(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131063
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】分析装置、分析方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0203 20230101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q30/0203
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041091
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】川本 愛理
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB02
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】製品やサービスの利用者からの要望を低コストで分析する分析装置を提供する。
【解決手段】分析装置は、製品又はサービスに対する要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付ける受付手段と、前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、それぞれの前記評価値に重み付けをする算出手段と、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定する決定手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品又はサービスに対する要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付ける受付手段と、
前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、当該利用者による前記評価値に重み付けをする算出手段と、
前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定する決定手段と、
を備える分析装置。
【請求項2】
製品又はサービスに対する要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付ける受付手段と、
前記利用者の前記製品又は前記サービスの利用履歴に基づいて、前記利用者ごとに、当該利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行う算出手段と、
前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定する決定手段と、
を備える分析装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記利用者の前記製品又は前記サービスの利用履歴に基づいて、前記利用者ごとに、当該利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行う、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記利用者の属性に基づいて、前記属性を有する前記利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行う、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記利用者の前記製品又は前記サービスの利用履歴に基づいて、前記利用者ごとに、当該利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行い、前記利用者の属性に基づいて、前記属性を有する前記利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行う、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記算出手段は、前記利用履歴に基づいて、前記製品又は前記サービスの利用が多い前記利用者が評価した前記評価値により大きな重みを付す、
請求項2又は請求項3又は請求項5に記載の分析装置。
【請求項7】
前記算出手段は、前記利用履歴に基づいて、前記製品又は前記サービスの新規の前記利用者が評価した前記評価値により大きな重みを付す、
請求項2又は請求項3又は請求項5に記載の分析装置。
【請求項8】
前記算出手段は、所定の前記属性を有する前記利用者が評価した前記評価値を合計し、前記合計した値を前記所定の前記属性を有する前記利用者の数で除算し、除算した値を前記所定の前記属性を有する前記利用者が評価した前記評価値の代表値として算出する、
請求項4又は請求項5に記載の分析装置。
【請求項9】
製品又はサービスに対する要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付けるステップと、
前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、当該利用者による前記評価値に重み付けをするステップと、
