、同じ場合は50mとすることが可能である。
【0067】
そして、コストの評価条件を満たしたと判定された場合(S18:YES)には、S19へと移行する。それに対して、コストの評価条件を満たしていないと判定された場合(S18:NO)には、S15へと戻る。
【0068】
S19においてCPU41は、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補毎に、コストの評価条件を満たしたと判定された時点での車線毎のこれまでに算出されたレーンコストの合計値を算出し、最も合計値の少ないレーンコストの合計値(以下、最小レーンコストという)を出力する。尚、レーンコストの合計には前述した初期コストやペナルティコストについても含める。例えば、図12に示す例では退出先となる道路の候補であるリンクBについてこれまでに算出された左車線のレーンコストの合計値が『12』であり、中央車線のレーンコストの合計値が『16』であり、右車線のレーンコストの合計値が『16』となる。一方、同じく退出先となる道路の候補であるリンクCについてこれまでに算出された車線のレーンコストの合計値が『8』となる。従って、リンクBの最小レーンコストとして『12』が算出され、リンクCの最小レーンコストとして『8』が算出される。
【0069】
続いてS20においてCPU41は、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補毎に、前記S19で算出された最小レーンコストを比較し、最も小さい候補に対して4以上の差がある候補を退出先の候補から外す(脱落させる)。例えば図12に示す例ではリンクCの最小レーンコストである『8』に対してリンクBの最小レーンコストは『12』となるので、差分が4以上であり、リンクBは退出先の候補から外されることとなる。
【0070】
その後、S21においてCPU41は、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補の内、現時点で脱落せずに残っている候補について同じ道路(同じ路線番号の道路)のみか或いは親子関係にある候補のみか否かを判定する。尚、親子関係にある候補とは道路の上流側と下流側に互いに接続される道路をいう。
【0071】
そして、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補の内、現時点で脱落せずに残っている候補について同じ道路の候補のみ、或いは親子関係にある候補のみであると判定された場合(S21:YES)には、それらの候補は連続する一の道路とみなすことができるので、該当する複数の候補をマージ(併合)する(S22)。それに対して、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補の内、現時点で脱落せずに残っている候補について同じ道路の候補のみでなく親子関係にある候補のみでもないと判定された場合(S21:NO)には、マージを行うことなくS23へと移行する。
【0072】
S23においてCPU41は、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる全ての道路の候補に対するコスト評価が完了したか否かを判定する。具体的には前記S19において最小レーンコストが算出され、更に最小レーンコストに基づく脱落や上記マージが行われたか否かを判定する。
【0073】
そして、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる全ての道路の候補に対するコスト評価が完了したと判定された場合(S23:YES)には、S24へと移行する。それに対して、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる全ての道路の候補に対するコスト評価が完了していないと判定された場合(S23:NO)にはS15へと戻り、評価を継続して行う。
【0074】
次にS24においてCPU41は、前記S20における候補の脱落や前記S21における候補のマージを行った結果、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補が一のみ残っているか否かを判定する。
【0075】
そして、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補が一のみ残っていると判定された場合(S24:YES)には、残った道路の候補を車両が走行していると特定する(S25)。その後は特定された道路上における車両の現在位置に基づいて地図画像上における車両の現在位置の表示、案内経路に従って走行を行わせる為の経路案内、運転操作の一部又は全てを車両側で実行することにより車両の運転を補助する自動運転支援等の各種走行支援が行われる。
【0076】
一方、前記S5又は前記S7で生成された退出先となる道路の候補が2以上残っていると判定された場合(S24:NO)には、残った道路の候補について前記S19で算出された最小レーンコストを比較し、最小レーンコストが最も小さい候補の道路を車両が走行していると特定する(S26)。その後は特定された道路上における車両の現在位置に基づいて地図画像上における車両の現在位置の表示、案内経路に従って走行を行わせる為の経路案内、運転操作の一部又は全てを車両側で実行することにより車両の運転を補助する自動運転支援等の各種走行支援が行われる。
【0077】
その後、S27においてCPU41は、前記S2で現在位置の周辺にあると判定された分岐点の退出先が確定したか否かを判定する。尚、退出先が確定するとは例えば図6に示すような仮想分岐点及び候補リンクが生成された場合には、前記S25又はS26で最終的に候補リンクC1~C5及び候補リンクB5のいずれかを車両が走行していると特定された場合である。