前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定するステップと、
を有する分析方法。
【請求項10】
コンピュータに、
製品又はサービスに対する要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付けるステップと、
前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、当該利用者による前記評価値に重み付けをするステップと、
前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の要望を分析する分析装置、分析方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品やサービスの利用者から要望を収集する手段として、開発コミュニティ、アンケートツール、カスタマサクセスサービスなどが提供されている。これらの手段では、ウェブサイトを介して、製品やサービスに関する意見や要望を利用者が投稿する機能、他の利用者が投稿した意見について投票できる機能、各意見の投票結果を提示する機能などが提供されている。一般的に、これらの手段で収集した多くの意見や要望の優先度を決定することは困難であり、多大な時間を要することが多い。
【0003】
例えば、ソフトウェア開発においても製品に関する要望が数多く寄せられることがある。ソフトウェアの開発や提供を行う事業者は、要望の多さや利用者の重要度などに基づいて人手により優先度を決定することが多い。そのため、開発項目の優先度決定に時間がかかる、優先度決定の過程と結果の一貫性が保てない、特殊な要求だが主張の強い利用者の要望を採用して多くの利用者に汎用的に使用されない機能を開発してしまう、といった状況が生じる可能性がある。
【0004】
特許文献1には、顧客の要望を受け付けてデータベースに記録し、顧客の属性情報を考慮して、顧客の要望の重要度を評価しつつ、受け付けた顧客の要望と、評価した顧客の要望の重要度を提示することによって、製品の企画者が重要度の高い要望を的確に把握することができるように構成した製品企画支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多大な時間や手間などのコストを掛けることなく、製品やサービスの利用者から寄せられる要望から、優先すべき製品の開発項目や優先すべきサービスの改善項目を分析、提示する技術が必要とされている。
【0007】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する分析装置、分析方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、分析装置は、製品又はサービスに対する要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付ける受付手段と、前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、当該利用者による前記評価値に重み付けをする算出手段と、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定する決定手段と、を備える。
【0009】
本発明の一態様によれば、分析方法は、製品又はサービスに対する要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付けるステップと、前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、当該利用者による前記評価値に重み付けをするステップと、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定するステップと、を有する。
【0010】
本発明の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、製品又はサービスに対する要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付けるステップと、前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、当該利用者による前記評価値に重み付けをするステップと、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、優先すべき製品の開発項目や優先すべきサービスの改善項目を自動的に短時間で分析、提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る分析装置の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る分析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る優先度と得票値の算出方法の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る分析結果の表示の一例を示す図である。
【
図5】最小構成を有する分析装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】最小構成を有する分析装置の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態に係る分析装置について図面を参照して説明する。以下の説明に用いる図面において本発明に関係ない部分の構成については、記載を省略し、図示しない場合がある。
【0014】
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る分析装置の一例を示す図である。分析装置10は、1台又は複数台のサーバ等のコンピュータによって構成される。分析装置10は、利用者の要望、利用履歴、属性に基づいて、製品の開発項目や利用者へ提供するサービスの改善点等の優先度を自動で算出する機能を備える。以下、一例として、ソフトウェア開発項目の優先度を分析する例を挙げて、分析装置10の説明を行う。
【0015】
分析装置10は、ソフトウェアの利用者から要望を収集し、収集した要望を公開して、要望に対する利用者からの評価を投票により収集する。そして、利用者の投票結果と、利用者の利用履歴と、利用者の属性とを使って、収集した要望に含まれる開発項目や改善点の優先度を自動的に算出する。自動化により、優先度決定までの時間や手間を削減することができる。また、操作者の主観によらない、ばらつきのない公平なプロセスによって優先度を決定する。これにより、多くの利用者に使用される機能を、優先度が高い開発項目として選定することが期待できる。
【0016】
(構成)
図1に示すように、分析装置10は、受付手段11と、重み付け手段12と、均一化手段13と、集計手段14と、出力手段15と、記憶手段16と、を備える。
【0017】
受付手段11は、各種情報の入力を受け付ける。例えば、受付手段11は、ソフトウェアの利用者が使用する端末20、21等からソフトウェアに対する要望、要望に対する評価(投票)などを受け付ける。例えば、利用者Aが端末20に“機能1が欲しい”という要望を入力し、利用者Bが端末21に“機能2が欲しい”という要望を入力する。端末20、21のそれぞれは、入力された要望を分析装置10へ送信する。分析装置10では、受付手段11が、これらの要望を取得し、取得した要望を要望DB161に保存する。DBとはデータベースの略で以下同様に記載する。また、利用者Cが“機能1が欲しい”という要望に賛成する投票を端末20等から行い、利用者Dが“機能2が欲しい”という要望に賛成する投票を端末20等から行った場合、受付手段11は、これらの投票結果を取得し、取得した投票結果を所定のルールに基づいて数値化して、投票DB162に保存する。
【0018】
重み付け手段12は、利用者の利用履歴に基づいて、利用者からの要望に対する投票に対して重み付けを行う。例えば、利用実績が多い利用者Cが“機能1が欲しい”という要望に対して賛成する投票を行い、利用実績が少ない利用者Dが“機能2が欲しい”という要望に対して賛成する投票を行った場合、重み付け手段12は、“機能1が欲しい”という要望に対してより大きな重みを付す。例えば、利用者Cの重み付けを「2」とする。重み付け手段12は、利用者Cによる“機能1が欲しい”という1票の投票に対し、利用者Cの利用履歴に応じた重み付け「2」を付す。例えば、1票の投票を得票値「1」とすると、利用者Cによる1票の投票は、2票分の得票値「2」として扱われる。利用履歴に基づく重み付けは、対象のソフトウェアの利用頻度、利用期間、利用する機能の種類の多少に応じて、例えば、これらの項目に関する値が大きいほど、大きな重みが付されるが、これらに限定されない。例えば、これまでにない視点からの要望、他製品を使用していた利用者からの要望を重視する意味で、利用履歴に基づいて新規顧客と判断される利用者の投票に対してより大きな重み付けを付すようにしてもよい。あるいは、得意顧客へのサービスの観点や事業者が開発する他のソフトウェアとの整合性、他のソフトウェアと組合せによる利便性向上の観点から、同事業者が開発する複数のソフトウェアに関する利用頻度、利用期間、購入ソフトウェア数などに基づいて、これらの値が多い、所謂、得意顧客に対してより大きな重み付けを付すようにしてもよい。
【0019】
均一化手段13は、利用者の属性に基づき、得票値を均一化する。利用者の属性とは、例えば、その利用者が所属する企業等の組織、年齢、性別、住所などである。例えば、対象ソフトウェアを業務で利用する企業Aがあり、企業Aの業務にとって“機能1”が有用であるとする。また、企業Aの従業員が多いとする。このような場合、“機能1が欲しい”という要望と“機能2が欲しい”という要望に対して投票を行うと、企業Aの従業員の多くが“機能1”に投票するため、“機能1”に投票が集まってしまう。何らかの理由で、特定の属性を有する利用者からの投票の偏りを平準化したい場合や、利用者の属性ごとに投票結果を均一化したいような場合、均一化手段13は、属性ごとの投票数の合計をその属性の利用者数で除算し、投票結果を均一化する。例えば、“機能1が欲しい”という要望に対しての得票値が「1000」、“機能1が欲しい”に投票した人の総数が1000人、そのうち500人が企業Aの従業員、残りの500人については、所属する組織の属性値が全て異なるとすると、均一化手段13は、得票値1000のうちの企業Aの従業員による得票値の合計「500」を「企業Aの従業員」という属性を有する投票者数500で除算し、均一化後の値「1」を算出する。(又は、「企業Aの従業員」という属性を有する各々の利用者が投票した得票値を人数「500」で除算する、つまり、重み係数「1/500」で重み付けする。)この結果、“機能1が欲しい”という要望の得票値は「501」となる。