【0078】
例えば前記S25又はS26で候補リンクC1を車両が走行する道路と特定された場合については、地点Xではなく仮想分岐点51の位置に実際の分岐点があってその分岐点で車両は左方向に退出した(退出先確定)となる。同じく候補リンクC2を車両が走行する道路と特定された場合については、地点Xではなく仮想分岐点52の位置に実際の分岐点があってその分岐点で車両は左方向に退出した(退出先確定)となる。また、候補リンクC3を車両が走行する道路と特定された場合については、地点X(地図情報で特定される位置)に実際の分岐点があってその分岐点で車両は左方向に退出した(退出先確定)となる。また、候補リンクC4を車両が走行する道路と特定された場合については、地点Xではなく仮想分岐点53の位置に実際の分岐点があってその分岐点で車両は左方向に退出した(退出先確定)となる。また、候補リンクC5を車両が走行する道路と特定された場合については、地点Xではなく仮想分岐点54の位置に実際の分岐点があってその分岐点で車両は左方向に退出した(退出先確定)となる。また、候補リンクB5を車両が走行する道路と特定された場合については、地点X或いはいずれかの仮想分岐点の位置に実際の分岐点があったが分岐点で車両は直進方向(道なり)に退出した(退出先確定)となる。尚、候補リンクB1~B4を走行していると判定される場合には、その後に候補リンクC2~C5へ退出する場合があるため、退出先は確定していないとみなす。
【0079】
そして、前記S2で現在位置の周辺にあると判定された分岐点の退出先が確定したと判定された場合(S27:YES)には、過去に生成された仮想分岐点や候補リンクについては削除し(S28)、当該走行支援処理プログラムを終了する。それに対して、前記S2で現在位置の周辺にあると判定された分岐点の退出先が確定していないと判定された場合(S27:NO)にはS1へと戻り、継続して当該走行支援処理プログラムを実行する。
【0080】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムによれば、地図情報と車両の現在位置とに基づいて車両の現在位置周辺に退出先の道路が2本以上接続された分岐点があると判定された場合に、地図情報に含まれる分岐点の位置と異なる位置に仮想分岐点を設定し(S5)、仮想分岐点において退出先となる道路の候補を生成し(S5)、車両周辺を撮像した撮像画像に基づいて、車両の走行する自車走行車線を特定するとともに特定された自車走行車線と車線情報とに基づいて、生成された候補の内から車両の走行する道路を特定する(S25、S26)ので、車両の現在位置周辺に退出先の道路が2本以上接続された分岐点がある場合に、該分岐点の地図情報の位置と異なる位置に仮想分岐点を設定し、地図情報上での分岐点の位置ではなく仮想分岐点の位置に実際の分岐点がある可能性も考慮することで、地図情報と実際の道路との間にズレが生じている場合であっても、自車が走行する道路を正確に検出することが可能となる。
また、車両の現在位置周辺に退出先の道路が2本以上接続され、且つ退出先の各道路の接続角が所定角度以下或いは分岐点の通過前後の車線の接続関係を特定する情報を地図情報に含む分岐点があると判定された場合に、仮想分岐点を設定する(S5)ので、特に通過に伴って車両の現在走行する道路の特定が困難となる狭角分岐点を通過する場合であっても、自車が走行する道路を正確に検出することが可能となる。
また、車両が地図情報に含まれる分岐点の位置に対して所定距離手前の地点を通過したタイミング、或いは車両が地図情報に含まれる分岐点の位置に対して所定距離だけ進行方向前方の地点を通過したタイミングで、該通過した地点に仮想分岐点を設定する(S5)ので、地図情報に含まれる分岐点の位置と実際の分岐点の位置との間にズレが生じている場合であっても、分岐点の位置を複数候補生成し、各位置で分岐点を退出した可能性を考慮することで自車が走行する道路を正確に検出することが可能となる。
また、仮想分岐点に分岐点と同じ数且つ同じ方向に退出先の道路が接続されると仮定して、仮想分岐点において退出先となる道路の候補を生成する(S5)ので、地図情報と実際の道路との間にズレが生じている場合であっても、自車が走行する道路を正確に検出することが可能となる。
【0081】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば本実施形態では自車の走行車線の特定をフロントカメラ19で撮像した撮像画像に対する画像認識処理により行っているが、画像認識処理以外の手段を用いて行うようにしても良い。
【0082】
また、本実施形態では、前記S5において仮想分岐点を設定する場合に地図情報において特定される分岐点の位置に対して、200m手前の地点、100m手前の地点、100m進行方向前方の地点、200m進行方向前方の地点としているが、仮想分岐点の設定位置や設定する数については適宜変更可能である。
【0083】
また、本実施形態では、走行支援処理プログラム(図4図5)の処理をナビゲーション装置1のナビゲーションECU13が実行する構成としているが、実行主体は適宜変更することが可能である。例えば、液晶ディスプレイ15の制御部、車両制御ECU、その他の車載器が実行する構成としても良い。
【符号の説明】
【0084】
1…ナビゲーション装置、15…液晶ディスプレイ、19…フロントカメラ、32…リンクデータ、33…ノードデータ、34…分岐点データ、41…CPU、42…RAM、43…ROM、50…DB分岐点、51~54…仮想分岐点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13