【0020】
集計手段14は、得票値や優先度を算出する。例えば、集計手段14は、利用者からの投票に基づく得票値や重み付け手段12や均一化手段13が算出した得票値を要望ごとに集計して、最終的な得票値を算出し、開発すべき機能の優先度を決定する。例えば、“機能1が欲しい”という要望の得票値が501、“機能2”の得票値が100、“機能3”の得票値が10の場合、集計手段14は、“機能1”の優先度「1」、“機能2”の優先度「2」、“機能3”の優先度「3」を算出し、各要望の識別情報と算出した優先度や得票値を優先度DB165に記録する。
【0021】
出力手段15は、各種情報を出力する。例えば、出力手段15は、ソフトウェアの利用者から収集した要望を、全ての利用者に対して公開する。また、例えば、出力手段15は、優先度DB165を参照して、要望ごとの優先度や得票値を取得し、その情報を、ソフトウェアを開発する企業が使用する端末30へ送信する。端末30は、要望ごとに優先度や得票値を出力する。ソフトウェアを開発する事業者は、優先度の高い要望を把握することができる。
【0022】
記憶手段16は、各種情報を記憶する。例えば、記憶手段16は、利用者のソフトウェアに対する要望が登録された要望DB161、要望に対して賛成や反対の投票結果が登録された投票DB162、利用者の属性が登録された利用者DB163、利用者のソフトウェア利用履歴が登録された利用履歴DB164、集計手段14によって算出された優先度や最終的な得票値が登録された優先度DB165などを記憶する。
【0023】
(動作)
次に
図2~
図4を参照して、分析装置10の動作について説明する。
図2は、実施形態に係る分析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3は、実施形態に係る優先度と得票値の算出方法の一例を示す図である。
図4は、実施形態に係る分析結果の表示の一例を示す図である。前提として、利用者DB163には、投票を行う利用者の属性が登録されている。利用履歴DB164には、利用者ごとの利用履歴が登録されている。
【0024】
まず、受付手段11が、ソフトウェアの利用者から要望と、各要望に対する投票を受け付ける(ステップS1)。利用者は、端末20、21等にソフトウェアへの要望を投稿する。受付手段11は、投稿された要望を受け付ける。受付手段11は、利用者によって投稿された要望を要望DB161に記録する。要望DB161の一例を
図3に示す。
図3の例では、「画面表示バグ修正」、「通知機能追加」、「ボタンサイズ変更」の各要望が登録されている。出力手段15は、投稿された要望を、全ての利用者に対して公開し、各要望への評価を投票できるような画面等を端末20、21へ送信する。利用者は、公開された要望について、賛成、反対などの評価を投票する。なお、投票に不正がないように各利用者は本人確認ができているものとする。受付手段11は、投票された投票結果を受け付け、投票結果を投票DB162に記録する。投票DB162の一例を
図3に示す。
図3の例では、画面表示バグ修正に得票値「3」、通知機能追加に得票値「2」、ボタンサイズ変更に得票値「0」が設定されている。受付手段11は、反対、賛成などの投票を、その投票内容に応じて数値化して、投票DB162に記録する。例えば、受付手段11は、要望度合いにより、反対は「-1」、賛成は「1」、大賛成は「2」、必須は「3」のように数値化して投票DB162の「投票」欄に記録する。数値化された値は得票値である。また、投票DB162には、各得票値が誰によって投票されたものであるかが記録されている。
図3の例では、日電太郎による投票結果が示されている。
【0025】
次に出力手段15は、集計開始の入力を促す情報を端末30へ送信し、事業者からの入力を待つ。受付手段11が、集計開始の入力を受け付けると、集計手段14は、集計処理を開始する(ステップS2)。集計手段14は、投票DB162から要望と得票値と投票を行った利用者名を読み出して取得する。
【0026】
次に分析装置10は、利用履歴による利用者の重み付けを行うかどうかを判定する(ステップS3)。出力手段15は、利用履歴による利用者の重みづけを行うかどうかの選択を促す画面等を端末30へ送信し、事業者からの入力を待つ。事業者は、対象のソフトウェアの利用が多い利用者の要望を、より信頼できる要望として尊重する場合や、その反対に、新規利用者の意見を聞きたい場合などに、利用履歴による重みづけを行うことを選択する。重み付けのためのパラメータは、事業者により入力される。このパラメータには、重み付けを行うかどうかと、どのような利用者についてより大きな重み付けを行うかと、どのような重みを付すか等の情報が含まれる。受付手段11は、事業者が入力した重み付けのためのパラメータを取得する。重み付け手段12は、受付手段11が取得したパラメータに基づいて、重み付けを行うかどうかと、どのような利用者の投票について、どの程度の重み付けを行うかを判定する。重み付けを行わないと判定した場合(ステップS3;No)、ステップS5へ進む。
【0027】
重み付けを行うと判定した場合(ステップS3;Yes)、重み付け手段12は、利用者の利用履歴により得票値に重み付けを行う(ステップS4)。重み付け手段12は、投票DB162に記録された利用者の情報を利用者DB163から取得し、利用履歴DB164から各利用者のソフトウェアの操作時間、操作データ量、使用した機能の網羅度などを取得し、投票を行った利用者ごとに利用度合いを算出する。
図3に例示するように利用者DB163には、利用者の氏名、所属する企業名、役職、年齢などが記録されている。利用履歴DB164には、利用者別にソフトウェアの使用開始時期(
図4の「初回ログイン」欄)、合計操作時間、操作データ量、機能網羅率などが記録されている。重み付け手段12は、これらの情報に基づき、ソフトウェアの利用が多い利用者であるか、又は新規利用者であるかがを判断する。例えば、日電太郎が新規利用者で、事業者が入力した重み付けのためのパラメータに“重み付けを行う”、“新規利用者に対してより大きな重み「2」を付し、それ以外の利用者に重み「1」を付す”といった内容が含まれていれば、重み付け手段12は、投票DB162に登録された「画面表示バグ修正」の得票値「3」、「通知機能追加」の得票値「2」、「ボタンサイズ変更」の得票値「0」をそれぞれ2倍して、要望ごと利用者ごとに2倍した値を記憶手段16に保存する。また、新規利用者ではない利用者の得票値については、重み付け手段12は、要望ごと利用者ごとにそのままの得票値を記憶手段16に保存する。
【0028】
次に分析装置10は、利用者の属性により均一化を行うかどうかを判定する(ステップS5)。出力手段15は、利用者の属性により均一化を行うかどうかの選択を促す画面等を端末30へ送信し、事業者からの入力を待つ。例えば、事業者は、すべての利用者からの意見を収集する場合には均一化しないを選択し、特殊なニーズがあり登録利用者数が多い企業の得票が多くなるケースを回避するためには、利用者の所属する企業で均一化することを選択する。均一化のためのパラメータは、事業者により入力される。このパラメータには、均一化を行うかどうかと、どのような属性について得票値を均一化するかを示す情報が含まれる。受付手段11は、事業者が入力した均一化に関するパラメータを取得する。均一化手段13は、受付手段11が取得したパラメータに基づいて、均一化を行うかどうかと、どのような利用者属性について均一化を行うかを判定する。均一化を行わないと判定した場合(ステップS5;No)、ステップS7へ進む。
【0029】
均一化を行うと判定した場合(ステップS5;Yes)、均一化手段13は、属性の複数利用者の合計値を人数で割って平均値を算出する(ステップS6)。均一化手段13は、利用者DB163を参照して均一化を行うと指定された属性を有する利用者を確認する。均一化手段13は、均一化対象の属性を有する利用者の得票値を要望ごとに合計して、その合計値を、均一化対象の属性を有する利用者数で除算して、要望ごとに得票値の平均値を算出する。均一化手段13は、算出した要望ごとの得票値の平均値を記憶手段16に保存する。
【0030】
次に、集計手段14が、記憶手段16に保存された得票値を要望ごとに集計する(ステップS7)。(1)例えば、重み付け無し(ステップS3;No)、かつ、均一化無しの場合(ステップS5;No)、集計手段14は、投票DB162に記録された得票値を要望ごとに集計する。(2)例えば、重み付けあり(ステップS3;Yes)、かつ、均一化無しの場合(ステップS5;No)、集計手段14は、ステップS4で記憶手段16に保存した重み付け後の得票値を要望ごとに集計する。(3)例えば、重み付け無し(ステップS3;No)、かつ、均一化ありの場合(ステップS5;Yes)、集計手段14は、均一化対象の属性を有する利用者群の得票値に関してはステップS5で保存した平均値を取得し、他の利用者については投票DB162に記録された得票値を取得し、これらを集計する。(4)例えば、重み付けあり(ステップS3;Yes、かつ、均一化ありの場合(ステップS5;Yes)、集計手段14は、均一化対象の属性を有する利用者群の得票値に関してはステップS6で保存した平均値を取得し、他の利用者についてはステップS4で記憶手段16に保存した重み付け後の得票値を取得し、これらを集計する。集計手段14は、集計した要望ごとの得票値を優先度DB165に記録する。また、集計手段14は、要望ごとに優先度を算出する。例えば、集計手段14は、得票値が大きい要望から得票値が小さい要望の順に並べ、最も得票値が大きい要望に優先度「1」、2番目に得票値が大きい要望に優先度「2」、3番目に得票値が大きい要望に優先度「3」、・・・、のように優先度を算出する。集計手段14は、算出した要望ごとの優先度を優先度DB165に記録する。
図3に優先度DB165の一例を示す。
【0031】
次に出力手段15が、集計結果を出力する(ステップS8)。出力手段15が、優先度DB165を参照して、要望ごとの優先度と得票値を読み出して、優先度の高い順から要望、得票値を表示した画面等を生成し、端末30へ送信する。端末30は、この画面を事業者へ表示する。端末30が出力する画面の一例を
図4の画面401に示す。事業者は、画面401を参照することにより、優先度の高い順に要望を確認することができる。
【0032】
出力手段15は、優先度DB165および利用者DB163に保存された値を利用して、
図4の画面402に例示する、要望ごとの得票の内訳を示す画面を生成してもよい。これにより、事業者は、各要望の得票値内訳を確認することができる。
【0033】
(効果)
上記説明したように本実施形態によれば、(1)製品やサービスに対する、利用者からの要望を収集し、その要望を公開する。(2)そして利用者は、公開された要望に対して賛成するか反対するかなどの投票を行う。(3)次に、分析装置10は、必要に応じて、利用者の利用履歴に基づく各利用者の投票への重み付けを行う。(4)さらに、分析装置10は、必要に応じて、利用者の属性に基づいて、所定の属性を有する利用者の得票値の平均値を算出(均一化)し、この値を所定の属性を有する利用者全体の代表値として設定する。(5)次に、分析装置10は、要望ごとに得票値を集計し、要望の優先度を決定する。(6)最後に、分析装置10は、要望ごとの優先度や得票値を、製品やサービスを提供する事業者へ提示する。
【0034】
このように、分析装置10によれば、製品やサービスへの利用者の要望を自動的に分析し、その分析結果を提示することができる。これにより、多大な時間や手間等を掛けることなく、優先すべき製品の開発項目や優先すべきサービスの改善項目を低コストで分析することができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、利用者の利用履歴で得票値に対する重み付けを行うこととしたが、利用者の属性に基づいて重み付けを行う(例えば、企業Aに属する利用者が投票した得票値を一律に2倍する等)ように構成してもよい。また、上記実施形態ではソフトウェアを対象としたが、要望を投稿する対象はソフトウェアに限らず、各種製品もしくは各種サービスであってもよい。
【0036】
(最小構成)
図5は、最小構成を有する分析装置の構成を示すブロック図である。
分析装置800は、受付手段801と、算出手段802と、決定手段803と、を備える。
受付手段801は、製品又はサービスに対する利用者からの要望と、複数の利用者が要望について評価した評価値と、を受け付ける。得票値は評価値の一例である。受付手段11は受付手段801の一例である。
算出手段802は、評価を行った利用者に関する情報に基づいて、評価値を更新する。例えば、算出手段802は、評価を行った利用者に関する情報に基づいて、評価値への重み付けを行う。重み付け手段12と均一化手段13は算出手段802の一例である。
決定手段803は、評価値を要望ごとに集計し、要望ごとの優先度を決定する。集計手段14は決定手段803の一例である。
【0037】
図6は、最小構成を有する分析装置の動作を示すフローチャートである。
受付手段801は、製品又はサービスに対する利用者からの要望と、複数の利用者が要望について評価した評価値とを受け付ける(ステップS801)。
次に、算出手段802は、評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、前記評価値に重み付けをする(ステップS802)。
決定手段803は、評価値を要望ごとに集計し、要望ごとの優先度を決定する(ステップS803)。
【0038】
なお、上述した実施形態における分析装置800、10の一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、分析装置800、10に内蔵されたコンピュータシステムであって、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0039】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0040】
また、上述した実施形態における分析装置800、10の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。分析装置800、10の各機能部は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0041】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、本発明の一態様は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態や変形例に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も含まれる。
【0042】
上記実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
【0043】
(付記1)
製品又はサービスに対する利用者からの要望と、複数の前記利用者が前記要望について評価した評価値と、を受け付ける受付手段と、前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、前記評価値に重み付けをする算出手段と、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定する決定手段と、を備える分析装置である。
【0044】
(付記2)
製品又はサービスに対する要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付ける受付手段と、前記利用者の前記製品又は前記サービスの利用履歴に基づいて、前記利用者ごとに、当該利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行う算出手段と、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定する決定手段と、を備える分析装置である。
【0045】
(付記3)
前記算出手段は、前記利用者の前記製品又は前記サービスの利用履歴に基づいて、前記利用者ごとに、当該利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行う、付記1に記載の分析装置である。
【0046】
(付記4)
前記算出手段は、前記利用者の属性に基づいて、前記属性を有する前記利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行う、付記1に記載の分析装置である。
【0047】
(付記5)
前記算出手段は、前記利用者の前記製品又は前記サービスの利用履歴に基づいて、前記利用者ごとに、当該利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行い、前記利用者の属性に基づいて、前記属性を有する前記利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行う、付記1に記載の分析装置である。
【0048】
(付記6)
前記算出手段は、前記利用履歴に基づいて、前記製品又は前記サービスの利用が多い前記利用者が評価した前記評価値により大きな重みを付す、付記2又は付記3又は付記5に記載の分析装置である。
【0049】
(付記7)
前記算出手段は、前記利用履歴に基づいて、前記製品又は前記サービスの新規の前記利用者が評価した前記評価値により大きな重みを付す、付記2又は付記3又は付記5に記載の分析装置である。
【0050】
(付記8)
前記算出手段は、所定の前記属性を有する前記利用者が評価した前記評価値を合計し、前記合計した値を前記所定の前記属性を有する前記利用者の数で除算し、除算した値を前記所定の前記属性を有する前記利用者が評価した前記評価値の代表値として算出する、付記4又は付記5に記載の分析装置である。
【0051】
(付記9)
前記決定手段が決定した前記要望ごとの優先度を出力する出力手段、をさらに備える付記1から付記8の何れかに記載の分析装置である。
【0052】
(付記10)
製品又はサービスに対する利用者からの要望と、複数の前記利用者が前記要望について評価した評価値と、を受け付けるステップと、前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、前記評価値に重み付けをするステップと、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定するステップと、を有する分析方法である。
【0053】
(付記11)
製品又はサービスに対する利用者からの要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付けるステップと、前記利用者の前記製品又は前記サービスの利用履歴に基づいて、前記利用者ごとに、当該利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行うステップと、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定するステップと、を有する分析方法である。
【0054】
(付記12)
コンピュータに、製品又はサービスに対する利用者からの要望と、複数の前記利用者が前記要望について評価した評価値と、を受け付けるステップと、前記評価を行った前記利用者に関する情報に基づいて、前記評価値に重み付けをするステップと、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定するステップと、を実行させるプログラムである。
【0055】
(付記13)
コンピュータに、製品又はサービスに対する利用者からの要望と、複数の利用者の各々が前記要望について評価した評価値と、を受け付けるステップと、前記利用者の前記製品又は前記サービスの利用履歴に基づいて、前記利用者ごとに、当該利用者が評価した前記評価値に対する重み付けを行うステップと、前記評価値を前記要望ごとに集計し、前記要望ごとの優先度を決定するステップと、を実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0056】
10・・・分析装置
11・・・受付手段
12・・・重み付け手段
13・・・均一化手段
14・・・集計手段
15・・・出力手段
16・・・記憶手段
161・・・要望DB
162・・・投票DB
163・・・利用者DB
164・・・利用履歴DB
165・・・優先度DB
800・・・分析装置
801・・・受付手段
802・・・算出手段
803・・・決定手段